1 00:03:13,036 --> 00:03:15,036 黄巾軍だ! 2 00:03:20,811 --> 00:03:24,648 今から 1800 年ほどの昔 3 00:03:24,648 --> 00:03:26,717 中国では漢の王朝の 4 00:03:26,717 --> 00:03:30,717 支配力が弱まり 各地で戦乱が絶えなかった 5 00:03:35,626 --> 00:03:39,329 河北省の片田舎の 貧しい ムシロ売りの青年 6 00:03:39,329 --> 00:03:43,734 劉備玄徳は迫害される民衆を 救おうと 7 00:03:43,734 --> 00:03:49,239 関羽 張飛 ニ人の豪傑と 義兄弟の誓いを結んで 8 00:03:49,239 --> 00:03:52,609 正義の理想国家建設に乗り出した 9 00:03:52,609 --> 00:03:58,715 天地神明に誓う ここに劉備 関羽 張飛の三名は 10 00:03:58,715 --> 00:04:03,053 生を異にすといえども 兄弟の契りを結びし故は 11 00:04:03,053 --> 00:04:07,057 心を同じうして 力を合わせ 上は国家に奉じ 12 00:04:07,057 --> 00:04:10,694 下は民草を安んぜん 同年 同月 同日に 13 00:04:10,694 --> 00:04:13,597 生まれんことは得ざれども 願わくは 14 00:04:13,597 --> 00:04:16,366 同年 同月 同日に死せん 15 00:04:16,366 --> 00:04:20,971 天地の神々よ 我らが赤心をご照覧あれ 16 00:04:20,971 --> 00:04:23,874 義に背き 恩を忘れるやからは 17 00:04:23,874 --> 00:04:28,278 天 人 共にこれを誅滅せん 18 00:04:28,278 --> 00:04:32,849 同じ頃 義兵隊の若き将校 曹操も 19 00:04:32,849 --> 00:04:38,255 天下統一の野望を抱いて 次第に勢力を伸ばしていた 20 00:04:38,255 --> 00:04:42,855 そして十数年 戦いにつぐ戦いの日々が続いたが 21 00:04:50,667 --> 00:04:52,767 呂布 覚悟! 22 00:04:59,276 --> 00:05:04,414 帝を迎えて 官軍の総大将となった曹操に比べ 23 00:05:04,414 --> 00:05:10,187 玄徳は城も国も持たない 無力な浪人でしかなかった 24 00:05:10,187 --> 00:05:12,255 どうなされました 25 00:05:12,255 --> 00:05:16,560 自分がふがいないんだ 戦っても 戦っても 26 00:05:16,560 --> 00:05:21,198 曹操のように 天下を動かす力を持てない 27 00:05:21,198 --> 00:05:27,004 桃園の誓いを いつになったら 実現出来るのか 28 00:05:27,004 --> 00:05:31,241 その頃 戦火に追われて 苦難の放浪生活の中で 29 00:05:31,241 --> 00:05:34,745 成長していく少年 諸葛孔明は 30 00:05:34,745 --> 00:05:38,348 人々を幸せにする 政治のあり方を求めて 31 00:05:38,348 --> 00:05:41,151 ひたすら学問の道に励んでいた 32 00:05:41,151 --> 00:05:44,421 この広い国土を 一人の英雄が治めようとするから 33 00:05:44,421 --> 00:05:47,858 争いが絶えないのだ 二人では なおさら対立が起きる 34 00:05:47,858 --> 00:05:51,428 三人の英雄が この国を三分して治めれば 35 00:05:51,428 --> 00:05:55,098 力の均衡で無益な戦いは なくなるはずだ 36 00:05:55,098 --> 00:05:58,001 その三人とは 一人は曹操 37 00:05:58,001 --> 00:06:01,872 一人は呉の孫策 もう一人は 38 00:06:01,872 --> 00:06:04,541 分からん 39 00:06:04,541 --> 00:06:08,945 しかし きっと出てくる 40 00:06:08,945 --> 00:06:11,845 その人物こそ 私の同志だ 41 00:06:27,030 --> 00:06:30,300 この年 いよいよ 天下制覇の進撃を 42 00:06:30,300 --> 00:06:32,669 開始しようとしていた曹操は 43 00:06:32,669 --> 00:06:38,208 帝を迎えて 首都許昌の郊外で 大掛かりな巻狩りを催した 44 00:06:38,208 --> 00:06:40,208 いたぞ! 45 00:06:48,919 --> 00:06:50,921 お手並みを 46 00:06:50,921 --> 00:06:52,921 はっ 47 00:07:10,140 --> 00:07:13,240 玄徳様が ウサギを射止められました 48 00:07:22,486 --> 00:07:25,288 董承閣下 49 00:07:25,288 --> 00:07:28,959 何を打っておられるのですか 天日を覆い隠そうとしている 50 00:07:28,959 --> 00:07:31,862 黒雲を打っているのじゃ 51 00:07:31,862 --> 00:07:34,131 黒雲? 52 00:07:34,131 --> 00:07:36,066 こんなに晴れてるのに? 53 00:07:36,066 --> 00:07:38,368 貴公たちには分からぬか 54 00:07:38,368 --> 00:07:41,638 この巻狩りは 曹操が 帝に勝る力を持っていることを 55 00:07:41,638 --> 00:07:44,574 天下に示し やがては国家に君臨せんとの 56 00:07:44,574 --> 00:07:49,379 野心のために仕組まれたものじゃ くそう 57 00:07:49,379 --> 00:07:52,249 むう 58 00:07:52,249 --> 00:07:54,349 えい 59 00:07:58,955 --> 00:08:01,055 それっ 60 00:08:09,466 --> 00:08:11,466 よし 曹操 行くぞ! 61 00:08:14,070 --> 00:08:16,070 はっ 62 00:08:26,616 --> 00:08:28,716 曹操!打ってみよ はっ 63 00:08:40,630 --> 00:08:43,600 おお 帝のお手柄だ 64 00:08:43,600 --> 00:08:46,500 帝が大鹿を射止められました 65 00:08:57,514 --> 00:08:59,449 ううん! 66 00:08:59,449 --> 00:09:01,384 やめんか 関羽 兄者! 67 00:09:01,384 --> 00:09:05,884 丞相 万歳!丞相 万歳! 68 00:09:10,160 --> 00:09:13,496 曹操の仕打ちは 臣下にあるまじき行いです 69 00:09:13,496 --> 00:09:16,833 放っておいては いつかは国の害になる男でしょう 70 00:09:16,833 --> 00:09:20,437 だから 私が 一刀両断に成敗しようとしたのに 71 00:09:20,437 --> 00:09:23,406 兄者はどうして止めたのですか 72 00:09:23,406 --> 00:09:26,576 私は今 曹操に養われている身分 73 00:09:26,576 --> 00:09:28,511 城も味方の軍勢もない 74 00:09:28,511 --> 00:09:32,215 あの時 もしお前が 血気にはやって やり損じたら 75 00:09:32,215 --> 00:09:35,418 私たち三人も生きてはおれまい そうなったら 76 00:09:35,418 --> 00:09:37,518 曹操の天下になるだけじゃないか 77 00:09:40,757 --> 00:09:43,293 誰だ! 78 00:09:43,293 --> 00:09:46,196 劉備殿 お待ちしておりましたぞ 79 00:09:46,196 --> 00:09:48,265 董承閣下ではありませんか 80 00:09:48,265 --> 00:09:50,667 先ほどの巻狩りで貴公方は 81 00:09:50,667 --> 00:09:53,370 曹操の命を 奪おうとなされましたな 82 00:09:53,370 --> 00:09:55,705 おのれ!曹操の回し者か 83 00:09:55,705 --> 00:09:59,576 お待ちくだされ 私はあなた方のような正義の士が 84 00:09:59,576 --> 00:10:03,380 まだこの国にいると知って 感激しているのです 85 00:10:03,380 --> 00:10:07,117 劉備殿 ついては一度 帝に直々 お目通りして 86 00:10:07,117 --> 00:10:09,917 いただけんじゃろうか 私が帝に? 87 00:10:11,955 --> 00:10:14,891 劉備 その方は 漢室の血統を 88 00:10:14,891 --> 00:10:19,529 引いておるそうじゃな はい 前漢景帝の第 14 皇子 89 00:10:19,529 --> 00:10:24,167 中山靖王 劉勝の末裔にございます 90 00:10:24,167 --> 00:10:28,171 それなら 陳の胸の痛み 分かってくれよう 91 00:10:28,171 --> 00:10:30,640 陳は曹操こそ 王室を守り 92 00:10:30,640 --> 00:10:33,943 国家を安泰に導く忠臣と 信じていたが 93 00:10:33,943 --> 00:10:37,714 近頃はいつ謀反を起こすか そればかりが 気掛かりで 94 00:10:37,714 --> 00:10:41,351 針のむしろに座っているようじゃ 95 00:10:41,351 --> 00:10:43,451 董承 96 00:10:51,528 --> 00:10:53,863 国賊 曹操を討つことが出来るのは 97 00:10:53,863 --> 00:10:56,566 御貴殿しかいないと 帝はこの日を 98 00:10:56,566 --> 00:11:00,070 心待ちにしておられたのですぞ 99 00:11:00,070 --> 00:11:04,074 詔 かしこまりました 100 00:11:04,074 --> 00:11:06,910 この上は次節が到来するまで 101 00:11:06,910 --> 00:11:10,313 この劉備にお任せください くれぐれも 102 00:11:10,313 --> 00:11:14,851 外へお漏らしになりませぬよう 103 00:11:14,851 --> 00:11:17,487 劉備殿 はっ 104 00:11:17,487 --> 00:11:20,287 帝に何の御用で 参上なされたのじゃ 105 00:11:23,593 --> 00:11:27,163 私は漢の王室の血を引く者なので 御上が系図を 106 00:11:27,163 --> 00:11:29,699 お確かめになりたいと お招きがあったのです 107 00:11:29,699 --> 00:11:34,904 なるほど それでその帯を 御下賜なされたのか 108 00:11:34,904 --> 00:11:37,273 わしは おそばにおっても そのような物を 109 00:11:37,273 --> 00:11:39,275 拝領したことがない 110 00:11:39,275 --> 00:11:43,079 その玉帯を わしにくださらんか 111 00:11:43,079 --> 00:11:45,949 恩賜の品を たとえ御貴殿であろうと 112 00:11:45,949 --> 00:11:49,285 お譲りすることは出来ません どうしてもと仰るなら 113 00:11:49,285 --> 00:11:53,156 この玄徳の首も一緒に お渡ししましょう 114 00:11:53,156 --> 00:11:56,926 はははは 冗談じゃ 冗談 115 00:11:56,926 --> 00:11:59,926 失礼のおわびに 我が家で一献差し上げよう さあ 116 00:12:02,565 --> 00:12:06,436 劉備殿 一つお願いがあるのじゃが 117 00:12:06,436 --> 00:12:10,106 何でしょう 御貴殿の義兄弟 関羽殿は 118 00:12:10,106 --> 00:12:13,910 当節まれにみる 文武両道の豪傑と聞いておる 119 00:12:13,910 --> 00:12:17,347 家臣として ぜひ欲しい人物なのじゃが 120 00:12:17,347 --> 00:12:19,282 わしに譲ってくださらんか 121 00:12:19,282 --> 00:12:23,153 私がたとえ承知しても 関羽が仰せには従わんでしょう 122 00:12:23,153 --> 00:12:25,453 わしに敵意でもお持ちなのかな 123 00:12:31,027 --> 00:12:33,263 ああ! 124 00:12:33,263 --> 00:12:36,533 あっ 竜が天に昇っていく! わあ! 125 00:12:36,533 --> 00:12:40,403 騒ぐな あれは竜巻というもんじゃ 126 00:12:40,403 --> 00:12:42,772 劉備殿 見られよ 127 00:12:42,772 --> 00:12:45,041 まさしく竜が雲を呼び 霧を吐いて 128 00:12:45,041 --> 00:12:49,979 天に駆け昇っていくような 勇ましさでござる 129 00:12:49,979 --> 00:12:53,817 今の世に あの竜のような勢いを持つ英雄が 130 00:12:53,817 --> 00:12:56,186 何人いると思われる 131 00:12:56,186 --> 00:12:59,823 あのように 天地を飲み尽くす 勢いの英雄といえば 132 00:12:59,823 --> 00:13:01,758 閣下お一人でしょう いや 133 00:13:01,758 --> 00:13:05,161 このわしでさえ蹴落として 天に昇ろうとしている男が 134 00:13:05,161 --> 00:13:07,361 もう一人いる それは? 135 00:13:12,001 --> 00:13:14,101 貴公じゃ! 136 00:13:25,548 --> 00:13:27,948 あああ!うわわ 137 00:13:32,922 --> 00:13:38,728 ああ?うふふふふ… あはははは… 138 00:13:38,728 --> 00:13:42,265 劉備のやつ こんな臆病だったとは 139 00:13:42,265 --> 00:13:44,968 これなら わしを裏切る心配もあるまい 140 00:13:44,968 --> 00:13:48,438 曹操のやつ 俺を笑っているだろう 141 00:13:48,438 --> 00:13:51,074 今は我慢するんだ 142 00:13:51,074 --> 00:13:53,576 何者だ! 143 00:13:53,576 --> 00:13:57,447 どうしたのじゃ 144 00:13:57,447 --> 00:14:01,317 劉備様をお迎えに参った 145 00:14:01,317 --> 00:14:05,755 わはははは 劉備殿ならここにおる 146 00:14:05,755 --> 00:14:09,425 ああ? その方たちは わしが劉備殿に 147 00:14:09,425 --> 00:14:12,428 危害を加えると心配して 駆け付けたのじゃろうが 148 00:14:12,428 --> 00:14:16,132 雷が怖くて 机の下に逃げこむような御仁を 149 00:14:16,132 --> 00:14:18,668 曹操は 手にかけるようなことはせぬ 150 00:14:18,668 --> 00:14:21,905 さあ関羽殿 せっかく来たのだから 剣の舞いでも 151 00:14:21,905 --> 00:14:23,840 踊って見せてくれたまえ 152 00:14:23,840 --> 00:14:26,876 申し上げます ただいま物見の知らせで 153 00:14:26,876 --> 00:14:29,979 淮南の袁術が兄の袁紹を頼り 154 00:14:29,979 --> 00:14:34,183 大群を率いて 河北へ移動している とのことでございます 155 00:14:34,183 --> 00:14:36,183 袁術が河北へ 156 00:14:38,922 --> 00:14:43,159 もし袁術が無事に北上を果たして 袁紹と合流し 157 00:14:43,159 --> 00:14:45,795 兄弟そろって 中原に攻め入るようなことに 158 00:14:45,795 --> 00:14:48,631 なりましては 一大事でございます 159 00:14:48,631 --> 00:14:50,967 ううん 160 00:14:50,967 --> 00:14:54,304 途中で袁術の軍を 食い止めなければならんな 161 00:14:54,304 --> 00:14:58,474 閣下 北へ向かうには 徐州の近くを通るはずです 162 00:14:58,474 --> 00:15:01,377 私は以前 徐州の城を 預かっておりましたので 163 00:15:01,377 --> 00:15:05,248 あの辺の地勢は心得ています 袁術討伐の指揮は 164 00:15:05,248 --> 00:15:07,483 私にやらせていただけませんか 165 00:15:07,483 --> 00:15:09,886 おお 貴公がやってくださるか 166 00:15:09,886 --> 00:15:12,322 徐州には私の母や妻も 167 00:15:12,322 --> 00:15:15,224 住んでいるので 心配なのです ぜひ 168 00:15:15,224 --> 00:15:20,530 よろしい 前線にある5万の軍勢を 貴公に預けよう 169 00:15:20,530 --> 00:15:23,166 頼みますぞ では すぐに 170 00:15:23,166 --> 00:15:27,503 長兄 何も曹操のために 余計な戦争をしに行くことは 171 00:15:27,503 --> 00:15:30,003 ないじゃありませんか 黙ってついてこい! 172 00:15:32,342 --> 00:15:36,913 どこへ行かれるか! 劉備玄徳 丞相閣下のご命令により 173 00:15:36,913 --> 00:15:38,848 袁術討伐に出陣致す 174 00:15:38,848 --> 00:15:40,848 開門! はっ 175 00:15:58,067 --> 00:16:00,970 ああ 助かったな 関羽 張飛 176 00:16:00,970 --> 00:16:03,940 助かったとは 177 00:16:03,940 --> 00:16:07,844 これを見ろ 178 00:16:07,844 --> 00:16:11,247 んん?国賊曹操を討て 179 00:16:11,247 --> 00:16:14,884 帝の内密の詔だ 180 00:16:14,884 --> 00:16:17,787 そうか その秘密を守るために 181 00:16:17,787 --> 00:16:20,556 兄者はさっき 曹操の前で あんな臆病なところを 182 00:16:20,556 --> 00:16:22,756 見せたんですな そうだ 183 00:16:24,861 --> 00:16:26,929 袁術討伐を引き受けたのも 184 00:16:26,929 --> 00:16:29,129 許昌から脱出する口実だ 185 00:16:34,470 --> 00:16:38,474 さあ!これで私たちは 自由になったのだ 186 00:16:38,474 --> 00:16:42,574 新しい未来に向かって 進もう! おお! 187 00:16:58,061 --> 00:17:01,931 玄徳に5万の兵を? 188 00:17:01,931 --> 00:17:05,702 それでは 虎に翼を貸してやって 野に放してやったようなものでは 189 00:17:05,702 --> 00:17:07,702 ございませんか 190 00:17:09,939 --> 00:17:13,276 わしがあの男に 一杯食わされたとでも申すのか 191 00:17:13,276 --> 00:17:16,846 殿のお許しなくして 帝と密かに会っていたのは 192 00:17:16,846 --> 00:17:20,049 よからぬはかりごとを 抱いていたからに違いありませぬ 193 00:17:20,049 --> 00:17:23,986 早く手を打たねば 後々まで 災いの元になりましょう 194 00:17:23,986 --> 00:17:26,956 分かった あいつめ いずれ寿春に 195 00:17:26,956 --> 00:17:29,056 立ち寄るはずじゃ その時に 196 00:17:41,738 --> 00:17:43,738 突撃! 197 00:18:02,892 --> 00:18:04,827 追え 追え! 198 00:18:04,827 --> 00:18:10,099 玄徳は曹操の軍勢を使って まず袁術を討ち滅してから 199 00:18:10,099 --> 00:18:16,639 徐州に向かった 200 00:18:16,639 --> 00:18:19,408 かつて玄徳が治めていた徐州城は 201 00:18:19,408 --> 00:18:23,780 今は曹操の支配下に置かれていた 202 00:18:23,780 --> 00:18:27,183 止まれ どこの軍勢だ 203 00:18:27,183 --> 00:18:31,921 曹操閣下に袁術討伐を 仰せつかった 劉備玄徳です 204 00:18:31,921 --> 00:18:34,891 城内にいる家族に 会わせていただきたいのだが 205 00:18:34,891 --> 00:18:36,991 心得た 206 00:18:43,599 --> 00:18:46,299 ははあ 玄徳様 207 00:18:48,404 --> 00:18:50,604 お懐かしゅうございます 208 00:18:55,111 --> 00:18:57,780 おかえりなさいませ 209 00:18:57,780 --> 00:19:01,184 おお 殿 よくご無事で 210 00:19:01,184 --> 00:19:03,119 糜竺 麗花 211 00:19:03,119 --> 00:19:05,119 あなた! 212 00:19:09,025 --> 00:19:12,929 苦労を掛けたな すまなかった 213 00:19:12,929 --> 00:19:15,531 はははは 214 00:19:15,531 --> 00:19:18,831 あなた それよりお母様が 母上が? 215 00:19:21,671 --> 00:19:24,340 母上 216 00:19:24,340 --> 00:19:28,678 母上! 玄徳かい 217 00:19:28,678 --> 00:19:31,647 いつもお前の夢を見ていたんだよ 218 00:19:31,647 --> 00:19:34,483 不孝を重ねて許してください 219 00:19:34,483 --> 00:19:40,156 いいえ 男は 母親のことなんか忘れて働くのが 220 00:19:40,156 --> 00:19:44,060 一番の孝行なんだよ 玄徳 221 00:19:44,060 --> 00:19:47,063 お前の目を見せておくれ 222 00:19:47,063 --> 00:19:50,299 ああ まだ奇麗に澄んでいる 223 00:19:50,299 --> 00:19:56,105 その目ならこれからも 真っすぐな道を歩いていけるよ 224 00:19:56,105 --> 00:19:58,105 母上 225 00:20:04,814 --> 00:20:07,116 関羽将軍はいますか 226 00:20:07,116 --> 00:20:09,151 ここにおります 母上 227 00:20:09,151 --> 00:20:13,022 将軍この子は 高い理想を持っているけど 228 00:20:13,022 --> 00:20:16,692 一人では何も出来ない 世間知らずの子なんです 229 00:20:16,692 --> 00:20:19,896 ご苦労を掛けますけど あなただけは 230 00:20:19,896 --> 00:20:23,766 この子の理想を信じて 助けてやってください 231 00:20:23,766 --> 00:20:26,669 お願いしますよ ご安心ください 232 00:20:26,669 --> 00:20:31,908 関羽!命をかけて お守り申し上げます 233 00:20:31,908 --> 00:20:34,610 張飛将軍 ははあっ 234 00:20:34,610 --> 00:20:39,181 お願い… しますね 235 00:20:39,181 --> 00:20:41,484 ああ これで 236 00:20:41,484 --> 00:20:45,184 私も幸せな一生を送れました 237 00:20:49,325 --> 00:20:51,460 ああ… 238 00:20:51,460 --> 00:20:54,463 お母様… 239 00:20:54,463 --> 00:20:56,963 お母様 お母様… 240 00:21:03,906 --> 00:21:06,809 劉備殿 曹操閣下のご命令だ 241 00:21:06,809 --> 00:21:10,680 直ちに我々と 許昌に戻っていただきたい 242 00:21:10,680 --> 00:21:13,883 背くとお命に関わりますぞ 243 00:21:13,883 --> 00:21:17,186 馬鹿者め! 首が飛ぶのは貴様たちの方だ! 244 00:21:17,186 --> 00:21:19,121 だあ! うわあ 245 00:21:19,121 --> 00:21:25,895 この城は俺たちのもんだ 分かったらとっとと出ていけ! 246 00:21:25,895 --> 00:21:28,497 こんなことをして この先どうするんだ 247 00:21:28,497 --> 00:21:31,400 兄者 迷わず曹操と一戦するのです 248 00:21:31,400 --> 00:21:35,400 母上も 真っすぐな道を進めと 仰せられたではありませんか 249 00:21:40,977 --> 00:21:43,777 おのれ 玄徳め 覚えておれ 250 00:21:46,816 --> 00:21:50,616 曹操は直ちに全軍を挙げて 徐州に攻め寄せた 251 00:22:00,896 --> 00:22:02,965 曹操軍は 20 万の大軍を 252 00:22:02,965 --> 00:22:05,267 五手に分けて攻めてきています 253 00:22:05,267 --> 00:22:07,636 我々だけでは支えきれません 254 00:22:07,636 --> 00:22:11,307 冀州の袁紹は 100 万の軍勢を 持ってるといいますから 255 00:22:11,307 --> 00:22:14,510 袁紹を味方につければ 曹操も恐れをなして 256 00:22:14,510 --> 00:22:18,447 引き上げるでしょう しかし弟の袁術を討った私たちを 257 00:22:18,447 --> 00:22:21,217 袁紹は助けてくれるだろうか 258 00:22:21,217 --> 00:22:25,588 袁術を討ったのは 曹操の命令で 仕方なしにやったことで 259 00:22:25,588 --> 00:22:29,525 その償いのためにも援軍を仰いで 曹操を倒したいと言えば 260 00:22:29,525 --> 00:22:33,462 必ず乗ってくるでしょう 使者の役は手前が引き受けます 261 00:22:33,462 --> 00:22:36,599 待て待て 援軍なんか頼まんでも 262 00:22:36,599 --> 00:22:40,202 曹操の軍勢は 長い行軍で疲れきっているはずだ 263 00:22:40,202 --> 00:22:43,506 今夜のうちに夜討ちをかけたら ひとひねりで蹴散らせるぜ 264 00:22:43,506 --> 00:22:45,841 張飛の言うことも 兵法にかなっている 265 00:22:45,841 --> 00:22:49,245 よし 私と張飛で夜討ちをかけよう 266 00:22:49,245 --> 00:22:52,148 糜竺は冀州へ行って 袁紹を味方につけるように 267 00:22:52,148 --> 00:22:54,083 交渉してくれ 268 00:22:54,083 --> 00:22:56,986 関羽はここに残って 万一の場合に備えてくれ 269 00:22:56,986 --> 00:22:58,986 承知しました 270 00:23:04,160 --> 00:23:06,729 やっぱり寝込んでいるようですぜ 271 00:23:06,729 --> 00:23:08,829 ようし 突っ込め! 272 00:23:19,008 --> 00:23:21,410 こりゃ もぬけの殻だ 273 00:23:21,410 --> 00:23:23,410 しまった わなだ 274 00:23:37,993 --> 00:23:40,293 張飛 張飛 引き返せ! 275 00:23:47,970 --> 00:23:51,907 兄貴ー! 276 00:23:51,907 --> 00:23:54,577 どけー! 277 00:23:54,577 --> 00:23:58,013 長兄ー! 278 00:23:58,013 --> 00:24:01,450 張飛! 279 00:24:01,450 --> 00:24:04,787 様子がおかしい 拙者が見てまいります 280 00:24:04,787 --> 00:24:06,887 お願いします 将軍 281 00:24:24,140 --> 00:24:26,075 そこにいるのは関羽か! 282 00:24:26,075 --> 00:24:28,075 わしが相手だ! 283 00:24:43,459 --> 00:24:45,459 待てえ 夏侯惇 284 00:24:51,200 --> 00:24:53,600 しまった はかられたか 引け 引けえ 285 00:24:59,408 --> 00:25:01,508 くそう! 286 00:25:25,534 --> 00:25:27,534 おお!あの火は 287 00:25:31,207 --> 00:25:34,007 くそう… 隙を突かれたか 288 00:25:43,352 --> 00:25:46,255 関羽将軍! 289 00:25:46,255 --> 00:25:49,024 お久しぶりです! 290 00:25:49,024 --> 00:25:52,027 おお 張遼か 顔なじみの貴公が わしの首を 291 00:25:52,027 --> 00:25:54,230 取りにきてくれたとはありがたい 292 00:25:54,230 --> 00:25:56,165 潔く勝負をしよう 293 00:25:56,165 --> 00:25:58,234 お待ちください 拙者 昔の御恩を 294 00:25:58,234 --> 00:26:00,234 お返しに参ったのです! 295 00:26:11,714 --> 00:26:14,250 くっ 296 00:26:14,250 --> 00:26:18,621 大将軍 あの張遼は 仁義の道を知る真の武士です 297 00:26:18,621 --> 00:26:21,657 何とぞ ご助命を! 何とぞ! 298 00:26:21,657 --> 00:26:23,657 何とぞ 299 00:26:28,998 --> 00:26:30,933 はっ 300 00:26:30,933 --> 00:26:33,836 待ったあ! 301 00:26:33,836 --> 00:26:36,536 その刑 待ったあ! 302 00:26:52,788 --> 00:26:55,188 おおお おお… 303 00:26:58,527 --> 00:27:01,797 今こうして 曹操軍の一翼を担う武将としての 304 00:27:01,797 --> 00:27:05,567 誉れを受けているです 将軍 今度は拙者に 305 00:27:05,567 --> 00:27:09,038 犬馬の労を取らせてください どうしようというのだ 306 00:27:09,038 --> 00:27:13,042 曹操閣下は将軍の武勇を 殊の外 愛でられて 307 00:27:13,042 --> 00:27:16,111 ぜひ おそばにお迎えしたいと 申しておられるのです 308 00:27:16,111 --> 00:27:19,315 降参しろというわけか 馬鹿も大概にしろ! 309 00:27:19,315 --> 00:27:22,318 わしは命を惜しみはせん これから切り込んで 310 00:27:22,318 --> 00:27:25,754 曹操の首を討ち取ってやるから 帰ってそう伝えておけ 311 00:27:25,754 --> 00:27:28,657 将軍! もし将軍が斬り死にされたら 312 00:27:28,657 --> 00:27:31,193 後に残る玄徳夫人は どうなるのですか 313 00:27:31,193 --> 00:27:34,963 何?麗華様は生きておられるのか 314 00:27:34,963 --> 00:27:37,566 徐州城が焼け落ちる前に お助けして 315 00:27:37,566 --> 00:27:42,204 今 曹操閣下のご庇護を受けて 無事におられます 316 00:27:42,204 --> 00:27:44,239 玄徳殿も 討ち死にされたという知らせは 317 00:27:44,239 --> 00:27:47,509 聞いていません もし ご無事だとしたら 318 00:27:47,509 --> 00:27:51,980 どんな恥を忍んでも生き長らえて 再会の時を待つのが 319 00:27:51,980 --> 00:27:56,952 義兄弟を誓い合った 将軍の務めではありませんか 320 00:27:56,952 --> 00:27:59,722 張遼 よく教えてくれた 321 00:27:59,722 --> 00:28:01,822 貴公の忠告に従おう 322 00:28:07,129 --> 00:28:09,198 将軍! 323 00:28:09,198 --> 00:28:11,967 よくご無事で 324 00:28:11,967 --> 00:28:14,803 申し訳ございませぬ それがしが至らぬばかりに 325 00:28:14,803 --> 00:28:18,674 かようなご苦労を… ご自分を責めないでください 326 00:28:18,674 --> 00:28:21,477 こういう日が来ることは 覚悟していました 327 00:28:21,477 --> 00:28:23,545 ただ 玄徳様のことが… 328 00:28:23,545 --> 00:28:26,715 奥方 兄者は必ず生きておられます 329 00:28:26,715 --> 00:28:29,118 再会の日を期するためにも 330 00:28:29,118 --> 00:28:31,754 今 恥を忍んで 曹操の軍門に下ることを 331 00:28:31,754 --> 00:28:33,689 何とぞ お許しくだされ 332 00:28:33,689 --> 00:28:37,626 私は 将軍に全てお任せします 333 00:28:37,626 --> 00:28:41,163 よろしいようになさってください 奥方… 334 00:28:41,163 --> 00:28:43,198 関羽将軍 335 00:28:43,198 --> 00:28:46,568 よくぞ来られた 敗軍の将の命を 336 00:28:46,568 --> 00:28:49,972 お助けくださいました御恩 厚くお礼申し上げます 337 00:28:49,972 --> 00:28:53,909 わしこそ将軍のような忠義の士を 迎えることが出来たのは 338 00:28:53,909 --> 00:28:57,446 望外の喜びじゃ これからはこの曹操のために 339 00:28:57,446 --> 00:29:00,349 働いてくれよ はい 340 00:29:00,349 --> 00:29:04,186 ただ もし 玄徳公の所在が分かりました暁は 341 00:29:04,186 --> 00:29:07,089 義兄弟を誓い合った者として 水火をいとわず 342 00:29:07,089 --> 00:29:10,626 馳せ参ずる覚悟でございます その節は直ちに 343 00:29:10,626 --> 00:29:15,164 お暇乞いを致す所存ですが その段 ご容赦いただけましょうや 344 00:29:15,164 --> 00:29:17,866 そのことは張遼から聞いておる 345 00:29:17,866 --> 00:29:20,502 もしそのような時節が 到来した時は 346 00:29:20,502 --> 00:29:24,039 将軍の自由に任せると約束しよう 347 00:29:24,039 --> 00:29:26,575 ありがたきお言葉 痛み入ります 348 00:29:26,575 --> 00:29:30,212 こうして曹操は 関羽を許昌へ連れ帰って 349 00:29:30,212 --> 00:29:34,183 連日の酒宴と 数々の贈り物でもてなした 350 00:29:34,183 --> 00:29:39,588 だが関羽は それらの品々を 全て麗華に捧げて見向きもせず 351 00:29:39,588 --> 00:29:42,688 ひたすら 玄徳への義理を 守り通したのである 352 00:30:32,808 --> 00:30:37,479 そうか それほど玄徳に 義理を立てているようでは 353 00:30:37,479 --> 00:30:41,116 あの男 いつかは 余の下から 去っていくのであろうな 354 00:30:41,116 --> 00:30:43,986 何とか引き止めておく手立ては ないもんか 355 00:30:43,986 --> 00:30:47,456 関羽は 必ず義を貫く男です 356 00:30:47,456 --> 00:30:50,659 黙って閣下の下を離れることは ありますまい 357 00:30:50,659 --> 00:30:54,630 何かの折に手柄を立てて 十分 御恩返しが出来たと 358 00:30:54,630 --> 00:30:58,934 思った時に初めて 暇乞いを願い出てまいりましょう 359 00:30:58,934 --> 00:31:03,338 ですから 関羽に 華々しい働き場所を与えぬことが 360 00:31:03,338 --> 00:31:07,175 関羽を引き止めておく 最良の方策と存じますが 361 00:31:07,175 --> 00:31:11,079 うーん いかにもその通りだ 心に留めておこう 362 00:31:11,079 --> 00:31:13,949 一大事にございます! 363 00:31:13,949 --> 00:31:16,251 袁紹の大軍が 黄河の近くまで 364 00:31:16,251 --> 00:31:18,620 攻め寄せてきているとの 知らせにございます 365 00:31:18,620 --> 00:31:20,923 袁紹が?ふん 366 00:31:20,923 --> 00:31:24,393 とうとうしびれを切らしおったな あの田舎大名め! 367 00:31:24,393 --> 00:31:27,396 袁紹は 北部の広大な土地を支配している 368 00:31:27,396 --> 00:31:31,300 名門の家の出で かねてから曹操の出世をねたんで 369 00:31:31,300 --> 00:31:34,369 中央に進出する機会を うかがっていた 370 00:31:34,369 --> 00:31:38,273 そして ついに 70 万の大軍を率いて 決戦を求めて 371 00:31:38,273 --> 00:31:40,742 南下してきたのである 372 00:31:40,742 --> 00:31:43,645 曹操もまた 精鋭 15 万の兵を繰り出して 373 00:31:43,645 --> 00:31:47,049 迎え撃ち 両軍は黄河のほとり 374 00:31:47,049 --> 00:31:50,586 白馬の野に陣を敷いた 375 00:31:50,586 --> 00:31:54,122 そして その戦いを仕掛けさせた者こそ 376 00:31:54,122 --> 00:31:56,758 他ならぬ袁紹の下に亡命していた 377 00:31:56,758 --> 00:31:59,261 玄徳だったのである 378 00:31:59,261 --> 00:32:02,798 袁紹殿 曹操は名うての戦上手です 379 00:32:02,798 --> 00:32:05,767 くれぐれも用心された方が はっはっはっ 380 00:32:05,767 --> 00:32:12,074 この顔良 文醜に勝る豪傑は 曹操の陣営にはおらぬ 381 00:32:12,074 --> 00:32:14,142 その方たち あいさつ代わりに打って出て 382 00:32:14,142 --> 00:32:16,378 血の雨を降らしてまいれ 383 00:32:16,378 --> 00:32:18,378 はっ! 384 00:32:38,500 --> 00:32:41,900 突撃ー!ひるむなー!突撃ー! 385 00:32:51,480 --> 00:32:53,580 行くぞ! 386 00:33:13,635 --> 00:33:17,873 敵将 顔良 文醜のために 我が軍の死者は数え切れません 387 00:33:17,873 --> 00:33:21,209 奇人にも勝る猛将と うわさには聞いておったが… 388 00:33:21,209 --> 00:33:25,881 張遼 頼みとするのはもはや そちしかおらぬ 打って出よ! 389 00:33:25,881 --> 00:33:27,816 恐れながら それがしでは 390 00:33:27,816 --> 00:33:30,719 到底あのニ人に 勝ち目はございませぬ 391 00:33:30,719 --> 00:33:33,155 では 余に旗を巻いて 逃げ帰れと申すのか! 392 00:33:33,155 --> 00:33:37,826 いえ 顔良 文醜と言えども 足元にも及びつかぬ将軍が 393 00:33:37,826 --> 00:33:40,862 一人おります おお 関羽か 394 00:33:40,862 --> 00:33:44,166 この上は 関羽殿の出馬を請うほかは 395 00:33:44,166 --> 00:33:47,369 しかし そちは 関羽に手柄を立てさせてはならぬ 396 00:33:47,369 --> 00:33:50,238 と進言したではないか だから この戦には 397 00:33:50,238 --> 00:33:53,141 初めから出陣させなかったのじゃ 袁紹の下には 398 00:33:53,141 --> 00:33:56,044 玄徳が身を寄せているとの うわさもございます 399 00:33:56,044 --> 00:34:00,816 関羽が顔良と文醜を討ち果たせば 玄徳に背くことになり 400 00:34:00,816 --> 00:34:04,653 義兄弟の縁も断ち切れましょう この際 関羽を使った方が 401 00:34:04,653 --> 00:34:06,588 業にかなう道と存じますが 402 00:34:06,588 --> 00:34:09,458 よし 関羽を即刻呼び出し 403 00:34:09,458 --> 00:34:11,458 呂布の乗っていた赤兎馬を与えよ 404 00:34:33,949 --> 00:34:36,249 この岩陰に退避させろ 405 00:34:44,559 --> 00:34:47,159 ここに来るのは 何者だ! 406 00:34:52,334 --> 00:34:54,434 関羽! 407 00:34:57,139 --> 00:34:59,441 おらあ! 408 00:34:59,441 --> 00:35:01,741 おりゃあ! 409 00:35:25,400 --> 00:35:27,400 何者だ! 410 00:35:29,404 --> 00:35:31,706 文醜 貴公に恨みはないが 411 00:35:31,706 --> 00:35:34,042 義を貫くため 首を貰いに来た 412 00:35:34,042 --> 00:35:37,045 何い?うおおおお! 413 00:35:37,045 --> 00:35:39,045 そりゃあ! 414 00:35:43,418 --> 00:35:47,289 敵将 顔良 文醜の首は ただいま関羽が討ち取り申した 415 00:35:47,289 --> 00:35:50,489 お味方の同勢 心置きなく 総攻撃にかかられよ 416 00:36:14,950 --> 00:36:17,150 関羽! 417 00:36:23,058 --> 00:36:25,458 兄者! 関羽… 418 00:36:46,748 --> 00:36:49,017 はっ 419 00:36:49,017 --> 00:36:51,017 関羽 待て 420 00:37:10,939 --> 00:37:13,775 引け 引けえ! 421 00:37:13,775 --> 00:37:17,975 こうして白馬の戦いは 袁紹軍の敗北で終わった 422 00:37:23,251 --> 00:37:26,154 ふふふふ… 将軍 423 00:37:26,154 --> 00:37:29,557 そんなにご自分を責めるのは やめてください 424 00:37:29,557 --> 00:37:32,060 こうなるのは 徐州が落ちた時からの 425 00:37:32,060 --> 00:37:34,963 定めなのですから それより 426 00:37:34,963 --> 00:37:37,265 あの方が無事だと 分かっただけでも 427 00:37:37,265 --> 00:37:40,135 どんなによかったか 428 00:37:40,135 --> 00:37:43,038 それで これから どうなさるおつもりですか 429 00:37:43,038 --> 00:37:47,742 兄者がご存命と分かった以上 一時もこの地には留まれません 430 00:37:47,742 --> 00:37:50,478 直ちに 奥方のお供を仕り 431 00:37:50,478 --> 00:37:53,381 兄者の下に馳せ参ずる覚悟ですが 432 00:37:53,381 --> 00:37:56,151 今までの恩義の手前 曹操殿の許しを 433 00:37:56,151 --> 00:38:00,155 得てからでなければ… あの曹操殿が 将軍を快く 434 00:38:00,155 --> 00:38:02,624 解放してくださるかどうか 435 00:38:02,624 --> 00:38:05,260 それより このまま黙って立ち去った方が… 436 00:38:05,260 --> 00:38:09,464 男の約束でございます! それに この先 何千里の旅の間 437 00:38:09,464 --> 00:38:12,767 曹操の許しがなければ 関所も無事には通れません 438 00:38:12,767 --> 00:38:15,367 何とぞ 手前にお任せを 439 00:38:17,706 --> 00:38:20,006 将軍がそんなに仰るのでしたら… 440 00:38:29,217 --> 00:38:32,187 この避客牌が掛けられている時は 441 00:38:32,187 --> 00:38:35,590 どんな急用のある客でも 黙って立ち去るのが 442 00:38:35,590 --> 00:38:37,590 この頃の慣習であった 443 00:38:42,764 --> 00:38:44,699 関羽は どうだった 444 00:38:44,699 --> 00:38:47,602 仕方なく帰っていきましたが あの男のこと 445 00:38:47,602 --> 00:38:50,505 丞相と会うまでは 何度でもやってくるでしょう 446 00:38:50,505 --> 00:38:52,505 うーん… 447 00:39:01,883 --> 00:39:04,786 幾度となく足を運んだ関羽は 448 00:39:04,786 --> 00:39:08,386 自分に会うことを避けている 曹操の心を知った 449 00:39:13,962 --> 00:39:16,865 曹操閣下に申し上げる 関羽 義によって 450 00:39:16,865 --> 00:39:19,134 本日 当地を退散仕る 451 00:39:19,134 --> 00:39:21,936 身に余る御恩義の数々は 他日 452 00:39:21,936 --> 00:39:24,272 命に代えてもお返し申し上げる 453 00:39:24,272 --> 00:39:27,272 されば ただいま限りのお別れを お許しあれ 454 00:39:54,035 --> 00:39:56,938 止まれー!どこへ行かれる! 455 00:39:56,938 --> 00:39:58,938 んん 開けろ! 456 00:40:09,017 --> 00:40:12,387 これより敵地を突破だ わしの後に続いて 457 00:40:12,387 --> 00:40:14,987 命の限り突っ走れ! 458 00:40:24,466 --> 00:40:28,236 おおーい! 459 00:40:28,236 --> 00:40:30,336 待ってくれー! 460 00:40:32,707 --> 00:40:35,743 閣下! 将軍 461 00:40:35,743 --> 00:40:38,046 やはり余を捨てていくか 462 00:40:38,046 --> 00:40:40,949 それがしとのお約束 お忘れではござるまい 463 00:40:40,949 --> 00:40:44,619 忘れてはおらん ただ無念に思うだけじゃ 464 00:40:44,619 --> 00:40:48,623 将軍 殿のお心をくんで もう一度戻ってはくれぬか 465 00:40:48,623 --> 00:40:51,793 出来ぬ!どうしても行かせぬと 言うのであれば 466 00:40:51,793 --> 00:40:53,728 この場で切り死にするまでだ 467 00:40:53,728 --> 00:40:57,599 待ちたまえ そんなつもりで 追ってきたのではない 468 00:40:57,599 --> 00:41:00,299 余の餞別じゃ 受け取ってくれい 469 00:41:09,511 --> 00:41:12,411 お志 ありがたく頂戴仕る 470 00:41:38,540 --> 00:41:42,210 殿… これから行く先々の関所で 471 00:41:42,210 --> 00:41:45,610 とがめられるじゃろう 無事に通ってくれればよいが 472 00:41:49,984 --> 00:41:53,284 こうして 関羽の決死行が始まった 473 00:42:01,963 --> 00:42:04,866 関羽将軍 どちらに行かれる 474 00:42:04,866 --> 00:42:09,337 曹操閣下にお暇を頂き 河北に向かうところでござる 475 00:42:09,337 --> 00:42:12,540 では 通行手形を見せていただきたい 476 00:42:12,540 --> 00:42:15,376 手形は… ない 手形がなければ 477 00:42:15,376 --> 00:42:19,013 何人も通すわけにはいかん 引き返していただこう 478 00:42:19,013 --> 00:42:22,283 黙れ! 曹操閣下のお許しは頂いたのだ 479 00:42:22,283 --> 00:42:25,186 道を開けろ 天下のご法度を破ること 480 00:42:25,186 --> 00:42:27,186 許さんぞ! 問答無用! 481 00:42:59,420 --> 00:43:03,992 殿! ただいま 敵将関羽 482 00:43:03,992 --> 00:43:06,995 守備隊長を斬って 東嶺関を突破しました 483 00:43:06,995 --> 00:43:11,065 何? 張遼 すぐに通行手形を持って 484 00:43:11,065 --> 00:43:13,134 関羽の後を追え はっ 485 00:43:13,134 --> 00:43:15,134 召し取れー! 486 00:43:22,677 --> 00:43:24,977 おのれー! 487 00:43:39,227 --> 00:43:41,327 かかれ! 488 00:43:47,835 --> 00:43:49,835 待て! 489 00:43:52,674 --> 00:43:54,874 馬車を進めろ! 490 00:44:50,365 --> 00:44:54,035 おじさんたち こっちから先は 行かない方がいいよ 491 00:44:54,035 --> 00:44:55,970 なぜだ? あの城に 492 00:44:55,970 --> 00:44:59,173 虎みたいなひげを生やした ものすごい野武士が 493 00:44:59,173 --> 00:45:03,644 虎みたいなひげ? はっ そいつは才づち頭で 494 00:45:03,644 --> 00:45:06,114 どんぐりのような目玉の 男じゃないか 495 00:45:06,114 --> 00:45:10,118 うん にらまれただけで 腰を抜かしちゃうような顔さ 496 00:45:10,118 --> 00:45:13,855 張飛だ! 張飛!わしだ!関羽が来たぞ! 497 00:45:13,855 --> 00:45:16,491 おお 兄貴 よくご無事で! 498 00:45:16,491 --> 00:45:19,394 と言いたいところだが 貴様との縁はもう切った! 499 00:45:19,394 --> 00:45:23,698 何をするんだ! 白々しいことを ぬかすな! 500 00:45:23,698 --> 00:45:26,601 貴様が曹操の手先に なっていたことは聞いてるんだ 501 00:45:26,601 --> 00:45:29,370 裏切り者め! 待て!張飛 502 00:45:29,370 --> 00:45:31,606 ほざくな! 長兄が世話になっていた 503 00:45:31,606 --> 00:45:33,541 袁紹の軍を痛めつけやがって 504 00:45:33,541 --> 00:45:38,379 張飛将軍… 待ってください 505 00:45:38,379 --> 00:45:41,883 奥方! 関羽将軍は 私を守るために 506 00:45:41,883 --> 00:45:44,719 心ならずも 曹操に仕えてきたのです 507 00:45:44,719 --> 00:45:47,255 こうして正義の長旅を 続けてきたのも 508 00:45:47,255 --> 00:45:50,725 玄徳様やあなた方に お会いしたい一心だったからです 509 00:45:50,725 --> 00:45:54,395 関羽将軍の真心を 分かってあげてください 510 00:45:54,395 --> 00:45:58,666 そうか 兄貴らしいやり方だ 511 00:45:58,666 --> 00:46:02,537 いやあ 兄貴 疑ってすまなかった 許してくれ 512 00:46:02,537 --> 00:46:07,375 ははは お前もせっかちなところは 相変わらずだな 513 00:46:07,375 --> 00:46:10,278 それで 長兄の消息は聞かなかったか 514 00:46:10,278 --> 00:46:13,181 うわさによると 兄貴が白馬の戦いで 515 00:46:13,181 --> 00:46:17,418 顔良 文醜を斬ったので 袁紹の下にもいづらくなって 516 00:46:17,418 --> 00:46:21,222 出奔されたらしい 俺もこれから捜しに出掛けようと 517 00:46:21,222 --> 00:46:24,322 思っていたとこだ じゃ すぐに出立しよう 518 00:46:40,374 --> 00:46:43,311 将軍! 519 00:46:43,311 --> 00:46:46,614 奥方様! 520 00:46:46,614 --> 00:46:50,218 糜竺!達者だったか 521 00:46:50,218 --> 00:46:52,553 ここで何をしてたんだ 522 00:46:52,553 --> 00:46:54,489 玄徳公のお供をしてきたんだ 523 00:46:54,489 --> 00:46:56,757 へ?では長兄はここに 524 00:46:56,757 --> 00:47:00,328 中でお休みになっておられる 袁紹から追手がかかって 525 00:47:00,328 --> 00:47:04,198 命からがら ここまで逃げ延びてきたんだ 526 00:47:04,198 --> 00:47:06,298 ささ 527 00:47:09,770 --> 00:47:13,341 長兄 義兄弟の誓いを破り 長兄に背きました罪 528 00:47:13,341 --> 00:47:16,344 どのようにも 罰をお受け致しまする 529 00:47:16,344 --> 00:47:20,114 私こそ お前たちを捨てて 逃げた罪は大きい 530 00:47:20,114 --> 00:47:23,084 関羽 張飛 麗華 許してくれ 531 00:47:23,084 --> 00:47:25,820 長兄… あなた 532 00:47:25,820 --> 00:47:29,991 こうして 皆 会えたんですもの もう何も仰らないで 533 00:47:29,991 --> 00:47:33,261 ああ よかった 本当によかった 534 00:47:33,261 --> 00:47:37,798 ん? 535 00:47:37,798 --> 00:47:40,334 くそう 袁紹の追手だ 536 00:47:40,334 --> 00:47:44,872 劉備玄徳! 我が殿の許しもなく出奔したのは 537 00:47:44,872 --> 00:47:49,043 謀反の心ありと見た 潔く死ね! 538 00:47:49,043 --> 00:47:51,812 玄徳殿は天下に知られた 正義の士だ 539 00:47:51,812 --> 00:47:56,551 このような ひきょうな闇討ちは 俺が許さん! 540 00:47:56,551 --> 00:47:59,451 命のいらんやつは俺が相手になる かかってこい! 541 00:48:06,561 --> 00:48:09,363 劉備殿 お目に掛かれて光栄です 542 00:48:09,363 --> 00:48:11,966 豪傑 あなたの義救には 543 00:48:11,966 --> 00:48:15,403 お礼の言葉もありません お名前は何と申される 544 00:48:15,403 --> 00:48:19,073 趙雲 字は子龍というものです 545 00:48:19,073 --> 00:48:21,442 飢えに苦しむ人民を救いたいと 546 00:48:21,442 --> 00:48:23,844 袁紹に仕えてまいりました 547 00:48:23,844 --> 00:48:26,314 あの男には 民草を救おうとする心は 548 00:48:26,314 --> 00:48:29,050 かけらもございません 今日よりは 549 00:48:29,050 --> 00:48:32,687 閣下の臣下に加わることを ぜひともお許しください 550 00:48:32,687 --> 00:48:36,691 お志はよく分かったが 私はこのような流浪の身だ 551 00:48:36,691 --> 00:48:40,094 ともかく ここにいてはまた 追手に囲まれます 552 00:48:40,094 --> 00:48:43,694 拙者がご案内しますから 急いで国境まで 553 00:48:56,143 --> 00:48:58,145 ああ… 私はどうしてこう 554 00:48:58,145 --> 00:49:00,581 愚かな男なんだろう お前たちに 555 00:49:00,581 --> 00:49:03,884 苦労を掛けさせるばかりで 何の実りもない月日を 556 00:49:03,884 --> 00:49:05,820 重ねているだけだ 557 00:49:05,820 --> 00:49:08,856 関羽も 張飛も お前たちは皆 558 00:49:08,856 --> 00:49:11,325 主君さえ立派だったら 大臣や 559 00:49:11,325 --> 00:49:13,928 総司令官になれる人物ばかりだ 560 00:49:13,928 --> 00:49:15,863 私が至らないために 561 00:49:15,863 --> 00:49:18,699 こんな浪人暮らしを続けさせて 562 00:49:18,699 --> 00:49:22,603 これ以上私に付いてきては 一生を誤ることになる 563 00:49:22,603 --> 00:49:26,374 もう私なんか捨てて もっと働きがいのある主人に 564 00:49:26,374 --> 00:49:30,277 仕えて 出世をしてくれ 565 00:49:30,277 --> 00:49:35,082 おあ… 566 00:49:35,082 --> 00:49:38,552 兄者 これをご覧ください 567 00:49:38,552 --> 00:49:40,621 これは デイという魚で 568 00:49:40,621 --> 00:49:44,925 日照りが続いて川が干上がると こうして泥の中に潜って 569 00:49:44,925 --> 00:49:48,763 何日でもじっと 転がったままでいるのです 570 00:49:48,763 --> 00:49:52,400 そうして いったん雨が降って川水が増すと 571 00:49:52,400 --> 00:49:55,803 泥の皮を脱ぎ捨てて この広い 572 00:49:55,803 --> 00:49:59,273 黄河の流れの真っただ中へ 泳ぎ出していくのです 573 00:49:59,273 --> 00:50:02,877 兄者も私たちも 今は泥の中にいるだけです 574 00:50:02,877 --> 00:50:05,780 耐え忍んでいれば 必ず大河の真ん中に 575 00:50:05,780 --> 00:50:07,782 躍り出ていく時が来るはずです 576 00:50:07,782 --> 00:50:09,950 兄者 二度とそのような弱気を 577 00:50:09,950 --> 00:50:12,787 仰ってはなりませんぞ 関羽 578 00:50:12,787 --> 00:50:15,389 将軍の仰せの通りです 閣下 579 00:50:15,389 --> 00:50:18,426 雨水を呼ぶために いっそ荊州へおいでになったら 580 00:50:18,426 --> 00:50:20,995 いかがですか 荊州? 581 00:50:20,995 --> 00:50:23,898 そうです 582 00:50:23,898 --> 00:50:26,367 荊州は土地も豊かですし 583 00:50:26,367 --> 00:50:28,903 太子の劉表は穏やかな人柄で 584 00:50:28,903 --> 00:50:31,806 人徳を備えた人物を 諸国から集めて養っていると 585 00:50:31,806 --> 00:50:35,643 評判になっています 閣下のお名前を聞いたら 586 00:50:35,643 --> 00:50:39,543 喜んで迎えてくださるでしょう 荊州か… 587 00:50:50,057 --> 00:50:54,261 カラスの娘の秀蘭は 588 00:50:54,261 --> 00:50:58,132 朝から晩までお洗濯 589 00:50:58,132 --> 00:51:02,002 どんなにゴシゴシ洗っても 590 00:51:02,002 --> 00:51:05,873 お前の顔は元のまま 591 00:51:05,873 --> 00:51:08,843 村一番の器量悪 592 00:51:08,843 --> 00:51:11,278 こら! そんな歌を歌うもんじゃない! 593 00:51:11,278 --> 00:51:14,615 うわー! 逃げろー! 594 00:51:14,615 --> 00:51:17,384 可哀想に 皆 楽しそうに歌ってたのに 595 00:51:17,384 --> 00:51:19,320 どうして叱るんですか? だけど… 596 00:51:19,320 --> 00:51:21,956 あんたの悪口を言ってたんだよ 597 00:51:21,956 --> 00:51:25,226 いいんです 私はこんな顔ですもの 598 00:51:25,226 --> 00:51:27,595 あの子たちは正直に 私のありのままを 599 00:51:27,595 --> 00:51:30,197 歌ってくれたんだわ それがどうして 600 00:51:30,197 --> 00:51:33,934 悪口になるんですか? あんたは利口な人だ 601 00:51:33,934 --> 00:51:36,203 名は何て言うんだね あら 602 00:51:36,203 --> 00:51:39,540 知らなかったんですか 私の名前 秀蘭っていうんです 603 00:51:39,540 --> 00:51:42,076 秀蘭? いつも先生のお着物を 604 00:51:42,076 --> 00:51:46,647 洗濯してさしあげてるのに 先生の方がよっぽど失礼だわ 605 00:51:46,647 --> 00:51:48,916 そうか 606 00:51:48,916 --> 00:51:50,851 あなただったのか うちの洗濯物を 607 00:51:50,851 --> 00:51:53,320 やってくれてるのは 家のことは 608 00:51:53,320 --> 00:51:56,056 弟にみんな任せてるもんだから… 609 00:51:56,056 --> 00:51:58,058 いやあ ごめんごめん 610 00:51:58,058 --> 00:52:01,328 あらららら お尻が泥だらけ 611 00:52:01,328 --> 00:52:03,928 せっかく奇麗に洗ってあげたのに 612 00:52:13,240 --> 00:52:17,678 いやあ 孔明君 今日は釣れたかね? 613 00:52:17,678 --> 00:52:20,080 昨日も今日も変わりなしだよ 614 00:52:20,080 --> 00:52:22,016 たまには変わった話を聞きたいと 615 00:52:22,016 --> 00:52:24,084 思わないか? そんな話が 616 00:52:24,084 --> 00:52:28,622 この荊州にあるのかい? 劉備玄徳という人物の話だ 617 00:52:28,622 --> 00:52:30,858 だいぶ前から太子の劉表の下に 618 00:52:30,858 --> 00:52:33,294 寄食している無名の将軍なんだが 619 00:52:33,294 --> 00:52:35,930 最近新野の町の大管掌を任されて 620 00:52:35,930 --> 00:52:38,799 大変な評判になっているんだ 621 00:52:38,799 --> 00:52:41,635 農民も商人も 玄徳公のためなら 622 00:52:41,635 --> 00:52:44,038 生死を共にしてもよいと 言っているほど 623 00:52:44,038 --> 00:52:46,040 尊敬されているらしい 624 00:52:46,040 --> 00:52:48,309 将来荊州を背負って立つのは 625 00:52:48,309 --> 00:52:50,945 あの人物だと言ってもよい 626 00:52:50,945 --> 00:52:55,416 君が前から言っている 天下三分の計の一角を担うに足る 627 00:52:55,416 --> 00:52:57,351 大人物だと言えるかもしれん 628 00:52:57,351 --> 00:53:00,821 どうかね 一度会って力になってやっては 629 00:53:00,821 --> 00:53:03,190 私の方から出向いて行く気はない 630 00:53:03,190 --> 00:53:07,394 それに今 私が一番関心を抱いている人物は 631 00:53:07,394 --> 00:53:09,494 あの人なんだよ 632 00:53:11,732 --> 00:53:14,602 和子が お生まれになったそうじゃな 633 00:53:14,602 --> 00:53:20,174 いや 今日はそのお祝いじゃ 心ゆくまで飲んでくだされ 634 00:53:20,174 --> 00:53:23,177 ご厄介になっている身で お恥ずかしい限りです 635 00:53:23,177 --> 00:53:26,680 いやいや 新野城での 御貴殿の評判がよいので 636 00:53:26,680 --> 00:53:29,583 わしも鼻を高くしておるのじゃ 637 00:53:29,583 --> 00:53:33,854 うん?浮かぬご様子じゃが 何か悩み事でもおありか? 638 00:53:33,854 --> 00:53:38,359 実を申し上げると 昔 戦場で馬を乗り回していた頃は 639 00:53:38,359 --> 00:53:40,995 この足の脾肉も 引き締まっていたのですが 640 00:53:40,995 --> 00:53:43,797 この頃はすっかり 贅肉が付いてしまって 641 00:53:43,797 --> 00:53:46,800 人生も半ばを過ぎて 子どもまで出来たというのに 642 00:53:46,800 --> 00:53:49,503 いまだに一人前の男にもなれず 643 00:53:49,503 --> 00:53:52,740 こうして なまくらな生活に 溺れている自分を思うと 644 00:53:52,740 --> 00:53:56,477 情けなくなりまして 誰にも悩みはあるもんじゃ 645 00:53:56,477 --> 00:54:00,481 わしも頭を痛めていることが… お父上! 646 00:54:00,481 --> 00:54:04,218 客人の劉備殿が 新野城の代官を務めているのに 647 00:54:04,218 --> 00:54:07,121 跡継ぎの俺には 何にも領地をくれないなんて 648 00:54:07,121 --> 00:54:11,558 ひどいじゃないか! お客人の前で無礼なことを申すな 649 00:54:11,558 --> 00:54:14,295 誰か劉ソウを下がらせろ! はは! 650 00:54:14,295 --> 00:54:18,065 ささ 放せ!放さんか! 651 00:54:18,065 --> 00:54:20,868 わしの悩みというのは あのせがれのことじゃ 652 00:54:20,868 --> 00:54:23,103 後添えの女が産んだ子なんじゃが 653 00:54:23,103 --> 00:54:25,439 半端者で手に負えん 654 00:54:25,439 --> 00:54:28,042 わしも年ごとに 体が弱っているんじゃが 655 00:54:28,042 --> 00:54:33,280 もしものことを考えると… いやあ どうじゃろうか 劉備殿 656 00:54:33,280 --> 00:54:38,619 わしが死んだ後は 御貴殿が この荊州を治めてくださらぬか 657 00:54:38,619 --> 00:54:41,121 め 滅相もありません 658 00:54:41,121 --> 00:54:43,557 私にそのような資格は… 659 00:54:43,557 --> 00:54:47,561 それに私は 昔から 一国の主としての才覚がないのか 660 00:54:47,561 --> 00:54:50,164 事ごとに失敗ばかりを 繰り返しているのです 661 00:54:50,164 --> 00:54:53,734 いやあ 上に立つ者は 御貴殿のような人徳さえ 662 00:54:53,734 --> 00:54:55,669 備えておればよいのじゃ 663 00:54:55,669 --> 00:54:59,139 国を治める才覚は よい相談相手を探して 664 00:54:59,139 --> 00:55:01,575 その者に任せておけばよい 665 00:55:01,575 --> 00:55:04,545 一度 水鏡先生を 訪ねてみたらいかがかな 666 00:55:04,545 --> 00:55:07,715 水鏡先生? 司馬徽という老人でな 667 00:55:07,715 --> 00:55:10,351 この荊州に集まってくる 学者連中は 668 00:55:10,351 --> 00:55:12,951 皆そこの門下生なのじゃ 669 00:55:25,532 --> 00:55:27,568 この辺りに 水鏡先生というお方が 670 00:55:27,568 --> 00:55:29,668 お住まいと聞いてきたが 671 00:55:33,374 --> 00:55:36,744 恐れ入ります 672 00:55:36,744 --> 00:55:39,046 私は… 分かっておる 673 00:55:39,046 --> 00:55:41,682 昔黄巾族討伐で名を挙げられた 674 00:55:41,682 --> 00:55:44,284 劉備玄徳殿でござろう 675 00:55:44,284 --> 00:55:47,187 はい 仰せの通りの者です 676 00:55:47,187 --> 00:55:49,923 実は… 用件も分かっておる 677 00:55:49,923 --> 00:55:52,493 自分は立派な志を持っているのに 678 00:55:52,493 --> 00:55:54,728 なぜ世に迎えられぬのか 679 00:55:54,728 --> 00:55:57,197 自分のどこが間違っているのか 680 00:55:57,197 --> 00:56:00,034 その答えを わしに求めに来られたのじゃ 681 00:56:00,034 --> 00:56:04,571 全くその通りです 先生 私には人の上に立つ才能が 682 00:56:04,571 --> 00:56:06,573 ないのでしょうか そこもとは 683 00:56:06,573 --> 00:56:09,410 少しも間違ってはおらん 684 00:56:09,410 --> 00:56:14,081 ただよき人材を 家臣に持っておらんな 685 00:56:14,081 --> 00:56:18,552 お言葉ですが 手前には 関羽 張飛 趙雲という 686 00:56:18,552 --> 00:56:22,256 一騎当千の豪傑が そろって 忠誠を尽くしてくれています 687 00:56:22,256 --> 00:56:25,592 その者たちは いずれも武勇の士じゃ 688 00:56:25,592 --> 00:56:27,961 武勇だけで 天下は取れぬ 689 00:56:27,961 --> 00:56:30,030 その者たちを用いる頭脳 690 00:56:30,030 --> 00:56:32,466 すなわち軍師がおらん 691 00:56:32,466 --> 00:56:35,803 軍師? うん 優れた軍師さえおれば 692 00:56:35,803 --> 00:56:40,040 天命帰する所あり 泥中の蟠竜 天に向かって 693 00:56:40,040 --> 00:56:43,777 飛ぶがごとく そこもとの武運は開けるじゃろう 694 00:56:43,777 --> 00:56:45,813 先生 ぜひお教えください 695 00:56:45,813 --> 00:56:49,249 その軍師はどこへ行ったら 得られるでしょうか 696 00:56:49,249 --> 00:56:52,252 この荊州には 天才逸材が 697 00:56:52,252 --> 00:56:54,555 掃いて捨てるほどおるが 698 00:56:54,555 --> 00:56:57,157 伏竜 鳳雛に 勝る者はおらぬじゃろう 699 00:56:57,157 --> 00:56:59,626 その伏竜 鳳雛というのは 700 00:56:59,626 --> 00:57:02,396 何という名前の御人ですか ははは 701 00:57:02,396 --> 00:57:05,299 時至れば そこもとの前に現れる 702 00:57:05,299 --> 00:57:07,599 結構 結構 703 00:57:23,517 --> 00:57:27,287 伏竜… 鳳雛… 704 00:57:27,287 --> 00:57:31,725 あなた あなた 705 00:57:31,725 --> 00:57:34,928 あなた ご覧になって 劉禅の目が開いたわ 706 00:57:34,928 --> 00:57:37,228 ほら あなたを一生懸命見てる 707 00:57:40,367 --> 00:57:43,370 伏竜 鳳雛 708 00:57:43,370 --> 00:57:46,173 一体どこに いるのだ 709 00:57:46,173 --> 00:57:48,273 あなた 710 00:57:54,781 --> 00:57:57,084 失礼ですが 711 00:57:57,084 --> 00:58:00,454 あなたは 水鏡先生が教えてくださった 712 00:58:00,454 --> 00:58:05,859 伏竜 鳳雛と呼ばれる方の お一方ではありませんか 713 00:58:05,859 --> 00:58:09,062 いや 私はそんな大人物ではありません 714 00:58:09,062 --> 00:58:11,832 徐庶という一介の貧乏書生です 715 00:58:11,832 --> 00:58:14,868 学問をなさっているお方なら きっとご存じでしょう 716 00:58:14,868 --> 00:58:18,338 お願いします 伏竜 鳳雛とは 717 00:58:18,338 --> 00:58:21,241 どこの 何というお方か 教えてください 718 00:58:21,241 --> 00:58:24,711 弱りましたなあ 当の本人たちから 719 00:58:24,711 --> 00:58:27,414 あまりうわさになるようなことは 言わないでくれと 720 00:58:27,414 --> 00:58:29,449 釘を刺されているので 721 00:58:29,449 --> 00:58:32,186 劉備玄徳 一生の頼みです 722 00:58:32,186 --> 00:58:34,688 どうか教えてください この通りです 723 00:58:34,688 --> 00:58:38,058 将軍 あなたのご熱意は よく分かりました 724 00:58:38,058 --> 00:58:40,327 それほどの真心をお持ちなら 725 00:58:40,327 --> 00:58:42,296 本人たちも納得するでしょう 726 00:58:42,296 --> 00:58:44,665 鳳雛と呼ばれる人物は今 727 00:58:44,665 --> 00:58:46,600 この荊州にはおりません 728 00:58:46,600 --> 00:58:49,503 伏竜というのは ここから西へ 20 里 729 00:58:49,503 --> 00:58:51,805 隆中という村の臥龍の丘で 730 00:58:51,805 --> 00:58:55,676 草案を結んでいる 諸葛亮 字は孔明と言う 731 00:58:55,676 --> 00:58:58,378 年は若いが 天下にニ人といない 732 00:58:58,378 --> 00:59:00,678 賢人のことです 733 00:59:06,987 --> 00:59:09,790 娘御 隆中という村はこの辺りか 734 00:59:09,790 --> 00:59:12,693 ええ そうですよ 諸葛孔明という方が 735 00:59:12,693 --> 00:59:16,697 お住まいになっている 臥龍の丘というのは どこです 736 00:59:16,697 --> 00:59:19,299 あそこです お堂が見えるでしょう 737 00:59:19,299 --> 00:59:21,368 あれが先生のおうちよ 738 00:59:21,368 --> 00:59:23,604 でも今 先生はお留守よ 739 00:59:23,604 --> 00:59:25,906 どちらへお出掛けか 知らないわ 740 00:59:25,906 --> 00:59:27,841 では 待たせていただこう 741 00:59:27,841 --> 00:59:31,745 無駄よ 先生は一度出掛けると一月くらい 742 00:59:31,745 --> 00:59:36,516 帰ってこない時があるから また出直しなさいよ 743 00:59:36,516 --> 00:59:39,119 やい 小娘 さっきから聞いてりゃ 744 00:59:39,119 --> 00:59:42,022 ずけずけ愛想のないことばかり ぬかしやがって 745 00:59:42,022 --> 00:59:44,424 この方を何だと思ってんだ! 746 00:59:44,424 --> 00:59:46,393 漢の王室のお血筋を引く 747 00:59:46,393 --> 00:59:50,230 劉備玄徳様だぞ それがどうしたの 748 00:59:50,230 --> 00:59:53,100 身分の高い人には いない人でも いると 749 00:59:53,100 --> 00:59:56,570 うそをついた方がいいんですか 何だと 750 00:59:56,570 --> 00:59:59,873 む ううん… 751 00:59:59,873 --> 01:00:02,909 はははははは 張飛 どうやらお前の負けだ 752 01:00:02,909 --> 01:00:05,212 兄者 またの日のことにして 出直しましょう 753 01:00:05,212 --> 01:00:07,881 うん 754 01:00:07,881 --> 01:00:10,817 娘御 先生がお帰りになられたら 755 01:00:10,817 --> 01:00:13,086 劉備玄徳が訪ねて参ったと 756 01:00:13,086 --> 01:00:16,089 必ずお伝えしてくれ いいわ その代わり 757 01:00:16,089 --> 01:00:19,793 今度は お洗濯の 邪魔をしないでくださいね? 758 01:00:19,793 --> 01:00:21,793 こいつ いちいち生意気な 759 01:00:39,980 --> 01:00:43,216 ごめん あなたが諸葛孔明先生ですか 760 01:00:43,216 --> 01:00:47,087 いえ 私は孔明の弟の チュウレという者です 761 01:00:47,087 --> 01:00:49,356 閣下はこの前も 兄を訪ねて参られた 762 01:00:49,356 --> 01:00:51,291 劉備玄徳将軍ですか? 763 01:00:51,291 --> 01:00:53,593 そうです それで 先生は? 764 01:00:53,593 --> 01:00:56,096 あいにく… 仲間の方たちと 765 01:00:56,096 --> 01:00:59,499 山奥のほら穴へ将棋を指しに 出てしまっているんです 766 01:00:59,499 --> 01:01:02,836 今度帰りましたら 必ず兄の方から出向かせますから 767 01:01:02,836 --> 01:01:06,707 重なる失礼 お許しください いや 私の方からまた伺います 768 01:01:06,707 --> 01:01:08,709 そのようにお伝えください 769 01:01:08,709 --> 01:01:10,709 分かりました 770 01:01:15,215 --> 01:01:18,118 ええい… 771 01:01:18,118 --> 01:01:20,754 兄者!たかが田舎学者の分際で 772 01:01:20,754 --> 01:01:23,657 二度も無駄足させるなんて 無礼極まる! 773 01:01:23,657 --> 01:01:26,693 村中のやつらをかき集めて 居所を突き止めてきますから 774 01:01:26,693 --> 01:01:29,463 ここで待っていてください! よさんか 張飛 775 01:01:29,463 --> 01:01:32,666 孔明殿に私の誠意を 知ってもらいたいからこそ 776 01:01:32,666 --> 01:01:35,166 こうして雪の中をやってきたんだ 無駄足ではない 777 01:01:37,204 --> 01:01:39,204 うーん 778 01:01:52,686 --> 01:01:55,122 先生は 今日はご在宅ですか 779 01:01:55,122 --> 01:01:58,525 はい おりますが ちょうど昼寝の時間ですので 780 01:01:58,525 --> 01:02:01,027 しばらくお待ちください 781 01:02:01,027 --> 01:02:04,331 はあ… やっとお目に掛かることが出来る 782 01:02:04,331 --> 01:02:06,933 三度通ったかいがあったな 783 01:02:06,933 --> 01:02:10,337 昼寝をしているから待てとは 無礼が過ぎる! 784 01:02:10,337 --> 01:02:13,273 学者ぶってやがるが ほんとは頭が空っぽなので 785 01:02:13,273 --> 01:02:16,243 わざと兄者に会うのを 避けてるんじゃねえのか? 786 01:02:16,243 --> 01:02:18,812 その通りだ 俺がこのボロ屋に火を付けて 787 01:02:18,812 --> 01:02:21,848 たたき起こしてやる! そんなに我慢出来ぬのなら 788 01:02:21,848 --> 01:02:24,748 お前たちは先に帰れ 私は何時間でも待つつもりだ 789 01:02:26,887 --> 01:02:28,887 うーん… 790 01:02:38,965 --> 01:02:40,965 ふあーあ 791 01:02:55,081 --> 01:02:57,951 あら どうして起こさないんですか? 792 01:02:57,951 --> 01:03:01,251 いえ 先生 お客様ですよ 793 01:03:03,757 --> 01:03:07,694 あ ああ… 794 01:03:07,694 --> 01:03:09,696 あなたは劉備将軍 795 01:03:09,696 --> 01:03:12,896 秀蘭 早く私の着替えを はい 796 01:03:28,849 --> 01:03:31,751 度々の ご来訪を賜りながら 797 01:03:31,751 --> 01:03:34,688 今日まで失礼を重ねましたことを お許しください 798 01:03:34,688 --> 01:03:38,488 いえ 私の方こそ 勝手なお願いに上がり 恐縮です 799 01:03:41,928 --> 01:03:43,864 友人の徐庶から 800 01:03:43,864 --> 01:03:47,133 将軍のご胸中は お聞きしておりましたが 801 01:03:47,133 --> 01:03:51,505 手前は一介の田舎者 何のお役にも立ちません 802 01:03:51,505 --> 01:03:56,042 先生 私一人の進退について ご相談に来たのではありません 803 01:03:56,042 --> 01:03:58,578 今 天下の大儀は衰え 804 01:03:58,578 --> 01:04:01,414 人民は天災 厄病に苦しんでいます 805 01:04:01,414 --> 01:04:04,651 不肖 劉備玄徳 この乱世に正義を打ちたてようと 806 01:04:04,651 --> 01:04:06,953 旗を旗を揚げましたが 知力足らず 807 01:04:06,953 --> 01:04:09,856 無為に時を過ごすのみの 有様なのです 808 01:04:09,856 --> 01:04:12,225 この先 いかに戦うべきか 809 01:04:12,225 --> 01:04:16,229 それだけを ぜひ ぜひ 教えていただきたいのです 810 01:04:16,229 --> 01:04:18,999 国土の北方を占める曹操は 811 01:04:18,999 --> 01:04:23,303 100 万の大軍を擁し 帝を推し立てて諸国に号令を下す 812 01:04:23,303 --> 01:04:26,640 いわば 天の時をしめる勢いにあり 813 01:04:26,640 --> 01:04:29,509 この地で彼をしのぐのは 容易なことではありません 814 01:04:29,509 --> 01:04:31,845 また南方の呉の国は 815 01:04:31,845 --> 01:04:34,080 長江によって隔てられた 816 01:04:34,080 --> 01:04:36,816 いわば地の利を占めた地勢にあり 817 01:04:36,816 --> 01:04:39,052 この国とは友好を結んで 818 01:04:39,052 --> 01:04:41,955 味方につけることが最良の策です 819 01:04:41,955 --> 01:04:45,225 将軍が今 国を起こそうというお考えなら 820 01:04:45,225 --> 01:04:48,028 この北と南は現状のまま見捨てて 821 01:04:48,028 --> 01:04:50,830 まず 諸国との交通の中心地である 822 01:04:50,830 --> 01:04:53,533 この荊州の地を 足掛かりとして固め 823 01:04:53,533 --> 01:04:57,270 その上で 西方にある蜀の国に進むのが 824 01:04:57,270 --> 01:04:59,272 万全の策でしょう 825 01:04:59,272 --> 01:05:03,977 蜀は 自然の要害によって 国境が固く守られ 826 01:05:03,977 --> 01:05:07,280 その奥には 1000 里の沃野が広がり 827 01:05:07,280 --> 01:05:10,183 食料 物資の豊かな土地です 828 01:05:10,183 --> 01:05:12,452 この蜀によって 人の和を図り 829 01:05:12,452 --> 01:05:16,323 北の曹操 南の呉の国と 天下を三分して治めれば 830 01:05:16,323 --> 01:05:20,527 無益な戦争もなくなり 民衆の暮らしも落ち着くでしょう 831 01:05:20,527 --> 01:05:24,931 そうした時代が到来すれば 将軍が志す 天下の正義は 832 01:05:24,931 --> 01:05:27,834 争わずとも自然に諸国に浸透し 833 01:05:27,834 --> 01:05:30,437 やがて 将軍のご人徳の下に 834 01:05:30,437 --> 01:05:34,608 天下がなびく世が 必ず来ると存じております 835 01:05:34,608 --> 01:05:37,377 先生の天下三分の計こそ 836 01:05:37,377 --> 01:05:40,146 私が求めていた理想そのものです 837 01:05:40,146 --> 01:05:43,483 しかし 足掛かりにせよと仰るこの荊州は 838 01:05:43,483 --> 01:05:48,054 長年お世話になっている 劉表殿のご領地です 839 01:05:48,054 --> 01:05:50,457 恩人に背くことは出来ませぬが 840 01:05:50,457 --> 01:05:53,893 劉表殿はお年で いずれお隠れになる方です 841 01:05:53,893 --> 01:05:57,197 お世継ぎの劉ソウ殿は 人の上に立つ人物ではなく 842 01:05:57,197 --> 01:05:59,132 必ず将軍のお力に頼る日が 843 01:05:59,132 --> 01:06:01,701 くるはずです 844 01:06:01,701 --> 01:06:05,338 蜀の国にも 劉璋という太守がおりますが 845 01:06:05,338 --> 01:06:09,075 劉璋は年も若く 曹操や呉の国に対抗出来る力は 846 01:06:09,075 --> 01:06:12,479 ありません 将軍が荊州を治めて 847 01:06:12,479 --> 01:06:14,714 名望を高めれば 恐らく 向こうから 848 01:06:14,714 --> 01:06:17,317 同盟関係を求めてくるでしょう 849 01:06:17,317 --> 01:06:20,754 その時こそ蜀の国に入って 実力をお示しになれば 850 01:06:20,754 --> 01:06:24,057 水の流れにつくがごとく 実権は将軍のお手に 851 01:06:24,057 --> 01:06:25,992 帰することになりましょう 852 01:06:25,992 --> 01:06:28,028 遠大なお話を伺って 853 01:06:28,028 --> 01:06:30,830 この胸までが熱くなりました 854 01:06:30,830 --> 01:06:33,333 ただ 凡人の私がどこまで 855 01:06:33,333 --> 01:06:36,169 仰せの通りの計画が実行出来るか 856 01:06:36,169 --> 01:06:38,104 孔明殿 857 01:06:38,104 --> 01:06:41,374 この草庵を出られて 私の軍師として 858 01:06:41,374 --> 01:06:44,277 今後とも お力添えを いただくわけにはまいりませんか 859 01:06:44,277 --> 01:06:46,980 私は 田舎暮らしが身についてしまって 860 01:06:46,980 --> 01:06:49,416 とても人前に出て 指図をするような資格は 861 01:06:49,416 --> 01:06:51,418 ございません 孔明殿 862 01:06:51,418 --> 01:06:53,720 御貴殿のご出馬がなければ 863 01:06:53,720 --> 01:06:58,458 この劉備の積年の志も 万民の正義も 地に埋もれたまま 864 01:06:58,458 --> 01:07:02,062 永久に実現はされません 天下を救うために ぜひとも 865 01:07:02,062 --> 01:07:05,162 ぜひとも 私にお力をお貸しください 866 01:07:13,973 --> 01:07:17,777 どうかお手をお上げください 867 01:07:17,777 --> 01:07:20,547 私が申し上げた天下三分の計は 868 01:07:20,547 --> 01:07:23,550 塗炭の苦しみをなめてきた 民衆の一人として 869 01:07:23,550 --> 01:07:27,754 心血を注いできた 天下救済の方策なのです 870 01:07:27,754 --> 01:07:31,024 もし将軍が 私の方策を必ず用いると 871 01:07:31,024 --> 01:07:34,994 お約束してくださるなら 私の方からお願いしてでも 872 01:07:34,994 --> 01:07:39,866 臣下の列に加えていただき ご馬前で力の限り働きたいのです 873 01:07:39,866 --> 01:07:42,635 必ず 必ず天下三分の計を 874 01:07:42,635 --> 01:07:44,637 実現致しましょう 875 01:07:44,637 --> 01:07:46,906 将軍 876 01:07:46,906 --> 01:07:48,908 将軍にお目に掛かれたのは 877 01:07:48,908 --> 01:07:51,808 諸葛孔明 一世一代の幸せです 878 01:07:54,647 --> 01:07:57,884 秀蘭 879 01:07:57,884 --> 01:08:00,787 私は劉備将軍の 三顧の恩に報いるために 880 01:08:00,787 --> 01:08:03,990 ここを出ていくが いつか人並みの暮らしが 881 01:08:03,990 --> 01:08:07,627 出来るようになったら 必ずあなたを妻として迎えにくる 882 01:08:07,627 --> 01:08:09,696 待っていてくれるか? 883 01:08:09,696 --> 01:08:11,898 うん… 884 01:08:11,898 --> 01:08:14,901 チュウレ 秀蘭を頼むぞ はい 885 01:08:14,901 --> 01:08:16,901 兄上もお達者で 886 01:08:42,695 --> 01:08:47,100 こうして玄徳と孔明は 宿命的な出会いによって結ばれ 887 01:08:47,100 --> 01:08:50,537 三国志の新しい時代へと 乗り出していった 888 01:08:50,537 --> 01:08:53,306 時 西暦 207 年 889 01:08:53,306 --> 01:08:55,606 諸葛孔明 27 歳の年である 890 01:08:58,111 --> 01:09:00,111 撃てい 撃てい 891 01:09:26,306 --> 01:09:29,576 この頃 曹操は官渡の戦いで 892 01:09:29,576 --> 01:09:31,644 宿敵 袁紹を滅ぼし 893 01:09:31,644 --> 01:09:34,314 遠くモンゴルの砂漠に至るまでの 894 01:09:34,314 --> 01:09:38,818 広大な北部地域を 完全に制圧していた 895 01:09:38,818 --> 01:09:41,754 次は南の呉の国を征服すれば 896 01:09:41,754 --> 01:09:45,124 天下は全て 余の支配下に治まる 897 01:09:45,124 --> 01:09:48,995 その前に邪魔になる石を 取り除いておかねばならん 898 01:09:48,995 --> 01:09:52,265 新野城で力を蓄えておる 劉備玄徳じゃ 899 01:09:52,265 --> 01:09:54,567 まず 荊州を攻めい! 900 01:09:54,567 --> 01:09:58,338 曹操軍 50 万は 怒涛のごとく荊州に攻め入り 901 01:09:58,338 --> 01:10:00,406 玄徳が守る新野城は 902 01:10:00,406 --> 01:10:03,106 その最初の攻撃目標に さらされたのである 903 01:10:07,747 --> 01:10:11,251 ただいま 殿より軍師の剣と印を賜った 904 01:10:11,251 --> 01:10:15,421 よって不肖 諸葛孔明が 殿に代わって軍命を下す 905 01:10:15,421 --> 01:10:18,892 それがしの命に背く者は 軍律を乱す者として 906 01:10:18,892 --> 01:10:21,261 厳しく処断されると心得よ 907 01:10:21,261 --> 01:10:23,263 まず 関羽将軍 908 01:10:23,263 --> 01:10:26,799 関羽将軍は兵 1000 をもって 909 01:10:26,799 --> 01:10:29,802 博望城の左にある豫山に兵を伏せ 910 01:10:29,802 --> 01:10:32,572 曹操軍をやり過ごせ 911 01:10:32,572 --> 01:10:36,442 彼らの糧秣は隊列の後ろから 来るに違いないから 912 01:10:36,442 --> 01:10:40,113 南の方に火の手が上がるのを 見たら襲い掛かり 913 01:10:40,113 --> 01:10:42,515 兵糧を焼き払ってくれ 914 01:10:42,515 --> 01:10:45,818 張飛将軍は同じく兵 1000 をもって 915 01:10:45,818 --> 01:10:49,389 博望城の右手の林 安林に伏せ 916 01:10:49,389 --> 01:10:52,258 南方に火の手が上がったら 真っすぐ突っ込み 917 01:10:52,258 --> 01:10:54,327 中軍を粉砕してくれ 918 01:10:54,327 --> 01:10:57,063 趙雲将軍は先鋒を命ずる 919 01:10:57,063 --> 01:11:01,163 だが 勝ってはならん 負けて敵を深くおびき寄せるのだ 920 01:11:13,413 --> 01:11:17,016 来たか 夏侯惇 趙雲が迎えにきてやったぞ 921 01:11:17,016 --> 01:11:19,652 この博望坡を通れるものなら 通ってみろ! 922 01:11:19,652 --> 01:11:23,189 こしゃくな 蹴散らせ! 923 01:11:23,189 --> 01:11:25,189 ぬかるなあっ! 924 01:12:00,626 --> 01:12:02,626 追えっ!皆殺しにしろ! 925 01:12:26,753 --> 01:12:28,753 しまった!はかられた! 926 01:12:40,800 --> 01:12:42,800 引くな 引くな! 927 01:12:46,472 --> 01:12:48,408 ええい 慌てるな! 928 01:12:48,408 --> 01:12:50,408 よおしっ 今だ! 929 01:13:00,019 --> 01:13:02,019 打てーっ! 930 01:13:09,028 --> 01:13:11,297 ああ 後方からも火の手が… 931 01:13:11,297 --> 01:13:13,297 そおれっ 押し進め! 932 01:13:19,906 --> 01:13:22,341 よしっ 敵はわなにはまった 933 01:13:22,341 --> 01:13:24,341 反撃! 934 01:13:30,483 --> 01:13:33,183 こら 進め 進め! 935 01:13:42,095 --> 01:13:44,095 おおっ 936 01:13:47,900 --> 01:13:49,936 劉備玄徳… 937 01:13:49,936 --> 01:13:51,936 討ち取れーっ! 938 01:14:24,170 --> 01:14:26,572 くそおっ 939 01:14:26,572 --> 01:14:30,743 愚か者め 帰って曹操に伝えよ 940 01:14:30,743 --> 01:14:35,581 諸葛孔明ある限り 荊州は断じて渡さぬと 941 01:14:35,581 --> 01:14:37,884 兄貴 あの孔明というやつ 942 01:14:37,884 --> 01:14:40,653 生半可な青二才じゃないようだな 943 01:14:40,653 --> 01:14:43,256 二人といない大軍師だ 944 01:14:43,256 --> 01:14:46,159 これからは 態度を改めなきゃいかんな 945 01:14:46,159 --> 01:14:48,159 うん 946 01:14:52,398 --> 01:14:54,800 諸葛孔明だと? 947 01:14:54,800 --> 01:14:57,236 恐ろしいほどの 知恵者でございます 948 01:14:57,236 --> 01:15:00,139 聞いておる 荊州の伏龍と呼ばれていた 949 01:15:00,139 --> 01:15:02,175 逸材じゃ 950 01:15:02,175 --> 01:15:05,945 玄徳め… いつの間にあの男を軍師に 951 01:15:05,945 --> 01:15:09,282 よし これからは余が 直々に指揮を執る 952 01:15:09,282 --> 01:15:11,751 この次は恐らく 曹操自ら全軍を率いて 953 01:15:11,751 --> 01:15:15,221 攻め寄せてくるでしょう 50 万の大軍を この小さな城で 954 01:15:15,221 --> 01:15:20,059 守るのは不可能です 襄陽に退いて 劉表殿の軍勢と 955 01:15:20,059 --> 01:15:24,664 合同して迎え撃つほか 策はないと存じまするが 956 01:15:24,664 --> 01:15:26,599 うん… そうしよう 957 01:15:26,599 --> 01:15:29,399 しかし この新野の領民たちを 見捨てて去るのは 958 01:16:01,467 --> 01:16:05,771 襄陽城だ! やっと着いたあ 959 01:16:05,771 --> 01:16:08,674 あの弔旗は どなたが亡くなったんだろう 960 01:16:08,674 --> 01:16:13,312 新野城の劉備玄徳公でござる 門を開かれよ 961 01:16:13,312 --> 01:16:16,182 玄徳か この弔旗を見ての通り 962 01:16:16,182 --> 01:16:18,584 おやじの劉表は急病で死んだ 963 01:16:18,584 --> 01:16:20,519 今は俺がここの主だ 964 01:16:20,519 --> 01:16:23,556 劉表殿がお隠れに? 965 01:16:23,556 --> 01:16:26,125 新しい御当主 劉ソウ殿は 966 01:16:26,125 --> 01:16:29,362 勝ち目のない戦いはせぬとの ご方針だ 967 01:16:29,362 --> 01:16:33,799 よって我らは曹操殿に帰順して 城を明け渡す 968 01:16:33,799 --> 01:16:36,302 貴様たちは好きな所へ失せろ 969 01:16:36,302 --> 01:16:38,838 殿 ここを退いたら我が軍は 970 01:16:38,838 --> 01:16:41,474 曹操の追撃を受けて全滅です 971 01:16:41,474 --> 01:16:43,743 裏切り者の劉ソウと一戦交えて 972 01:16:43,743 --> 01:16:47,246 この城を奪い取るほか 生き残る道はありませんぞ 973 01:16:47,246 --> 01:16:50,116 あんな腰抜けどもは ひともみで蹴散らせます 974 01:16:50,116 --> 01:16:52,485 兄者 私にやらせてください 975 01:16:52,485 --> 01:16:56,689 それだけは出来ぬ 劉表殿は 私の恩人だった 976 01:16:56,689 --> 01:16:59,458 その方の城を 力で奪い取るようなことは 977 01:16:59,458 --> 01:17:03,896 しかし あいつらが 我々を裏切ったんだから 978 01:17:03,896 --> 01:17:08,501 だから 私たちが恩義を 踏み外していいということはない 979 01:17:08,501 --> 01:17:11,737 軍師殿 とりあえず南へ退却しよう 980 01:17:11,737 --> 01:17:14,106 そこまで仰られては やむを得ません 981 01:17:14,106 --> 01:17:17,877 その代わり この住民たちは ここへ残してまいりましょう 982 01:17:17,877 --> 01:17:19,879 合戦になった場合 足でまといになって 983 01:17:19,879 --> 01:17:22,048 共倒れになるだけですから 984 01:17:22,048 --> 01:17:25,084 ここまでついてきてくれた者を 見捨ててはいけぬ 985 01:17:25,084 --> 01:17:28,621 それに 城内にも入れぬようでは 986 01:17:28,621 --> 01:17:31,557 皆をここで 野垂れ死に させるようなものではないか 987 01:17:31,557 --> 01:17:34,226 私は反対です 988 01:17:34,226 --> 01:17:37,496 住民を引き連れての戦いなど 勝てる道理がありません 989 01:17:37,496 --> 01:17:40,833 勝てぬなら 共に死ねばよいではないか 990 01:17:40,833 --> 01:17:45,638 は… 民衆と共に戦い 民衆と共に死ぬ 991 01:17:45,638 --> 01:17:49,175 それが私の正義だ 992 01:17:49,175 --> 01:17:52,375 ううっ…うっ 993 01:17:55,815 --> 01:17:58,551 軍師殿 どうなされた? 994 01:17:58,551 --> 01:18:01,153 自分の子どもの頃を 思い出したのです 995 01:18:01,153 --> 01:18:04,590 この人たちと同じように 私も戦火に追われて 996 01:18:04,590 --> 01:18:07,927 逃げ歩いたものでしたが 生死を共にしようと 997 01:18:07,927 --> 01:18:10,429 声を掛けてくれた将軍は 998 01:18:10,429 --> 01:18:12,431 一人もありませんでした 999 01:18:12,431 --> 01:18:15,634 軍師として 冷酷なことを申しましたが 1000 01:18:15,634 --> 01:18:19,505 私も心の中では 殿のその温かいお言葉を 1001 01:18:19,505 --> 01:18:21,474 待っていたのです 1002 01:18:21,474 --> 01:18:25,444 殿 諸葛孔明は たとえこの身を焼き尽くされても 1003 01:18:25,444 --> 01:18:29,181 殿の正義に順ずる覚悟が はっきり決まりました 1004 01:18:29,181 --> 01:18:31,183 お指図に従います 1005 01:18:31,183 --> 01:18:33,383 分かってくださったか 軍師殿 1006 01:18:43,629 --> 01:18:47,233 よおしっ 皆 新しい土地を目指して 1007 01:18:47,233 --> 01:18:49,233 出発だあ! 1008 01:18:56,909 --> 01:19:00,246 はは… ああっ… 1009 01:19:00,246 --> 01:19:02,346 大丈夫か 1010 01:19:04,483 --> 01:19:06,786 軍師殿 このままだと 1011 01:19:06,786 --> 01:19:09,455 新しい土地を探すにも 時間がかかる 1012 01:19:09,455 --> 01:19:12,158 おことは先に行って どこか よりどころとなる城を 1013 01:19:12,158 --> 01:19:14,093 探してくださらんか 1014 01:19:14,093 --> 01:19:16,061 承知しました 1015 01:19:16,061 --> 01:19:18,631 関羽 お前も一緒に行ってくれ 1016 01:19:18,631 --> 01:19:20,566 しかし ここが手薄になっては 1017 01:19:20,566 --> 01:19:22,566 それは俺と趙雲に任してくれ 1018 01:19:24,804 --> 01:19:26,804 よし 頼むぞ 1019 01:19:39,418 --> 01:19:41,620 あ ああ 1020 01:19:41,620 --> 01:19:44,223 どうどう どうどうどう 1021 01:19:44,223 --> 01:19:47,723 はあっ はあ はっ 1022 01:19:52,932 --> 01:19:56,836 はっ そいやー 1023 01:19:56,836 --> 01:19:59,371 曹操軍の追撃隊が迫っています 1024 01:19:59,371 --> 01:20:03,542 この先に長坂橋がある そこで食い止めよう 1025 01:20:03,542 --> 01:20:06,912 俺が守ります 長兄は先へ急いでください 1026 01:20:06,912 --> 01:20:09,682 よし 1027 01:20:09,682 --> 01:20:11,682 突撃! 1028 01:20:14,153 --> 01:20:16,153 来たぞ 急げ 1029 01:20:33,172 --> 01:20:35,774 シンエン シンエーン 奥方様 1030 01:20:35,774 --> 01:20:39,174 奥方様 シンエーン 1031 01:20:41,947 --> 01:20:43,947 麗花 1032 01:20:46,385 --> 01:20:49,355 奥方様は拙者がお捜しします 早く先へ 1033 01:20:49,355 --> 01:20:51,355 早く先を急がれよ 1034 01:20:58,330 --> 01:21:00,266 奥方! 1035 01:21:00,266 --> 01:21:02,201 奥方はおりませんかー 1036 01:21:02,201 --> 01:21:05,604 奥方様は 向こうの農家に 足をひどくおけがなされて 1037 01:21:05,604 --> 01:21:11,204 え 奥方ー 奥方 1038 01:21:14,713 --> 01:21:17,616 奥方 趙雲将軍 玄徳様は? 1039 01:21:17,616 --> 01:21:19,618 ご無事で先に行っておられます 1040 01:21:19,618 --> 01:21:23,889 さあ 早く馬へ その馬は将軍には必要なものです 1041 01:21:23,889 --> 01:21:26,325 私はいいから この劉禅だけ 1042 01:21:26,325 --> 01:21:29,228 玄徳様のお手元に 届けてやってください 1043 01:21:29,228 --> 01:21:32,765 何を仰せられる 敵兵が来ます いいえ 1044 01:21:32,765 --> 01:21:36,101 私はもう動けない体だから 1045 01:21:36,101 --> 01:21:38,301 お願いしますよ 将軍 1046 01:21:43,542 --> 01:21:45,578 ああ 1047 01:21:45,578 --> 01:21:49,682 奥方!ああっ 1048 01:21:49,682 --> 01:21:53,052 奥方ー 1049 01:21:53,052 --> 01:21:55,252 奥方 あ… 1050 01:22:22,615 --> 01:22:26,852 うわああー! 1051 01:22:26,852 --> 01:22:28,852 そいやっ! 1052 01:22:50,075 --> 01:22:52,378 いいか 貴様たちは森の中に隠れて 1053 01:22:52,378 --> 01:22:54,680 合図したら思いっきり走り回れ 土ぼこりで 1054 01:22:54,680 --> 01:22:56,780 大軍が潜んでいるように 見せかけるんだ 1055 01:23:02,354 --> 01:23:04,289 趙雲 何をうろついているんだ 1056 01:23:04,289 --> 01:23:06,892 和子をお助けしてきたんだ 何? 1057 01:23:06,892 --> 01:23:10,329 お前こそ早く逃げないと 曹操の本隊が追ってくるぞ 1058 01:23:10,329 --> 01:23:12,364 よし 俺がここで食い止めているから 1059 01:23:12,364 --> 01:23:14,733 貴様は早く殿の所へ行け 1060 01:23:14,733 --> 01:23:16,833 そうか 頼むぞ 1061 01:23:20,406 --> 01:23:22,606 聞けー 小わっぱどもー 1062 01:23:31,183 --> 01:23:34,053 音に聞こえた燕人 張飛とは 俺のことだ 1063 01:23:34,053 --> 01:23:37,456 この長坂橋を 貴様らの首で埋めてやる 1064 01:23:37,456 --> 01:23:39,391 かかってこい 1065 01:23:39,391 --> 01:23:41,393 張飛だ 俺たちじゃかなわねえよ 1066 01:23:41,393 --> 01:23:43,562 どうした 張飛が橋の上に 1067 01:23:43,562 --> 01:23:46,999 張飛ごときに何をびびる 張飛 1068 01:23:46,999 --> 01:23:49,001 うおおー 1069 01:23:49,001 --> 01:23:51,101 うわあー 1070 01:23:53,772 --> 01:23:56,172 曹操はどうした 早く出せ 1071 01:23:59,178 --> 01:24:01,678 来たか 曹操 それ 1072 01:24:10,856 --> 01:24:13,692 丞相 また伏兵が 1073 01:24:13,692 --> 01:24:17,229 孔明のやつ また何かわなを仕掛けようと 1074 01:24:17,229 --> 01:24:20,132 勝負するのか逃げるのか はっきりせい 1075 01:24:20,132 --> 01:24:24,002 とりゃー えええい 1076 01:24:24,002 --> 01:24:26,972 いやああー おーい 1077 01:24:26,972 --> 01:24:30,576 よし 引き上げよう 1078 01:24:30,576 --> 01:24:33,812 張飛 同じ手には乗らぬ 1079 01:24:33,812 --> 01:24:35,812 全軍引けい 1080 01:24:42,488 --> 01:24:45,588 ふう… よし 皆 出てこい 1081 01:24:48,227 --> 01:24:50,327 この橋を焼き落とせ 1082 01:24:55,000 --> 01:24:57,302 奥方様を 1083 01:24:57,302 --> 01:24:59,605 ついにお救い出来ず 1084 01:24:59,605 --> 01:25:01,673 面目ございません 1085 01:25:01,673 --> 01:25:04,910 趙雲 すまなかった 1086 01:25:04,910 --> 01:25:07,846 申し訳ありません 1087 01:25:07,846 --> 01:25:10,616 殿 和子をいかがなされましたか 1088 01:25:10,616 --> 01:25:12,551 この子のために趙雲は 1089 01:25:12,551 --> 01:25:14,853 危うく 討ち死にするところだったのだ 1090 01:25:14,853 --> 01:25:18,557 こんな小せがれと 一軍の名将を引き換えに出来るか 1091 01:25:18,557 --> 01:25:20,957 捨てておけ 殿 1092 01:25:25,330 --> 01:25:29,935 ただ今のお言葉を 趙雲 終生忘れません 1093 01:25:29,935 --> 01:25:32,805 誓って 奥方様のかたきを 1094 01:25:32,805 --> 01:25:34,905 うう 泣くな! 1095 01:25:38,443 --> 01:25:41,346 妻を亡くしたのは私だけではない 1096 01:25:41,346 --> 01:25:45,684 見よ この人たちは皆 父や母や兄弟を失っているのだ 1097 01:25:45,684 --> 01:25:48,084 二度と麗花のために涙を見せるな 1098 01:25:59,231 --> 01:26:02,501 長兄 長坂橋は見ての通り焼き落とした 1099 01:26:02,501 --> 01:26:04,803 これで2~3日は稼げるぜ 1100 01:26:04,803 --> 01:26:06,738 そうかな へえ? 1101 01:26:06,738 --> 01:26:10,375 曹操は智謀の将 橋が落ちていなければ 1102 01:26:10,375 --> 01:26:12,411 伏兵ありと見て追ってこまいが 1103 01:26:12,411 --> 01:26:15,180 橋を焼いたとあらば それはわなだと思って 1104 01:26:15,180 --> 01:26:18,083 再び追ってこよう よし急ごう 1105 01:26:18,083 --> 01:26:20,183 い いや ええ? 1106 01:26:35,300 --> 01:26:37,400 援軍だ 1107 01:26:39,605 --> 01:26:42,507 関羽と軍師殿だ 1108 01:26:42,507 --> 01:26:44,509 おーい 1109 01:26:44,509 --> 01:26:46,509 ははは 1110 01:27:03,595 --> 01:27:06,498 殿 関羽 1111 01:27:06,498 --> 01:27:09,198 関羽 いや ご苦労だった ははははは 1112 01:27:20,913 --> 01:27:23,882 麗花 我が妻 1113 01:27:23,882 --> 01:27:26,718 そなたの愛情と恩は玄徳 1114 01:27:26,718 --> 01:27:29,288 生涯この胸にとどめて忘れん 1115 01:27:29,288 --> 01:27:32,691 そなたの血は この劉禅に流れている 1116 01:27:32,691 --> 01:27:36,495 この子を立派に育て そなたと共に夢見た 1117 01:27:36,495 --> 01:27:39,595 天上の楽園を必ず この地上に築くことを誓う 1118 01:27:46,805 --> 01:27:50,405 麗花よ 安らかな眠りにつきたまえ 1119 01:28:32,184 --> 01:28:35,087 殿 この下流には呉の国があります 1120 01:28:35,087 --> 01:28:37,889 私を使者として お遣わしくださいませんか 1121 01:28:37,889 --> 01:28:40,692 呉の国へ? 1122 01:28:40,692 --> 01:28:44,496 曹操軍 100 万をこの城一つで 防ぎきることは出来ません 1123 01:28:44,496 --> 01:28:47,833 呉と友好を結んで 曹操と呉の国 1124 01:28:47,833 --> 01:28:51,470 南北の両大国を戦わせるように 仕向けるのです 1125 01:28:51,470 --> 01:28:56,241 もし曹操が敗れれば 荊州一国は 我らの手に奪還出来ます 1126 01:28:56,241 --> 01:28:58,844 もし呉が敗れれば 付け入って 1127 01:28:58,844 --> 01:29:02,114 江南の地に 領国を築くことが出来ます 1128 01:29:02,114 --> 01:29:06,118 いずれの結果になっても 天下を三分する一画の領地は 1129 01:29:06,118 --> 01:29:09,221 必ず 殿のお手に入るものと存じます 1130 01:29:09,221 --> 01:29:12,157 そんな 天地を覆すようなはかりごとが 1131 01:29:12,157 --> 01:29:14,793 実現出来るとは思えんが 1132 01:29:14,793 --> 01:29:17,493 必ず出来ます ご覧ください あれを 1133 01:29:22,534 --> 01:29:25,404 おお あの船は ありゃ 1134 01:29:25,404 --> 01:29:28,306 呉の船です 曹操の荊州進出に 1135 01:29:28,306 --> 01:29:32,110 おびえた呉の国が 麗花様のご弔問を口実に 1136 01:29:32,110 --> 01:29:34,510 我々の動静を 探りに来たのでしょう 1137 01:29:41,420 --> 01:29:43,955 私があの船に乗って呉に渡り 1138 01:29:43,955 --> 01:29:46,024 熱意をもって説得し 1139 01:29:46,024 --> 01:29:48,624 必ず曹操と戦わせて ご覧に入れます 1140 01:29:58,804 --> 01:30:01,573 この長江に沿って ハン陽湖から 1141 01:30:01,573 --> 01:30:05,444 夏口の上海に至るまでの 広大な南岸の流域は 1142 01:30:05,444 --> 01:30:10,215 かつて文化の中心から 遠く隔たった未開の地であった 1143 01:30:10,215 --> 01:30:12,717 しかし 水上交通の便と 1144 01:30:12,717 --> 01:30:15,620 温暖な気候に育てられた 豊かな大地は 1145 01:30:15,620 --> 01:30:18,523 次第に 各地からの移住者を引き付けて 1146 01:30:18,523 --> 01:30:21,323 活力のある別天地を 作り上げたのである 1147 01:30:24,796 --> 01:30:27,365 こうした新興の勢力を統合した 1148 01:30:27,365 --> 01:30:29,401 この地の豪族 孫策は 1149 01:30:29,401 --> 01:30:32,571 呉軍 現在の蘇州を拠点として 1150 01:30:32,571 --> 01:30:34,506 呉の国を創立し 1151 01:30:34,506 --> 01:30:37,542 長江を利用した一大水軍を築いて 1152 01:30:37,542 --> 01:30:39,642 曹操に対抗しようとしていた 1153 01:30:44,082 --> 01:30:46,082 うわあ! 1154 01:30:50,222 --> 01:30:52,224 だが 志半ばで 1155 01:30:52,224 --> 01:30:54,226 孫策は非業の死を遂げ 1156 01:30:54,226 --> 01:30:56,895 国王の座は 18 歳の弟 1157 01:30:56,895 --> 01:30:59,664 孫権に引き継がれた 1158 01:30:59,664 --> 01:31:03,168 そして孫権は 各地の学者 武将を集めて 1159 01:31:03,168 --> 01:31:05,504 国力の充実を図り 1160 01:31:05,504 --> 01:31:09,374 7000 隻の軍船を建造して 長江を制圧し 1161 01:31:09,374 --> 01:31:13,712 今や 曹操と中国全土を 南北に分けてきっ抗する 1162 01:31:13,712 --> 01:31:18,016 一大強国を 形成するに至ったのである 1163 01:31:18,016 --> 01:31:20,619 しかし この呉の国は今 1164 01:31:20,619 --> 01:31:25,023 国運を左右する 重大な岐路に立たされていた 1165 01:31:25,023 --> 01:31:27,926 曹操から余に宛てて よこしたこの信書には 1166 01:31:27,926 --> 01:31:30,962 夏口に立てこもる 劉備玄徳を討伐するため 1167 01:31:30,962 --> 01:31:34,299 我が国と同盟を結びたいと 言ってきておる 1168 01:31:34,299 --> 01:31:36,902 どのように応えてやったら よいものか 1169 01:31:36,902 --> 01:31:39,804 その方たちの考えを申してみよ 1170 01:31:39,804 --> 01:31:42,240 同盟とは名のみの飾り文句 1171 01:31:42,240 --> 01:31:46,144 その実は降伏して帰順せよとの 脅迫でございましょう 1172 01:31:46,144 --> 01:31:48,380 余もそのように思う 1173 01:31:48,380 --> 01:31:51,216 同盟を断れば 曹操はそれを口実に 1174 01:31:51,216 --> 01:31:54,252 長江を渡って 我が国に攻め寄せてこよう 1175 01:31:54,252 --> 01:31:57,055 曹操に屈して臣下の礼を取るか 1176 01:31:57,055 --> 01:32:01,993 我が国の総力を挙げても 曹操と 雌雄を決する開戦に踏み切るか 1177 01:32:01,993 --> 01:32:05,096 道は二つに一つしかあるまい 1178 01:32:05,096 --> 01:32:08,934 曹操は 天子の勅命を報じております故 1179 01:32:08,934 --> 01:32:12,804 戦になれば 我が国は賊軍の汚名を着せられて 1180 01:32:12,804 --> 01:32:16,541 大義名分が立ちません 1181 01:32:16,541 --> 01:32:20,145 将来を思えば この際は恥を忍んで 1182 01:32:20,145 --> 01:32:23,782 曹操の申し出を 受けるほかないと存じますが 1183 01:32:23,782 --> 01:32:27,519 戦もせずに手を挙げろと申すのか 1184 01:32:27,519 --> 01:32:29,588 荊州を占領した曹操の軍勢は 1185 01:32:29,588 --> 01:32:31,823 100 万と聞いておりますぞ 1186 01:32:31,823 --> 01:32:34,526 将軍は勝てるとお考えか 1187 01:32:34,526 --> 01:32:38,330 我が国の水軍は いかなる敵にも引けは取らぬ 1188 01:32:38,330 --> 01:32:42,000 曹操軍にも 300 里の陣を敷くに足る 1189 01:32:42,000 --> 01:32:44,803 兵船の用意があるとのことです 1190 01:32:44,803 --> 01:32:47,372 第一 我らがそこまでして 1191 01:32:47,372 --> 01:32:51,009 劉備玄徳をかばわねばならぬ 訳がどこにあるのか 1192 01:32:51,009 --> 01:32:52,944 劉備軍のためではない 1193 01:32:52,944 --> 01:32:56,147 我が国の 名誉を守るための戦いじゃ 1194 01:32:56,147 --> 01:32:59,184 何を言われるか そのようなこと分かっておるわ 1195 01:32:59,184 --> 01:33:02,484 ただ今 魯粛大臣が 夏口より お戻りになりました 1196 01:33:07,626 --> 01:33:11,496 謹んでご用命を果たし ただ今 戻りました 1197 01:33:11,496 --> 01:33:14,466 魯粛 聞いた通り 降伏か開戦か 1198 01:33:14,466 --> 01:33:16,768 皆の意見は分かれておる 1199 01:33:16,768 --> 01:33:19,868 劉備軍の実情を見てきた そちの考えを申せ 1200 01:33:24,576 --> 01:33:27,279 降伏論に加担する者は いずれも 1201 01:33:27,279 --> 01:33:31,082 自分一人の保身しか考えぬ ひきょう者です 1202 01:33:31,082 --> 01:33:33,918 何! 何と 1203 01:33:33,918 --> 01:33:36,154 殿 よくお考えください 1204 01:33:36,154 --> 01:33:40,025 もし我が国が曹操に下って 国土を明け渡した場合 1205 01:33:40,025 --> 01:33:42,694 我ら家臣は 多少の目こぼしに預かって 1206 01:33:42,694 --> 01:33:45,630 下っ端役人ぐらいの 職にありつけましょうが 1207 01:33:45,630 --> 01:33:49,934 殿が身を寄せる場所は どこにもありませんぞ! 1208 01:33:49,934 --> 01:33:53,505 せいぜい馬車1台と 召し使い数人を与えられて 1209 01:33:53,505 --> 01:33:55,874 見知らぬ他国の隠居所に送られ 1210 01:33:55,874 --> 01:34:00,412 一生を廃人同様に 過ごされることになりましょう 1211 01:34:00,412 --> 01:34:03,848 殿のお立場を考えぬ 日和見連中の申すことに 1212 01:34:03,848 --> 01:34:06,151 耳を傾けてはなりません 1213 01:34:06,151 --> 01:34:08,486 ならば大臣は 曹操と戦って 1214 01:34:08,486 --> 01:34:11,856 いかなる勝算がおありか 説明を伺おう 1215 01:34:11,856 --> 01:34:14,759 拙者が申すより 荊州の伏龍と呼ばれた 1216 01:34:14,759 --> 01:34:17,462 劉備軍の軍師 諸葛孔明殿から 1217 01:34:17,462 --> 01:34:19,397 直接 話していただこう 1218 01:34:19,397 --> 01:34:23,268 何 諸葛孔明が 1219 01:34:23,268 --> 01:34:26,268 諸葛孔明が あの大学者がここへ 1220 01:34:29,174 --> 01:34:31,910 魯粛殿のお招きにより まかり越しました 1221 01:34:31,910 --> 01:34:36,448 劉備玄徳公の使者 諸葛孔明にございます 1222 01:34:36,448 --> 01:34:39,150 ご高名はかねがね聞き及んでおる 1223 01:34:39,150 --> 01:34:42,654 さて軍師殿 そこもとのお考えを聞こう 1224 01:34:42,654 --> 01:34:44,654 されば 1225 01:34:50,729 --> 01:34:55,333 ただ今のご論議にも曹操軍は 100 万とのご懸念がありましたが 1226 01:34:55,333 --> 01:34:57,869 かの軍勢は征服した各地からの 1227 01:34:57,869 --> 01:35:00,472 寄せ集めの兵士であり アリの群れも同然 1228 01:35:00,472 --> 01:35:03,808 一撃で 木っ端みじんに打ち砕けます 1229 01:35:03,808 --> 01:35:06,578 孔明殿 大言壮語の割には 1230 01:35:06,578 --> 01:35:09,047 かの長板橋の戦いでは 1231 01:35:09,047 --> 01:35:10,982 劉備夫人を失うほどの 1232 01:35:10,982 --> 01:35:14,419 見事な負けっぷりだったでは ござらぬか 1233 01:35:14,419 --> 01:35:19,257 そこもとの知恵では あの戦いは 敗戦としか見えんでしょうな 1234 01:35:19,257 --> 01:35:23,862 我が殿 玄徳公は同行する難民 10 万を救わんがため 1235 01:35:23,862 --> 01:35:26,231 進んで危地に飛び込まれたのです 1236 01:35:26,231 --> 01:35:28,233 それによって荊州の人民は 1237 01:35:28,233 --> 01:35:32,003 ことごとく 玄徳公のご人徳を慕うこととなり 1238 01:35:32,003 --> 01:35:34,005 次の戦いでは 我が軍に呼応して 1239 01:35:34,005 --> 01:35:37,842 曹操の足元を揺るがすことは 明らかです 1240 01:35:37,842 --> 01:35:40,078 大局的に見て これこそ 1241 01:35:40,078 --> 01:35:42,678 大いなる勝利というものでは ござらぬか 1242 01:35:47,786 --> 01:35:51,990 御貴殿の言い分だと 劉備殿はとっくに曹操を撃滅して 1243 01:35:51,990 --> 01:35:55,460 天下を制覇なさっていても よろしいと思おうが いまだに 1244 01:35:55,460 --> 01:36:00,298 夏口の小城一つしか持てんとは いかなるわけでござるか 1245 01:36:00,298 --> 01:36:05,537 百戦百勝の軍隊など この世にあるものではござらん 1246 01:36:05,537 --> 01:36:09,174 戦は最後の一戦に勝てば それが勝利というもの 1247 01:36:09,174 --> 01:36:13,174 そこもとの論は現実を知らぬ 暇人の弁というものです 1248 01:36:15,980 --> 01:36:18,383 何のかんのと弁をろうしておるが 1249 01:36:18,383 --> 01:36:21,953 軍師殿の狙いは 我が国を曹操と戦わせ 1250 01:36:21,953 --> 01:36:23,888 自分たちの急場をしのごうという 1251 01:36:23,888 --> 01:36:27,459 腹づもりでござろう ひきょう千万なたくらみじゃ 1252 01:36:27,459 --> 01:36:33,198 そのような浅はかなお考えで よく大臣がお務まりになりますな 1253 01:36:33,198 --> 01:36:35,533 我が軍が長江を背にして 1254 01:36:35,533 --> 01:36:39,404 曹操軍と一戦し 勝利を得るようなことになれば 1255 01:36:39,404 --> 01:36:42,040 敵は必ず 貴国が 後ろで支援しているからだと 1256 01:36:42,040 --> 01:36:44,876 思い込むはずです そうなれば曹操は 1257 01:36:44,876 --> 01:36:48,546 今度は大挙して まず貴国に 攻め掛かってくるでしょう 1258 01:36:48,546 --> 01:36:51,583 それがしが魯粛殿に同行して ここに参ったのも 1259 01:36:51,583 --> 01:36:55,920 そのことを孫将軍に ご忠告申し上げたかったからです 1260 01:36:55,920 --> 01:37:00,220 御貴殿のような甘い考えは 国を滅ぼす元ですぞ 1261 01:37:10,101 --> 01:37:13,137 軍師殿にくだらない言い掛かりを つけるよりも 1262 01:37:13,137 --> 01:37:16,875 いかなる勝算を持つか それを伺おうではないか 1263 01:37:16,875 --> 01:37:21,179 なれば申し上げよう いかなる強い弓で射た矢も 1264 01:37:21,179 --> 01:37:25,049 遠く飛んだ後は 薄衣一枚も 貫く力がなくなることは 1265 01:37:25,049 --> 01:37:27,952 世の中の道理でござる 1266 01:37:27,952 --> 01:37:30,788 曹操軍は遠征に遠征を重ねて 1267 01:37:30,788 --> 01:37:33,224 この地に到来するのであれば 1268 01:37:33,224 --> 01:37:37,095 その戦力は見かけほどの 力がないことは明らかです 1269 01:37:37,095 --> 01:37:39,664 更に将兵のほとんどは 1270 01:37:39,664 --> 01:37:43,301 北方人である故 当方の気候と地理に慣れず 1271 01:37:43,301 --> 01:37:47,205 まして 水上の戦闘は 未知である兵からすれば 1272 01:37:47,205 --> 01:37:49,507 今 貴国と 1273 01:37:49,507 --> 01:37:52,410 我が軍が合同して これに当たる時 1274 01:37:52,410 --> 01:37:54,412 勝つ条件こそ万全であれ 1275 01:37:54,412 --> 01:37:56,881 敗れる道理はありません 1276 01:37:56,881 --> 01:38:00,785 そして 今この時 曹操を完膚なきまで打ちのめせば 1277 01:38:00,785 --> 01:38:04,722 二度と彼らが南を支配せんとの 野望を抱くことはありますまい 1278 01:38:04,722 --> 01:38:07,525 まさに今こそ 貴国の将来をかけた 1279 01:38:07,525 --> 01:38:09,825 勝負の分かれ目であると存じます 1280 01:38:15,133 --> 01:38:17,101 軍師殿 1281 01:38:17,101 --> 01:38:20,201 お話を伺って 余も目のうろこが 落ちた思いがする 1282 01:38:22,407 --> 01:38:25,910 ただ開戦に踏み切るには 我が軍の総指揮を任せてある 1283 01:38:25,910 --> 01:38:29,914 大都督の周瑜の意見も 聞いてみなければならん 1284 01:38:29,914 --> 01:38:33,751 軍師殿が直接会って よく相談してみてくださらぬか 1285 01:38:33,751 --> 01:38:35,751 承知致しました 1286 01:38:46,731 --> 01:38:49,367 周瑜殿は わが国きっての戦略家じゃが 1287 01:38:49,367 --> 01:38:52,270 すこぶる慎重派でござってな 簡単には 1288 01:38:52,270 --> 01:38:54,238 われらの意見に同意しまい 1289 01:38:54,238 --> 01:38:57,108 孔明殿 うまく言いくるめてくだされよ 1290 01:38:57,108 --> 01:39:01,012 心得ました あのそばにいる 美しいお方は? 1291 01:39:01,012 --> 01:39:04,182 あれが 呉の国随一の美女とうわさの高い 1292 01:39:04,182 --> 01:39:08,052 喬夫人じゃ あの方が なるほど 1293 01:39:08,052 --> 01:39:10,552 周瑜殿は 愛妻家でおられるようですな 1294 01:39:12,690 --> 01:39:16,561 開戦か または降伏か 殿は将軍のお考えを 1295 01:39:16,561 --> 01:39:19,864 聞いた上で決めたいと 仰せられているのじゃが 1296 01:39:19,864 --> 01:39:23,434 軍略家として名高い 孔明殿が来られた以上 1297 01:39:23,434 --> 01:39:26,337 さだめし弁舌に乗せられて 家臣一同は 1298 01:39:26,337 --> 01:39:29,207 開戦に傾いたことでござろう 1299 01:39:29,207 --> 01:39:32,043 拙者は反対だな 1300 01:39:32,043 --> 01:39:36,214 曹操に帰順して直ちに同盟を結び 劉備軍を討つ 1301 01:39:36,214 --> 01:39:38,783 それしかござらん 将軍ともあろうお方が 1302 01:39:38,783 --> 01:39:42,954 何と恥知らずな 座して国を売るご所存か 1303 01:39:42,954 --> 01:39:47,291 曹操は天子を奉じておる 曹操に下るのではなく 1304 01:39:47,291 --> 01:39:50,928 天子の朝命に従うと 声を大にして訴えれば 1305 01:39:50,928 --> 01:39:54,465 曹操とて 勝手な振る舞いは出来まい 1306 01:39:54,465 --> 01:39:58,736 そればかりか 劉備軍を討伐して実力を示せば 1307 01:39:58,736 --> 01:40:01,639 曹操も恐れて兵を引き 荊州をわが領土に 1308 01:40:01,639 --> 01:40:03,641 加えることも出来よう 1309 01:40:03,641 --> 01:40:07,545 曹操と劉備と どちらが敵として戦いやすいかは 1310 01:40:07,545 --> 01:40:09,947 言わずと知れたことでござろう 1311 01:40:09,947 --> 01:40:12,483 孔明殿 何とか言われぬのか 1312 01:40:12,483 --> 01:40:16,354 ははは さすがは大戦略家の周瑜殿 1313 01:40:16,354 --> 01:40:19,791 誠にお見事なご指摘でござる 1314 01:40:19,791 --> 01:40:21,726 理屈で言えば まさしくその通り 1315 01:40:21,726 --> 01:40:24,962 降伏なさるのが国を守るのに 一番手っ取り早い策で 1316 01:40:24,962 --> 01:40:27,198 ございましょうなあ 軍師殿 1317 01:40:27,198 --> 01:40:30,535 殿に申し上げたことと 言い分が違うではないか 1318 01:40:30,535 --> 01:40:33,738 魯粛殿 そう思い悩むこともござらぬ 1319 01:40:33,738 --> 01:40:36,407 国を売るとか ご主君が恥を忍ぶとか 1320 01:40:36,407 --> 01:40:40,078 さような大げさな話にならずとも 曹操と和を結ぶ 1321 01:40:40,078 --> 01:40:43,948 簡単な方法もあるのです 簡単な方法とは? 1322 01:40:43,948 --> 01:40:47,819 1人の人間を小船に乗せて 曹操の陣屋に送り込めば 1323 01:40:47,819 --> 01:40:51,489 それで曹操は大満足して 手を差し伸べてくるでしょう 1324 01:40:51,489 --> 01:40:55,026 その1人の人間とは 誰のことでござる? 1325 01:40:55,026 --> 01:40:58,429 曹操は先頃 ギョウの都は省河のほとりに 1326 01:40:58,429 --> 01:41:00,364 銅雀台を建てて 1327 01:41:00,364 --> 01:41:04,335 今後の指針を公に示されたと 聞いております 1328 01:41:04,335 --> 01:41:08,139 1つは四界を平らげて 帝王の位につくこと 1329 01:41:08,139 --> 01:41:12,810 2つは喬美人を手中にして 晩年の楽しみを得たいとの 1330 01:41:12,810 --> 01:41:14,846 意であったそうです 1331 01:41:14,846 --> 01:41:17,081 曹操は名うての色好みで 1332 01:41:17,081 --> 01:41:20,885 特に この江南の地に 絶世の美女とうわさの高い 1333 01:41:20,885 --> 01:41:23,521 喬美人に執心しているようです 1334 01:41:23,521 --> 01:41:27,325 されば手を尽くして その喬美人なる女性を捜し出し 1335 01:41:27,325 --> 01:41:30,561 船に乗せて 曹操に贈り物として献上すれば 1336 01:41:30,561 --> 01:41:33,965 かの百万の軍勢は たちどころに かぶとを脱ぎ 1337 01:41:33,965 --> 01:41:37,001 旗を巻いて長江の岸から 立ち去っていくでしょう 1338 01:41:37,001 --> 01:41:39,737 黙れ! その喬美人と申すのは 1339 01:41:39,737 --> 01:41:41,806 拙者の妻のことだ 1340 01:41:41,806 --> 01:41:45,109 これは失礼申した いや それがしはただ 1341 01:41:45,109 --> 01:41:48,646 曹操の意中を お知らせしようと思ったまで 1342 01:41:48,646 --> 01:41:51,146 おのれ 曹操め もう許さぬ! 1343 01:41:54,952 --> 01:41:56,888 殿 ご決断を 1344 01:41:56,888 --> 01:41:58,890 曹操ごとき 奸物には 1345 01:41:58,890 --> 01:42:00,892 剣をもって答えるのみです 1346 01:42:00,892 --> 01:42:03,094 うむ 1347 01:42:03,094 --> 01:42:05,094 余も腹を決めたぞ 1348 01:42:10,368 --> 01:42:14,372 周瑜 この剣を持って 直ちに全軍に出動を命ぜよ 1349 01:42:14,372 --> 01:42:16,507 誓って大勝利を 1350 01:42:16,507 --> 01:42:18,442 こうして呉は 曹操との決戦に 1351 01:42:18,442 --> 01:42:20,845 踏み切ったのである 1352 01:42:20,845 --> 01:42:24,782 こしゃくな孫権め 思い知らせてやる 1353 01:42:24,782 --> 01:42:28,352 曹操も直ちに全軍をあげて 長江を下り 1354 01:42:28,352 --> 01:42:31,622 両軍は赤壁の大湖沼地帯を挟んで 1355 01:42:31,622 --> 01:42:33,622 満を持して対じしたのである 1356 01:42:45,970 --> 01:42:49,640 孔明め 曹操軍は水上戦に慣れておらぬと 1357 01:42:49,640 --> 01:42:53,010 見くびったことを言っておったが どうして あの布陣は 1358 01:42:53,010 --> 01:42:55,010 水軍の奥義を極めたものだ 1359 01:42:58,249 --> 01:43:01,285 しまった! 魯粛殿 図られたぞ 1360 01:43:01,285 --> 01:43:04,689 曹操の作戦でござるか? 曹操にではない 1361 01:43:04,689 --> 01:43:07,258 諸葛孔明にだ あの男 1362 01:43:07,258 --> 01:43:10,027 殿やわしをそそのかして まんまと わが国を 1363 01:43:10,027 --> 01:43:13,798 戦争に引きずり込んだのだ いかなる企みで? 1364 01:43:13,798 --> 01:43:16,367 分からぬ だが そら恐ろしい魂胆を 1365 01:43:16,367 --> 01:43:19,971 抱いているに違いない 魯粛殿 あの知恵者は 1366 01:43:19,971 --> 01:43:23,574 今のうちに葬っておかぬと とんだことになりますぞ! 1367 01:43:23,574 --> 01:43:26,177 おお 1368 01:43:26,177 --> 01:43:28,946 孔明殿 水上戦で最も必要な武器は 1369 01:43:28,946 --> 01:43:32,683 何でござろうかな? このような広い川では 1370 01:43:32,683 --> 01:43:36,554 まず飛び道具の 弓矢でございましょうな 1371 01:43:36,554 --> 01:43:38,789 拙者もそう思う 1372 01:43:38,789 --> 01:43:41,192 が いかんせん わが軍の手持ちの矢が不足して 1373 01:43:41,192 --> 01:43:44,095 勝利のめどが立たぬ 軍師殿 1374 01:43:44,095 --> 01:43:47,298 そこもとの知恵で 何とか 10 万本ほどの矢を 1375 01:43:47,298 --> 01:43:49,233 調達していただけぬか 1376 01:43:49,233 --> 01:43:51,569 いつまでにご入用ですかな 1377 01:43:51,569 --> 01:43:53,804 10 日以内に出来ましょうか 1378 01:43:53,804 --> 01:43:57,375 10 日… いつ攻めてくるやも分からぬ時に 1379 01:43:57,375 --> 01:44:00,278 10 日もかかっては よろしい 1380 01:44:00,278 --> 01:44:03,981 確かに 10 万本の矢を 3日のうちにお納めしましょう 1381 01:44:03,981 --> 01:44:06,484 孔明殿 陣中でざれごとは 1382 01:44:06,484 --> 01:44:09,820 言わぬものと申しますぞ もし約束をたがえたら 1383 01:44:09,820 --> 01:44:12,223 軍師殿といえども わが国の軍法に照らして 1384 01:44:12,223 --> 01:44:15,593 処断するが その覚悟はおありでしょうな 1385 01:44:15,593 --> 01:44:17,593 無論 心得ております 1386 01:44:23,334 --> 01:44:26,237 何者だ! 誰かな? 1387 01:44:26,237 --> 01:44:29,440 亮 私だよ 瑾だよ 1388 01:44:29,440 --> 01:44:32,410 これは兄さん さあどうぞ 1389 01:44:32,410 --> 01:44:35,913 亮 兄さん 1390 01:44:35,913 --> 01:44:38,416 私がこの呉の国で仕官するために 1391 01:44:38,416 --> 01:44:40,818 お前と長江の岸辺で別れてから 1392 01:44:40,818 --> 01:44:44,555 もう何年になるかな 13 年前でした 1393 01:44:44,555 --> 01:44:48,326 今でもあの時の寂しさは はっきり覚えています 1394 01:44:48,326 --> 01:44:51,128 体にはくれぐれも 気を付けるんだよ 1395 01:44:51,128 --> 01:44:54,131 お母さんもね 1396 01:44:54,131 --> 01:44:57,268 母ちゃん 1397 01:44:57,268 --> 01:44:59,937 兄ちゃん 1398 01:44:59,937 --> 01:45:02,537 チュウレン 1399 01:45:05,676 --> 01:45:09,376 亮! しっかり勉強するんだぞ 1400 01:45:15,219 --> 01:45:18,923 あの時 私と約束してくれた通り 1401 01:45:18,923 --> 01:45:21,525 お前は立派な学者になってくれた 1402 01:45:21,525 --> 01:45:25,096 私は兄として お前を誇りに思っているんだよ 1403 01:45:25,096 --> 01:45:28,733 お前が使者として この地に来たと聞いた時 1404 01:45:28,733 --> 01:45:31,202 すぐにも飛んできたかったんだが 1405 01:45:31,202 --> 01:45:34,572 私はこの通り 下っ端の役人だが 1406 01:45:34,572 --> 01:45:37,475 孫権様にお仕えしている身分だ 1407 01:45:37,475 --> 01:45:39,410 あらぬ疑いを かけられてはと思って 1408 01:45:39,410 --> 01:45:43,280 控えていたんだよ お心遣い 感謝します 兄さん 1409 01:45:43,280 --> 01:45:46,183 亮 私が今日会いに来たのは… 1410 01:45:46,183 --> 01:45:48,619 分かっています 大都督の周瑜殿が 1411 01:45:48,619 --> 01:45:51,522 私を殺そうと たくらんでいることを教えに来て 1412 01:45:51,522 --> 01:45:55,259 くださったんでしょう? 知っていたのか 1413 01:45:55,259 --> 01:45:58,896 3日以内に 10 万本の矢を集められなければ 1414 01:45:58,896 --> 01:46:01,132 軍法の名の下に 私の首を 1415 01:46:01,132 --> 01:46:03,501 はねるつもりなのでしょう 1416 01:46:03,501 --> 01:46:06,437 亮 お前が助かる道が1つだけある 1417 01:46:06,437 --> 01:46:10,341 お前が玄徳公の下を去って 呉の家臣になることだ 1418 01:46:10,341 --> 01:46:14,178 あれほど苦労を共にした兄弟が 2つの国に分かれて争うのは 1419 01:46:14,178 --> 01:46:17,381 悲しいことじゃないか ぜひ 兄の頼みと思って 1420 01:46:17,381 --> 01:46:20,384 聞いてくれぬか 兄さん 1421 01:46:20,384 --> 01:46:23,187 心は私も同じです ですが私は 1422 01:46:23,187 --> 01:46:26,590 玄徳将軍の正義に準ずると 誓ったのです 1423 01:46:26,590 --> 01:46:29,860 兄さんが望んでいたのも 私が義に生きる人間に 1424 01:46:29,860 --> 01:46:33,230 なることだったんでしょう 1425 01:46:33,230 --> 01:46:36,767 その通りだ 仕方がない 1426 01:46:36,767 --> 01:46:40,267 だけど お前は本当に 10 万本の矢を集められるのか? 1427 01:46:45,509 --> 01:46:49,113 私に出来ることがあれば 言ってくれ 1428 01:46:49,113 --> 01:46:51,949 そうですね それじゃあ 1429 01:46:51,949 --> 01:46:55,453 小船を 20 艘と 乗り組みの兵士を 30 名ずつ 1430 01:46:55,453 --> 01:46:58,189 船には青い幔幕を張り巡らせ 1431 01:46:58,189 --> 01:47:00,524 両舷には わらを束ねたのを 1000 束ずつ 1432 01:47:00,524 --> 01:47:05,096 積ませておいてくれませんか 小船にわら束を? 1433 01:47:05,096 --> 01:47:08,933 それでどうやって 矢をつくることが出来るのだ? 1434 01:47:08,933 --> 01:47:12,403 それは言ってくれませんでした そちの勧めに従って 1435 01:47:12,403 --> 01:47:15,139 呉の家臣に なってくれればよいものを 1436 01:47:15,139 --> 01:47:17,839 今日はもう 期限の3日目だというのに 1437 01:47:20,578 --> 01:47:24,381 そろそろ暮れてきたな 孔明はどうしている? 1438 01:47:24,381 --> 01:47:28,285 先ほどまでは いつもの船の中で 考えごとをしていたようです 1439 01:47:28,285 --> 01:47:30,888 ふん いくら頭をひねっても 1440 01:47:30,888 --> 01:47:33,424 10 万本の矢が 3日で作れる道理があるまい 1441 01:47:33,424 --> 01:47:35,624 恐らく逃げ出す手口でも 考えてるのだろう 1442 01:47:37,828 --> 01:47:39,864 見張りを厳重にしておけ 1443 01:47:39,864 --> 01:47:42,766 夜が明けたら 打ち首の罪人になるやつだからな 1444 01:47:42,766 --> 01:47:46,170 閣下 孔明が沖合に向かって 1445 01:47:46,170 --> 01:47:48,105 船を繰り出しております 1446 01:47:48,105 --> 01:47:50,105 沖へ船を? 1447 01:47:57,815 --> 01:48:00,015 陣形 態勢に入れ 1448 01:48:20,037 --> 01:48:22,037 撃て! 1449 01:48:37,454 --> 01:48:39,954 よおし 今度は右へ反転させろ 1450 01:48:48,098 --> 01:48:50,501 船は矢を受けて傾きかけている 1451 01:48:50,501 --> 01:48:52,501 一気に沈めてしまえ 1452 01:49:04,515 --> 01:49:08,252 よおし これでよかろう 帆を張れ 1453 01:49:08,252 --> 01:49:10,187 曹操軍の方々 1454 01:49:10,187 --> 01:49:13,390 たくさんの矢を ありがたく ちょうだい致した 1455 01:49:13,390 --> 01:49:17,761 本日はこれまで ゆっくりお休みあれー 1456 01:49:17,761 --> 01:49:19,761 ああ おい 1457 01:49:26,136 --> 01:49:29,440 大都督殿 ご覧ください 1458 01:49:29,440 --> 01:49:33,110 一艘につき 5000 本の矢は 突き刺さっている勘定ですから 1459 01:49:33,110 --> 01:49:36,814 お約束通り 10 万本にはなってるはずです 1460 01:49:36,814 --> 01:49:41,118 これでよろしいですな 孔明先生 あなたの軍略の深さは 1461 01:49:41,118 --> 01:49:43,954 到底 手前ごときが及ぶところでは ございません 1462 01:49:43,954 --> 01:49:46,290 それにしても 3日目の今夜まで 1463 01:49:46,290 --> 01:49:49,193 待っておられたのは いかなる理由で? 1464 01:49:49,193 --> 01:49:52,429 天文をはかって 今夜が一番霧が深いと 1465 01:49:52,429 --> 01:49:54,529 みたからです 恐れ入りました 1466 01:49:56,433 --> 01:49:58,902 これからは何とぞ わが軍の作戦に 1467 01:49:58,902 --> 01:50:00,902 お力をお貸しくだされ 1468 01:50:03,340 --> 01:50:05,676 実は 曹操の陣を討ち破る 1469 01:50:05,676 --> 01:50:08,178 奥の手を考えていたのですが 1470 01:50:08,178 --> 01:50:10,948 果たして この戦術で 勝てるかどうか 1471 01:50:10,948 --> 01:50:13,584 先生のご意見を伺いたいのです 1472 01:50:13,584 --> 01:50:17,755 それがしも 一計を案じていたところです 1473 01:50:17,755 --> 01:50:20,357 よそへ漏れぬよう お互い手のひらに書いて 1474 01:50:20,357 --> 01:50:22,357 見せ合いましょう なるほど 1475 01:50:30,134 --> 01:50:32,134 では拙者から 1476 01:50:36,640 --> 01:50:39,040 はははは ははははは 1477 01:50:41,945 --> 01:50:44,448 先生! 1478 01:50:44,448 --> 01:50:46,383 秀蘭 1479 01:50:46,383 --> 01:50:48,383 秀蘭じゃないか 1480 01:50:51,255 --> 01:50:53,724 どうして こんなところまで来たんだ? 1481 01:50:53,724 --> 01:50:58,195 玄徳様が先生がご無事かどうか とても心配していらしたんです 1482 01:50:58,195 --> 01:51:00,898 それで私なら誰にも 疑われないと思って 1483 01:51:00,898 --> 01:51:04,234 ご様子を見に そうかありがとう 秀蘭 1484 01:51:04,234 --> 01:51:06,170 あなたの勇気は私以上だ 1485 01:51:06,170 --> 01:51:08,138 だけど あまりむちゃはしないでくれ 1486 01:51:08,138 --> 01:51:10,838 あなたは私にとって 一番大事な人なんだから 1487 01:51:13,477 --> 01:51:16,246 本当はここへ来る前に こっそり向こう岸の 1488 01:51:16,246 --> 01:51:19,116 曹操軍の様子も 調べてきちゃったんです 1489 01:51:19,116 --> 01:51:21,618 曹操軍の? 先生 1490 01:51:21,618 --> 01:51:24,321 あっちじゃ お天気や水の違いで 1491 01:51:24,321 --> 01:51:26,857 病人がごろごろ出ているんです 1492 01:51:26,857 --> 01:51:29,760 お医者様も満足に いないようなんです 1493 01:51:29,760 --> 01:51:33,163 先生 今なら攻めていったら きっと勝てますよ 1494 01:51:33,163 --> 01:51:35,466 それだけ分かれば十分だ 1495 01:51:35,466 --> 01:51:37,966 戦になる前に あなたは早く ここから立ち去りなさい 1496 01:51:40,037 --> 01:51:42,439 先生はいつ お戻りになるんですか 1497 01:51:42,439 --> 01:51:45,275 そうだな この長江に 1498 01:51:45,275 --> 01:51:48,145 東南の風が吹き始めたら帰る 1499 01:51:48,145 --> 01:51:51,982 あ それから 1500 01:51:51,982 --> 01:51:54,017 これを玄徳公にお渡しして 1501 01:51:54,017 --> 01:51:56,754 もし赤壁で戦の火の手が 上がったら 1502 01:51:56,754 --> 01:51:58,989 ここに書いてある図面に従って 1503 01:51:58,989 --> 01:52:01,792 全軍を配置しておくようにと 必ず伝えてくれ 1504 01:52:01,792 --> 01:52:04,828 はい それと 帰る前に人を1人 1505 01:52:04,828 --> 01:52:08,432 捜して きてほしいのだが え 誰を? 1506 01:52:08,432 --> 01:52:11,101 荊州で私が伏龍と 呼ばれていた頃 1507 01:52:11,101 --> 01:52:14,004 鳳雛と呼ばれていた もう一人の学者先生がいたのを 1508 01:52:14,004 --> 01:52:16,707 覚えているか? ええ 鳳雛先生 1509 01:52:16,707 --> 01:52:20,144 本名はホウ統 字は士元という方でしょ 1510 01:52:20,144 --> 01:52:23,614 そうだ 彼は今 この呉の国のどこかにいる 1511 01:52:23,614 --> 01:52:26,850 そのにホウ統に会って これを見たと伝えておくれ 1512 01:52:26,850 --> 01:52:30,750 はあ? ははは ははは 1513 01:52:36,059 --> 01:52:38,996 よお 荊州の美人 秀蘭じゃないか 1514 01:52:38,996 --> 01:52:41,799 ホウ統先生 1515 01:52:41,799 --> 01:52:45,068 ははは おぬしがここに 現れたというのは 1516 01:52:45,068 --> 01:52:47,905 伏龍先生への 恋の一筋というやつかぁ 1517 01:52:47,905 --> 01:52:50,174 ははは はははははは 1518 01:52:50,174 --> 01:52:52,109 先生 ちょっとちょっと 1519 01:52:52,109 --> 01:52:54,109 な 何? こっち 1520 01:52:56,947 --> 01:52:59,516 ん?火? ええ この手のひらに 1521 01:52:59,516 --> 01:53:01,452 火っていう字だけ 1522 01:53:01,452 --> 01:53:04,188 孔明先生が教えたのは それだけか? 1523 01:53:04,188 --> 01:53:08,125 ええ 後はよろしくって よろしくか 1524 01:53:08,125 --> 01:53:11,862 秀蘭 2~3日前 曹操軍の蒋幹という武将が 1525 01:53:11,862 --> 01:53:14,631 こっちへ物見に潜り込んで 捕まったそうだが 1526 01:53:14,631 --> 01:53:17,367 どこに押し込められてるか 分からんかな 1527 01:53:17,367 --> 01:53:20,170 さあ でも青山の洞窟に 1528 01:53:20,170 --> 01:53:23,470 ろう屋があるって聞いたわ 青山の洞窟か 1529 01:53:34,685 --> 01:53:38,322 どなたかな? 道に迷って困ってるんだが 1530 01:53:38,322 --> 01:53:40,357 襄陽の鳳雛先生 1531 01:53:40,357 --> 01:53:43,560 何でまた先生ごとき人が こんな山の中に 1532 01:53:43,560 --> 01:53:47,030 よろしければ 曹丞相に お引き合わせ申そうか 1533 01:53:47,030 --> 01:53:50,000 うん それはありがたいが それがし いくら呉から 1534 01:53:50,000 --> 01:53:52,936 禄をもらっていないとはいえ 呉に住んでいる人間 1535 01:53:52,936 --> 01:53:56,473 よろしいのかな? この蒋幹がおとりなしいたします 1536 01:53:56,473 --> 01:53:58,473 蒋幹? 1537 01:54:02,613 --> 01:54:07,017 先生がわが軍に 加わっていただければ 1538 01:54:07,017 --> 01:54:10,053 何?蒋幹が戻ったと 1539 01:54:10,053 --> 01:54:13,790 呉のお抱え学者 ホウ統と申す者が寝返って 1540 01:54:13,790 --> 01:54:16,627 連れ出してきたとのことで ございます 1541 01:54:16,627 --> 01:54:19,296 ホウ統? ホウ統というのは 1542 01:54:19,296 --> 01:54:22,666 諸葛孔明の伏龍と並んで 世にうたわれた 1543 01:54:22,666 --> 01:54:24,766 荊州の鳳雛先生のことではないか 1544 01:54:29,172 --> 01:54:31,141 ホウ統先生 1545 01:54:31,141 --> 01:54:34,344 ご高名はかねがね承っておる 1546 01:54:34,344 --> 01:54:37,247 先生がわが軍にはせ参じて くださったことは 1547 01:54:37,247 --> 01:54:39,716 この上ない喜びだが 1548 01:54:39,716 --> 01:54:42,016 それにしても なぜ呉を見限られたのか? 1549 01:54:44,488 --> 01:54:48,191 それがしは この通りうわべが 飾れない人間でござる 1550 01:54:48,191 --> 01:54:51,094 孫権殿は周瑜のような 美丈夫でないと側近には 1551 01:54:51,094 --> 01:54:53,931 取り立てんのです 周瑜など それがしから見たら 1552 01:54:53,931 --> 01:54:57,534 青二才の知恵しかない男ですが 失礼 1553 01:54:57,534 --> 01:55:02,372 なるほど それで 不満をお持ちになったのですな 1554 01:55:02,372 --> 01:55:07,010 さよう 衆目の集まる前で 周瑜の兵法をそれがしの策で 1555 01:55:07,010 --> 01:55:10,881 討ち破ってみせたいのです その策とは? 1556 01:55:10,881 --> 01:55:15,185 その前にお味方の備えを 万全にしなければなりません 1557 01:55:15,185 --> 01:55:17,721 ここまで来る途中 病人が多数出ていると 1558 01:55:17,721 --> 01:55:21,291 お見掛けしましたが これは船のつなぎ方が悪く 1559 01:55:21,291 --> 01:55:26,063 長江の波に揺られて 船酔いで体を壊したせいです 1560 01:55:26,063 --> 01:55:29,666 では どのように係留したら よろしいとお考えか? 1561 01:55:29,666 --> 01:55:31,666 されば 1562 01:55:44,881 --> 01:55:49,252 なるほど これなら いかなる大波にも揺れぬ 1563 01:55:49,252 --> 01:55:53,890 これは何という兵術ですか? 鉄鎖連環の計と申すものです 1564 01:55:53,890 --> 01:55:57,127 鉄鎖連環の計 1565 01:55:57,127 --> 01:56:01,932 ホウ統先生 鉄鎖連環の計 感謝しますぞ 1566 01:56:01,932 --> 01:56:04,835 この通り布陣せよと 申していたのだな? 1567 01:56:04,835 --> 01:56:10,107 はい 趙雲 その方は烏林の西 1568 01:56:10,107 --> 01:56:12,376 宜都に陣を敷くように 1569 01:56:12,376 --> 01:56:16,246 張飛は南夷陵の葫芦の谷だ 1570 01:56:16,246 --> 01:56:21,084 関羽は華容道の峠へ 行くようにと指示してある 1571 01:56:21,084 --> 01:56:23,987 頼むぞ は! 1572 01:56:23,987 --> 01:56:26,456 それで 軍師殿はいつお帰りになると 1573 01:56:26,456 --> 01:56:30,260 申しておられた? 長江に東南の風が吹いたらと 1574 01:56:30,260 --> 01:56:33,864 仰っていました 東南の風? 1575 01:56:33,864 --> 01:56:38,669 妙ですな 今頃の季節は 長江は西と北からの風しか 1576 01:56:38,669 --> 01:56:40,669 吹かぬものだが 1577 01:56:49,312 --> 01:56:52,049 大都督殿 ご病気と伺ったが 1578 01:56:52,049 --> 01:56:53,984 いかがなされました? 1579 01:56:53,984 --> 01:56:57,788 胸も腹も痛みがひどくて 食べ物がのどを通らんのだ 1580 01:56:57,788 --> 01:57:00,991 あなたの病気のもとは 風邪でしょう 1581 01:57:00,991 --> 01:57:04,861 風邪? さよう 東南の風か吹かぬと 1582 01:57:04,861 --> 01:57:09,099 こちらから火攻めをおこなっても 曹操の陣を焼き払うことは出来ぬ 1583 01:57:09,099 --> 01:57:13,470 それで悩んでおられますな 調べたところ 今の季節は 1584 01:57:13,470 --> 01:57:16,973 この一帯は東南の風は 吹かぬそうだ 1585 01:57:16,973 --> 01:57:19,543 軍師殿は それをご存じだったのか? 1586 01:57:19,543 --> 01:57:23,280 存じております ただ奇門遁甲の術によって 1587 01:57:23,280 --> 01:57:26,183 自在に 風を吹かせることが出来ます 1588 01:57:26,183 --> 01:57:29,920 その術とは? この近くの南屏山の上に 1589 01:57:29,920 --> 01:57:33,356 高さ 903 段の七星壇を設け 1590 01:57:33,356 --> 01:57:35,692 124 人の兵に 1591 01:57:35,692 --> 01:57:39,096 28 宿の星旗を立てて守らせ 1592 01:57:39,096 --> 01:57:41,331 三日三晩 法術にのっとって 1593 01:57:41,331 --> 01:57:44,267 祈とうすれば 満願の当日 1594 01:57:44,267 --> 01:57:48,238 東南の大風が必ず吹くはずです 1595 01:57:48,238 --> 01:57:51,007 よいか! これより三日三晩 1596 01:57:51,007 --> 01:57:55,846 この孔明の許しなくして 定めの位置を離れてはならぬ 1597 01:57:55,846 --> 01:57:59,449 命令に背いたものは切り捨てる 1598 01:57:59,449 --> 01:58:02,486 魯粛殿 東南の風が吹き始めた時は 1599 01:58:02,486 --> 01:58:05,555 直ちに全軍の総攻撃を お命じになるよう 1600 01:58:05,555 --> 01:58:07,791 周瑜殿にお伝えください 1601 01:58:07,791 --> 01:58:09,791 承知した 1602 01:58:26,243 --> 01:58:28,243 東 1603 01:58:30,514 --> 01:58:32,514 南 1604 01:58:34,417 --> 01:58:37,287 西 1605 01:58:37,287 --> 01:58:39,287 北 1606 01:58:46,630 --> 01:58:50,834 おおーっ 1607 01:58:50,834 --> 01:58:53,334 うおーっ 1608 01:58:57,440 --> 01:59:01,077 月は昇り 風はなぎ 1609 01:59:01,077 --> 01:59:06,449 波も静か これぞ 嵐の前の静けさよ 1610 01:59:06,449 --> 01:59:08,919 やよ呉の孫権 周瑜 1611 01:59:08,919 --> 01:59:12,522 更に その尻につく 玄徳 孔明の虫けらども 1612 01:59:12,522 --> 01:59:15,425 わが軍精鋭 100 万の余を見よ 1613 01:59:15,425 --> 01:59:18,328 明日こそは この連環の水上陣をもって 1614 01:59:18,328 --> 01:59:22,065 強行兵器のごとく押し渡り 一気に攻め入るぞ 1615 01:59:22,065 --> 01:59:24,601 勝利は全てわが手にあり 1616 01:59:24,601 --> 01:59:26,701 天下は全て この曹操の物とならん 1617 01:59:29,439 --> 01:59:32,175 首を洗って待っておれ 1618 01:59:32,175 --> 01:59:34,911 さあ皆のもの こよいは月を飲み干す 1619 01:59:34,911 --> 01:59:38,181 うたげの杯といくか! おう! 1620 01:59:38,181 --> 01:59:41,084 閣下 堂々たる わが軍の陣容ですが 1621 01:59:41,084 --> 01:59:44,087 1つだけ心配があります 何じゃ 申してみい 1622 01:59:44,087 --> 01:59:46,756 はい あのように各船が 1623 01:59:46,756 --> 01:59:49,192 つながれておりますゆえ 敵が火攻めを 1624 01:59:49,192 --> 01:59:52,762 仕掛けてきた時は 防ぐ手だてがないと存じますが 1625 01:59:52,762 --> 01:59:56,633 はっはっはっはっ そのぐらいのことは 1626 01:59:56,633 --> 01:59:58,602 余も考えておるわ 1627 01:59:58,602 --> 02:00:01,404 火攻めには風がいる 1628 02:00:01,404 --> 02:00:03,373 わが軍の位置は西北 1629 02:00:03,373 --> 02:00:05,609 敵陣は南じゃ 1630 02:00:05,609 --> 02:00:08,011 東南の風が吹かぬ限り 1631 02:00:08,011 --> 02:00:10,511 敵が火を放っても 味方を焼くのみじゃ 1632 02:00:12,883 --> 02:00:16,286 その東南の風は 今の時期には吹かん 1633 02:00:16,286 --> 02:00:18,922 見よ この練り絹のような 1634 02:00:18,922 --> 02:00:21,022 静かな長江の水面を 1635 02:00:36,106 --> 02:00:38,675 今夜が満願の当日だ 1636 02:00:38,675 --> 02:00:41,144 風など そよとも吹かぬではないか 1637 02:00:41,144 --> 02:00:44,744 孔明のイカサマ師め また大ぼらを吹いたな 1638 02:01:14,544 --> 02:01:17,447 今日こそは曹操軍 100 万の兵で 1639 02:01:17,447 --> 02:01:20,483 呉の国を完ぷなきまでに たたき潰してやろうぞ 1640 02:01:20,483 --> 02:01:24,521 うわっ 曹操軍の大船団が 現れました 1641 02:01:24,521 --> 02:01:26,456 何? 1642 02:01:26,456 --> 02:01:29,759 すごい! さすが偉大なる曹操 1643 02:01:29,759 --> 02:01:32,762 これほどの威を いまだ見たことがない 1644 02:01:32,762 --> 02:01:35,332 この風向きでは火攻めも使えぬ 1645 02:01:35,332 --> 02:01:39,235 どうすればいいのだ 孔明 1646 02:01:39,235 --> 02:01:41,504 風よ吹けー 1647 02:01:41,504 --> 02:01:43,440 東南の風よ 1648 02:01:43,440 --> 02:01:46,040 早く吹いてくれー 1649 02:01:55,385 --> 02:01:57,420 ああっ… 風だあ… 1650 02:01:57,420 --> 02:02:00,857 東南の風だあ… 1651 02:02:00,857 --> 02:02:03,657 おおっ 東南の風だ 1652 02:02:09,699 --> 02:02:12,769 大都督殿 見てください 1653 02:02:12,769 --> 02:02:21,211 風が吹いています 東南の風が 1654 02:02:21,211 --> 02:02:23,546 吹くはずのない風が吹くとは 1655 02:02:23,546 --> 02:02:26,216 あの男 妖術まで使うのか 1656 02:02:26,216 --> 02:02:28,184 やはり生かしてはおけぬ 1657 02:02:28,184 --> 02:02:32,956 急ぎ南屏山に走って 諸葛孔明を討ち果たしてまいれ 1658 02:02:32,956 --> 02:02:35,859 見よ わが軍の壮観を 1659 02:02:35,859 --> 02:02:43,433 丞相 少し風が出てきましたか 1660 02:02:43,433 --> 02:02:47,303 見たか 程イク 鉄鎖のつなぎで船の動揺が少ない 1661 02:02:47,303 --> 02:02:51,174 さすが ホウ統だ 1662 02:02:51,174 --> 02:02:53,209 軍師殿 お待ちしておりましたぞ 1663 02:02:53,209 --> 02:02:55,779 趙雲 どうしてここに? 1664 02:02:55,779 --> 02:02:58,979 東南の風が吹き出したので お迎えにあがったのです 1665 02:03:03,987 --> 02:03:07,690 諸葛孔明! 大都督のご命令だ ここへ戻れ 1666 02:03:07,690 --> 02:03:10,693 用件は分かっている 私を殺したいのだろうが 1667 02:03:10,693 --> 02:03:13,263 そんなヘマをやる孔明ではない 1668 02:03:13,263 --> 02:03:17,100 おのれっ 1669 02:03:17,100 --> 02:03:19,536 どわっ 1670 02:03:19,536 --> 02:03:21,471 帰って 周瑜に伝えておけ 1671 02:03:21,471 --> 02:03:23,406 今夜 東南の風が吹くことは 1672 02:03:23,406 --> 02:03:26,242 天文の学問で分かっていたことだ 1673 02:03:26,242 --> 02:03:28,211 妖術ではないとな 1674 02:03:28,211 --> 02:03:30,311 くそおーっ 1675 02:03:48,064 --> 02:03:50,033 丞相 風向きが変わって 1676 02:03:50,033 --> 02:03:52,433 帆が逆巻いてます 1677 02:04:02,212 --> 02:04:04,614 いかん! これは東南の風じゃ 1678 02:04:04,614 --> 02:04:07,214 吹くはずのない東南の風が吹いた 1679 02:04:31,274 --> 02:04:33,209 てっ… 敵襲だあ! 1680 02:04:33,209 --> 02:04:36,980 何? 敵襲だ 1681 02:04:36,980 --> 02:04:39,780 各船 火を付けろ 1682 02:04:45,555 --> 02:04:50,260 火船だ 近づけるな! 1683 02:04:50,260 --> 02:04:52,560 取りかじ いっぱーい! 1684 02:05:01,204 --> 02:05:05,842 うわっ 1685 02:05:05,842 --> 02:05:08,342 うわー あっちゃちゃー 1686 02:05:18,855 --> 02:05:20,823 このままでは全艦に燃え広がる 1687 02:05:20,823 --> 02:05:24,223 各船 帆をおろし 鉄鎖を断ち切れ 1688 02:05:33,102 --> 02:05:38,308 うわああっ 1689 02:05:38,308 --> 02:05:44,514 うわあああ 1690 02:05:44,514 --> 02:05:48,685 おおっ… うおおーっ 1691 02:05:48,685 --> 02:05:52,385 敵は混乱している 一気にたたき潰せ! 1692 02:05:56,726 --> 02:06:01,064 うおっ うわっ うわっ 1693 02:06:01,064 --> 02:06:04,664 くそお… 敵艦隊だ 迎撃しろ 1694 02:06:17,947 --> 02:06:20,617 うおっ うわあっ 駄目だ 逆風で 1695 02:06:20,617 --> 02:06:24,454 味方の矢は届きません よおし わが戦艦の 1696 02:06:24,454 --> 02:06:26,854 発火砲の威力を見せてやれ! 1697 02:06:31,127 --> 02:06:34,897 撃て! 1698 02:06:34,897 --> 02:06:37,166 うおっ ああっ 1699 02:06:37,166 --> 02:06:40,036 うろたえるな このまま接近戦へ持ち込め 1700 02:06:40,036 --> 02:06:45,475 いいぞ 続けろ 1701 02:06:45,475 --> 02:06:48,175 撃て! 1702 02:06:55,952 --> 02:06:58,452 撃て! 1703 02:07:00,790 --> 02:07:03,760 駄目だ 目標が近すぎて 当たりません 1704 02:07:03,760 --> 02:07:06,260 砲台を下げて 狙い撃て! 1705 02:07:10,967 --> 02:07:13,736 味方の前衛船が邪魔して 撃てません! 1706 02:07:13,736 --> 02:07:16,205 味方の一艘や二艘 ぶち壊しても構わん 1707 02:07:16,205 --> 02:07:18,775 撃て! 撃てーっ! 1708 02:07:18,775 --> 02:07:23,646 うわっ 1709 02:07:23,646 --> 02:07:25,646 撃て! 1710 02:07:30,953 --> 02:07:36,153 接近戦 成功だ 敵船ギリギリに左右へ反転させろ 1711 02:07:45,401 --> 02:07:51,274 くそお 敵は風だったか… 1712 02:07:51,274 --> 02:07:54,174 うわあ わあ 1713 02:07:58,047 --> 02:08:00,147 うわあっ… 1714 02:08:13,062 --> 02:08:19,202 丞相 退艦しないと危険です 1715 02:08:19,202 --> 02:08:21,502 何ということだ… 1716 02:08:25,675 --> 02:08:28,575 うわあ 1717 02:08:34,350 --> 02:08:37,086 丞相 早く! 1718 02:08:37,086 --> 02:08:39,589 曹操 黄蓋が相手致す 1719 02:08:39,589 --> 02:08:44,093 顔を見せろ! 1720 02:08:44,093 --> 02:08:49,899 いたぞ曹操 勝負! くっ… 張遼 助けてくれっ 1721 02:08:49,899 --> 02:08:53,499 ほわーっ うおーっ 1722 02:09:25,034 --> 02:09:27,670 ああ 何たる光景だ… 1723 02:09:27,670 --> 02:09:33,075 これがあの余を誇った わが船団の姿か… 1724 02:09:33,075 --> 02:09:35,311 追撃の手を緩めるな 1725 02:09:35,311 --> 02:09:39,911 食糧倉庫に火を放ち 曹操軍を皆殺しにせい! 1726 02:09:50,726 --> 02:09:52,762 くそーっ 1727 02:09:52,762 --> 02:09:55,064 ああっ とおっ 1728 02:09:55,064 --> 02:09:58,468 うわああっ うわっ 1729 02:09:58,468 --> 02:10:01,868 焼け 焼け! 何もかも焼き払え! 1730 02:10:09,545 --> 02:10:12,081 こうして赤壁の戦いは 1731 02:10:12,081 --> 02:10:15,881 一夜にして 呉軍の大勝利で終わった 1732 02:10:21,657 --> 02:10:23,593 何たる負け戦だ 1733 02:10:23,593 --> 02:10:28,498 ん?どうした! 1734 02:10:28,498 --> 02:10:31,498 江東の兵が追ってきます 逃げろ! 1735 02:10:50,319 --> 02:10:52,655 ふっふっふっふっふ はっはっはっはっ… 1736 02:10:52,655 --> 02:10:54,924 殿? 1737 02:10:54,924 --> 02:10:57,827 孔明も周瑜も 大した兵術家ではないな 1738 02:10:57,827 --> 02:11:00,730 余が彼らの立場なら ここに伏勢を置いて 1739 02:11:00,730 --> 02:11:03,399 一気に息の根を止めてしまうがな 1740 02:11:03,399 --> 02:11:08,237 はっはっはっはっ… 1741 02:11:08,237 --> 02:11:10,640 うわあーっ! 1742 02:11:10,640 --> 02:11:12,975 われこそは劉備玄徳公の旗本 1743 02:11:12,975 --> 02:11:16,612 趙雲なり 曹操 待ちかねたぞ! 1744 02:11:16,612 --> 02:11:19,415 はっ… ひっ… 1745 02:11:19,415 --> 02:11:22,385 うわあーっ 1746 02:11:22,385 --> 02:11:26,585 うわあーっ あっああ… 1747 02:11:34,330 --> 02:11:37,366 ああ… 1748 02:11:37,366 --> 02:11:44,006 うあ… ああ… 1749 02:11:44,006 --> 02:11:59,155 あっ… うええ… 1750 02:11:59,155 --> 02:12:01,157 よし ここで休むぞ 1751 02:12:01,157 --> 02:12:04,594 食事の用意をせよ 1752 02:12:04,594 --> 02:12:07,063 ああっ… ああーっ 1753 02:12:07,063 --> 02:12:10,299 どうだ 張遼 孔明もこの谷間の道だけは 1754 02:12:10,299 --> 02:12:13,202 手ぬかりしておったようだな 1755 02:12:13,202 --> 02:12:15,271 もう助かったも同然だぞ 1756 02:12:15,271 --> 02:12:18,071 ん? 1757 02:12:26,749 --> 02:12:29,585 きたな曹操 覚悟しろ! 1758 02:12:29,585 --> 02:12:32,121 ひるむな! うおー 1759 02:12:32,121 --> 02:12:36,321 ええいっ うおおお 1760 02:12:44,433 --> 02:12:48,033 待てー 逃がすなーっ 1761 02:12:55,378 --> 02:13:05,821 関羽 頼むぞ… 1762 02:13:05,821 --> 02:13:08,824 あっ… ああ… 1763 02:13:08,824 --> 02:13:16,565 ううっ… うう… 1764 02:13:16,565 --> 02:13:20,836 急げ 急ぐんだ 1765 02:13:20,836 --> 02:13:23,372 もう… 駄目だあ… 1766 02:13:23,372 --> 02:13:25,641 うう… うははっはあ… 1767 02:13:25,641 --> 02:13:28,310 泣くな 泣くやつは切るぞ 1768 02:13:28,310 --> 02:13:32,081 ここまで来れば もう伏勢はあるまい 1769 02:13:32,081 --> 02:13:36,452 曹操閣下! 関羽 1770 02:13:36,452 --> 02:13:44,994 お待ちしておりました 1771 02:13:44,994 --> 02:13:47,930 本来なら お久しぶりというところですが 1772 02:13:47,930 --> 02:13:50,800 これも軍師 孔明殿の軍略 1773 02:13:50,800 --> 02:13:54,300 逃れられぬところと 潔く勝負されよ 1774 02:13:57,573 --> 02:14:01,777 将軍… 余が負けたことは認める 1775 02:14:01,777 --> 02:14:04,280 昔のよしみに免じて 1776 02:14:04,280 --> 02:14:07,183 この場だけは 見逃してくださらんか 1777 02:14:07,183 --> 02:14:11,053 頼む… 閣下のご恩は白馬の戦いで 1778 02:14:11,053 --> 02:14:14,657 顔良 文醜を討ち取って お返ししたはず 1779 02:14:14,657 --> 02:14:18,027 今日は私情で お見逃しは出来ませぬ 1780 02:14:18,027 --> 02:14:21,427 将軍 討つなら拙者を切ってくれ 1781 02:14:24,300 --> 02:14:28,500 曹操閣下は今でも真実 将軍にほれておられるのだ 1782 02:14:32,041 --> 02:14:34,944 武人の情け 勝負は 1783 02:14:34,944 --> 02:14:37,244 またの日に譲ってくれ 1784 02:15:31,133 --> 02:15:34,270 ここは足場が悪い 後ろへ退け 1785 02:15:34,270 --> 02:15:37,770 早く退かんか! おおっ はいっ 1786 02:16:23,219 --> 02:16:26,622 すると将軍は 昔日の恩義にとらわれて 1787 02:16:26,622 --> 02:16:29,458 故意に曹操を見逃したと 申されるのか 1788 02:16:29,458 --> 02:16:31,694 いかにも 面目ござらん 1789 02:16:31,694 --> 02:16:34,096 面目でことが済むと思われるか! 1790 02:16:34,096 --> 02:16:36,165 それがしの軍命は 殿のご命令でもあると 1791 02:16:36,165 --> 02:16:38,601 先日 申し渡したはず 1792 02:16:38,601 --> 02:16:41,804 将軍といえども 軍法違反の罪は逃れられぬ 1793 02:16:41,804 --> 02:16:44,206 直ちに死罪を申し渡す! はっ… 1794 02:16:44,206 --> 02:16:48,077 だはっ… はっ! 1795 02:16:48,077 --> 02:16:50,412 軍師殿 1796 02:16:50,412 --> 02:16:53,782 関羽が軍律を犯したことは 私も認めるが 1797 02:16:53,782 --> 02:16:56,218 われら3名は同年同日に 1798 02:16:56,218 --> 02:16:58,821 死なんことを誓い合った 義兄弟なのだ 1799 02:16:58,821 --> 02:17:01,724 弟の罪は私の罪でもある 1800 02:17:01,724 --> 02:17:05,427 今日のところは見逃して 後日の手柄で償わせるようには 1801 02:17:05,427 --> 02:17:08,464 していただけぬものか 殿のお言葉では 1802 02:17:08,464 --> 02:17:10,699 従うほかありませんな 1803 02:17:10,699 --> 02:17:12,701 なれば関羽将軍に申し渡す 1804 02:17:12,701 --> 02:17:15,437 直ちに兵を率いて荊州に赴き 1805 02:17:15,437 --> 02:17:17,907 襄陽の城を奪回せられよ 1806 02:17:17,907 --> 02:17:22,111 敵の守備軍は 曹操の救援に出払って手薄なはず 1807 02:17:22,111 --> 02:17:25,714 命を賭して戦えば 必ず占領できる 1808 02:17:25,714 --> 02:17:28,117 ありがたき ご下命 関羽 誓って 1809 02:17:28,117 --> 02:17:32,988 軍師殿のご期待に添い奉る 1810 02:17:32,988 --> 02:17:35,024 兄貴 俺も手伝うぞ 1811 02:17:35,024 --> 02:17:40,729 俺もだ 全軍で荊州を取り戻そう 1812 02:17:40,729 --> 02:17:44,533 軍師殿 ご恩情 御礼申し上げる 1813 02:17:44,533 --> 02:17:47,770 殿 お許しください ああして満座の中で 1814 02:17:47,770 --> 02:17:51,640 とがめ立てしなければ 関羽将軍はご自分で責任を感じて 1815 02:17:51,640 --> 02:17:55,177 自害されていたでしょう 1816 02:17:55,177 --> 02:17:57,913 将軍を救うためには 仕方がなかったのです 1817 02:17:57,913 --> 02:18:00,616 軍師殿 あなたはそこまで 1818 02:18:00,616 --> 02:18:02,851 考えていてくださったのか 1819 02:18:02,851 --> 02:18:05,087 関羽はきっと全力を尽くして 1820 02:18:05,087 --> 02:18:07,356 襄陽を取ってくれるでしょう 1821 02:18:07,356 --> 02:18:09,325 殿 やっと荊州が 1822 02:18:09,325 --> 02:18:11,825 われらの手に戻ってくるのです 1823 02:18:22,571 --> 02:18:26,442 荊州の襄陽城を 玄徳軍が奪回したそうです 1824 02:18:26,442 --> 02:18:28,677 玄徳が荊州を? 1825 02:18:28,677 --> 02:18:30,679 そうか… 読めた! 1826 02:18:30,679 --> 02:18:34,083 それが孔明の 奥の手の戦略だったのだ 1827 02:18:34,083 --> 02:18:37,052 われわれを曹操と戦わせて 深入りさせ 1828 02:18:37,052 --> 02:18:39,888 その隙に荊州を 横取りする腹だったのだ 1829 02:18:39,888 --> 02:18:43,726 おのれ わが軍のみに 犠牲を払わせて… 1830 02:18:43,726 --> 02:18:46,261 殿 荊州を彼らに取られては 1831 02:18:46,261 --> 02:18:49,064 この赤壁の戦いも 何のための大勝利か 1832 02:18:49,064 --> 02:18:52,101 分からなくなります 拙者が追い散らしてきます 1833 02:18:52,101 --> 02:18:54,101 その体で大丈夫か? 1834 02:19:08,417 --> 02:19:10,686 どうしたのだ これは… 1835 02:19:10,686 --> 02:19:14,189 玄徳軍の姿が見えぬではないか 1836 02:19:14,189 --> 02:19:28,737 構わん 突っ込め! うわああっ! 1837 02:19:28,737 --> 02:19:30,939 おおっ… 1838 02:19:30,939 --> 02:19:33,942 孔明!図ったな! はっはっはっはっははっ 1839 02:19:33,942 --> 02:19:36,745 その方が勝手に 飛び込んできたのではないか 1840 02:19:36,745 --> 02:19:39,245 けがをせぬうちに早く帰れ! 1841 02:19:44,086 --> 02:19:46,688 ひきょうものめ! わが軍をだしに使って 1842 02:19:46,688 --> 02:19:50,459 荊州を横取りするとは この大泥棒め! 1843 02:19:50,459 --> 02:19:54,329 周瑜将軍 曹操と結んでわが軍を討伐し 1844 02:19:54,329 --> 02:19:57,699 荊州を呉の領地に加えようと 初めに言ったのは 1845 02:19:57,699 --> 02:20:02,271 どなたであったかな? そもそも この荊州は亡きご領主 1846 02:20:02,271 --> 02:20:05,140 劉表殿が玄徳公にお譲りしたいと 1847 02:20:05,140 --> 02:20:07,109 ご遺言なさっておられた土地だ 1848 02:20:07,109 --> 02:20:09,111 呉の領地ではない! 1849 02:20:09,111 --> 02:20:11,647 腕ずくでくるなら 相手にもなろうが 1850 02:20:11,647 --> 02:20:14,083 勝てるつもりか! 問答無用! 1851 02:20:14,083 --> 02:20:16,283 突っ込めいっ! 1852 02:20:18,921 --> 02:20:21,623 どうしたのだ?臆したか? 1853 02:20:21,623 --> 02:20:27,429 はっはっはっはっ 1854 02:20:27,429 --> 02:20:30,232 ホウ統! さよう そこにおられる 1855 02:20:30,232 --> 02:20:33,135 孔明殿とは無二の親友 ホウ士元でござる 1856 02:20:33,135 --> 02:20:36,972 ここにいる隊員は 全てわしが養ってきた民兵だ 1857 02:20:36,972 --> 02:20:39,842 貴様の命令を聞くものは 1人もおらぬわ 1858 02:20:39,842 --> 02:20:42,244 あははっはっはっ… 1859 02:20:42,244 --> 02:20:45,147 くそーっ 分かったか 周瑜 1860 02:20:45,147 --> 02:20:48,117 その方の知恵はその程度のものだ 1861 02:20:48,117 --> 02:20:50,919 恥の上塗りはせず 即刻 立ち去れい! 1862 02:20:50,919 --> 02:20:57,759 おのれっ よくも! 1863 02:20:57,759 --> 02:21:01,196 ぐううっ… えほっへほっ 1864 02:21:01,196 --> 02:21:04,666 おっ ぐふっ… 1865 02:21:04,666 --> 02:21:08,504 はっ ぐっ…ぐう 1866 02:21:08,504 --> 02:21:12,407 ごほっ 1867 02:21:12,407 --> 02:21:16,278 ぐううっ… おのれ… ぐっうっ 1868 02:21:16,278 --> 02:21:25,287 がはっ ごほごほっ… 1869 02:21:25,287 --> 02:21:28,323 孔明… 覚悟… 1870 02:21:28,323 --> 02:21:45,073 ぐっ… あはああっ… 1871 02:21:45,073 --> 02:21:51,680 孔明… 1872 02:21:51,680 --> 02:21:58,020 ぐわあっ! 1873 02:21:58,020 --> 02:22:02,257 あまりの怒りに 心の臓が破れたのだ 1874 02:22:02,257 --> 02:22:07,896 周瑜殿… 許されよ 1875 02:22:07,896 --> 02:22:10,599 御身をここまで辱めたのも 1876 02:22:10,599 --> 02:22:14,599 戦に勝たねばならぬ 武人の倣いなのだ 1877 02:22:29,084 --> 02:22:31,420 それがしは 至って不作法ものですが 1878 02:22:31,420 --> 02:22:34,323 軍略にかけては そこにおられる伏龍先生に 1879 02:22:34,323 --> 02:22:36,258 劣るものではございません 1880 02:22:36,258 --> 02:22:40,596 何とぞ閣下のご場前で 働き場所をお与えください 1881 02:22:40,596 --> 02:22:44,333 酒を程々にすればだぞ 鳳雛先生 1882 02:22:44,333 --> 02:22:49,037 ん… むははっ… ははははっ… 1883 02:22:49,037 --> 02:22:51,306 そこもとの鉄鎖連環の計こそ 1884 02:22:51,306 --> 02:22:54,042 曹操を破った第一の功績です 1885 02:22:54,042 --> 02:22:56,478 軍師殿に加えて 先生までお迎えし 1886 02:22:56,478 --> 02:23:01,650 伏龍 鳳雛の二大賢人を得た この玄徳は天下一の果報者です 1887 02:23:01,650 --> 02:23:06,321 よろしく お力をお貸しください 1888 02:23:06,321 --> 02:23:08,924 早速ですが それがしが考える 1889 02:23:08,924 --> 02:23:12,160 今後の大計をお聞きください 1890 02:23:12,160 --> 02:23:14,730 この荊州は東に孫権 1891 02:23:14,730 --> 02:23:17,766 北に曹操を控え 政情不安の土地です 1892 02:23:17,766 --> 02:23:22,037 ここにしがみついているのみでは 天下の大業は果たせません 1893 02:23:22,037 --> 02:23:25,707 赤壁で敗れた曹操は 南の征服を断念し 1894 02:23:25,707 --> 02:23:28,243 今後恐らくは この漢中の地に 1895 02:23:28,243 --> 02:23:31,146 進出を図るでしょう 漢中には邪教 1896 02:23:31,146 --> 02:23:35,384 五斗米道を信奉する 張魯の一族が勢力を占め 1897 02:23:35,384 --> 02:23:37,786 すでに曹操の進行に備えて 1898 02:23:37,786 --> 02:23:39,721 蜀の地に入ろうとしています 1899 02:23:39,721 --> 02:23:42,991 蜀の国は今 他国の侵略におびえて 1900 02:23:42,991 --> 02:23:45,227 救援を求めているはずです 1901 02:23:45,227 --> 02:23:47,162 閣下は直ちに軍を率いて 1902 02:23:47,162 --> 02:23:50,198 蜀に遠征し 進んで この地の防衛に 1903 02:23:50,198 --> 02:23:53,802 協力すべきです 1904 02:23:53,802 --> 02:23:57,039 孔明殿の申される 天下三分の計は 1905 02:23:57,039 --> 02:24:00,639 この蜀の地によらずしては 成り立たんでしょう 1906 02:24:10,052 --> 02:24:12,688 お説はよく分かるが こちらから無理押しに 1907 02:24:12,688 --> 02:24:16,124 軍を進めては道義に外れませんか 1908 02:24:16,124 --> 02:24:18,593 乱世に道理のみを立てていては 1909 02:24:18,593 --> 02:24:20,662 一歩も前進できません 1910 02:24:20,662 --> 02:24:24,700 まずは足場を築き しかるのち 真義を打ち立てて 1911 02:24:24,700 --> 02:24:28,570 世を治めることが 王道というものです 1912 02:24:28,570 --> 02:24:30,639 軍師殿 いかがですか 1913 02:24:30,639 --> 02:24:35,344 ホウ統の言う通りです 私が遠征軍を率いて 1914 02:24:35,344 --> 02:24:38,613 乗り込みましょう いやあ そりゃいかん! 1915 02:24:38,613 --> 02:24:42,217 孔明殿はもっと大事な用がある 1916 02:24:42,217 --> 02:24:45,117 大事な用? あの人だよ 1917 02:24:58,133 --> 02:25:01,970 秀蘭! 1918 02:25:01,970 --> 02:25:04,005 赤壁の第一の功労者は 1919 02:25:04,005 --> 02:25:06,575 この孔明 秀夫人です 1920 02:25:06,575 --> 02:25:09,144 閣下 遠征軍の指揮は何とぞ 1921 02:25:09,144 --> 02:25:11,444 このホウ統にご用命ください 1922 02:25:16,651 --> 02:25:23,291 ではお元気で 1923 02:25:23,291 --> 02:25:26,194 長兄 1924 02:25:26,194 --> 02:25:30,132 こうして玄徳は 天下三分の計の実現をかけて 1925 02:25:30,132 --> 02:25:32,868 蜀へ遠征軍を発した 1926 02:25:32,868 --> 02:25:36,738 孔明は本拠地 襄陽城の守りを固め 1927 02:25:36,738 --> 02:25:38,707 関羽 張飛 趙雲は 1928 02:25:38,707 --> 02:25:43,145 荊州各地に飛んで 勢力の拡大を図った 1929 02:25:43,145 --> 02:25:45,447 三国志の世界は今 1930 02:25:45,447 --> 02:25:49,084 新たな時代の幕開けを 迎えようとしていた 1931 02:25:49,084 --> 02:25:52,484 時 西暦 211 年