1 00:00:01,167 --> 00:00:06,172 ♪~ 2 00:01:14,115 --> 00:01:19,120 ~♪ 3 00:01:33,676 --> 00:01:35,929 (ナレーター) 今からおよそ80年ほど前 4 00:01:36,054 --> 00:01:39,307 19世紀も終わりに近づいた ある6月のこと 5 00:01:39,557 --> 00:01:40,391 カナダ本土から 6 00:01:40,517 --> 00:01:43,561 プリンス・エドワード島へ向かう 連絡船の上で 7 00:01:43,686 --> 00:01:45,980 赤い髪をした一人の少女が 8 00:01:46,105 --> 00:01:49,984 島での生活を夢見つつ 希望に胸を膨らませていた 9 00:01:53,238 --> 00:01:56,241 (船の汽笛) 10 00:02:06,668 --> 00:02:08,002 物語は― 11 00:02:08,128 --> 00:02:13,591 この島のグリーン・ゲイブルズと 呼ばれる家に住む年老いた兄と妹が 12 00:02:13,716 --> 00:02:15,927 孤児院から男の子を もらい受けようと 13 00:02:16,052 --> 00:02:18,346 決心したことから始まる 14 00:02:20,306 --> 00:02:24,519 今しも 兄のマシュウ・カスバートは 身につかぬ晴れ着を着込み 15 00:02:24,936 --> 00:02:28,523 孤児院から連れてこられるはずの 男の子を迎えに 16 00:02:28,648 --> 00:02:32,861 ブライトリバーの停車場に向かって のんびりと馬車を進めていた 17 00:02:36,656 --> 00:02:37,574 (マシュウ) あっ 18 00:02:40,702 --> 00:02:43,580 (ナレーター) マシュウは人前に出るのが 大の苦手で 19 00:02:43,705 --> 00:02:47,959 特に女性という不思議な生き物は たとえ子供であっても恐ろしかった 20 00:02:48,793 --> 00:02:52,088 60歳の今日まで 独身を通してきたのも 21 00:02:52,213 --> 00:02:53,923 恐らく そのためであろう 22 00:02:57,385 --> 00:03:00,430 一方 マシュウの妹 マリラもまた 結婚もせず 23 00:03:00,555 --> 00:03:02,265 変わり者の兄を助けて 24 00:03:02,390 --> 00:03:04,767 グリーン・ゲイブルズと呼ばれる この家(うち)を 25 00:03:04,893 --> 00:03:07,812 今日まで無事に 切り回してきたのであった 26 00:03:08,438 --> 00:03:12,734 マリラは今 男の子を向かい入れる準備に忙しい 27 00:03:13,318 --> 00:03:15,320 (汽笛) 28 00:03:16,738 --> 00:03:19,073 (ナレーター) 折しもマシュウの時ならぬ 晴れ姿を見かけた― 29 00:03:19,198 --> 00:03:20,825 レイチェル・リンド夫人は 30 00:03:20,950 --> 00:03:24,245 この地味な お隣に いったい 何が起ころうとしているのか 31 00:03:24,412 --> 00:03:25,997 マリラに問いただそうと 32 00:03:26,122 --> 00:03:28,207 グリーン・ゲイブルズへと 駆けつけた 33 00:03:29,584 --> 00:03:32,629 (リンド夫人) なんですって? 孤児院から男の子を? 34 00:03:32,795 --> 00:03:34,923 (マリラ) ええ そうなの レイチェル 35 00:03:37,634 --> 00:03:38,301 はあ… 36 00:03:38,593 --> 00:03:42,347 で… でもマリラ いったい なんで そんな気になったんだね 37 00:03:42,472 --> 00:03:43,556 うん? 38 00:03:45,141 --> 00:03:48,478 私には なんの話も なかったじゃないか 39 00:03:49,520 --> 00:03:50,688 レイチェル 40 00:03:50,813 --> 00:03:54,150 実を言うと これについちゃ ずっと考えてきたんだよ 41 00:03:55,193 --> 00:03:58,029 去年の暮れ スペンサーの奥さんにお会いした時 42 00:03:58,154 --> 00:03:59,656 春にホープタウンの孤児院から 43 00:03:59,781 --> 00:04:02,408 女の子をもらうつもりだって 聞いてね 44 00:04:03,701 --> 00:04:07,080 でも何もあんたたちまで その年になって… 45 00:04:07,497 --> 00:04:09,832 それなんだよ レイチェル 46 00:04:10,208 --> 00:04:11,376 兄さんも もう年だから 47 00:04:11,501 --> 00:04:14,087 前みたいに 元気がなくなっちまっただろ? 48 00:04:14,420 --> 00:04:15,088 うん 49 00:04:15,588 --> 00:04:19,092 だから10か11ぐらいの男の子を もらい受けて 50 00:04:19,509 --> 00:04:22,136 ちゃんとした家庭と教育を 与えてやれば 51 00:04:22,262 --> 00:04:24,430 きっといい働き手に なってくれるんじゃないかって 52 00:04:24,555 --> 00:04:25,556 考えたんだよ 53 00:04:25,682 --> 00:04:27,100 (リンド夫人)それで今日? (マリラ)ええ 54 00:04:27,767 --> 00:04:30,436 スペンサーの奥さんが 電報くだすってね 55 00:04:30,979 --> 00:04:32,522 (振り子時計の鐘の音) 56 00:04:32,647 --> 00:04:34,565 あら? もう汽車の着く時間だ 57 00:04:34,816 --> 00:04:36,985 (ブレーキ音) 58 00:04:42,615 --> 00:04:44,909 (駅長) ブライトリバー 59 00:04:51,082 --> 00:04:53,001 (スペンサー夫人) あっ 駅長さん? 60 00:05:04,053 --> 00:05:06,931 いいわね 迎えが来るまで ここを動くんじゃありませんよ 61 00:05:07,056 --> 00:05:08,349 (アン) ええ おばさん 62 00:05:08,599 --> 00:05:09,267 ああ! 63 00:05:09,726 --> 00:05:12,061 (汽笛) 64 00:05:13,563 --> 00:05:15,064 (アン) おばさん ありがとう! 65 00:05:15,189 --> 00:05:16,983 リリー 元気でね 66 00:05:17,108 --> 00:05:18,985 (スペンサー夫人) お行儀に気をつけて 67 00:05:19,152 --> 00:05:20,737 よい子になるんですよ 68 00:05:20,862 --> 00:05:21,654 うん! 69 00:05:32,373 --> 00:05:35,460 (リンド夫人) ねえ マリラ ハッキリ言わせてもらえば 70 00:05:35,626 --> 00:05:39,172 あんたたちは とんでもないマネを しでかそうとしてるんだよ 71 00:05:39,839 --> 00:05:43,468 身も知らぬ子を家へ入れる それも人頼みで 72 00:05:44,177 --> 00:05:47,263 そりゃ私も少しは気がかりだったよ 73 00:05:47,430 --> 00:05:52,018 だけどね スペンサーの奥さんは 信用のおける人だし 74 00:05:52,351 --> 00:05:55,813 今度のことについちゃ 兄さんがひどく熱心でね 75 00:05:55,938 --> 00:05:58,191 だけど孤児院の子はいけないよ 76 00:05:58,316 --> 00:05:59,192 ついせんだっても 77 00:05:59,317 --> 00:06:03,029 モリソンの孤児院から来た子が やったって話を聞いたがね 78 00:06:03,154 --> 00:06:06,032 井戸の中に毒薬を投げ込んだんだよ 79 00:06:06,449 --> 00:06:07,408 すんでのところで 80 00:06:07,533 --> 00:06:10,161 一家 全滅しかけたって言うじゃないか 81 00:06:10,286 --> 00:06:13,331 もっともそれは 女の子だったらしいけどね 82 00:06:13,456 --> 00:06:14,165 うん… 83 00:06:14,791 --> 00:06:18,669 あら うちは女の子を もらうんじゃないんだよ 84 00:06:19,462 --> 00:06:21,297 まさか女の子なんか 85 00:06:24,675 --> 00:06:28,513 (リンド夫人) はあ… まるで夢を見てるようだ 86 00:06:30,431 --> 00:06:34,185 それにどう考えても かわいそうなのは そのみなしごだ 87 00:06:34,310 --> 00:06:36,687 マリラとマシュウは 子供のことについちゃ 88 00:06:36,813 --> 00:06:38,898 なんにも知らないんだもの 89 00:06:39,273 --> 00:06:42,235 あの二人が子供を育てるなんて 90 00:06:44,529 --> 00:06:46,739 (鳥のさえずり) 91 00:07:10,138 --> 00:07:11,305 う~ん 92 00:08:38,100 --> 00:08:39,018 あっ 93 00:08:52,240 --> 00:08:53,366 (マシュウ) ああ… 94 00:09:02,625 --> 00:09:03,751 う~ん 95 00:09:17,682 --> 00:09:18,641 うん? 96 00:09:28,526 --> 00:09:31,904 あの… 5時半の汽車は? 97 00:09:32,029 --> 00:09:35,116 (駅長) カスバートさんかね? 遅かったな 98 00:09:35,908 --> 00:09:38,411 もう30分も前に行っちゃいましたよ 99 00:09:38,536 --> 00:09:41,872 私はあんたが来しだい 夕飯に帰ろうと待ってたんだ 100 00:09:41,998 --> 00:09:44,250 (マシュウ) ええ? じゃあ… じゃあ あの… 101 00:09:46,294 --> 00:09:48,546 あんたのお客さんのことなら大丈夫 102 00:09:48,671 --> 00:09:51,090 ほら あそこに座ってますよ 103 00:09:51,632 --> 00:09:53,801 待合室に入るように言ったんだが 104 00:09:53,926 --> 00:09:56,887 外のほうがいいって 大真面目に言うんでね 105 00:09:57,013 --> 00:10:00,891 ここのほうが 想像を巡らす ゆとりがあるから な~んて 106 00:10:01,142 --> 00:10:03,894 どうも変わった女の子のようですな 107 00:10:04,228 --> 00:10:05,980 え? 女の子? 108 00:10:06,105 --> 00:10:07,857 いやいや… 違うんだ 109 00:10:07,982 --> 00:10:11,527 わしが迎えに来たのは その… 女の子じゃないんで… 110 00:10:12,194 --> 00:10:14,447 あのその… 実はスペンサーの… 111 00:10:14,572 --> 00:10:15,781 (駅長) そのとおり 112 00:10:15,906 --> 00:10:18,284 あの子 スペンサー夫人が 置いていったんですよ 113 00:10:18,409 --> 00:10:20,161 私に頼んで 114 00:10:20,328 --> 00:10:23,331 分からんな… わしら男の子を… 115 00:10:23,456 --> 00:10:26,208 あ~ そりゃ なんかの手違いらしいな 116 00:10:26,542 --> 00:10:28,377 じゃあ あの子に聞きゃいいでしょ 117 00:10:28,502 --> 00:10:29,170 うん? 118 00:10:29,295 --> 00:10:33,215 (駅長) やあ あんたが欲しい男の子が 品切れだったのかもしれんし 119 00:10:33,341 --> 00:10:35,718 あの子なら きっと説明してくれますよ 120 00:10:36,010 --> 00:10:37,428 じゃあ 私はこれで 121 00:10:37,720 --> 00:10:40,431 ああ! ちょ… ちょっと待って あの… 122 00:10:44,101 --> 00:10:45,186 うっ… 123 00:10:55,863 --> 00:10:58,324 グリーン・ゲイブルズの マシュウ・カスバートさんでしょ? 124 00:10:58,449 --> 00:10:59,617 う… うん 125 00:10:59,742 --> 00:11:01,702 やっぱり そうでしたのね 126 00:11:01,827 --> 00:11:03,329 よかったわ お目にかかれて 127 00:11:04,705 --> 00:11:07,166 ひょっとしたら 迎えに来て くださらないんじゃないかって 128 00:11:07,291 --> 00:11:08,751 心配になりだしたので 129 00:11:08,876 --> 00:11:11,712 いらっしゃらない訳を あれこれ考えていたの 130 00:11:12,421 --> 00:11:14,673 もし今晩お見えにならなかったら 131 00:11:14,799 --> 00:11:17,760 ほら! あの大きな桜の木に登って 132 00:11:17,885 --> 00:11:20,763 あの木の上で 夜を明かそうと思っていたのよ 133 00:11:21,138 --> 00:11:22,223 ちっとも怖くないわ 134 00:11:23,099 --> 00:11:24,934 月の光に照らされて 135 00:11:25,059 --> 00:11:28,604 白い花がいっぱい咲いている 桜の木の上で眠るなんて 136 00:11:28,729 --> 00:11:29,855 ステキでしょ 137 00:11:30,689 --> 00:11:32,483 まるで大理石の大広間に 138 00:11:32,608 --> 00:11:35,236 住んでるような 気がするんじゃないかしら 139 00:11:46,288 --> 00:11:48,290 それに今晩いらっしゃらなくても 140 00:11:48,541 --> 00:11:50,668 あしたの朝は きっと迎えに来てくださると 141 00:11:50,793 --> 00:11:51,502 思っていたわ 142 00:11:51,919 --> 00:11:53,546 う… うん 143 00:11:56,173 --> 00:11:58,717 遅れてごめんよ さあ かばんを 144 00:11:58,843 --> 00:12:00,678 あら 自分で持てるわ 145 00:12:01,178 --> 00:12:04,932 あたしの全財産が入ってるんだけど ちっとも重くないの 146 00:12:05,057 --> 00:12:07,810 それにうまく持たないと 取っ手が抜けるのよ 147 00:12:09,019 --> 00:12:09,895 ほら! 148 00:12:12,356 --> 00:12:15,359 だからコツを知ってるあたしが 持つほうがいいと思うわ 149 00:12:16,527 --> 00:12:17,611 こっちでしょ? 150 00:12:17,736 --> 00:12:19,029 (マシュウ) う… うん 151 00:12:23,701 --> 00:12:28,497 ああ~ おじさんが来てくださって 本当によかったわ 152 00:12:29,165 --> 00:12:32,835 そりゃ 桜の木の上で眠るのも ステキでしょうけどね 153 00:12:33,377 --> 00:12:34,503 でもホントによかった 154 00:12:35,963 --> 00:12:37,715 長いこと馬車に乗るんでしょ? 155 00:12:38,090 --> 00:12:41,677 うれしいわ あたし馬車に乗るの 大好きなんだもの 156 00:12:41,802 --> 00:12:44,972 あ~ これから おじさんと一緒に住んで 157 00:12:45,139 --> 00:12:48,309 おじさんの家の子になるなんて ステキだわ~ 158 00:12:49,977 --> 00:12:52,563 あたし 今まで どこの子にも なったことないの 159 00:12:52,771 --> 00:12:53,981 ホントにはね 160 00:12:54,398 --> 00:12:56,150 あら あの馬車ね! 161 00:13:08,579 --> 00:13:10,289 あたし 孤児院は嫌い 162 00:13:10,831 --> 00:13:12,166 ひどいところよ 163 00:13:12,291 --> 00:13:15,336 だって空想を巡らすゆとりが ないんだもの 164 00:13:15,878 --> 00:13:18,756 何しろ 周りはみんな みなしごばかりでしょ 165 00:13:19,131 --> 00:13:24,094 そりゃ 隣に座ってる女の子が 本当は立派な伯爵の娘で 166 00:13:24,261 --> 00:13:28,432 小さい時に両親のところから 人でなしの乳母にさらわれ 167 00:13:28,766 --> 00:13:32,061 その乳母が罪を白状しないうちに 死んでしまった 168 00:13:32,186 --> 00:13:33,771 な~んて考えるの面白いわ 169 00:13:34,772 --> 00:13:36,315 でも夜だけ 170 00:13:36,690 --> 00:13:38,567 昼間はそんな暇がないの 171 00:13:39,193 --> 00:13:41,779 だからあたし こんなに痩せてるんだと思うわ 172 00:13:41,946 --> 00:13:43,906 あたし とっても痩せてるでしょ? 173 00:13:44,740 --> 00:13:47,910 骨の上にひとかけの肉も ないんですもの… 174 00:13:49,161 --> 00:13:52,164 あたし 自分が ぽちゃぽちゃ太ってて 175 00:13:52,414 --> 00:13:55,251 ヒジに えくぼがあったら さぞいいだろう 176 00:13:55,459 --> 00:13:57,044 なんて考えちゃうの 177 00:13:57,795 --> 00:13:58,712 ああ… 178 00:13:59,672 --> 00:14:00,798 出していいかね? 179 00:14:02,299 --> 00:14:03,551 ええ お願い 180 00:14:04,885 --> 00:14:07,763 あたし 転げ落ちないように 気をつけるわ 181 00:14:08,138 --> 00:14:09,682 フッフフ… 182 00:14:09,974 --> 00:14:11,141 ギタップ 183 00:14:11,475 --> 00:14:12,184 あっ 184 00:14:41,630 --> 00:14:46,218 (ナレーター) 少女は まるで軽やかに走る 馬車のリズムに合わせるかのように 185 00:14:46,385 --> 00:14:48,137 喜々として しゃべり続けた 186 00:14:49,179 --> 00:14:52,141 そしてマシュウは 自分でも驚いたことに 187 00:14:52,266 --> 00:14:55,811 苦手なはずの女の子のおしゃべりに 耳を傾けながら 188 00:14:55,978 --> 00:14:59,315 いつになく 愉快な気分になっていた 189 00:15:07,698 --> 00:15:10,367 ねえ どうして ここの道 みんな赤いの? 190 00:15:11,452 --> 00:15:12,912 そうさのう 191 00:15:13,162 --> 00:15:14,997 わしには分からんが 192 00:15:15,289 --> 00:15:19,919 いいわ これから発見することが いっぱいあるなんてステキだもの 193 00:15:20,044 --> 00:15:23,213 もし何もかも知ってたら きっとつまらないわ 194 00:15:23,380 --> 00:15:26,091 だって想像することが なくなっちゃうでしょ? 195 00:15:26,967 --> 00:15:30,220 でもあたし 少しおしゃべり しすぎるかしら? 196 00:15:30,346 --> 00:15:31,347 黙ってるほうがいい? 197 00:15:32,389 --> 00:15:35,768 もしそう言ってくだされば すぐにおしゃべりをやめるわ 198 00:15:36,518 --> 00:15:38,562 決心すれば やめられるの 199 00:15:39,271 --> 00:15:40,564 骨は折れるけどね 200 00:15:40,689 --> 00:15:43,817 フフッ いや~ 好きなだけしゃべっていいよ 201 00:15:43,943 --> 00:15:45,319 わしゃ かまわんから 202 00:15:45,611 --> 00:15:47,321 まあ うれしい! 203 00:15:47,446 --> 00:15:49,990 きっと あたしとおじさん 馬が合うんだわ 204 00:15:51,325 --> 00:15:53,911 あたし いつも うるさくて かなわないって 205 00:15:54,036 --> 00:15:55,329 みんなに言われるの 206 00:15:56,288 --> 00:16:00,250 それにみんな あたしの言葉遣いが 大げさだって笑うのよ 207 00:16:00,709 --> 00:16:03,462 でも… 大きな考えを 伝えようとすれば 208 00:16:03,587 --> 00:16:06,006 言葉遣いだって 大きくなってしまうわよね 209 00:16:06,465 --> 00:16:07,800 そうさのう 210 00:16:08,258 --> 00:16:10,386 それももっとものようだが… 211 00:16:12,846 --> 00:16:14,974 (アン) スペンサーの奥さんに 聞いたんだけど 212 00:16:15,224 --> 00:16:17,267 おじさんのグリーン・ゲイブルズの 周りは 213 00:16:17,393 --> 00:16:19,603 ぐるっと木で 囲まれてるんですって? 214 00:16:19,895 --> 00:16:23,107 うれしいわ あたし 木が大好きなんだもの 215 00:16:23,482 --> 00:16:26,193 孤児院にはヒョロヒョロした木が 2~3本 216 00:16:26,485 --> 00:16:30,656 白い囲いの中にあるきりで まるで みなしごみたいなの 217 00:16:31,740 --> 00:16:34,326 その木を見て あたし よくこう言ったわ 218 00:16:34,994 --> 00:16:37,037 ああ~ かわいそうに 219 00:16:37,287 --> 00:16:41,709 もしお前たちが他の木と一緒に 大きな森で暮らしていて 220 00:16:41,834 --> 00:16:45,671 近くには小川が流れ 小鳥がさえずりに来てくれたら 221 00:16:45,796 --> 00:16:48,924 きっとお前たちも もっともっと大きくなれるのにって 222 00:16:54,638 --> 00:16:58,267 今朝 木を置いてくるのが とても心残りだったの 223 00:16:59,685 --> 00:17:02,146 グリーン・ゲイブルズのそばに 小川ある? 224 00:17:02,479 --> 00:17:04,565 スペンサーさんに聞くの 忘れたの 225 00:17:04,690 --> 00:17:07,693 う… そうさのう あることはあるがな 226 00:17:08,110 --> 00:17:09,278 まあステキ 227 00:17:09,403 --> 00:17:12,322 小川のそばに住むのが あたしの夢だったの 228 00:17:13,115 --> 00:17:16,618 でもまさか それがかなうとは 思わなかったわ 229 00:17:17,286 --> 00:17:19,788 夢が正夢になるなんて 230 00:17:20,205 --> 00:17:23,459 今 あたし完全に近いくらい幸せよ 231 00:17:23,667 --> 00:17:24,710 だけど… 232 00:17:25,335 --> 00:17:27,212 完全にとはいかないの 233 00:17:27,546 --> 00:17:28,714 なぜって… 234 00:17:30,049 --> 00:17:31,925 ねえ これ何色だと思う? 235 00:17:32,634 --> 00:17:33,594 うん? 236 00:17:34,511 --> 00:17:36,764 赤じゃないのかね 237 00:17:38,432 --> 00:17:40,517 そう… 赤なの 238 00:17:44,396 --> 00:17:48,734 これで なぜあたしが完全に 幸せになれないか分かったでしょ 239 00:17:50,027 --> 00:17:53,781 あたし そばかすや 痩せてることなんか気にしないわ 240 00:17:53,906 --> 00:17:56,325 そんなこと 想像で忘れてしまえるもの 241 00:17:57,159 --> 00:17:58,452 肌はバラ色で 242 00:17:58,577 --> 00:18:02,206 目は美しい星のような スミレ色だと思い込めるの 243 00:18:03,373 --> 00:18:05,084 でも赤い髪はダメ 244 00:18:05,709 --> 00:18:08,003 “あたしの髪はつややかな黒だ” 245 00:18:08,128 --> 00:18:10,422 “カラスのぬれ羽色を してるんだ”と 246 00:18:10,547 --> 00:18:13,675 一生懸命 心の中で思ってみるの 247 00:18:15,344 --> 00:18:18,347 でもやっぱり 赤い色は消えてくれないので 248 00:18:18,472 --> 00:18:20,682 胸が張り裂けそうになるの 249 00:18:22,935 --> 00:18:23,894 ふう… 250 00:18:26,188 --> 00:18:29,316 一生 ついて回る悲しみでしょうね 251 00:18:31,985 --> 00:18:33,070 いつか小説で 252 00:18:33,195 --> 00:18:36,240 一生悲しみ続ける 女の子のことを読んだけど 253 00:18:36,406 --> 00:18:38,867 赤い髪が原因じゃなかったわ 254 00:18:39,159 --> 00:18:41,787 その子の髪は混じりけのない 金色で 255 00:18:41,912 --> 00:18:43,372 あ~! カスバートさん 256 00:18:43,997 --> 00:18:46,583 カスバートさん カスバートさん! 257 00:18:46,708 --> 00:18:51,713 ♪~ 258 00:20:15,547 --> 00:20:20,552 ~♪ 259 00:21:05,097 --> 00:21:07,724 (イヌの鳴き声) 260 00:21:25,784 --> 00:21:27,077 疲れたかね? 261 00:21:28,287 --> 00:21:31,373 おなかが減ったのか? だがもうじきだよ 262 00:21:34,835 --> 00:21:35,836 はあ~ 263 00:21:37,754 --> 00:21:39,881 ああ~ カスバートさん 264 00:21:40,549 --> 00:21:43,677 さっき通った あの白いところ なんて言うの? 265 00:21:44,428 --> 00:21:45,887 そうさのう 266 00:21:46,638 --> 00:21:49,474 リンゴ並木のことを 言ってるのかな? 267 00:21:49,808 --> 00:21:52,227 あれはちょっとキレイなところだが 268 00:21:52,352 --> 00:21:55,939 キレイ? まあ キレイじゃ ピッタリしないわ 269 00:21:56,273 --> 00:21:58,066 美しいでもダメね 270 00:21:58,317 --> 00:22:00,027 どちらも言い足りないわ 271 00:22:00,944 --> 00:22:03,780 あ~ すばらしかったわ 272 00:22:04,614 --> 00:22:06,700 ここがジーンと痛くなったの 273 00:22:06,867 --> 00:22:08,618 おじさんは ならなかった? 274 00:22:09,953 --> 00:22:12,622 そ… そうさのう わしは別に 275 00:22:12,998 --> 00:22:14,833 あたしは しょっちゅうよ 276 00:22:15,083 --> 00:22:17,753 真から美しいものを見ると そうなるの 277 00:22:18,712 --> 00:22:22,883 でもあんな すばらしいところを ただのリンゴ並木だなんて 278 00:22:24,343 --> 00:22:28,513 そうだわ! “喜びの白い道” っていうのはどう? 279 00:22:28,889 --> 00:22:31,099 空想的ないい名前でしょ? 280 00:22:31,516 --> 00:22:33,560 “喜びの白い道” 281 00:22:34,311 --> 00:22:37,647 あたし 場所とか 人の名前が気に入らないと 282 00:22:37,856 --> 00:22:42,402 いつも自分で新しい名前を考えて そう思い込むことにしてるの 283 00:22:42,527 --> 00:22:46,281 今度からおじさんも “喜びの白い道”って呼んでね 284 00:22:46,990 --> 00:22:47,741 うん 285 00:22:50,243 --> 00:22:52,496 でも ホントに もうじき着いちゃうの? 286 00:22:53,163 --> 00:22:56,666 そうさのう あと1マイルぐらいだな 287 00:22:57,125 --> 00:22:58,293 わあ~ 288 00:22:59,002 --> 00:23:01,630 うれしいような 悲しいような気がするわ 289 00:23:02,255 --> 00:23:04,925 だってこのドライブ とっても楽しかったんですもの 290 00:23:05,383 --> 00:23:07,511 楽しいことがおしまいになると 291 00:23:07,803 --> 00:23:09,971 あたし いつも悲しくなるの 292 00:23:10,806 --> 00:23:13,642 その後でもっと楽しいことが 待ってるかもしれないけど 293 00:23:14,351 --> 00:23:17,604 それが大抵そうでない時のほうが 多いのよ 294 00:23:17,729 --> 00:23:19,606 あたしの経験ではね 295 00:23:21,399 --> 00:23:24,528 だけど 家に着くのかと思うと うれしいわ 296 00:23:25,195 --> 00:23:28,490 いよいよ本当の自分の家に 行くんだと思うと 297 00:23:28,824 --> 00:23:31,618 またジーンと ここが痛くなってくるわ 298 00:23:43,505 --> 00:23:46,633 (ナレーター) マシュウの心もまた ひどく痛んでいた 299 00:23:47,092 --> 00:23:50,762 この赤い髪の少女に 何もかも分かってしまう時が 300 00:23:50,887 --> 00:23:53,515 刻一刻と近づいてくるのかと思うと 301 00:23:53,723 --> 00:23:55,851 いてもたってもいられない気がした 302 00:23:56,309 --> 00:23:59,271 少女はそんなマシュウの悩みを 知るよしもなく 303 00:23:59,396 --> 00:24:03,024 うっとりと燃える夕日に 見とれていた 304 00:24:13,326 --> 00:24:16,329 美しく輝く湖を通り過ぎると 305 00:24:16,705 --> 00:24:17,789 馬車はいよいよ 306 00:24:17,914 --> 00:24:19,916 グリーン・ゲイブルズに 着いたのです 307 00:24:20,709 --> 00:24:23,920 次回 「マリラ・カスバート驚く」 308 00:24:24,045 --> 00:24:25,172 お楽しみに 309 00:24:27,757 --> 00:24:32,762 ♪~ 310 00:25:30,570 --> 00:25:35,575 ~♪