1 00:00:02,002 --> 00:00:04,004 (桜咲真幸) ごめんね 今日 応援行けなくて。 2 00:00:04,004 --> 00:00:06,006 休み希望 出してたんだけどさあ…。 3 00:00:06,006 --> 00:00:09,009 (桜咲朱音)いいよ 全然。 (真幸)私が良くない! 4 00:00:09,009 --> 00:00:12,012 だって あの破門じじいが 審査員なんでしょ? 5 00:00:12,012 --> 00:00:15,015 文句の一つでも 言ってやろうかと思ったのに。 6 00:00:15,015 --> 00:00:17,017 絶対 来ないでよ! マジで。 7 00:00:17,017 --> 00:00:20,020 (真幸)冗談よ! もう 本気にしないでよ! 8 00:00:20,020 --> 00:00:23,023 冗談に聞こえないから。 9 00:00:23,023 --> 00:00:25,025 (真幸)ねえ 気負ってるでしょ? 10 00:00:25,025 --> 00:00:27,027 いや! 別に そんなこと! 11 00:00:27,027 --> 00:00:31,031 あります~! ちょっと 顔 硬いもん。 12 00:00:31,031 --> 00:00:34,034 「何がなんでも勝ってやる~!」 って感じ? 13 00:00:34,034 --> 00:00:36,036 うるさいな。 悪いの? 14 00:00:36,036 --> 00:00:39,039 全然! むしろ そうなって当然でしょ。 15 00:00:39,039 --> 00:00:43,043 勝負は勝ってなんぼ! ガツンと一発かましてきな! 16 00:00:43,043 --> 00:00:46,046 言われなくても そのつもりです~。 17 00:00:46,046 --> 00:00:49,049 はいはい そうですか~。 18 00:00:50,050 --> 00:00:52,052 ねえ おっ母。 (真幸)ん? 19 00:00:53,053 --> 00:00:57,057 なんで 私の名前って 「朱音」なの? 20 00:00:57,057 --> 00:00:59,059 (真幸)えっ? 21 00:00:59,059 --> 00:01:12,072 ♬~ 22 00:02:43,030 --> 00:02:46,033 絶対 優勝できるって! マジで いけっから! 23 00:02:46,033 --> 00:02:48,035 (中央亭めがね) お… おう。 そうだよな…。 24 00:02:48,035 --> 00:02:50,037 (離井膳斗)「ちょいと待ってくれ…」。 25 00:02:50,037 --> 00:02:52,039 (藻湖家もこ)かわいく撮ってね。 26 00:02:53,040 --> 00:02:55,042 (昇平)ひいっ! (練磨家からし)なんだよ 昇平。 27 00:02:55,042 --> 00:02:57,044 おまえ 何 ブルってんの? 28 00:02:57,044 --> 00:02:59,980 (昇平)だ… だって 俺 本戦なんか初めてだし…。 29 00:02:59,980 --> 00:03:02,983 まさか 出られると 思わなかったからさ…。 30 00:03:02,983 --> 00:03:05,986 いやいや その緊張感 無駄だから。 31 00:03:05,986 --> 00:03:08,989 どうせ 優勝とかできっこねえんだから→ 32 00:03:08,989 --> 00:03:11,992 いい思い出 作って 帰りゃいいんだよ。 33 00:03:11,992 --> 00:03:13,994 (昇平)うるさいな! 分かってるよ! 34 00:03:13,994 --> 00:03:17,998 からしだって 今回は 楽勝ってわけにはいかないだろ? 35 00:03:17,998 --> 00:03:22,002 プロの声優もいるし それに 昨日の女子高生だって…。 36 00:03:22,002 --> 00:03:25,005 はあ? 女子高生? マジで言ってんの? 37 00:03:25,005 --> 00:03:28,008 全員の演目 見ただろ? 38 00:03:28,008 --> 00:03:30,010 どんだけ実力あるか知らねえけど→ 39 00:03:30,010 --> 00:03:36,016 はなから勝負捨ててる奴のことなんか ライバルとも思ってねえんだわ。 40 00:03:37,017 --> 00:03:39,019 (阿良川ぐりこ)いやあ 熱量すげえっすね! 41 00:03:39,019 --> 00:03:43,023 決勝ってのもあるんでしょうけど 学生イベント特有の熱がある…。 42 00:03:43,023 --> 00:03:46,026 (阿良川こぐま)ぐりこ。 何? これ。 43 00:03:46,026 --> 00:03:48,028 何って 変装に決まってるじゃないっすか。 44 00:03:48,028 --> 00:03:51,031 志ぐまの弟子がいることが もし 一生師匠にバレたら やばいでしょ! 45 00:03:51,031 --> 00:03:53,033 それに 今日は…。 46 00:03:53,033 --> 00:03:56,036 あのさあ こんな格好 逆に目立つって思わないの? 47 00:03:56,036 --> 00:03:59,973 頭 悪すぎ。 そもそも 何 この服 このセンス。 48 00:03:59,973 --> 00:04:01,975 (ぐりこ)あっ… いや… すみませ…。 49 00:04:01,975 --> 00:04:03,977 なんすか? その格好。 50 00:04:03,977 --> 00:04:05,979 おしゃれ? 51 00:04:06,980 --> 00:04:08,982 (足を踏む音) イッテェーッ! 52 00:04:08,982 --> 00:04:10,984 (こぐま)着替えてくる。 53 00:04:10,984 --> 00:04:13,987 (ぐりこ)あっ… 兄さん 俺も…。 あっ 痛い…。 54 00:04:13,987 --> 00:04:15,989 何やってるんすか マジで…。 55 00:04:15,989 --> 00:04:18,992 ああ~ じゃ 先生。 私も楽屋…。 56 00:04:19,993 --> 00:04:21,995 先生? (岩清水真智子)えっ…。 57 00:04:21,995 --> 00:04:24,998 楽屋 行って 着替えてきますね。 ああ… ええ。 58 00:04:29,002 --> 00:04:35,008 (ぐりこ)実は 朱音のおやじは 一生師匠に落語をやめさせられたんです。 59 00:04:35,008 --> 00:04:38,011 (岩清水)今年の審査員長は…。 60 00:04:38,011 --> 00:04:40,013 はっ…! 61 00:04:40,013 --> 00:04:44,017 (岩清水) 《あの表情の意味が やっと分かった》 62 00:04:44,017 --> 00:04:49,022 《きっと 並々ならない思いを抱えて この大会に挑んでいる》 63 00:04:49,022 --> 00:04:54,027 《大丈夫かしら? 今日の審査員は 阿良川一生》 64 00:04:54,027 --> 00:04:57,030 《その時の審査員が もう一人…》 65 00:04:57,030 --> 00:04:59,966 ♬~(阿良川一剣)「フンフンフフ~ン」 66 00:04:59,966 --> 00:05:01,968 (ノック) (ドアの開く音) 67 00:05:01,968 --> 00:05:04,971 (榊 龍若)失礼します! おはようございます! 68 00:05:04,971 --> 00:05:06,973 (一剣)ああ おはよう。 69 00:05:06,973 --> 00:05:10,977 (龍若)香水ですか? 相変わらず おしゃれですねえ。 70 00:05:10,977 --> 00:05:12,979 エチケットだよ。 71 00:05:12,979 --> 00:05:15,982 私も年なんでね におうと嫌じゃない。 72 00:05:15,982 --> 00:05:18,985 (龍若)そうですか? 僕は気になりませんけど。 73 00:05:18,985 --> 00:05:22,989 (一剣)気になる人もいるんだよ。 特に ニンニクのにおいなんかはね。 74 00:05:22,989 --> 00:05:24,991 (龍若)あっ…。 75 00:05:24,991 --> 00:05:28,995 (一剣)また ラーメンかい? 龍若ちゃんも好きだねえ。 76 00:05:28,995 --> 00:05:31,998 可楽杯の審査員以外で→ 77 00:05:31,998 --> 00:05:34,000 東京 来ること あんまないんで つい…。 78 00:05:34,000 --> 00:05:37,003 (一剣)さすがは 上方落語の星。 79 00:05:37,003 --> 00:05:41,007 大阪で大忙しだから 東京に来る暇がないもんねえ。 80 00:05:41,007 --> 00:05:44,010 ちょっ… 勘弁してくださいよ! 81 00:05:44,010 --> 00:05:46,012 一剣師匠だって 落語だけやのうて→ 82 00:05:46,012 --> 00:05:49,015 映画やドラマに大忙し。 83 00:05:49,015 --> 00:05:52,018 当主 阿良川一生を支える屋台骨→ 84 00:05:52,018 --> 00:05:55,021 阿良川四天王の一人。 85 00:05:55,021 --> 00:05:58,024 人呼んで 享楽の一剣。 86 00:05:59,960 --> 00:06:03,964 今や 名実ともに 阿良川ナンバー2の座に迫りつつある→ 87 00:06:03,964 --> 00:06:06,967 大先輩の足元にも及びませんよ。 88 00:06:06,967 --> 00:06:08,969 買いかぶりすぎ。 89 00:06:08,969 --> 00:06:12,973 それと うちの師匠の前で ナンバー2の話は禁句ね。 90 00:06:12,973 --> 00:06:15,976 シャレになんないから。 (龍若)ええっ 怖い怖い…。 91 00:06:15,976 --> 00:06:19,980 いや 共演NGとか いろいろ うわさは聞いてますけど→ 92 00:06:19,980 --> 00:06:24,985 一生師匠と志ぐま師匠 ほんまに そんな感じなんですか? 93 00:06:24,985 --> 00:06:27,988 まあ 当たらずともだねえ。 94 00:06:27,988 --> 00:06:33,994 先代が健在だった頃は 仲が良かったなんて話も聞くけど→ 95 00:06:33,994 --> 00:06:36,997 今じゃ 想像もつかないね。 (龍若)うわあ…。 96 00:06:36,997 --> 00:06:38,999 (一剣)それでも 昔と違って→ 97 00:06:38,999 --> 00:06:43,003 内と外で 顔を使い分けてくださるようになったし→ 98 00:06:43,003 --> 00:06:46,006 それ以上は望めんよ。 99 00:06:46,006 --> 00:06:50,010 いやいや 一生師匠は 今でも 十分 怖いですから。 100 00:06:50,010 --> 00:06:53,013 今日の審査だって どうなるか心配で…。 101 00:06:53,013 --> 00:06:56,016 (一剣)なあに… 見れば分かるさ。 102 00:06:57,017 --> 00:07:00,954 (めがね)「エヘヘ。 この辺で 熱いお茶が いっぱい怖い」。 103 00:07:00,954 --> 00:07:04,958 (拍手) 104 00:07:04,958 --> 00:07:07,961 (阿良川魁生) はい ありがとうございました。 105 00:07:07,961 --> 00:07:10,964 中央亭めがねさんで 『まんじゅうこわい』でした。 106 00:07:10,964 --> 00:07:13,967 いやあ 熱の入った一席でしたね。 107 00:07:13,967 --> 00:07:17,971 ええ~ では 一生師匠。 ご覧になって いかがでしたか? 108 00:07:24,978 --> 00:07:28,982 (阿良川一生)いやあ いい高座でしたね。 109 00:07:28,982 --> 00:07:30,984 ただ 間が惜しいな。 110 00:07:30,984 --> 00:07:33,987 緩急を意識すると もっと良くなるよ。 111 00:07:33,987 --> 00:07:35,989 (めがね)あっ あっ… ありがとうございます! 112 00:07:35,989 --> 00:07:37,991 《優しいなあ》 113 00:07:37,991 --> 00:07:40,994 《稽古の時と大違いだ》 114 00:07:41,995 --> 00:07:45,999 📺伝統芸能を 若い世代が果敢に継承せんとする…。 115 00:07:45,999 --> 00:07:49,002 (たたく音) 📺その姿勢がうれしいね。 116 00:07:49,002 --> 00:07:52,005 いや 若者に理解あるアピールくさすぎ。 117 00:07:52,005 --> 00:07:54,007 ちょっ… からし! 118 00:07:54,007 --> 00:07:56,009 え~ おまえも そう思わなかった? 119 00:07:56,009 --> 00:07:58,011 ん? 120 00:07:58,011 --> 00:08:00,947 何よ 寿限無ちゃん こっち見て。 恥じいじゃん。 121 00:08:00,947 --> 00:08:03,950 はあ!? 寿限無ちゃん!? 私は…。 122 00:08:03,950 --> 00:08:06,953 はいはい。 そんな君にクエスチョン。 123 00:08:06,953 --> 00:08:10,957 人生成功させるために必要な資本 これ な~んだ? 124 00:08:11,958 --> 00:08:13,960 えっ… シフォン? 125 00:08:14,961 --> 00:08:18,965 正解は 信頼できる自分自身。 126 00:08:19,966 --> 00:08:23,970 人生において 自己肯定感以上のバフはない。 127 00:08:23,970 --> 00:08:26,973 やばい時に どれだけ自分を信頼できるか。 128 00:08:26,973 --> 00:08:30,977 その信頼に足る根拠の積み立てが 重要なわけ。 129 00:08:30,977 --> 00:08:33,980 つまり 俺にはあんのよ。 130 00:08:33,980 --> 00:08:37,984 古典だ 伝統だと のたまう輩を 黙らせる自信が。 131 00:08:40,987 --> 00:08:43,990 (拍手) (魁生)ありがとうございました。 132 00:08:43,990 --> 00:08:45,992 それでは 続いての出演者になります。 133 00:08:45,992 --> 00:08:48,995 《問題は 次の彼…》 134 00:08:48,995 --> 00:08:50,997 《去年 おととしは ウケにウケたが…》 135 00:08:51,998 --> 00:08:57,003 (拍手と歓声) 136 00:08:57,003 --> 00:08:59,005 からし~! 待ってました! 137 00:08:59,005 --> 00:09:03,943 (龍若)《一生師匠は どう見る? 彼の落語を》 138 00:09:03,943 --> 00:09:08,948 (拍手) 139 00:09:10,950 --> 00:09:13,953 《見せてやんよ…》 140 00:09:13,953 --> 00:09:15,955 《新しい落語をなあ!》 141 00:09:20,960 --> 00:09:24,964 (からしの声)俺の好きなもの? ん~… お笑いかな。 142 00:09:24,964 --> 00:09:26,966 《…よりさ》 143 00:09:26,966 --> 00:09:30,970 (からしの声)俺の好きなもの? ん~… 落語かな。 144 00:09:30,970 --> 00:09:32,972 《…のほうが通っぽくね?》 145 00:09:33,973 --> 00:09:35,975 (足音) 146 00:09:35,975 --> 00:09:38,978 ⚟(先輩学生)「ちわー! 隠居います?」。 147 00:09:38,978 --> 00:09:40,980 「おお 八っつぁんかい。 こっちへお上がんなさ…」。 148 00:09:40,980 --> 00:09:42,982 おっ! 入部希望の方? 149 00:09:42,982 --> 00:09:44,984 まあ そんな感じで。 150 00:09:44,984 --> 00:09:46,986 〈でも…〉 151 00:09:46,986 --> 00:09:49,989 (先輩学生)「何ぃ? ほうきをかけるから 長いくぎを打ってくれ?」。 152 00:09:49,989 --> 00:09:51,991 「何を言ってやんでえ」。 153 00:09:51,991 --> 00:09:53,993 「こちとら大工だ。 ほうきをかけるって言われりゃ→ 154 00:09:53,993 --> 00:09:56,996 どのくれえのくぎを打ちゃあいいか 分かってらあ」。 155 00:09:56,996 --> 00:10:01,000 そう言って取り出したのは 八寸もある瓦っくぎ。 156 00:10:01,000 --> 00:10:03,002 「おい 金づちをよこしな」。 157 00:10:03,002 --> 00:10:06,005 《八寸…。 長さよな》 158 00:10:06,005 --> 00:10:09,008 《ピンとこねえって。 センチとかで言えよ》 159 00:10:09,008 --> 00:10:11,010 《つうか 瓦っくぎって何?》 160 00:10:11,010 --> 00:10:13,012 ⚟フガッ。 あっ? 161 00:10:13,012 --> 00:10:15,014 (寝息) 162 00:10:15,014 --> 00:10:17,016 《分かんねえって つまんねえよな》 163 00:10:18,017 --> 00:10:20,019 《だから 俺は…》 164 00:10:20,019 --> 00:10:23,022 知ったかぶりなんてのは どんな場所にもいるようで→ 165 00:10:23,022 --> 00:10:26,025 とある大学の研究室。 166 00:10:26,025 --> 00:10:31,030 大学院生が 教授を目の前に 自身の研究についての発表を行う。 167 00:10:31,030 --> 00:10:33,032 「えー 以上で 私が研究している→ 168 00:10:33,032 --> 00:10:37,036 畜産環境問題に関するプレゼンを 終わります」。 169 00:10:37,036 --> 00:10:39,038 「バッファを持ちつつ プライオリティーを決めた→ 170 00:10:39,038 --> 00:10:43,042 ベストプラクティスなスケジューリングで 研究は進捗しており」…。 171 00:10:43,042 --> 00:10:46,045 (古味沙恵)昨日から思ってましたけど→ 172 00:10:46,045 --> 00:10:50,049 この子の落語って 落語なのに 今の時代の話をしていて…。 173 00:10:50,049 --> 00:10:52,051 これ 大丈夫なんですか? 174 00:10:52,051 --> 00:10:55,054 なんですか? その顔。 (樫尾公久)あのなあ…。 175 00:10:55,054 --> 00:10:59,058 現代を舞台にした 自作の落語をやる落語家は プロにもいる。 176 00:10:59,058 --> 00:11:02,996 古典だけが落語じゃない。 記者なら ちゃんと調べとけ。 177 00:11:02,996 --> 00:11:04,998 (古味)す… すみません。 178 00:11:04,998 --> 00:11:06,100 じゃあ この噺は あの子のオリジナル? 179 00:11:06,100 --> 00:11:11,004 そうだけど そうじゃないんだな これが。 えっ? 180 00:11:12,005 --> 00:11:15,008 「ちょっといいかしら。 あなたの発表を聞かせてもらったけど→ 181 00:11:15,008 --> 00:11:18,011 BMの箇所は 再考の余地があると思うわ」。 182 00:11:18,011 --> 00:11:21,014 「B… B M…?」。 183 00:11:21,014 --> 00:11:24,017 「いっ… いやあ… そうかもしれませんね」。 184 00:11:26,019 --> 00:11:29,022 プライドが高く BMを知らないと言えない大学院生。 185 00:11:29,022 --> 00:11:34,027 自分の代わりに ゼミの学生に BMが何かを探らせる。 186 00:11:34,027 --> 00:11:38,031 「参ったな BMって なんだ? 全然 出てこねえ…」。 187 00:11:38,031 --> 00:11:40,033 「先輩 失礼しま~す」。 188 00:11:40,033 --> 00:11:43,036 「先日の 豚肉消費に関する レポートのことですけど」。 189 00:11:43,036 --> 00:11:46,039 「あっ そこの棚に資料」。 190 00:11:46,039 --> 00:11:49,042 「あっ そうだ。 ゼミ生 使って 調べよう」。 191 00:11:49,042 --> 00:11:53,046 「なあ おまえさ 2週間前に言った BMの件だけど」。 192 00:11:53,046 --> 00:11:55,048 「なんですか?」。 193 00:11:55,048 --> 00:11:57,050 「BMについて まとめろって」。 194 00:11:57,050 --> 00:11:59,052 「なんなら サンプル集めてこいって 言ったじゃんよ」。 195 00:11:59,052 --> 00:12:00,987 「えっ なんすか それ! 僕 聞いてな…」。 196 00:12:00,987 --> 00:12:02,989 「いや 言った!」。 「でも…」。 197 00:12:02,989 --> 00:12:06,993 「言ったから! まだなら 夕方までによろしく」。 198 00:12:06,993 --> 00:12:08,995 「え~っ?」。 199 00:12:08,995 --> 00:12:11,998 やっぱり 前に見た噺と似てる…。 200 00:12:11,998 --> 00:12:13,100 (こぐま)よく分かったね。 201 00:12:15,001 --> 00:12:20,006 これは『転失気』を現代風にアレンジした 改作落語。 202 00:12:20,006 --> 00:12:22,008 改作… ですか。 203 00:12:22,008 --> 00:12:26,012 (こぐま)噺の設定やキーになる言葉は違うけど 構造は同じ。 204 00:12:27,013 --> 00:12:30,016 「なんだよ 先輩。 そんなの言われた覚えないんだけどな…」。 205 00:12:30,016 --> 00:12:32,018 「BMって なんだ?」。 206 00:12:32,018 --> 00:12:37,023 「あっ。 ミカちゃん! ちょっといい? 今 BMについて調べててさ」。 207 00:12:37,023 --> 00:12:39,025 「あ~ そうなの」。 208 00:12:39,025 --> 00:12:43,029 「私 結構 好きなんだよね~。 ドラマとかショッピングとか→ 209 00:12:43,029 --> 00:12:47,033 やっぱり 地上波と違う楽しみ方ができる っていうのが魅力じゃない?」。 210 00:12:47,033 --> 00:12:50,036 「また アンテナがかっこいいっていうか…」。 211 00:12:50,036 --> 00:12:52,038 「あれ? どこ行くの?」。 212 00:12:52,038 --> 00:12:54,040 「それはBS!」。 213 00:12:54,040 --> 00:12:56,042 (観客の笑い声) 214 00:12:56,042 --> 00:12:59,045 (こぐま) 古典落語の骨格をベースに 舞台を現代→ 215 00:12:59,045 --> 00:13:02,982 かつ 学生中心の観客に身近な設定にして→ 216 00:13:02,982 --> 00:13:05,985 共感して笑えるポイントを たくさん盛り込んだ。 217 00:13:05,985 --> 00:13:07,987 「あ~ BMね」。 218 00:13:07,987 --> 00:13:10,990 「最近は 映像媒体もさまざまで面白いよな」。 219 00:13:10,990 --> 00:13:15,995 📺「インターネット限定とか タクシーの車内限定なんてのもあって→ 220 00:13:15,995 --> 00:13:18,998 好きなタレントが出てると つい いっぱい買っちゃったり」。 221 00:13:18,998 --> 00:13:21,000 (こぐま)いわば これは…。 222 00:13:21,000 --> 00:13:24,003 「それ CMだから! ったく どいつもこいつも…」。 223 00:13:24,003 --> 00:13:26,005 (観客の笑い声) 224 00:13:26,005 --> 00:13:29,008 (こぐま) 《可楽杯でウケることに特化した落語だよ》 225 00:13:29,008 --> 00:13:32,011 「あっ。 骨山! いいところにいたよ!」。 226 00:13:32,011 --> 00:13:35,014 「実は 今 急ぎでBMについて調べててさ」。 227 00:13:35,014 --> 00:13:37,016 「BM? あるよ 見る?」。 228 00:13:37,016 --> 00:13:39,018 「ホント!? 助かる~」。 229 00:13:39,018 --> 00:13:41,020 「ありがとな。 見せて 見せて」。 230 00:13:41,020 --> 00:13:43,022 「って これ!?」。 231 00:13:43,022 --> 00:13:47,026 「そう。 パパが買ってくれた 僕の新車さ」。 232 00:13:47,026 --> 00:13:50,029 「あっ 見るだけね。 僕 女の子しか乗せない主義だから。 じゃ」。 233 00:13:50,029 --> 00:13:53,032 「そのBMじゃな~い!」。 (観客の笑い声) 234 00:13:53,032 --> 00:13:55,034 「何が “パパが買ってくれた”だ!」。 235 00:13:55,034 --> 00:13:59,038 「あんな奴 馬鹿息子の略で BMじゃねえか」。 236 00:13:59,038 --> 00:14:04,977 《2年前の可楽杯… 初めて彼の落語を見た時は驚いた》 237 00:14:04,977 --> 00:14:07,980 《付け焼き刃の創作落語とは違う→ 238 00:14:07,980 --> 00:14:12,985 古典の噺が持つ 笑いを生み出す構造は しっかり残したまま→ 239 00:14:12,985 --> 00:14:17,990 抜群のワードセンスで 全く新しい噺に仕上げてみせた》 240 00:14:17,990 --> 00:14:19,992 《結果は文句なしの優勝》 241 00:14:19,992 --> 00:14:25,998 《そして 去年も他の学生を寄せつけず 可楽杯史上初の連続優勝を成し遂げた》 242 00:14:25,998 --> 00:14:30,002 《まさに 時代が生んだ 学生落語の異端児!》 243 00:14:30,002 --> 00:14:34,006 「すみません 教授。 BMって なんのことですか?」。 244 00:14:34,006 --> 00:14:36,008 「ああ BM」。 245 00:14:36,008 --> 00:14:38,010 「BMは Bowel Movementの略よ」。 246 00:14:38,010 --> 00:14:41,013 「意味は 便通 あるいは大便」。 247 00:14:41,013 --> 00:14:46,018 「えっ!? だ… 大便って その… つまり…→ 248 00:14:46,018 --> 00:14:48,020 う… うんこ!?」。 (観客の笑い声) 249 00:14:48,020 --> 00:14:53,025 「あら 家畜の排泄物処理は 畜産環境を語る上で避けて通れない問題よ」。 250 00:14:53,025 --> 00:14:56,028 《それだけに 気になる…》 251 00:14:56,028 --> 00:15:01,968 《当代一とうたわれる 一生師匠の目に 彼の落語が どう映るのか》 252 00:15:01,968 --> 00:15:03,970 「マジかよ…」。 253 00:15:03,970 --> 00:15:07,974 「はあ~ 俺はうんこについて 嗅ぎ回ってたのかよ」。 254 00:15:07,974 --> 00:15:11,978 「さっき 骨山に おまえのBM 見せて 見せて とか言っちゃったよ」。 255 00:15:11,978 --> 00:15:13,980 「んっ 臭ってきそうだな」。 256 00:15:13,980 --> 00:15:15,982 「って うるせえよ!」。 (観客の笑い声) 257 00:15:16,983 --> 00:15:18,985 イヒッ! 258 00:15:18,985 --> 00:15:21,988 ヒヒヒヒヒヒッ! ヒヒヒヒッ! 259 00:15:23,990 --> 00:15:25,992 イヒヒッ…! 260 00:15:25,992 --> 00:15:28,995 「ん? もしかして 先輩 BM 知らないんじゃ…」 261 00:15:28,995 --> 00:15:32,999 「あ~ 胸くそ悪い! こうなったら ウソ教えてやろう!」。 262 00:15:33,100 --> 00:15:38,004 さあ それから急いで ウソのレポートを書き上げまして。 263 00:15:39,005 --> 00:15:42,008 「先輩! BMのまとめとサンプル 持ってきました」 264 00:15:42,008 --> 00:15:44,010 「お~ ご苦労さん」。 265 00:15:44,010 --> 00:15:47,013 「ん? コーヒー?」。 266 00:15:47,013 --> 00:15:49,015 「瓶の中身はベルマークです」。 267 00:15:49,015 --> 00:15:53,019 「ああ…! ベルマークな! そうそうそう」。 268 00:15:53,019 --> 00:15:56,022 「ベルマークは 環境保全運動とかにも取り組んでいるから」。 269 00:15:56,022 --> 00:16:01,961 「さすが できる俺の後輩! またBMが必要な時は言うわ」。 270 00:16:01,961 --> 00:16:03,963 「はい すぐひねり出します」。 271 00:16:03,963 --> 00:16:05,965 「えっ?」。 「あっ 差し出します」。 272 00:16:05,965 --> 00:16:08,968 「じゃあ 先輩も踏ん張って。 あ~! ん~!」。 273 00:16:08,968 --> 00:16:11,971 「いや 頑張って レポートをまとめてください」。 274 00:16:11,971 --> 00:16:13,973 《時代は変わる》 275 00:16:13,973 --> 00:16:18,978 《なのに いつまでも時代劇を語っても 俺たちには刺さんねえって》 276 00:16:18,978 --> 00:16:21,981 (先輩学生)「まんじゅうだけは勘弁してくれ なんて言うもんだから→ 277 00:16:21,981 --> 00:16:24,984 そこで 長屋のみんなが集まって 枕元にまんじゅうを」…。 278 00:16:24,984 --> 00:16:26,986 すんません。 ん…? 279 00:16:26,986 --> 00:16:30,990 長屋って分かりにくいんで マンションとかに変えていいすか? 280 00:16:30,990 --> 00:16:33,993 あと 好物がまんじゅうって…。 281 00:16:33,993 --> 00:16:36,996 いや でもさ 『まんじゅうこわい』は 古典の名作だから…。 282 00:16:36,996 --> 00:16:39,999 あ~ もういいっすわ。 自分なりにやるんで。 283 00:16:39,999 --> 00:16:43,002 (先輩学生)いや ちょ… ちょっと! (昇平)お… おい! からし! 284 00:16:43,002 --> 00:16:45,004 (ドアの閉まる音) 285 00:16:45,004 --> 00:16:49,008 (司会者)第18回 可楽杯の優勝者は…。 (ドラムロール) 286 00:16:49,008 --> 00:16:53,012 (司会者)練磨家からし! 演目は 『アイドルこわい』でした! 287 00:16:53,012 --> 00:16:56,015 (拍手と歓声) 288 00:16:57,016 --> 00:17:00,953 (昇平)すっげえ! 初出場で優勝って すごすぎだって! 289 00:17:00,953 --> 00:17:03,956 別に… 客のニーズに応えただけだって。 290 00:17:03,956 --> 00:17:05,958 くっ…! 291 00:17:06,959 --> 00:17:10,963 (水瀬花恵)可楽杯 2年連続優勝の快挙…。 292 00:17:10,963 --> 00:17:12,965 ふーん。 293 00:17:12,965 --> 00:17:16,969 (水瀬)何? 練磨家からしって。 ダサっ。 はっ? うっせえわ。 294 00:17:16,969 --> 00:17:19,972 学生チャンピオンなんて なっちゃって。 295 00:17:19,972 --> 00:17:22,975 就職 諦めて 落語家にでもなるつもり? 296 00:17:22,975 --> 00:17:26,979 落語家? プロの? いやいや なるわけねえだろ。 297 00:17:28,981 --> 00:17:34,987 つうかさ… 勉強でもスポーツでも就活でも→ 298 00:17:34,987 --> 00:17:37,990 相手が 「これ欲しい」ってニーズを読んで→ 299 00:17:37,990 --> 00:17:41,994 ピンポイントで当てていくのが面白えんだろ。 300 00:17:41,994 --> 00:17:44,997 そうすりゃ 結果なんて おのずと付いてくるって。 301 00:17:44,997 --> 00:17:48,000 落語だって同じだよ。 302 00:17:48,000 --> 00:17:53,005 「実は 昨日 教授が言われたBMについて お話ししたいと思いまして」。 303 00:17:53,005 --> 00:17:56,008 「えっ! よりによって今? 食事中よ?」。 304 00:17:56,008 --> 00:17:59,946 「僕が環境問題に興味を持ったのは 中学の頃でして」。 305 00:17:59,946 --> 00:18:03,950 「BMを集めることが 環境保全につながると知りました」。 306 00:18:03,950 --> 00:18:08,955 「そして 身の回りに転がっている たくさんのBMを集めてきたんです」。 307 00:18:08,955 --> 00:18:10,957 「ためにためて10年分!」。 308 00:18:10,957 --> 00:18:12,959 「10年も!?」。 309 00:18:12,959 --> 00:18:17,964 「ええ。 今では 家族の協力もありまして 実家の押し入れに いっぱいになりました」。 310 00:18:17,964 --> 00:18:19,966 「今日は その一部をご覧いただければと」。 311 00:18:19,966 --> 00:18:21,968 「いえ 結構です」。 312 00:18:21,968 --> 00:18:23,970 「そんな遠慮なさらずに」。 「遠慮してません!」。 313 00:18:23,970 --> 00:18:26,973 「今 ここに出します!」。 「食卓ですよ!?」。 314 00:18:26,973 --> 00:18:30,977 (からしの声) 落語は 伝統芸能である前に大衆演芸。 315 00:18:30,977 --> 00:18:32,979 ウケてなんぼじゃん? 316 00:18:32,979 --> 00:18:35,982 (観客の笑い声) 317 00:18:36,983 --> 00:18:40,987 ♬~ 318 00:18:40,987 --> 00:18:43,990 イエ~ イエ~。 319 00:18:43,990 --> 00:18:46,993 ヘヘッ… フウ~! 320 00:18:46,993 --> 00:18:48,995 ハハハハッ! 321 00:18:50,997 --> 00:18:53,100 「こちらです!」。 「ああっ!!」。 322 00:18:55,001 --> 00:18:59,005 「ん…? これはコーヒー?」。 323 00:18:59,005 --> 00:19:03,009 「瓶の中身はベルマークです! 10年分のBMです!」。 324 00:19:03,943 --> 00:19:07,947 「…えっ? BM? ベルマ… BM?」。 325 00:19:07,947 --> 00:19:10,950 「あのね 畜産問題では→ 326 00:19:10,950 --> 00:19:14,954 大便 すなわちBowel Movementを BMっていうじゃない?」。 327 00:19:15,955 --> 00:19:18,958 「あ… そうそうそう そうですよね!」。 328 00:19:18,958 --> 00:19:23,963 「ですから僕は ずっと ベルマークを通して BMに取り組んでいたんですよ」。 329 00:19:23,963 --> 00:19:27,967 「いや 私が話をしているのは あなたの取り組みじゃなくて→ 330 00:19:27,967 --> 00:19:29,969 くみ取りの話よ」。 331 00:19:30,970 --> 00:19:37,977 (拍手と歓声) 332 00:19:37,977 --> 00:19:43,983 いや~ ありがとうございました。 練磨家からしさんで『BM』でした。 333 00:19:44,984 --> 00:19:47,987 非常にオリジナリティーのある高座でしたね。 334 00:19:47,987 --> 00:19:49,989 一剣師匠 いかがでしたか? 335 00:19:49,989 --> 00:19:53,993 いやあ ウケてたねえ。 切り口とテンポがいい。 336 00:19:53,993 --> 00:19:57,997 今度 私の高座でも かけさせてもらおうかな。 337 00:19:57,997 --> 00:20:03,002 ありがとうございます。 では 一生師匠 お願いします。 338 00:20:11,010 --> 00:20:15,014 正直に言って 私は笑えなかった。 339 00:20:19,018 --> 00:20:22,021 (一生)恐らく 君が笑わせようと狙っている層に→ 340 00:20:22,021 --> 00:20:24,023 私は入ってないんだろうね。 341 00:20:24,023 --> 00:20:30,029 その証拠に 同年代のお客様方に 今日 一番ウケていたのは→ 342 00:20:30,029 --> 00:20:33,032 間違いなく君だ! 343 00:20:35,034 --> 00:20:40,039 📺(一生)落語という共有財産を いかに「自分の噺」に仕上げるか。 344 00:20:40,039 --> 00:20:45,044 📺創意工夫を凝らすことは 落語家の宿命ともいえる。 345 00:20:46,045 --> 00:20:53,052 君がやった今日の一席は… 示唆に富んでいて とても面白かった。 346 00:20:53,052 --> 00:20:56,055 今後の活躍も期待しているよ。 347 00:21:00,993 --> 00:21:03,996 (昇平)めっちゃすげえじゃん! 阿良川一生から期待って…! 348 00:21:03,996 --> 00:21:06,999 うるせえ うるせえ リップサービス 真に受けんな。 349 00:21:06,999 --> 00:21:10,002 (昇平)その割には 顔 にやけてたよ? 350 00:21:10,002 --> 00:21:13,005 あ? うざっ ほっとけ! (昇平)痛っ! 351 00:21:14,006 --> 00:21:16,008 まあ でも 分かったろ。 352 00:21:16,008 --> 00:21:21,013 創意工夫のねえ古典じゃあ 俺には勝てねえってよ。 353 00:21:22,014 --> 00:21:24,016 確かに 厳しいかもね。 354 00:21:24,016 --> 00:21:27,019 (岩清水)練磨家さんが それだけうまかったということですか? 355 00:21:27,019 --> 00:21:30,022 (こぐま)うまさは 他の学生と大差ないよ。 356 00:21:30,022 --> 00:21:35,027 技術の未熟さを 演じる落語を改作することでカバーしている。 357 00:21:35,027 --> 00:21:38,030 素人離れした技術で 古典を真っすぐ演じる あの子とは→ 358 00:21:38,030 --> 00:21:40,032 真逆と言ってもいい。 359 00:21:44,036 --> 00:21:48,040 (こぐま)改作落語を あの男が評価すると思わなかった。 360 00:21:48,040 --> 00:21:51,043 いかにも嫌いそうなアプローチだったのに…。 361 00:21:55,047 --> 00:21:57,049 (こぐま)嫌な出順だな。 362 00:21:57,049 --> 00:22:00,986 ただでさえ 次の演者が→ 363 00:22:00,986 --> 00:22:03,989 「あの噺」をやるっていうのに。 364 00:22:09,995 --> 00:22:15,000 ♬~