1 00:00:34,902 --> 00:00:36,904 (高良木ひかる)この気配… 近い…! 2 00:00:38,906 --> 00:00:40,908 あっ…! くっ…! 3 00:00:40,908 --> 00:00:45,913 (魔物役声優)キ~ッヒヒヒヒヒ…! まんまと罠にかかったな サルエル! 4 00:00:45,913 --> 00:00:49,917 お仲間たちは 今頃 時の牢獄の中。 5 00:00:49,917 --> 00:00:54,922 二度と会えぬまま おまえは ここで俺の餌になるんだ! 6 00:00:54,922 --> 00:00:59,927 ノヴァの輝きがある限り 彼女たちが悪に屈することはないでしょう。 7 00:00:59,927 --> 00:01:01,929 それは この私も同じこと…! 8 00:01:01,929 --> 00:01:03,931 ほざけ! 小娘が! 9 00:01:03,931 --> 00:01:07,935 🔊(魔物役声優) 頭から丸かじりにしてくれるわ~! 10 00:01:07,935 --> 00:01:11,939 エデンの定めに従い 私が あなたを滅します…! 11 00:01:11,939 --> 00:01:14,942 シャイニーブレード!! 12 00:01:14,942 --> 00:01:17,945 🔊(魔物役声優)ぐわあああ~! 13 00:01:20,948 --> 00:01:23,951 お疲れさまでした。 (スタッフたち)お疲れさまでした。 14 00:01:34,895 --> 00:01:39,900 (円)雑誌インタビューは16時からなので この間に昼食を取っておきましょう。 15 00:01:39,900 --> 00:01:44,905 いえ… 食事は要りません。 事務所へ戻ってください。 16 00:01:44,905 --> 00:01:46,907 30分だけでも稽古がしたいので。 17 00:01:46,907 --> 00:01:48,909 (円)…分かりました。 18 00:01:50,911 --> 00:01:55,916 ♬~(出囃子) 19 00:01:55,916 --> 00:02:04,925 ♬~ 20 00:02:05,926 --> 00:02:18,939 ♬~ 21 00:03:44,891 --> 00:03:47,894 (女性客)さっきの人の落語 すごかったね! 22 00:03:47,894 --> 00:03:49,896 (女性客)さすが前回の優勝者って感じ。 23 00:03:49,896 --> 00:03:51,898 (女性客)ねえ! 24 00:03:51,898 --> 00:03:54,901 (古味沙恵)はあ~ 次は いよいよ…! 25 00:03:54,901 --> 00:03:58,905 いやあ 本日もサルエルさまの清らかなお声を 拝聴させていただけるなんて→ 26 00:03:58,905 --> 00:04:00,907 恐悦至極ですよねー。 27 00:04:00,907 --> 00:04:02,909 ああ 課金した~い! 28 00:04:03,910 --> 00:04:06,913 先輩? どうしました? 29 00:04:06,913 --> 00:04:08,915 何? あれ。 30 00:04:08,915 --> 00:04:11,918 アニメファンじゃない? 次 出るの 声優らしいし。 31 00:04:11,918 --> 00:04:13,920 声優!? 32 00:04:13,920 --> 00:04:16,923 (男性客)今年の可楽杯は よっぽど不作だったんだな…。 33 00:04:16,923 --> 00:04:19,926 落語やってない奴が 決勝に残るなんて…。 34 00:04:19,926 --> 00:04:21,928 ♬~(出囃子) 35 00:04:21,928 --> 00:04:24,931 (阿良川魁生) それでは 次の出演者に参りましょう。 36 00:04:24,931 --> 00:04:26,933 高良木ひかるです! 37 00:04:26,933 --> 00:04:29,936 (観客のどよめき) (拍手) 38 00:04:29,936 --> 00:04:32,873 (女性客)頑張ってー! (男性客)高良木! 39 00:04:32,873 --> 00:04:35,876 (女性客)応援してるよ~! (拍手) 40 00:04:35,876 --> 00:04:38,879 (阿良川一剣)《華があるのも考えようだね》 41 00:04:38,879 --> 00:04:43,884 《この空気… 観客は噺を聞くどころじゃない》 42 00:04:43,884 --> 00:04:48,889 《高座を成立させるには 観客の集中力が不可欠》 43 00:04:48,889 --> 00:04:51,892 《素人には難しいかな》 44 00:04:53,894 --> 00:04:57,898 「ちょいと おまえさん! おまえさん 起きとくれよ」。 45 00:04:57,898 --> 00:04:59,900 「おまえさん! 起きとくれ!」。 46 00:04:59,900 --> 00:05:05,906 「なんなんだよ? ええ? 邪険な起こし方するねぃ。 なんだい?」。 47 00:05:05,906 --> 00:05:10,911 「やだよ ねえ。 おまえさんね もう二十日も商い休んでるんじゃないかさ」。 48 00:05:10,911 --> 00:05:15,916 (一剣)《演目のせりふを利用して 客の意識を噺に向けた…》 49 00:05:15,916 --> 00:05:18,919 「あたしゃ ないおあし工面して 飲ましたんじゃないか。 ええ?」。 50 00:05:18,919 --> 00:05:22,923 「それを行かないってんなら 男らしくないよ? どうすんだい」。 51 00:05:22,923 --> 00:05:28,929 (一剣)《今年は 学生兼業の役者や声優も 多くエントリーしたらしいが…》 52 00:05:28,929 --> 00:05:33,867 「おまえさんね あたしゃ 昨日今日 魚屋の女房になったんじゃないんだよ」。 53 00:05:33,867 --> 00:05:35,869 「もう 糸底へ水がきちんと…」。 54 00:05:35,869 --> 00:05:39,873 (一剣)《なるほど。 大した度胸だよ》 55 00:05:39,873 --> 00:05:43,877 《この噺を選んだことも含めてね》 56 00:05:43,877 --> 00:05:46,880 모(扇子でたたく音) 모「おい おっ母! 俺だよ!」。 57 00:05:46,880 --> 00:05:48,882 모(扇子でたたく音) 모「開けちくれ! おっ母!」。 58 00:05:48,882 --> 00:05:53,887 모「はいはい おまえさんかい。 ちょいと待っとくれ。 今ね…」。 59 00:05:53,887 --> 00:05:55,889 모「はっ! どうしたんだい? おまえさん」。 60 00:05:55,889 --> 00:05:58,892 「いいから! いいから おめえ 後閉めろってんだよ!」。 61 00:05:58,892 --> 00:06:01,895 「おい 誰もついて来ちゃいねえか?」。 62 00:06:02,896 --> 00:06:06,900 (阿良川こぐま) 《『芝浜』は 最も有名な人情噺》 63 00:06:06,900 --> 00:06:09,903 《この選択は 多分 偶然…》 64 00:06:09,903 --> 00:06:12,906 《あの日 志ん太兄さんが破門になったのだって→ 65 00:06:12,906 --> 00:06:15,909 ネタ選びが理由とも考えにくい…》 66 00:06:15,909 --> 00:06:17,911 《とはいえ…》 67 00:06:17,911 --> 00:06:20,914 (雨の音) (門下生の声)えっ これ 本当なんですか!? 68 00:06:20,914 --> 00:06:22,916 (門下生)志ん太…。 69 00:06:22,916 --> 00:06:24,918 兄さん! どういうことですか!? 70 00:06:24,918 --> 00:06:28,922 (門下生)ギャグですよね? ねえ? ギャグですよね? 兄さん! 71 00:06:33,860 --> 00:06:37,864 (こぐま)《よりにもよって この状況で…》 72 00:06:37,864 --> 00:06:39,866 「そうじゃなくてね→ 73 00:06:39,866 --> 00:06:43,870 ちょいと おまえさんに 見てもらいたいんだよ」。 74 00:06:43,870 --> 00:06:45,872 「ただ いいかい?」。 75 00:06:45,872 --> 00:06:50,877 「おまえさん あたしの話が済むまで 怒らないで聞いてくれる?」。 76 00:06:51,878 --> 00:06:57,884 「おまえさんに見てもらいたいってのはねえ これなんだよ」。 77 00:06:57,884 --> 00:07:02,889 「おまえさんがね このおあし拾ってきた時 あたしは うれしかったよ」。 78 00:07:02,889 --> 00:07:05,892 「だって 貧乏のさなかだったもの」。 79 00:07:05,892 --> 00:07:11,898 「ああ これで明日から楽に暮らせる。 方々に借りが返せるって うれしかった」。 80 00:07:11,898 --> 00:07:18,905 「そしたらね 大家さんに叱られちゃった。 おめえたち夫婦は 何を考えてるんだって」。 81 00:07:18,905 --> 00:07:20,907 「じゃあ 野郎の酔いのさめねえうちに→ 82 00:07:20,907 --> 00:07:23,910 夢でもなんでもいいから おまえがウソでつき通せ→ 83 00:07:23,910 --> 00:07:25,912 っていうふうに言われて→ 84 00:07:25,912 --> 00:07:30,917 あたしが夢だって言ったら おまえさん 信じてくれたよ」。 85 00:07:30,917 --> 00:07:34,854 「でも 大家さん あたしだって つらいよ。 あの人は 一生懸命 頑張って…」。 86 00:07:34,854 --> 00:07:37,857 「おめえだって つらい思いをしたっていいんだ」。 87 00:07:37,857 --> 00:07:42,862 「おまえさんが 一生懸命 大好きなお酒を断って頑張ってる」。 88 00:07:42,862 --> 00:07:47,867 「だったら 連れ合いのあたしだって つらい思いをしたってバチは当たらないって→ 89 00:07:47,867 --> 00:07:50,870 大家さんに言われてさ」。 90 00:07:50,870 --> 00:07:54,874 「おまえさんが荷を担いで出かけていく 後ろ姿に→ 91 00:07:54,874 --> 00:07:58,878 あたしゃ 何度お辞儀したか分からないよ」。 92 00:07:58,878 --> 00:08:02,882 「長い間 あたしに ずっとウソをつかれて→ 93 00:08:02,882 --> 00:08:05,885 さぞ腹も立つかもしれないけど→ 94 00:08:05,885 --> 00:08:07,887 これが話の全てです」。 95 00:08:07,887 --> 00:08:10,890 「ぶつなり蹴るなり 好きにしておくれ」。 96 00:08:11,891 --> 00:08:15,895 (魁生)《高い演技力と感情のこもった声》 97 00:08:17,897 --> 00:08:20,900 (魁生)《そして 妻の描写を意図的に増やし→ 98 00:08:20,900 --> 00:08:25,905 心情を丁寧に表現することで 観客の共感を誘う…》 99 00:08:27,907 --> 00:08:29,909 (魁生)《言うなれば これは→ 100 00:08:29,909 --> 00:08:33,913 演劇的なアプローチで演じる 劇場型落語…》 101 00:08:34,848 --> 00:08:37,851 《人情噺を選ぶわけだ》 102 00:08:37,851 --> 00:08:41,855 「じゃあ おまえさん いいの? 許してくれるのかい?」。 103 00:08:43,857 --> 00:08:47,861 《最初は… 順調って思っとった》 104 00:08:47,861 --> 00:08:51,865 アクトプロデュースの高良木ひかるです! よろしくお願いします! 105 00:08:53,867 --> 00:08:55,869 🔊エデンの定めに従い…。 106 00:08:55,869 --> 00:08:57,871 (電話) 107 00:08:57,871 --> 00:08:59,873 (円)『エデンスノヴァ』のサルエル役 決まりました。 108 00:08:59,873 --> 00:09:02,876 本当ですか!? メインキャストの一角です。 109 00:09:02,876 --> 00:09:05,879 これは大きいですよ。 頑張りましょう! 110 00:09:05,879 --> 00:09:07,881 はい! 111 00:09:07,881 --> 00:09:11,885 《少しずつ仕事も増えて 役の幅も広がって…》 112 00:09:11,885 --> 00:09:16,890 《これで 「声優 高良木ひかるです」って 胸ば張れるって…》 113 00:09:17,891 --> 00:09:19,893 お疲れさまでした! ⚟(スタッフたち)お疲れさまでした! 114 00:09:19,893 --> 00:09:21,895 《けど…》 115 00:09:21,895 --> 00:09:23,897 (女性声優) また駄目だったー オーディション。 116 00:09:23,897 --> 00:09:25,899 私も連敗続いてる…。 117 00:09:25,899 --> 00:09:29,903 はあ~ ひかるちゃんみたいな ルックスだったらなー。 118 00:09:29,903 --> 00:09:34,841 (女性声優)言えてる。 絶対有利だよね。 ビジュアルいいほうがファンも喜ぶし。 119 00:09:34,841 --> 00:09:38,845 サルエル役で あのルックスだったら そりゃ人気も出るよね。 120 00:09:38,845 --> 00:09:45,852 ♬~ 121 00:09:45,852 --> 00:09:48,855 《けど 私は…》 122 00:09:49,856 --> 00:09:55,862 「そうじゃないよ 明日は正月だろ? お酒 買ってあるんだよ」。 123 00:09:55,862 --> 00:09:58,865 「どうだい? 一杯飲む?」。 124 00:09:59,866 --> 00:10:03,870 (円)…といったような理由で やはり 落語は難しいと思うんですが→ 125 00:10:03,870 --> 00:10:05,872 高良木さん ご理解いただけ…。 126 00:10:05,872 --> 00:10:08,875 それでも 可楽杯に出場します。 127 00:10:08,875 --> 00:10:10,877 (円)で… ですが…→ 128 00:10:10,877 --> 00:10:14,881 『エデンスノヴァ』という代表作を得たのに 何も今…。 129 00:10:14,881 --> 00:10:19,886 それは 作品が評価されたのであって 私が評価されたわけじゃありません。 130 00:10:19,886 --> 00:10:21,888 円さん。 131 00:10:21,888 --> 00:10:26,893 私は 演者 高良木ひかるとして 自分の力を試したいんです。 132 00:10:28,895 --> 00:10:30,897 (マウスのクリック音) 133 00:10:30,897 --> 00:10:33,900 (円)《彼女の演技力は 私も認めている》 134 00:10:33,900 --> 00:10:38,905 《だが 今ある仕事も人気も 容姿を評価されてのもの…》 135 00:10:38,905 --> 00:10:41,908 《芸能界の大御所に認められることで→ 136 00:10:41,908 --> 00:10:46,913 実力派へ転身を図りたい気持ちは 分かるが…》 137 00:10:46,913 --> 00:10:49,916 《落語は 物語を全て一人でしゃべる話芸》 138 00:10:49,916 --> 00:10:53,920 《一人のキャラを演じるのとは全く別物》 139 00:10:53,920 --> 00:10:58,925 《今のままでも 十分 仕事はあるのに なんで こんなことを…》 140 00:10:58,925 --> 00:11:01,928 ⚞「四十二両! かあ~っ!」。 141 00:11:01,928 --> 00:11:04,931 「油断も隙もあったもんじゃねえや ためこんで!」。 142 00:11:04,931 --> 00:11:06,933 ⚞「だから あたしのじゃ…」。 143 00:11:06,933 --> 00:11:08,935 ⚞ああっ もう できん!! むずい!! 144 00:11:10,937 --> 00:11:16,943 ⚞冷静にならんね ひかる! 私は東京の女。 かんしゃく 駄目 絶対。 145 00:11:16,943 --> 00:11:21,948 雑にせんと! 大丈夫 できる! 余裕! 146 00:11:22,949 --> 00:11:25,952 私は こんなもんじゃなかろうが…! 147 00:11:29,956 --> 00:11:31,958 (円)《私には見えていなかった》 148 00:11:31,958 --> 00:11:36,963 《彼女の武器は 容姿でも演技力でもない…》 149 00:11:37,897 --> 00:11:42,902 (円)《目標のために なりふり構わず突き進む がむしゃらさ…》 150 00:11:43,903 --> 00:11:45,905 「たまんねえや」。 151 00:11:47,907 --> 00:11:50,910 「あ~ いい香りだ…」。 152 00:11:51,911 --> 00:11:53,913 「おっ母…」。 153 00:11:53,913 --> 00:11:56,916 (円)《今は胸を張って言えます》 154 00:11:56,916 --> 00:12:00,920 《優勝するのは… 高良木ひかるです!》 155 00:12:00,920 --> 00:12:05,925 「そうじゃねえや また夢になるといけねえ」。 156 00:12:05,925 --> 00:12:18,938 (拍手と歓声) 157 00:12:18,938 --> 00:12:21,941 모(拍手と歓声) 158 00:12:21,941 --> 00:12:25,945 (樫尾公久)《やべえなあ。 今日一の歓声…》 159 00:12:25,945 --> 00:12:29,949 《『芝浜』… そして 阿良川一生…》 160 00:12:33,886 --> 00:12:37,890 (樫尾)《6年前に取材した 真打昇進試験と同じだ》 161 00:12:38,891 --> 00:12:42,895 (樫尾)《あの時は この雰囲気の中 例の騒動が起きた》 162 00:12:42,895 --> 00:12:44,897 (魁生)ありがとうございました。 163 00:12:44,897 --> 00:12:47,900 高良木ひかるさんで 『芝浜』でした。 164 00:12:47,900 --> 00:12:49,902 (拍手と歓声) 165 00:12:49,902 --> 00:12:51,904 《今回も何か起きるんじゃ…》 166 00:12:52,905 --> 00:12:55,908 一生師匠 ご覧になっていかがでしたか? 167 00:13:00,913 --> 00:13:02,915 (阿良川一生)私は→ 168 00:13:02,915 --> 00:13:07,920 学生が『芝浜』を演じるべきではないと 考えています。 169 00:13:08,921 --> 00:13:12,925 (一生)この噺の主題は 夫婦の愛。 170 00:13:12,925 --> 00:13:16,929 また 登場人物の感情の機微を 伝えられるだけの技量がないと→ 171 00:13:16,929 --> 00:13:18,931 面白く聞けない。 172 00:13:18,931 --> 00:13:22,935 学生が演じるには 非常に難しい噺だ。 173 00:13:23,936 --> 00:13:25,938 (一生)だからこそ→ 174 00:13:25,938 --> 00:13:31,944 妻の心情を描き切ってみせた あなたの表現者としての能力の高さに→ 175 00:13:31,944 --> 00:13:33,880 大変驚かされました。 176 00:13:33,880 --> 00:13:37,884 少々劇的ではありましたが 素晴らしい一席でした。 177 00:13:37,884 --> 00:13:39,886 (拍手) 178 00:13:39,886 --> 00:13:42,889 (魁生)一生師匠 ありがとうございました。 179 00:13:42,889 --> 00:13:44,891 龍若師匠 いかがでしたか? 180 00:13:46,893 --> 00:13:48,895 (スタッフ)お疲れさまでした! 181 00:13:48,895 --> 00:13:50,897 ありがとうございました。 182 00:13:53,900 --> 00:13:55,902 《終わった…》 183 00:13:55,902 --> 00:13:58,905 《もっとうまくできたな…》 184 00:13:58,905 --> 00:14:02,909 《最初のほう 少し 声 上ずっとったし》 185 00:14:02,909 --> 00:14:05,912 《しゃべるテンポも速かったっちゃない》 186 00:14:05,912 --> 00:14:09,916 《あの場面 もう少し 間を取るべきやったな…》 187 00:14:10,917 --> 00:14:13,920 《やばい… 駄目なところ挙げ出したら止まらん…》 188 00:14:14,921 --> 00:14:19,926 それは 作品が評価されたのであって 私が評価されたわけじゃありません。 189 00:14:20,927 --> 00:14:23,930 (拍手と歓声) 190 00:14:23,930 --> 00:14:26,933 (一生の声) あなたの表現者としての能力の高さに→ 191 00:14:26,933 --> 00:14:29,936 大変驚かされました。 192 00:14:34,874 --> 00:14:37,877 (練磨家からしの声)強いねえ 声優ちゃん。 193 00:14:37,877 --> 00:14:40,880 まあ でも 俺に次いで2位なら 大健闘でしょ。 194 00:14:40,880 --> 00:14:44,884 ホント 大したもんだよ。 (昇平)まだ終わってないから! 195 00:14:44,884 --> 00:14:47,887 はあ? もう終わったようなもんだろ。 なっ…! 196 00:14:47,887 --> 00:14:49,889 (昇平)また そんな失礼なことを! 197 00:14:49,889 --> 00:14:53,893 それに この後は あの『寿限無』の子だろ? あの子だって…。 198 00:14:53,893 --> 00:14:55,895 無理だよ。 見てみ? 199 00:14:55,895 --> 00:14:59,899 客 あからさまに緩んでるだろ? 200 00:14:59,899 --> 00:15:05,905 俺の改作と声優ちゃんの人情噺で 客は もう満足しちまった。 201 00:15:05,905 --> 00:15:08,908 こうなると あとは消化試合。 202 00:15:08,908 --> 00:15:11,911 しかも 次の演目は『寿限無』ときた。 203 00:15:11,911 --> 00:15:15,915 客の興味は 俺か声優ちゃん どっちが優勝するかだ。 204 00:15:15,915 --> 00:15:17,917 分かったろ? 205 00:15:17,917 --> 00:15:21,921 今年の可楽杯 もう終わってんだよ。 206 00:15:23,923 --> 00:15:25,925 (男性客)優勝は 2人のどっちかでしょ。 207 00:15:25,925 --> 00:15:28,928 (女性客)次 女子高生? かわいそう~。 208 00:15:28,928 --> 00:15:30,930 (男性客)トイレ行っとくわ。 209 00:15:30,930 --> 00:15:33,866 (阿良川ぐりこ) この空気… やばいっすね 兄さ…。 210 00:15:33,866 --> 00:15:35,868 兄さん!? 211 00:15:35,868 --> 00:15:37,870 あれ!? 先生も! 212 00:15:38,871 --> 00:15:40,873 (スタッフ)引率の先生と生徒さんですね。 213 00:15:40,873 --> 00:15:43,876 どうぞ。 楽屋は この先ですから。 214 00:15:43,876 --> 00:15:45,878 (岩清水真智子)ありがとうございます。 215 00:15:46,879 --> 00:15:48,881 (こぐま)僕を高校生扱い…。 216 00:15:48,881 --> 00:15:51,884 しかも それがまかり通るなんて まったく…。 217 00:15:51,884 --> 00:15:55,888 (岩清水)こぐまさんが控室に行きたいって 言ったんじゃないですか。 218 00:15:55,888 --> 00:15:57,890 少しは我慢してくださいよ。 219 00:15:58,891 --> 00:16:01,894 (岩清水)でも どうして このタイミングで? 220 00:16:03,896 --> 00:16:05,898 (こぐま)あの子は負けるよ。 221 00:16:05,898 --> 00:16:08,901 学生のレベルが想像以上に高かった。 222 00:16:08,901 --> 00:16:11,904 (岩清水)でも 桜咲さんだって…。 223 00:16:11,904 --> 00:16:15,908 父親の破門が割り切れなくて 落語家を目指す。 224 00:16:15,908 --> 00:16:19,912 そんな子が因縁の相手を前に 力を出し切れると思う? 225 00:16:21,914 --> 00:16:24,917 (こぐま)思いが強いほど 感情は抑制できない。 226 00:16:24,917 --> 00:16:26,919 それに あの空気だ。 227 00:16:26,919 --> 00:16:28,921 むちゃして けがしないよう 言ったほうが…。 228 00:16:34,861 --> 00:16:37,864 (桜咲朱音)こぐま兄さん… 先生も。 229 00:16:37,864 --> 00:16:41,868 《一見 いつもと変わらないけど…》 230 00:16:41,868 --> 00:16:45,872 (こぐま)へっちゃらって感じだけど 大丈夫なの? 231 00:16:45,872 --> 00:16:48,875 阿良川一生は見るのも嫌な相手でしょ。 232 00:16:48,875 --> 00:16:51,878 そんな男を前に 平常心でやれるの? 233 00:16:54,881 --> 00:16:59,886 兄さん 私 見たことあるんです。 阿良川一生の落語。 234 00:17:00,887 --> 00:17:03,890 師匠に入門をお願いする前に。 235 00:17:06,893 --> 00:17:09,896 ホント 変な感じなんですよ。 236 00:17:09,896 --> 00:17:12,899 おっ父にしたことは許せない。 237 00:17:12,899 --> 00:17:14,901 でも 高座を見て→ 238 00:17:14,901 --> 00:17:18,905 落語家を目指すのに あれを認められないのは ダサいよなって思っちゃった。 239 00:17:19,906 --> 00:17:21,908 感情ぐちゃぐちゃ。 240 00:17:21,908 --> 00:17:27,914 だから なんで おっ父を破門にしたのか その理由を知って→ 241 00:17:27,914 --> 00:17:29,916 ちゃんと前に進みたいんです。 242 00:17:31,918 --> 00:17:33,853 …そう。 243 00:17:33,853 --> 00:17:35,855 じゃあ 優勝できなきゃ前へ進めないね。 244 00:17:35,855 --> 00:17:37,857 ううっ…! 245 00:17:37,857 --> 00:17:40,860 もう そんな 出番前に重圧かけるようなこと…。 246 00:17:40,860 --> 00:17:42,862 大丈夫でしょ。 247 00:17:42,862 --> 00:17:44,864 うちの妹弟子は負けないよ。 248 00:17:47,867 --> 00:17:49,869 こぐま兄さん…。 249 00:17:50,870 --> 00:17:55,875 ♬~(出囃子) 250 00:17:55,875 --> 00:17:57,877 (こぐまの声)あの男に…。 251 00:18:00,880 --> 00:18:03,883 (こぐまの声)見せておいで。 252 00:18:03,883 --> 00:18:06,886 朱音の落語を。 253 00:18:06,886 --> 00:18:08,888 ♬~(出囃子) (拍手) 254 00:18:08,888 --> 00:18:12,892 (魁生)それでは 続いての出場者は あかねさんです! 255 00:18:12,892 --> 00:18:16,896 ♬~(出囃子) (拍手) 256 00:18:16,896 --> 00:18:18,898 《よし!》 257 00:18:18,898 --> 00:18:21,901 《一生師匠を前にして 気負ってる様子はねえな》 258 00:18:21,901 --> 00:18:23,903 ♬~(出囃子) 259 00:18:23,903 --> 00:18:26,906 《でも まだ 戦う準備ができたってだけ》 260 00:18:26,906 --> 00:18:29,909 《本番は ここからだ》 261 00:18:30,910 --> 00:18:33,846 (ぐりこ)《観客は 前2人の高座を見て→ 262 00:18:33,846 --> 00:18:36,849 この大会のピークは過ぎたと思ってる》 263 00:18:36,849 --> 00:18:39,852 《盛り上がり切って 空気が凪いじまった》 264 00:18:39,852 --> 00:18:43,856 《このアウェーの中 どうやるのか…》 265 00:18:43,856 --> 00:18:46,859 えー かくばかり偽り多き世の中に→ 266 00:18:46,859 --> 00:18:50,863 子のかわいさは誠なりけり なんてなことを申しまして。 267 00:18:50,863 --> 00:18:54,867 子供のかわいさなんてのは 持ってみないと分からないんだそうで。 268 00:18:54,867 --> 00:18:56,869 昔は 子供が生まれるってえと→ 269 00:18:56,869 --> 00:19:01,874 物知りのご隠居さんや お寺の和尚さんに 名付け親になってもらう。 270 00:19:01,874 --> 00:19:05,878 そんなことが 随分とあったんだそうでございます。 271 00:19:05,878 --> 00:19:10,883 「ねえ おまえさん どうするんだい? もう 子供が生まれて7日がたつんだよ」。 272 00:19:10,883 --> 00:19:12,885 「ああ… 初七日か」。 273 00:19:12,885 --> 00:19:15,888 「馬鹿だねえ。 お七夜っていうんだよ」。 274 00:19:15,888 --> 00:19:18,891 「お七夜? へえ~ 知らなかったねえ」。 275 00:19:18,891 --> 00:19:23,896 「これから お世話になるっつって 質屋の番頭にでも 顔見せに行くのかい?」。 276 00:19:23,896 --> 00:19:25,898 「そういうこと言ってんじゃないよ」。 277 00:19:25,898 --> 00:19:28,901 「いいかげん あの子に名前をつけてあげないと」。 278 00:19:28,901 --> 00:19:31,904 「いつまでも名無しの権兵衛ってわけにも いかないだろ?」。 279 00:19:31,904 --> 00:19:34,840 「う~ん… まあ そうだけどよ」。 280 00:19:34,840 --> 00:19:39,845 모「そうだ! お寺さん行ってさ 名前をつけてもらってきておくれよ」。 281 00:19:39,845 --> 00:19:42,848 모「寺? おお… 馬鹿言ってんじゃねえよ」。 282 00:19:42,848 --> 00:19:44,850 なんつうか…→ 283 00:19:44,850 --> 00:19:46,852 パッとしねえな。 284 00:19:46,852 --> 00:19:48,854 からし~! 285 00:19:48,854 --> 00:19:51,857 いや 言いたくもなんだろ。 286 00:19:51,857 --> 00:19:54,860 テンポ良く ヌルヌルしゃべってるとは思う。 287 00:19:54,860 --> 00:19:59,865 でも 昨日の予選は 言い立てじゃないとこでも うめえって観客がざわついてたのに→ 288 00:19:59,865 --> 00:20:02,868 今日は 全然 そんなことねえだろ? 289 00:20:02,868 --> 00:20:06,872 会場の空気見て 勝てないと分かったんだろ。 290 00:20:06,872 --> 00:20:10,876 にしても こんなに手ぇ抜くかねえ。 冷めるわ マジで。 291 00:20:10,876 --> 00:20:12,878 모「もうけやがって。 ええ?」。 292 00:20:12,878 --> 00:20:14,880 모「あの欲張り坊主…」。 293 00:20:14,880 --> 00:20:18,884 《予選と比べて おとなしすぎるとは思う。 やけど…》 294 00:20:18,884 --> 00:20:21,887 明日は 師匠の名に恥じない落語をしないと。 295 00:20:22,888 --> 00:20:24,890 《あげん言いよったとに→ 296 00:20:24,890 --> 00:20:27,893 簡単に勝負ば投げるやろか?》 297 00:20:27,893 --> 00:20:32,898 「和尚さんは物知りなんだから きっと いい名前を考えてくれるよ」。 298 00:20:32,898 --> 00:20:34,900 「う~ん… そうか?」。 299 00:20:34,900 --> 00:20:38,904 「まあ おめえが そう言うんなら ちょっと行ってくらあ」。 300 00:20:38,904 --> 00:20:40,906 「ちわ~! 和尚… 和尚いますか?」。 301 00:20:40,906 --> 00:20:44,910 「あっ これは熊五郎さん。 どうなさいましたか?」。 302 00:20:44,910 --> 00:20:47,913 「いやね 和尚 実は うちにガキが生まれましてね」。 303 00:20:47,913 --> 00:20:50,916 《今日は 随分 あっさりやるな…》 304 00:20:50,916 --> 00:20:52,918 (古味)フフッ…。 305 00:20:52,918 --> 00:20:55,921 フッ… フフッ…。 (樫尾)随分 楽しそうだな。 306 00:20:55,921 --> 00:20:58,924 えっ? そう見えます? 307 00:20:58,924 --> 00:21:01,927 ああ。 こういうのが好きなのか? 308 00:21:01,927 --> 00:21:04,930 う~ん 好きっていうか…→ 309 00:21:04,930 --> 00:21:09,935 作業中に流して見るアニメとかラジオの あの感じに近いんですよね。 310 00:21:09,935 --> 00:21:13,939 流し聞きで楽しめるんで 見てて楽というか…。 311 00:21:13,939 --> 00:21:15,941 なるほどね…。 312 00:21:15,941 --> 00:21:19,945 確かに 周りもリラックスして聞いてるな。 313 00:21:19,945 --> 00:21:21,947 (観客の笑い声) 「えー でな…」。 314 00:21:21,947 --> 00:21:23,949 《うん 悪くねえ》 315 00:21:23,949 --> 00:21:26,952 《高座で大事なのは お客さんを引きつけること》 316 00:21:26,952 --> 00:21:29,955 《ただ押せばいいってもんじゃねえ》 317 00:21:29,955 --> 00:21:32,892 《肝心なのは 相手に合わせたアプローチ》 318 00:21:32,892 --> 00:21:34,894 모「あっ そういう話ですか」。 319 00:21:34,894 --> 00:21:40,900 (こぐま)《それにしても この空気 大会というよりは まるで…→ 320 00:21:40,900 --> 00:21:42,902 寄席みたいだな》 321 00:21:42,902 --> 00:21:47,907 なんで 昨日みたいに 熱演って感じでやらないのかしら? 322 00:21:47,907 --> 00:21:49,909 逆効果だからだよ。 323 00:21:50,910 --> 00:21:55,915 (こぐま)この大会特有の緊張感や 熱に当てられた観客には→ 324 00:21:55,915 --> 00:21:58,918 あれぐらいの少し冷めてるトーンが心地いい。 325 00:21:58,918 --> 00:22:02,922 熱くやればいいってもんじゃないんだよね 落語って。 326 00:22:02,922 --> 00:22:06,926 (岩清水)臨機応変…。 すごいですね 桜咲さん。 327 00:22:06,926 --> 00:22:10,930 別に。 お客さんのニーズに応えただけ。 328 00:22:12,932 --> 00:22:16,936 (こぐま)相手の喜ぶことを考え 気を回して動く。 329 00:22:16,936 --> 00:22:18,938 ただの「気働き」さ。 330 00:22:19,939 --> 00:22:22,942 《目の前のお客さんを喜ばせる》 331 00:22:22,942 --> 00:22:25,945 《あくまで落語家として挑むってわけだ》 332 00:22:25,945 --> 00:22:28,948 《吉と出るか 凶と出るか…》 333 00:22:29,949 --> 00:22:31,951 (こぐま)舞台は整った。 334 00:22:31,951 --> 00:22:33,886 お手並み拝見だね。 335 00:22:33,886 --> 00:22:35,888 모「ありがとう」。 336 00:22:36,889 --> 00:22:40,893 「それで どのような名前をお望みかな?」。 337 00:22:42,895 --> 00:22:47,900 ♬~