1 00:00:09,476 --> 00:00:12,479 (メグ)ふぁ~… 眠てえ。 2 00:00:12,479 --> 00:00:14,481 (カーバンクル)キュー。 おっ…。 3 00:00:17,317 --> 00:00:19,319 (蓋を開ける音) 4 00:00:27,494 --> 00:00:30,664 フゥー。 5 00:00:30,664 --> 00:00:35,502 草木 我が命の元に その内なる力 示せ。 6 00:00:35,502 --> 00:00:38,338 なんじ あるべき姿 ここに もたらし➡ 7 00:00:38,338 --> 00:00:43,844 糧として一部となり 共にあれ 我ら常に 共にあらん。 8 00:00:46,513 --> 00:00:48,515 よし。 9 00:00:53,687 --> 00:00:56,189 (ファウスト)お入り。 失礼しま~す。 10 00:00:58,191 --> 00:01:01,161 おはよう メグ。 11 00:01:01,161 --> 00:01:03,964 これ 紅茶っす。 12 00:01:03,964 --> 00:01:07,134 ああ 悪いね。 13 00:01:07,134 --> 00:01:10,804 フゥー。 14 00:01:10,804 --> 00:01:13,607 よ~し ごはん あげるからね。 15 00:01:18,812 --> 00:01:22,482 よ~し しゃしゃしゃしゃ カーバンクル わしゃしゃしゃしゃしゃしゃ。 16 00:01:22,482 --> 00:01:26,153 よ~し しゃしゃしゃしゃしゃ…。 メグ。 17 00:01:26,153 --> 00:01:28,155 へい。 18 00:01:28,155 --> 00:01:31,158 お前 あと1年で死ぬよ。 19 00:01:31,158 --> 00:01:33,660 はっ? 20 00:01:36,330 --> 00:01:38,332 へっ? 21 00:01:38,332 --> 00:01:44,338 《空は晴れ 雲は 緩やかに流れる 秋口の穏やかな日。 22 00:01:44,338 --> 00:01:49,176 そして 今日は 私の17歳の誕生日。 23 00:01:49,176 --> 00:01:55,082 私 見習い魔女こと メグ・ラズベリーは あと1年で 死ぬらしいのです》 24 00:02:06,460 --> 00:02:11,465 プッ! ハッ… なんですか お師匠様 突然 冗談なんて おっしゃって。 25 00:02:11,465 --> 00:02:13,467 冗談じゃない。 26 00:02:13,467 --> 00:02:15,636 お前は 死ぬ運命にある。 27 00:02:15,636 --> 00:02:18,138 うそですよね? うそじゃない。 28 00:02:18,138 --> 00:02:20,307 あ~ サプライズとか? 29 00:02:20,307 --> 00:02:22,643 サプライズなんてしたことないだろ? 30 00:02:22,643 --> 00:02:24,644 ん~… わかった! 31 00:02:24,644 --> 00:02:26,647 テレビのドッキリだ。 ((大成功!)) 32 00:02:26,647 --> 00:02:28,982 バラエティーに出るように見えるかい? 33 00:02:28,982 --> 00:02:31,018 ハァ… 見えないです。 34 00:02:31,018 --> 00:02:33,854 残念だけど これは 事実だよ。 35 00:02:33,854 --> 00:02:36,823 お前は 死ぬんだ メグ・ラズベリー。 36 00:02:36,823 --> 00:02:39,826 あと1年後にね。 ん~… お師匠様。 37 00:02:39,826 --> 00:02:42,329 一応 今日 私の誕生日なんですけど。 38 00:02:42,329 --> 00:02:44,331 わかっているさ。 39 00:02:44,331 --> 00:02:46,833 それでも ごまかすわけにはいかない。 40 00:02:46,833 --> 00:02:51,672 お前は死ぬ。 そして このままじゃ お前の死は 避けられない。 41 00:02:51,672 --> 00:02:54,174 死ぬっていっても 一体どうして…。 42 00:02:54,174 --> 00:02:56,510 呪いだ。 呪い? 43 00:02:56,510 --> 00:02:58,679 お前は 呪いにかかっている。 44 00:02:58,679 --> 00:03:02,649 余命1年の 死の宣告の呪いにね。 45 00:03:02,649 --> 00:03:07,487 17歳になった今 その呪いが発動したんだ。 46 00:03:07,487 --> 00:03:09,623 死の宣告…。 47 00:03:09,623 --> 00:03:13,326 現代の魔女が知らない 古い呪いさね。 48 00:03:15,829 --> 00:03:19,633 なんでしょうか? 49 00:03:19,633 --> 00:03:22,302 かの者に情景を示せ。 50 00:03:22,302 --> 00:03:24,304 あっ… あっ! 51 00:03:30,510 --> 00:03:33,513 生まれつきの 持病みたいなもんでね。 52 00:03:33,513 --> 00:03:38,351 来年 18歳になると 体内時計の制御が効かなくなる。 53 00:03:38,351 --> 00:03:40,353 んっ…。 54 00:03:40,353 --> 00:03:45,492 すると 通常の1,000倍の速さで 老いていく。 55 00:03:45,492 --> 00:03:50,831 3日で 約10歳 1か月で 100歳 老いる。 56 00:03:50,831 --> 00:03:54,534 どれだけ長くても 1か月で 死ぬ呪いさ。 57 00:03:57,871 --> 00:04:01,108 そして 今のが 呪いで死ぬ お前の姿だ。 58 00:04:01,108 --> 00:04:03,443 私? 今のが? 59 00:04:03,443 --> 00:04:06,613 呪いを解くには どうすればいいのでしょうか。 60 00:04:06,613 --> 00:04:09,616 方法はない。 今のところね。 61 00:04:09,616 --> 00:04:13,620 じゃあ 呪いをかけた犯人は? お師匠様なら わかるでしょう? 62 00:04:13,620 --> 00:04:16,790 そいつを捕まえて 呪いを解く方法を聞き出せば…。 63 00:04:16,790 --> 00:04:18,792 生まれつきって言ったろ。 64 00:04:18,792 --> 00:04:22,796 言いかえりゃ 病気なのさ。 お前は 病気だ。 65 00:04:22,796 --> 00:04:26,133 17歳の うら若き乙女に なんてこと言いやがる! 66 00:04:26,133 --> 00:04:30,137 最期まで面倒見てやるから 安らかに眠りな。 67 00:04:30,137 --> 00:04:33,140 《むちゃくちゃ冷たいな この人。 68 00:04:33,140 --> 00:04:35,809 仮にも十数年 一緒に暮らしてきたのに。 69 00:04:35,809 --> 00:04:40,147 もう少し こう まな弟子に対する 愛情とかないのか?》 70 00:04:40,147 --> 00:04:42,149 まあ 冗談は さておき。 71 00:04:42,149 --> 00:04:46,153 助かる方法が ないわけじゃないよ。 はぁ? 72 00:04:46,153 --> 00:04:48,655 な~んだ 笑えない冗談 言ってないで➡ 73 00:04:48,655 --> 00:04:51,158 早く話してくださいよ。 74 00:04:51,158 --> 00:04:53,660 まあ 難しいのは 確かさ。 75 00:04:53,660 --> 00:04:56,496 時間的にも 内容的にもね。 76 00:04:56,496 --> 00:04:59,166 なんか 変な形の瓶ですけど。 77 00:04:59,166 --> 00:05:01,768 この ごみみたいな物は 一体…。 78 00:05:01,768 --> 00:05:04,437 ちったぁ 口を慎みな。 79 00:05:04,437 --> 00:05:07,741 この瞬間を刻み留めよ。 80 00:05:10,443 --> 00:05:12,946 今 この瓶に魔法をかけた。 81 00:05:12,946 --> 00:05:16,616 お前は 今日から ここに 感情のかけらを集めるんだ。 82 00:05:16,616 --> 00:05:19,953 感情のかけら? なんです? それ。 83 00:05:19,953 --> 00:05:23,123 文字どおり 人が抱く 強い感情さね。 84 00:05:23,123 --> 00:05:25,625 お前は それを集める。 85 00:05:25,625 --> 00:05:27,827 命の種ってのがあってね。 86 00:05:27,827 --> 00:05:34,668 人が持つ喜怒哀楽の感情のうち 喜びの感情で作られたものだ。 87 00:05:34,668 --> 00:05:36,636 どうやって 作るんですか? 88 00:05:36,636 --> 00:05:40,140 そいつに 私の 時魔法を込めておいた。 89 00:05:40,140 --> 00:05:43,310 感情のかけらを結晶にし 保管してくれる。 90 00:05:43,310 --> 00:05:47,480 お前は それに いろんな人の 喜びの感情を集めるんだ。 91 00:05:47,480 --> 00:05:52,853 人が喜んだときに流す涙 うれし涙をね。 92 00:05:52,853 --> 00:05:55,188 うれし涙…。 93 00:05:55,188 --> 00:05:58,858 うれし涙は 命の種を生む材料だ。 94 00:05:58,858 --> 00:06:01,928 命の種は お前の命を不死にする。 95 00:06:01,928 --> 00:06:05,765 つまり タイムリミットが来ても 寿命を保ってくれるのさ。 96 00:06:05,765 --> 00:06:07,767 ((へっちゃらさ!)) 97 00:06:07,767 --> 00:06:09,769 つまり私は 不老不死になる? 98 00:06:09,769 --> 00:06:12,439 術を外さなきゃね。 お~! 99 00:06:12,439 --> 00:06:14,441 もう お師匠様ったら。 100 00:06:14,441 --> 00:06:16,610 なんだかんだ 弟子が かわいいんでしょ? 101 00:06:16,610 --> 00:06:20,113 それで 一体 どれくらい 涙を集めればいいんですか? 102 00:06:20,113 --> 00:06:22,282 1,000人分だ。 103 00:06:22,282 --> 00:06:25,452 はい? 1,000粒 集めんだよ。 104 00:06:25,452 --> 00:06:31,124 人が本当に喜んだときに流す涙を 12か月で 1,000粒だ。 105 00:06:31,124 --> 00:06:33,126 1年でできます? それ…。 106 00:06:33,126 --> 00:06:36,630 奇跡でも起こせる魔女じゃなきゃ 不可能に近いよ。 107 00:06:36,630 --> 00:06:38,965 さいですか…。 108 00:06:38,965 --> 00:06:42,269 本当に クソみたいな話 ありがとうございました! 109 00:06:46,640 --> 00:06:48,642 ちょっと メグ どこ行くんだい? 110 00:06:48,642 --> 00:06:51,344 待ちな メグ! (ドアの開閉音) 111 00:06:54,981 --> 00:06:57,317 私は 死ぬ。 112 00:06:57,317 --> 00:07:01,121 《もし 本当に あと1年で 死ぬとするならば➡ 113 00:07:01,121 --> 00:07:04,791 私が 今まで やってきたことって なんなんだ? 114 00:07:04,791 --> 00:07:07,928 ばかみたいに 毎日 魔法の勉強をして➡ 115 00:07:07,928 --> 00:07:12,966 ばかみたいに仕事して 一生懸命やってきたはずなのに➡ 116 00:07:12,966 --> 00:07:16,469 その すべても 無駄だったというのか…》 117 00:07:16,469 --> 00:07:18,972 じゃあ 私が生きてる意味って なんだよ。 118 00:07:18,972 --> 00:07:21,641 誕生日なのに最低の気分だ。 119 00:07:21,641 --> 00:07:25,111 キュー。 んっ…。 120 00:07:25,111 --> 00:07:28,782 なんだよ かわいいやつめ ウヒヒヒ ヒヒヒ…。 121 00:07:28,782 --> 00:07:32,452 うほほほ 気持ちええのう 我。 122 00:07:32,452 --> 00:07:35,955 (アンナ)あっ… ファウスト様のとこの お姉ちゃん。 あっ…。 123 00:07:35,955 --> 00:07:38,792 何してるの? こんな所で。 124 00:07:38,792 --> 00:07:41,461 フッ… ちょっとね たそがれとるのだよ。 125 00:07:41,461 --> 00:07:43,630 ふ~ん。 キュー。 あっ! 126 00:07:43,630 --> 00:07:47,967 その子 かわいいね。 でしょ? なでてみる? 127 00:07:47,967 --> 00:07:52,305 へぇ~ アンナちゃん ここまで 1人で来たんだ。 128 00:07:52,305 --> 00:07:55,308 うん。 ファウスト様に お願いがあってきたの。 129 00:07:55,308 --> 00:07:57,310 お師匠様に? 130 00:07:57,310 --> 00:07:59,312 ママが ゆっくり 眠れるように➡ 131 00:07:59,312 --> 00:08:02,082 たくさんのお花を あげてくださいって。 132 00:08:02,082 --> 00:08:05,285 んっ? どういうこと? 私のママね➡ 133 00:08:05,285 --> 00:08:09,122 ずっと入院してたんだけど やっと病院から出られたの。 134 00:08:09,122 --> 00:08:12,459 でも ずっと眠ったまま 起きないの。 あっ…。 135 00:08:12,459 --> 00:08:15,128 パパがね 「今まで 頑張ってきたから➡ 136 00:08:15,128 --> 00:08:17,297 これからは 休むんだよ」って。 137 00:08:17,297 --> 00:08:19,632 だから ゆっくり眠れるように➡ 138 00:08:19,632 --> 00:08:23,303 いい匂いのするお花を 飾ってあげようと思うの。 139 00:08:23,303 --> 00:08:27,140 ふ~ん。 140 00:08:27,140 --> 00:08:30,810 《私は 小さいころに 両親を失ったらしい。 141 00:08:30,810 --> 00:08:33,480 らしいというのは 両親のことについて➡ 142 00:08:33,480 --> 00:08:35,982 あまり記憶がないのだ。 143 00:08:35,982 --> 00:08:40,320 孤児になった私を哀れに思い 受け入れてくれたのが…》 144 00:08:40,320 --> 00:08:44,290 ((おいで。 今日から お前は 家族だ。 145 00:08:44,290 --> 00:08:46,993 いいね? メグ・ラズベリー)) 146 00:08:52,298 --> 00:08:54,634 ねえ もし よかったらさ➡ 147 00:08:54,634 --> 00:08:56,636 アンナちゃんのお母さんに お花あげるの➡ 148 00:08:56,636 --> 00:08:59,139 お姉ちゃんに やらせてくれない? ほんと? 149 00:08:59,139 --> 00:09:01,241 うん! お姉ちゃんが➡ 150 00:09:01,241 --> 00:09:04,911 アンナちゃんのお願い かなえてあげる。 フフッ…。 151 00:09:04,911 --> 00:09:08,581 それで ママにあげる花って どんなのがいいの? 152 00:09:08,581 --> 00:09:12,085 ん~とね ママが好きな お花。 だから それなんや? 153 00:09:12,085 --> 00:09:15,922 ピンク色の すてきな お花。 ママが昔 見たんだって。 154 00:09:15,922 --> 00:09:18,091 もう一度 見たいって いっつも言ってた。 155 00:09:18,091 --> 00:09:20,593 え~… 漠然としてるな。 156 00:09:20,593 --> 00:09:23,596 おう! 見習い魔女ちゃんじゃねえか。 157 00:09:23,596 --> 00:09:25,598 また ファウスト様のお使いか? 158 00:09:25,598 --> 00:09:28,935 ヘヘッ そんなもんでごぜえやす。 頑張れよ。 159 00:09:28,935 --> 00:09:32,772 ファウスト様のとこの姉ちゃんじゃん。 仕事? さよう。 160 00:09:32,772 --> 00:09:36,443 おや ファウスト様のとこの。 揚げ芋できたけど 食べるかい? 161 00:09:36,443 --> 00:09:40,280 おばちゃん ありがとう。 この子の分も もらえる? 162 00:09:40,280 --> 00:09:43,450 あいよ。 うわ~! フフッ…。 163 00:09:43,450 --> 00:09:46,119 (フィーネ)あっ… メグ。 んっ? 164 00:09:46,119 --> 00:09:48,121 珍しいね こんな時間に。 165 00:09:48,121 --> 00:09:51,791 これはこれは 麗しの フィーネたそではありませんか。 166 00:09:51,791 --> 00:09:54,294 こんな所で出会うなんて まさに運命。 167 00:09:54,294 --> 00:09:56,996 結婚しよう。 それは 嫌っ。 168 00:10:01,134 --> 00:10:04,804 どったの? お姉ちゃん 有名人なんだね。 169 00:10:04,804 --> 00:10:06,806 そりゃそうだよ。 170 00:10:06,806 --> 00:10:10,643 何せ あの 七賢人の1人 ファウスト様の弟子なんだからさ。 171 00:10:10,643 --> 00:10:12,645 しちけんじん? 172 00:10:12,645 --> 00:10:16,316 世界で トップレベルに賢い 7人の魔導師のこと。 173 00:10:16,316 --> 00:10:19,152 じゃあ お姉ちゃんも いつか ファウスト様みたいになるの? 174 00:10:19,152 --> 00:10:21,988 そりゃあ もちろ…。 175 00:10:21,988 --> 00:10:24,657 ((お前 あと1年で死ぬよ)) 176 00:10:24,657 --> 00:10:27,660 だ~! 畜生が~! うわっ…。 177 00:10:27,660 --> 00:10:29,662 アンナちゃん 暗い話題は これくらいにして➡ 178 00:10:29,662 --> 00:10:32,499 さっさと行こう。 暗い話なんて いつしたっけ? 179 00:10:32,499 --> 00:10:36,002 あ~ よくよく考えたら 全然してないな。 180 00:10:36,002 --> 00:10:39,172 細かいこと気にすんな。 お姉ちゃん 変なの。 181 00:10:39,172 --> 00:10:41,174 生まれつきだよ。 182 00:10:41,174 --> 00:10:43,343 (アンナ)パパ お客さんだよ。 183 00:10:43,343 --> 00:10:46,346 (ヘンディ)ようこそ いらっしゃい。 おっ… なんだ。 184 00:10:46,346 --> 00:10:50,350 ヘンディさんじゃん。 あれ? ファウスト様のところの…。 185 00:10:50,350 --> 00:10:54,354 メグだよ。 メグ・ラズベリー。 お姉ちゃんと パパ 知り合いなの? 186 00:10:54,354 --> 00:10:59,859 ヘンディさんは うちのお得意様だよ。 よく見たら 私 ここ➡ 187 00:10:59,859 --> 00:11:03,129 何回か来たことあるな。 (アンナ)そうなの? 188 00:11:03,129 --> 00:11:05,632 よく魔法薬の発注を してもらっててね➡ 189 00:11:05,632 --> 00:11:07,967 私が届けに来てるんだ。 190 00:11:07,967 --> 00:11:11,638 まあ いつもは 病院側から 入ってもらってるしね。 191 00:11:11,638 --> 00:11:13,640 アンナとも 会ったことなかったかな? 192 00:11:13,640 --> 00:11:15,675 今日 初めて会いましたよ。 193 00:11:15,675 --> 00:11:18,645 お姉ちゃんはね ママに お花あげに来てくれたの。 194 00:11:18,645 --> 00:11:20,813 フフッ。 フフッ。 195 00:11:20,813 --> 00:11:25,818 イリスが好きだった花か。 よく飾ってくれてはいたけど➡ 196 00:11:25,818 --> 00:11:28,988 何が好きなのかは ちょっと覚えてないな。 197 00:11:28,988 --> 00:11:32,825 う~ん ヒントなしか。 (ヘンディ)そうだ。 んっ? 198 00:11:32,825 --> 00:11:35,995 アルバムがあったな。 何か わかるかもしれない。 199 00:11:35,995 --> 00:11:38,831 じゃあ アンナ 取ってくるね。 200 00:11:38,831 --> 00:11:42,001 フフッ… 元気な子ですね。 (ドアの閉まる音) 201 00:11:42,001 --> 00:11:45,672 おかげさまでね 妻は 病弱だったんだけど➡ 202 00:11:45,672 --> 00:11:48,508 あの子は 元気に育ってくれた。 203 00:11:48,508 --> 00:11:51,511 死んだ妻も 喜んでたよ。 204 00:11:51,511 --> 00:11:54,681 亡くなって 間もないんですか? 奥さん。 205 00:11:54,681 --> 00:11:57,517 (ヘンディ)1週間も たってないんだ。 206 00:11:57,517 --> 00:12:02,121 ちょうど午前の診察が 終わったばかりだから➡ 207 00:12:02,121 --> 00:12:04,290 お茶でも 飲んでいくかい? 208 00:12:04,290 --> 00:12:08,628 えっと… う~ん。 あっ…。 209 00:12:08,628 --> 00:12:11,331 (ヘンディ)あれ? (扉の開く音) 210 00:12:13,466 --> 00:12:15,969 んっ? (扉の閉まる音) 211 00:12:15,969 --> 00:12:19,305 どうにも 片づけが手に付かなくてね。 212 00:12:19,305 --> 00:12:22,809 なんか 手伝うことはあります? お客さんなんだからいいよ。 213 00:12:22,809 --> 00:12:24,811 んっ? 214 00:12:27,146 --> 00:12:29,816 ああ…。 薬草が気になるかい? 215 00:12:29,816 --> 00:12:34,654 すごい数… しかも 結構 珍しいのが多いですね。 216 00:12:34,654 --> 00:12:37,190 そっちのハーブも 薬用ですか? ああ…。 217 00:12:37,190 --> 00:12:39,859 そっちは 妻が趣味で集めてた ハーブだよ。 218 00:12:39,859 --> 00:12:41,995 何に使うのかは 知らないけど。 219 00:12:41,995 --> 00:12:43,997 何してんですか? 220 00:12:43,997 --> 00:12:47,834 いや お茶っ葉を探してるんだけど 見つからなくてね。 221 00:12:47,834 --> 00:12:51,671 ここにありますよ。 えっ… それ お茶っ葉なのかい? 222 00:12:51,671 --> 00:12:53,673 ハーブティーってあるでしょ? 223 00:12:53,673 --> 00:12:56,175 たぶん それに 使ってたんじゃないですかね。 224 00:12:56,175 --> 00:13:00,680 おっ… あっ… へぇ~ こんなのもあるんだ。 225 00:13:02,949 --> 00:13:04,951 うわっ…。 懐かしいな。 226 00:13:09,288 --> 00:13:12,125 ほら この写真 東洋に行ったときのやつだよ。 227 00:13:12,125 --> 00:13:16,629 (アンナ)うわ~。 (ヘンディ)この国では 不思議な経験をしてね。 228 00:13:16,629 --> 00:13:18,998 不思議な経験? どんな? どんな? 229 00:13:18,998 --> 00:13:22,502 山際の寺院を見に行ったときの ことなんだけど➡ 230 00:13:22,502 --> 00:13:24,504 雪が降ってたんだ。 231 00:13:24,504 --> 00:13:28,341 すっかり春で 暖かかったのに 不思議だったな。 232 00:13:28,341 --> 00:13:31,177 春なのに雪が降ってたんですか? 233 00:13:31,177 --> 00:13:33,346 (ヘンディ)しかも 空は晴れててね。 234 00:13:33,346 --> 00:13:38,184 そんなこと起こるはずないのに ピンクの雪が舞い落ちてきて。 235 00:13:38,184 --> 00:13:41,321 本当に きれいだったな。 236 00:13:41,321 --> 00:13:43,489 ピンクの雪? すご~い! 237 00:13:43,489 --> 00:13:45,992 暖かい季節に降る…。 238 00:13:45,992 --> 00:13:49,328 今思えば 何もしてあげられなかったな。 239 00:13:49,328 --> 00:13:53,666 アンナが生まれてからは ほとんど 家のことも任せっきりで➡ 240 00:13:53,666 --> 00:13:57,704 家族を食わせなきゃって その一心で頑張ってきたけど。 241 00:13:57,704 --> 00:14:00,306 パパ? こんなことなら➡ 242 00:14:00,306 --> 00:14:05,111 無理をしてでも 旅行くらい 行けばよかった。 243 00:14:05,111 --> 00:14:07,113 えっと お茶を…。 244 00:14:09,315 --> 00:14:13,453 うわっ… いい匂い。 でしょ? ハーブティーは うまいんだよ。 245 00:14:13,453 --> 00:14:16,122 実は 隠し味も… あっ。 246 00:14:16,122 --> 00:14:18,124 んっ? ねえ アンナちゃん➡ 247 00:14:18,124 --> 00:14:20,793 お母さんの寝てる所って ここから近い? 248 00:14:20,793 --> 00:14:24,630 うん すぐだよ。 じゃあ 連れてってよ。 249 00:14:24,630 --> 00:14:28,134 ピンクの雪と お母さんの好きな花 見せたげる。 250 00:14:36,342 --> 00:14:40,179 (アンナ)本当は 知ってるんだ 私。 何を? 251 00:14:40,179 --> 00:14:42,515 ママは もう起きないんだよね。 252 00:14:42,515 --> 00:14:45,518 そっか… アンナちゃん わかってたんだ。 253 00:14:45,518 --> 00:14:47,520 ねえ お姉ちゃん。 254 00:14:47,520 --> 00:14:50,590 世界一の魔女でも ママを起こせないの? 255 00:14:54,360 --> 00:14:59,866 うん… 誰も アンナちゃんの お母さんを起こすことはできない。 256 00:14:59,866 --> 00:15:04,103 ママが眠っちゃう前にね アンナに言ったの。 257 00:15:04,103 --> 00:15:06,606 「パパをお願い」ってね。 258 00:15:06,606 --> 00:15:09,275 パパ ずっと元気なくて➡ 259 00:15:09,275 --> 00:15:14,447 いつも ママの写真を見て 悲しそうな顔をしててね。 260 00:15:14,447 --> 00:15:17,283 だから ママが ゆっくり お休みできたら➡ 261 00:15:17,283 --> 00:15:19,952 パパも 安心できるかなって。 262 00:15:19,952 --> 00:15:22,955 ひょっとして お花を用意しようとしたのは➡ 263 00:15:22,955 --> 00:15:27,126 パパのため? ママに ゆっくり眠ってほしいし➡ 264 00:15:27,126 --> 00:15:30,129 パパにも 元気でいてほしい。 そっか。 265 00:15:30,129 --> 00:15:32,298 (ヘンディ)お~い! (2人)んっ? 266 00:15:32,298 --> 00:15:34,300 ハァハァ…。 ヘンディさん? 267 00:15:34,300 --> 00:15:38,137 ハァハァ… どうしても 気になってね。 268 00:15:38,137 --> 00:15:40,973 午後の診察は 遅らせてきた。 269 00:15:40,973 --> 00:15:45,311 それで イリスが好きだった 花の正体 わかったのかい? 270 00:15:45,311 --> 00:15:49,148 うん… といっても 確証があるわけじゃないんだけど。 271 00:15:49,148 --> 00:15:51,484 バラと ヤグルマギクと アイリス。 272 00:15:51,484 --> 00:15:53,986 アンナちゃんのお母さんが 飾ってたのは➡ 273 00:15:53,986 --> 00:15:57,990 全部 旅行に行った国を 象徴する花だった。 274 00:15:57,990 --> 00:16:01,461 大好きな国の花を見せることで アンナちゃんに少しでも➡ 275 00:16:01,461 --> 00:16:03,963 世界を見てもらおうと していたんじゃないかな。 276 00:16:03,963 --> 00:16:07,967 そうだったのか。 そして 最後に1つだけ➡ 277 00:16:07,967 --> 00:16:10,303 どうしても 用意できないものがあった。 278 00:16:10,303 --> 00:16:12,305 たぶん それは アンナちゃんに➡ 279 00:16:12,305 --> 00:16:16,275 いちばん見せたかった ものなんじゃないかって思う。 280 00:16:16,275 --> 00:16:20,446 アンナちゃん 東洋にはね ソメイヨシノって木があるんだよ。 281 00:16:20,446 --> 00:16:23,282 ソメ? ソメイヨシノ。 282 00:16:23,282 --> 00:16:26,586 品種は桜。 春先に咲く花だよ。 283 00:16:31,457 --> 00:16:34,961 んっ? んっ? 284 00:16:34,961 --> 00:16:38,331 我が声よ 届け。 285 00:16:38,331 --> 00:16:41,834 大地の豊じょうよ 木々の豊じゅんよ。 286 00:16:41,834 --> 00:16:43,836 あまねく 奇跡を聞き届け➡ 287 00:16:43,836 --> 00:16:47,506 我が元に かつての色彩を よみがえらせよ。 288 00:16:47,506 --> 00:16:52,845 幻影は形となり 形は夢を見せ 夢は希望を授け➡ 289 00:16:52,845 --> 00:16:55,348 あまねく 奇跡は ここにあり。 290 00:16:55,348 --> 00:16:58,351 果ては 東より その色彩を浮かばせ➡ 291 00:16:58,351 --> 00:17:00,820 美しい姿を見せて。 292 00:17:10,096 --> 00:17:12,431 うわ~! 293 00:17:12,431 --> 00:17:14,934 すごい。 294 00:17:14,934 --> 00:17:17,770 桜の再構築魔法だよ。 キュー キュー。 295 00:17:17,770 --> 00:17:21,440 とは言っても 一時的な 幻影みたいなもんだけど。 296 00:17:21,440 --> 00:17:24,944 《いやいや いやいや… ちょっと うまく いきすぎでしょ。 297 00:17:24,944 --> 00:17:28,114 これ ほんとに私がやったの?》 298 00:17:28,114 --> 00:17:30,283 ああ…。 (せきばらい) 299 00:17:30,283 --> 00:17:32,285 ヘンディさんは ずっと 奥さんに➡ 300 00:17:32,285 --> 00:17:36,289 苦労させてしまったことが 心残りだったかもしれない。 301 00:17:36,289 --> 00:17:39,125 でも きっと ヘンディさんの 本当の気持ちも➡ 302 00:17:39,125 --> 00:17:41,627 奥さんには ちゃんと わかってた。 303 00:17:41,627 --> 00:17:43,996 家にあった ハーブ。 304 00:17:43,996 --> 00:17:49,635 あれは どれもヘンディさんの体調に 合わせたものが選ばれてたんだ。 305 00:17:49,635 --> 00:17:52,471 ハーブに 桜に たくさんの花に。 306 00:17:52,471 --> 00:17:56,075 こんなに家族を思ってる人 他にいないよ。 307 00:17:59,478 --> 00:18:02,448 アンナちゃん。 んっ? 308 00:18:02,448 --> 00:18:05,284 お母さんは きっと もう大丈夫。 309 00:18:05,284 --> 00:18:07,286 だって 大好きな アンナちゃんに➡ 310 00:18:07,286 --> 00:18:11,290 自分が いちばん見せたかった花を 見せることができたんだから。 311 00:18:11,290 --> 00:18:13,292 メグちゃん…。 312 00:18:13,292 --> 00:18:17,964 もう アンナ 我慢しなくていい? (泣き声) 313 00:18:17,964 --> 00:18:20,299 うん 大丈夫だよ。 314 00:18:20,299 --> 00:18:22,969 よく頑張ったね アンナちゃん。 315 00:18:25,137 --> 00:18:27,139 うん。 316 00:18:27,139 --> 00:18:34,814 アンナね ママがいなくなってから ずっと ずっと 寂しかったの。 317 00:18:34,814 --> 00:18:38,317 パパが元気なくて ママも いなくなっちゃって➡ 318 00:18:38,317 --> 00:18:40,653 ずっと ずっと…。 319 00:18:40,653 --> 00:18:42,989 アンナ… ごめん アンナ。 320 00:18:42,989 --> 00:18:45,992 パパ もう大丈夫だから。 321 00:18:45,992 --> 00:18:49,328 もう アンナに 寂しい思いはさせない。 322 00:18:49,328 --> 00:18:51,330 うん! 323 00:18:51,330 --> 00:18:58,004 (泣き声) 324 00:18:58,004 --> 00:19:01,941 アンナちゃんのお母さんは 自分がいなくなったあとも➡ 325 00:19:01,941 --> 00:19:04,610 2人に笑ってほしかったんだ。 326 00:19:04,610 --> 00:19:15,087 ♬~ 327 00:19:15,087 --> 00:19:17,757 (アンナ)ありがとう メグちゃん。 328 00:19:17,757 --> 00:19:20,259 メグちゃん いつか ファウスト様みたいになる? 329 00:19:20,259 --> 00:19:22,595 えっ… なんだよ 急に。 330 00:19:22,595 --> 00:19:25,264 だって だって メグちゃんは ママの大切な花を➡ 331 00:19:25,264 --> 00:19:28,267 見つけてくれたんだもん。 きっと ファウスト様より➡ 332 00:19:28,267 --> 00:19:31,971 ずっと すごい魔女になるって アンナ 信じてる。 333 00:19:31,971 --> 00:19:34,473 え~っと…。 だから 約束して。 334 00:19:34,473 --> 00:19:38,644 《言えない… 私が あと1年で 死んでしまうだなんて》 335 00:19:38,644 --> 00:19:41,447 あっ…。 大丈夫さ アンナ。 336 00:19:41,447 --> 00:19:43,949 なれるよ メグちゃんなら。 337 00:19:43,949 --> 00:19:47,319 永年の魔女 ファウスト様を越える 未来の大魔導師に。 338 00:19:47,319 --> 00:19:50,322 えっ!? ヘヘッ…。 339 00:19:50,322 --> 00:19:52,324 ああ… うぅ…。 340 00:19:52,324 --> 00:19:55,161 うわ~… ヘヘッ。 341 00:19:55,161 --> 00:19:59,298 うっ… わかったよ。 342 00:19:59,298 --> 00:20:02,635 じゃあ いつか 私が すごい大魔導師になったら➡ 343 00:20:02,635 --> 00:20:06,472 そのときは 幻じゃなくて 本物の桜を見せたげる。 344 00:20:06,472 --> 00:20:09,275 ほんと? まあ 期待しててよ。 345 00:20:11,477 --> 00:20:14,980 死んだ魚みたいな顔で 帰ってくると思いきや➡ 346 00:20:14,980 --> 00:20:17,483 ずいぶんと 光を取り戻しているじゃないか。 347 00:20:17,483 --> 00:20:20,319 人を魚と一緒に しないでいただきたい。 348 00:20:20,319 --> 00:20:24,490 ねえ お師匠様 これって うれし涙っすかね? 349 00:20:24,490 --> 00:20:29,662 違うね それは 喜びと悲しみが混ざった涙だ。 350 00:20:29,662 --> 00:20:31,831 純粋な うれし涙じゃない。 351 00:20:31,831 --> 00:20:33,833 そうっすか。 352 00:20:33,833 --> 00:20:36,669 うれし涙じゃないけど…。 あっ…。 353 00:20:36,669 --> 00:20:41,040 清らかな涙だね。 普通にはない 強い力を感じる。 354 00:20:41,040 --> 00:20:46,011 清らか? ああ… きれいで 澄みきった 優しい感情だ。 355 00:20:46,011 --> 00:20:49,882 だから 瓶が間違って 集めちゃったってことっすか? 356 00:20:49,882 --> 00:20:52,852 フッ… かもしれないね。 357 00:20:52,852 --> 00:20:55,688 あの… なんか喜んでます? 358 00:20:55,688 --> 00:21:00,126 お前は 人の心を開かせることが できる魔女なんだね。 359 00:21:00,126 --> 00:21:03,963 そんなもん できたとこで クソの役にも立ちまへんがな。 360 00:21:03,963 --> 00:21:06,799 ちったぁ 素直に 褒め言葉を受け取りな。 361 00:21:06,799 --> 00:21:11,303 大体 なんで 1年前になって 今更 呪いの話なんてしたんすか? 362 00:21:11,303 --> 00:21:13,973 せめて あと5~6年あったら…。 363 00:21:13,973 --> 00:21:17,643 5~6年あったら 成し遂げられたって? いえ…。 364 00:21:17,643 --> 00:21:20,646 《自分の性格なんて よくわかっている。 365 00:21:20,646 --> 00:21:22,648 そんなときに言われても➡ 366 00:21:22,648 --> 00:21:24,650 時間があるからって 何もしないで➡ 367 00:21:24,650 --> 00:21:28,487 そのまま最期の日を 迎えていただろう》 368 00:21:28,487 --> 00:21:33,492 今のお前だから 言う価値と 運命に あらがう力があるんだよ。 369 00:21:33,492 --> 00:21:36,162 運命に あらがう…。 370 00:21:36,162 --> 00:21:38,330 それで どうするんだい? 371 00:21:38,330 --> 00:21:40,833 このまま諦めて 死を受け入れるのか➡ 372 00:21:40,833 --> 00:21:44,837 わずかでも 生き残る可能性に賭けるのか。 373 00:21:44,837 --> 00:21:46,839 お前が決めるんだ。 374 00:21:50,509 --> 00:21:52,511 まったく。 375 00:21:52,511 --> 00:21:56,348 最低の誕生日プレゼントですね。 お師匠様。 376 00:21:56,348 --> 00:21:58,350 やります。 377 00:21:58,350 --> 00:22:01,787 うれし涙 1,000粒 集めてみせます! 378 00:22:01,787 --> 00:22:04,490 んっ…。 呪いが なんぼのもんじゃ! 379 00:22:04,490 --> 00:22:08,160 < これは 余命1年を宣告された➡ 380 00:22:08,160 --> 00:22:11,831 未熟な魔女が起こす 奇跡の物語>