1 00:00:02,002 --> 00:00:04,171 (メグ)私が クソみたいな 呪いのせいで あと1年の命だと➡ 2 00:00:04,171 --> 00:00:07,875 宣告をされてから 1週間が たちました。 3 00:00:07,875 --> 00:00:11,511 さて ここで問題です。 私は 残り どれくらいのペースで➡ 4 00:00:11,511 --> 00:00:15,015 涙を集めなければ ならないのでしょうか。 5 00:00:15,015 --> 00:00:17,017 答えてみよ! ホウッ!? 6 00:00:22,856 --> 00:00:25,726 (書く音) 7 00:00:25,726 --> 00:00:27,694 ホウッ。 うぎゃ! 8 00:00:27,694 --> 00:00:30,364 いっ… 1日3粒!? 9 00:00:30,364 --> 00:00:33,367 待て待て待て! この間の2粒 集めるだけでも➡ 10 00:00:33,367 --> 00:00:35,535 結構 苦労したぞ。 11 00:00:35,535 --> 00:00:38,038 しかも うれし涙じゃないし。 12 00:00:38,038 --> 00:00:42,376 あれに更に1粒 加えて うれし涙が出るまで 粘れと? 13 00:00:42,376 --> 00:00:46,547 ホウッ。 うが~! ホウッ! 14 00:00:46,547 --> 00:00:50,550 (フィーネ)何 騒いでんのよ。 んっ…。 15 00:00:50,550 --> 00:00:53,053 ふぇ~ん フィーネたそ! なんなの? あんた。 16 00:00:53,053 --> 00:00:56,556 あたしゃ もうおしまいだよ。 17 00:02:40,027 --> 00:02:42,362 メグ 本当に死ぬの? 18 00:02:42,362 --> 00:02:44,364 うん… 呪いでしゅ。 19 00:02:44,364 --> 00:02:48,368 呪いって ファウスト様がいるなら 治せないの? 20 00:02:48,368 --> 00:02:50,370 無理だって言われた。 21 00:02:50,370 --> 00:02:53,206 生まれつきの 持病みたいなもんだって。 22 00:02:53,206 --> 00:02:55,242 それで うれし涙か。 23 00:02:55,242 --> 00:02:59,379 確かに ハードル高そうだね。 実際 高いよ。 24 00:02:59,379 --> 00:03:02,149 見てよ これ。 1週間で2粒。 25 00:03:02,149 --> 00:03:04,484 しかも うれし涙じゃないの。 26 00:03:04,484 --> 00:03:07,487 へぇ~。 こんなふうになってるんだ。 27 00:03:07,487 --> 00:03:11,191 私 魔法のことは よくわからないけどさ➡ 28 00:03:11,191 --> 00:03:14,161 なんていうか きれいな涙だね。 29 00:03:14,161 --> 00:03:17,664 清らかっていうか 純粋っていうか。 30 00:03:17,664 --> 00:03:19,666 清らかね…。 31 00:03:19,666 --> 00:03:22,502 私には よく わからん。 ウフッ…。 32 00:03:22,502 --> 00:03:24,504 ウフフ フフフ フフッ…。 何 笑うとんねん。 33 00:03:24,504 --> 00:03:28,008 メグ あんた 本当は 優しいんだから➡ 34 00:03:28,008 --> 00:03:31,344 毒ばっか吐いてないで たまには素直になりなよ。 35 00:03:31,344 --> 00:03:33,346 余計なお世話。 36 00:03:33,346 --> 00:03:37,184 フッ… 結婚する? 37 00:03:37,184 --> 00:03:39,686 嫌っ。 38 00:03:39,686 --> 00:03:44,024 そういえば フィーネたそ 今日 うちに何か用だった? 39 00:03:44,024 --> 00:03:50,530 んっ… 実は ファウスト様に お願いがあるの。 40 00:03:50,530 --> 00:03:52,866 (ファウスト)時計を直してほしい? 41 00:03:52,866 --> 00:03:55,869 その… ファウスト様に こんなこと お願いするのは➡ 42 00:03:55,869 --> 00:03:58,371 畏れ多いんですけど。 43 00:03:58,371 --> 00:04:00,807 時計屋さんに 見てもらっても だめで。 44 00:04:00,807 --> 00:04:03,610 ふむ… どれ ちょっと見せてみな。 45 00:04:10,984 --> 00:04:13,820 精霊が弱っているね。 46 00:04:13,820 --> 00:04:16,990 精霊って おとぎ話に出てくる あの? 47 00:04:16,990 --> 00:04:19,993 正確には 少し違うけどね。 48 00:04:19,993 --> 00:04:23,497 お前には 見えるだろ? はぁ…。 49 00:04:23,497 --> 00:04:26,333 無機物であれ 有機物であれ➡ 50 00:04:26,333 --> 00:04:31,004 それが役割を果たすとき そこには精霊が宿るんだ。 51 00:04:31,004 --> 00:04:35,175 物を働かせることのできる いわば 原動力さね。 52 00:04:35,175 --> 00:04:40,514 その原動力が ここには ないということですか? 53 00:04:40,514 --> 00:04:43,517 じゃあ この時計は もう…。 54 00:04:43,517 --> 00:04:47,521 まだ可能性が ないわけじゃないさ。 えっ…。 55 00:04:47,521 --> 00:04:50,023 メグ ゼペットの店に連れてってやんな。 56 00:04:50,023 --> 00:04:53,860 そっか ゼペットのおっちゃんなら。 ゼペット? 57 00:04:53,860 --> 00:04:57,364 時計屋のおっちゃんだよ。 マジで 腕がいいから。 58 00:04:57,364 --> 00:04:59,866 そこら辺の時計屋が さじを投げることでも➡ 59 00:04:59,866 --> 00:05:02,636 解決してくれたりするよ。 60 00:05:02,636 --> 00:05:05,338 (ゼペット)こりゃ珍しい。 かなり古い型の➡ 61 00:05:05,338 --> 00:05:08,808 ドイツ製 ミリタリー時計だ。 (フィーネ)わかるんですか? 62 00:05:08,808 --> 00:05:11,812 ずいぶんと いい仕事をしている時計だ。 63 00:05:11,812 --> 00:05:14,815 特に部品の細工がいい。 64 00:05:14,815 --> 00:05:18,185 ドイツっていうのは 時計職人の国だからね。 65 00:05:18,185 --> 00:05:21,321 職人の こだわりを感じるよ。 66 00:05:21,321 --> 00:05:24,324 それで その… 直りそうですか? 67 00:05:24,324 --> 00:05:27,160 ふむ… どうだろうね。 68 00:05:27,160 --> 00:05:30,163 ちょっと見てみないと わからないかな。 69 00:05:30,163 --> 00:05:32,666 ただ ご覧のとおり 今 1人でね。 70 00:05:32,666 --> 00:05:37,170 他に お客さん来たら まずいから いったん預かりだね。 71 00:05:37,170 --> 00:05:39,673 ふ~ん それじゃあ…。 72 00:05:43,009 --> 00:05:48,548 ふふ~ん。 なんで こうなるの? 73 00:05:48,548 --> 00:05:52,719 あのさ 時計 買い替えちゃ だめなの? 74 00:05:52,719 --> 00:05:55,722 今って 安くて おしゃれなの たくさん売ってんじゃん。 75 00:05:55,722 --> 00:05:57,858 それは わかるんだけど➡ 76 00:05:57,858 --> 00:06:02,295 なんていうか もう少し あの時計 使いたいんだよね。 77 00:06:02,295 --> 00:06:04,297 愛着があるっていうか。 78 00:06:04,297 --> 00:06:07,300 んっ… 愛着ね…。 79 00:06:07,300 --> 00:06:10,804 メグは 昔から そういうの淡白だよね。 80 00:06:17,143 --> 00:06:19,813 ねえ メグ。 あっ? 81 00:06:19,813 --> 00:06:25,151 あんた 本当に死んじゃうの? みたいだね。 82 00:06:25,151 --> 00:06:30,490 んっ… なんで そんな 平然としてるのよ。 うっ くぅ~。 83 00:06:30,490 --> 00:06:33,493 平然としてるってか 実感がないだけだよ。 84 00:06:33,493 --> 00:06:37,831 悩むの苦手だし。 あんたは 昔から➡ 85 00:06:37,831 --> 00:06:41,668 本当に ポジティブお化けなんだから。 んっ? 86 00:06:41,668 --> 00:06:45,205 フィ… フィーネちゃん? どっ… どどど… どしたの? 87 00:06:45,205 --> 00:06:49,509 やだ… メグ 死ぬの悲しい…。 88 00:06:49,509 --> 00:06:52,178 なんで死んじゃったの メグ。 89 00:06:52,178 --> 00:06:54,180 勝手に殺すな。 90 00:06:54,180 --> 00:07:00,153 《思えば 昔から フィーネは こうだった。 91 00:07:00,153 --> 00:07:02,656 私と フィーネが 初めて出会ったのは➡ 92 00:07:02,656 --> 00:07:05,125 私が 街の子どもたちと けんかして➡ 93 00:07:05,125 --> 00:07:07,827 ズタボロにされたときだった》 94 00:07:07,827 --> 00:07:12,299 (泣き声) 95 00:07:12,299 --> 00:07:15,302 ((どうして あなたが泣くの? 96 00:07:15,302 --> 00:07:20,974 だって… 痛そうで かわいそうなんだもん。 97 00:07:20,974 --> 00:07:24,978 ねえ あなたの名前は なんていうの? フィーネ。 98 00:07:24,978 --> 00:07:28,648 っと! んっ…。 じゃあ 泣かないで フィーネ。 99 00:07:28,648 --> 00:07:32,652 私 あなたに笑っててほしい。 100 00:07:32,652 --> 00:07:34,988 うん!)) 101 00:07:34,988 --> 00:07:39,859 《今も昔も フィーネは まるで変わっていない。 102 00:07:39,859 --> 00:07:41,995 ずっと同じ 優しいままだ》 103 00:07:41,995 --> 00:07:44,664 そんな悲しい顔しないでよ。 104 00:07:44,664 --> 00:07:48,501 フィーネたそは 笑ってるのが いちばん かわいいんだからさ。 105 00:07:48,501 --> 00:07:51,871 それに 私は まだ死んでないし 死ぬ気もないよ。 106 00:07:51,871 --> 00:07:54,040 メグ…。 107 00:07:54,040 --> 00:07:57,544 フィーネちゃんの カレッジ入学と卒業を 見届けないとね。 108 00:07:57,544 --> 00:08:00,981 結婚式も出ないとだし 孫の顔も見たい。 109 00:08:00,981 --> 00:08:04,784 あっ 旦那は 一発 どつくけど。 何それ? 110 00:08:04,784 --> 00:08:06,786 あんた 私の親? 111 00:08:06,786 --> 00:08:09,789 イヒヒヒ…。 112 00:08:09,789 --> 00:08:13,460 待たせたね 2人とも。 あっ… どうだった? 113 00:08:13,460 --> 00:08:16,963 あっ…。 ああ…。 114 00:08:16,963 --> 00:08:20,967 残念だが この時計は もう寿命だね。 115 00:08:20,967 --> 00:08:23,136 そうですか。 116 00:08:23,136 --> 00:08:28,007 この時計 おじいちゃんの 形見だったから。 あっ…。 117 00:08:28,007 --> 00:08:31,177 使えなくなるのは 寂しいな。 118 00:08:31,177 --> 00:08:33,980 (泣き声) 119 00:08:33,980 --> 00:08:38,351 ((フィーネ:なんていうか もう少し あの時計 使いたいんだよね。 120 00:08:38,351 --> 00:08:41,688 愛着があるっていうか)) 121 00:08:41,688 --> 00:08:44,824 んっ… フィーネちゃんや。 んっ? 122 00:08:44,824 --> 00:08:47,327 一つ 提案があんだけど。 123 00:08:49,362 --> 00:08:52,532 追悼? 124 00:08:52,532 --> 00:08:56,336 古い魔女が 伝統的に行ってきた 追悼の儀なんだけどさ。 125 00:08:56,336 --> 00:08:59,339 長く働いてくれた物に 感謝を込めて➡ 126 00:08:59,339 --> 00:09:01,941 ゆっくり休んでくださいって 言ってあげるんだよ。 127 00:09:01,941 --> 00:09:04,244 そんなのあるんだ。 128 00:09:07,781 --> 00:09:10,950 どうするの? 燃やしちゃったりしないよね? 129 00:09:10,950 --> 00:09:14,788 私が 親友の大切な物に そんなことするように見える? 130 00:09:14,788 --> 00:09:16,790 見えるから言ってるんだけど。 131 00:09:16,790 --> 00:09:18,792 (カーバンクル)キュキュキュ。 132 00:09:18,792 --> 00:09:22,128 (指を鳴らす音) 133 00:09:22,128 --> 00:09:24,130 ホウッ。 134 00:09:28,968 --> 00:09:30,970 んっ…。 135 00:09:34,307 --> 00:09:37,310 優しく 働き者の精霊の魂よ。 136 00:09:37,310 --> 00:09:42,148 永久の眠りの中で ただ静かに巡れ巡れ。 137 00:09:42,148 --> 00:09:44,984 永遠の感謝と。 あっ…。 138 00:09:44,984 --> 00:09:48,655 永年のねぎらいを ここに ささげん。 139 00:09:48,655 --> 00:09:52,659 我 謝辞をもって かの者を ことわりへ かえさん。 140 00:09:52,659 --> 00:09:55,495 願わくば また ことわりを巡り➡ 141 00:09:55,495 --> 00:10:00,500 我が たもとまで 戻らんことを祈り 乞い願う。 142 00:10:00,500 --> 00:10:02,502 巡れ。 143 00:10:06,506 --> 00:10:09,008 おっ… 終わったの? 144 00:10:09,008 --> 00:10:13,346 うん 時計の中にいた精霊を ことわりの中に かえした。 145 00:10:13,346 --> 00:10:15,682 こうやって ことわりに かえした精霊は➡ 146 00:10:15,682 --> 00:10:18,384 また生まれ変わって 新たな精霊となり➡ 147 00:10:18,384 --> 00:10:21,554 物に宿り かえってきてくれる。 148 00:10:23,523 --> 00:10:25,525 形は 変わるかもしんないけど➡ 149 00:10:25,525 --> 00:10:27,527 フィーネちゃんが 大好きな おじいちゃんと➡ 150 00:10:27,527 --> 00:10:30,363 また一緒に いられるようにってね。 151 00:10:30,363 --> 00:10:32,365 メグ…。 152 00:10:34,367 --> 00:10:36,369 うん。 153 00:10:45,044 --> 00:10:49,883 自分でも不思議なくらい 自然と涙が出てきたな。 154 00:10:49,883 --> 00:10:52,051 なんか あの光を見ていてね➡ 155 00:10:52,051 --> 00:10:55,054 ぐわっと いろんなこと 思い出しちゃって。 156 00:10:55,054 --> 00:10:59,092 おじいちゃんのこと? うん。 一緒に遊んだことや➡ 157 00:10:59,092 --> 00:11:00,994 ごはん 食べたこと。 158 00:11:00,994 --> 00:11:04,330 けがしたら 頭をなでてくれたこと。 159 00:11:04,330 --> 00:11:06,100 相変わらずの おじいちゃん子だ。 160 00:11:06,100 --> 00:11:09,335 エヘッ…。 161 00:11:09,335 --> 00:11:11,871 時計から出てきた あの光。 162 00:11:11,871 --> 00:11:16,509 なんか優しい光だったね。 んだね…。 163 00:11:16,509 --> 00:11:18,511 《あの精霊は きっと➡ 164 00:11:18,511 --> 00:11:23,016 2人分の人生を抱えていたんだ。 フィーネと おじいちゃん。 165 00:11:23,016 --> 00:11:25,318 2人分の人生を》 166 00:11:28,555 --> 00:11:30,557 確かに きれいな涙かも。 167 00:11:30,557 --> 00:11:32,559 キュウ。 んっ? 168 00:11:32,559 --> 00:11:36,362 フレアばあさん! (フレア)おや。 169 00:11:36,362 --> 00:11:39,365 わざわざ ありがとね メグちゃん。 170 00:11:39,365 --> 00:11:41,868 いいってことさ。 171 00:11:41,868 --> 00:11:44,571 ねえ 今度 遊びに来ていい? 172 00:11:44,571 --> 00:11:46,873 花のこととか また教えてよ。 173 00:11:46,873 --> 00:11:50,076 ええ いつでも待ってるわ。 174 00:11:50,076 --> 00:11:53,546 んじゃね~。 キュキュー。 175 00:11:53,546 --> 00:11:57,050 あっ…。 (ドアの開く音) 176 00:11:57,050 --> 00:11:59,052 あっ…。 177 00:12:06,826 --> 00:12:09,862 ((ああ…。 178 00:12:09,862 --> 00:12:13,366 ねえ お師匠様。 なんだい? メグ。 179 00:12:13,366 --> 00:12:15,535 あの人 なんだか黒い。 180 00:12:15,535 --> 00:12:20,006 そうか お前には見えるんだね。 んっ? 181 00:12:20,006 --> 00:12:23,676 <後に その霧をまとった人が 亡くなったことを➡ 182 00:12:23,676 --> 00:12:25,845 幼い私は 知った。 183 00:12:25,845 --> 00:12:29,716 死期が近い人 恐らくは 1か月以内にも➡ 184 00:12:29,716 --> 00:12:34,387 亡くなる人にだけ現われる 黒い霧> 185 00:12:34,387 --> 00:12:37,023 それはね 死に神だよ。 186 00:12:37,023 --> 00:12:40,026 しにがみ?)) 187 00:12:40,026 --> 00:12:42,061 メグ… メグ! 188 00:12:42,061 --> 00:12:44,530 メグ・ラズベリー! はっ? 189 00:12:44,530 --> 00:12:48,034 ぼ~っとしてるんじゃない。 しゃきっとしな 食事中だよ。 190 00:12:48,034 --> 00:12:50,036 すんまへん。 191 00:12:53,206 --> 00:12:56,042 お師匠様。 なんだい? 192 00:12:56,042 --> 00:13:00,013 死に神をまとった人は もう助けられないのかな。 193 00:13:00,013 --> 00:13:02,782 何か見たのかい? んっ…。 194 00:13:09,489 --> 00:13:11,658 運命っていうものがある。 195 00:13:11,658 --> 00:13:14,494 定めが来たから 死に神をまとうんだ。 196 00:13:14,494 --> 00:13:16,496 それは 死に神が見える➡ 197 00:13:16,496 --> 00:13:18,998 お前が いちばん よく わかってるんじゃないのかい? 198 00:13:18,998 --> 00:13:22,835 でも もし 命の種を生みだせば 助かるんじゃないですか? 199 00:13:22,835 --> 00:13:24,837 メグ。 うっ…。 200 00:13:24,837 --> 00:13:27,006 運命は ゆがめるべきじゃない。 201 00:13:27,006 --> 00:13:29,342 あっ… んっ…。 202 00:13:29,342 --> 00:13:34,013 お師匠様は 魔女が ことわりと 共に生きる存在だって➡ 203 00:13:34,013 --> 00:13:37,350 言いますよね? 私が 命の種を飲むことは➡ 204 00:13:37,350 --> 00:13:40,186 運命をゆがめることじゃ ないんでしょうか? 205 00:13:40,186 --> 00:13:42,889 変えていい運命と 変えちゃだめな運命が➡ 206 00:13:42,889 --> 00:13:45,391 世の中には存在するんだよ。 207 00:13:45,391 --> 00:13:47,393 んなもん 誰が決めるんすか! 208 00:13:47,393 --> 00:13:50,196 メグ 落ち着きな。 落ち着けません! 209 00:13:50,196 --> 00:13:53,232 私だって もうすぐ 死に神をまとうかもしれない。 210 00:13:53,232 --> 00:13:56,402 そのとき お師匠様は 私に命の種を諦めて➡ 211 00:13:56,402 --> 00:13:59,072 死ねって言えるんですか? 212 00:13:59,072 --> 00:14:01,641 助けられるかもしれないのに 見過ごすなんて➡ 213 00:14:01,641 --> 00:14:04,977 私は できないし したくない! 214 00:14:04,977 --> 00:14:06,979 お前たち ついといで。 215 00:14:11,150 --> 00:14:15,154 あらあら メグちゃん。 どうしたの? こんな時間に。 216 00:14:15,154 --> 00:14:18,324 アハッ… お師匠様と けんかしちゃってさ。 217 00:14:18,324 --> 00:14:21,327 家 出てきちゃった。 まあ 大変。 218 00:14:21,327 --> 00:14:24,664 外は寒いから とりあえず お上がりなさい。 219 00:14:24,664 --> 00:14:27,166 ふぇ~い お邪魔しま~す。 220 00:14:35,675 --> 00:14:39,679 ファウスト様と けんかなんて ここ数年来の事件ね。 221 00:14:39,679 --> 00:14:43,349 フフフフ。 なんで笑ってんの? いえね。 222 00:14:43,349 --> 00:14:47,353 昔 私も おじいさんと けんかしたなと思って。 223 00:14:47,353 --> 00:14:51,023 フレアばあさんが けんか? ちょっと 信じられないな。 224 00:14:51,023 --> 00:14:53,693 (フレア)フフッ…。 長く 暮らしているんですもの➡ 225 00:14:53,693 --> 00:14:55,695 けんかくらいするわ。 226 00:14:55,695 --> 00:14:59,031 でも そうやって お互いのことを知っていく。 227 00:14:59,031 --> 00:15:01,634 少しずつ 少しずつね。 228 00:15:01,634 --> 00:15:05,838 ねえ フレアばあさん しばらく泊まってもいいかな? 229 00:15:13,179 --> 00:15:15,648 このベッド 花の香りがする。 230 00:15:15,648 --> 00:15:17,984 フレアばあさんの香りだ。 231 00:15:17,984 --> 00:15:20,486 あらあら お花のお世話をしていたから➡ 232 00:15:20,486 --> 00:15:23,589 その匂いが ついてきちゃったのかしら? 233 00:15:26,192 --> 00:15:28,361 この家も もう古いね。 234 00:15:28,361 --> 00:15:31,030 息子さんが独り立ちして 何年だっけ? 235 00:15:31,030 --> 00:15:34,367 さてねえ…。 もう ずいぶんと前だから。 236 00:15:34,367 --> 00:15:37,203 最近 会ってる? 忙しいみたいで➡ 237 00:15:37,203 --> 00:15:39,539 もう ずいぶん長い間 会ってないわ。 238 00:15:39,539 --> 00:15:42,008 クハッ。 そっか…。 239 00:15:47,513 --> 00:15:50,016 どうしたの? メグちゃん。 あっ…。 240 00:15:50,016 --> 00:15:52,018 何か悩んでいるみたい。 241 00:15:52,018 --> 00:15:54,353 えっ… そんなことないあるよ。 242 00:15:54,353 --> 00:15:58,691 おお…。 私は 魔法のことは よく わからないけど➡ 243 00:15:58,691 --> 00:16:03,129 聞き役くらいにはなれるから いつでも話してちょうだいね。 244 00:16:03,129 --> 00:16:06,132 いつも笑顔の メグちゃんが好きよ。 245 00:16:06,132 --> 00:16:08,134 フレアばあさん…。 246 00:16:08,134 --> 00:16:10,636 《私は どうすればいいんだろう。 247 00:16:10,636 --> 00:16:14,640 私は フレアばあさんに 何ができるんだろう。 248 00:16:14,640 --> 00:16:17,643 フレアばあさんには あと どれくらいの時間が➡ 249 00:16:17,643 --> 00:16:19,645 残されているんだろう》 250 00:16:21,647 --> 00:16:25,818 <フレアばあさんの家に泊まって 3日が過ぎた。 251 00:16:25,818 --> 00:16:29,322 隙を見て 図書館で 魔導書を調べたりしたけれど➡ 252 00:16:29,322 --> 00:16:33,659 現状 死に神から救う方法は 見つかっていない。 253 00:16:33,659 --> 00:16:39,165 そして そんな私を あざ笑うかのように➡ 254 00:16:39,165 --> 00:16:44,670 フレアばあさんがまとう死に神は どんどん力を増していた> 255 00:16:44,670 --> 00:16:47,673 ホーホウ。 キュ キュキュキュ。 256 00:16:47,673 --> 00:16:51,043 キュ キュキュ。 ホホ ホホホ。 257 00:16:51,043 --> 00:16:55,848 ここはね 私の取って置きの 場所なの。 へぇ~。 258 00:16:55,848 --> 00:17:00,486 (フレア)小さなころから いつも この木と一緒に過ごしてきた。 259 00:17:00,486 --> 00:17:05,157 友達と遊んだ時間も 家族と過ごした時間も。 260 00:17:05,157 --> 00:17:09,495 メグちゃんと こうして ここにいる時間も。 フフッ…。 261 00:17:09,495 --> 00:17:14,834 この木はね ず~っと 見守ってきてくれたの。 262 00:17:14,834 --> 00:17:17,169 ずっと 一緒だったんだ… あっ。 263 00:17:17,169 --> 00:17:23,009 《魔力に乱れが… この木は もう助からない》 264 00:17:23,009 --> 00:17:25,845 どうしたの? ううん なんでもない。 265 00:17:25,845 --> 00:17:28,848 ((運命っていうものがある。 266 00:17:28,848 --> 00:17:32,351 定めが来たから 死に神をまとうんだ)) 267 00:17:32,351 --> 00:17:34,687 《ああ そうか…。 268 00:17:34,687 --> 00:17:39,859 運命には 変えられる運命と 変えられない運命があるんだ》 269 00:17:39,859 --> 00:17:42,695 フレアばあさん。 (フレア)何? 270 00:17:42,695 --> 00:17:46,332 もし… もしもだよ? あした 世界が滅ぶとして➡ 271 00:17:46,332 --> 00:17:48,367 最後に何がやりたい? 272 00:17:48,367 --> 00:17:52,204 あらあら ずいぶん変わった質問ね。 273 00:17:52,204 --> 00:17:55,875 でも そうね 最後なら➡ 274 00:17:55,875 --> 00:17:59,712 やっぱり 家族と一緒に過ごしたいね。 275 00:17:59,712 --> 00:18:02,982 そっか…。 276 00:18:02,982 --> 00:18:04,951 ホウ? 277 00:18:07,820 --> 00:18:11,324 行くよ。 ホーホウ。 278 00:18:11,324 --> 00:18:15,828 我が眷属 呼び声に応え 内なる力を放ち➡ 279 00:18:15,828 --> 00:18:18,998 広く広く 空の大海に舞え。 280 00:18:18,998 --> 00:18:23,836 我が願いは はるか かなた その大地に いざなう力を授けん。 281 00:18:23,836 --> 00:18:29,008 天空を舞う み使いとして 翼 空を切り 風を運び➡ 282 00:18:29,008 --> 00:18:32,478 我が命をもって その役割を果たさん。 283 00:18:37,817 --> 00:18:41,320 おお… 今日は 寒いね。 284 00:18:41,320 --> 00:18:43,322 キュシュ。 こんなに寒いのに➡ 285 00:18:43,322 --> 00:18:45,825 メグちゃんは どこに行ったのかしら? 286 00:18:45,825 --> 00:18:48,361 フレアばあさ~ん! あっ…。 287 00:18:48,361 --> 00:18:50,363 メグちゃん…。 288 00:18:50,363 --> 00:18:53,866 久しぶりの帰省だよ。 (リリー)おばあちゃん! 289 00:18:53,866 --> 00:18:55,835 リリー…。 290 00:18:58,871 --> 00:19:02,775 (エド)驚いたよ 早朝に いきなり 押しかけてくるんだから。 291 00:19:02,775 --> 00:19:05,778 母さんが危篤みたいな 言い方してさ。 292 00:19:05,778 --> 00:19:08,280 全然 家に帰ってない 親不孝者に➡ 293 00:19:08,280 --> 00:19:11,283 帰省のきっかけを 作ってあげただけっすわ。 294 00:19:11,283 --> 00:19:16,789 ハァ… それにしても 懐かしいな ここ。 懐かしい? 295 00:19:16,789 --> 00:19:20,793 昔 よく遊んだんだよ 死んだ 父さんと。 296 00:19:20,793 --> 00:19:23,963 昼すぎまで遊んで 母さんが焼いたクッキーを➡ 297 00:19:23,963 --> 00:19:27,299 持ってきてくれてね。 懐かしいね。 298 00:19:27,299 --> 00:19:29,802 (リリー)お父さん! んっ? 299 00:19:29,802 --> 00:19:32,104 こっち来て! 300 00:19:35,141 --> 00:19:38,978 ありがとね メグちゃん。 私が寂しがっていたから➡ 301 00:19:38,978 --> 00:19:41,981 見かねて エドを連れてきてくれたんだね。 302 00:19:41,981 --> 00:19:45,484 一宿一飯の恩義は 忘れないようにしてんの。 303 00:19:45,484 --> 00:19:47,987 でも 余計なことじゃなかった? 304 00:19:47,987 --> 00:19:52,658 大丈夫。 だって こんなに 私を幸せにしてくれたんだもの。 305 00:19:52,658 --> 00:19:55,995 そう言ってくれると うれしいけどね。 306 00:19:55,995 --> 00:19:59,999 (フレア)メグちゃんに出会えて よかった。 307 00:19:59,999 --> 00:20:02,501 どうしたの? 急に。 308 00:20:02,501 --> 00:20:05,671 長い人生の中で 魔女と出会ったことは➡ 309 00:20:05,671 --> 00:20:07,673 一度や二度じゃない。 310 00:20:07,673 --> 00:20:10,176 でも こんなに たくさんのものをくれたのは➡ 311 00:20:10,176 --> 00:20:12,178 メグちゃんだけだよ。 312 00:20:12,178 --> 00:20:16,348 大げさだな。 大げさなんかじゃないわ。 313 00:20:16,348 --> 00:20:23,522 こんなに暖かくて 穏やかな日に 大切な家族と過ごせて。 314 00:20:23,522 --> 00:20:28,527 隣には 優しくて すてきな 魔女さんがいてくれるんだもの。 315 00:20:28,527 --> 00:20:32,331 これ以上 望むと きっと 罰が当たるわ。 316 00:20:34,366 --> 00:20:37,203 何 言ってんの。 こんなもんじゃないよ。 317 00:20:37,203 --> 00:20:40,706 これから私は もっともっと すごい魔女になって➡ 318 00:20:40,706 --> 00:20:45,544 もっともっと… うれしい光景を➡ 319 00:20:45,544 --> 00:20:49,548 フレアばあさんに 見せてあげるんだから。 320 00:20:49,548 --> 00:21:07,533 ♬~ 321 00:21:07,533 --> 00:21:10,302 安らかに眠っているね。 あっ…。 322 00:21:14,039 --> 00:21:18,043 こんな穏やかに 眠るように最期を迎えるのは➡ 323 00:21:18,043 --> 00:21:20,880 幸せなことかもしれないね。 324 00:21:20,880 --> 00:21:23,716 お師匠様…。 325 00:21:23,716 --> 00:21:27,386 メグ 結末を変えることは 誰にもできない。 326 00:21:27,386 --> 00:21:32,391 だが お前は 結末の形を 変えることができたんだ。 327 00:21:32,391 --> 00:21:35,895 よく頑張ったね メグ。 328 00:21:35,895 --> 00:21:38,731 たくさんの人が 見ることの かなわなかった➡ 329 00:21:38,731 --> 00:21:42,568 あしたを背負って お前は 生きているんだ。 330 00:21:42,568 --> 00:21:45,371 だから お前は 生きなきゃならない。 331 00:21:45,371 --> 00:21:49,375 それが 死者を知ることができる お前の使命だよ。 332 00:21:49,375 --> 00:21:51,410 はい。 333 00:21:51,410 --> 00:21:54,914 《今日は ビーフシチューを作ろう。 334 00:21:54,914 --> 00:21:59,218 あしたは ローズマリーを練り込んだ クッキーを焼こう。 335 00:21:59,218 --> 00:22:03,989 そうすれば フレアばあさんは これからも私の中に生きていく。 336 00:22:03,989 --> 00:22:07,993 私が生きる限り ずっと一緒に》