1 00:00:08,299 --> 00:00:11,010 (語り)憎しみ合う者たちがいた 2 00:00:12,929 --> 00:00:17,684 骸(むくろ)は野に朽ち 御霊(みたま)は血に染(そ)み 3 00:00:20,353 --> 00:00:23,773 絆は 刃(やいば)に分かたれた 4 00:00:23,940 --> 00:00:26,985 (蛇の威嚇音) (鷹(たか)の鳴き声) 5 00:00:32,532 --> 00:00:33,491 (鳴き声) 6 00:00:37,370 --> 00:00:38,663 (鳴き声) 7 00:00:39,789 --> 00:00:42,375 闇についえし真心が泣く 8 00:00:42,500 --> 00:00:43,918 (鷹の鳴き声) 9 00:00:45,378 --> 00:00:49,466 愛する者よ 死に候(そうら)えと 10 00:01:01,478 --> 00:01:06,066 ♪~ 11 00:02:26,729 --> 00:02:30,567 ~♪ 12 00:02:45,999 --> 00:02:47,041 (息を吹く音) 13 00:02:59,262 --> 00:03:02,515 (陽炎(かげろう))やはり 弦之介(げんのすけ)さまは― 14 00:03:02,640 --> 00:03:05,435 伊賀(いが)の朧(おぼろ)に 騙(だま)されておいでだったのです 15 00:03:06,102 --> 00:03:08,396 朧は お幻(げん)の孫娘 16 00:03:08,897 --> 00:03:11,399 今や 頭領の身分にございます 17 00:03:12,191 --> 00:03:16,529 配下ですら知る こたびの大事を 知らぬはずがありましょうか? 18 00:03:17,155 --> 00:03:22,702 全て承知のうえで 弦之介さまを 鍔隠(つばがく)れへと誘ったに相違ありませぬ 19 00:03:23,578 --> 00:03:25,204 (豹馬(ひょうま))そうやもしれぬ 20 00:03:26,247 --> 00:03:31,169 されど 事 この期に及んでは さしたる問題ではない 21 00:03:33,296 --> 00:03:35,506 あえて わしの推論を申せば… 22 00:03:35,632 --> 00:03:39,010 むしろ 先んじて飛報を受けた配下の者… 23 00:03:39,135 --> 00:03:43,264 恐らくは 薬師寺天膳(やくしじ てんぜん)が 大勢(たいせい)をおもんばかり… 24 00:03:43,389 --> 00:03:48,561 豹馬どの! もはや 朧は 弦之介さまの許婚(いいなずけ)ではございませぬ 25 00:03:49,020 --> 00:03:50,688 肩入れは無用と存じます 26 00:03:51,606 --> 00:03:53,066 たばかられたのです 27 00:03:53,191 --> 00:03:57,946 和睦を願う弦之介さまの心に 朧は つけ込んだのでございます 28 00:03:58,488 --> 00:04:02,533 (豹馬) 陽炎 朧が鍔隠れの頭領ならば― 29 00:04:02,742 --> 00:04:06,829 弦之介さまは甲賀卍谷(こうが まんじだに)衆頭領じゃ (陽炎)ハッ… 30 00:04:06,996 --> 00:04:11,292 (豹馬)そなたの物言い 己(おの)が頭領を愚弄するも同じぞ 31 00:04:13,086 --> 00:04:15,922 (刑部(ぎょうぶ)) 朧の腹の内など どうでもよいわ 32 00:04:16,297 --> 00:04:19,842 ようやっと… ようやっと この日が まいったのじゃ 33 00:04:20,635 --> 00:04:23,721 弦之介さま すぐに取って返しましょうぞ 34 00:04:23,972 --> 00:04:27,183 彼奴(きゃつ)らは あなたさまの瞳術に 肝をつぶしておる 35 00:04:27,308 --> 00:04:29,352 これを 一気に たたくが上策 36 00:04:31,271 --> 00:04:34,232 何か申してくだされ 弦之介さま! 37 00:04:45,618 --> 00:04:46,869 (弦之介)左衛門(さえもん) 38 00:04:48,746 --> 00:04:50,373 筆と硯(すずり)を頼む 39 00:04:50,707 --> 00:04:51,791 (左衛門)はっ… 40 00:04:53,751 --> 00:04:55,211 (弦之介)お胡夷(こい)のこと… 41 00:04:56,379 --> 00:04:57,547 すまない 42 00:04:59,674 --> 00:05:02,969 (左衛門) あれも甲賀の忍びにござりますれば 43 00:05:03,970 --> 00:05:05,972 我らも また しかり 44 00:05:06,097 --> 00:05:10,935 (障子の開閉音) 45 00:05:11,686 --> 00:05:14,522 (弦之介)人に変わりはない (刑部)うん? 46 00:05:15,773 --> 00:05:19,444 甲賀も伊賀も 人に変わりはない 47 00:05:19,569 --> 00:05:20,778 (刑部)ンンッ… 48 00:05:21,738 --> 00:05:26,909 (弦之介)宿怨と称する呪縛を捨て 曇り偏った目を開き 49 00:05:27,035 --> 00:05:30,079 伊賀の たった1人とでもよい 50 00:05:30,580 --> 00:05:33,041 まずは 近しゅうなってみることじゃ 51 00:05:34,459 --> 00:05:39,922 ここへ戻ったら 改めて そう 皆に伝えるつもりでおった 52 00:05:55,396 --> 00:05:59,442 (念鬼(ねんき))朧さま… (陣五郎(じんごろう))その目は 一体… 53 00:05:59,734 --> 00:06:00,943 (蛍火(ほたるび)・朱絹(あけぎぬ))アア… 54 00:06:02,278 --> 00:06:03,946 (天膳)クッ… 55 00:06:04,739 --> 00:06:08,701 (朧)いつの日でしたか おばばさまが申されました 56 00:06:11,662 --> 00:06:14,248 ハァハァ… (お幻)朧よ… 57 00:06:14,791 --> 00:06:18,252 もうええ 気に病むでない 58 00:06:18,961 --> 00:06:21,923 (お幻) そなたが精いっぱい励んだことは 59 00:06:22,048 --> 00:06:25,259 このばばが いちばん分かっておるでな 60 00:06:29,013 --> 00:06:34,227 (朧)申し訳ございませぬ 鍔隠れ頭領の家の娘でありながら… 61 00:06:34,352 --> 00:06:40,024 (お幻)ほんに 何ひとつ 身に着けること成らんかったのぅ 62 00:06:42,151 --> 00:06:44,403 ふつつかな子じゃ… 63 00:06:45,196 --> 00:06:46,489 ただ… 64 00:06:49,325 --> 00:06:54,789 そなたの目は 生まれついての 不思議な力を持っておる 65 00:06:55,957 --> 00:06:58,459 それは忍法にあらず 66 00:06:58,918 --> 00:07:00,753 故に ばばは… 67 00:07:01,712 --> 00:07:04,423 その目が恐ろしい 68 00:07:07,927 --> 00:07:09,262 (お幻)そなたの目… 69 00:07:10,346 --> 00:07:16,769 その目が 我ら鍔隠れの忍法を内より崩し 70 00:07:17,562 --> 00:07:20,398 一族を破滅へと追い込む― 71 00:07:20,523 --> 00:07:24,527 災いのもとと なるような気がしてならぬ 72 00:07:25,611 --> 00:07:28,197 もし そのような日の来たときは 73 00:07:28,781 --> 00:07:32,743 この闇七夜(やみしちよ)の秘薬をまぶたに… 74 00:07:33,327 --> 00:07:35,705 (朧)闇七夜? 75 00:07:36,497 --> 00:07:40,293 さすれば そなたの目は… 76 00:07:42,962 --> 00:07:46,466 “7日7夜 閉じて開かぬ” 77 00:07:48,342 --> 00:07:54,182 己の目を… 事もあろうに その目をお塞ぎなさるとは… 78 00:07:54,474 --> 00:07:57,685 先刻 申し上げたこと 何ひとつ… 79 00:07:58,311 --> 00:08:00,396 私も伊賀の娘 80 00:08:00,897 --> 00:08:03,858 天膳の申すことは重々 分かります 81 00:08:04,150 --> 00:08:07,862 もはや 私が何を言おうと通らぬこと 82 00:08:08,738 --> 00:08:12,033 鍔隠れの者が これほど討たれたのですから… 83 00:08:12,825 --> 00:08:17,038 けれど 私は 弦之介さまとは争えぬ 84 00:08:17,163 --> 00:08:20,583 (蛍火)ンンッ… (朧)争えぬどころか― 85 00:08:20,708 --> 00:08:27,048 私は そなたたちの術を 破りかねない心になるやもしれぬ 86 00:08:27,340 --> 00:08:29,258 (天膳)ア… アア… 87 00:08:29,550 --> 00:08:31,302 (念鬼)ンンッ… 88 00:08:31,802 --> 00:08:32,929 アア… 89 00:08:33,054 --> 00:08:37,225 (朧) それが… 私は それが恐ろしい 90 00:08:38,518 --> 00:08:40,269 たわけたことを… 91 00:08:42,438 --> 00:08:43,689 (忍者)天膳さま! 92 00:08:47,276 --> 00:08:50,613 何事じゃ? (忍者)かような物が門前に 93 00:09:00,831 --> 00:09:03,709 (念鬼) 人別帖(にんべつちょう)を返してよこすとは… 94 00:09:04,669 --> 00:09:07,630 弦之介め 血迷うたか? 95 00:09:08,422 --> 00:09:11,175 (陣五郎)いや 小四郎(こしろう)の名を見よ 96 00:09:11,592 --> 00:09:13,553 (蛍火)消されておりませぬ 97 00:09:13,803 --> 00:09:16,973 (陣五郎)彼奴め あの傷でも― 98 00:09:17,765 --> 00:09:20,893 小四郎は死なぬと読んだのじゃ 99 00:09:21,978 --> 00:09:24,814 血迷うどころか 極めて冷徹 100 00:09:24,939 --> 00:09:26,732 ならば 何のためじゃ? 101 00:09:26,857 --> 00:09:31,529 何のために 勝者 必携を 義務づけられた この秘帖(ひちょう)を… 102 00:09:31,654 --> 00:09:32,863 (天膳)ハッ… 103 00:09:33,573 --> 00:09:36,576 (朱絹)天膳さま その書状は? 104 00:09:37,868 --> 00:09:39,537 弦之介よりの… 105 00:09:40,746 --> 00:09:43,207 果たし状じゃ (念鬼)なに! 106 00:09:43,624 --> 00:09:44,542 ハッ… 107 00:09:45,376 --> 00:09:50,423 (弦之介)服部(はっとり)家との約定… 両門不戦の戒めは解かれた 108 00:09:50,840 --> 00:09:53,509 されど 余は戦いを好まず 109 00:09:53,926 --> 00:09:56,971 また 何のために戦うかを知らず 110 00:09:57,430 --> 00:10:00,141 されば 余は直ちに駿府(すんぷ)に行きて 111 00:10:00,266 --> 00:10:04,729 大御所 または服部どのに その心を聞かんと思う 112 00:10:05,229 --> 00:10:08,357 あえて 人別帖を返すは そのためなり 113 00:10:09,191 --> 00:10:11,360 同行する者は 余以下… 114 00:10:11,485 --> 00:10:17,617 霞(かすみ)刑部 如月(きさらぎ)左衛門 室賀(むろが)豹馬 陽炎の5人 115 00:10:18,200 --> 00:10:21,662 故に 汝(なんじ)ら 甲賀の谷に来たるといえど― 116 00:10:21,787 --> 00:10:24,415 余ら 既に東海道にあり 117 00:10:24,999 --> 00:10:28,461 血迷うて 甲賀の者を殺傷するときは― 118 00:10:28,836 --> 00:10:33,716 また 伊賀の者に 全滅の天命下ると知れ 119 00:10:35,718 --> 00:10:38,512 余は あえて 戦いを好まざるも― 120 00:10:38,721 --> 00:10:41,891 汝らの追撃を 避けるものにあらず 121 00:10:42,558 --> 00:10:45,478 汝ら いまだ 7人の名を残す 122 00:10:45,603 --> 00:10:47,897 駿府城門に至るまで― 123 00:10:48,022 --> 00:10:51,192 甲賀の5人 伊賀の7人 124 00:10:51,442 --> 00:10:54,320 忍法死争の旅たるも また快ならずや 125 00:10:55,404 --> 00:10:58,240 汝ら 余を恐るることなくんば 126 00:10:58,366 --> 00:11:02,411 鞭(むち)を揚げ 急ぎ 東海道へ来たれ 127 00:11:06,666 --> 00:11:07,583 天膳! 128 00:11:10,169 --> 00:11:12,463 追うぞ 今すぐじゃ 129 00:11:17,093 --> 00:11:19,553 伊賀の7人… 130 00:11:19,720 --> 00:11:24,183 (天膳)念鬼 蛍火 先行して 甲賀組を見つけ 知らせよ 131 00:11:24,308 --> 00:11:25,267 (蛍火)承知 132 00:11:25,393 --> 00:11:30,523 (天膳)決して… 決して 無理押しは するでないぞ よいな? 133 00:11:31,065 --> 00:11:32,566 心得ておるわ 134 00:11:32,942 --> 00:11:36,362 (朱絹)朧さま もろもろ用意してまいります 135 00:11:51,001 --> 00:11:51,836 アア… 136 00:12:17,778 --> 00:12:19,405 追っ手は なし 137 00:12:20,281 --> 00:12:22,491 (刑部)用心深いのぅ 豹馬 138 00:12:22,616 --> 00:12:26,579 いかに伊賀者でも 甲賀谷を抜けて 追うては これまい 139 00:12:26,704 --> 00:12:30,749 (豹馬)うむ… 恐らく 向こうは伊賀路を抜けてまいろう 140 00:12:31,125 --> 00:12:33,085 駿府まで 先は長い 141 00:12:33,752 --> 00:12:36,464 さて いずこで鉢合うか… 142 00:12:36,589 --> 00:12:39,842 (刑部) なまぬるい! 戦は先手必勝じゃ 143 00:12:40,426 --> 00:12:45,014 (刑部)豹馬 弦之介さまは 何ゆえ あの人別帖を伊賀へ返した? 144 00:12:46,056 --> 00:12:48,767 戦う理由をただしに 駿府へ まいるだと? 145 00:12:48,893 --> 00:12:50,269 何を馬鹿(ばか)な! 146 00:12:50,728 --> 00:12:55,608 400年の怨敵と 親の敵(かたき)と戦うに 何の訳が要るか! 147 00:12:55,774 --> 00:12:58,402 (泣き声) 148 00:12:58,777 --> 00:13:02,406 (刑部) あのとき わしが小童(こわっぱ)でなければ… 149 00:13:03,365 --> 00:13:05,826 今こそ 本懐を遂げる時じゃ! 150 00:13:06,911 --> 00:13:09,788 (豹馬) 弦之介さまが人別帖を返したのは 151 00:13:09,914 --> 00:13:14,502 彼奴らが必ず それを持って 追ってくるとの確信があればこそ 152 00:13:14,627 --> 00:13:17,671 あの果たし状か? (豹馬)あれを目にして― 153 00:13:17,796 --> 00:13:21,008 追うてこぬ伊賀者など この世には おらぬ 154 00:13:21,842 --> 00:13:25,888 伊賀組を全て討ち果たし 最後に取り返せば― 155 00:13:26,722 --> 00:13:28,432 それで文句は なかろう 156 00:13:28,891 --> 00:13:31,101 (刑部)果たして 弦之介さまには 157 00:13:31,227 --> 00:13:34,688 伊賀の朧を討ち果たすご決心が おありなのか? 158 00:13:54,500 --> 00:13:57,002 (豹馬)刑部… 待て 刑部 159 00:13:57,127 --> 00:13:59,004 (刑部)また会おうぞ 豹馬 160 00:14:08,180 --> 00:14:09,098 アア… 161 00:14:14,144 --> 00:14:16,730 (蜂の羽音) 162 00:14:25,698 --> 00:14:27,116 (ため息) 163 00:14:37,001 --> 00:14:41,463 (雨の音) 164 00:14:48,387 --> 00:14:52,182 天膳め このわしを見くびりおって 165 00:14:59,648 --> 00:15:02,902 (左衛門)刑部の奴(やつ)め 抜け駆けしおって 166 00:15:03,527 --> 00:15:04,486 (豹馬)おかげで― 167 00:15:04,612 --> 00:15:07,114 わしが弦之介さまに とがめられ申した 168 00:15:07,531 --> 00:15:09,491 (左衛門) そらっとぼけておったくせに― 169 00:15:09,617 --> 00:15:10,993 よう申すわ 170 00:15:11,535 --> 00:15:13,829 (豹馬) 伊賀者には 先に行くと見せ 171 00:15:14,204 --> 00:15:17,416 背後に回るという手も あるには あるが… 172 00:15:18,834 --> 00:15:21,545 念入りに 策を講じてこそじゃ 173 00:15:23,047 --> 00:15:25,883 (左衛門) されど 刑部ほどの男であれば… 174 00:15:26,008 --> 00:15:29,845 あやつには 肉親を殺(あや)められた私恨がある 175 00:15:30,262 --> 00:15:34,016 それゆえ 血気に はやらぬかと 案じられてのぅ 176 00:15:34,683 --> 00:15:36,894 おっと これは 相すまん 177 00:15:37,603 --> 00:15:40,940 刑部と おぬしとでは そもそも気性が違うでな 178 00:15:41,065 --> 00:15:43,275 そうではない (豹馬)うん? 179 00:15:43,400 --> 00:15:45,653 (左衛門) もう1人 気がかりなのが おる 180 00:15:46,570 --> 00:15:49,114 陽炎か? (左衛門)うむ… 181 00:15:50,115 --> 00:15:53,160 あれは 心底 弦之介さまに惚(ほ)れておる 182 00:15:53,869 --> 00:15:58,624 伊賀の朧との縁談があってのち なおさら思いを募らせ 183 00:15:59,708 --> 00:16:04,254 今や 本人も気づかぬほどに 女が匂いたっておる 184 00:16:06,590 --> 00:16:09,551 あれの母御も そうであったと聞くが 185 00:16:10,803 --> 00:16:15,474 心高ぶるとき 法悦の甘い あえぎが死の吐息 186 00:16:15,933 --> 00:16:18,894 毒に変じて 相手を殺す 187 00:16:21,814 --> 00:16:24,233 あれも わきまえては おるはずじゃ 188 00:16:24,358 --> 00:16:27,027 きつい運命(さだめ)を背負った娘よ 189 00:16:27,361 --> 00:16:31,115 じゃが いざとなれば 女子(おなご)は怖い 190 00:16:55,055 --> 00:16:56,140 誰じゃ? 191 00:17:02,730 --> 00:17:03,814 どうした? 192 00:17:04,148 --> 00:17:08,068 (陽炎)明日は 桑名(くわな)から船になるのでしょうか? 193 00:17:09,319 --> 00:17:11,071 (弦之介)空しだいじゃが… 194 00:17:11,363 --> 00:17:14,825 この分では 佐屋路(さやじ)回りの陸路が無難であろう 195 00:17:16,201 --> 00:17:19,580 用は それだけか? ならば もう… 196 00:17:19,705 --> 00:17:23,417 (陽炎)何を お考えになっておられたのです? 197 00:17:23,542 --> 00:17:25,002 (弦之介)知れたことを… 198 00:17:25,127 --> 00:17:28,213 (陽炎) 伊賀の朧のことでございますね? 199 00:17:30,841 --> 00:17:35,012 (豹馬)弾正(だんじょう)さまが 駿府へ たつ前に言うておられた 200 00:17:36,013 --> 00:17:40,017 “そろそろ あれの相手を 決めねばなるまい”とな 201 00:17:40,726 --> 00:17:43,187 (左衛門) 女の稚児(ややこ)が生まれる前に… 202 00:17:43,312 --> 00:17:47,941 さて 何人の男が 三途(さんず)の川を渡ることになるかのぅ? 203 00:17:48,358 --> 00:17:53,322 それも本望と手を挙げる者が あとを絶たぬとも聞くが… 204 00:17:53,655 --> 00:17:57,117 (左衛門) 確かに あれは いい女じゃからな 205 00:17:57,743 --> 00:18:00,621 それゆえに恐ろしい 206 00:18:01,163 --> 00:18:02,998 か… 陽炎… 207 00:18:03,624 --> 00:18:05,667 (陽炎)弦之介さま… (弦之介)ハッ… 208 00:18:06,543 --> 00:18:08,212 抱いてくださいませ 209 00:18:10,714 --> 00:18:14,176 (うめき声) 210 00:18:14,843 --> 00:18:15,677 アッ… 211 00:18:15,969 --> 00:18:17,846 (弦之介)見よ 陽炎 212 00:18:19,473 --> 00:18:20,808 アアッ… 213 00:18:20,974 --> 00:18:23,769 アッ… アアッ… 214 00:18:24,269 --> 00:18:25,354 ウウッ… 215 00:18:26,230 --> 00:18:28,899 (弦之介)陽炎 そなた… 216 00:18:29,775 --> 00:18:32,861 (陽炎) 死にたいのです あなたと一緒に 217 00:18:33,320 --> 00:18:34,530 (弦之介)たわけ 218 00:18:34,947 --> 00:18:38,617 死にたければ 人別帖の伊賀者を 打ち倒してからじゃ 219 00:18:40,577 --> 00:18:43,038 (陽炎)伊賀者を… (弦之介)そうじゃ 220 00:18:44,331 --> 00:18:47,918 (陽炎) 私の術では 女は殺せませぬ 221 00:18:48,502 --> 00:18:49,920 弦之介さま… 222 00:18:50,963 --> 00:18:54,925 あなたが 朧をお討ちになられますか? 223 00:18:59,930 --> 00:19:00,931 討つ 224 00:19:04,601 --> 00:19:10,023 ならば 私は 伊賀の男たちに 身を任せましょう 225 00:19:10,691 --> 00:19:15,237 私1人で 伊賀の男を全て滅ぼすことも… 226 00:19:15,863 --> 00:19:16,780 ハッ… 227 00:19:18,740 --> 00:19:20,284 (斬る音) (弦之介)毒が… 228 00:19:23,495 --> 00:19:24,580 弦之介さま! 229 00:19:24,746 --> 00:19:25,956 左衛門! 230 00:19:26,707 --> 00:19:28,417 弦之介さま! 231 00:19:30,460 --> 00:19:31,503 弦之介さま! 232 00:19:34,089 --> 00:19:37,176 どうやら 目を塞がれたらしい 233 00:19:37,342 --> 00:19:39,303 (陽炎)ハッ… (豹馬)なんと… 234 00:19:42,472 --> 00:19:47,227 ハハハハッ… 思いのほか たやすくいったのぅ 蛍火 235 00:19:47,352 --> 00:19:48,562 (蛍火)はい 236 00:19:48,854 --> 00:19:51,690 あっ 霞刑部が見当たらぬ! 237 00:19:52,399 --> 00:19:55,527 あやつ… あとから来る朧さま一行を― 238 00:19:55,652 --> 00:19:59,323 隠形(おんぎょう)の姿で襲う魂胆では… 239 00:19:59,865 --> 00:20:05,204 蛍火 そなた 急いで引き返し 油断せぬよう申し伝えてくれ 240 00:20:06,288 --> 00:20:08,624 (蛍火)この場は? (念鬼)任せておけ 241 00:20:11,877 --> 00:20:12,836 分かりました 242 00:20:14,129 --> 00:20:15,339 ハッ… ンッ! 243 00:20:17,549 --> 00:20:19,635 ンッ! (陽炎)あっ… ンッ! 244 00:20:24,723 --> 00:20:29,728 ここで手柄を立てて 天膳めの鼻を明かしてくれるわい 245 00:20:32,272 --> 00:20:33,607 (弦之介)伊賀者よな? 246 00:20:42,908 --> 00:20:45,160 フッ… グハハハッ! 247 00:20:45,285 --> 00:20:47,955 わしは 貴様らを討ち取る男よ! 248 00:20:48,080 --> 00:20:50,582 わしの姿が見えるか? 弦之介 249 00:20:50,791 --> 00:20:52,751 見えまいが 豹馬! 250 00:20:53,126 --> 00:20:56,838 さあさあさあ どちらの首から へし折ってくれようか! 251 00:20:58,298 --> 00:20:59,841 見よ 豹馬 252 00:21:00,008 --> 00:21:02,928 ああ? 血迷うたか? 弦之介 253 00:21:03,053 --> 00:21:05,847 見えぬ豹馬へ“見よ”とは笑止! 254 00:21:06,223 --> 00:21:08,600 この 大うつけめが! 255 00:21:09,476 --> 00:21:10,644 アアッ! 256 00:21:11,061 --> 00:21:12,729 ウウッ… アッ… 257 00:21:12,896 --> 00:21:15,732 (うめき声) 258 00:21:16,483 --> 00:21:18,235 (骨の折れる音) アアッ… 259 00:21:18,402 --> 00:21:21,238 おのれー! 260 00:21:21,405 --> 00:21:25,492 (念鬼のうめき声) 261 00:21:56,690 --> 00:21:58,025 (弦之介)わしには… 262 00:22:06,408 --> 00:22:11,413 ♪~ 263 00:23:31,952 --> 00:23:35,789 ~♪ 264 00:23:40,127 --> 00:23:43,130 (語り) 柔肌を染め滴る赤き血の滴 265 00:23:43,255 --> 00:23:46,133 たぎる怨念は やがて永劫(えいごう)の呪詛(じゅそ)となり 266 00:23:46,258 --> 00:23:48,969 可憐(かれん)な花を夜叉(やしゃ)へと変える 267 00:23:49,261 --> 00:23:53,515 いわれなき理不尽への哀訴のごとく なお降りやまぬ雨 268 00:23:53,849 --> 00:23:58,562 光を奪われし者が 懊悩(おうのう)の底に見いだす一縷(いちる)の救い 269 00:23:59,855 --> 00:24:02,274 次回「バジリスク~甲賀忍法帖~」