1 00:00:08,341 --> 00:00:11,010 (語り)憎しみ合う者たちがいた 2 00:00:12,929 --> 00:00:17,684 骸(むくろ)は野に朽ち 御霊(みたま)は血に染(そ)み 3 00:00:20,311 --> 00:00:23,773 絆は 刃(やいば)に分かたれた 4 00:00:23,940 --> 00:00:26,985 (蛇の威嚇音) (鷹(たか)の鳴き声) 5 00:00:32,532 --> 00:00:33,491 (鳴き声) 6 00:00:37,370 --> 00:00:38,663 (鳴き声) 7 00:00:39,789 --> 00:00:42,375 闇についえし真心が泣く 8 00:00:42,500 --> 00:00:43,918 (鷹の鳴き声) 9 00:00:45,378 --> 00:00:49,466 愛する者よ 死に候(そうら)えと 10 00:01:01,519 --> 00:01:06,107 ♪~ 11 00:02:26,813 --> 00:02:30,650 ~♪ 12 00:02:45,623 --> 00:02:46,916 (小四郎(こしろう))ンンッ… 13 00:02:48,459 --> 00:02:49,836 (女性)小四郎どの… 14 00:02:49,961 --> 00:02:53,548 (小四郎)ハッ… その声は朱絹(あけぎぬ)どの… 朱絹どのか? 15 00:02:54,090 --> 00:02:56,050 ど… どうして ここに? 16 00:02:57,176 --> 00:02:59,721 (朱絹)小四郎どの 後ろに… 17 00:03:03,433 --> 00:03:08,062 立ったまま死んでおるのは 甲賀(こうが)の室賀豹馬(むろが ひょうま)では? 18 00:03:08,354 --> 00:03:09,647 (小四郎)なに! 19 00:03:09,898 --> 00:03:14,068 そうか… どうりで倒れた気配がないはず 20 00:03:14,736 --> 00:03:16,404 立往生とは… 21 00:03:16,946 --> 00:03:20,283 室賀豹馬 恐ろしい奴(やつ)よ 22 00:03:21,034 --> 00:03:24,871 朱絹どの そなた どうして ここにおる? 23 00:03:26,956 --> 00:03:31,127 まさか 池鯉鮒(ちりゅう)の旅籠(はたご)で何か… 24 00:03:31,461 --> 00:03:35,298 朧(おぼろ)さまは… 朧さまは どうされた? 25 00:03:36,716 --> 00:03:40,261 (朱絹)アア… 小四郎どの… 26 00:03:40,637 --> 00:03:42,263 (小四郎)アア… 27 00:03:42,388 --> 00:03:47,560 (朱絹)甲賀の… 甲賀の如月左衛門(きさらぎ さえもん)が突然 宿に… 28 00:03:48,519 --> 00:03:52,315 むごたらしや… 朧さまを… 29 00:03:53,066 --> 00:03:57,070 朧さまをなぶり殺しに… 30 00:03:58,279 --> 00:04:00,531 アア… アア… 31 00:04:00,657 --> 00:04:01,991 ンンッ! 32 00:04:02,283 --> 00:04:05,411 ハァハァ ハァハァ… 33 00:04:05,536 --> 00:04:10,166 ひ… ひ… 姫さま 34 00:04:10,959 --> 00:04:12,335 ハァハァ… 35 00:04:12,752 --> 00:04:14,170 何を… 36 00:04:15,255 --> 00:04:17,048 何をしておるのだ! 37 00:04:17,548 --> 00:04:20,426 命を懸けて守ると誓(ちこ)うたというに! 38 00:04:20,593 --> 00:04:22,262 俺は何をして… 39 00:04:22,553 --> 00:04:23,846 (力み声) 40 00:04:26,391 --> 00:04:28,601 おのれ! おのれ! 41 00:04:30,019 --> 00:04:33,022 許さぬ! 何もかも! 42 00:04:33,147 --> 00:04:34,315 ンッ! ンッ! 43 00:04:34,440 --> 00:04:36,317 許さぬぞー! 44 00:04:37,235 --> 00:04:38,486 (朱絹)小四郎どの… 45 00:04:39,362 --> 00:04:40,947 (小四郎)朱絹どの… 46 00:04:41,823 --> 00:04:47,078 そなた 朧さまが討たれたとき 何をしておった! 47 00:04:48,329 --> 00:04:49,455 まさか… 48 00:04:50,707 --> 00:04:54,419 (朱絹)私は そのとき がんじがらめに縛られて 49 00:04:54,544 --> 00:04:58,589 隙をうかがい ようやく抜け出し… 50 00:04:59,382 --> 00:05:01,342 天膳(てんぜん)さまや小四郎どのに― 51 00:05:01,467 --> 00:05:04,929 このことを 命に代えても お知らせせねばと 52 00:05:05,054 --> 00:05:08,474 こうして 生き恥をさらしておりまする 53 00:05:09,309 --> 00:05:14,105 ンンッ! そのようなこと聞きとうなかった! 54 00:05:14,564 --> 00:05:17,400 聞きとうはなかったぞ 朱絹どの! 55 00:05:17,525 --> 00:05:18,776 (朱絹)されど… 56 00:05:19,152 --> 00:05:22,822 これで もはや 思い残すことは ございませぬ 57 00:05:26,326 --> 00:05:28,911 あなたの その手で… 58 00:05:29,537 --> 00:05:30,538 ハッ… 59 00:05:36,252 --> 00:05:37,795 (朱絹)私を… 60 00:05:37,920 --> 00:05:40,798 (小四郎)あ… あけぎ… 61 00:05:42,508 --> 00:05:43,676 (小四郎)アア… 62 00:05:43,801 --> 00:05:46,804 (朱絹)私を殺して 63 00:05:48,431 --> 00:05:52,101 朱絹どの… (朱絹)殺して… 殺して 64 00:05:52,643 --> 00:05:56,522 (小四郎)あ… 朱絹どの… 65 00:05:56,814 --> 00:05:59,108 (朱絹)私を殺して 66 00:06:07,450 --> 00:06:09,118 (小四郎)朱絹… 67 00:06:09,243 --> 00:06:12,955 (朱絹)アア… 小四郎どの 68 00:06:16,292 --> 00:06:17,418 (小四郎)アア… 69 00:06:22,715 --> 00:06:25,885 伊賀(いが)の負けでございます 70 00:06:28,596 --> 00:06:32,350 なれば いっそ2人で… 71 00:06:35,853 --> 00:06:37,230 死んで… 72 00:06:46,697 --> 00:06:47,990 (朧)小四郎 73 00:06:48,616 --> 00:06:49,617 (小四郎)アッ… 74 00:07:04,257 --> 00:07:05,758 (小四郎)アアッ… 75 00:07:09,053 --> 00:07:12,557 朧さま… 76 00:07:17,728 --> 00:07:18,855 やれやれ… 77 00:07:20,440 --> 00:07:22,859 女の声色は疲れるわい 78 00:07:23,443 --> 00:07:25,278 (左衛門)筑摩(ちくま)小四郎… 79 00:07:25,403 --> 00:07:29,365 朱絹に抱かれ 夢見心地で死んだか 80 00:07:45,756 --> 00:07:47,091 (弦之介(げんのすけ))豹馬… 81 00:07:48,217 --> 00:07:51,888 朧の鷹は 池鯉鮒の旅籠に戻ったか… 82 00:07:53,264 --> 00:07:54,515 ならば… 83 00:08:06,027 --> 00:08:07,403 (鷹の鳴き声) 84 00:08:07,570 --> 00:08:10,448 (朧・朱絹)ハァハァ ハァハァ… 85 00:08:11,699 --> 00:08:12,950 (朱絹)小四郎どの? 86 00:08:14,202 --> 00:08:17,538 (朱絹) 小四郎どの! 小四郎どの! 87 00:08:19,081 --> 00:08:20,416 アア… 88 00:08:20,750 --> 00:08:23,794 アア… 小四郎どの… 89 00:08:25,630 --> 00:08:28,508 小四郎どのが… 90 00:08:28,633 --> 00:08:30,927 (泣き声) 91 00:08:31,052 --> 00:08:32,428 (朧)朱絹… 92 00:08:33,763 --> 00:08:38,809 (朱絹)小四郎どのー! 93 00:08:39,560 --> 00:08:41,020 (朧)小四郎… 94 00:08:41,562 --> 00:08:46,817 (朱絹の泣き声) 95 00:08:46,943 --> 00:08:49,403 (左衛門)やはり現れましたな 96 00:08:50,279 --> 00:08:51,656 (陽炎(かげろう))左衛門どの 97 00:08:51,781 --> 00:08:55,868 その姿であれば 近づいて 斬り捨てることも… 98 00:08:56,953 --> 00:08:58,412 (物音) (左衛門)うん? 99 00:09:02,917 --> 00:09:04,252 (弦之介)朧… 100 00:09:07,588 --> 00:09:09,131 (朱絹)小四郎どの… 101 00:09:11,842 --> 00:09:13,469 小四郎どの… 102 00:09:13,719 --> 00:09:17,682 傷はない… 体に傷はないのに… 103 00:09:24,814 --> 00:09:29,735 うぬが… うぬが小四郎どのを… 104 00:09:34,282 --> 00:09:37,201 (朧)朱絹 そこに誰が? 105 00:09:37,326 --> 00:09:40,288 (朱絹) 甲賀者が1人 死んでおりまする 106 00:09:40,413 --> 00:09:42,206 立ったまま… (朧)えっ? 107 00:09:42,707 --> 00:09:48,087 (朱絹)恐らく 小四郎どのと 相討ちになった者でございましょう 108 00:09:50,006 --> 00:09:52,675 (左衛門)おぬしの骸を囮(おとり)に使う 109 00:09:52,800 --> 00:09:54,594 許せよ 豹馬 110 00:09:55,970 --> 00:09:59,640 (朱絹)顔を裂かれて しかとは分かりませぬが 111 00:09:59,765 --> 00:10:01,684 髪は総髪… 112 00:10:02,059 --> 00:10:06,480 どうやら室賀豹馬という 男らしゅうございます 113 00:10:07,106 --> 00:10:10,318 (刀の音) 朱絹! そなた 何を… 114 00:10:11,444 --> 00:10:12,570 ンンッ! (刺す音) 115 00:10:16,866 --> 00:10:17,867 ンンッ! 116 00:10:18,451 --> 00:10:20,536 おやめ 朱絹! 117 00:10:20,703 --> 00:10:21,537 ンンッ! 118 00:10:21,704 --> 00:10:22,830 (左衛門)クッ… 119 00:10:30,713 --> 00:10:33,049 (朧)やめておくれ 朱絹! 120 00:10:35,593 --> 00:10:39,096 仏を辱めるのは やめておくれ! 121 00:10:40,473 --> 00:10:41,766 私は― 122 00:10:42,475 --> 00:10:48,564 天膳が霞刑部(かすみ ぎょうぶ)とやらを さかい橋で さらし者にしたときも 嫌でした 123 00:10:50,608 --> 00:10:54,695 敵とはいえ 小四郎と相討ちになるほどの者 124 00:10:56,697 --> 00:10:59,283 それを ないがしろにすることは― 125 00:11:00,159 --> 00:11:03,746 小四郎をも ないがしろに することじゃと思わぬかえ? 126 00:11:05,498 --> 00:11:09,377 それに 死して なお倒れぬとは― 127 00:11:09,752 --> 00:11:13,297 誰かに よほどの思いを残しておるのやも… 128 00:11:15,674 --> 00:11:18,511 そうは思わぬか? 129 00:11:21,347 --> 00:11:22,556 ハッ… 天膳は? 130 00:11:25,643 --> 00:11:27,770 もしや 天膳も… 131 00:11:28,396 --> 00:11:31,607 (朱絹)天膳さまが? まさか! 132 00:11:32,650 --> 00:11:34,485 ありえぬことでございましょう 133 00:11:34,819 --> 00:11:36,237 (左衛門・陽炎)アア… 134 00:11:36,570 --> 00:11:38,447 (鳴き声) 135 00:11:41,367 --> 00:11:43,577 (ねずみの鳴き声) 136 00:11:43,702 --> 00:11:44,954 (においを嗅ぐ音) 137 00:11:49,250 --> 00:11:53,129 (陽炎)左衛門どの 天膳は 確かに死にましたな? 138 00:11:53,629 --> 00:11:55,381 (左衛門)当たり前じゃ 139 00:11:55,506 --> 00:11:58,175 間違いなく 息の根は止まっておったわ 140 00:11:59,260 --> 00:12:02,513 あやつら 何をたわけたことを… 141 00:12:04,014 --> 00:12:06,767 (弦之介) 伊賀を討つ好機 逃(のが)すことはない 142 00:12:07,143 --> 00:12:07,977 フフッ… 143 00:12:10,855 --> 00:12:12,106 (弦之介)朧… 144 00:12:14,358 --> 00:12:18,070 (左衛門)お待ちを! (陽炎)何をされる? 左衛門どの 145 00:12:18,237 --> 00:12:22,908 (左衛門)東より人がまいる この夜中に いぶかしい人数じゃ 146 00:12:34,336 --> 00:12:35,588 (響八郎(きょうはちろう))父上… 147 00:12:35,754 --> 00:12:39,258 阿福(おふく)さまが ひそかに伊勢(いせ)へと出立された由 148 00:12:39,383 --> 00:12:41,010 お聞き及びにございますか? 149 00:12:42,094 --> 00:12:44,096 (半蔵(はんぞう)) それで戻ってまいったか 150 00:12:44,221 --> 00:12:45,723 (響八郎)恐らくは こたびの争忍に― 151 00:12:45,848 --> 00:12:48,058 関与せんとしての 抜け参り 152 00:12:48,476 --> 00:12:50,519 直ちに配下を… (半蔵)捨ておけ 153 00:12:51,979 --> 00:12:53,063 父上… 154 00:12:57,818 --> 00:13:00,779 (泣き声) (朱絹)安らかに… 155 00:13:01,780 --> 00:13:05,784 お眠りくださいませ 小四郎どの 156 00:13:10,498 --> 00:13:11,332 ハッ… 157 00:13:16,921 --> 00:13:18,047 (家臣)うん? 158 00:13:20,049 --> 00:13:22,384 (家臣) おい そこの者 何奴か? 159 00:13:27,223 --> 00:13:28,807 (家臣)こ… これは… 160 00:13:29,433 --> 00:13:32,269 曲者(くせもの)じゃ! 方々 ご用心なされ! 161 00:13:33,812 --> 00:13:34,813 (朧)えっ? 162 00:13:35,523 --> 00:13:36,941 (朱絹)私どもは― 163 00:13:37,066 --> 00:13:41,529 大御所 家康(いえやす)さまのお召しにより 急ぎ 駿府(すんぷ)へ まいる途中の者 164 00:13:41,862 --> 00:13:45,866 お手前さま方こそ いずれの方々でございますか? 165 00:13:46,367 --> 00:13:49,036 (家臣)な… なに! (家臣)大御所さまだと? 166 00:13:49,286 --> 00:13:50,871 (家臣)たわけたことを! 167 00:13:50,996 --> 00:13:53,332 軽々しく 口にしてよい御名(おんな)ではないぞ! 168 00:13:53,457 --> 00:13:55,042 (家臣)おぬしたち 何者じゃ? 169 00:13:55,376 --> 00:13:58,087 (朱絹) 伊賀の国 鍔隠(つばがく)れの郷士です 170 00:13:58,212 --> 00:13:59,171 (家臣)伊賀だと! 171 00:13:59,296 --> 00:14:03,092 (阿福)何と… 今何と申した! 172 00:14:03,592 --> 00:14:04,677 アア… 173 00:14:07,680 --> 00:14:11,976 (阿福) 伊賀の鍔隠れと申したかえ? 174 00:14:17,398 --> 00:14:19,275 (家臣たちの どよめき) 175 00:14:20,860 --> 00:14:22,236 (家臣)阿福さま… 176 00:14:22,653 --> 00:14:25,781 (阿福)よい 下がっておれ 177 00:14:28,325 --> 00:14:33,539 (阿福)もしや そなたたちは 服部(はっとり)半蔵との約定を解かれ 178 00:14:34,164 --> 00:14:37,960 甲賀と 戦(たたこ)うておる伊賀者ではないかえ? 179 00:14:38,752 --> 00:14:40,087 あなたさまは? 180 00:14:40,421 --> 00:14:44,884 将軍家 ご世子(せいし) 竹千代(たけちよ)さまに お乳をまいらせた― 181 00:14:46,510 --> 00:14:47,511 阿福じゃ 182 00:14:47,845 --> 00:14:48,971 (2人)ハッ… 183 00:14:51,223 --> 00:14:53,142 (阿福)そなたたちの名… 184 00:14:53,267 --> 00:14:56,437 朧と朱絹とは申さぬかえ? 185 00:14:56,604 --> 00:14:59,148 (朱絹)えっ? どうして それを… 186 00:14:59,315 --> 00:15:01,567 (阿福)やはり そうであったか! 187 00:15:01,692 --> 00:15:06,655 伊賀のお幻(げん)が 誇らしげに 書き記したという忍者10人の名前 188 00:15:06,780 --> 00:15:09,158 大御所さまより承っておる 189 00:15:09,742 --> 00:15:11,160 そなたたちは― 190 00:15:11,285 --> 00:15:15,915 竹千代さまの御(おん)ために 選び出された大事な者どもじゃ 191 00:15:23,380 --> 00:15:27,343 (阿福) 時に ここな男の骸は何じゃ? 192 00:15:27,801 --> 00:15:28,969 これは― 193 00:15:29,929 --> 00:15:33,891 甲賀卍谷(まんじだに)の 室賀豹馬と申す男にございます 194 00:15:34,224 --> 00:15:36,852 オオッ! 甲賀者とな! 195 00:15:37,269 --> 00:15:39,229 それは でかしやった! 196 00:15:39,355 --> 00:15:43,150 して 伊賀の女子(おなご) そなたの仲間は? 197 00:15:43,776 --> 00:15:46,195 ほかの伊賀者は どこにおるのじゃ? 198 00:15:47,029 --> 00:15:48,614 (朱絹)アア… 199 00:15:49,239 --> 00:15:52,576 皆 死にました 200 00:15:53,577 --> 00:15:54,954 まさか! 201 00:15:55,663 --> 00:15:59,416 約定が解かれてから 幾日もたっておるまいに 202 00:16:05,130 --> 00:16:07,091 (においを嗅ぐ音) 203 00:16:07,216 --> 00:16:08,801 (鳴き声) 204 00:16:29,405 --> 00:16:30,698 (鷹の鳴き声) 205 00:16:30,823 --> 00:16:32,491 (朧)お教えくださいませ 206 00:16:33,117 --> 00:16:35,494 あなたさまが 先ほど申された― 207 00:16:36,328 --> 00:16:40,040 私どもが竹千代さまの 御ために大事な者とは 208 00:16:40,165 --> 00:16:42,042 どのような 子細でございますか? 209 00:16:42,167 --> 00:16:43,335 (阿福)なんじゃと! 210 00:16:45,671 --> 00:16:46,922 (阿福)まさか… 211 00:16:48,757 --> 00:16:54,221 そなたら その訳も知らずに 甲賀方と戦ってまいったのか? 212 00:16:56,807 --> 00:16:58,142 よかろう… 213 00:17:00,644 --> 00:17:02,229 教えてつかわそう 214 00:17:02,354 --> 00:17:06,608 そなたらの戦いが どれほど重い使命を持っておるか 215 00:17:10,237 --> 00:17:14,366 (響八郎)阿福さまのこと 誠に よろしいのですか? 216 00:17:15,534 --> 00:17:18,203 (響八郎)捨ておかば 要らざる波風が立たぬとも… 217 00:17:18,328 --> 00:17:20,956 (半蔵)その逆よ (響八郎)はぁ? 218 00:17:21,290 --> 00:17:24,293 (半蔵) 要らざる波風を立てぬがために― 219 00:17:24,626 --> 00:17:27,713 阿福がことは 捨ておくと決めたのじゃ 220 00:17:30,382 --> 00:17:34,344 阿福は かつて 稲葉佐渡守(いなば さどのかみ)の後妻であったが 221 00:17:34,762 --> 00:17:38,599 夫が ひそかに囲った妾(めかけ)に 子が生まれたと知るや― 222 00:17:38,932 --> 00:17:42,519 それを なんとか 認めさせようとする夫の留守中 223 00:17:42,770 --> 00:17:46,315 その親子を 家に迎え入れると見せかけて― 224 00:17:46,690 --> 00:17:48,484 いきなり 刺し殺し 225 00:17:48,817 --> 00:17:51,820 そのまま 何事もなかったように― 226 00:17:51,945 --> 00:17:55,741 駕籠(かご)に乗って逐電したという (響八郎の つばを飲む音) 227 00:17:56,241 --> 00:17:58,786 あれは 押さえ込もうと すれば するほど― 228 00:17:58,911 --> 00:18:00,996 かえって 頭に血が上り 229 00:18:01,121 --> 00:18:03,832 意地となって あらがう性質(たち)の女子じゃ 230 00:18:04,458 --> 00:18:06,627 このまま 放っておくが上策 231 00:18:06,752 --> 00:18:08,962 かえって 波風も 立たぬというものよ 232 00:18:09,088 --> 00:18:10,255 (響八郎) なれど 父上… 233 00:18:10,964 --> 00:18:12,382 (半蔵)響八郎 234 00:18:12,508 --> 00:18:15,886 この4代 半蔵正広(まさひろ)が 請け合(お)うてやろう 235 00:18:16,220 --> 00:18:17,596 たとえ 阿福が― 236 00:18:17,721 --> 00:18:20,307 いかな こざかしい策動を 試みようと― 237 00:18:20,766 --> 00:18:22,351 忍者の戦いに― 238 00:18:22,476 --> 00:18:27,314 第三者たる常人が 何の影響を 与えることができようか? 239 00:18:28,607 --> 00:18:31,235 (蛾(が)の焼ける音) 240 00:18:35,072 --> 00:18:39,451 どうじゃ? 誠に誉れ高きことであろう? 241 00:18:42,162 --> 00:18:44,373 朧 朱絹 242 00:18:44,873 --> 00:18:48,877 そなたたち わしと共に駿府へ まいらぬか? 243 00:18:49,253 --> 00:18:52,673 いや 是が非でも同行してたもれ 244 00:18:54,174 --> 00:18:55,592 (阿福)この2人… 245 00:18:56,009 --> 00:19:00,180 竹千代さまのために 断じて死なせるわけにいかぬ! 246 00:19:01,014 --> 00:19:05,227 (阿福)いかがじゃ? 決して悪いようにはせぬぞ 247 00:19:07,938 --> 00:19:12,317 (弦之介)服部家との約定… 両門不戦の戒めは解かれた 248 00:19:13,402 --> 00:19:16,113 されど 余は戦いを好まず 249 00:19:17,239 --> 00:19:20,242 また 何のために戦うかを知らず 250 00:19:21,493 --> 00:19:24,163 されば 余は直ちに駿府に行きて 251 00:19:24,538 --> 00:19:28,834 大御所 または服部どのに その心を聞かんと思う 252 00:19:29,501 --> 00:19:31,253 (朧)駿府へ まいります 253 00:19:31,503 --> 00:19:33,255 (阿福)おお そうか! 254 00:19:33,422 --> 00:19:37,342 (朱絹)朧さま 甲賀の者どもを このまま捨ておくわけには… 255 00:19:37,467 --> 00:19:40,762 (阿福)いや 甲賀は このままには しておかぬ! 256 00:19:41,054 --> 00:19:45,767 また そなたたちも死なせは せぬぞ フッ… 257 00:19:46,602 --> 00:19:49,813 (朱絹) 確かに ここは 朧さまだけでも― 258 00:19:49,938 --> 00:19:54,276 駿府へ行ける段取りを 取っておいたほうがよいやもしれぬ 259 00:19:56,195 --> 00:19:58,113 そして 私は… 260 00:20:01,950 --> 00:20:06,914 (朧)駿府へ行けば 大御所さまや 服部さまに お会いできるやも… 261 00:20:07,789 --> 00:20:10,876 ならば この命に代えても― 262 00:20:11,293 --> 00:20:13,378 再び 不戦の約定を… 263 00:20:14,671 --> 00:20:16,632 (鷹の鳴き声) 264 00:20:27,559 --> 00:20:32,606 この忍法争いが 徳川(とくがわ)の世継ぎを 決するものだったとは… 265 00:20:33,232 --> 00:20:35,776 まったく 面白いことよ 266 00:20:38,403 --> 00:20:39,613 そうか… 267 00:20:40,322 --> 00:20:41,490 アア… 268 00:20:42,991 --> 00:20:44,826 (弦之介)そうであったか… 269 00:20:47,996 --> 00:20:51,208 (人面疽(じんめんそ))ンンッ… ンンッ… 270 00:20:57,422 --> 00:20:59,841 (人面疽)ンンッ… 271 00:20:59,967 --> 00:21:00,884 ハァハァ… 272 00:21:07,933 --> 00:21:10,060 ンンッ… 273 00:21:10,894 --> 00:21:13,188 ンンッ! 274 00:21:16,149 --> 00:21:18,026 ンンッ… 275 00:21:20,737 --> 00:21:22,155 (鼓動音) 276 00:21:23,657 --> 00:21:27,744 (鼓動音) 277 00:21:31,331 --> 00:21:34,167 (天膳)アアッ… ウウッ… 278 00:21:34,918 --> 00:21:37,087 (うめき声) 279 00:21:37,254 --> 00:21:39,840 (うめき声) 280 00:21:40,632 --> 00:21:41,925 ウッ… 281 00:21:42,968 --> 00:21:46,972 ハァハァ ハァハァ… 282 00:21:56,189 --> 00:21:57,190 フッ… 283 00:22:06,491 --> 00:22:11,496 ♪~ 284 00:23:31,952 --> 00:23:35,789 ~♪ 285 00:23:41,503 --> 00:23:45,340 (語り) 薄暮の夕暮橋(いむればし) 閑寂なる女の待ち姿 286 00:23:45,590 --> 00:23:50,428 弔いの霧をかき裂いて 殲(せん)の一意が玲瓏(れいろう)の胸をえぐる 287 00:23:51,138 --> 00:23:53,431 一掬(いっきく)のよすがに込めた慈悲 288 00:23:53,723 --> 00:23:55,976 敵(かたき)の中に見えし人 289 00:23:56,101 --> 00:23:59,229 水面(みなも)にたなびくは赤い絹 290 00:23:59,980 --> 00:24:02,524 次回「バジリスク~甲賀忍法帖~」