1 00:00:01,459 --> 00:00:04,170 (鳥のさえずり) 2 00:00:04,462 --> 00:00:05,839 (誠一(せいいち))ハァ… 3 00:00:06,756 --> 00:00:08,341 (透子(すいこ))おじさん (誠一)んっ 4 00:00:09,968 --> 00:00:11,261 何だい? 5 00:00:11,386 --> 00:00:13,513 (透子)おじさん もうすぐ死ぬわ 6 00:00:13,638 --> 00:00:14,931 あっ… 7 00:00:23,356 --> 00:00:24,733 (誠一)知ってる 8 00:00:26,776 --> 00:00:32,157 ♪~ 9 00:01:48,691 --> 00:01:53,696 ~♪ 10 00:02:01,955 --> 00:02:05,416 (キョウ) “前略 初めてお便りします” 11 00:02:06,000 --> 00:02:09,796 “先生のご本を 愛読させていただいている者です” 12 00:02:10,088 --> 00:02:12,590 “実は先生に知っていただきたい ことがあり―” 13 00:02:12,715 --> 00:02:13,716 “筆を執りました” 14 00:02:15,468 --> 00:02:16,970 “私は もうすぐ死ぬでしょう” 15 00:02:18,012 --> 00:02:19,681 “殺されるのです” 16 00:02:22,016 --> 00:02:26,020 “私には生まれつき 奇妙な才能がありました” 17 00:02:26,646 --> 00:02:29,232 “それは この世界に相いれぬもので―” 18 00:02:29,357 --> 00:02:33,111 “知られれば 恐らく 平穏な生活を望めなくなる…” 19 00:02:33,319 --> 00:02:35,446 “そんなたぐいのものでした” 20 00:02:36,573 --> 00:02:40,034 “しかし私は先生のご本に 出会ってしまいました” 21 00:02:40,952 --> 00:02:44,247 (誠一)“君の孤独は 君の価値でもある” 22 00:02:44,747 --> 00:02:46,624 “君が独りぼっちであれば あるほど―” 23 00:02:47,333 --> 00:02:50,420 “君は多くの人とつながる 才能を持っている” 24 00:02:50,545 --> 00:02:51,379 (キョウ)あっ… 25 00:02:52,130 --> 00:02:54,382 (キョウ)“私は それまで ひた隠しにしていた才能を―” 26 00:02:55,383 --> 00:02:58,428 “少しずつ 世に現そうと考えました” 27 00:02:59,679 --> 00:03:03,516 “しかし世界は私を異分子として 排除するようです” 28 00:03:04,475 --> 00:03:06,019 (投かんする音) 29 00:03:06,477 --> 00:03:09,397 (キョウ)“私の周りで 最近 妙な連中を見かけます” 30 00:03:09,981 --> 00:03:12,609 “きっと 監視者からの刺客でしょう” 31 00:03:13,985 --> 00:03:15,695 “予想してたことですが―” 32 00:03:16,154 --> 00:03:20,241 “私は現在の社会の敵に なってしまいました” 33 00:03:20,658 --> 00:03:23,786 “それで最後にお礼を言おうと 思ったのです” 34 00:03:23,995 --> 00:03:26,122 社会の敵… 35 00:03:26,539 --> 00:03:30,543 (携帯電話の呼び出し音) 36 00:03:31,878 --> 00:03:34,255 (誠一)弦(げん) 今日 暇かい? 37 00:03:34,464 --> 00:03:37,926 (弦)まあな 何だ? また何かの調査か? 38 00:03:38,051 --> 00:03:42,805 ああ それが 少々特殊なんだが… 39 00:03:46,809 --> 00:03:51,522 (弦)誠一 結論から言って こいつは本当に死んでいる 40 00:03:52,023 --> 00:03:52,857 あっ… 41 00:03:52,982 --> 00:03:54,984 (弦)死んだのは1か月前 42 00:03:55,109 --> 00:03:57,779 この手紙の消印の その翌日だ 43 00:03:57,904 --> 00:04:00,281 (誠一)翌日? (弦)ああ しかも― 44 00:04:00,406 --> 00:04:03,660 手紙を出す日の3日前から 行方不明になっている 45 00:04:04,077 --> 00:04:06,037 行方不明… 46 00:04:06,162 --> 00:04:08,414 彼は やっぱり 何かをしていたのか? 47 00:04:08,790 --> 00:04:10,667 それなんだが… 48 00:04:10,792 --> 00:04:12,168 (誠一)どうした? (弦)あっ いや 49 00:04:13,002 --> 00:04:16,005 別に何でもないこと なのかもしれんが… 50 00:04:16,130 --> 00:04:17,465 (誠一)何だよ もったいつけて 51 00:04:18,675 --> 00:04:21,469 周りの友達の成績を 上げちまったんだ 52 00:04:21,594 --> 00:04:22,637 んっ… 53 00:04:22,762 --> 00:04:26,766 (弦)それも別に勉強を教えたとか そういうんじゃない 54 00:04:27,684 --> 00:04:30,478 ひと言ふた言 アドバイスをもらったとか― 55 00:04:30,603 --> 00:04:34,357 頭をなでてもらったとか それだけだって言うんだ 56 00:04:34,482 --> 00:04:35,900 学校だけじゃない 57 00:04:36,025 --> 00:04:40,113 バンドマンには 個性的な曲を 作れるようにしてやったりとか― 58 00:04:40,238 --> 00:04:43,116 そういう話が いっぱいあるんだよ 59 00:04:43,908 --> 00:04:45,743 それって つまり― 60 00:04:45,868 --> 00:04:49,539 例えば僕だったら 本業の小説がうまくなるとか 61 00:04:49,789 --> 00:04:51,207 そういうことだ 62 00:04:51,332 --> 00:04:55,545 要は本人が伸び悩んでいたことを 何つうか― 63 00:04:55,670 --> 00:04:59,841 “突破”させてやる才能? そんなのがあったって言うんだ 64 00:04:59,966 --> 00:05:02,010 信じられないな 65 00:05:02,135 --> 00:05:05,221 まるで彼が 奇跡を起こせるみたいじゃないか 66 00:05:05,346 --> 00:05:07,348 (弦)“みたい”っていうか… 67 00:05:07,473 --> 00:05:10,810 感触だが こいつは本物だ 68 00:05:10,935 --> 00:05:12,186 死因は何だったんだ? 69 00:05:12,687 --> 00:05:16,232 (弦)階段から足を滑らせて 頭を打ったそうだ 70 00:05:16,357 --> 00:05:17,567 目撃者もいない 71 00:05:17,984 --> 00:05:21,946 (誠一)行方不明の果てに 階段で転んで死んだ… 72 00:05:22,071 --> 00:05:23,072 ということか 73 00:05:23,489 --> 00:05:25,742 (弦)騒ぎになりそうなもんだろ? 74 00:05:25,867 --> 00:05:28,077 だが何の問題も残っていないんだ 75 00:05:28,619 --> 00:05:31,914 家族は すぐ引っ越しちまって 消息不明だしな 76 00:05:32,040 --> 00:05:35,001 (誠一)ハァ… 痕跡が何もないのか 77 00:05:35,126 --> 00:05:37,670 ああ それが問題だ 78 00:05:37,795 --> 00:05:41,090 なあ 誠一 こいつはヤバいことだぞ 79 00:05:41,215 --> 00:05:44,969 下手に首 突っ込むと ただじゃ済まないかもしれん 80 00:05:48,264 --> 00:05:52,101 (誠一)奇跡を起こす少年が 社会の敵か… 81 00:05:52,685 --> 00:05:55,104 〝ひた隠しにしていた 才能を世に…〞 82 00:05:56,022 --> 00:05:56,856 あっ 83 00:05:57,356 --> 00:06:01,986 (キーボードを打つ音) 84 00:06:03,362 --> 00:06:05,948 (マウスの操作音) 85 00:06:07,825 --> 00:06:10,828 (誠一) どうなっているんだ これは… 86 00:06:11,037 --> 00:06:13,748 (ふすまの開く音) (凪(なぎ))オヤジ どうかしたの? 87 00:06:14,165 --> 00:06:17,376 (誠一)い… いやあ 別に 何でも 88 00:06:18,753 --> 00:06:19,837 (誠一)何だって? 89 00:06:19,962 --> 00:06:22,840 (凪)だから 母さんが会いたいってさ 90 00:06:22,965 --> 00:06:25,176 (誠一)なんで? (凪)さあな 91 00:06:25,301 --> 00:06:28,262 再婚が本決まりになったから その前に一度って 92 00:06:28,679 --> 00:06:30,598 し… しかし… 93 00:06:30,723 --> 00:06:33,392 (凪)会いたくない? なら そう伝えるけど 94 00:06:33,518 --> 00:06:34,519 んっ… 95 00:06:35,061 --> 00:06:38,815 い… いやあ 分かった 承知したって言っといてくれ 96 00:06:39,524 --> 00:06:40,691 どうした? 97 00:06:41,234 --> 00:06:42,860 別に何でもない 98 00:06:42,985 --> 00:06:45,571 何だ 気になるな 99 00:06:45,696 --> 00:06:49,534 (凪)母さんの再婚相手ってさ 金持ちなんだよね 100 00:06:49,659 --> 00:06:50,993 それが? 101 00:06:51,119 --> 00:06:55,164 だから子供が1人や2人増えても 何てことないんだって 102 00:06:55,581 --> 00:06:56,624 あっ 103 00:06:57,458 --> 00:06:59,418 お前は どう思ってるんだ? 104 00:06:59,752 --> 00:07:00,962 (凪の吹き出す声) 105 00:07:01,087 --> 00:07:04,924 (凪)アハハッ そんな泣きそうな顔すんなよ 106 00:07:05,341 --> 00:07:07,260 一緒にいてあげるから 107 00:07:07,677 --> 00:07:09,929 お前 からかったのか? 108 00:07:10,138 --> 00:07:12,932 そりゃもう 思いっきりな 109 00:07:15,268 --> 00:07:18,604 まったく 俺よりしっかりしてるな お前 110 00:07:19,439 --> 00:07:22,608 俺が小学生のころからすると 考えられないよ 111 00:07:22,733 --> 00:07:24,360 そりゃそうだよ 112 00:07:24,485 --> 00:07:26,571 あとの時代に生まれた 俺たちのほうが― 113 00:07:26,696 --> 00:07:29,449 オヤジ世代より 賢くなるに決まってるだろ 114 00:07:29,574 --> 00:07:33,661 (誠一)そういうものか? (凪)進化ってやつだよ 進化! 115 00:07:33,786 --> 00:07:36,747 進化か よく言ったもんだ 116 00:07:36,873 --> 00:07:41,836 まっ “子供は人類の父である” なんて言葉が… 117 00:07:41,961 --> 00:07:43,087 ハッ 118 00:07:48,551 --> 00:07:52,638 (誠一)進化… “社会の敵”とはそういうことか 119 00:07:53,764 --> 00:07:54,807 (弦)何つうか― 120 00:07:54,932 --> 00:07:59,395 “突破”させてやる才能? そんなのがあったって言うんだ 121 00:08:00,521 --> 00:08:02,231 (誠一) 〝未来〞の出現に― 122 00:08:02,356 --> 00:08:04,484 現在社会が対抗している 123 00:08:05,193 --> 00:08:07,111 これは生存競争だ 124 00:08:08,279 --> 00:08:12,825 “監視者”とやらが 私にたどり着くのも時間の問題だな 125 00:08:15,244 --> 00:08:17,288 (透子)おじさん もうすぐ死ぬわ 126 00:08:18,873 --> 00:08:20,124 (誠一)知ってる 127 00:08:20,666 --> 00:08:23,044 (透子)知ってるのに平気なの? 128 00:08:23,169 --> 00:08:25,880 (誠一)どうにもならないことは あるものさ 129 00:08:26,339 --> 00:08:28,508 (透子)ここで何を見ていたの? 130 00:08:28,925 --> 00:08:31,219 (誠一)鳥だよ (透子)鳥? 131 00:08:31,594 --> 00:08:35,264 鳥は なんで空を飛んでいるのか 知っているかな? 132 00:08:35,973 --> 00:08:38,184 (透子)翼があるからでしょ? 133 00:08:38,559 --> 00:08:41,521 (誠一)他に飛んでいるものが 少ないからだよ 134 00:08:42,063 --> 00:08:45,274 鳥ほど空を自由に飛べる 生き物はいない 135 00:08:45,399 --> 00:08:46,943 だから飛ぶんだ 136 00:08:47,235 --> 00:08:49,028 (透子)どういうこと? 137 00:08:49,153 --> 00:08:52,490 他に争うものがいなければ 生きていける 138 00:08:52,615 --> 00:08:56,661 鳥は ずっと昔から そうやって生き延びてきたんだ 139 00:08:57,537 --> 00:09:01,749 でも飛んでいる鳥だって 空から落ちることがあるわ 140 00:09:01,874 --> 00:09:04,752 (誠一) 4月に雪が降ることだってある 141 00:09:04,877 --> 00:09:05,711 あっ 142 00:09:06,003 --> 00:09:10,132 あらゆる危険や意外性は 全て平等にある 143 00:09:10,424 --> 00:09:13,844 問題は その中でどう生き抜くかだ 144 00:09:14,387 --> 00:09:15,805 (透子)人間も? 145 00:09:17,181 --> 00:09:20,601 (誠一) 人間も それ以外の者も… だ 146 00:09:21,519 --> 00:09:25,189 それまでの人間とは 少し違う者たちにも― 147 00:09:25,314 --> 00:09:27,733 やはり そういう戦いは待っている 148 00:09:28,317 --> 00:09:31,195 どう対処するかは それぞれだがね 149 00:09:31,612 --> 00:09:33,823 (透子)おじさんって偉い人なの? 150 00:09:33,948 --> 00:09:39,245 ああ しがない物書きだが 実は すごい大物さ 151 00:09:40,037 --> 00:09:42,540 社会の敵 ナンバーワンだよ 152 00:09:42,665 --> 00:09:43,499 敵? 153 00:09:44,166 --> 00:09:49,046 今の世界にとっては新しすぎて 敵にしかなれない者たちが― 154 00:09:49,171 --> 00:09:53,175 なぜか みんな 私の書いた本に感動してくれる 155 00:09:53,551 --> 00:09:56,554 いわば 彼らの旗頭のような存在だ 156 00:09:56,679 --> 00:09:57,513 (透子)へえ 157 00:09:57,930 --> 00:10:03,853 といっても 私にできることは 彼らの背中を押すことだけだがね 158 00:10:04,854 --> 00:10:08,149 私は そこまで言葉の力を 信じていない 159 00:10:08,274 --> 00:10:10,735 命じることも 止めることもできない 160 00:10:10,860 --> 00:10:12,862 (足音) 161 00:10:13,404 --> 00:10:14,530 (座る音) あっ 162 00:10:15,698 --> 00:10:18,284 でも おじさんは死ぬわ 163 00:10:18,409 --> 00:10:21,037 ハァ… らしいな 164 00:10:21,829 --> 00:10:27,001 結局 思うようにはいかない 途中で失敗してしまうのよ 165 00:10:27,293 --> 00:10:29,211 (誠一)それが失敗だと 誰が決める? 166 00:10:29,337 --> 00:10:30,171 うん? 167 00:10:30,504 --> 00:10:33,299 君は人の死が見えるんだね 168 00:10:33,633 --> 00:10:34,592 ええ 169 00:10:34,717 --> 00:10:38,721 その奇妙な才能は 呪われたものだと思うかい? 170 00:10:38,846 --> 00:10:40,306 分からないわ 171 00:10:40,556 --> 00:10:44,560 ああ そんなことは 誰にも分からないんだ 172 00:10:44,894 --> 00:10:47,563 もし君が これから何かをしたとして― 173 00:10:47,897 --> 00:10:50,191 それが途中で終わったとしても― 174 00:10:50,316 --> 00:10:53,444 それが失敗かどうかは 誰にも決められない 175 00:10:54,278 --> 00:10:57,239 それが たとえ悪いことにしか 見えないことでも― 176 00:10:57,365 --> 00:11:01,077 君が何かをしようとした意思や 真剣な気持ち… 177 00:11:01,369 --> 00:11:05,456 そういうものは 必ず他の者たちの中に残る 178 00:11:06,332 --> 00:11:10,878 君の次に 誰かが もっとうまく それをやってくれるかもしれない 179 00:11:11,337 --> 00:11:12,630 誰が? 180 00:11:12,922 --> 00:11:15,216 (誠一)君の敵だった者 かもしれないし― 181 00:11:15,549 --> 00:11:18,094 ただの通りすがりの人かもしれない 182 00:11:19,261 --> 00:11:21,097 それは誰にも分からない 183 00:11:21,931 --> 00:11:24,725 そして それは また次に伝わり― 184 00:11:24,850 --> 00:11:26,352 その中の誰かが― 185 00:11:26,477 --> 00:11:30,022 いつか世界の中心に たどり着くかもしれない 186 00:11:30,773 --> 00:11:32,608 (透子)おじさんは? (誠一)うん? 187 00:11:33,401 --> 00:11:37,321 (透子)おじさんの次には 誰かが続くと信じてるの? 188 00:11:38,030 --> 00:11:38,989 さあね 189 00:11:39,532 --> 00:11:41,242 本当は 小説のほうを― 190 00:11:41,367 --> 00:11:44,370 読んでもらいたかったんだがね 私は 191 00:11:45,121 --> 00:11:47,623 (透子)おじさん 名前は何ていうの? 192 00:11:48,416 --> 00:11:51,252 霧間(きりま)誠一だ 君は? 193 00:11:52,586 --> 00:11:54,422 水乃星(みなほし)透子 194 00:11:55,089 --> 00:11:58,259 (誠一のうめき声) 195 00:11:58,884 --> 00:12:01,762 (誠一のうめき声) 196 00:12:02,179 --> 00:12:04,265 うっ ああっ… 197 00:12:06,892 --> 00:12:09,228 (ドアの開く音) 198 00:12:09,353 --> 00:12:11,272 (凪)ただいま! 199 00:12:13,899 --> 00:12:14,942 (誠一)やめとけ 200 00:12:15,860 --> 00:12:21,532 娘まで変死すると 大事件になるぞ いいのか? 201 00:12:21,657 --> 00:12:23,576 (足音) 202 00:12:24,201 --> 00:12:27,955 (モ・マーダー) お前 自分が殺されることを 知っていたのか? 203 00:12:28,372 --> 00:12:30,416 (足音) 204 00:12:30,916 --> 00:12:33,502 今日は早退しちゃってさ 205 00:12:33,627 --> 00:12:34,462 えっ? 206 00:12:37,673 --> 00:12:40,384 ハッ… オヤジ! 207 00:12:42,553 --> 00:12:43,387 あっ 208 00:12:44,472 --> 00:12:49,393 凪 普通ということをどう思う? 209 00:12:50,561 --> 00:12:51,770 (凪)えっ… 210 00:12:53,397 --> 00:12:54,315 あっ… 211 00:12:57,985 --> 00:12:59,320 (モ・マーダー)普通… か 212 00:13:00,446 --> 00:13:02,323 (ピジョン)何か言った? (モ・マーダー)いえ 213 00:13:04,617 --> 00:13:06,577 むごいものだなと 214 00:13:06,785 --> 00:13:09,788 (ピジョン) あんたにとっては普通でしょ? 215 00:13:09,914 --> 00:13:13,167 殺人機械のあんたにはさ 216 00:13:16,170 --> 00:13:18,506 (キョウ)あなたの中に 1匹の虫がいる 217 00:13:19,423 --> 00:13:22,635 その虫は次第に大きくなっていく 218 00:13:23,427 --> 00:13:26,889 あなたが忘れようとすることを 食べながら 219 00:13:28,807 --> 00:13:33,729 その虫は いずれ あなたの運命を決定する 220 00:13:34,355 --> 00:13:38,734 そして 恐らく あなたは そのために死ぬ 221 00:13:39,318 --> 00:13:44,073 (ピジョン) それで見当はついたの? 同じ殺人鬼として 222 00:13:44,198 --> 00:13:45,533 (モ・マーダー)いえ 何とも 223 00:13:45,824 --> 00:13:49,286 そう… なら それが今度のあんたの仕事 224 00:13:49,912 --> 00:13:53,249 なぜ犯人が こんな殺し方を したかを突き止め― 225 00:13:53,374 --> 00:13:55,209 場合によっては始末する 226 00:13:55,334 --> 00:13:57,419 (モ・マーダー) 分かりました では早速… 227 00:13:57,753 --> 00:13:59,588 (ピジョン)どこから調べるの? 228 00:13:59,713 --> 00:14:01,882 (モ・マーダー) まずは殺害現場に行ってみます 229 00:14:02,383 --> 00:14:05,719 どのように殺されたのか また目的は何か… 230 00:14:05,844 --> 00:14:08,514 そんなもの 警察がとっくにやってるわよ 231 00:14:08,847 --> 00:14:12,726 (モ・マーダー) 警察では気がつかない 共通する何かがあります 232 00:14:12,851 --> 00:14:16,689 この犯人は明らかに 目的を持って行動していますから 233 00:14:16,814 --> 00:14:20,109 さすが同類ね 気持ち悪い 234 00:14:20,234 --> 00:14:22,570 ピジョンさん… でしたっけ? 235 00:14:22,695 --> 00:14:25,990 君は 少し感情を 表に出しすぎですよ 236 00:14:28,284 --> 00:14:32,329 殺人鬼に そんなこと言われる 筋合いないわ 237 00:14:43,215 --> 00:14:45,384 (モ・マーダー) ここは人目につきやすい 238 00:14:45,759 --> 00:14:47,887 それに悲鳴も すぐに届く 239 00:14:48,679 --> 00:14:50,890 つまり 声を上げられることもなく― 240 00:14:51,390 --> 00:14:54,727 一瞬で目的を達成する力が あったということ 241 00:14:56,353 --> 00:15:00,649 にしても犯行が稚拙すぎる 慎重さや計算が まるでない 242 00:15:05,237 --> 00:15:07,948 見つからなかったのは たまたまだろうが― 243 00:15:08,073 --> 00:15:09,366 これじゃ まるで… 244 00:15:09,491 --> 00:15:12,453 (凪) 肉食動物の狩猟みたい… か? 245 00:15:13,787 --> 00:15:15,039 き… 君は… 246 00:15:17,791 --> 00:15:21,128 (凪)おじさん なんでこんなとこ調べてんの? 247 00:15:21,253 --> 00:15:22,296 新聞記者? 248 00:15:22,546 --> 00:15:23,923 別に調べてなんか… 249 00:15:24,048 --> 00:15:25,090 (凪)フフッ 250 00:15:25,215 --> 00:15:28,177 調べてないんだったら 一体 何だっていうんだよ 251 00:15:28,594 --> 00:15:29,678 うん? 252 00:15:30,054 --> 00:15:32,640 現場をタカみたいな目で にらみつけたり― 253 00:15:33,265 --> 00:15:37,019 周辺の建物からの 視認の有無を確認したり 254 00:15:37,144 --> 00:15:38,520 ずっと見てたのかい? 255 00:15:38,646 --> 00:15:40,147 (凪)見られちゃまずい人? 256 00:15:40,856 --> 00:15:44,526 調べているとして 君と何か関係がありますか? 257 00:15:44,860 --> 00:15:47,780 怒るなよ 少し気になっただけだよ 258 00:15:48,489 --> 00:15:51,617 君の顔 見たことありますよ 259 00:15:51,742 --> 00:15:55,537 “死んだ人気作家の一人娘”って 週刊誌か何かで 260 00:15:55,913 --> 00:15:57,122 へえ 261 00:15:59,208 --> 00:16:01,460 (モ・マーダー) 確かに調べていました 262 00:16:01,585 --> 00:16:02,628 何というか― 263 00:16:02,753 --> 00:16:06,423 自分が この事件のことを 理解できるような気がしましてね 264 00:16:06,674 --> 00:16:08,801 平凡なサラリーマンが? 265 00:16:08,926 --> 00:16:11,345 (モ・マーダー) 自分でも気味が悪いんですが― 266 00:16:11,470 --> 00:16:16,308 なぜか この事件の犯人と自分に 共通するものがあるような気がして 267 00:16:17,142 --> 00:16:19,144 君は なぜ この事件を? 268 00:16:19,395 --> 00:16:22,731 (凪)暇だからさ (モ・マーダー)暇って… 269 00:16:22,856 --> 00:16:26,944 (凪)なあ 佐々木(ささき)さん 一緒に調べないか? この事件 270 00:16:27,069 --> 00:16:27,820 (モ・マーダー)えっ? 271 00:16:28,028 --> 00:16:31,824 (凪)俺にはカネがある あんたは犯人の気持ちが分かる 272 00:16:32,408 --> 00:16:34,618 いいコンビだと思うけどな 273 00:16:36,203 --> 00:16:40,082 (真希子(まきこ))例のシステムとやらが 動いていたのは分かっていたけど… 274 00:16:40,666 --> 00:16:43,836 (真希子)ただ どういうつもり? 凪ちゃん 275 00:16:44,503 --> 00:16:47,089 私に味わってもらいたいのかしら? 276 00:16:48,298 --> 00:16:52,094 確かに すてきな味がしそうね フフッ 277 00:16:54,596 --> 00:16:58,434 (モ・マーダー) 先ほどとは打って変わって いかにもな場所ですね 278 00:16:58,559 --> 00:17:00,227 (凪)どういうことだ? 279 00:17:00,686 --> 00:17:01,895 何です? 280 00:17:02,021 --> 00:17:03,564 (凪)なあ 佐々木さん 281 00:17:03,689 --> 00:17:06,567 あんた 犯人の心理が 想像できるんだろ? 282 00:17:06,859 --> 00:17:08,694 何か感じないか? 283 00:17:08,944 --> 00:17:10,696 (モ・マーダー) そう言われましても… 284 00:17:11,280 --> 00:17:13,741 (凪)人目につきやすい さっきの場所と― 285 00:17:13,866 --> 00:17:16,660 やることが まったく一緒なのは なんでだ? 286 00:17:16,785 --> 00:17:19,997 (モ・マーダー)人に見られようが どうしようが関係なかった 287 00:17:20,122 --> 00:17:21,832 …ということですかね 288 00:17:21,957 --> 00:17:26,211 (凪) 他人の目なんか どうでもいいと 思っているってことか 289 00:17:26,628 --> 00:17:28,464 あんただったら どうする? 290 00:17:28,964 --> 00:17:32,342 人の頭蓋骨の中身を吸い出す 動機があったとして― 291 00:17:33,052 --> 00:17:36,055 人目につくことを重視しないで やれるか? 292 00:17:37,931 --> 00:17:40,476 私だったら 死体を隠してからやります 293 00:17:41,101 --> 00:17:43,228 やはり人目は怖いですから 294 00:17:43,937 --> 00:17:45,689 怖いか… 295 00:17:46,023 --> 00:17:49,318 犯人は怖がっていなかった ということなのかな 296 00:17:49,651 --> 00:17:52,196 (モ・マーダー)霧間さんも そういうのなさそうですね 297 00:17:52,321 --> 00:17:54,448 無神経って言いたいのか? 298 00:17:54,573 --> 00:17:56,992 怖いもの知らず… ですよ 299 00:17:57,493 --> 00:17:59,953 怖いもの知らずね 300 00:18:00,370 --> 00:18:03,582 怖いもの… 怖がる… 301 00:18:04,583 --> 00:18:07,795 (モ・マーダー) これは無理ですね 入れませんよ 302 00:18:08,295 --> 00:18:10,506 (凪)佐々木さん ナンパしたことある? 303 00:18:10,631 --> 00:18:13,509 (モ・マーダー)えっ? (凪)ナンパだよ ナンパ 304 00:18:13,634 --> 00:18:16,220 (モ・マーダー) い… いや ないですけど 305 00:18:16,345 --> 00:18:18,806 じゃ 初体験だな 306 00:18:21,308 --> 00:18:23,018 (モ・マーダー)あの 君… 307 00:18:23,143 --> 00:18:24,770 (里香(りか))な… 何ですか? 308 00:18:24,895 --> 00:18:26,563 いや その… 309 00:18:26,855 --> 00:18:28,232 もしかして 君は― 310 00:18:28,357 --> 00:18:30,734 被害者と何か関係が あるんじゃないかと思って 311 00:18:31,819 --> 00:18:35,447 ああ いや 私は別に その… 怪しい者じゃなくて 312 00:18:37,241 --> 00:18:38,242 (里香)あっ 313 00:18:38,617 --> 00:18:41,245 俺たちは この事件の調査をしているんだ 314 00:18:41,787 --> 00:18:44,206 少し話を聞いてもいいかな? 315 00:18:46,416 --> 00:18:47,876 (里香)保険の調査員? 316 00:18:48,502 --> 00:18:51,588 彼女 こう見えて26歳なんですよ 317 00:18:52,131 --> 00:18:54,591 なあ 里香さん なんで逃げたんだ? 318 00:18:54,716 --> 00:18:58,470 まあ ご友人なら マスコミも かぎ回ってますし 319 00:18:58,929 --> 00:19:01,181 お2人は何の調査を? 320 00:19:01,306 --> 00:19:03,225 (モ・マーダー) あっ ああ えーとですね 321 00:19:03,559 --> 00:19:05,936 この事件が通り魔的な犯行か― 322 00:19:06,061 --> 00:19:08,480 いわゆる怨恨(えんこん)や そのたぐいの場合かで… 323 00:19:08,605 --> 00:19:11,275 怨恨なんて 静枝(しずえ)は… 324 00:19:12,860 --> 00:19:15,404 (凪)静枝さんって どういう人だった? 325 00:19:15,529 --> 00:19:17,531 怨恨の線はないんだな? 326 00:19:17,656 --> 00:19:18,490 はい 327 00:19:18,949 --> 00:19:21,869 人の恨みを買ったりする子じゃ ありませんでした 328 00:19:21,994 --> 00:19:23,370 本当です 329 00:19:23,495 --> 00:19:25,205 明るい人だったんですか? 330 00:19:25,330 --> 00:19:28,792 (里香)ええ 明るくて芯の強い人でした 331 00:19:28,917 --> 00:19:30,127 芯が強い? 332 00:19:30,836 --> 00:19:35,465 気持ちがまっすぐというか 勝ち気で 物おじしないというか 333 00:19:35,799 --> 00:19:39,386 人けのない夜道とかも まったく気にしないタイプなんです 334 00:19:39,887 --> 00:19:41,763 だから あんな事件に… 335 00:19:42,139 --> 00:19:44,183 霧間さんと似たタイプですね 336 00:19:44,308 --> 00:19:47,019 俺にも怖いものぐらいはあるさ 337 00:19:47,144 --> 00:19:49,229 でも静枝さんは違ったんだろ? 338 00:19:49,354 --> 00:19:51,982 え… ええ たぶん 339 00:19:52,232 --> 00:19:55,694 私が人一倍 怖がりなだけ なのかもしれませんが 340 00:19:55,819 --> 00:19:56,653 (凪)そうか 341 00:19:57,237 --> 00:20:00,616 (里香)私は子供のころから 怖がりでしたから 342 00:20:00,741 --> 00:20:01,658 あっ 343 00:20:04,536 --> 00:20:06,997 (凪)なんで 恐怖なんてものがあるのか… 344 00:20:07,122 --> 00:20:08,290 えっ… 345 00:20:08,999 --> 00:20:10,042 (モ・マーダー)どうしました? 346 00:20:10,167 --> 00:20:12,878 さっき会った人も 同じようなことを… 347 00:20:13,253 --> 00:20:14,254 どういうことだ? 348 00:20:17,007 --> 00:20:19,801 (真希子) さぞ怖かったでしょうね 349 00:20:19,927 --> 00:20:20,761 うん? 350 00:20:21,220 --> 00:20:24,264 なんで恐怖なんてものが あるのかしら 351 00:20:25,015 --> 00:20:26,642 恐怖さえなければ― 352 00:20:26,767 --> 00:20:30,437 彼女は きっと 笑顔のままでいられたでしょうに 353 00:20:31,271 --> 00:20:33,357 (里香)すごく気味が悪くって― 354 00:20:33,482 --> 00:20:36,652 それで 2人に 話しかけられたときも つい… 355 00:20:37,277 --> 00:20:40,489 (凪)そうか 分かった 356 00:20:40,614 --> 00:20:41,782 どうかされました? 357 00:20:41,907 --> 00:20:44,576 (凪)悪い 勘定 置いてくから 358 00:20:46,495 --> 00:20:50,165 (モ・マーダー)待ってくださいよ 一体 どうしたっていうんですか? 359 00:20:50,290 --> 00:20:53,126 (凪)あんたの疑いは晴れたよ 佐々木さん 360 00:20:53,252 --> 00:20:55,128 (モ・マーダー)えっ… (凪)悪いな 361 00:20:55,254 --> 00:20:58,840 俺は あんたも疑っていた でも それはケリがついた 362 00:20:59,591 --> 00:21:01,551 だから もう さよならだ 363 00:21:01,677 --> 00:21:04,972 なぜ私の疑いが晴れたんですか? 私は… 364 00:21:05,222 --> 00:21:07,474 (凪)気の迷いだよ 佐々木さん 365 00:21:07,599 --> 00:21:11,270 あんたの中の虫が ちょっと騒いでいるようなものだ 366 00:21:12,020 --> 00:21:14,773 あんたはホントは優しい人間だ 367 00:21:14,898 --> 00:21:17,901 自分から進んで 人殺しなんかしない 368 00:21:18,151 --> 00:21:21,363 (モ・マーダー)会ったばかりで なぜ君は そこまで… 369 00:21:21,488 --> 00:21:22,948 勘だ 370 00:21:23,073 --> 00:21:25,867 ただ さっき里香さんに 声をかけろと俺が言ったとき― 371 00:21:25,993 --> 00:21:27,995 あんたは素直に戸惑った 372 00:21:28,120 --> 00:21:30,414 そこにウソはなかった 373 00:21:31,373 --> 00:21:34,126 それで十分だろ? じゃあな 374 00:21:37,170 --> 00:21:41,800 君は… 君は犯人が分かったのか? 375 00:21:44,136 --> 00:21:47,472 (真希子)ヒントはあげた あとは待つだけ 376 00:21:48,223 --> 00:21:51,101 来てくれるわよね 凪ちゃん 377 00:21:51,310 --> 00:21:54,855 たぐいまれなる正義感を持つ あなたなら きっと… 378 00:21:56,023 --> 00:21:58,567 そして証明してちょうだい 379 00:21:59,151 --> 00:22:03,739 その内に 何もかも焼き尽くすような― 380 00:22:04,197 --> 00:22:07,993 炎のような強さを秘めていることを 381 00:22:11,455 --> 00:22:16,835 ♪~ 382 00:23:34,830 --> 00:23:39,042 ~♪