1 00:00:03,003 --> 00:00:06,506 《豚:俺は今 薄暗い小屋の地面に➡ 2 00:00:06,506 --> 00:00:10,844 泥まみれで うずくまっている。 どうして泥まみれなのか? 3 00:00:10,844 --> 00:00:12,846 地面が泥だからだ。 4 00:00:12,846 --> 00:00:17,017 周りには豚。 ここは どうやら豚小屋らしい。 5 00:00:17,017 --> 00:00:21,021 体は重く 手足はピクリとも動こうとしない。 6 00:00:21,021 --> 00:00:24,691 ただただ豚たちと一緒に 泥の上で寝転んでいる。 7 00:00:24,691 --> 00:00:26,693 目も おかしい。 8 00:00:26,693 --> 00:00:29,029 ぼやけた視界は 眼鏡がないせいだとしよう。 9 00:00:29,029 --> 00:00:34,034 土のにおい 糞のにおい 牧草のにおい サビのにおい。 10 00:00:34,034 --> 00:00:38,538 強烈な豚小屋ブレンドの香りが 俺の嗅覚を刺激して…》 11 00:00:38,538 --> 00:00:40,707 (扉の開く音) 12 00:00:40,707 --> 00:00:42,709 《やめろ! 踏まないでくれ!》 13 00:00:42,709 --> 00:00:45,212 (ジェス)ネ・イラクチャ・ヘ・トスケン・デンゲュシ。 14 00:00:45,212 --> 00:00:48,715 《助かった… 気付いてない? 15 00:00:48,715 --> 00:00:52,052 豚たちに エサをやっているらしい。 16 00:00:52,052 --> 00:00:55,055 泥に転がっている 哀れな男子大学生には➡ 17 00:00:55,055 --> 00:00:57,057 興味がないようだ。 18 00:00:57,057 --> 00:01:01,662 助けてくれ 脈絡がなくて たいへん申し訳ないんだが➡ 19 00:01:01,662 --> 00:01:04,164 豚小屋で動けなくなっている! 20 00:01:04,164 --> 00:01:07,000 たっ 助けて…》 ンゴォ! 21 00:01:07,000 --> 00:01:10,003 《当方 慎ましく冴えない 理系オタクをやっているが➡ 22 00:01:10,003 --> 00:01:12,005 こんな言語を使ったことはない。 23 00:01:12,005 --> 00:01:16,009 語尾に 「ンゴ!」とつけたことは 何回かあるが あれは わざとだ。 24 00:01:16,009 --> 00:01:18,845 今回は無意識に気色の悪い 効果音を出してしまった➡ 25 00:01:18,845 --> 00:01:21,181 輝かしい第一歩 ということになろう。 26 00:01:21,181 --> 00:01:23,183 盛大に祝ってほしいンゴ》 27 00:01:23,183 --> 00:01:26,019 《まぁ大変 豚さんじゃないんですね》 28 00:01:26,019 --> 00:01:30,691 《そうだ 豚小屋にいる生物が すべて豚とは限らない。 29 00:01:30,691 --> 00:01:34,528 危なかったな その判断ミスのせいで尊い命が…。 30 00:01:34,528 --> 00:01:37,197 んっ? 今のは この女が喋ったのか?》 31 00:01:37,197 --> 00:01:41,034 《今すぐ小屋から出しますね 待っていてください》 32 00:01:41,034 --> 00:01:43,704 《声が聞こえているわけではない。 33 00:01:43,704 --> 00:01:47,541 話の情報が直接 脳に送り込まれているようだ。 34 00:01:47,541 --> 00:01:51,545 確かなのは俺に 女の考えがわかるということ》 35 00:01:51,545 --> 00:01:53,547 《お待たせしました》 36 00:01:53,547 --> 00:01:55,549 っしょっ…。 37 00:01:55,549 --> 00:01:59,553 《ここで俺は致命的に 不都合な真実を悟った。 38 00:01:59,553 --> 00:02:02,656 俺の体は こんなに丸くない。 39 00:02:02,656 --> 00:02:09,496 身長 174cm 体重 53kg。 典型的な 痩せ形理系男子だ。 40 00:02:09,496 --> 00:02:12,499 女が俺の体を押したときの感触➡ 41 00:02:12,499 --> 00:02:16,003 そして板の上に転がっている 今この瞬間の感覚。 42 00:02:16,003 --> 00:02:18,005 これはまるで…。 43 00:02:18,005 --> 00:02:20,841 己の体すら 客観的に見ることができる➡ 44 00:02:20,841 --> 00:02:22,843 優秀な研究者の卵である俺は➡ 45 00:02:22,843 --> 00:02:27,848 あっという間に真実を認める。 俺は…》 46 00:02:27,848 --> 00:02:31,184 《あの… もう少しですからね》 47 00:02:31,184 --> 00:02:33,186 《俺は…。 48 00:02:33,186 --> 00:02:35,689 豚になっている!》 ンゴッ! 49 00:02:35,689 --> 00:02:38,525 《そう この物語を通して➡ 50 00:02:38,525 --> 00:02:41,028 諸君に伝えたいことは ただ一つ》 51 00:02:44,197 --> 00:02:46,199 《ということだ》 52 00:02:50,704 --> 00:02:53,540 《なんだそうか 俺は豚なのか。 53 00:02:53,540 --> 00:02:55,709 とすると これは夢だな。 54 00:02:55,709 --> 00:02:59,046 ウーン しかし なんとも優秀な俺の脳よ。 55 00:02:59,046 --> 00:03:01,481 この色覚は まさに豚のそれ。 56 00:03:01,481 --> 00:03:06,319 豚の視物質は2種類しかなく 色を見分けるのが苦手なのだ。 57 00:03:06,319 --> 00:03:09,156 よく見えないが 美少女だったらいいな。 58 00:03:09,156 --> 00:03:12,492 汚れた体を ブラッシングしてもらえれば最高だ。 59 00:03:12,492 --> 00:03:14,828 短めのスカートだといいな。 60 00:03:14,828 --> 00:03:18,331 豚の視点なら いつでも下から 覗くことができるに違いない。 61 00:03:18,331 --> 00:03:22,502 年は いくつぐらいだろう? JKか? JKなのか? 62 00:03:22,502 --> 00:03:27,607 金髪美少女JKだとしたら うれしい… のだが…》 63 00:03:35,348 --> 00:03:37,350 《夢は終わりか? 64 00:03:37,350 --> 00:03:39,686 それにしても おかしな設定だった。 65 00:03:39,686 --> 00:03:41,688 あんな奇妙な夢を見たのは➡ 66 00:03:41,688 --> 00:03:44,524 おそらく豚のレバーを 生で食べたせいだろう。 67 00:03:44,524 --> 00:03:46,526 そのあと駅のホームで➡ 68 00:03:46,526 --> 00:03:48,862 腹を食いちぎられるような 痛みに襲われ➡ 69 00:03:48,862 --> 00:03:51,531 立てなくなったところで 記憶は途切れている。 70 00:03:51,531 --> 00:03:54,534 誰かが病院に 連れていってくれたんだろうか? 71 00:03:54,534 --> 00:03:57,370 んっ? 病院… ではないのか? 72 00:03:57,370 --> 00:04:00,974 肩の様子がおかしい。 体が動かしにくい。 73 00:04:00,974 --> 00:04:03,310 どうして腕が 横に広がらないんだ?》 74 00:04:03,310 --> 00:04:06,146 あっ お目覚めになりましたか? 75 00:04:06,146 --> 00:04:09,649 あの… お具合のほうは いかがでしょうか? 76 00:04:09,649 --> 00:04:12,319 フンゴォ! あっ 無理に喋らなくても➡ 77 00:04:12,319 --> 00:04:15,322 大丈夫です。 私にはその…。 78 00:04:15,322 --> 00:04:18,158 わかりますから。 《これは夢の続きか?》 79 00:04:18,158 --> 00:04:21,328 ごめんなさい 手は尽くしたのですが➡ 80 00:04:21,328 --> 00:04:25,499 あなたを人の姿に戻すことは かないませんでした。 81 00:04:25,499 --> 00:04:28,502 《もうわからん とりあえず起きて 状況を確認したい》 82 00:04:30,504 --> 00:04:32,506 ンッ… ンンッ。 83 00:04:42,349 --> 00:04:44,351 《んっ? 84 00:04:44,351 --> 00:04:46,353 はっ?》 85 00:04:50,524 --> 00:04:54,194 《えっ 何これ どうして俺は豚なんだ?》 86 00:04:54,194 --> 00:04:57,364 どうしてあなたが 豚さんになっているかは➡ 87 00:04:57,364 --> 00:05:01,134 ごめんなさい 私にもわかりません。 88 00:05:01,134 --> 00:05:05,472 私の管理する豚小屋に あなたが迷い込んでいたんです。 89 00:05:05,472 --> 00:05:08,475 《なるほど。 しかし この美少女➡ 90 00:05:08,475 --> 00:05:11,478 俺が元人間だと 知っているような口ぶりだが》 91 00:05:11,478 --> 00:05:13,647 見えませんか? これ。 92 00:05:13,647 --> 00:05:16,316 《フム 本人には言いづらいが➡ 93 00:05:16,316 --> 00:05:19,986 似合わないな》 似合いませんか やっぱり。 94 00:05:19,986 --> 00:05:23,657 《なっ! この美少女 俺の心を読んでいる?》 95 00:05:23,657 --> 00:05:26,159 あの… 私 イェスマです。 96 00:05:26,159 --> 00:05:29,829 申し遅れましたね。 キルトリン家に仕えております➡ 97 00:05:29,829 --> 00:05:33,667 イェスマのジェスと申します。 98 00:05:33,667 --> 00:05:37,170 《イェスマ… よくわからないが 僕は豚です。 99 00:05:37,170 --> 00:05:39,839 よろしくお願いします》 あの…。 100 00:05:39,839 --> 00:05:42,342 豚さんは どちらのご出身ですか? 101 00:05:42,342 --> 00:05:46,179 《I am from Tokyo, Japan. Nice to meet you, Jess!》 102 00:05:46,179 --> 00:05:49,015 えっと… トキヨ? 103 00:05:49,015 --> 00:05:51,351 ごめんなさい 不勉強でして。 104 00:05:51,351 --> 00:05:54,187 国の外のことはわからないんです。 105 00:05:54,187 --> 00:05:57,023 でも イェスマを ご存じないということは➡ 106 00:05:57,023 --> 00:05:59,359 メステリアの方ではないようですね。 107 00:05:59,359 --> 00:06:01,628 《たぶんそうだと思います。 108 00:06:01,628 --> 00:06:05,131 いや そもそもメステリアって何だ? ここはどこだ?》 109 00:06:07,801 --> 00:06:09,803 《ンゴ?》 110 00:06:18,311 --> 00:06:21,314 ご説明しますと メステリアとは➡ 111 00:06:21,314 --> 00:06:24,651 一続きになった この土地の すべてを指す言葉です。 112 00:06:24,651 --> 00:06:28,655 偉大なる王が その全域を支配されています。 113 00:06:28,655 --> 00:06:33,159 ここは そのメステリアの南 キルトリの郊外にあたる場所で➡ 114 00:06:33,159 --> 00:06:37,330 キルトリを治める キルトリン家の邸宅です。 なるほど。 115 00:06:37,330 --> 00:06:41,001 で イェスマというのは? 小間使いの種族です。 116 00:06:41,001 --> 00:06:43,503 銀の首輪を つけているのが特徴で➡ 117 00:06:43,503 --> 00:06:45,839 なんて言えばいいんでしょう…。 118 00:06:45,839 --> 00:06:47,841 口や耳に頼らず➡ 119 00:06:47,841 --> 00:06:50,510 心を通わせることが できるんですよ。 120 00:06:50,510 --> 00:06:54,180 どうりで心の中に湧いた疑問 すべてに答えてくれるわけだ。 121 00:06:54,180 --> 00:06:57,684 あの 何か召し上がらなくて 大丈夫ですか? 122 00:06:57,684 --> 00:07:02,289 お口に合うかわかりませんが 果物なら ご用意いたしました。 123 00:07:02,289 --> 00:07:04,291 《うん あまり腹は減っていない。 124 00:07:04,291 --> 00:07:07,961 今はむしろ なぜか無性にナデナデされたい》 125 00:07:07,961 --> 00:07:09,963 あっ…? 126 00:07:12,632 --> 00:07:16,970 《フム 願っただけで 望むものが手に入る。 127 00:07:16,970 --> 00:07:19,639 ようやく理解した。 128 00:07:19,639 --> 00:07:23,643 俺の夢は異世界ファンタジーの章へと 場面を転じたのである。 129 00:07:23,643 --> 00:07:26,813 主人公は豚 ヒロインは心を読む能力者。 130 00:07:26,813 --> 00:07:28,815 見知らぬ国へと転生した男は➡ 131 00:07:28,815 --> 00:07:32,319 人間に戻るため 隙あらば ヒロインとイチャイチャしつつ➡ 132 00:07:32,319 --> 00:07:34,321 剣と魔法を駆使し奮闘する。 133 00:07:34,321 --> 00:07:36,323 って待てよ 待て待て。 134 00:07:36,323 --> 00:07:40,493 イチャラブファンタジーを始める前に 一つ確認しておきたい。 135 00:07:40,493 --> 00:07:43,496 この ジェスという少女は 心を読めるんだよな? 136 00:07:43,496 --> 00:07:47,334 だから豚小屋で 俺が豚じゃなくて 人間だと気付いたわけだ。 137 00:07:47,334 --> 00:07:51,171 じゃあ もしここで 俺が あの清らかな肌を見て➡ 138 00:07:51,171 --> 00:07:55,842 「ブヒブヒ! 襲いたいブヒ! 豚の唾液でベトベトにしたいブヒ!」。 139 00:07:55,842 --> 00:08:00,780 などと思った場合 彼女にはそれが わかってしまうのだろうか?》 140 00:08:00,780 --> 00:08:04,117 えぇ まぁ そういうことになります。 141 00:08:04,117 --> 00:08:06,119 《マズい! それでは➡ 142 00:08:06,119 --> 00:08:08,455 俺の豚のような欲望が 垂れ流しではないか!》 143 00:08:08,455 --> 00:08:11,624 あの ブラッシングを お望みのようでしたから➡ 144 00:08:11,624 --> 00:08:15,628 寝ていらっしゃる間に お体をきれいにしました。 145 00:08:15,628 --> 00:08:18,298 スカートも丈を短めにいたしました。 146 00:08:18,298 --> 00:08:20,800 勝手に お考えを探ってしまって➡ 147 00:08:20,800 --> 00:08:24,637 外国の方でしたら 不快に思われたかもしれません。 148 00:08:24,637 --> 00:08:27,974 本当に申し訳ございませんでした。 149 00:08:27,974 --> 00:08:31,644 《この少女 あまりに 優しすぎないだろうか。 150 00:08:31,644 --> 00:08:33,813 椅子 食べ物 ナデナデ。 151 00:08:33,813 --> 00:08:37,150 俺が裸を見たいと思ったら 服まで脱ぎそうな勢いだ》 152 00:08:37,150 --> 00:08:40,487 貧相で 見応えもないと思いますけど➡ 153 00:08:40,487 --> 00:08:43,490 もしお望みならば…。 《ちょ ちょっと待ってくれ!》 154 00:08:43,490 --> 00:08:45,492 あっ…。 《3つほど言いたい。 155 00:08:45,492 --> 00:08:48,328 聞きたまえ少女》 はい…。 156 00:08:48,328 --> 00:08:51,331 《まず1つ目 服の上からでもわかるが➡ 157 00:08:51,331 --> 00:08:53,833 君のそれは 決して貧相なんかじゃない。 158 00:08:53,833 --> 00:08:57,003 むしろオタクには それくらいの 大きさを好む人種も多いから➡ 159 00:08:57,003 --> 00:09:00,774 安心してほしい》 えっと ありがとうございます。 160 00:09:00,774 --> 00:09:02,776 《次に2つ目》 あっ。 161 00:09:02,776 --> 00:09:04,778 《今から君に伝えたいことは➡ 162 00:09:04,778 --> 00:09:07,280 俺の頭の中でセリフとして思考し こうやって…》 163 00:09:07,280 --> 00:09:10,450 エフェクトをかける。 えふぇくと? 164 00:09:10,450 --> 00:09:12,619 それ以外の言葉は すべてモノローグだ。 165 00:09:12,619 --> 00:09:15,955 聞かなかったことにしてほしい。 ものろーぐ? 166 00:09:15,955 --> 00:09:18,958 君に聞かれたくない 心の声のことだ。 167 00:09:18,958 --> 00:09:21,961 《じゃないと 会話の節々にゲスい発言を挟む➡ 168 00:09:21,961 --> 00:09:24,297 セクハラオヤジのように なってしまうからな》 169 00:09:24,297 --> 00:09:26,800 別に私は気にしませんが。 170 00:09:26,800 --> 00:09:29,636 今の部分は モノローグだから 答えなくていいんだよ。 171 00:09:29,636 --> 00:09:31,971 そうでした! すみません。 172 00:09:31,971 --> 00:09:33,973 じゃあ最後 3つ目だ。 173 00:09:33,973 --> 00:09:36,643 豚の分際で偉そうなことを言うが いいかな? 174 00:09:36,643 --> 00:09:39,646 えっと… 大丈夫です。 175 00:09:39,646 --> 00:09:41,648 君が俺にしてくれたことは➡ 176 00:09:41,648 --> 00:09:43,817 どれも気が利いてすばらしかった。 177 00:09:43,817 --> 00:09:46,319 清潔にしてくれて とてもうれしいし➡ 178 00:09:46,319 --> 00:09:50,323 そのスカートは よく似合っていて 裾の丈も申し分ない。 179 00:09:50,323 --> 00:09:53,827 何とは言わないが 清純な感じの白い布は➡ 180 00:09:53,827 --> 00:09:56,496 君らしくて最高だと思う。 あっ? 181 00:09:56,496 --> 00:09:59,833 もうバレてしまっているようだから 白状すると➡ 182 00:09:59,833 --> 00:10:01,835 俺は豚になって真っ先に➡ 183 00:10:01,835 --> 00:10:05,171 金髪美少女に ブラッシングされたいと考えた。 184 00:10:05,171 --> 00:10:08,341 君は俺の考えうる最高の おもてなしをしてくれたわけだ。 185 00:10:08,341 --> 00:10:11,678 《JKという概念は この世界には なさそうだしな》 186 00:10:11,678 --> 00:10:13,847 じぇ… あっ。 187 00:10:13,847 --> 00:10:17,851 いえ 光栄です。 うん そう 君はすばらしい! 188 00:10:17,851 --> 00:10:19,853 でもね 俺の望んだことを➡ 189 00:10:19,853 --> 00:10:21,855 ことごとく かなえてくれるようじゃ➡ 190 00:10:21,855 --> 00:10:24,357 なんというかその… リアリティーがない。 191 00:10:24,357 --> 00:10:27,360 君は俺の欲望を満たす 妖精さんじゃないだろ? 192 00:10:27,360 --> 00:10:31,197 俺が何を欲しようが 君には それを満たす筋合いがない。 193 00:10:31,197 --> 00:10:35,869 ですが 私にできることなら してさしあげたいのです。 194 00:10:35,869 --> 00:10:37,871 わかってもらえないかぁ。 195 00:10:37,871 --> 00:10:40,039 じゃあ はっきり言おうかな。 196 00:10:40,039 --> 00:10:43,376 《そんなふうに 身構えられると言いづらいが➡ 197 00:10:43,376 --> 00:10:46,880 これは俺自身の 夢への注文なのだ》 198 00:10:46,880 --> 00:10:48,882 ⦅はい お兄様。 199 00:10:48,882 --> 00:10:52,552 今日の卵焼きは シラス入りにしてみました⦆ 200 00:10:52,552 --> 00:10:56,389 《優しい妹が毎日 献身的に 作ってくれるお弁当と》 201 00:10:56,389 --> 00:10:59,726 ⦅豚⦆ 《ふだんは豚扱いしてくる妹が》 202 00:10:59,726 --> 00:11:02,829 ⦅昨日は宿題 手伝ってくれてありがとう。 203 00:11:02,829 --> 00:11:04,831 今日は特別なんだからね⦆ 204 00:11:04,831 --> 00:11:08,334 《と言って作ってくれたお弁当 どちらがおいしいのか。 205 00:11:08,334 --> 00:11:10,503 いや どちらもおいしいに 違いないが➡ 206 00:11:10,503 --> 00:11:13,506 俺は絶対に後者がいい! 異論は認めない! 207 00:11:13,506 --> 00:11:17,010 というのを翻訳して…》 208 00:11:17,010 --> 00:11:19,679 ジェス。 209 00:11:19,679 --> 00:11:23,016 個人的な趣味で 非常に申し訳ないんだが➡ 210 00:11:23,016 --> 00:11:25,685 俺は一方的な優しさを 受けたくないんだ。 211 00:11:25,685 --> 00:11:29,022 豚には君の恩に報いる能力が ほとんどない。 212 00:11:29,022 --> 00:11:32,859 君が優しくしてくれれば くれるほど 借りはたまっていく。 213 00:11:32,859 --> 00:11:36,362 そういうのは なんというか 気分がよくない。 214 00:11:36,362 --> 00:11:39,198 本当に俺のためを 思ってくれるなら➡ 215 00:11:39,198 --> 00:11:43,036 俺がお願いしたことだけに 応えてくれると うれしいな。 216 00:11:43,036 --> 00:11:47,540 その分に関しては 俺も豚なりに 精いっぱい恩返しをする。 217 00:11:47,540 --> 00:11:49,876 気を遣いすぎないでほしいんだ。 218 00:11:49,876 --> 00:11:52,879 君は俺の 召し使いじゃないんだから。 219 00:11:52,879 --> 00:11:55,048 それでいいんですか? 220 00:11:55,048 --> 00:11:57,717 むしろ ふだんは 豚のように扱われていながらも➡ 221 00:11:57,717 --> 00:11:59,719 本当に困っているときだけ➡ 222 00:11:59,719 --> 00:12:02,488 手を差し伸べてもらったほうが 萌えるんだ。 223 00:12:02,488 --> 00:12:05,825 《裸もまぁ ここぞというときまで➡ 224 00:12:05,825 --> 00:12:07,827 とっておいてほしいかな》 あっ。 225 00:12:07,827 --> 00:12:09,996 見たくないわけじゃないんですね。 226 00:12:09,996 --> 00:12:11,998 あの そこはモノローグです。 227 00:12:11,998 --> 00:12:13,100 あっ。 228 00:12:19,005 --> 00:12:22,175 《青い空から やわらかな日差しが 背中に注ぎ➡ 229 00:12:22,175 --> 00:12:24,844 爽やかな風が心地よい。 230 00:12:24,844 --> 00:12:27,347 風は スカートの裾を舞わせて➡ 231 00:12:27,347 --> 00:12:30,016 しっかり その役目を果たしている。 232 00:12:30,016 --> 00:12:33,019 紺色の生地を透過した太陽光と➡ 233 00:12:33,019 --> 00:12:36,022 牧草の緑が跳ね返す 反射光とが交錯する➡ 234 00:12:36,022 --> 00:12:38,024 ほのかな きらめきの中で。 235 00:12:38,024 --> 00:12:41,027 チラリと顔を覗かせかける 純白の生地は…》 236 00:12:41,027 --> 00:12:45,031 あの もう少し 近くを歩いてもいいんですよ。 237 00:12:45,031 --> 00:12:49,702 大丈夫だ 今のは単なる情景描写で 君に下心があるわけじゃない。 238 00:12:49,702 --> 00:12:51,704 そうなんですね。 239 00:12:51,704 --> 00:12:55,708 あまりにも描写が 具体的なものですから…。 240 00:12:55,708 --> 00:12:58,378 それと…。 ンガ…。 241 00:12:58,378 --> 00:13:02,148 私の名前はジェスです ジェスと呼んでくださいね。 242 00:13:02,148 --> 00:13:04,150 《ブヒッ ジェスたそ~!》 243 00:13:04,150 --> 00:13:09,989 わかった よろしくな ジェス。 よろしくお願いしますね 豚さん。 244 00:13:09,989 --> 00:13:12,325 《これはもう ご褒美だ。 245 00:13:12,325 --> 00:13:14,661 金髪美少女を呼び捨てにして➡ 246 00:13:14,661 --> 00:13:16,663 その美少女から 豚呼ばわりされるなど➡ 247 00:13:16,663 --> 00:13:19,165 誰が想像できた!? いやできないし! 248 00:13:19,165 --> 00:13:22,502 大概の人間は 経験できない。 かわいそうに! 249 00:13:22,502 --> 00:13:24,504 だが こういったモノローグまで ことごとく➡ 250 00:13:24,504 --> 00:13:27,507 聞かれているとなると むしろ どうでもよくなってくるな。 251 00:13:27,507 --> 00:13:30,677 豚になった人間が 「よろしくな ジェス」なんて➡ 252 00:13:30,677 --> 00:13:33,346 かっこつけて言いながら 裏では ブヒブヒ鳴いているのだ。 253 00:13:33,346 --> 00:13:35,682 なんと逆説的なことか! 254 00:13:35,682 --> 00:13:38,851 ジェスたそよ これが男だ! 刮目せよ!》 255 00:13:38,851 --> 00:13:40,853 あっ…。 256 00:13:40,853 --> 00:13:43,022 すまん 聞かなかったことにしてくれ。 257 00:13:43,022 --> 00:13:49,529 えぇ そろそろ心得てきました。 あっちが農場です。 258 00:13:49,529 --> 00:13:53,032 かわいいニワトリさんが たくさんいるんですよ。 259 00:13:57,537 --> 00:13:59,706 フン チキンめ。 260 00:13:59,706 --> 00:14:02,141 あんまり いじめないでくださいね。 261 00:14:02,141 --> 00:14:06,145 すまない つい豚の習性で。 次やったら➡ 262 00:14:06,145 --> 00:14:09,482 私が豚さんを いじめちゃいますよ~。 263 00:14:09,482 --> 00:14:11,484 ブヒーッ! 264 00:14:11,484 --> 00:14:13,486 あっ…。 265 00:14:13,486 --> 00:14:16,489 少し待っていてくださいね。 266 00:14:16,489 --> 00:14:18,791 お世話をしてきますので。 267 00:14:25,331 --> 00:14:27,333 おぉ…。 268 00:14:27,333 --> 00:14:30,670 ジェス この道具が動いたり ランタンが光ったりというのは➡ 269 00:14:30,670 --> 00:14:33,172 どういう仕組みなんだ? この農場では➡ 270 00:14:33,172 --> 00:14:37,176 リスタを使って動物さんたちの 管理をしているんです。 271 00:14:37,176 --> 00:14:39,846 リスタ? あぁ すみません。 272 00:14:39,846 --> 00:14:43,015 外国の方ですから ご存じないですよね。 273 00:14:43,015 --> 00:14:45,518 こういう石のことです。 274 00:14:45,518 --> 00:14:50,022 リスタは偉大なる魔法使いが 日々 生産してくださり➡ 275 00:14:50,022 --> 00:14:53,693 私たち国民のために 流通させているものです。 276 00:14:53,693 --> 00:14:56,195 魔法の力が蓄えられていて➡ 277 00:14:56,195 --> 00:14:59,699 それをいろいろな形で 使うことができるんです。 278 00:14:59,699 --> 00:15:04,470 黄色は運動や光 赤色は熱や炎というように。 279 00:15:04,470 --> 00:15:06,639 魔法の電池みたいなものか。 280 00:15:06,639 --> 00:15:09,642 何種類くらいあるんだ? 主に5種類。 281 00:15:09,642 --> 00:15:13,813 黄 赤 緑 青。 282 00:15:13,813 --> 00:15:16,482 そして黒です。 黒? 283 00:15:16,482 --> 00:15:20,319 闇属性の魔法か? いえ 黒は祈祷用です。 284 00:15:20,319 --> 00:15:22,822 黒のリスタを使って祈祷すれば➡ 285 00:15:22,822 --> 00:15:27,160 魔法使いしか成しえないような 奇跡を起こすことができます。 286 00:15:27,160 --> 00:15:30,997 使っている方は少ないですが。 どうして少ないんだ? 287 00:15:30,997 --> 00:15:34,834 黒だけは イェスマにしか扱えないからです。 288 00:15:34,834 --> 00:15:39,005 キルトリン家では病気やケガを 癒やすために使っていますが➡ 289 00:15:39,005 --> 00:15:43,176 その効果は イェスマの 祈りの強さにもよりますし➡ 290 00:15:43,176 --> 00:15:47,346 一般の方だと反応しないのが ほとんどのようで。 291 00:15:47,346 --> 00:15:50,683 チートすぎてナーフがかかっている アイテムということかな。 292 00:15:50,683 --> 00:15:52,685 豚さん。 フガ。 293 00:15:52,685 --> 00:15:56,189 ここのお掃除は もうすぐ終わりますので➡ 294 00:15:56,189 --> 00:15:58,858 ちょっと… その…。 295 00:15:58,858 --> 00:16:02,128 豚らしく外で遊んでいてください。 296 00:16:02,128 --> 00:16:04,463 ハッ…。 297 00:16:04,463 --> 00:16:06,466 あっ。 298 00:16:06,466 --> 00:16:08,467 《慣れない様子で➡ 299 00:16:08,467 --> 00:16:13,806 俺を豚扱いしようとしてくれる そのサービス精神に➡ 300 00:16:13,806 --> 00:16:16,008 感激!》 301 00:16:24,317 --> 00:16:27,320 《スカートをはいた 金髪美少女の生足が➡ 302 00:16:27,320 --> 00:16:29,655 ほぼほぼ ゼロ距離の場所にある。 303 00:16:29,655 --> 00:16:31,657 改めて特殊な シチュエーションだな》 304 00:16:31,657 --> 00:16:35,161 あの豚さん 私 美少女じゃないですから。 305 00:16:35,161 --> 00:16:37,163 本当の美少女というのはな➡ 306 00:16:37,163 --> 00:16:42,835 自分を美少女と認めないものだ。 じゃあ私 美少女です。 307 00:16:42,835 --> 00:16:46,839 《おぉ 自分を美少女と認めたら 本当の美少女ではない。 308 00:16:46,839 --> 00:16:49,342 コヤツ 賢い》 エヘッ。 309 00:16:49,342 --> 00:16:51,344 そのとおりだ。 ええっ! 310 00:16:51,344 --> 00:16:53,513 どうしてそうなるんですか!? 311 00:16:53,513 --> 00:16:55,514 《ハッ…。 312 00:16:55,514 --> 00:16:59,519 ジェスのスカートが フワリと舞い上がり➡ 313 00:16:59,519 --> 00:17:02,622 その奥の純白の布地がチラリと…》 314 00:17:07,126 --> 00:17:09,128 気にしないでください。 315 00:17:09,128 --> 00:17:11,797 見えてしまうものは しかたありませんから。 316 00:17:11,797 --> 00:17:14,467 天使か? 天使じゃないです。 317 00:17:14,467 --> 00:17:18,471 あの… あんまり身に余る 褒められ方をすると➡ 318 00:17:18,471 --> 00:17:20,640 とても恥ずかしいので➡ 319 00:17:20,640 --> 00:17:23,476 これ以上 美少女とか天使とか言ったら➡ 320 00:17:23,476 --> 00:17:26,479 豚さんのお尻を ペンペンしちゃいますよ! 321 00:17:26,479 --> 00:17:28,481 ブヒッ! 《美少女に➡ 322 00:17:28,481 --> 00:17:30,483 お尻を叩いてもらえるなら むしろご褒美だ》 323 00:17:30,483 --> 00:17:33,819 ジェスたそ マジ天使 大天使! 超絶美少女! 324 00:17:33,819 --> 00:17:36,322 ウゥ… ぶ 豚さんだって➡ 325 00:17:36,322 --> 00:17:39,992 すばらしい方だと思いますけど。 ブッ? 326 00:17:39,992 --> 00:17:41,994 《何をどう見たら そうなるんだ? 327 00:17:41,994 --> 00:17:43,996 見た目は家畜 頭脳はオタク。 328 00:17:43,996 --> 00:17:46,499 その2つ名は 眼鏡ヒョロガリ クソ童貞だぞ》 329 00:17:46,499 --> 00:17:50,169 だって豚さんは 裏表がありませんから。 330 00:17:50,169 --> 00:17:53,506 見た目どおり 中身も豚だってことか? 331 00:17:53,506 --> 00:17:56,842 えっと そういうことではなくて。 332 00:17:56,842 --> 00:17:59,679 心の声まで優しい方って➡ 333 00:17:59,679 --> 00:18:01,614 あんまり いらっしゃらないんですよ。 334 00:18:01,614 --> 00:18:05,284 《周囲の人に恵まれてないのか》 335 00:18:05,284 --> 00:18:08,454 いえ 皆さんとてもいい方ですよ! 336 00:18:08,454 --> 00:18:12,458 でも私はイェスマで 小間使いの身分ですから➡ 337 00:18:12,458 --> 00:18:15,294 あまり人と親しくなる 機会がなくて➡ 338 00:18:15,294 --> 00:18:18,631 そこまで見返られることも ないと言いますか…。 339 00:18:18,631 --> 00:18:21,467 ンゴ? 皆さん 親しい方には➡ 340 00:18:21,467 --> 00:18:23,803 心の中でも お優しいんです。 341 00:18:23,803 --> 00:18:26,806 小間使いで遊び相手も できないってことだよな。 342 00:18:26,806 --> 00:18:29,976 ふだんは どういうことして 暇を潰しているんだ? 343 00:18:29,976 --> 00:18:31,978 そうですね…。 344 00:18:31,978 --> 00:18:34,146 本を読んでます。 へぇ どんな本だ? 345 00:18:34,146 --> 00:18:36,148 えっ… えっと…。 346 00:18:36,148 --> 00:18:38,150 おとぎ話です。 347 00:18:38,150 --> 00:18:40,820 俺も好きだなぁ 夢のある話は。 348 00:18:40,820 --> 00:18:45,157 あっ… フフッ。 こんな私でも➡ 349 00:18:45,157 --> 00:18:48,327 物語を読んでいるときは 冒険ができるし➡ 350 00:18:48,327 --> 00:18:50,663 魔法が使えるようになるし➡ 351 00:18:50,663 --> 00:18:53,332 王子様と出会うことだって できるんです。 352 00:18:53,332 --> 00:18:55,835 それって すてきなことじゃないですか? 353 00:18:55,835 --> 00:18:59,171 《確かに金髪美少女に お尻ペンペンされることも➡ 354 00:18:59,171 --> 00:19:03,109 理論上は可能だな 本の中では》 本当にしてほしいんですか? 355 00:19:03,109 --> 00:19:05,277 いや 心の声は気にしないでくれ。 356 00:19:05,277 --> 00:19:07,446 それにしても ジェスみたいな子も➡ 357 00:19:07,446 --> 00:19:09,949 王子様との出会いを 夢見たりするんだな。 358 00:19:09,949 --> 00:19:13,786 あぁ 例えば… 例えばの話ですよ。 359 00:19:13,786 --> 00:19:18,290 そうか。 一応 言っておくと お尻ペンペンも例えばの話だからな。 360 00:19:18,290 --> 00:19:21,961 そうですよね あくまで例えばです。 361 00:19:21,961 --> 00:19:24,130 でも…。 362 00:19:24,130 --> 00:19:26,632 大変なときに そばにいて➡ 363 00:19:26,632 --> 00:19:31,470 私のことを助けてくださる 王子様みたいな方がいたら➡ 364 00:19:31,470 --> 00:19:34,974 どんなにいいだろうと 考えたことはあります。 365 00:19:34,974 --> 00:19:37,309 何か大変なことがあるのか? 366 00:19:37,309 --> 00:19:39,311 あっ… い いえ。 367 00:19:39,311 --> 00:19:41,313 得にはありませんが。 368 00:19:41,313 --> 00:19:44,650 これからあるかも しれないじゃないですか。 369 00:19:44,650 --> 00:19:46,652 そうか…。 370 00:19:46,652 --> 00:19:48,821 王子様 これから出会えるといいな。 371 00:19:48,821 --> 00:19:50,823 はいっ。 372 00:19:56,996 --> 00:19:59,665 ジェス。 はい。 373 00:19:59,665 --> 00:20:03,169 この国では 人が豚になることは よくあるのか? 374 00:20:07,339 --> 00:20:10,342 私の見聞が 広いわけではありませんが➡ 375 00:20:10,342 --> 00:20:13,846 そのような例は あまりないと思います。 376 00:20:13,846 --> 00:20:16,348 100年以上前の暗黒時代➡ 377 00:20:16,348 --> 00:20:19,351 魔法使いたちが まだ戦っていたころには➡ 378 00:20:19,351 --> 00:20:21,353 魔法の力を使って➡ 379 00:20:21,353 --> 00:20:25,357 人を動物に変えることもあったと 言われていますが。 380 00:20:25,357 --> 00:20:28,694 魔法使いというのは 今はもう いないのか? 381 00:20:28,694 --> 00:20:31,030 いえ いらっしゃいます。 382 00:20:31,030 --> 00:20:35,201 ここ メステリアでは 偉大な王様の家系だけが➡ 383 00:20:35,201 --> 00:20:37,369 暗黒時代を勝ち抜いた➡ 384 00:20:37,369 --> 00:20:41,040 唯一の魔法使いの 血筋であると言われています。 385 00:20:41,040 --> 00:20:45,711 とすると 俺を元の姿に戻す 手段っていうのは…。 386 00:20:45,711 --> 00:20:49,882 王都に行って 王様に会うしかないと思います。 387 00:20:49,882 --> 00:20:53,219 《一国の王に面会して➡ 388 00:20:53,219 --> 00:20:55,554 「戻していただけませんか!?」と➡ 389 00:20:55,554 --> 00:20:58,057 お願いするしかないというのか》 390 00:20:58,057 --> 00:21:00,659 あの…。 ンゴッ。 391 00:21:00,659 --> 00:21:02,995 私 ご一緒しますよ。 392 00:21:02,995 --> 00:21:06,799 おいおい ジェスにはジェスの生活があるだろう。 393 00:21:08,834 --> 00:21:11,837 実は私 しばらくの間 おいとまをいただいて➡ 394 00:21:11,837 --> 00:21:16,008 王都へ行く予定なんです。 王都に? 395 00:21:16,008 --> 00:21:20,513 はい キルトリン家の小間使いとして 仕事の一環で。 396 00:21:20,513 --> 00:21:23,849 豚と連れていったりして 王様に失礼にならないか? 397 00:21:23,849 --> 00:21:26,352 王様は寛大な方だと聞きます。 398 00:21:26,352 --> 00:21:30,523 事情を知れば きっと 力になってくださるはずですよ。 399 00:21:30,523 --> 00:21:34,193 あ… それなら ぜひ連れていってくれ! 400 00:21:34,193 --> 00:21:37,196 はい! 401 00:21:37,196 --> 00:21:41,534 《しかし 王にしか治せない状態の 俺が現れたときに➡ 402 00:21:41,534 --> 00:21:44,370 ジェスは王都に行く 予定になっていたのか? 403 00:21:44,370 --> 00:21:47,373 下手なプロットのように 都合のいい話だな。 404 00:21:47,373 --> 00:21:50,543 俺の夢よ しっかりしてくれ》 405 00:21:50,543 --> 00:21:53,879 運命かもしれませんね。 フガッ。 406 00:21:53,879 --> 00:21:57,049 《これを美少女に 言わせるためだったのか。 407 00:21:57,049 --> 00:22:00,653 ならば許そう。 いやむしろ 許してくれ我が無意識よ。 408 00:22:00,653 --> 00:22:02,988 まぁ でも➡ 409 00:22:02,988 --> 00:22:05,324 たとえ相手が豚であっても➡ 410 00:22:05,324 --> 00:22:09,328 スカートならば しゃがみ方には 気をつけるべきだと思うが》 411 00:22:09,328 --> 00:22:12,331 ウッ…。 412 00:22:12,331 --> 00:22:14,667 申し訳ありません! 413 00:22:14,667 --> 00:22:16,669 つまらないものを お見せしました! 414 00:22:16,669 --> 00:22:20,673 《フム… そう思うのなら➡ 415 00:22:20,673 --> 00:22:24,577 今度は もっとおもしろいものを 見せてほしいものだ》