1 00:00:03,337 --> 00:00:06,840 (ジェス)ちょっと着替えますので そこで待っていてくださいね。 2 00:00:06,840 --> 00:00:08,842 《豚:おいおい ちょっと待て。 3 00:00:08,842 --> 00:00:12,846 やっぱり このまま着替えるのか? 俺がいるというのに!?》 4 00:00:12,846 --> 00:00:15,682 フフッ。 5 00:00:15,682 --> 00:00:17,684 《ゴクリ…》 6 00:00:17,684 --> 00:00:19,853 フフッ。 7 00:00:19,853 --> 00:00:22,189 ジャーン! フガ? 8 00:00:22,189 --> 00:00:24,191 着替えといっても➡ 9 00:00:24,191 --> 00:00:27,027 服の上から このコルセットをつけるだけですよ。 10 00:00:27,027 --> 00:00:29,029 ンゴ? 11 00:00:29,029 --> 00:00:31,365 あの…。 12 00:00:31,365 --> 00:00:34,368 ご期待に沿えず 申し訳ありませんでした。 13 00:00:34,368 --> 00:00:36,370 喜んでくださると思い➡ 14 00:00:36,370 --> 00:00:38,872 ちょっと イタズラしてみたくなってしまって。 15 00:00:38,872 --> 00:00:41,541 い いや 別に期待なんか。 16 00:00:41,541 --> 00:00:45,379 《そうか 心の声が聞こえるんだったな》 17 00:00:45,379 --> 00:00:47,714 あ あれは ジェスの別の服装が➡ 18 00:00:47,714 --> 00:00:50,050 見られるかも という意味でのことだ。 19 00:00:50,050 --> 00:00:53,553 決して生着替えが見たかったとか そういうことではないぞ。 20 00:00:53,553 --> 00:00:56,723 では今度 別のお洋服をお見せしますね。 21 00:00:56,723 --> 00:00:59,726 あぁ よろしく頼む。 フフッ。 22 00:00:59,726 --> 00:01:01,662 《しかし この少女➡ 23 00:01:01,662 --> 00:01:03,664 心の声が聞こえるだけじゃなく➡ 24 00:01:03,664 --> 00:01:05,666 美少女に イジワルされてみたいという➡ 25 00:01:05,666 --> 00:01:08,168 俺の深層心理までも 察知していたのか? 26 00:01:08,168 --> 00:01:11,672 だとしたら恐ろしいな》 豚さん。 27 00:01:11,672 --> 00:01:14,675 あれが キルトリの町です。 おぉ…。 28 00:01:14,675 --> 00:01:18,178 さぁ行きましょう。 あぁ。 29 00:01:18,178 --> 00:01:21,515 《悪いな諸君。 俺は一段 先へ行く。 30 00:01:21,515 --> 00:01:23,850 今日はこれから お買い物デートだ。 31 00:01:23,850 --> 00:01:28,355 諸君らは せめて俺の活躍を 参考にしてくれたまえ》 32 00:02:59,046 --> 00:03:09,823 ♬~ 33 00:03:09,823 --> 00:03:12,826 活気があって いい町だな。 えぇ。 34 00:03:12,826 --> 00:03:16,830 《豚を連れて街を歩いたら 目立たないかと心配したが➡ 35 00:03:16,830 --> 00:03:21,168 杞憂だった。 異世界とはいえ 普通の動物ばかり。 36 00:03:21,168 --> 00:03:24,004 おかしなモンスターは見当たらない》 37 00:03:24,004 --> 00:03:28,008 んっ なんか催し物があるのか? あぁ。 38 00:03:28,008 --> 00:03:31,178 今夜は お祭りがあるんですよ。 39 00:03:31,178 --> 00:03:34,181 ほほぅ…。 豚さん お祭りがお好きなんですね。 40 00:03:34,181 --> 00:03:36,516 非日常の雰囲気が好きなんだ。 41 00:03:36,516 --> 00:03:39,686 お祭りもそうだし 旅をするのも。 42 00:03:39,686 --> 00:03:42,689 なるほど。 旅… ですか。 43 00:03:42,689 --> 00:03:46,860 ジェスは旅したことがないのか? えぇ 一度も。 44 00:03:46,860 --> 00:03:50,530 ということは王都へ行くのが 初めての旅ってことか? 45 00:03:50,530 --> 00:03:53,033 はい…。 46 00:03:53,033 --> 00:03:55,202 おぉ それは楽しみだな。 47 00:03:55,202 --> 00:03:59,706 えぇ… 楽しみ… ですね。 48 00:03:59,706 --> 00:04:02,809 ンゴ? 49 00:04:02,809 --> 00:04:04,811 んっ? 50 00:04:04,811 --> 00:04:07,481 ジェス あれは何の店なんだ? あっ…。 51 00:04:07,481 --> 00:04:10,317 あぁ リスタのお店です。 52 00:04:10,317 --> 00:04:12,486 あそこで いつも買ってるんですよ。 53 00:04:12,486 --> 00:04:15,155 ずいぶん ものものしい警備なんだな。 54 00:04:15,155 --> 00:04:19,059 えぇ。 リスタは とても高価ですから。 55 00:04:26,833 --> 00:04:30,337 なぁジェス こんな所に何の用があるんだ? 56 00:04:30,337 --> 00:04:32,672 いろいろと事情がありまして。 57 00:04:32,672 --> 00:04:35,008 《お願いです 近くにいてください》 58 00:04:35,008 --> 00:04:37,010 おっ… 今のは? 59 00:04:37,010 --> 00:04:40,013 《イェスマは 人の心の声を聞くだけでなく➡ 60 00:04:40,013 --> 00:04:43,183 自分の心の声を 伝えることもできるんです。 61 00:04:43,183 --> 00:04:45,852 ここではあまり 声を出さないほうが➡ 62 00:04:45,852 --> 00:04:49,189 いいかと思いまして》 なるほど… んっ? 63 00:04:49,189 --> 00:04:51,191 ちょっと待て! あっ。 64 00:04:51,191 --> 00:04:54,528 どう見たって 女の子が一人で 来るような所じゃないだろう。 65 00:04:54,528 --> 00:04:58,365 《これがあれば大丈夫です》 それは…。 66 00:04:58,365 --> 00:05:00,967 《この キルトリン家の紋章があれば➡ 67 00:05:00,967 --> 00:05:03,970 誰も私を襲おうだなんて 思いませんから》 68 00:05:03,970 --> 00:05:08,308 まるで それがなければ襲われる 心配があるような言いぐさだが。 69 00:05:08,308 --> 00:05:10,310 《もしものときの話です。 70 00:05:10,310 --> 00:05:13,480 それに豚さんが いらっしゃるじゃありませんか》 71 00:05:13,480 --> 00:05:16,483 豚の体じゃ できることも限られてくるが。 72 00:05:16,483 --> 00:05:20,086 わかった 警戒しよう。 ありがとうございます。 73 00:05:24,324 --> 00:05:26,660 ⚟イェスマの お嬢ちゃん。 あっ。 おっ。 74 00:05:26,660 --> 00:05:30,497 こんな所に一人で来るとは 内緒の買い物だね。 75 00:05:30,497 --> 00:05:32,999 これが ご入り用かい? 76 00:05:32,999 --> 00:05:37,504 黒のリスタ 3つで 400ゴルトだ。 お得だよ。 77 00:05:37,504 --> 00:05:40,340 そんな お値段で…? 78 00:05:40,340 --> 00:05:43,176 願いをかなえるなら これで十分だ。 79 00:05:43,176 --> 00:05:46,513 他では こんな値段じゃ買えない。 80 00:05:46,513 --> 00:05:51,017 でも ごめんなさい 私 400も持ってないんです。 81 00:05:51,017 --> 00:05:53,520 1つだったら おいくらでしょうか? 82 00:05:53,520 --> 00:05:57,357 1つか… 1つだったら 150ゴルトだ。 83 00:05:57,357 --> 00:06:00,293 んっ。 《んっ?》 84 00:06:00,293 --> 00:06:02,462 150ゴルトなら…。 85 00:06:02,462 --> 00:06:06,967 なぁジェス 黒のリスタは イェスマが 祈祷に使うと言っていたが➡ 86 00:06:06,967 --> 00:06:09,135 一度の祈祷に いくつ必要なんだ? 87 00:06:09,135 --> 00:06:12,138 《えっ… 1つあれば十分です》 88 00:06:12,138 --> 00:06:15,141 願いをかなえて 魔力が余ることはあるのか? 89 00:06:15,141 --> 00:06:17,811 《えぇ 大抵は余りますね》 90 00:06:17,811 --> 00:06:20,480 おい嬢ちゃん どうしたね? 91 00:06:20,480 --> 00:06:24,150 ジェス 俺を追いかけるふりをして ついてこい! 92 00:06:24,150 --> 00:06:26,152 えっ? あっ…。 93 00:06:26,152 --> 00:06:28,154 ごめんなさい! おい! 94 00:06:28,154 --> 00:06:30,156 嬢ちゃん! 95 00:06:30,156 --> 00:06:35,495 ハァ… ハァ… あの… いったい どうしたんでしょう? 96 00:06:35,495 --> 00:06:38,498 ジェス あの男から リスタを買っちゃいけない。 97 00:06:38,498 --> 00:06:40,500 えっ どうしてですか? 98 00:06:40,500 --> 00:06:43,837 あのリスタは きっと全部 使いかけの残りカスだ。 99 00:06:43,837 --> 00:06:47,674 えっ! 黒のリスタは 1つで十分願いがかなう。 100 00:06:47,674 --> 00:06:50,510 ジェスは そう言ってたよな。 だが あの男は➡ 101 00:06:50,510 --> 00:06:54,347 「3つで400ゴルト。 願いを かなえるなら これで十分だ」➡ 102 00:06:54,347 --> 00:06:56,349 と言っていた。 えぇ。 103 00:06:56,349 --> 00:06:59,853 確かに3つもあれば いくつも願いがかないます。 104 00:06:59,853 --> 00:07:02,455 そう好意的に解釈しちゃだめだ。 105 00:07:02,455 --> 00:07:06,126 あれは 3つあれば1つの願いが かなうかもしれない➡ 106 00:07:06,126 --> 00:07:08,461 ということなんだ。 あっ…。 107 00:07:08,461 --> 00:07:10,797 考えてみろ。 あんな所で➡ 108 00:07:10,797 --> 00:07:13,133 黒のリスタを 買わなきゃいけないイェスマは➡ 109 00:07:13,133 --> 00:07:16,803 普通 表通りにあるような店で 買うことはないんじゃないか? 110 00:07:16,803 --> 00:07:18,805 そうだと思います。 111 00:07:18,805 --> 00:07:23,643 そもそも 黒のリスタを持っている おうちのほうが珍しいですし。 112 00:07:23,643 --> 00:07:27,314 本物の黒いリスタを 使ったことがない相手になら➡ 113 00:07:27,314 --> 00:07:30,650 粗悪品を売り込んだってバレない。 あっ…。 114 00:07:30,650 --> 00:07:32,652 心の声が聞こえるんだろ。 115 00:07:32,652 --> 00:07:34,654 コルセットを見たときのアイツの様子➡ 116 00:07:34,654 --> 00:07:37,824 明らかにおかしかったじゃないか。 えぇ。 117 00:07:37,824 --> 00:07:40,994 何かマズいと 思われていたようですが➡ 118 00:07:40,994 --> 00:07:45,332 細かなお考えは聞こえず…。 あぁ…。 119 00:07:45,332 --> 00:07:47,334 《しかし あの男も➡ 120 00:07:47,334 --> 00:07:50,003 心を読めるイェスマを相手に 商売してるんだ。 121 00:07:50,003 --> 00:07:53,340 悪だくみが伝わらないように 気をつけてるだろう》 122 00:07:53,340 --> 00:07:56,843 あれは ジェスがキルトリン家のイェスマだと➡ 123 00:07:56,843 --> 00:07:59,679 気付いたからなんじゃないか? あっ…。 124 00:07:59,679 --> 00:08:02,115 黒のリスタの正規品を 使ったことのある➡ 125 00:08:02,115 --> 00:08:04,951 イェスマかもしれない。 あぁ…。 126 00:08:04,951 --> 00:08:07,454 そんな相手に粗悪品を売ったら➡ 127 00:08:07,454 --> 00:08:11,791 自分のやましい商売が 領主であるキルトリン家にバレかねない。 128 00:08:11,791 --> 00:08:15,462 そう危惧したんだろう。 そういうことだったんですね。 129 00:08:15,462 --> 00:08:18,131 どうりで ずいぶん安いと思ったんです。 130 00:08:18,131 --> 00:08:20,133 普通なら1ついくらなんだ? 131 00:08:20,133 --> 00:08:24,137 私がいつも買っているお店では 1つ 600ゴルトです。 132 00:08:24,137 --> 00:08:26,973 《おいおい その時点で おかしいと気付けよ》 133 00:08:26,973 --> 00:08:28,975 ごめんなさい。 134 00:08:28,975 --> 00:08:31,978 せっかく声をかけて くださった方を疑うのは➡ 135 00:08:31,978 --> 00:08:34,981 申し訳なくて。 いや 今のはモノローグだ。 136 00:08:34,981 --> 00:08:39,319 無視してくれ。 あっ そうでしたね。 すみません。 137 00:08:39,319 --> 00:08:42,489 《しかし お人よしだというのは わかっていたが➡ 138 00:08:42,489 --> 00:08:44,491 ここまでとは》 139 00:08:44,491 --> 00:08:46,826 あの 豚さん。 んっ。 140 00:08:46,826 --> 00:08:50,330 ありがとうございました。 豚さんがいなかったら➡ 141 00:08:50,330 --> 00:08:53,666 大事なお金を 騙し取られてしまうところでした。 142 00:08:53,666 --> 00:08:57,504 気にするな。 だが今後は気をつけろ。 143 00:08:57,504 --> 00:08:59,672 お得だと言って 近づいてくるヤツは➡ 144 00:08:59,672 --> 00:09:02,876 大抵 自分が儲けることしか 考えてないんだ。 145 00:09:04,778 --> 00:09:06,780 んっ…? 146 00:09:06,780 --> 00:09:08,982 はい。 147 00:09:10,950 --> 00:09:13,787 あぁ ところで そもそも どうしてジェスは➡ 148 00:09:13,787 --> 00:09:15,989 黒のリスタを こっそり買おうとしたんだ? 149 00:09:17,957 --> 00:09:19,959 《んっ?》 150 00:09:19,959 --> 00:09:23,963 あの… 秘密ってことじゃだめですか? 151 00:09:25,965 --> 00:09:30,136 豚小屋にいたとき 俺はジェスの 言うことがわからなかったし➡ 152 00:09:30,136 --> 00:09:32,639 豚の体にも順応できていなかった。 153 00:09:32,639 --> 00:09:34,808 だが ジェスの部屋で 目覚めてからは➡ 154 00:09:34,808 --> 00:09:39,145 言葉も理解できたし 視界も正常 しっかり四足で歩けた。 155 00:09:39,145 --> 00:09:42,482 ジェスは 「手を尽くした」と 言ってくれたが➡ 156 00:09:42,482 --> 00:09:44,484 何をしてくれたんだ? 157 00:09:44,484 --> 00:09:47,821 ごめんなさい お気に障りましたら…。 158 00:09:47,821 --> 00:09:51,324 気に障りはしないさ でも確認させてくれ。 159 00:09:51,324 --> 00:09:53,326 ジェスは俺を治すために➡ 160 00:09:53,326 --> 00:09:56,329 無断で キルトリン家の 黒のリスタを使ったんだよな? 161 00:09:56,329 --> 00:09:58,331 そうです…。 162 00:09:58,331 --> 00:10:01,835 だから自分の金でそれを 補充しなければならなかった。 163 00:10:01,835 --> 00:10:06,673 はい。 黄色のリスタを無断使用して 叱られたばかりで➡ 164 00:10:06,673 --> 00:10:09,175 その上 黒のリスタまでとなると。 165 00:10:09,175 --> 00:10:13,179 《きっと黄色のリスタも 俺のために使ったんだろう。 166 00:10:13,179 --> 00:10:18,685 豚の俺を3階まで運ぶのは ジェスの力じゃ無理な話だ》 167 00:10:18,685 --> 00:10:21,187 すべて俺のためだった ということか。 168 00:10:21,187 --> 00:10:23,189 ごめんなさい。 169 00:10:23,189 --> 00:10:26,526 すべて私が 勝手にやってしまったことです。 170 00:10:26,526 --> 00:10:29,028 それに豚さんを 巻き込んでしまい…。 171 00:10:29,028 --> 00:10:31,030 《どうして泣くんだ。 172 00:10:31,030 --> 00:10:33,032 俺のために ここまでしてくれたのに➡ 173 00:10:33,032 --> 00:10:36,035 それを申し訳なく 思っているのか? 174 00:10:36,035 --> 00:10:38,538 なんて優しい子なんだ。 175 00:10:38,538 --> 00:10:41,541 優しすぎて優しすぎて とても➡ 176 00:10:41,541 --> 00:10:45,044 豚の俺なんかじゃ返せないほどの 恩を受けてしまった》 177 00:10:45,044 --> 00:10:50,550 (泣き声) 178 00:10:50,550 --> 00:10:54,554 《豚足では頭をなでることだって できないじゃないか》 (泣き声) 179 00:10:54,554 --> 00:10:56,556 (泣き声) 180 00:10:56,556 --> 00:10:59,392 あっ…。 ありがとうな ジェス。 181 00:10:59,392 --> 00:11:03,830 ジェスは何も間違っていない。 唯一 間違いを犯したとすれば➡ 182 00:11:03,830 --> 00:11:06,100 それは豚になった人間なんていう 面倒の塊に➡ 183 00:11:06,100 --> 00:11:11,004 関わってしまったことぐらいだ。 面倒だなんて そんな。 184 00:11:11,004 --> 00:11:13,173 ジェスが泣くことなんてない。 185 00:11:13,173 --> 00:11:16,176 俺のためにも そんな顔を見せないでくれ。 186 00:11:16,176 --> 00:11:19,178 あっ…。 187 00:11:19,178 --> 00:11:21,881 はい… すみません。 188 00:11:26,519 --> 00:11:29,188 やっと笑ってくれたか。 189 00:11:29,188 --> 00:11:32,192 《いや ジェスは 俺がお願いしたから➡ 190 00:11:32,192 --> 00:11:34,360 それに応えようと してくれただけだ。 191 00:11:34,360 --> 00:11:38,364 こうしてはいられない。 俺はジェスに恩返しをしなくては》 192 00:11:42,035 --> 00:11:45,705 ジェスはいつも あの店でリスタを買ってるんだよな。 193 00:11:45,705 --> 00:11:50,877 はい。 店主のキリンスさんには いつも親切にしていただいてます。 194 00:11:50,877 --> 00:11:53,713 ジェス 値切りっていうのを したことはあるか? 195 00:11:53,713 --> 00:11:56,216 えっと… いえ。 196 00:11:56,216 --> 00:11:58,551 お店に損をさせることは➡ 197 00:11:58,551 --> 00:12:01,321 申し訳なくて。 でも向こうだって➡ 198 00:12:01,321 --> 00:12:04,991 ジェスが買い物をしてきたことで 大きな利益を上げているはずだ。 199 00:12:04,991 --> 00:12:07,994 少しはジェスに優しくしたいかも しれないだろう。 200 00:12:07,994 --> 00:12:10,330 そういうものでしょうか? 201 00:12:10,330 --> 00:12:13,032 あぁ そうだ。 とりあえず行ってみよう。 202 00:12:17,170 --> 00:12:20,340 (ドアの開閉音) 203 00:12:20,340 --> 00:12:22,508 (キリンス)んっ? やぁジェス。 204 00:12:22,508 --> 00:12:25,845 おや 珍しいのを連れてるね。 205 00:12:25,845 --> 00:12:30,683 キリンスさん こんにちは。 さっ 今日は どのリスタだい? 206 00:12:30,683 --> 00:12:33,519 えぇ… その…。 んっ? 207 00:12:33,519 --> 00:12:36,689 ジェス 俺の言うとおりに 話を進めるんだ。 208 00:12:36,689 --> 00:12:38,858 大丈夫か? 209 00:12:38,858 --> 00:12:41,561 まず 黒のリスタが欲しいと言うんだ。 210 00:12:43,529 --> 00:12:45,531 あの… 黒のリスタを➡ 211 00:12:45,531 --> 00:12:49,035 個人的に1ついただきたいんです。 んっ? またかい? 212 00:12:49,035 --> 00:12:52,705 個人的にって この前 売ったばかりだと思うが➡ 213 00:12:52,705 --> 00:12:55,708 もう次がいるのかね? 《んっ?》 214 00:12:55,708 --> 00:12:59,045 はい また 必要になってしまったんです。 215 00:12:59,045 --> 00:13:02,982 イェスマが そう何個も 買えるもんじゃないと思うんだが。 216 00:13:02,982 --> 00:13:05,485 《んっ…》 それは…。 217 00:13:05,485 --> 00:13:09,489 まっ お金さえ払ってもらえりゃ うちはいいんだがね。 218 00:13:09,489 --> 00:13:13,493 600ゴルトだよ。 正直に持ち金を言うんだ。 219 00:13:13,493 --> 00:13:16,496 実はもう… 200しかないんです。 220 00:13:16,496 --> 00:13:20,667 200ゴルト? 残り400はどうするんだい? 221 00:13:20,667 --> 00:13:24,504 「どうしても必要だから 値段を下げてくれないか」➡ 222 00:13:24,504 --> 00:13:26,839 と言うんだ。 223 00:13:26,839 --> 00:13:29,175 どうしても必要なんです。 224 00:13:29,175 --> 00:13:33,179 お値段を下げていただけませんか。 いやぁ困るよ。 225 00:13:33,179 --> 00:13:36,015 それは キルトリン家の 買い物じゃないだろう? 226 00:13:36,015 --> 00:13:39,352 どうして俺がイェスマに 安く売らなきゃいけないんだ。 227 00:13:39,352 --> 00:13:42,188 《これは明らかな差別意識だ。 228 00:13:42,188 --> 00:13:45,358 このおっちゃん ジェスは親切だと言っていたが➡ 229 00:13:45,358 --> 00:13:49,362 明らかに イェスマへの差別が 染みついてるじゃないか》 230 00:13:49,362 --> 00:13:52,665 あの… ごめんなさい 私…。 231 00:13:54,701 --> 00:13:58,204 ジェス いつまでに 黒のリスタを用意すればいいんだ? 232 00:13:58,204 --> 00:14:01,474 それが… 明日なんです。 ウッ!? 233 00:14:01,474 --> 00:14:05,645 明日の朝 王都への旅の前までに 用意しないと➡ 234 00:14:05,645 --> 00:14:08,981 盗人として 追われる身になってしまいます。 235 00:14:08,981 --> 00:14:12,485 《だから あんな所まで行って リスタを買おうとしたのか》 236 00:14:12,485 --> 00:14:16,989 正規品を買うのに足りない額は どれくらいで稼げるものなんだ? 237 00:14:16,989 --> 00:14:21,327 えっと… 普通の方でも おそらく二十日間は。 238 00:14:21,327 --> 00:14:23,329 そんな大金。 239 00:14:23,329 --> 00:14:25,832 裏路地に買いにくるような 他のイェスマたちは➡ 240 00:14:25,832 --> 00:14:27,834 どうやって集めてるんだ? 241 00:14:27,834 --> 00:14:30,336 お小遣いで足りない場合の 多くは➡ 242 00:14:30,336 --> 00:14:35,641 その… を… 売るんです。 えっ? 何を売るって? 243 00:14:37,844 --> 00:14:40,012 生殖器です。 《なっ…!》 244 00:14:40,012 --> 00:14:42,348 そ それはつまり➡ 245 00:14:42,348 --> 00:14:45,852 体を売るっていうことか? えぇ…。 246 00:14:45,852 --> 00:14:48,354 そういう言い方もできます。 247 00:14:48,354 --> 00:14:52,358 ジェスにそんなことはさせない! あっ…。 248 00:14:52,358 --> 00:14:57,196 任せろ。 俺に考えがある。 あっ。 249 00:14:57,196 --> 00:14:59,966 ここにいる豚もつけると言え。 《えっ?》 250 00:14:59,966 --> 00:15:03,636 俺を売るんだ。 200ゴルトと俺で リスタを買え。 251 00:15:03,636 --> 00:15:06,806 《でも…》 大丈夫 俺はただの豚じゃない。 252 00:15:06,806 --> 00:15:09,642 何が何でも 隙を見つけて逃げ出してやる。 253 00:15:09,642 --> 00:15:11,644 だから言うんだ。 あっ…。 254 00:15:11,644 --> 00:15:13,980 どうしたんだい? 255 00:15:13,980 --> 00:15:16,315 黙ってても どうにもしてやれないよ。 256 00:15:16,315 --> 00:15:18,317 ジェス。 257 00:15:18,317 --> 00:15:20,520 俺のためにも やってくれ。 258 00:15:22,488 --> 00:15:24,824 あの! 200ゴルトに加えて➡ 259 00:15:24,824 --> 00:15:27,160 こちらの豚さんを差し上げます。 260 00:15:27,160 --> 00:15:30,663 それで黒のリスタを 売っていただけませんか? 261 00:15:30,663 --> 00:15:35,168 いや… それはキルトリン家の 家畜じゃないのかい? だめだよ。 262 00:15:35,168 --> 00:15:38,171 間引かれるはずだった豚を こっそり育てた。 263 00:15:38,171 --> 00:15:40,840 だから今はもう キルトリン家の豚ではないし➡ 264 00:15:40,840 --> 00:15:43,509 芸もできる。 と言うんだ。 265 00:15:43,509 --> 00:15:48,347 間引きするはずの子豚さんを 私がこっそり育ててきたんです。 266 00:15:48,347 --> 00:15:51,851 キルトリン家のものではありません。 それに➡ 267 00:15:51,851 --> 00:15:55,354 芸ができるんです。 芸? 268 00:15:55,354 --> 00:15:59,158 よし じゃあ何か1つ見せてくれ。 269 00:16:05,465 --> 00:16:09,569 何をすればいいか わからん。 何か適当に指示してくれ。 270 00:16:11,637 --> 00:16:14,807 豚さん ダンスです! 《えっ ダンス? 271 00:16:14,807 --> 00:16:19,145 ヒョロガリ眼鏡には無縁のものだが…。 272 00:16:19,145 --> 00:16:21,147 やるしかない!》 273 00:16:38,497 --> 00:16:47,506 ♬~ 274 00:16:47,506 --> 00:16:49,509 フン! 275 00:16:52,011 --> 00:16:55,848 《ほう… 華麗すぎて言葉もないか》 276 00:16:55,848 --> 00:16:57,850 フフッ。 277 00:16:57,850 --> 00:17:13,299 ♬~ 278 00:17:13,299 --> 00:17:15,301 いや… ククッ もういい。 279 00:17:19,805 --> 00:17:23,509 やめさせてくれ 息ができない。 280 00:17:30,149 --> 00:17:33,819 ぶ… 豚さん もういいです。 281 00:17:33,819 --> 00:17:36,622 《んっ もういいのか?》 282 00:17:39,992 --> 00:17:42,995 《じゃあ最後に決めてやる!》 283 00:17:42,995 --> 00:17:45,998 ♬~ 284 00:17:45,998 --> 00:17:52,004 ♬~ 285 00:17:54,840 --> 00:17:56,842 ハハハハ! 286 00:17:56,842 --> 00:17:59,946 (笑い声) 287 00:17:59,946 --> 00:18:04,784 最高だ! 最高だよ なぁジェス! あっ。 (笑い声) 288 00:18:04,784 --> 00:18:06,786 こんな子を売ってくれるのかい? (笑い声) 289 00:18:06,786 --> 00:18:10,289 これはいいぞ。 「はい」と言うんだ。 はい。 (笑い声) 290 00:18:10,289 --> 00:18:15,127 なぁ 見たか今の動き。 ケガしたヘックリポンみたいじゃないか。 291 00:18:15,127 --> 00:18:17,129 《ヘックリポン? よくわからないが➡ 292 00:18:17,129 --> 00:18:19,131 なんだか バカにされている気がする》 293 00:18:19,131 --> 00:18:23,970 ハッハッハ… あぁ いやぁ感激だ。 294 00:18:23,970 --> 00:18:26,806 よし ジェス 200ゴルトはいらない。 295 00:18:26,806 --> 00:18:30,142 コイツと黒のリスタを交換しよう。 えっ。 296 00:18:30,142 --> 00:18:32,311 《おぉ なんと気前のいい》 297 00:18:32,311 --> 00:18:34,814 今夜の祭りで出し物をやるんだ。 298 00:18:34,814 --> 00:18:37,984 この豚を使えば 稼げる気がするんでね。 299 00:18:37,984 --> 00:18:41,654 《今夜か… 稼ぐ前に逃げてしまったら➡ 300 00:18:41,654 --> 00:18:43,990 ジェスに怒りの矛先が向いてしまう。 301 00:18:43,990 --> 00:18:47,326 マズい 何か策を…》 あの。 302 00:18:47,326 --> 00:18:50,997 そのお祭り ぜひ私も お手伝いさせてください。 303 00:18:50,997 --> 00:18:53,499 おい ジェス! ちょっと待て それじゃあ…。 304 00:18:53,499 --> 00:18:56,002 私が育ててきた豚さんです。 305 00:18:56,002 --> 00:18:58,337 活躍するところを 見てみたいんです。 306 00:18:58,337 --> 00:19:00,940 無償で給仕いたします。 《ハァ…。 307 00:19:00,940 --> 00:19:04,610 ジェスが疑われるような状況を 作りたくなかったのだが》 308 00:19:04,610 --> 00:19:08,948 もちろん。 だが キルトリン家の仕事は 大丈夫なのかい? 309 00:19:08,948 --> 00:19:13,619 あちらのお咎めをいただいたら 俺も商売できなくなっちまう。 310 00:19:13,619 --> 00:19:16,455 大丈夫です。 その…。 311 00:19:16,455 --> 00:19:19,625 今晩から 代わりのイェスマが来ますので。 312 00:19:19,625 --> 00:19:21,961 あっ… そうか。 313 00:19:21,961 --> 00:19:25,798 もうそんな時期になっちまったか。 んっ? 314 00:19:25,798 --> 00:19:30,636 なるほど。 だから豚を売るんだな。 よ~し わかった。 315 00:19:30,636 --> 00:19:34,140 出し物が見えるように 調整してやるから手伝ってくれ。 316 00:19:34,140 --> 00:19:36,308 ありがとうございます。 んじゃ➡ 317 00:19:36,308 --> 00:19:39,979 日没までに町の広場に来てくれや。 はい! 318 00:19:39,979 --> 00:19:44,150 《豚さん ごめんなさい 勝手に決めてしまいまして》 319 00:19:44,150 --> 00:19:48,154 いや問題ない。 ただ俺の逃走の 手助けはしないでくれ。 320 00:19:48,154 --> 00:19:50,823 ジェスに疑いがかかると困るからな。 321 00:19:50,823 --> 00:19:55,494 《大丈夫なんですか?》 あぁ 俺を誰だと思ってる。 322 00:19:55,494 --> 00:20:00,332 《眼鏡ヒョロガリクソ童貞だぞ ナメてもらっちゃ困るね》 323 00:20:00,332 --> 00:20:02,501 ほらよ 餞別だ。 324 00:20:02,501 --> 00:20:05,671 ありがとうございます。 助かりました。 325 00:20:05,671 --> 00:20:08,841 では用事を済ませてから 伺いますね。 326 00:20:08,841 --> 00:20:10,843 はいよ。 よろしくな。 327 00:20:10,843 --> 00:20:14,013 《じゃあ豚さん またお祭りで会いましょう》 328 00:20:14,013 --> 00:20:16,015 あぁ じゃあな。 329 00:20:16,015 --> 00:20:28,027 ♬~ 330 00:20:28,027 --> 00:20:32,031 《さてと ここからどうす… んっ?》 331 00:20:32,031 --> 00:20:35,367 悪いが ちょっと おとなしくしておいてくれよな➡ 332 00:20:35,367 --> 00:20:38,070 豚さんよ。 《ああっ!》 333 00:20:43,542 --> 00:20:48,047 《黒のリスタは入手できたが 次は脱出ミッションか…。 334 00:20:48,047 --> 00:20:50,549 ジェスには 大見得を切ってしまったが➡ 335 00:20:50,549 --> 00:20:53,052 どうしたものか…》 豚さん! 336 00:20:53,052 --> 00:20:55,554 《んっ。 337 00:20:55,554 --> 00:20:58,724 おぉ メイド服じゃないか~。 338 00:20:58,724 --> 00:21:01,494 それで 「ご主人様」とでも 言われた日にゃ➡ 339 00:21:01,494 --> 00:21:04,830 それは もうブヒブヒってね ヘヘヘヘ… んっ?》 340 00:21:04,830 --> 00:21:07,666 んっ? あっ これですね。 341 00:21:07,666 --> 00:21:09,835 アアッ。 342 00:21:09,835 --> 00:21:14,039 お腹が空いていらっしゃるかな と思って 持ってきたんです。 343 00:21:16,008 --> 00:21:19,011 どうぞ お召し上がりください…。 344 00:21:19,011 --> 00:21:22,014 ご… ご主人様。 345 00:21:22,014 --> 00:21:24,016 《ブヒィ~!》 346 00:21:24,016 --> 00:21:26,685 ありがとう! いただきます! フフッ。 347 00:21:26,685 --> 00:21:30,356 いやぁ うまいなこれ 恩に着る。 348 00:21:30,356 --> 00:21:32,358 ジェス 俺が脱出したあとの➡ 349 00:21:32,358 --> 00:21:35,194 待ち合わせ場所だけ決めておこう。 あっ。 350 00:21:35,194 --> 00:21:41,367 《待ち合わせ場所ですか… えっと どこがいいでしょう》 351 00:21:41,367 --> 00:21:45,538 ジェスは このお祭りのあと キルトリン家の屋敷に戻るのか? 352 00:21:45,538 --> 00:21:49,708 《はい 旅の支度をしなくては なりませんから》 353 00:21:49,708 --> 00:21:53,379 じゃあ 朝 連れていってくれた あの大きな木の下はどうだ。 354 00:21:53,379 --> 00:21:55,548 夜明けまでには何とかする。 355 00:21:55,548 --> 00:21:58,717 だから日が昇り始める前には そこに来てくれ。 356 00:21:58,717 --> 00:22:01,487 《わかりました》 357 00:22:01,487 --> 00:22:06,158 ジェス 安心しろ 俺を誰だと思っている。 358 00:22:06,158 --> 00:22:09,161 《眼鏡ヒョロガリクソ童貞さんですね》 359 00:22:09,161 --> 00:22:11,831 《それは名前ではないが…》 360 00:22:11,831 --> 00:22:14,333 そうだ 侮るなよ。 361 00:22:14,333 --> 00:22:17,836 必ず逃げ出してやる だから心配するな。 362 00:22:17,836 --> 00:22:20,673 《わかりました。 信じます》 363 00:22:20,673 --> 00:22:27,079 (鐘の音)