1 00:00:02,002 --> 00:00:14,181 (広場の賑わい) 2 00:00:14,181 --> 00:00:17,184 以上 テラワロス狩猟具店でした! 3 00:00:17,184 --> 00:00:22,689 テラワロス狩猟具店の豚の丸焼きは ステージ向かって右です! 4 00:00:22,689 --> 00:00:27,194 ご来店 お待ちしておりま~す! 《豚:なるほど。 5 00:00:27,194 --> 00:00:29,363 ステージでのパフォーマンスが➡ 6 00:00:29,363 --> 00:00:32,366 その店の屋台の 売り上げに影響するんだな。 7 00:00:32,366 --> 00:00:34,868 しかし…。 8 00:00:34,868 --> 00:00:38,038 本当によく働くな ジェスは。 9 00:00:38,038 --> 00:00:41,875 それに比べ…》 あ~あ。 10 00:00:41,875 --> 00:00:46,380 さっさと終わらせて 早く飲みてぇなぁ。 ホントそれな。 11 00:00:46,380 --> 00:00:49,716 《コイツらは なぜジェスを手伝わないんだ!?》 12 00:00:49,716 --> 00:00:51,718 (キリンス)よぅ みんな➡ 13 00:00:51,718 --> 00:00:54,554 店番 お疲れさま。 (みんな)お疲れさまです! 14 00:00:54,554 --> 00:00:58,559 (キリンス)今日は頑張れよ。 わんさか客が来ると思って➡ 15 00:00:58,559 --> 00:01:01,161 酒はいつもの倍 用意してあるからよ。 16 00:01:01,161 --> 00:01:03,497 ええっ。 倍っすか! あぁ。 17 00:01:03,497 --> 00:01:07,501 イェスマの豚に期待して 急いで調達してきた。 18 00:01:07,501 --> 00:01:11,004 《またジェスを 名前でなく イェスマと呼んだな。 19 00:01:11,004 --> 00:01:15,842 面倒見はいいんだろうが あれじゃ差別主義者だ。 20 00:01:15,842 --> 00:01:19,846 まぁいい。 どうせコイツらとは今日かぎり。 21 00:01:19,846 --> 00:01:23,850 その前に このグウタラどもが 悲鳴を上げるくらい客を呼んで➡ 22 00:01:23,850 --> 00:01:27,688 お望みどおり たんまり稼がせてやる。 23 00:01:27,688 --> 00:01:29,690 そしたら おさらばだ》 24 00:03:01,314 --> 00:03:04,317 皆さん キリンス宝石店です。 25 00:03:04,317 --> 00:03:08,822 昨日までは音楽隊の演奏を 予定しておりましたが➡ 26 00:03:08,822 --> 00:03:12,325 今回はそれに加えて この特別な豚に➡ 27 00:03:12,325 --> 00:03:14,628 登場してもらうことに なりました! 28 00:03:16,830 --> 00:03:19,332 《完全に失念していた》 29 00:03:19,332 --> 00:03:24,171 今まで見たこともないような 出し物となること間違いなし! 30 00:03:24,171 --> 00:03:28,008 ぜひ ご覧くださ~い! 31 00:03:28,008 --> 00:03:32,012 《クラスの自己紹介ですら 緊張してかみまくった俺が➡ 32 00:03:32,012 --> 00:03:34,681 こんな大勢の前で ダンスを披露するなんて➡ 33 00:03:34,681 --> 00:03:36,683 無理ゲーだ。 34 00:03:36,683 --> 00:03:39,019 ハッ… ジェス。 35 00:03:39,019 --> 00:03:42,689 健気に応援してくれているのか。 かわいい。 36 00:03:42,689 --> 00:03:44,691 あぁ これが終わったら➡ 37 00:03:44,691 --> 00:03:47,360 ジェスの柔らかい太ももで 膝枕されたい! 38 00:03:47,360 --> 00:03:51,198 ジェスの顔を犬のように舐めて 唾液でベトベトにしたい! 39 00:03:51,198 --> 00:03:53,200 ジェスの小さな…》 《ジェス:あの…。 40 00:03:53,200 --> 00:03:56,036 聞こえてますので…》 《えっ そうなの》 41 00:03:56,036 --> 00:03:58,371 (演奏) 42 00:03:58,371 --> 00:04:00,640 さぁ豚よ ダンスだ! (演奏) 43 00:04:00,640 --> 00:04:03,810 (演奏) 44 00:04:03,810 --> 00:04:07,514 《んっ… よし やってやる!》 45 00:04:09,483 --> 00:04:26,333 ♬~ 46 00:04:26,333 --> 00:04:30,337 (笑い声) 47 00:04:33,340 --> 00:04:35,342 フフッ。 48 00:04:35,342 --> 00:05:09,142 ♬~ 49 00:05:09,142 --> 00:05:11,978 (歓声) 50 00:05:11,978 --> 00:05:13,980 《ハッ!》 51 00:05:16,483 --> 00:05:18,485 あぁ…。 52 00:05:22,656 --> 00:05:24,658 なぁ豚よ➡ 53 00:05:24,658 --> 00:05:26,660 最高だったじゃないか。 54 00:05:26,660 --> 00:05:28,662 おかげで この繁盛だ。 55 00:05:28,662 --> 00:05:31,164 《喜んでくれて何よりだが➡ 56 00:05:31,164 --> 00:05:34,834 落ちたときに捻ったな これは》 《あの…。 57 00:05:34,834 --> 00:05:38,171 おケガは大丈夫ですか?》 ジェス! 58 00:05:38,171 --> 00:05:41,341 あぁ 受け身を取ったからな。 問題ない。 59 00:05:41,341 --> 00:05:43,343 おぉ ジェス。 60 00:05:43,343 --> 00:05:46,012 もう遅い そろそろ帰っても大丈夫だ。 61 00:05:46,012 --> 00:05:48,181 上がってくれ。 でも…。 62 00:05:48,181 --> 00:05:51,184 これからが お忙しい時間かと思いますが。 63 00:05:51,184 --> 00:05:53,186 そうなんだが。 64 00:05:53,186 --> 00:05:56,523 これ以上は領主様に 申し訳が立たなくなっちまう。 65 00:05:56,523 --> 00:05:59,693 なぁに うちの若いのに 頑張ってもらうさ。 66 00:05:59,693 --> 00:06:02,963 ですが…。 ジェス。 67 00:06:02,963 --> 00:06:05,465 おっちゃんの言うとおり ここは帰ってくれ。 68 00:06:05,465 --> 00:06:08,134 俺なら大丈夫だ。 これ以上いたら➡ 69 00:06:08,134 --> 00:06:11,471 脱走したあと ジェスに疑いの目が 向けられる恐れがある。 70 00:06:11,471 --> 00:06:15,308 それは避けたい だから頼む。 71 00:06:15,308 --> 00:06:17,644 《本当に大丈夫なんですね?》 72 00:06:17,644 --> 00:06:20,814 あぁ 任せろ! 《わかりました。 73 00:06:20,814 --> 00:06:24,651 では明日の朝 あの木の下で お待ちしてます》 74 00:06:24,651 --> 00:06:26,653 んっ。 75 00:06:26,653 --> 00:06:30,657 それでは あの… 今までありがとうございました。 76 00:06:30,657 --> 00:06:33,493 あぁ 達者でな。 77 00:06:33,493 --> 00:06:35,495 あっ…。 78 00:06:42,836 --> 00:06:48,174 あとは頼んだぞ~! (みんな)は~い。 79 00:06:48,174 --> 00:06:50,844 《ジェスには かっこつけて ああ言ったが➡ 80 00:06:50,844 --> 00:06:53,513 最悪 骨折してそうな痛みだ。 81 00:06:53,513 --> 00:06:56,016 これで脱走なんて できるだろうか》 82 00:06:56,016 --> 00:06:58,018 お~い豚さんよ~。 ブヒッ。 83 00:06:58,018 --> 00:06:59,953 なんかやってくれ。 84 00:06:59,953 --> 00:07:03,123 《泣き言 言ってもしかたない。 85 00:07:03,123 --> 00:07:07,127 とにかく 今は何とか状況を整えないと》 86 00:07:09,129 --> 00:07:14,634 (歓声) 87 00:07:14,634 --> 00:07:17,137 ブヒッ。 88 00:07:17,137 --> 00:07:21,141 ブヒ… ブヒッ。 89 00:07:21,141 --> 00:07:23,310 (ざわめき) 90 00:07:23,310 --> 00:07:25,812 おにいちゃんよ あの首輪➡ 91 00:07:25,812 --> 00:07:28,648 外してやってくんねぇか? 《きた!》 92 00:07:28,648 --> 00:07:33,153 1本 10ゴルトでさ~。 あぁ わかったよ。 93 00:07:33,153 --> 00:07:35,488 毎度あり~! 94 00:07:35,488 --> 00:07:37,824 お~い! うぃ~。 95 00:07:37,824 --> 00:07:40,493 ほら… よっ。 96 00:07:40,493 --> 00:07:42,495 《計画どおり》 97 00:07:42,495 --> 00:07:44,664 (歓声) 98 00:07:44,664 --> 00:07:47,500 《これでまず物理的障壁はクリアだ。 99 00:07:47,500 --> 00:07:50,103 あとは この人的障壁だが…》 100 00:07:55,175 --> 00:07:59,346 (歓声) 101 00:07:59,346 --> 00:08:01,781 ブヒ ブヒ。 102 00:08:01,781 --> 00:08:03,783 んっ なんだ? 103 00:08:03,783 --> 00:08:06,119 俺も踊れっていうのか? ブヒ。 104 00:08:06,119 --> 00:08:08,288 (歓声) 105 00:08:08,288 --> 00:08:10,290 よ~し! (歓声) 106 00:08:10,290 --> 00:08:13,093 (歓声) 107 00:08:16,796 --> 00:08:21,301 んっ? 豚とダンスしたいなら ぜひ! 108 00:08:21,301 --> 00:08:24,137 わかったよ! 109 00:08:24,137 --> 00:08:26,639 じゃあ くれ! 毎度! 110 00:08:26,639 --> 00:08:29,309 《よし…。 111 00:08:29,309 --> 00:08:33,146 そうだ… もっと酒を飲め。 112 00:08:33,146 --> 00:08:35,815 どんどん… 酔え!》 113 00:08:35,815 --> 00:08:42,021 ♬~ 114 00:08:48,661 --> 00:08:51,331 あっ…。 115 00:08:51,331 --> 00:08:54,334 《脱出は成功した。 116 00:08:54,334 --> 00:08:57,170 あとは約束の場所に向かうだけ。 117 00:08:57,170 --> 00:09:00,440 だが… ジェスに このケガがバレたら➡ 118 00:09:00,440 --> 00:09:03,610 また黒のリスタを 使われてしまうかもしれない。 119 00:09:03,610 --> 00:09:05,612 んっ?》 120 00:09:09,949 --> 00:09:12,752 《こっちのほうが まだ人目につかないか》 121 00:09:19,793 --> 00:09:21,961 ⚟テメエのミスは テメエで片づけろ。 《ブヒ?》 122 00:09:21,961 --> 00:09:24,798 すまねぇ でも どうしようもなくってよ。 123 00:09:24,798 --> 00:09:28,468 事故に見せかけるなり できただろうが! 違ぇんだ! 124 00:09:28,468 --> 00:09:31,971 一緒にいた豚が急に走りだして いなくなっちまったんだ! 125 00:09:31,971 --> 00:09:34,641 《この声は昼間のリスタの売人だ。 126 00:09:34,641 --> 00:09:38,311 俺のことを話しているのか? もう一人の男は?》 127 00:09:38,311 --> 00:09:40,313 じゃあ殺せ。 《ウッ!?》 128 00:09:40,313 --> 00:09:42,315 ハッ…。 129 00:09:42,315 --> 00:09:45,485 屋敷はわかってんだろう。 後をつけて殺せばいい。 130 00:09:45,485 --> 00:09:48,154 待ってくれ すまねぇとは思ってんだ。 131 00:09:48,154 --> 00:09:50,156 あんまりじゃねぇか。 132 00:09:50,156 --> 00:09:53,159 キルトリン家のイェスマを殺したってバレたら 俺はおしまいだ。 133 00:09:53,159 --> 00:09:55,829 テメエの責任だ。 もし嫌だったら➡ 134 00:09:55,829 --> 00:09:58,665 この地方の イェスマ狩りにでも頼むんだな。 135 00:09:58,665 --> 00:10:02,335 雇用中のイェスマ殺しなんざ やってくれるはずがねえ! 136 00:10:02,335 --> 00:10:05,171 金を積め。 そんな金はねえよ。 137 00:10:05,171 --> 00:10:07,340 ウッ…! いいか。 138 00:10:07,340 --> 00:10:12,011 イェスマを殺すか テメエが死ぬかだ。 ウゥッ…。 139 00:10:12,011 --> 00:10:16,349 明日の夜までに そのイェスマの死体を必ず用意しろ。 140 00:10:16,349 --> 00:10:18,852 さもなきゃ テメエも一緒に殺す。 141 00:10:18,852 --> 00:10:20,854 ウワッ! 142 00:10:30,196 --> 00:10:33,032 クソッ やりゃいいんだろ やりゃ。 143 00:10:33,032 --> 00:10:35,034 《えっ… ちょっちょっちょ…。 144 00:10:35,034 --> 00:10:37,036 どうして ジェスを殺す話になっている!? 145 00:10:37,036 --> 00:10:39,205 待ってくれ 考える時間が欲しい。 146 00:10:39,205 --> 00:10:41,541 あの男は ジェスの居場所に向かったのか? 147 00:10:41,541 --> 00:10:43,710 何が何でも 止めなきゃいけないよな? 148 00:10:43,710 --> 00:10:47,213 でも俺に何ができる? こんな所で 震えているだけの家畜に➡ 149 00:10:47,213 --> 00:10:49,215 いったい何ができるんだ? 150 00:10:49,215 --> 00:10:51,718 というか俺の足は どうして動かない…? 151 00:10:51,718 --> 00:10:54,220 クソ! クソクソクソクソクソ! 152 00:10:54,220 --> 00:10:57,390 いや 落ち着け俺! おびえて固まったままで➡ 153 00:10:57,390 --> 00:10:59,726 俺を待ってくれている あの純真な少女を➡ 154 00:10:59,726 --> 00:11:02,128 みすみす殺されてもいいのか!?》 155 00:11:06,666 --> 00:11:09,002 《とにかく あの男の後をつけよう。 156 00:11:09,002 --> 00:11:11,337 様子を見ながら作戦を練るんだ。 157 00:11:11,337 --> 00:11:14,173 ヤツはどこへ行ったんだ? ハッ! 158 00:11:14,173 --> 00:11:18,344 そうか 俺は豚なんだ 視野は人間より広い。 159 00:11:18,344 --> 00:11:20,847 更に豚の嗅覚を使えば…。 160 00:11:20,847 --> 00:11:23,516 タバコを吸う人間特有の あの口臭。 161 00:11:23,516 --> 00:11:26,186 まともに洗っていない 髪のすえた臭い。 162 00:11:26,186 --> 00:11:30,023 そして何より ハッカのような芳香。 163 00:11:30,023 --> 00:11:33,026 いた! まだ十分 追跡できる。 164 00:11:33,026 --> 00:11:35,028 諦めるわけにはいかない! 165 00:11:35,028 --> 00:11:37,530 豚には豚の特技があるんだ》 166 00:11:39,532 --> 00:11:43,202 《考えろ俺 どうすれば ジェスを守れるか。 167 00:11:43,202 --> 00:11:47,874 あの袋の中身は商売道具か? あんな荷物を持ったうえで➡ 168 00:11:47,874 --> 00:11:50,043 あの足では 機敏には動けないだろう。 169 00:11:50,043 --> 00:11:54,047 ならば先回りして ジェスと一緒に逃げてしまうべきか? 170 00:11:54,047 --> 00:11:57,550 あの大男が言ってた 「イェスマ狩り」とは いったい何だ? 171 00:11:57,550 --> 00:12:01,154 逃げたところで ソイツらに狙われて 生き延びられるのか? 172 00:12:01,154 --> 00:12:04,357 あの悪人どもは どうすれば殺しを諦める?》 173 00:12:06,993 --> 00:12:08,995 ウッ!? 174 00:12:11,497 --> 00:12:13,666 《時間がない。 175 00:12:13,666 --> 00:12:16,669 とにかく ヤツより先に ジェスに会いにいくしかない! 176 00:12:16,669 --> 00:12:18,671 ブヒィ! クソ!》 177 00:12:20,673 --> 00:12:24,177 《走れ豚! 俺がジェスを救うんだ!》 178 00:12:32,852 --> 00:12:35,688 《よし まだアイツは来てない》 179 00:12:35,688 --> 00:12:39,525 ジェス! おいジェス! 聞こえるか? 180 00:12:39,525 --> 00:12:42,862 《クッ… 寝てるのか? どうする!? 181 00:12:42,862 --> 00:12:45,865 焦るな 冷静な思考を取り戻せ! 182 00:12:45,865 --> 00:12:47,867 あの悪人たちの会話から➡ 183 00:12:47,867 --> 00:12:51,037 ジェスの言っていた キルトリン家の影響力は間違いない。 184 00:12:51,037 --> 00:12:55,208 アイツらは屋敷の位置を知りながら 「後をつけて殺す」と言っていた。 185 00:12:55,208 --> 00:12:57,543 これは キルトリン家の敷地では➡ 186 00:12:57,543 --> 00:13:00,146 堂々と殺せない という意味に他ならない。 187 00:13:00,146 --> 00:13:02,649 そうなれば アイツの行動は予測できる。 188 00:13:02,649 --> 00:13:05,318 ジェスが屋敷から出てくるのを ジッと見張り➡ 189 00:13:05,318 --> 00:13:07,320 出てきたところを待ち伏せる。 190 00:13:07,320 --> 00:13:11,491 となれば やはり屋敷の外で ジェスを待ち構えるつもりか。 191 00:13:11,491 --> 00:13:13,993 ジェスは日の出前に 農場に向かうだろう。 192 00:13:13,993 --> 00:13:17,497 あの男からしたら 願ってもないタイミングだ。 193 00:13:17,497 --> 00:13:19,499 そこを襲われたらマズい。 194 00:13:19,499 --> 00:13:23,670 何とかして この状況を 伝える方法はないのか?》 195 00:13:23,670 --> 00:13:26,673 ハッ! 196 00:13:26,673 --> 00:13:29,008 《俺は経験がないから わからないが➡ 197 00:13:29,008 --> 00:13:31,010 こういうとき女の子は➡ 198 00:13:31,010 --> 00:13:34,347 約束した時間の どのくらい前に 来るものなのだろうか。 199 00:13:34,347 --> 00:13:36,349 ジェスのような子は もしかすると》 200 00:13:39,018 --> 00:13:41,187 《泥まみれの俺に 手を差し伸べて➡ 201 00:13:41,187 --> 00:13:44,357 後先も考えず黒のリスタまで使って。 202 00:13:44,357 --> 00:13:46,526 俺の人生のどこを探せば➡ 203 00:13:46,526 --> 00:13:48,861 あれほどの優しさが 見つかるだろう。 204 00:13:48,861 --> 00:13:51,531 アカン いやいや いけない。 205 00:13:51,531 --> 00:13:53,866 オタクは すぐそうやって ガチ恋する。 206 00:13:53,866 --> 00:13:57,070 今はそんなこと 考えてる場合じゃないだろう!》 207 00:13:59,038 --> 00:14:02,809 ハァ… ハァ… ハァ… ハァ…。 208 00:14:02,809 --> 00:14:17,023 ♬~ 209 00:14:22,995 --> 00:14:25,998 《おいおい まだ夜中だぞ。 210 00:14:25,998 --> 00:14:29,102 こんなに早くから俺のことを 待ってくれていたのか?》 211 00:14:31,671 --> 00:14:35,174 《痛そうに… 働き者の手だ。 212 00:14:35,174 --> 00:14:39,512 こんな子を殺そうだなんて 人間のやることじゃないだろう。 213 00:14:39,512 --> 00:14:43,349 あんな男の保身のために ジェスが傷つくことは許さない。 214 00:14:43,349 --> 00:14:47,653 指一本でも触れようものなら 俺が腕ごと噛みちぎってやる》 215 00:14:49,689 --> 00:14:51,691 ジェス 起きてくれ。 216 00:14:51,691 --> 00:14:54,394 おい ジェス。 あっ…。 217 00:14:56,362 --> 00:14:58,364 起きたか… ブヒ! 218 00:14:58,364 --> 00:15:01,667 心配… したんですから。 219 00:15:06,973 --> 00:15:08,975 ジェス 聞いてくれ。 220 00:15:08,975 --> 00:15:11,978 昼間に裏路地で リスタを売っていた男が➡ 221 00:15:11,978 --> 00:15:15,314 ジェスを殺そうと すぐ近くまで来てる。 えっ…! 222 00:15:15,314 --> 00:15:18,484 俺の推測が正しければ 口封じのためだ。 223 00:15:18,484 --> 00:15:20,820 ヤツらは やましい商売をしている。 224 00:15:20,820 --> 00:15:23,990 それが領主のキルトリン家にバレたら おしまいだからな。 225 00:15:23,990 --> 00:15:27,326 そんな… でも私 喋りません。 226 00:15:27,326 --> 00:15:30,997 そうだろうが 悪人にとって そんなことは関係ないんだ。 227 00:15:30,997 --> 00:15:34,167 どうしましょう 私が殺されたら➡ 228 00:15:34,167 --> 00:15:37,837 豚さんは人間に戻れなくなって しまうかもしれません。 229 00:15:37,837 --> 00:15:40,339 俺の心配をしてる場合じゃ ないだろう! 230 00:15:40,339 --> 00:15:42,341 あっ…。 231 00:15:42,341 --> 00:15:44,844 とにかく一緒に どうすればいいか考えよう。 232 00:15:44,844 --> 00:15:49,348 それなら このまま二人で逃げませんか? 233 00:15:49,348 --> 00:15:52,185 それじゃ 何の対策にもならないだろ。 234 00:15:52,185 --> 00:15:54,353 追ってこられるかもしれないし➡ 235 00:15:54,353 --> 00:15:58,024 ジェスが ここに戻ってきたとき また襲われるかもしれない。 236 00:15:58,024 --> 00:16:00,293 おそらく いちばんいいのは➡ 237 00:16:00,293 --> 00:16:03,963 アイツの悪事を キルトリン家に伝えて 捕まえさせることだ。 238 00:16:03,963 --> 00:16:08,134 でも… 私のために そこまでしてくださるでしょうか。 239 00:16:08,134 --> 00:16:12,471 んっ? ジェスはここに長い間 仕えてきたんじゃないのか? 240 00:16:12,471 --> 00:16:15,641 はい。 ですが私はイェスマです。 241 00:16:15,641 --> 00:16:20,480 キルトリン家の方々とは身分が 天と地ほどに違いますので➡ 242 00:16:20,480 --> 00:16:24,984 私の言うことに耳を傾けて いただけるとは思えません。 243 00:16:24,984 --> 00:16:27,987 でも何かあったら キルトリン家も困るだろ? 244 00:16:27,987 --> 00:16:30,823 ジェスは まだ働き盛りだし。 245 00:16:30,823 --> 00:16:33,326 あの…。 どうした? 246 00:16:33,326 --> 00:16:35,328 ごめんなさい。 247 00:16:35,328 --> 00:16:38,331 私 実はもう お屋敷には戻らないんです。 248 00:16:38,331 --> 00:16:42,668 《うすうす 気付いてはいたが やはりか…》 249 00:16:42,668 --> 00:16:46,339 わかった その理由は 後でまた教えてくれ。 250 00:16:46,339 --> 00:16:48,541 今は これからどうするか 考えよう。 251 00:16:50,510 --> 00:16:53,179 《どうにか キルトリン家が 動かざるをえない状況に➡ 252 00:16:53,179 --> 00:16:55,681 持ち込めないものか… あっ》 253 00:16:55,681 --> 00:16:58,017 ジェス この農場のどこかに➡ 254 00:16:58,017 --> 00:17:00,620 中に人を閉じ込められるような 設備はあるか? 255 00:17:00,620 --> 00:17:03,789 えっと… 石造りの倉庫があります。 256 00:17:03,789 --> 00:17:08,294 外から鍵をかけてしまえば 中からは出ることができません。 257 00:17:08,294 --> 00:17:10,630 鍵は用意できるか? はい。 258 00:17:10,630 --> 00:17:13,966 お屋敷の勝手口を入って すぐの所にあるので➡ 259 00:17:13,966 --> 00:17:16,469 大丈夫だと思います。 なるほど。 260 00:17:16,469 --> 00:17:18,471 すると鍵を取りにいく間に➡ 261 00:17:18,471 --> 00:17:20,473 見つからないようにしないと いけないな。 262 00:17:20,473 --> 00:17:23,476 なぁジェス いくら小間使いの身分でも➡ 263 00:17:23,476 --> 00:17:27,146 キルトリン家の人間に 書き置きを 残すことぐらいはできるよな? 264 00:17:27,146 --> 00:17:29,315 はい それくらいなら。 265 00:17:29,315 --> 00:17:31,617 よし じゃあ計画を言うぞ。 266 00:17:36,989 --> 00:17:39,659 アイツの狙いは俺じゃなくジェスだ。 267 00:17:39,659 --> 00:17:41,827 最悪の場合 一人で逃げるんだぞ。 268 00:17:41,827 --> 00:17:43,829 あっ…。 まぁいい。 269 00:17:43,829 --> 00:17:46,032 俺がヘマしなきゃいいだけだ。 270 00:18:09,288 --> 00:18:20,132 ♬~ 271 00:18:20,132 --> 00:18:22,969 《いいぞ。 俺が向かう先に 焚き火があれば➡ 272 00:18:22,969 --> 00:18:25,972 そこにジェスがいるかもしれないと 考えるだろう》 273 00:18:30,309 --> 00:18:33,312 《そうだ そのまま火の近くにいろ。 274 00:18:33,312 --> 00:18:35,815 そうすれば お前の瞳孔は閉じ➡ 275 00:18:35,815 --> 00:18:38,818 かん体細胞の視物質は どんどん消費されていく。 276 00:18:38,818 --> 00:18:40,820 それが明順応だ》 277 00:18:40,820 --> 00:18:42,822 ジェス いいぞ 今だ! 278 00:18:42,822 --> 00:18:44,824 《はい!》 279 00:18:44,824 --> 00:18:48,494 《人間は暗い所に 目を慣らすのには時間がかかる。 280 00:18:48,494 --> 00:18:53,332 今のお前の目では ジェスの姿は見つけられないはずだ》 281 00:18:53,332 --> 00:18:55,334 《豚さん》 よし! 282 00:18:55,334 --> 00:19:09,949 ♬~ 283 00:19:09,949 --> 00:19:11,951 準備はいいか ジェス。 284 00:19:11,951 --> 00:19:14,620 《はい 倉庫の裏に隠れてます》 285 00:19:14,620 --> 00:19:16,956 よし! じゃあやるぞ! 286 00:19:16,956 --> 00:19:23,462 ♬~ 287 00:19:23,462 --> 00:19:26,966 《今のところは すべて計画どおり…。 288 00:19:26,966 --> 00:19:29,635 あっ… クソッ! 289 00:19:29,635 --> 00:19:33,806 アイツの足でも あの窓から 脱出できる可能性は十分あるな。 290 00:19:33,806 --> 00:19:36,475 ただ外から 鍵をかけるだけじゃだめか。 291 00:19:36,475 --> 00:19:38,477 ならば…。 292 00:19:38,477 --> 00:19:40,479 失敗なくできるんだろうか。 293 00:19:40,479 --> 00:19:42,982 いや 今回は 観客のいるステージじゃない。 294 00:19:42,982 --> 00:19:46,285 陰キャは見えない所で輝くんだ!》 295 00:19:49,321 --> 00:19:51,323 《ジェスは俺が守る。 296 00:19:51,323 --> 00:19:54,026 今こそが恩に報いるときだ》 297 00:19:57,663 --> 00:19:59,665 《いっけ~!》 298 00:19:59,665 --> 00:20:02,334 クッ…。 299 00:20:02,334 --> 00:20:05,337 《どうだ! 豚の頭蓋骨は硬いぞ!》 300 00:20:05,337 --> 00:20:07,673 なんだコイツ。 《クソッ。 301 00:20:07,673 --> 00:20:11,343 まだ左足は動くか… なら もう一発➡ 302 00:20:11,343 --> 00:20:14,013 お見舞いしてやる!》 このっ…。 303 00:20:14,013 --> 00:20:16,015 クソ豚! 304 00:20:16,015 --> 00:20:19,351 クッ…! 305 00:20:19,351 --> 00:20:22,855 《くらえっ!》 ああっ! イッテー! 306 00:20:22,855 --> 00:20:25,858 《よし! これでコイツは 動けなくなった!》 307 00:20:25,858 --> 00:20:28,527 ウゥッ…。 ジェス! 今だ! 308 00:20:28,527 --> 00:20:30,830 扉を閉めてくれ! はいっ! 309 00:20:34,366 --> 00:20:36,535 よくやった もう大丈夫だ。 310 00:20:36,535 --> 00:20:38,537 フゥ… よかっ…。 311 00:20:40,539 --> 00:20:43,042 《ジェス…?》 312 00:20:43,042 --> 00:20:45,044 豚さん! 313 00:20:45,044 --> 00:20:47,880 《刺されたのか…。 314 00:20:47,880 --> 00:20:50,549 だが この痛みで はっきりわかった。 315 00:20:50,549 --> 00:20:52,885 この世界は夢じゃない。 316 00:20:52,885 --> 00:20:56,222 俺は本当に 異世界へ転生していたんだ…》 317 00:20:56,222 --> 00:21:00,326 あぁ…。 《俺は… 死ぬのか…》 318 00:21:00,326 --> 00:21:03,662 嫌です! 豚さん! 死んじゃだめです! 319 00:21:03,662 --> 00:21:06,999 ジェス… 短い間だったが➡ 320 00:21:06,999 --> 00:21:09,001 楽しかったよ。 そんな! 321 00:21:09,001 --> 00:21:12,004 私と一緒に 王都に行くんじゃないんですか!? 322 00:21:12,004 --> 00:21:14,006 忘れてくれ。 323 00:21:14,006 --> 00:21:17,510 ジェスはジェスの用事を済ませればいい。 324 00:21:17,510 --> 00:21:20,846 俺のことは… 気にするな。 325 00:21:20,846 --> 00:21:27,186 違うんです! 本当は そういうことじゃないんです! 326 00:21:27,186 --> 00:21:31,690 あの… 私まだ豚さんに 裸だって見せてません。 327 00:21:31,690 --> 00:21:34,527 ここぞというときまで 取っておけって➡ 328 00:21:34,527 --> 00:21:36,529 そう言っていたのに! 329 00:21:36,529 --> 00:21:40,032 眼鏡ヒョロガリクソ童貞の ざれ言だ。 330 00:21:40,032 --> 00:21:43,702 忘れてくれ。 そんな…! 331 00:21:43,702 --> 00:21:48,207 (泣き声) 332 00:21:48,207 --> 00:21:50,209 《眠い…。 333 00:21:50,209 --> 00:21:53,712 失血で脳に酸素が 回らなくなっているのだろう。 334 00:21:53,712 --> 00:21:56,715 食中毒で死ぬことに比べたら➡ 335 00:21:56,715 --> 00:22:02,488 美少女に看取られて死ねるなんて こんなに幸せなことはない》 336 00:22:02,488 --> 00:22:05,157 ⦅よろしくお願いしますね 豚さん。 337 00:22:05,157 --> 00:22:09,495 次やったら 私が豚さんを いじめちゃいますよ~。 338 00:22:09,495 --> 00:22:12,164 これ以上 美少女とか天使とか言ったら➡ 339 00:22:12,164 --> 00:22:14,833 豚さんのお尻を ペンペンしちゃいますよ! 340 00:22:14,833 --> 00:22:17,169 私 ご一緒しますよ。 341 00:22:17,169 --> 00:22:19,572 運命かもしれませんね⦆ 342 00:22:25,511 --> 00:22:27,513 お願いです。 343 00:22:27,513 --> 00:22:30,115 私を一人にしないで。