1 00:00:19,019 --> 00:00:21,355 (ジェス)あっ…。 (豚)ハッ。 2 00:00:21,355 --> 00:00:34,368 ♬~ 3 00:00:34,368 --> 00:00:37,037 (岩壁の音) 4 00:00:37,037 --> 00:00:47,214 ♬~ 5 00:00:47,214 --> 00:00:51,385 (ヴィース)よくここまで 頑張りましたね ジェス。 6 00:00:51,385 --> 00:00:53,553 どうぞ入ってください➡ 7 00:00:53,553 --> 00:00:56,056 賢い豚さんと一緒に。 8 00:00:56,056 --> 00:01:09,503 ♬~ 9 00:01:09,503 --> 00:01:12,806 あっ…。 10 00:01:15,509 --> 00:01:19,846 あっ… 痛みが… 消えた? 11 00:01:19,846 --> 00:01:24,351 さぁ こちらです。 12 00:01:24,351 --> 00:01:37,197 ♬~ 13 00:01:37,197 --> 00:01:40,867 (ヴィース)汚れを落として ゆっくり休んでください。 14 00:01:40,867 --> 00:01:44,538 浴室は奥に 着替えはそちらにあります。 15 00:01:44,538 --> 00:01:47,708 お目覚めになったころ 迎えに来ます。 16 00:01:47,708 --> 00:01:50,410 ありがとう… ございます。 17 00:01:53,213 --> 00:01:55,382 あの! 18 00:01:55,382 --> 00:01:57,551 んっ? 19 00:01:57,551 --> 00:01:59,886 あの狩人の青年のことが➡ 20 00:01:59,886 --> 00:02:01,989 心配なのですね。 あっ…。 21 00:02:01,989 --> 00:02:05,993 彼は無事です。 すでに針の森を出ました。 22 00:02:05,993 --> 00:02:09,496 そうか…。 ホッ…。 23 00:02:13,333 --> 00:02:17,004 疲れましたね。 あぁ… クタクタだ。 24 00:02:17,004 --> 00:02:19,506 体を洗ってから寝ましょうか。 25 00:02:19,506 --> 00:02:22,609 お呼びしたら来てくださいね。 あぁ。 26 00:02:27,848 --> 00:02:29,850 はぁ!? 27 00:04:05,145 --> 00:04:07,981 豚さん お入りください。 28 00:04:07,981 --> 00:04:09,983 あっ… はい! 29 00:04:14,154 --> 00:04:16,156 (ドアの開く音) 30 00:04:16,156 --> 00:04:18,158 フゴ! 31 00:04:28,335 --> 00:04:31,037 (ドアの閉まる音) 32 00:04:33,173 --> 00:04:36,510 ハッ… キューッ! 33 00:04:36,510 --> 00:04:41,014 すまん… ほんの一瞬だけ 見てしまった。 いいんですよ。 34 00:04:41,014 --> 00:04:44,518 裸は ここぞというときまで 取っておけと言ったのは➡ 35 00:04:44,518 --> 00:04:46,520 豚さんじゃないですか。 36 00:04:46,520 --> 00:04:49,189 目を開けて よ~く見てください。 37 00:04:49,189 --> 00:04:51,191 ブッ…。 38 00:04:51,191 --> 00:04:59,533 ♬~ 39 00:04:59,533 --> 00:05:01,801 《きれいだ》 40 00:05:01,801 --> 00:05:04,504 きちんと洗いますからね。 41 00:05:06,473 --> 00:05:10,310 その間 目をそらしちゃだめですよ。 42 00:05:10,310 --> 00:05:18,985 ♬~ 43 00:05:18,985 --> 00:05:21,988 ウウッ…。 ちゃんと見なきゃだめです。 44 00:05:21,988 --> 00:05:26,493 私なりに考えた 全力のお礼です。 受け取ってください。 45 00:05:26,493 --> 00:05:32,165 んっ… そうか それなら受け取るしかないな。 46 00:05:32,165 --> 00:05:34,167 ウフフ…。 47 00:05:34,167 --> 00:05:37,504 《この笑顔が 何よりのご褒美だな》 48 00:05:37,504 --> 00:05:41,007 豚さんがくださった笑顔です。 49 00:05:41,007 --> 00:05:44,844 小間使いというのは とても孤独なお仕事です。 50 00:05:44,844 --> 00:05:49,349 笑顔は いつも 誰かに向けるためのものでした。 51 00:05:49,349 --> 00:05:52,519 なかなかしぜんに 出るものではありません。 52 00:05:52,519 --> 00:05:56,356 でもそれは 豚さんとお会いする前の話です。 53 00:05:56,356 --> 00:06:00,126 豚さんは私をたくさん 笑わせてくれましたから。 54 00:06:00,126 --> 00:06:02,629 それならよかった…。 55 00:06:02,629 --> 00:06:07,801 豚さんがキリンスさんに ダンスを披露したときなどは➡ 56 00:06:07,801 --> 00:06:11,972 声が出てしまいそうになり 慌てて息を止めたほどです。 57 00:06:11,972 --> 00:06:14,975 やめてくれ あれは黒歴史だ。 58 00:06:14,975 --> 00:06:16,977 ウフッ フフフ…。 59 00:06:22,148 --> 00:06:25,318 こんなにフカフカなベッドは初めてです。 60 00:06:25,318 --> 00:06:29,322 俺もだ。 まぁ俺は豚だから当たり前だが。 61 00:06:31,992 --> 00:06:34,828 んっ? あったかい…。 62 00:06:34,828 --> 00:06:37,330 とっても安心します。 63 00:06:40,333 --> 00:06:42,636 フゥ…。 64 00:06:45,171 --> 00:06:50,176 《人間に戻るのは楽しみではある。 だが本当に戻れるのか? 65 00:06:50,176 --> 00:06:54,848 それ以前に王は 俺たちをどうするつもりなんだ》 66 00:06:54,848 --> 00:06:56,850 豚さん。 67 00:06:59,519 --> 00:07:01,788 起きていたのか。 68 00:07:01,788 --> 00:07:05,292 私…。 んっ? 69 00:07:05,292 --> 00:07:09,462 明日 どのようなことになろうとも➡ 70 00:07:09,462 --> 00:07:13,633 私は豚さんと旅ができて 幸せでした。 71 00:07:13,633 --> 00:07:15,635 ジェス…? 72 00:07:15,635 --> 00:07:17,637 豚さん…。 73 00:07:21,808 --> 00:07:24,010 ありがとう。 74 00:07:27,814 --> 00:07:31,818 (ノック) 75 00:07:31,818 --> 00:07:34,154 (ヴィース)おはようございます。 76 00:07:34,154 --> 00:07:38,658 フガ… 昼ごろか? 77 00:07:38,658 --> 00:07:40,660 あっ…。 (ノック) 78 00:07:40,660 --> 00:07:42,662 ど どうぞ。 79 00:07:42,662 --> 00:07:45,165 (ドアの開く音) 80 00:07:45,165 --> 00:07:48,868 着替え終わったら上に案内します。 81 00:08:08,455 --> 00:08:11,791 あの… すみません。 82 00:08:11,791 --> 00:08:18,131 はい 何でしょう? 心の声が聞こえるみたいですね。 83 00:08:18,131 --> 00:08:23,536 雰囲気もどこか… あなたはイェスマなんですか? 84 00:08:48,161 --> 00:08:50,363 こちらで王がお待ちです。 85 00:09:03,943 --> 00:09:05,945 あっ…。 86 00:09:16,122 --> 00:09:23,029 《あれが この国の… メステリアの… 偉大なる王…》 87 00:09:28,468 --> 00:09:31,571 (イーヴィス)かけたまえ。 ヴィースも。 88 00:09:36,810 --> 00:09:39,312 あっ!? ウオォ! 89 00:09:39,312 --> 00:09:52,992 ♬~ 90 00:09:52,992 --> 00:09:55,995 食べなさい 腹が減ったろう。 91 00:09:55,995 --> 00:09:58,998 ありがとうございます。 92 00:09:58,998 --> 00:10:01,167 《王というくらいだから➡ 93 00:10:01,167 --> 00:10:04,838 玉座にふんぞり返ってるもんだと 思っていたが》 94 00:10:04,838 --> 00:10:09,008 不満であれば玉座に ふんぞり返ってやってもよいが➡ 95 00:10:09,008 --> 00:10:11,344 このほうが話しやすいだろう。 96 00:10:11,344 --> 00:10:13,346 《心の声を読まれた!》 97 00:10:13,346 --> 00:10:15,682 申し訳ありません! 失礼なことを。 98 00:10:15,682 --> 00:10:17,684 気にするな。 99 00:10:17,684 --> 00:10:21,020 魔法使いが 心を読めるということは➡ 100 00:10:21,020 --> 00:10:24,190 あまり知られておらんからな。 あっ…。 101 00:10:24,190 --> 00:10:28,528 あなた方が魔法使いなのですか? いかにも。 102 00:10:28,528 --> 00:10:33,533 私は魔法使いで この国の王だ。 名はイーヴィスという。 103 00:10:33,533 --> 00:10:37,203 こっちにいるのが孫のシュラビス。 104 00:10:37,203 --> 00:10:40,373 そして その母 ヴィースだ。 105 00:10:40,373 --> 00:10:44,878 さて ジェスには 私に頼みたいことがあるようだ。 106 00:10:44,878 --> 00:10:48,548 遠慮なく申してみよ。 あ… はいっ! 107 00:10:48,548 --> 00:10:52,719 えっと… その…。 108 00:10:52,719 --> 00:10:56,623 豚さんを 人間に戻してほしいのです。 109 00:11:00,827 --> 00:11:02,829 よいだろう。 110 00:11:02,829 --> 00:11:04,831 ただし条件がある。 111 00:11:06,833 --> 00:11:11,004 豚になった その若者を 元に戻す手段が何であれ➡ 112 00:11:11,004 --> 00:11:15,842 最後まで見届けるのだ。 はい。 113 00:11:15,842 --> 00:11:21,514 よろしい。 約束はきちんと守ってもらうぞ。 114 00:11:21,514 --> 00:11:25,318 《大丈夫か? なんだか不穏だが》 115 00:11:27,353 --> 00:11:30,056 では 戻していただけるのですね? 116 00:11:32,025 --> 00:11:35,695 今すぐにでも戻せるが… そうだな➡ 117 00:11:35,695 --> 00:11:38,698 日暮れまでに遂行するとしよう。 118 00:11:38,698 --> 00:11:41,367 魔法で 戻していただけるのですか? 119 00:11:41,367 --> 00:11:44,070 そうではない。 あっ? 120 00:11:51,377 --> 00:11:55,381 ではいったい どのように…。 121 00:11:55,381 --> 00:11:57,550 簡単なことだ。 122 00:11:57,550 --> 00:12:00,653 その豚を殺せばよい。 ハッ…! 123 00:12:04,157 --> 00:12:06,492 殺… す? 124 00:12:06,492 --> 00:12:09,329 豚を殺せば 若者の意識は➡ 125 00:12:09,329 --> 00:12:13,032 元の世界で眠っている 本来の体へ戻る。 126 00:12:15,001 --> 00:12:18,671 元の… 世界…。 127 00:12:18,671 --> 00:12:23,009 その若者の意識は世界の狭間を さまよっておる間に➡ 128 00:12:23,009 --> 00:12:25,845 強力な魔法によって 引き寄せられ➡ 129 00:12:25,845 --> 00:12:30,850 この世界におる 1匹の豚に宿ってしまったのだ。 130 00:12:30,850 --> 00:12:32,852 どうしてそうなったかは➡ 131 00:12:32,852 --> 00:12:35,855 ジェスから打ち明けてやるのが よいと思うが。 132 00:12:35,855 --> 00:12:38,057 あっ…。 133 00:12:41,861 --> 00:12:46,532 では… 豚さんが 人間に戻るということは。 134 00:12:46,532 --> 00:12:49,535 この世界から いなくなるということだ。 135 00:12:49,535 --> 00:12:51,638 あっ…! ハッ…。 136 00:12:57,877 --> 00:13:01,648 豚さんと… 一緒にいられない。 137 00:13:01,648 --> 00:13:07,487 それが その若者を 人間に戻す唯一の方法なのだ。 138 00:13:07,487 --> 00:13:11,324 このまま意識を こちらにとどめておけば➡ 139 00:13:11,324 --> 00:13:13,993 やがて その若者の体は死に➡ 140 00:13:13,993 --> 00:13:17,664 元の世界へ戻れなくなる。 あっ…。 141 00:13:17,664 --> 00:13:21,067 悲しいかもしれぬ。 だが提案がある。 142 00:13:23,002 --> 00:13:25,004 そなたを王家に迎え入れよう。 143 00:13:25,004 --> 00:13:29,342 我々は そなたのような 魔法使いを待っておったのだ。 144 00:13:29,342 --> 00:13:34,347 あ… 魔法使い…。 やはり。 145 00:13:34,347 --> 00:13:37,850 イェスマの正体は魔法使い。 146 00:13:37,850 --> 00:13:40,186 あっ…。 147 00:13:40,186 --> 00:13:42,689 いかにも。 ジェス➡ 148 00:13:42,689 --> 00:13:46,192 そなたは非常に優秀な 魔法使いのようだ。 149 00:13:46,192 --> 00:13:48,861 無論 まだ今の段階では➡ 150 00:13:48,861 --> 00:13:52,198 一般的に イェスマと呼ばれる状態だがね。 151 00:13:52,198 --> 00:13:54,200 (2人)あっ…。 152 00:14:00,473 --> 00:14:02,475 んっ! 153 00:14:02,475 --> 00:14:04,477 (首輪が割れる音) 154 00:14:04,477 --> 00:14:06,579 あっ…。 155 00:14:11,818 --> 00:14:15,321 これでジェスは イェスマではなくなった。 あぁ…。 156 00:14:17,323 --> 00:14:19,826 恐縮ですが一つお願いがあります。 157 00:14:19,826 --> 00:14:23,830 そなたには申し訳なく思っている 何でも申せ。 158 00:14:23,830 --> 00:14:28,668 人間に戻る方法を教えていただき 感謝しております。 159 00:14:28,668 --> 00:14:32,371 甘んじて王の判断に従う覚悟です。 あっ…。 160 00:14:35,341 --> 00:14:38,177 しかし まだ 納得できないことがあります。 161 00:14:38,177 --> 00:14:43,516 もしよろしければ 私とジェスに 話していただきたいのです。 162 00:14:43,516 --> 00:14:49,122 この国に イェスマという身分が 存在しなければならない理由を。 163 00:14:53,025 --> 00:14:57,330 この話は 多くの者が 知っていることではない。 164 00:14:59,365 --> 00:15:02,135 しかし そなたの頭を覗くかぎり➡ 165 00:15:02,135 --> 00:15:05,638 ほぼ正解にまで 至ってしまっているようだ。 166 00:15:05,638 --> 00:15:09,142 よいだろう。 そなたには餞別として➡ 167 00:15:09,142 --> 00:15:13,980 ジェスには信頼の証しとして 真実を伝えようではないか。 168 00:15:13,980 --> 00:15:15,982 感謝します。 169 00:15:24,323 --> 00:15:28,027 さぁ若者よ 何から聞きたい? 170 00:15:30,997 --> 00:15:34,333 私は イェスマという種族について➡ 171 00:15:34,333 --> 00:15:37,336 数日の間に 聞いたことしか知りません。 172 00:15:37,336 --> 00:15:40,840 銀の首輪。 小間使いの仕事。 173 00:15:40,840 --> 00:15:45,511 心の声を読むことができ 黒のリスタで奇跡を起こせる。 174 00:15:45,511 --> 00:15:48,347 女しかいない。 8歳で売られて➡ 175 00:15:48,347 --> 00:15:51,350 16になると命懸けで王都へ向かう。 176 00:15:51,350 --> 00:15:54,520 そして 「乗り物に乗せてはならない」➡ 177 00:15:54,520 --> 00:15:57,123 「犯してはならない」 という決まりがある。 178 00:15:59,192 --> 00:16:02,462 要点を的確に理解しておるようだ。 179 00:16:02,462 --> 00:16:04,630 これら すべてには理由がある。 180 00:16:04,630 --> 00:16:08,134 あなたたちにとって意味がある… そうですね? 181 00:16:08,134 --> 00:16:11,137 我々にとって というと 語弊があるが➡ 182 00:16:11,137 --> 00:16:13,806 意味があることには間違いない。 183 00:16:13,806 --> 00:16:16,809 イェスマは 魔法使いという種族を➡ 184 00:16:16,809 --> 00:16:19,312 保持するための システムではないのですか? 185 00:16:25,151 --> 00:16:29,155 そなたは 魔法使いを どういうものだと聞いている? 186 00:16:29,155 --> 00:16:33,492 強力な魔力を持ち 覇権を争って戦を繰り返し➡ 187 00:16:33,492 --> 00:16:35,828 暗黒時代を招いた存在だと。 188 00:16:35,828 --> 00:16:41,000 では魔法使いがここまで衰退した 原因は何だと思う? 189 00:16:41,000 --> 00:16:45,171 大きすぎる力と その攻撃性ゆえだと思います。 190 00:16:45,171 --> 00:16:47,673 おおむね同じ見解のようだ。 191 00:16:47,673 --> 00:16:52,678 生身の体に似合わぬ魔力と 過剰な自己中心性。 192 00:16:52,678 --> 00:16:55,014 魔法使いは この2つのせいで➡ 193 00:16:55,014 --> 00:16:58,184 互いに殺し合い 暗黒時代を招いた。 194 00:16:58,184 --> 00:17:00,786 だから偉大な先祖 ヴァティス様は➡ 195 00:17:00,786 --> 00:17:04,957 自分以外の生き残った魔法使いに 銀の首輪をつけ➡ 196 00:17:04,957 --> 00:17:08,961 その魔力と自己中心性を 封印したのだ。 197 00:17:08,961 --> 00:17:13,799 結果 一部の力だけを残し 彼らは無力化され➡ 198 00:17:13,799 --> 00:17:16,469 暗黒時代は終わりを告げた。 199 00:17:16,469 --> 00:17:20,139 では どうして首輪をつけられた 魔法使いたちは➡ 200 00:17:20,139 --> 00:17:22,642 奴隷扱いされるまでに なったのでしょう。 201 00:17:22,642 --> 00:17:25,311 想像以上の成果があったのだ。 202 00:17:25,311 --> 00:17:29,649 首輪によって自己中心性まで 封じられた魔法使いは➡ 203 00:17:29,649 --> 00:17:33,152 奴隷のような扱いを受けても 差別されても➡ 204 00:17:33,152 --> 00:17:37,156 まったく反抗しなくなったのだ。 205 00:17:37,156 --> 00:17:39,158 だからって…。 206 00:17:39,158 --> 00:17:42,161 そんな不当な扱いをして いいことになるのでしょうか!? 207 00:17:44,163 --> 00:17:48,668 人間がおるかぎり 皺は必ずどこかによるのだ。 208 00:17:48,668 --> 00:17:51,003 誰かしらが理不尽を背負う。 209 00:17:51,003 --> 00:17:55,508 イェスマという奴隷の種族に それを引き受けてもらうことで➡ 210 00:17:55,508 --> 00:17:57,510 社会は安定してきたのだ。 211 00:17:57,510 --> 00:18:01,113 でも 今の仕組みは やりすぎだと思いませんか。 212 00:18:03,950 --> 00:18:07,787 なぜ 16になったイェスマは 死の危険を冒して➡ 213 00:18:07,787 --> 00:18:09,956 王都へ向かわなければ ならないのですか。 214 00:18:09,956 --> 00:18:12,058 数を制限するためだ。 215 00:18:14,126 --> 00:18:18,965 王都へ辿りつくことができる 優秀なイェスマだけを生き残らせる。 216 00:18:18,965 --> 00:18:21,801 そして母として 子を産んでもらうか➡ 217 00:18:21,801 --> 00:18:26,305 我々 王家の血筋に 迎え入れるようにしておるのだ。 218 00:18:26,305 --> 00:18:28,808 イェスマに女しかいないのは? 219 00:18:28,808 --> 00:18:32,645 いつ子を作るか わからぬ男子は 生まれる前に処分し➡ 220 00:18:32,645 --> 00:18:35,314 生まれた女子は首輪で管理する。 221 00:18:35,314 --> 00:18:37,316 我々の知らぬところで➡ 222 00:18:37,316 --> 00:18:40,486 魔力を持つ子の生まれることが ないようにな。 223 00:18:40,486 --> 00:18:42,822 ハァ…。 224 00:18:42,822 --> 00:18:44,991 最後の質問です。 225 00:18:44,991 --> 00:18:49,495 イェスマやリスタを流通させることで 成り立っているこの社会が➡ 226 00:18:49,495 --> 00:18:51,998 いつまでも続くと お思いですか? 227 00:18:54,333 --> 00:18:58,337 フッ… ハハハハ…。 228 00:18:58,337 --> 00:19:02,041 決まっておろう 社会など いつかは崩れる。 229 00:19:03,943 --> 00:19:06,612 しかし 今が暗黒時代よりも➡ 230 00:19:06,612 --> 00:19:10,616 まともな時代であるということを 私は確信しておる。 231 00:19:10,616 --> 00:19:16,122 少なくとも私の治世においては この世の中を変えるつもりはない。 232 00:19:16,122 --> 00:19:19,625 そして変えようとする者には…。 233 00:19:19,625 --> 00:19:23,529 全力で抗ってみせるだろう。 234 00:19:28,467 --> 00:19:32,304 そろそろ お開きにするとしよう。 235 00:19:32,304 --> 00:19:35,808 日暮れの半時前までに 金の聖堂へ来なさい。 236 00:19:35,808 --> 00:19:38,511 それまでは自由にしてよい。 237 00:19:45,151 --> 00:19:47,820 豚さん。 何だ。 238 00:19:47,820 --> 00:19:52,525 私 高い所から メステリアを見てみたいです。 239 00:20:03,502 --> 00:20:06,338 (風の音) 240 00:20:06,338 --> 00:20:11,677 もう首輪はしてないんだ 外してもいいんじゃないか。 241 00:20:11,677 --> 00:20:14,180 このスカーフは 身につけておきたいんです。 242 00:20:14,180 --> 00:20:17,083 豚さんに 選んでもらったものですから。 243 00:20:19,685 --> 00:20:23,856 そうか…。 244 00:20:23,856 --> 00:20:26,859 なぁジェス。 あっ…? 245 00:20:26,859 --> 00:20:30,029 あっちがキルトリか? そうだと思います。 246 00:20:30,029 --> 00:20:32,031 あっという間の旅だったが➡ 247 00:20:32,031 --> 00:20:34,533 ずいぶん遠くまで 歩いてきたんだな。 248 00:20:34,533 --> 00:20:38,871 はい 豚さんのおかげで ここまで来ることができました。 249 00:20:38,871 --> 00:20:42,374 俺は… ジェスに簡単な助言をしただけだ。 250 00:20:42,374 --> 00:20:45,878 違います。 だって豚さんがいなければ➡ 251 00:20:45,878 --> 00:20:49,048 私はお屋敷のそばで 殺されていたはずですから。 252 00:20:49,048 --> 00:20:53,052 俺がいなければ ジェスはリスタを 買いにいかなくてすんだんだ。 253 00:20:53,052 --> 00:20:55,354 だから殺される理由もなかった。 254 00:20:57,389 --> 00:20:59,391 豚さんがいなければ➡ 255 00:20:59,391 --> 00:21:01,994 私はノットさんの同行を 断っていたはずです。 256 00:21:01,994 --> 00:21:05,664 そうしたら 旅はもっと 危険なものになっていたでしょう。 257 00:21:05,664 --> 00:21:07,833 んっ…。 それに➡ 258 00:21:07,833 --> 00:21:11,670 ブレースさんを使った罠に気付いて くださったのも豚さんです。 259 00:21:11,670 --> 00:21:14,507 それから! 王都へ入れたのだって➡ 260 00:21:14,507 --> 00:21:19,011 豚さんがヘックリポンの正体に 気付いたからです。 261 00:21:19,011 --> 00:21:22,848 認めてください! 私は… 私は➡ 262 00:21:22,848 --> 00:21:25,851 豚さんがいなければ きっと死んでいました! 263 00:21:27,853 --> 00:21:29,855 そうだな…。 264 00:21:29,855 --> 00:21:32,525 いい旅の供には なれたみたいだ。 ウゥ…。 265 00:21:32,525 --> 00:21:35,694 だが感謝しなければならないのは 俺のほうだ。 266 00:21:35,694 --> 00:21:38,364 俺を助けて 人間に戻そうとしてくれたのは➡ 267 00:21:38,364 --> 00:21:41,867 ジェスのほうで…。 本当はそうじゃないんです。 268 00:21:41,867 --> 00:21:44,537 んっ? どういうことだ? 269 00:21:44,537 --> 00:21:47,873 豚さんはきっと 疑問に思っていましたよね。 270 00:21:47,873 --> 00:21:52,878 豚さんにお会いする前 黒のリスタを 1つ買っていたということ。 271 00:21:52,878 --> 00:21:57,383 ⦅あの… 黒のリスタを個人的に 1ついただきたいんです。 272 00:21:57,383 --> 00:22:00,152 また 必要になってしまったんです⦆ 273 00:22:00,152 --> 00:22:04,557 それを私が秘密にしていた理由を。 あっ…。 274 00:22:07,326 --> 00:22:09,995 私は買ったリスタを➡ 275 00:22:09,995 --> 00:22:12,498 自分勝手な願いを かなえるために➡ 276 00:22:12,498 --> 00:22:15,834 使ったんです。 願い? 277 00:22:15,834 --> 00:22:19,138 あの夜 私は祈ってしまったんです。 278 00:22:22,174 --> 00:22:24,843 「一人で王都への 旅に出るのは怖い。 279 00:22:24,843 --> 00:22:29,348 誰か助けてくれる人と 出会わせてほしい」と。