1 00:00:06,607 --> 00:00:11,044 フン… もうこの目では何も見えんか。 2 00:00:11,044 --> 00:00:16,049 だが死ぬ前に 見なければならんものがある…。 3 00:00:18,585 --> 00:00:21,288 (教授)この前の論文 なかなかだったぞ。 4 00:00:21,288 --> 00:00:24,191 っ! 教授! 光栄です! 5 00:00:26,526 --> 00:00:29,897 君がここへ来て もう20年か。 6 00:00:29,897 --> 00:00:32,499 そろそろいいだろう。 ん…? 7 00:00:34,735 --> 00:00:38,338 君に 私の宇宙を譲ろう。 8 00:00:41,308 --> 00:00:43,310 (解錠音とドアが開く音) 9 00:00:45,846 --> 00:00:47,848 これは…。 10 00:00:50,550 --> 00:00:55,188 (教授)資料室だ。 私しか入れん。 11 00:00:55,188 --> 00:00:57,124 なんて量だ…。 12 00:00:57,124 --> 00:00:59,326 (教授)これを見てみろ。 っ! 13 00:01:01,962 --> 00:01:07,768 …ッ! (教授)私が考案し 修正してきた宇宙だ。 14 00:01:07,768 --> 00:01:10,971 (ピャスト)二重の周転円? 凄い! 15 00:01:10,971 --> 00:01:15,275 精度も申し分ないし 等速円運動も達成してる! 16 00:01:15,275 --> 00:01:19,146 ああ。 この精度まで 辿り着いてるのは➡ 17 00:01:19,146 --> 00:01:23,984 人類の歴史上 おそらく私だけだ。 18 00:01:23,984 --> 00:01:27,888 これが 宇宙の正しい形だ。 19 00:01:31,391 --> 00:01:35,996 私は… あらゆる可能性 選択肢➡ 20 00:01:35,996 --> 00:01:40,400 未来を捨てて この修正宇宙に一生を懸けてきた。 21 00:01:40,400 --> 00:01:42,836 協力者はいらない。 22 00:01:42,836 --> 00:01:47,641 きっと真理に 辿り着けるのは 選ばれし ただ一人だけ。 23 00:01:47,641 --> 00:01:51,845 完成まで誰にも明かすまいと誓っていた。 24 00:01:51,845 --> 00:01:54,648 では 何故今 私に? 25 00:01:54,648 --> 00:01:59,319 その一人とは 私ではなく 君かもしれんからだ。 26 00:01:59,319 --> 00:02:01,254 っ! 27 00:02:01,254 --> 00:02:05,258 長年研究していると いろいろ見えてくる。 28 00:02:05,258 --> 00:02:09,930 観測 理論 計算 発想。 29 00:02:09,930 --> 00:02:13,934 その全てにおいて今や君が勝っている。 30 00:02:13,934 --> 00:02:17,037 真理への道は あまりに狭い。 31 00:02:17,037 --> 00:02:20,907 だが 君なら辿り着けるかもしれん。 32 00:02:20,907 --> 00:02:24,478 (ピャスト)そ そんな…。 33 00:02:24,478 --> 00:02:27,581 宇宙の完成なんて 私にはとても…。 34 00:02:29,249 --> 00:02:32,152 すぐに着手しろとは言わん。 35 00:02:32,152 --> 00:02:36,423 興味があれば いつでも言え。 36 00:02:36,423 --> 00:02:38,625 っ…。⚟(足音) 37 00:02:44,164 --> 00:02:50,070 <周転円が二つ… あれが宇宙の 正しい形…。➡ 38 00:02:50,070 --> 00:02:54,708 そんな大仕事… 引き継げるのか…?➡ 39 00:02:54,708 --> 00:02:59,479 何を恐れてる! 重要なのは無謀さではないか!➡ 40 00:02:59,479 --> 00:03:02,115 そうだ! 勇気を持って挑むんだ!➡ 41 00:03:02,115 --> 00:03:04,117 教授の宇宙を完成させ…> 42 00:03:04,117 --> 00:03:06,486 っ! 43 00:03:06,486 --> 00:03:09,389 なんだ… あれは…。 44 00:03:12,292 --> 00:03:16,496 こんな見間違いするなんて 私も疲れてるな…。 45 00:03:19,966 --> 00:03:23,170 大丈夫だ。 満ちてない。 46 00:03:25,305 --> 00:03:28,075 (ピャスト)教授 お時間よろしいでしょうか。 47 00:03:28,075 --> 00:03:30,477 宇宙の完成についてですが…。 48 00:03:30,477 --> 00:03:33,380 おお! 考えてくれたか。 49 00:03:33,380 --> 00:03:37,350 はい… 素晴らしいひらめきだと思います。 50 00:03:37,350 --> 00:03:40,821 いや 歴史を変えるものだ。 51 00:03:40,821 --> 00:03:45,325 しかし やはり私には不相応です。 52 00:03:45,325 --> 00:03:48,361 宇宙の完成など扱いきれない。 53 00:03:48,361 --> 00:03:50,363 ン…。 54 00:03:52,399 --> 00:03:54,501 …そうか。 55 00:03:56,837 --> 00:04:00,207 気が変わったら いつでも言ってこい。 56 00:04:00,207 --> 00:04:03,910 私が完成させる直前に言っても遅いぞ。 57 00:04:10,584 --> 00:04:12,519 教授…。 58 00:04:12,519 --> 00:04:17,090 自分のことはわかる。 もう逝くのだ。 59 00:04:17,090 --> 00:04:21,461 っ! 私は… わかっていたぞ。 60 00:04:21,461 --> 00:04:27,134 しかし… 今まで聞く勇気を持てなかった。 61 00:04:27,134 --> 00:04:31,471 5年前 あの話を断ったのは…➡ 62 00:04:31,471 --> 00:04:35,208 私の研究を疑っていたからだろう。 63 00:04:35,208 --> 00:04:38,411 そっ そんな! あれは素晴らしい!! 64 00:04:38,411 --> 00:04:42,249 あんなに正確な宇宙 見たことがない! 65 00:04:42,249 --> 00:04:46,620 そのとおりだ。 あれは美しい。 66 00:04:46,620 --> 00:04:53,326 緻密で理想的で 聖書にも アリストテレスにも則ってる。 67 00:04:53,326 --> 00:04:58,165 それを疑ったことは一度もない。 68 00:04:58,165 --> 00:05:01,768 だが だが…っ! 69 00:05:01,768 --> 00:05:06,439 完成しないのだ。 いくらやっても。 70 00:05:06,439 --> 00:05:08,375 あ…。 71 00:05:08,375 --> 00:05:14,214 私の能力では 常に看過できない誤差が出てしまう。 72 00:05:14,214 --> 00:05:19,920 結局 私は一生かかっても 辿り着けなかった…。 73 00:05:19,920 --> 00:05:24,891 いや それならまだいい…。 本当に恐ろしいのは➡ 74 00:05:24,891 --> 00:05:31,364 そもそも この仮説が 前提から全て間違いだった場合だ。 75 00:05:31,364 --> 00:05:38,104 だとしたら私は… 私はなんて無駄な人生を…!! 76 00:05:38,104 --> 00:05:41,608 違う。 そんなのありえない。 77 00:05:41,608 --> 00:05:47,180 宇宙が完成しなかったのは 教授の能力が単に足りなかっただけだ。 78 00:05:47,180 --> 00:05:49,950 だからあの研究は間違いじゃない! 79 00:05:49,950 --> 00:05:53,920 捧げた教授の人生も間違ってない!! 80 00:05:53,920 --> 00:05:56,323 フ…。 81 00:05:56,323 --> 00:06:02,729 いつか… いつか天国で私に聞かせてくれ…。 82 00:06:04,664 --> 00:06:07,067 真理を。 83 00:06:12,072 --> 00:06:14,007 は…。(手がベッドに落ちる音) 84 00:06:14,007 --> 00:06:16,009 …っ。 85 00:06:23,250 --> 00:06:25,185 あの 教授は…。 86 00:06:25,185 --> 00:06:27,120 逝ったよ。 はっ⁉ 87 00:06:27,120 --> 00:06:30,690 あとは頼んだ。 私は研究室へ行く。 88 00:06:30,690 --> 00:06:33,593 え… えっ⁉ こんな時に何を⁉ 89 00:06:35,228 --> 00:06:38,431 宇宙を 完成させる。 90 00:06:41,601 --> 00:06:46,239 ♬「何度でも 何度でも叫ぶ」 91 00:06:46,239 --> 00:06:54,481 ♬「この暗い夜の怪獣になっても」 92 00:06:54,481 --> 00:07:00,220 ♬「ここに残しておきたいんだよ」 93 00:07:00,220 --> 00:07:02,222 ♬「この秘密を」 94 00:07:04,958 --> 00:07:08,828 ♬「だんだん食べる」 95 00:07:08,828 --> 00:07:15,568 ♬「赤と青の星々 未来から過去を」 96 00:07:15,568 --> 00:07:19,439 ♬「順々に食べる」 97 00:07:19,439 --> 00:07:27,547 ♬「何十回も噛み潰し 溶けたなら飲もう」 98 00:07:27,547 --> 00:07:32,152 ♬「丘の上で星を見ると」 99 00:07:32,152 --> 00:07:38,091 ♬「感じるこの寂しさも」 100 00:07:38,091 --> 00:07:40,860 ♬「朝焼けで」 101 00:07:40,860 --> 00:07:47,600 ♬「手が染まる頃にはもう忘れてるんだ」 102 00:07:47,600 --> 00:07:54,941 ♬「この世界は好都合に未完成」 103 00:07:54,941 --> 00:07:57,844 ♬「だから知りたいんだ」 104 00:07:57,844 --> 00:08:05,418 ♬「でも怪獣みたいに遠く遠く叫んでも」 105 00:08:05,418 --> 00:08:09,222 ♬「また消えてしまうんだ」 106 00:08:10,890 --> 00:08:17,197 (ピャスト伯)あれから寛大な心で 貴様らの与太話を検討してやった。 107 00:08:17,197 --> 00:08:21,067 結果… 記録を見せてやってもいい。 108 00:08:21,067 --> 00:08:23,002 っ! ほ 本当ですか⁉ 109 00:08:23,002 --> 00:08:26,773 (ピャスト伯)ただし 条件がある。 あ…。ん…。 110 00:08:26,773 --> 00:08:30,944 貴様らの間違いを証明することだ。 111 00:08:30,944 --> 00:08:33,246 それは どういう…。 112 00:08:33,246 --> 00:08:39,586 昔… 私はあるものを見た。 いや 見間違えた。 113 00:08:39,586 --> 00:08:44,991 当然そんな勘違い 今はもう気にもかけていない。 114 00:08:44,991 --> 00:08:48,595 しかし あの 一度の見間違いが➡ 115 00:08:48,595 --> 00:08:53,533 私の人生に疑念を生じさせたのは事実だ。 116 00:08:53,533 --> 00:08:59,606 だからこの機に はっきりと あれは誤りだったと確証を得たい。 117 00:08:59,606 --> 00:09:03,710 一体なんの話を…。 何を見たと言うのです? 118 00:09:05,412 --> 00:09:08,615 満ちた 金星だ。 119 00:09:08,615 --> 00:09:10,950 (ヨレンタ バデーニ)っ⁉ …は? 120 00:09:10,950 --> 00:09:12,886 そ そんな…! 121 00:09:12,886 --> 00:09:16,189 み 満ちた金星? それが何か? 122 00:09:16,189 --> 00:09:22,662 天動説では地球が中心だから 当然 金星も地球の周りを回ってます。 123 00:09:22,662 --> 00:09:27,434 ということは 太陽に照らされる方向も ある程度 決まっていて➡ 124 00:09:27,434 --> 00:09:30,336 金星は常に欠けて見えるんです。 125 00:09:30,336 --> 00:09:33,640 しかし金星が満ちている場合➡ 126 00:09:33,640 --> 00:09:38,445 金星は太陽の後ろへ回り込んで 照らされていなければならない。 127 00:09:38,445 --> 00:09:44,117 この状況では 惑星は太陽を中心に 動いていると考えるのが自然だ。 128 00:09:44,117 --> 00:09:46,553 つまりこれで――➡ 129 00:09:46,553 --> 00:09:50,423 地球中心という現状の宇宙論は 退けられる。 130 00:09:50,423 --> 00:09:52,358 …ッ! 131 00:09:52,358 --> 00:09:55,695 そうだ。 そして逆も然り。 132 00:09:55,695 --> 00:10:01,468 満ちた金星が観測できぬなら 地動説など退けられる。 133 00:10:01,468 --> 00:10:04,804 本当に貴様らの仮説が正しいなら➡ 134 00:10:04,804 --> 00:10:10,276 金星が小さく遠い今日は まさに満ちて見えるはず。 135 00:10:10,276 --> 00:10:15,115 今夜 全てのケリをつけようではないか。 136 00:10:15,115 --> 00:10:18,017 そのためにまず 視力検査だ。 137 00:10:19,953 --> 00:10:24,691 (ピャスト伯)あの板には 瞳ほどの大きさの 図形が描かれている。 138 00:10:24,691 --> 00:10:27,660 それが四角か真円か答えろ。 139 00:10:27,660 --> 00:10:33,032 これができれば 当時の私と 同程度の視力だと言える。 140 00:10:33,032 --> 00:10:36,736 この距離から 瞳の大きさのものをなんて…。 141 00:10:36,736 --> 00:10:39,072 (バデーニ)無謀だ。 142 00:10:39,072 --> 00:10:43,743 さあ どちらが描かれているか見えたか? 143 00:10:43,743 --> 00:10:46,246 …いえ。 ん? 144 00:10:46,246 --> 00:10:48,548 どちらでも ありません。 145 00:10:48,548 --> 00:10:52,352 描かれてるのは 右が欠けた半円です。 146 00:10:55,922 --> 00:10:59,259 ふん いいだろう。 147 00:10:59,259 --> 00:11:03,563 私は部屋へ戻る。 金星が出たら呼べ。 148 00:11:13,773 --> 00:11:15,775 (オクジー)…あの。 ん…? 149 00:11:15,775 --> 00:11:20,947 もし もし今日 満ちた金星が見えなかったら…➡ 150 00:11:20,947 --> 00:11:23,716 地球は宇宙の中心にあって…➡ 151 00:11:23,716 --> 00:11:28,121 つまり底辺に はりつけられてるってことですよね? 152 00:11:28,121 --> 00:11:32,091 心配なんです… なんというか俺は➡ 153 00:11:32,091 --> 00:11:35,428 やっぱり そっちのほうが事実な気がして。 154 00:11:35,428 --> 00:11:41,534 (ヨレンタ)それはご自身の経験から この世は 苦しみが多いと思うためですか? 155 00:11:41,534 --> 00:11:43,469 …はい。 156 00:11:43,469 --> 00:11:45,838 それは同感です。 157 00:11:45,838 --> 00:11:49,809 私も ここに救いがあると思ったことは あまりない。 158 00:11:49,809 --> 00:11:54,247 それに我々の使命は この汚れた地下を抜け出し➡ 159 00:11:54,247 --> 00:11:57,817 天国へ行くことだと教えられてきました。 160 00:11:57,817 --> 00:12:01,287 でも ずっと疑問だったんです。 161 00:12:01,287 --> 00:12:06,226 この世は 最低と言うには魅力的すぎる。 162 00:12:06,226 --> 00:12:11,297 荒れ狂う自然や理性のない獣 罪深い人間。 163 00:12:11,297 --> 00:12:17,070 そういった悲劇の類いのものたちですら 何故か全て美しさを備えてる。 164 00:12:17,070 --> 00:12:20,273 これには何か理由があっていい。 165 00:12:20,273 --> 00:12:24,177 それが 地球の運動なのかもしれない。 166 00:12:24,177 --> 00:12:26,713 大地と宇宙が一つなら➡ 167 00:12:26,713 --> 00:12:31,117 どんなに汚しても この世から輝きは簡単に消えない。 168 00:12:32,885 --> 00:12:34,821 (バデーニ) そろそろだぞ。 っ! 169 00:12:34,821 --> 00:12:37,724 金星が見えるのは3時間程度だ。 170 00:12:37,724 --> 00:12:40,627 (オクジー)…バデーニさん。 ん? 171 00:12:40,627 --> 00:12:45,498 質問なんですけど… 俺が「金星が満ちてる」って言っても➡ 172 00:12:45,498 --> 00:12:49,035 ピャスト伯は信じないって可能性は ありませんか? 173 00:12:49,035 --> 00:12:54,407 ある。 だがその場合でも 少なくとも私は真理を知れる。 174 00:12:54,407 --> 00:12:57,644 っ…。 (バデーニ)不安か? 175 00:12:57,644 --> 00:13:00,546 ええ… もちろんですよ。 176 00:13:00,546 --> 00:13:04,050 今から俺が見るものは 結果がどちらにせよ➡ 177 00:13:04,050 --> 00:13:07,654 宇宙の何かを 確定させてしまうんですよね? 178 00:13:07,654 --> 00:13:10,256 気が重いに決まってます。 179 00:13:10,256 --> 00:13:14,227 それに あなたたちが ふだん話してることも やってることも➡ 180 00:13:14,227 --> 00:13:16,696 正直俺は よくわからない。 181 00:13:16,696 --> 00:13:20,033 これが信仰的にどうなのかは もっとわからない。 182 00:13:20,033 --> 00:13:23,903 というか そもそも俺は 巻き込まれた形で…➡ 183 00:13:23,903 --> 00:13:26,806 世界を変えようなんて信念はない。 184 00:13:26,806 --> 00:13:31,411 ただ天国へ行きたいだけだったのに… なんで今ここにいて➡ 185 00:13:31,411 --> 00:13:35,181 どうして こんなことしてるのか 全然わからない。 186 00:13:35,181 --> 00:13:40,887 ここ数日間は 俺の人生で最大に謎な期間です。 187 00:13:40,887 --> 00:13:44,991 だけどその中で 一番よくわからないのは…。 188 00:13:47,260 --> 00:13:51,864 俺は今 満ちた金星が見たいってことです。 189 00:13:55,001 --> 00:13:58,871 では 我々が君にできることは もうないな。 190 00:13:58,871 --> 00:14:01,774 はい。 けど➡ 191 00:14:01,774 --> 00:14:04,744 もしよければ➡ 192 00:14:04,744 --> 00:14:07,580 期待してください。 193 00:14:07,580 --> 00:14:14,454 ♬~ 194 00:14:14,454 --> 00:14:16,456 (息を吸う音) 195 00:14:18,224 --> 00:14:20,460 フーッ…。 196 00:14:20,460 --> 00:14:26,265 ♬~ 197 00:14:26,265 --> 00:14:29,869 <見えろ。➡ 198 00:14:29,869 --> 00:14:32,371 満ちてろ。➡ 199 00:14:32,371 --> 00:14:34,807 見えろ。➡ 200 00:14:34,807 --> 00:14:37,610 満ちてろ。➡ 201 00:14:37,610 --> 00:14:40,413 見えろ> 202 00:14:51,824 --> 00:14:54,026 満ちてる。 203 00:15:00,533 --> 00:15:02,602 (オクジー)不思議だ。 204 00:15:02,602 --> 00:15:09,175 ずっと前と同じ空を見てるのに 少し前から まるで違って見える。 205 00:15:09,175 --> 00:15:11,778 だろうな。 え? 206 00:15:11,778 --> 00:15:16,182 きっとそれが 何かを知るということだ。 207 00:15:26,225 --> 00:15:27,894 (バデーニ)というわけで ピャスト伯。 208 00:15:27,894 --> 00:15:30,196 金星は満ち――。 う…! あっ! 209 00:15:30,196 --> 00:15:32,064 (オクジー)だっ 大丈夫ですか⁉ 210 00:15:32,064 --> 00:15:34,767 う うう…。 211 00:15:34,767 --> 00:15:37,970 認めんぞ こんなこと…! 212 00:15:37,970 --> 00:15:41,774 貴様らのウソだ。 私を騙しているな…。 213 00:15:41,774 --> 00:15:45,611 そ そんな…。 いや よく考えれば➡ 214 00:15:45,611 --> 00:15:49,982 もし本当に 金星が本当に満ちているとしても➡ 215 00:15:49,982 --> 00:15:53,853 それは金星が太陽を回っている 証拠であって➡ 216 00:15:53,853 --> 00:15:59,625 地球が動いている証明にはならない! 私の説のほうが正しいのだ! 217 00:15:59,625 --> 00:16:01,694 ええ 確かに。 218 00:16:01,694 --> 00:16:05,364 そう考えることも 可能でしょう。 っ! 219 00:16:05,364 --> 00:16:08,301 でも そうやって成立した宇宙は➡ 220 00:16:08,301 --> 00:16:13,206 神が創った自然か 人間が作った こじつけか…。 221 00:16:13,206 --> 00:16:16,776 貴方は そのどちらに見えますか? 222 00:16:16,776 --> 00:16:19,345 ッ! きっ…➡ 223 00:16:19,345 --> 00:16:22,982 貴様らのような若造どもには わからんのだ…ッ! 224 00:16:22,982 --> 00:16:26,686 私の歴史も…! 人類の歴史も…!! 225 00:16:26,686 --> 00:16:32,358 積み上げられた研究は こんな一瞬で 否定してよいものではないッ!! 226 00:16:32,358 --> 00:16:38,898 (バデーニ)では もし… 積み重ねた研究を 一瞬で否定する力があって➡ 227 00:16:38,898 --> 00:16:41,834 個人の都合や信念を軽く超えて➡ 228 00:16:41,834 --> 00:16:46,239 究極に無慈悲で それ故に平等な➡ 229 00:16:46,239 --> 00:16:50,843 そんなものがあるとしたら それをなんと言うと思いますか? 230 00:16:55,281 --> 00:16:57,583 それは…。 231 00:16:57,583 --> 00:17:03,289 (教授)いつか… いつか天国で私に聞かせてくれ…。 232 00:17:05,324 --> 00:17:09,562 それは… 「真理」だ。 233 00:17:09,562 --> 00:17:19,305 ♬~ 234 00:17:19,305 --> 00:17:23,442 資料室の鍵だ。 全てはここにある。 235 00:17:23,442 --> 00:17:25,378 (3人)っ!! 236 00:17:25,378 --> 00:17:28,481 ありがとうございます。 では 頂きます。 237 00:17:30,216 --> 00:17:32,318 っ! っ…! 238 00:17:34,487 --> 00:17:36,422 っ…。 239 00:17:36,422 --> 00:17:38,357 あの… っ! 240 00:17:38,357 --> 00:17:42,061 ウッ… ウッ ウグッ…。 241 00:17:42,061 --> 00:17:44,463 ウウゥゥゥッ…。 242 00:17:44,463 --> 00:17:48,334 この鍵に… この鍵の先に➡ 243 00:17:48,334 --> 00:17:53,039 何年分の人生が 積み重ねられていると思う? 244 00:17:55,708 --> 00:17:59,211 ウゥッ… 2000年だ。 245 00:18:01,347 --> 00:18:07,186 もし… 過去の積み重ねの先に 答えがないなら➡ 246 00:18:07,186 --> 00:18:11,424 真理にとって我々は 無駄だったかもしれん。 247 00:18:11,424 --> 00:18:14,727 しかし… たとえ誤りでも➡ 248 00:18:14,727 --> 00:18:17,363 何かを書き留めたことは➡ 249 00:18:17,363 --> 00:18:20,433 歴史にとって無意味ではない。 250 00:18:20,433 --> 00:18:23,736 そう 願っている。 251 00:18:26,372 --> 00:18:30,176 (杖をついて歩き去る音) 252 00:18:34,780 --> 00:18:36,816 (オクジー)ど どうでした? 253 00:18:36,816 --> 00:18:41,620 驚異的だ。 これで当面は研究に専念できる。 254 00:18:41,620 --> 00:18:45,858 早速だが オクジー君は ここの資料を村まで運んでくれ。 255 00:18:45,858 --> 00:18:50,696 えっ。屋敷の研究者でもないのに ここで作業するわけにはいかない。 256 00:18:50,696 --> 00:18:52,631 あ はい…。 257 00:18:52,631 --> 00:18:55,001 (バデーニ)そしてヨレンタさんだが。 っ! 258 00:18:55,001 --> 00:18:57,703 選択は君に任せるが…➡ 259 00:18:57,703 --> 00:19:01,107 私としては できれば ここで外れてほしい。 260 00:19:01,107 --> 00:19:03,509 研究は一人で行いたい。 261 00:19:03,509 --> 00:19:05,444 …わかりました。 262 00:19:05,444 --> 00:19:10,649 というか 今の私では これ以上協力できないでしょうし。 263 00:19:10,649 --> 00:19:14,520 とは言え 今回の件は非常に助かった。 264 00:19:14,520 --> 00:19:21,060 私がこんなことを言うのも非常に稀だが 何か一つ 頼みを聞き入れよう。 265 00:19:21,060 --> 00:19:25,931 では 地動説を完成させてください。 266 00:19:25,931 --> 00:19:28,801 ああ 約束しよう。 267 00:19:28,801 --> 00:19:32,671 それと… もし後日 我々が捕まったとしても➡ 268 00:19:32,671 --> 00:19:35,207 君は無関係を貫け。 269 00:19:35,207 --> 00:19:39,578 それが君のためにも 地動説のためにもなる。 270 00:19:39,578 --> 00:19:41,847 では私は戻る。 271 00:19:41,847 --> 00:19:44,583 オクジー君 資料頼んだぞ。 272 00:19:44,583 --> 00:19:46,519 あ… はい。 273 00:19:46,519 --> 00:19:49,555 ⚟(バデーニの足音) 274 00:19:49,555 --> 00:19:53,659 あの ありがとうございました。 私もこれで…。 275 00:19:58,130 --> 00:20:00,132 (オクジー)あの。 276 00:20:00,132 --> 00:20:03,269 あ…。 一つ… 聞いていいですか? 277 00:20:03,269 --> 00:20:05,771 はい…。 も…➡ 278 00:20:05,771 --> 00:20:09,775 文字が読めるって どんな感じなんですか? 279 00:20:11,577 --> 00:20:14,080 いや みんな平然と読んでるけど➡ 280 00:20:14,080 --> 00:20:17,950 ちょっと前までは俺の人生で 文字読める人なんて…➡ 281 00:20:17,950 --> 00:20:21,921 組合の先輩一人くらいしか いなかったので。 282 00:20:21,921 --> 00:20:25,991 私が今から言うことを 誰にも言いませんか? 283 00:20:25,991 --> 00:20:28,994 ん…? あ はい。 284 00:20:28,994 --> 00:20:31,430 教会の信徒として➡ 285 00:20:31,430 --> 00:20:35,367 こんな表現を気軽に使っちゃいけない ことは わかってます。 286 00:20:35,367 --> 00:20:40,739 でも その表現以外で表せないから 言いますけど…➡ 287 00:20:40,739 --> 00:20:44,210 文字は まるで奇蹟ですよ。 288 00:20:44,210 --> 00:20:46,812 なっ⁉ もっ もちろん➡ 289 00:20:46,812 --> 00:20:51,050 救世主様が起こす奇蹟とは 全く別種のものですよっ! 290 00:20:51,050 --> 00:20:54,520 でも… 本当に文字はスゴいんです。 291 00:20:54,520 --> 00:20:58,390 あれが使えると 時間と場所を超越できる。 292 00:20:58,390 --> 00:21:01,894 200年前の情報に涙が流れることも➡ 293 00:21:01,894 --> 00:21:05,231 1000年前の噂話で笑うこともある。 294 00:21:05,231 --> 00:21:08,167 そんなの 信じられますか? 295 00:21:08,167 --> 00:21:13,939 私たちの人生は どうしようもなく この時代に閉じ込められてる。 296 00:21:13,939 --> 00:21:18,110 だけど 文字を読む時だけは かつていた偉人たちが➡ 297 00:21:18,110 --> 00:21:21,013 私に向かって口を開いてくれる。 298 00:21:21,013 --> 00:21:24,617 その一瞬 この時代から抜け出せる。 299 00:21:24,617 --> 00:21:27,586 文字になった思考は この世に残って➡ 300 00:21:27,586 --> 00:21:31,824 ずっと未来の誰かを 動かすことだってある。 301 00:21:31,824 --> 00:21:36,328 そんなの まるで… 奇蹟じゃないですか。 302 00:21:37,963 --> 00:21:39,999 そ… そんなに。 303 00:21:39,999 --> 00:21:42,134 はい そんなに。 304 00:21:42,134 --> 00:21:45,171 っ…。 305 00:21:45,171 --> 00:21:50,009 (ピャスト伯) グフッゴフッ… ヴフォッ…! 306 00:21:50,009 --> 00:21:52,011 フゥ…。 307 00:22:00,152 --> 00:22:06,659 (書きつける音) 308 00:22:13,232 --> 00:22:15,234 フゥ…。 309 00:22:17,503 --> 00:22:21,440 ゲホッ… ヴフッヴフゥッ ヴッヴハァッ! 310 00:22:21,440 --> 00:22:23,609 ツッ! 311 00:22:23,609 --> 00:22:25,544 ウッ ウゥ…。 312 00:22:25,544 --> 00:22:27,646 あぁっ! 313 00:22:30,182 --> 00:22:33,118 う… うぅ…。 314 00:22:33,118 --> 00:22:35,754 うぅ う… グフッ…。 315 00:22:35,754 --> 00:22:38,657 うっ… あっ… うぅ…。 316 00:22:41,427 --> 00:22:43,829 うぅ…。 317 00:22:43,829 --> 00:22:46,498 …っ! 318 00:22:46,498 --> 00:22:48,901 ハァァ…! 319 00:22:52,905 --> 00:22:58,410 や… やっと… お話… できます…。 320 00:23:01,547 --> 00:23:04,450 真理を…。 321 00:23:04,450 --> 00:23:45,424 ♬~ 322 00:23:45,424 --> 00:23:49,295 ♬「描き始めた あなたは小さく」 323 00:23:49,295 --> 00:23:53,165 ♬「ため息をした あんなに大きく」 324 00:23:53,165 --> 00:23:57,069 ♬「波打つ窓の光の束が」 325 00:23:57,069 --> 00:24:02,474 ♬「あなたの横顔に跳ねている」 326 00:24:04,877 --> 00:24:08,714 ♬「僕の体は雨の集まり」 327 00:24:08,714 --> 00:24:12,618 ♬「貴方の指は春の木漏れ日」 328 00:24:12,618 --> 00:24:16,689 ♬「紙に弾けたインクの影が」 329 00:24:16,689 --> 00:24:21,694 ♬「僕らの横顔を描写している」 330 00:24:23,562 --> 00:24:32,004 ♬「長い夢を見た 僕らは気球にいた」 331 00:24:32,004 --> 00:24:40,279 ♬「遠い国の誰かが月と見間違ったらいい」 332 00:24:40,279 --> 00:24:48,487 ♬「あの海を見たら 魂が酷く跳ねた」 333 00:24:48,487 --> 00:24:53,125 ♬「白い魚の群れに」 334 00:24:53,125 --> 00:24:56,128 ♬「あなたは見惚れている」