1 00:00:02,202 --> 00:00:06,406 実は私 異端審問官やってまして。 2 00:00:06,406 --> 00:00:08,976 っ! 3 00:00:08,976 --> 00:00:13,247 そう…ですか。 それは…➡ 4 00:00:13,247 --> 00:00:16,817 娘さんには言い辛いですね。 5 00:00:16,817 --> 00:00:20,187 おお! 理解してくれますか! 6 00:00:20,187 --> 00:00:25,025 そーなんですよ! 誇らしい仕事なんですが➡ 7 00:00:25,025 --> 00:00:29,796 内容が内容だけに 言えないままズルズル…。 8 00:00:29,796 --> 00:00:32,699 ってまァ それは置いといて。 9 00:00:32,699 --> 00:00:37,137 最近 ちょっと通報の手紙が届きまして。 10 00:00:37,137 --> 00:00:39,139 その手紙曰く➡ 11 00:00:39,139 --> 00:00:44,912 「ある日 街で偶然拾った日記に 暗号がびっしり書いてあった。➡ 12 00:00:44,912 --> 00:00:49,716 怪しいと思い 頻度分析を用い解読した結果➡ 13 00:00:49,716 --> 00:00:53,687 内容のほとんどは高度な宇宙論の話。➡ 14 00:00:53,687 --> 00:01:00,294 ただ 後半数ページ 急に異質な宇宙を 支持する内容になっていた」と。 15 00:01:01,995 --> 00:01:07,234 この密告を上が信頼できると判断して 私が呼ばれたわけですが➡ 16 00:01:07,234 --> 00:01:11,672 ダルいことに差出人の身元が 書いてなかった。 17 00:01:11,672 --> 00:01:17,477 まァこういう場合 じみ~ちに情報を集めていくしかない。 18 00:01:17,477 --> 00:01:19,713 と いうわけで➡ 19 00:01:19,713 --> 00:01:25,419 申し訳ないですが あなた方の研究 ちょっと見せてもらっていいですか? 20 00:01:25,419 --> 00:01:27,354 っ…。 21 00:01:27,354 --> 00:01:30,724 いや 疑ってるわけじゃないんですよ? 22 00:01:30,724 --> 00:01:33,427 娘の知人ですし。 23 00:01:33,427 --> 00:01:38,265 ただ 研究者に会ったら 調査する決まりになってまして。 24 00:01:38,265 --> 00:01:41,902 え… あ いや あの それは…。 25 00:01:41,902 --> 00:01:44,805 もちろん構いませんよ。 っ! 26 00:01:44,805 --> 00:01:47,507 (ノヴァク)では ご案内願います。 27 00:01:50,911 --> 00:01:52,846 (バデーニ)ここが研究室です。 28 00:01:52,846 --> 00:01:54,848 へぇー。 29 00:01:56,550 --> 00:01:59,753 ⚟(足音) (ノヴァク)では早速 失礼。 30 00:02:02,656 --> 00:02:06,660 っ! これは…。 31 00:02:06,660 --> 00:02:10,397 だいぶ散らかってますね。 (バデーニ)すいません。 32 00:02:10,397 --> 00:02:15,769 いえいえ。 急にお邪魔してるのは こっちなのでね。 33 00:02:15,769 --> 00:02:19,239 ちなみに研究って主に何を? 34 00:02:19,239 --> 00:02:24,611 占星術です。 火星が太陽と正反対の位置にある状態➡ 35 00:02:24,611 --> 00:02:28,782 すなわち 衝の際に起こる災いについて。 36 00:02:28,782 --> 00:02:31,985 へぇー。 37 00:02:31,985 --> 00:02:34,988 ちょっ… ! どうですか? 38 00:02:36,623 --> 00:02:39,893 うん。 コレは問題ないですね。 39 00:02:39,893 --> 00:02:41,895 っ⁉ 40 00:02:44,831 --> 00:02:46,833 うん。 41 00:02:48,602 --> 00:02:50,537 うん。 42 00:02:50,537 --> 00:02:53,740 コレも問題ない。 43 00:02:53,740 --> 00:02:57,044 うん! お手数おかけしましたね。 44 00:02:59,546 --> 00:03:02,382 すべて大丈夫そうですね。 45 00:03:02,382 --> 00:03:04,785 ホッ…。 46 00:03:04,785 --> 00:03:07,387 (バデーニ)ええ そうでしょう。 47 00:03:12,526 --> 00:03:14,528 あ。 48 00:03:21,334 --> 00:03:26,073 ♬「何度でも 何度でも叫ぶ」 49 00:03:26,073 --> 00:03:34,381 ♬「この暗い夜の怪獣になっても」 50 00:03:34,381 --> 00:03:40,153 ♬「ここに残しておきたいんだよ」 51 00:03:40,153 --> 00:03:42,155 ♬「この秘密を」 52 00:03:44,991 --> 00:03:48,728 ♬「だんだん食べる」 53 00:03:48,728 --> 00:03:55,502 ♬「赤と青の星々 未来から過去を」 54 00:03:55,502 --> 00:03:59,372 ♬「順々に食べる」 55 00:03:59,372 --> 00:04:07,247 ♬「何十回も噛み潰し 溶けたなら飲もう」 56 00:04:07,247 --> 00:04:11,952 ♬「丘の上で星を見ると」 57 00:04:11,952 --> 00:04:18,091 ♬「感じるこの寂しさも」 58 00:04:18,091 --> 00:04:20,760 ♬「朝焼けで」 59 00:04:20,760 --> 00:04:27,467 ♬「手が染まる頃にはもう忘れてるんだ」 60 00:04:27,467 --> 00:04:34,808 ♬「この世界は好都合に未完成」 61 00:04:34,808 --> 00:04:37,711 ♬「だから知りたいんだ」 62 00:04:37,711 --> 00:04:45,385 ♬「でも怪獣みたいに遠く遠く叫んでも」 63 00:04:45,385 --> 00:04:49,189 ♬「また消えてしまうんだ」 64 00:04:51,591 --> 00:05:10,844 ♬~ 65 00:05:10,844 --> 00:05:14,748 いやいや こんな安全なのに 変に疑いかけちゃって➡ 66 00:05:14,748 --> 00:05:17,184 どーもゴメンなさい!➡ 67 00:05:17,184 --> 00:05:20,487 今になって 恥ずかしくなってきちゃいました。➡ 68 00:05:20,487 --> 00:05:23,056 気を悪くされなかったですか? 69 00:05:23,056 --> 00:05:26,259 (バデーニ)ええ 大丈夫ですよ。 70 00:05:26,259 --> 00:05:30,163 (ノヴァク) いやー ホント突然すいませんでした。➡ 71 00:05:30,163 --> 00:05:34,067 ご協力どうも。 では! ⚟(ドアの開閉音) 72 00:05:39,806 --> 00:05:43,109 …プハッ! ハァッ 死ぬかと思った…! 73 00:05:43,109 --> 00:05:45,378 予定を早めるぞ。 っ! 74 00:05:45,378 --> 00:05:49,816 私は明日か明後日には ここを出る。 君もそうしろ。 75 00:05:49,816 --> 00:05:53,386 …そっ そうですね。 76 00:05:53,386 --> 00:05:57,591 今日は運がよかった。 書類を隠してたとはいえ➡ 77 00:05:57,591 --> 00:06:00,460 あんなに簡単に帰ってくれるとは。 78 00:06:00,460 --> 00:06:02,395 え ええ…。➡ 79 00:06:02,395 --> 00:06:05,432 ネックレスのことも 気付かなかったみたいですし。 80 00:06:05,432 --> 00:06:07,834 あ… ネックレス? 81 00:06:07,834 --> 00:06:11,238 え? ほら そのネックレス。 82 00:06:15,442 --> 00:06:20,180 コレがなんだ? え! 話してなかったでしたっけ? 83 00:06:20,180 --> 00:06:22,148 え えーと…➡ 84 00:06:22,148 --> 00:06:27,354 そもそも 俺 前の仕事で 異端者を移送したことがあって…。 85 00:06:27,354 --> 00:06:31,358 そのネックレスは元々 異端の物だったんです。 86 00:06:31,358 --> 00:06:34,127 で その移送に同行してたのが➡ 87 00:06:34,127 --> 00:06:38,598 さっきの… ノヴァクさん?だったんです。 88 00:06:38,598 --> 00:06:43,370 いろいろあって俺は逃亡することになって この村に来たんですが➡ 89 00:06:43,370 --> 00:06:47,340 その時 異端から そのネックレスを渡されて…。 90 00:06:47,340 --> 00:06:53,480 でも ノヴァクさんは素通りだったんで もう忘れてるみたいで よかったです。 91 00:06:53,480 --> 00:06:57,484 そもそも渡されるところも ドサクサで見てなかったのかも。 92 00:06:57,484 --> 00:06:59,619 (バデーニ)あと1時間以内に準備しろ。 93 00:06:59,619 --> 00:07:02,222 えっ。 あっ! ⚟(バデーニの足音) 94 00:07:02,222 --> 00:07:04,958 すぐにここを出るぞ。 95 00:07:04,958 --> 00:07:08,561 っ! 大丈夫だろうが 一応➡ 96 00:07:08,561 --> 00:07:11,531 最悪を想定して動いたほうがいい。 97 00:07:11,531 --> 00:07:14,434 (オクジー)す… すいませんでした。 98 00:07:14,434 --> 00:07:16,937 謝罪はいい。 準備しろ。 99 00:07:26,112 --> 00:07:28,882 準備 できました。 100 00:07:28,882 --> 00:07:33,553 ああ。 では地下通路を使って 厩舎へ行け。 101 00:07:33,553 --> 00:07:37,257 馬を盗んで自分の目的地へ向かうんだ。 102 00:07:38,925 --> 00:07:41,594 バデーニさんは どうするんですか? 103 00:07:41,594 --> 00:07:46,100 書類が燃え尽きるのを見届けたら 手紙を一通書いて ここを出る。 104 00:07:49,936 --> 00:07:54,407 (オクジー)では… ここで 当分お別れですね。 105 00:07:54,407 --> 00:07:58,812 ――ああ。 動く世界でまた会おう。 106 00:08:09,055 --> 00:08:11,825 すべて 燃やすんですか? 107 00:08:11,825 --> 00:08:17,063 ああ 必要な分は持った。 残すのは危険だ。 108 00:08:17,063 --> 00:08:21,234 まァ 仮に危険がなくとも残さないがな。 109 00:08:21,234 --> 00:08:25,739 最初に言ったとおり あくまで私の独占が重要だ。 110 00:08:25,739 --> 00:08:28,775 みすみす誰かに情報は渡さん。 111 00:08:28,775 --> 00:08:31,378 っ…。 112 00:08:31,378 --> 00:08:35,582 ん…? なんだ 今さら文句があるのか? 113 00:08:35,582 --> 00:08:39,686 えっ いっ いえ そんな… あは はははっ は…。 114 00:08:45,759 --> 00:08:48,461 いや… はい。 115 00:08:52,465 --> 00:08:59,239 あの… あまり他人を排除しすぎると 間違いに気付きにくくなるのでは…? 116 00:08:59,239 --> 00:09:03,109 それは研究にとって よくないんじゃ…。 117 00:09:03,109 --> 00:09:06,079 …って いや 偉そうにすいません! 118 00:09:06,079 --> 00:09:10,984 やっぱ俺 研究とかわかんないし 素人の戯言です! 忘れてください。 119 00:09:10,984 --> 00:09:13,386 続けろ。 あ…。 120 00:09:16,189 --> 00:09:21,661 ピャスト伯は 誤差や手間のある 現状の宇宙像に疑問を持って➡ 121 00:09:21,661 --> 00:09:25,832 新しい宇宙を 見つけようとしたんですよね…? 122 00:09:25,832 --> 00:09:30,136 そして実際 精度が高いものを作った。 123 00:09:30,136 --> 00:09:35,575 まァ それもまだ 天動説の範囲だったわけですけど…。 124 00:09:35,575 --> 00:09:40,180 俺たちとピャスト伯には どれほどの差があるんでしょうか? 125 00:09:42,415 --> 00:09:46,853 紙の上 計算で誤差を競うことはできる。 126 00:09:46,853 --> 00:09:51,024 でも確かな証拠がない以上 最後の最後➡ 127 00:09:51,024 --> 00:09:55,595 本当に地動説が真理だとは 誰も断言できない。 128 00:09:55,595 --> 00:10:00,166 だとしたら ピャスト伯と俺たちに たいした差はない。 129 00:10:00,166 --> 00:10:04,370 でも彼は自ら 「自分が間違っている可能性」を信じ➡ 130 00:10:04,370 --> 00:10:07,273 それを受け入れた。 131 00:10:07,273 --> 00:10:10,577 (バデーニ) 地動説が間違いだとでも言いたいのか。 132 00:10:10,577 --> 00:10:13,079 (オクジー)い いや そ そうじゃなくて! 133 00:10:14,781 --> 00:10:17,684 俺が言いたいのは その…➡ 134 00:10:17,684 --> 00:10:21,988 「自らが間違ってる可能性」を 肯定する姿勢こそが➡ 135 00:10:21,988 --> 00:10:26,726 学術とか研究には 大切なんじゃないかってことです。 136 00:10:26,726 --> 00:10:31,698 第三者による反論が許されないなら それは――➡ 137 00:10:31,698 --> 00:10:34,801 信仰だ。 138 00:10:34,801 --> 00:10:39,772 信仰の尊さは 理論や理屈を 超えたところにあると思いますが➡ 139 00:10:39,772 --> 00:10:43,309 それは研究と棲み分けられるべきでは? 140 00:10:43,309 --> 00:10:47,947 そして… 反論してもらうには他人が重要なので➡ 141 00:10:47,947 --> 00:10:50,316 あまり排除するのは…。 142 00:10:50,316 --> 00:10:52,285 (バデーニ)君は。 っ! 143 00:10:52,285 --> 00:10:55,188 君は何故そんなことを思った? 144 00:10:57,724 --> 00:11:02,929 …昔 それが希望だと教わったからです。 145 00:11:02,929 --> 00:11:04,864 は? 146 00:11:04,864 --> 00:11:10,003 (オクジー) 前の職場の先輩や ネックレスの異端者。 147 00:11:10,003 --> 00:11:12,872 あの石箱に関わった二人とも➡ 148 00:11:12,872 --> 00:11:17,377 「自分以外に託す」って姿勢に 希望を見いだしてた。 149 00:11:17,377 --> 00:11:23,983 そしてあろうことか その姿勢を 天国へ行くことよりも重視した。 150 00:11:23,983 --> 00:11:27,854 俺は ずっとそれが不思議だった。 151 00:11:27,854 --> 00:11:32,392 「託す」とか「任せる」とか 一見 聞こえはいいですけど➡ 152 00:11:32,392 --> 00:11:37,030 実際 他人が自分の思いどおりに 受け継ぐかなんて わからない。 153 00:11:37,030 --> 00:11:42,502 それどころか 思いもよらない 反論をされる可能性もあるわけで➡ 154 00:11:42,502 --> 00:11:47,006 だから託すなんて不安で とても希望とは思えない。 155 00:11:48,641 --> 00:11:50,577 で でも実は➡ 156 00:11:50,577 --> 00:11:56,216 むしろ反論や訂正をされることが 託すことの本質というか…。 157 00:11:56,216 --> 00:12:01,754 自分の思いどおりいかない 誤解とか事故とか 予想外の存在とか➡ 158 00:12:01,754 --> 00:12:05,625 それこそ… 信徒にとっての異端者が。 159 00:12:05,625 --> 00:12:08,962 天動説にとっての地動説が。 160 00:12:08,962 --> 00:12:13,499 そういう他者が引き起こす捩れが 現状を前に向かわせる➡ 161 00:12:13,499 --> 00:12:17,604 希望なのかもしれない…って 思ったんです。 162 00:12:19,772 --> 00:12:23,743 ま まァ もちろん地動説はヤバいから➡ 163 00:12:23,743 --> 00:12:27,480 簡単に他人に教えるわけには いかないですが…。 164 00:12:27,480 --> 00:12:30,149 (バデーニ)大まかには理解した。 っ! 165 00:12:30,149 --> 00:12:33,019 だが 同意はしない。 え! 166 00:12:33,019 --> 00:12:35,688 その話は大変危険だ。 167 00:12:35,688 --> 00:12:38,591 し しかし これは さっきも言ったとおり➡ 168 00:12:38,591 --> 00:12:41,995 研究姿勢の話であって 信仰上の危険は…。 169 00:12:41,995 --> 00:12:45,531 研究姿勢だからだ。 ん…? 170 00:12:45,531 --> 00:12:49,002 その姿勢を研究に採用してしまうと➡ 171 00:12:49,002 --> 00:12:53,706 我々は目指すべき絶対真理を 放棄することになる。 172 00:12:53,706 --> 00:12:58,611 そして学者は永久に 未完成の海を漂い続ける。 173 00:12:58,611 --> 00:13:02,115 その悲劇を 我々に受け入れろと? 174 00:13:04,450 --> 00:13:10,657 そうです。 それでも 間違いを永遠の 正解だと信じ込むよりマシでは? 175 00:13:16,696 --> 00:13:19,599 その件については後日また考えよう。 176 00:13:19,599 --> 00:13:23,469 もう これ以上の長居は無用だ。 177 00:13:23,469 --> 00:13:26,372 …ええ。 178 00:13:26,372 --> 00:13:29,242 では いつかまた。 179 00:13:29,242 --> 00:13:32,545 はい。 いろいろとお世話になりました。 180 00:13:39,686 --> 00:13:42,388 ん…? 181 00:13:42,388 --> 00:13:44,390 …っ! 182 00:13:44,390 --> 00:13:46,392 …ん? 183 00:13:46,392 --> 00:13:48,695 どうした? 行かないのか? 184 00:13:50,730 --> 00:13:52,765 来た。 は? 185 00:13:52,765 --> 00:13:54,867 馬車が来てる。 186 00:14:00,540 --> 00:14:03,643 (オクジー)異端審問官の馬車だ。 187 00:14:12,385 --> 00:14:15,254 (バデーニ)ここに来るまで何分かかる? 188 00:14:15,254 --> 00:14:18,558 ええと… 恐らく4、5分。 189 00:14:20,593 --> 00:14:22,528 クソッ!! 190 00:14:22,528 --> 00:14:24,630 ぐっ…! うらぁ! 191 00:14:26,532 --> 00:14:28,701 あっ…! (バデーニ)それを火に入れてくれッ!➡ 192 00:14:28,701 --> 00:14:30,970 そしたら地下から逃げろ! えっ⁉ 193 00:14:30,970 --> 00:14:34,907 私も荷を詰めたら行く! は はい! 194 00:14:34,907 --> 00:14:38,478 あっ さっき言ってた 手紙を一通書くっていうのは? 195 00:14:38,478 --> 00:14:41,881 あ⁉ もうそんな時間などないっ! 196 00:14:41,881 --> 00:14:49,288 ♬~ 197 00:14:49,288 --> 00:14:52,625 ちょっと 一つ 話ししていいかな。ん…。 198 00:14:52,625 --> 00:14:55,061 は はい。 199 00:14:55,061 --> 00:14:59,632 個人的な都合を 押しつけるわけじゃないが…➡ 200 00:14:59,632 --> 00:15:04,871 なんというか私にとって 今回の仕事は特別なんだ。 201 00:15:04,871 --> 00:15:09,442 というのも… 今から会う異端どもは➡ 202 00:15:09,442 --> 00:15:13,279 私の家族に近づいた。 っ! 203 00:15:13,279 --> 00:15:16,215 だからちょっと今の私は…➡ 204 00:15:16,215 --> 00:15:19,085 とても妙な気分だ。 205 00:15:19,085 --> 00:15:21,187 簡単に言うと――。 206 00:15:23,256 --> 00:15:25,358 ブチ切れてる。 207 00:15:25,358 --> 00:15:27,293 あっ…。 208 00:15:27,293 --> 00:15:30,696 (オクジー)その手紙って重要だったんですか? 209 00:15:30,696 --> 00:15:33,733 (バデーニ)当たり前だろ! 私の計画だぞ!➡ 210 00:15:33,733 --> 00:15:36,469 しかしこうなった以上 中止だ!➡ 211 00:15:36,469 --> 00:15:41,007 だいたい書くだけじゃ意味がない! 昨日までだったら郵送できたが➡ 212 00:15:41,007 --> 00:15:44,877 今日から教会へ届く手紙は すべて検閲されるだろう! 213 00:15:44,877 --> 00:15:49,782 だから手紙を書けても 地下通路を通って 教会に置いてかなきゃならんが➡ 214 00:15:49,782 --> 00:15:51,417 そんな時間はない! 215 00:15:51,417 --> 00:15:55,221 って!(机を叩く音) そんな詳細を説明してる時間すらない! 216 00:15:58,191 --> 00:16:03,095 (オクジー)それを捨てたとしても 彼らが来るまで たった5分しかない。 217 00:16:03,095 --> 00:16:07,033 は⁉ 仮に何分あったら 安心して逃げられますか? 218 00:16:07,033 --> 00:16:10,837 そんなのは無意味な仮定だ! 何分必要ですか? 219 00:16:13,973 --> 00:16:16,175 10分程度。 220 00:16:30,156 --> 00:16:32,158 …おい。 221 00:16:32,158 --> 00:16:34,160 死ぬ気か? 222 00:16:36,662 --> 00:16:38,598 わかりません。 223 00:16:38,598 --> 00:16:41,500 ですが時間は稼ぎます。 224 00:16:43,369 --> 00:16:49,108 君はバカか。 彼ら聖職者に剣を向けることになるぞ。 225 00:16:49,108 --> 00:16:53,045 このままでは二人とも 捕まる可能性が高い。 226 00:16:53,045 --> 00:16:57,383 だったら 一人でも生き残る道を 優先すべきです。 227 00:16:57,383 --> 00:17:00,419 事の重大さが わかってないな。 228 00:17:00,419 --> 00:17:03,055 これで君は…➡ 229 00:17:03,055 --> 00:17:06,425 ほぼ確実に 地獄に堕ちる。 230 00:17:06,425 --> 00:17:11,197 この研究のために そこまでする義理はないだろ。 231 00:17:11,197 --> 00:17:15,401 (オクジー)前 なんで本なんか書くんだって 聞かれましたけど。 232 00:17:15,401 --> 00:17:17,036 は? 233 00:17:17,036 --> 00:17:20,740 それは 俺が地動説の意味を知った時➡ 234 00:17:20,740 --> 00:17:24,610 多分… 感動したからです。 235 00:17:24,610 --> 00:17:27,980 そして それが日に日に強くなってる。 236 00:17:27,980 --> 00:17:29,916 何が言いたい。 237 00:17:29,916 --> 00:17:31,918 つまり俺は➡ 238 00:17:31,918 --> 00:17:35,922 ちょっと前までは早くこの世を出て 天国へ行きたかったけど…。 239 00:17:38,124 --> 00:17:42,628 今はこの「感動」を守るために 地獄へ行ける。 240 00:17:46,599 --> 00:17:50,803 (バデーニ) きっとそれが 何かを知るということだ。 241 00:17:52,605 --> 00:17:54,540 君は間違ってる。 242 00:17:54,540 --> 00:17:58,277 そうですか? ああ そうだ。 243 00:17:58,277 --> 00:18:03,849 神学をこれっぽっちも学ばず 地獄もろくに知らん君のような素人は➡ 244 00:18:03,849 --> 00:18:07,520 得てして間違った選択をする。 245 00:18:07,520 --> 00:18:11,724 だとしても… あまり後悔はない。 246 00:18:13,659 --> 00:18:17,630 さっき自分でしてた話を忘れたのか? 247 00:18:17,630 --> 00:18:22,335 他人からの指摘を受け入れるのが 重要だと言ってたろ。 248 00:18:22,335 --> 00:18:27,206 君の選択は 地動説という 学術研究への関わり方として➡ 249 00:18:27,206 --> 00:18:29,442 大いに間違ってるぞ。 250 00:18:29,442 --> 00:18:33,346 (オクジー)ええ ですね。 しかし――。 251 00:18:35,247 --> 00:18:39,485 俺は 地動説を信仰してる。 252 00:18:39,485 --> 00:18:43,456 ♬~ 253 00:18:43,456 --> 00:18:45,758 (バデーニ)待て。 254 00:18:45,758 --> 00:18:51,163 神よ 救世主は私たちに約束されました。 255 00:18:51,163 --> 00:18:58,037 「私は復活であり 命である。 私を信じる者は死んでも生きる」。 256 00:18:58,037 --> 00:19:04,210 慈しみ深き神よ この世から あなたのもとへお呼びになったこの者を➡ 257 00:19:04,210 --> 00:19:09,649 どうか約束のとおり あなたの国に お受け入れください。 258 00:19:09,649 --> 00:19:12,885 すべての罪の絆から解放され➡ 259 00:19:12,885 --> 00:19:18,124 永遠の光のうちに迎えられ 救われた人々と共に➡ 260 00:19:18,124 --> 00:19:23,329 復活の栄光のうちに 立ち上がることができますように。 261 00:19:23,329 --> 00:19:26,298 主によって――。 262 00:19:26,298 --> 00:19:28,601 アーメン。 263 00:19:33,339 --> 00:19:35,341 ん⁉ 264 00:19:37,677 --> 00:19:39,678 うわぁあ! (いななき) 265 00:19:48,988 --> 00:19:50,923 お。 266 00:19:50,923 --> 00:19:52,925 へぇ。 267 00:19:52,925 --> 00:19:56,128 わざわざ お出迎え頂けるとは。 268 00:20:05,271 --> 00:20:07,273 (ノヴァク)構えて。 269 00:20:10,109 --> 00:20:15,815 投降しなよ。 何故あんなモノのために ここまでする? 270 00:20:15,815 --> 00:20:18,717 この世に期待してみたくなったからです。 271 00:20:18,717 --> 00:20:22,521 投降は断ります。 話し合いませんか? 272 00:20:22,521 --> 00:20:25,224 各自判断で撃ってヨシ。 273 00:20:27,359 --> 00:20:29,361 えっ。っ! 274 00:20:34,266 --> 00:20:36,402 グァッ!! 275 00:20:36,402 --> 00:20:38,804 ウッ! グォ…! 276 00:20:38,804 --> 00:20:40,739 あ。 ⚟(駆け寄ってくる足音) 277 00:20:40,739 --> 00:20:44,043 オ゛ッ…! ア゛ア゛…。 うわっ! あ あっ…。 278 00:20:46,445 --> 00:20:48,447 うっ…! 279 00:20:52,051 --> 00:20:54,286 ふぅっ…! 280 00:20:54,286 --> 00:20:57,756 ふっ ふっ はぁっ…! 281 00:20:57,756 --> 00:21:00,226 (ノヴァク)ところで君。 ん…? 282 00:21:00,226 --> 00:21:02,161 戦闘経験は? 283 00:21:02,161 --> 00:21:04,563 は… 初めてです。 284 00:21:04,563 --> 00:21:08,434 フッ… そりゃいい人材は回してくれないか。 285 00:21:08,434 --> 00:21:10,369 え? 286 00:21:10,369 --> 00:21:13,139 アハハ… いや なんでも。 287 00:21:13,139 --> 00:21:17,977 っ! 俺だって 職務を全うするために ここにいます。 288 00:21:17,977 --> 00:21:21,580 ふむ… そうだね。 289 00:21:21,580 --> 00:21:27,419 職務を全うするために重要なのは 一人一人の意識だ。 290 00:21:27,419 --> 00:21:31,624 たとえ命を危険に晒しても仕事をする。➡ 291 00:21:31,624 --> 00:21:34,260 君にその覚悟はあるか? 292 00:21:34,260 --> 00:21:37,096 っ! …はい。 293 00:21:37,096 --> 00:21:39,498 ん…。 294 00:21:39,498 --> 00:21:44,336 俺は昔 兄弟を通り魔に殺されました。 295 00:21:44,336 --> 00:21:50,142 取り調べの結果 犯人は悪魔に取り憑かれてると判明した。 296 00:21:50,142 --> 00:21:53,946 恨みに囚われてるわけじゃないですが…➡ 297 00:21:53,946 --> 00:21:56,849 異端を「殺す覚悟」はできてます。 298 00:21:58,551 --> 00:22:00,986 それは心強い。➡ 299 00:22:00,986 --> 00:22:06,592 けど その覚悟は 私の言ってるソレとは違う。え? 300 00:22:06,592 --> 00:22:11,430 私はね 元々傭兵をやっていた。 っ! 301 00:22:11,430 --> 00:22:18,771 血腥いって軽蔑するかもしれないけど そこで得られた知識もあるんだ。 302 00:22:18,771 --> 00:22:25,377 本当に強い奴ってのは 「殺す覚悟」のある奴なんかじゃない。 303 00:22:25,377 --> 00:22:28,614 「死ぬ覚悟」のある奴だ。 304 00:22:28,614 --> 00:22:30,549 っ! 305 00:22:30,549 --> 00:22:36,088 戦場では「うわべの技術」より 「ブサイクなド根性」が勝る。 306 00:22:36,088 --> 00:22:40,826 つまり君には… 殺された兄弟のため➡ 307 00:22:40,826 --> 00:22:43,729 死ぬ覚悟があるか? 308 00:22:43,729 --> 00:22:46,298 はいっ! 309 00:22:46,298 --> 00:22:49,201 (剣が震える音) うっ… う う…! 310 00:22:49,201 --> 00:22:51,604 …うっ! あはァッ!! あ! 311 00:22:51,604 --> 00:22:55,040 うわあああ!! あっ あはあぁあ!! 312 00:22:55,040 --> 00:22:57,042 うっうっうっ…!! 313 00:23:00,479 --> 00:23:03,048 ヴグッ…。 314 00:23:03,048 --> 00:23:05,284 え~~。 315 00:23:05,284 --> 00:23:08,587 いいかげんにしてよー。 316 00:23:08,587 --> 00:23:11,090 これだから新兵は…。 317 00:23:19,164 --> 00:23:22,468 君 死ぬ覚悟ないでしょ。 318 00:23:22,468 --> 00:23:25,671 それを今から確かめます。 319 00:23:30,042 --> 00:23:45,758 ♬~ 320 00:23:45,758 --> 00:23:49,295 ♬「描き始めた あなたは小さく」 321 00:23:49,295 --> 00:23:53,165 ♬「ため息をした あんなに大きく」 322 00:23:53,165 --> 00:23:57,069 ♬「波打つ窓の光の束が」 323 00:23:57,069 --> 00:24:02,474 ♬「あなたの横顔に跳ねている」 324 00:24:04,877 --> 00:24:08,714 ♬「僕の体は雨の集まり」 325 00:24:08,714 --> 00:24:12,618 ♬「貴方の指は 春の木漏れ日」 326 00:24:12,618 --> 00:24:16,689 ♬「紙に弾けたインクの影が」 327 00:24:16,689 --> 00:24:21,694 ♬「僕らの横顔を描写している」 328 00:24:23,562 --> 00:24:32,004 ♬「長い夢を見た 僕らは気球にいた」 329 00:24:32,004 --> 00:24:40,279 ♬「遠い国の誰かが月と見間違ったらいい」 330 00:24:40,279 --> 00:24:48,487 ♬「あの海を見たら 魂が酷く跳ねた」 331 00:24:48,487 --> 00:24:53,125 ♬「白い魚の群れに」 332 00:24:53,125 --> 00:24:55,928 ♬「あなたは見惚れている」