1 00:00:01,235 --> 00:00:04,838 (鳥の鳴き声) 2 00:00:12,179 --> 00:00:15,082 (解錠する音) 3 00:00:15,082 --> 00:00:17,084 (硬貨の音) 4 00:00:23,156 --> 00:00:26,526 足りない。 こんな程度じゃ➡ 5 00:00:26,526 --> 00:00:29,429 死ぬ不安は拭えない…! 6 00:00:31,365 --> 00:00:36,136 ♬「何度でも 何度でも叫ぶ」 7 00:00:36,136 --> 00:00:44,411 ♬「この暗い夜の怪獣になっても」 8 00:00:44,411 --> 00:00:50,183 ♬「ここに残しておきたいんだよ」 9 00:00:50,183 --> 00:00:52,185 ♬「この秘密を」 10 00:00:55,022 --> 00:00:58,759 ♬「だんだん食べる」 11 00:00:58,759 --> 00:01:05,465 ♬「赤と青の星々 未来から過去を」 12 00:01:05,465 --> 00:01:09,336 ♬「順々に食べる」 13 00:01:09,336 --> 00:01:17,411 ♬「何十回も噛み潰し 溶けたなら飲もう」 14 00:01:17,411 --> 00:01:22,049 ♬「丘の上で星を見ると」 15 00:01:22,049 --> 00:01:27,988 ♬「感じるこの寂しさも」 16 00:01:27,988 --> 00:01:30,757 ♬「朝焼けで」 17 00:01:30,757 --> 00:01:37,497 ♬「手が染まる頃にはもう忘れてるんだ」 18 00:01:37,497 --> 00:01:44,838 ♬「この世界は好都合に未完成」 19 00:01:44,838 --> 00:01:47,741 ♬「だから知りたいんだ」 20 00:01:47,741 --> 00:01:55,415 ♬「でも怪獣みたいに遠く遠く叫んでも」 21 00:01:55,415 --> 00:01:59,219 ♬「また消えてしまうんだ」 22 00:02:03,256 --> 00:02:05,459 お父さんが…? 23 00:02:05,459 --> 00:02:08,228 (異民族の女性) 持って帰ってこられたのは それだけで…。 24 00:02:08,228 --> 00:02:17,871 ♬~ 25 00:02:17,871 --> 00:02:19,873 っ…。 26 00:02:26,680 --> 00:02:32,686 (ペンを走らせる音) 27 00:02:35,222 --> 00:02:37,157 ん…? 28 00:02:37,157 --> 00:02:40,494 地図は描けたかい? ドゥラカよ。 29 00:02:40,494 --> 00:02:43,030 村長。 30 00:02:43,030 --> 00:02:45,832 (ドゥラカ)はい だいたい合ってると思う。 31 00:02:45,832 --> 00:02:50,103 おぉ こりゃ凄い! いつもありがとう。 32 00:02:50,103 --> 00:02:53,740 じゃ 私の話を。 っ⁉ 33 00:02:53,740 --> 00:02:57,978 また今度…と言っても 聞いてくれんのだろう? 34 00:02:57,978 --> 00:03:02,649 はい。 仕事をしたら話を聞いて頂ける約束です。 35 00:03:02,649 --> 00:03:05,852 (村長)んん… わかった。 36 00:03:05,852 --> 00:03:11,024 (ドゥラカ)我々にはもっと 要領よく稼ぐ方法がある筈です! 37 00:03:11,024 --> 00:03:14,594 今 私たちは 集団で利益を分け合ってる! 38 00:03:14,594 --> 00:03:17,030 すると怠ける人が出てくる! 39 00:03:17,030 --> 00:03:21,802 それを阻止するために もっと功労者に報酬を与えるべきだ! 40 00:03:21,802 --> 00:03:24,604 というか独占したっていい! 41 00:03:24,604 --> 00:03:28,275 分配を減らせば 危機感から競争が加速する! 42 00:03:28,275 --> 00:03:31,078 そうすれば集団全体として よりよい結果が――。 43 00:03:31,078 --> 00:03:33,480 ドゥラカ。 あ…? 44 00:03:33,480 --> 00:03:36,450 お前には いつも感謝している。 45 00:03:36,450 --> 00:03:40,887 お前ほど この村の将来を考えている者はいない。 46 00:03:40,887 --> 00:03:44,758 ん…。 (村長)お前は覚えが早い! 47 00:03:44,758 --> 00:03:50,030 一度行っただけの廃村の地図が描ける。➡ 48 00:03:50,030 --> 00:03:56,403 その地図を頼りに 我々は 使えそうな布きれを安全に回収し➡ 49 00:03:56,403 --> 00:04:01,975 分業化された工程を経て 新しい商品に生まれ変わらせる。 50 00:04:01,975 --> 00:04:04,978 一人一人が勝手に作業をするより➡ 51 00:04:04,978 --> 00:04:11,017 役割を専門化させることによって 要領と品質を向上させる…。 52 00:04:11,017 --> 00:04:13,587 お前の提案だったな。 53 00:04:13,587 --> 00:04:18,458 おかげで 以前のような 危険な盗みや狩りをしなくてすむ。 54 00:04:18,458 --> 00:04:24,698 村は十分に豊かになった。 皆 お前に感謝している。 55 00:04:24,698 --> 00:04:26,933 でも まだまだ要領が悪い! 56 00:04:26,933 --> 00:04:31,471 もっと個体差なく均一に生産できる 技術と商品がある筈…。 57 00:04:31,471 --> 00:04:33,406 私はそれを見つけたい! 58 00:04:33,406 --> 00:04:38,712 ドゥラカ。 儂は 「十分豊かになった」と言ったんだ。 59 00:04:38,712 --> 00:04:41,481 っ! (村長)貪欲はダメだ。➡ 60 00:04:41,481 --> 00:04:45,252 これ以上稼いでどうする? ん…。 61 00:04:45,252 --> 00:04:48,588 利益は神からの 贈り物なんだ。 62 00:04:48,588 --> 00:04:51,491 平等に分け与えるのが 当然。 63 00:04:51,491 --> 00:04:53,727 もっと隣人を愛せ。 64 00:04:53,727 --> 00:04:56,429 っ… 何故ですか? 65 00:04:56,429 --> 00:04:59,100 それが神の教えだからだ。 66 00:04:59,100 --> 00:05:02,469 このままじゃ足りない。 67 00:05:02,469 --> 00:05:06,273 ん? なんだ? 金が足らんのか? 68 00:05:11,211 --> 00:05:17,083 お前は功労者だ。 我が村の共同貯蓄は いつでも貸すぞ。➡ 69 00:05:17,083 --> 00:05:21,788 一体 何にそんな金が 必要なのか知らんが…。 70 00:05:21,788 --> 00:05:24,191 安心のためです。 71 00:05:24,191 --> 00:05:26,493 は? 安心? 72 00:05:26,493 --> 00:05:28,428 いえ なんでも。 73 00:05:28,428 --> 00:05:31,431 借金は結構です。 失礼します。 74 00:05:36,803 --> 00:05:39,706 叔父さん ご飯持ってきたよ。 75 00:05:39,706 --> 00:05:42,108 おぉ ドゥラカよ。 76 00:05:42,108 --> 00:05:45,812 この 哀れな病人のために どうもありがとう。 77 00:05:49,382 --> 00:05:52,052 (ドゥラカ)何? またお酒盗んだの? 78 00:05:52,052 --> 00:05:57,390 あっ 人聞きの悪いことを。 共有財産じゃないか。 79 00:05:57,390 --> 00:06:01,228 ゴホッ… 私をいじめないでおくれ…。 80 00:06:01,228 --> 00:06:05,999 病に侵された身だ。 もうすぐ旅立つのだ。 81 00:06:05,999 --> 00:06:10,170 お酒くらい大目に見てくれないか? 82 00:06:10,170 --> 00:06:13,373 数年前から言ってるけど 全然死なないじゃん。 83 00:06:13,373 --> 00:06:16,243 いや… それはその…。 84 00:06:16,243 --> 00:06:21,581 昔はもっと正直だったのにな。 どうして こんなふうに…。 85 00:06:21,581 --> 00:06:26,953 ま! それはそうと ちょっと叔父さんの 意見を聞かせてほしいんだけど。 86 00:06:26,953 --> 00:06:29,022 ん…? 87 00:06:29,022 --> 00:06:34,728 個人の自由競争で 集団全体の利益を 増やせるんじゃないかと思ったんだけど➡ 88 00:06:34,728 --> 00:06:36,730 どう? 89 00:06:36,730 --> 00:06:41,001 む… まァ 可能性はありうる。 90 00:06:41,001 --> 00:06:43,904 じゃあ…。 (ドゥルーヴ)だが私は反対だ。 91 00:06:43,904 --> 00:06:45,839 っ! 92 00:06:45,839 --> 00:06:52,412 神の教えに反するからじゃない。 共同体が壊れてしまうからだ。 93 00:06:52,412 --> 00:06:57,284 競争を刺激するには 我々は人数が少なすぎる。 94 00:06:57,284 --> 00:07:00,887 それに 増えればいいってもんでもない。 95 00:07:00,887 --> 00:07:04,824 人数が増えるほど 確かに競争は激化するが➡ 96 00:07:04,824 --> 00:07:07,527 その分 格差も酷くなる。 97 00:07:07,527 --> 00:07:10,530 そしてそれは争いを生む。 っ…。 98 00:07:10,530 --> 00:07:15,235 この発想には 弱者を救済する仕組みがない。 99 00:07:15,235 --> 00:07:18,238 倫理を失った自由は ただの混沌だ。 100 00:07:20,273 --> 00:07:22,876 ハァ~ ダメかー。 101 00:07:22,876 --> 00:07:26,379 まァまァ 落ち込むことないじゃないか。 102 00:07:26,379 --> 00:07:30,250 お前は賢いんだ。 未来もある。 103 00:07:30,250 --> 00:07:33,787 そうは言っても 時々心配になるよ。 104 00:07:33,787 --> 00:07:36,156 もしかしたら私は一生…➡ 105 00:07:36,156 --> 00:07:40,160 このまま ここで 終わる運命なんじゃないか って。 106 00:07:40,160 --> 00:07:42,796 (ドゥルーヴ)大丈夫だよ。 107 00:07:42,796 --> 00:07:45,465 お前には信念がある。 108 00:07:45,465 --> 00:07:48,969 いつかその信念が お前を導く。 109 00:07:48,969 --> 00:07:51,771 今はまだ“時”ではないのだ。 110 00:07:51,771 --> 00:07:54,674 うん。 そう信じるよ。 111 00:08:04,050 --> 00:08:06,052 あ…。 112 00:08:13,793 --> 00:08:15,795 …っ! 113 00:08:20,333 --> 00:08:23,670 (川のせせらぎ) 114 00:08:23,670 --> 00:08:27,140 (ドゥルーヴ)いつも ここで泣いているのか。 115 00:08:27,140 --> 00:08:30,110 あ… 叔父さん…。 116 00:08:30,110 --> 00:08:35,682 戻ってこい。 お前が毎朝いないから みんな いつも心配している。 117 00:08:35,682 --> 00:08:38,585 集団生活で勝手はよしてくれ。 118 00:08:38,585 --> 00:08:42,389 …私に そう伝えろって言われたの? 119 00:08:42,389 --> 00:08:45,692 お前の唯一の肉親だからな。 120 00:08:45,692 --> 00:08:49,629 じゃあ帰っていいよ。 私もすぐ戻るから。 121 00:08:49,629 --> 00:08:51,798 そういうわけにはいかない。 122 00:08:51,798 --> 00:08:54,701 どうせ明日も繰り返すだろう。 123 00:08:54,701 --> 00:08:58,271 何故毎日 朝が来ると泣く? 124 00:08:58,271 --> 00:09:01,174 そんなこともわかんない? 125 00:09:01,174 --> 00:09:04,077 朝にお父さんが死んだから。 126 00:09:04,077 --> 00:09:08,915 それにしたって なんでここで。 テントで泣けばいいだろ。 127 00:09:08,915 --> 00:09:11,918 だから そんなこともわからないの? 128 00:09:11,918 --> 00:09:14,721 気を遣ってるからに 決まってるじゃん。 129 00:09:14,721 --> 00:09:17,991 何に。 みんなにだよ!! 130 00:09:17,991 --> 00:09:20,894 みんなはお父さんが 天国に行ったって言ってるのに➡ 131 00:09:20,894 --> 00:09:25,598 私が毎朝泣いてたら 「神様の思し召し」が ウソみたいになるじゃん!! 132 00:09:27,367 --> 00:09:31,137 ⚟(足音) (ドゥルーヴ)…ふむ だいたいわかった。 133 00:09:31,137 --> 00:09:33,072 ん…。 134 00:09:33,072 --> 00:09:38,478 では お前の悩みを解決する 三つの魔法を授けよう。 135 00:09:38,478 --> 00:09:40,547 ただし 誰にも言うな。 136 00:09:40,547 --> 00:09:45,919 は? そんなの 神様の教えに反するんじゃ…。 137 00:09:45,919 --> 00:09:51,224 (ドゥルーヴ)一つ目 「神は存在しない」。 138 00:09:51,224 --> 00:09:53,159 …え?? 139 00:09:53,159 --> 00:09:56,696 実は神が存在する証拠はない。 140 00:09:56,696 --> 00:10:01,568 ま 真相を知れないからこそ信じる という立場もあるが➡ 141 00:10:01,568 --> 00:10:07,707 神を信じていないほうが いろいろと選択肢が広がり有利だ。 142 00:10:07,707 --> 00:10:11,978 とにかく お前は今から 神に気を遣わなくていい。 143 00:10:11,978 --> 00:10:18,485 寧ろ神に奪わせるな。 感情の主導権も 生きる意味も。 144 00:10:18,485 --> 00:10:22,989 だから お前の痛みは 世界の痛みに等しいと思って➡ 145 00:10:22,989 --> 00:10:27,494 明日から みんなの前で 遠慮せずに気落ちしろ。 146 00:10:27,494 --> 00:10:31,898 それがわかったら二つ目 「考えろ」。 147 00:10:31,898 --> 00:10:35,502 そのために文字を学べ。 本を読め。 148 00:10:35,502 --> 00:10:39,806 「物知りになるため」じゃないぞ。 「考えるため」だ。 149 00:10:39,806 --> 00:10:45,445 一見 無関係な情報と情報の間に 関わりを見つけ出せ。 150 00:10:45,445 --> 00:10:49,415 ただの情報を 使える知識に変えるんだ。 151 00:10:49,415 --> 00:10:52,185 その過程に 知性が宿る。 152 00:10:52,185 --> 00:10:56,189 …知性? そうだ。 それがあれば➡ 153 00:10:56,189 --> 00:11:00,460 留まる勇気と踏み出す度胸が得られる。 154 00:11:00,460 --> 00:11:04,163 で 「神ナシ」の世界で「考え」てると➡ 155 00:11:04,163 --> 00:11:07,934 いつしか自然と三つ目の魔法が生まれる。 156 00:11:07,934 --> 00:11:10,837 「信念」ってやつだ。 信念? 157 00:11:10,837 --> 00:11:16,409 そうだ。 コレがあれば不安に打ち勝ち 泣きやむことができる。 158 00:11:16,409 --> 00:11:19,946 たとえば私の信念は➡ 159 00:11:19,946 --> 00:11:23,583 “信念を捨ててでも生き残る”だ。 160 00:11:23,583 --> 00:11:26,419 それは なんか変じゃ…。 161 00:11:26,419 --> 00:11:29,289 あ… ああコレは矛盾ってやつだ。 162 00:11:29,289 --> 00:11:33,159 ま おまじないなんて そんなもんだよ。 163 00:11:33,159 --> 00:11:37,030 じゃ わかったら 明日からはテントにいてくれよ。 164 00:11:37,030 --> 00:11:39,132 あ…。 165 00:11:49,442 --> 00:11:53,413 神は存在しない。 考える。 166 00:11:53,413 --> 00:11:57,183 そしたら信念が生まれる。 167 00:11:57,183 --> 00:12:02,488 お父さんは略奪に行って死んだ…。 残ったのは このお金だけ。 168 00:12:04,924 --> 00:12:08,461 <「考えろ」… お父さんはなんで死んだ?➡ 169 00:12:08,461 --> 00:12:14,067 このお金は 私に何を言ってる? 何を教えてる?➡ 170 00:12:14,067 --> 00:12:16,970 お父さんが 略奪に出なきゃならなかったのは➡ 171 00:12:16,970 --> 00:12:19,806 そうしなきゃ生きていけないからだ。➡ 172 00:12:19,806 --> 00:12:24,277 もっとお金があれば そんな危険なことしなくてよかった。➡ 173 00:12:24,277 --> 00:12:28,147 もっとお金があれば お父さんは生きてたんだ。➡ 174 00:12:28,147 --> 00:12:32,151 お金がなきゃ不幸せだ。 お金がなきゃ ひ弱だ> 175 00:12:33,920 --> 00:12:35,922 …そうだ。 176 00:12:37,790 --> 00:12:42,929 金を稼がなきゃ。 心から不安が消えるまで! 177 00:12:42,929 --> 00:12:47,834 これが お父さんの伝言だ。 これが私の信念だ。 178 00:12:51,971 --> 00:12:56,175 考え続けなきゃ…! 稼ぐ方法を。 179 00:13:26,506 --> 00:13:28,508 (ドアが開く音) 180 00:13:32,345 --> 00:13:39,052 (足音) 181 00:13:47,927 --> 00:13:51,297 フフフ… これぞ至福の時。 182 00:13:51,297 --> 00:13:53,299 ⚟(複数の足音) んっ! 183 00:13:53,299 --> 00:13:55,702 ⚟(騎士)こっちです。おぉ⁉ ⚟(アントニ)もう長いこと➡ 184 00:13:55,702 --> 00:13:58,604 立ち寄っていなかったが 本当にここに? 185 00:13:58,604 --> 00:14:03,376 ⚟(騎士)間違いありません! 以前 巡回した時に地下室を見つけたんです。➡ 186 00:14:03,376 --> 00:14:07,780 そしたら上等な酒がたんまり! これは司教様に報告をと。 187 00:14:07,780 --> 00:14:09,716 フッ! 188 00:14:09,716 --> 00:14:12,085 (アントニ)おい。 誰だお前。 うっ…。 189 00:14:12,085 --> 00:14:14,587 わ 私は…! 190 00:14:14,587 --> 00:14:20,393 その身なり 移動民族の者か。 ここは私の領地だぞ。 191 00:14:20,393 --> 00:14:24,030 卑しい奴らめ… 連行しろ。 192 00:14:24,030 --> 00:14:27,967 ま 待ってください! この酒 全部差し上げます! 193 00:14:27,967 --> 00:14:32,805 私が長年かけて集めたものだけど… しょうがない! 194 00:14:32,805 --> 00:14:35,308 だから どうかお見逃しを…。 195 00:14:38,378 --> 00:14:42,615 ふん。 わかった 頂こう。 では連行しろ。 196 00:14:42,615 --> 00:14:45,518 え⁉ ちょっ ちょっと! 197 00:14:45,518 --> 00:14:48,421 司教様! 今 外で不審者を見つけました! 198 00:14:48,421 --> 00:14:50,356 追ってます! 三人です! 199 00:14:50,356 --> 00:14:52,725 貴様! 何を企んで…! 200 00:14:52,725 --> 00:14:55,528 ち 違います! 私は一人です! 201 00:14:55,528 --> 00:14:58,231 村の者に こんなことがバレたらマズいし! 202 00:14:58,231 --> 00:15:02,034 捕まえろ。 警吏に引き渡す。 ちょっ…! 203 00:15:04,370 --> 00:15:07,306 (ドゥルーヴ)…わかった。 ん? 204 00:15:07,306 --> 00:15:13,679 (ドゥルーヴ)私を… 私を牢に入れても あなた方には なんの得もないでしょう? 205 00:15:13,679 --> 00:15:17,483 代わりにもっと 商品価値のあるモノを差し出します。 206 00:15:17,483 --> 00:15:19,418 なんだ。 207 00:15:19,418 --> 00:15:22,355 …若い 女です。 208 00:15:22,355 --> 00:15:25,358 だから私は見逃してください。 209 00:15:27,160 --> 00:15:29,162 よし いいだろう。 210 00:15:34,901 --> 00:15:36,836 ありがとうございます! 211 00:15:36,836 --> 00:15:39,405 (アントニ)まだ信用したわけじゃない。 212 00:15:39,405 --> 00:15:41,808 村の場所を教えろ。 213 00:15:41,808 --> 00:15:45,378 約束を反故にしたら 村はタダじゃすまんぞ。 214 00:15:45,378 --> 00:15:49,148 (ドゥルーヴ) 大丈夫です! 絶対連れてきますから…。 215 00:15:49,148 --> 00:15:51,384 ⚟(複数の足音) っ⁉ 216 00:15:51,384 --> 00:15:55,688 し… 侵入者を取り逃がしました!➡ 217 00:15:55,688 --> 00:15:59,258 アントニ司教…! ふん。 218 00:15:59,258 --> 00:16:03,062 あぁ もうそっちはどうでもいい。 ほっとけ。 219 00:16:05,998 --> 00:16:09,869 (アントニ)それより こっちでいい話が纏まりそうだ。 220 00:16:09,869 --> 00:16:11,871 う…。 221 00:16:19,011 --> 00:16:22,582 (ドゥルーヴ)ドゥラカよ。 大事な話がある。 222 00:16:22,582 --> 00:16:26,018 私は 長いこと悩んできた。 223 00:16:26,018 --> 00:16:28,921 アレを託すかどうか。 ん…? 224 00:16:28,921 --> 00:16:33,559 しかし… このごろ いよいよ体調がすぐれない。 225 00:16:33,559 --> 00:16:39,298 お前は信じんかもしれんが おそらく本当に その時が近いみたいだ。 226 00:16:39,298 --> 00:16:42,602 んん…。 (ドゥルーヴ)そこで いろいろ考えたが➡ 227 00:16:42,602 --> 00:16:45,171 やはりお前に託すべきだと。 228 00:16:45,171 --> 00:16:49,375 一体 なんの話? (ドゥルーヴ)詳細は ここでは言えん。➡ 229 00:16:49,375 --> 00:16:52,612 だが一つ断言できるのは➡ 230 00:16:52,612 --> 00:16:56,015 お前の運命を変えてしまうものだ。 231 00:16:56,015 --> 00:16:58,017 っ! 232 00:16:58,017 --> 00:17:02,622 後はお前次第だ。 心の準備もいるだろう。 233 00:17:02,622 --> 00:17:07,193 っ… 準備はできてる!! 案内して! 234 00:17:07,193 --> 00:17:22,108 ♬~ 235 00:17:22,108 --> 00:17:24,777 まだいないか…。 ん…? 236 00:17:24,777 --> 00:17:29,615 よし。 お前は そこらの家で待っててくれ。 237 00:17:29,615 --> 00:17:33,786 私は 「その時」がくるのを待たねばならん。 238 00:17:33,786 --> 00:17:37,556 ん…? わかった。 239 00:17:37,556 --> 00:17:41,027 (ドゥラカの足音) 240 00:17:41,027 --> 00:17:43,829 ん… 血? 241 00:17:51,671 --> 00:17:57,677 (足音) 242 00:18:00,413 --> 00:18:02,415 ふぅ…。 243 00:18:04,550 --> 00:18:06,552 ん! 244 00:18:10,022 --> 00:18:12,024 本…? 245 00:18:19,065 --> 00:18:22,935 「天と地の階層は存在せず」 246 00:18:22,935 --> 00:18:27,340 「すべては一つの秩序の中に」…? 247 00:18:27,340 --> 00:18:32,111 「人々は底辺にはりつけられた生活から 解放される」 248 00:18:32,111 --> 00:18:36,015 「この大地の運動 『地動説』によって」 249 00:18:43,389 --> 00:18:47,059 な… なんだ この本。 250 00:18:47,059 --> 00:18:49,929 間違いない…。 251 00:18:49,929 --> 00:18:53,532 私は今 とんでもないものを見た。 252 00:18:55,201 --> 00:18:57,136 …でも。 253 00:18:57,136 --> 00:19:01,407 <主題のわりに 書かれてることは単純というか…➡ 254 00:19:01,407 --> 00:19:03,843 理論的なモノってよりも➡ 255 00:19:03,843 --> 00:19:07,847 「地動説」が及ぼす文化的影響の話…。➡ 256 00:19:07,847 --> 00:19:12,051 本といったら 宗教や学問のものが大半だけど➡ 257 00:19:12,051 --> 00:19:14,653 コレは そのどれとも違う。➡ 258 00:19:14,653 --> 00:19:17,189 個人の感想のようだけど➡ 259 00:19:17,189 --> 00:19:22,361 最後は「この大地を創った神」への 崇拝で終わってる…。➡ 260 00:19:22,361 --> 00:19:24,630 刺激的な内容だ。➡ 261 00:19:24,630 --> 00:19:29,869 けど 私の動揺は中身に対してだけじゃない。➡ 262 00:19:29,869 --> 00:19:35,241 この感覚は もっと大きな何かを問うてる。➡ 263 00:19:35,241 --> 00:19:39,111 感じる… 微かに感じる…。➡ 264 00:19:39,111 --> 00:19:42,415 この本で 大稼ぎできる気配を…!> 265 00:19:44,350 --> 00:19:46,352 「考えろ」。 266 00:19:48,154 --> 00:19:50,156 っ…。 267 00:19:50,156 --> 00:19:52,158 基本から考えよう。 268 00:19:52,158 --> 00:19:57,363 大稼ぎするためには 広く人に受け入れられる必要がある。 269 00:19:57,363 --> 00:20:01,367 <そもそも 受け入れられるってなんだ?➡ 270 00:20:01,367 --> 00:20:06,072 史上最も人に受け入れられたのは…➡ 271 00:20:06,072 --> 00:20:08,974 おそらく 神だ。➡ 272 00:20:08,974 --> 00:20:12,978 では 神は何故こんなにも受けてる?➡ 273 00:20:12,978 --> 00:20:17,283 それはきっと… みんな「不安」だからだ。➡ 274 00:20:17,283 --> 00:20:22,154 将来や死後のこととか 人は 未知なものや不確かなものを恐れる。➡ 275 00:20:22,154 --> 00:20:28,494 その救済として 絶対的で 揺るがない存在である神がいる。➡ 276 00:20:28,494 --> 00:20:32,698 でも昔 叔父さんは言った。➡ 277 00:20:32,698 --> 00:20:35,034 「神はいない」。➡ 278 00:20:35,034 --> 00:20:40,706 それが事実なら 今は単に神以外の選択肢がないだけで➡ 279 00:20:40,706 --> 00:20:45,411 もしかしたら代わりになる 不安の紛らわし方もあるんじゃ?➡ 280 00:20:45,411 --> 00:20:48,280 成就するかわからない“祈り”より➡ 281 00:20:48,280 --> 00:20:53,953 もっと確実に “娯楽”で不安を 紛らわせたとしたら…ッ!➡ 282 00:20:53,953 --> 00:20:58,591 人は わかりやすいモノのほうが好きな筈。➡ 283 00:20:58,591 --> 00:21:02,228 いずれ娯楽は身近で 刺激的なモノになるんじゃ…。➡ 284 00:21:02,228 --> 00:21:05,598 そして もし> 285 00:21:05,598 --> 00:21:09,201 もし読書が その娯楽になれたら? 286 00:21:11,036 --> 00:21:14,039 <この本で大稼ぎできるかも> 287 00:21:17,810 --> 00:21:22,615 <しかも ちょうど今… いや 私が生まれてからずっと➡ 288 00:21:22,615 --> 00:21:26,585 生活を抑圧する 教会への不信感が高まってる。➡ 289 00:21:26,585 --> 00:21:33,626 人の考えを根底から変える この本も… 受け入れられるかもしれない。➡ 290 00:21:33,626 --> 00:21:37,830 本の「内容」 教会の権威が揺らぐ「時代」。➡ 291 00:21:37,830 --> 00:21:41,700 二つ揃った。 後は…➡ 292 00:21:41,700 --> 00:21:46,405 「生産」はどうする? ん…。➡ 293 00:21:46,405 --> 00:21:51,710 写本か…? いや それだと手間が掛かりすぎる。➡ 294 00:21:51,710 --> 00:21:57,516 あと何か… 何か 生産手段の「技術」があれば…> 295 00:21:57,516 --> 00:22:00,352 …いや。 296 00:22:00,352 --> 00:22:05,457 <というか そもそもコレ もうとっくに有名な本なんじゃ?> 297 00:22:08,694 --> 00:22:15,134 てか 普通に考えたらそうだよな。 私が知らないだけで…。 298 00:22:15,134 --> 00:22:18,137 はぁ… 何盛り上がってんだか。 299 00:22:19,805 --> 00:22:23,409 だいたいコレ 著者誰なんだ? 300 00:22:23,409 --> 00:22:25,978 いつの時代の本なんだ? 301 00:22:25,978 --> 00:22:28,180 書いてない…。 302 00:22:31,116 --> 00:22:35,688 それどころか 本文にも不気味なほど名前が出てこない。 303 00:22:35,688 --> 00:22:37,623 内容が危ういからか? 304 00:22:37,623 --> 00:22:40,426 そのくせ最後には こう書いてある。 305 00:22:40,426 --> 00:22:46,232 「安全な時がきたら 利益の一割を ポトツキに寄付しろ」って…。 306 00:22:46,232 --> 00:22:50,169 丁寧に住所まで。 一体誰だ? 307 00:22:50,169 --> 00:22:53,205 著者じゃなさそうだし…。 308 00:22:53,205 --> 00:22:56,308 ⚟(ドゥルーヴ)ドゥラカよ 来てくれ。 っ! 309 00:22:56,308 --> 00:23:00,212 ⚟(足音) (ドゥラカ)叔父さん 聞いてよ! ちょっと面白いものを… あ…。 310 00:23:04,049 --> 00:23:06,852 え… 誰? 311 00:23:06,852 --> 00:23:10,589 こいつか? ええ…。 312 00:23:10,589 --> 00:23:13,492 まァ確かに いい値はつくかもな。 313 00:23:15,427 --> 00:23:17,696 …フッ。 314 00:23:17,696 --> 00:23:21,867 「運命を変える」って こういうこと? 315 00:23:21,867 --> 00:23:24,470 すまないな。 316 00:23:24,470 --> 00:23:28,374 私は生き延びるためなら なんでもする。 317 00:23:30,109 --> 00:23:35,381 ♬「行方知らずの あの雲を見た」 318 00:23:35,381 --> 00:23:40,986 ♬「わたしの鱗は あなたに似ていた」 319 00:23:40,986 --> 00:23:46,525 ♬「舌は二つ、 まぶたは眠らず」 320 00:23:46,525 --> 00:23:53,065 ♬「ぼやけたよもぎの 香りがする」 321 00:23:53,065 --> 00:24:03,275 ♬~ 322 00:24:03,275 --> 00:24:08,881 ♬「行方知らずの あの雲の下」 323 00:24:08,881 --> 00:24:14,453 ♬「わたしの心は火の粉に似ていた」 324 00:24:14,453 --> 00:24:20,225 ♬「靴はいらず、 耳は知らず」 325 00:24:20,225 --> 00:24:23,929 ♬「あなたの 寝息を聞く」 326 00:24:25,698 --> 00:24:31,570 ♬「ブルーベルのベッドを滑った 春みたいだ」 327 00:24:31,570 --> 00:24:36,875 ♬「シジュウカラはあんな風に歌うのか」 328 00:24:36,875 --> 00:24:43,515 ♬「海を知らず、花を愛でず、 空を仰ぐわたしは」 329 00:24:43,515 --> 00:24:47,820 ♬「また巫山の雲を見たいだけ」 330 00:24:47,820 --> 00:24:57,329 ♬~