1 00:00:02,502 --> 00:00:05,005 (ヨレンタ)コレを次の場所まで持っていって。 2 00:00:10,043 --> 00:00:14,014 ドゥラカさんから聞き取った 写本と活字と➡ 3 00:00:14,014 --> 00:00:17,217 父型 母型 モールド。➡ 4 00:00:17,217 --> 00:00:21,588 それがあれば 活字が壊れても あっちで作れる。 5 00:00:21,588 --> 00:00:25,292 本の内容はどうでした? 彼女の虚偽では? 6 00:00:27,060 --> 00:00:29,096 いや 信じられる。 7 00:00:29,096 --> 00:00:34,801 では あの娘はもう 役割を果たしたというわけですか。 8 00:00:34,801 --> 00:00:37,004 消しますか? っ! 9 00:00:39,106 --> 00:00:41,408 そうね…。 10 00:00:41,408 --> 00:00:46,747 それも考えたけど 印刷機貸すって約束しちゃったから。 11 00:00:46,747 --> 00:00:48,982 大丈夫でしょうか。 12 00:00:48,982 --> 00:00:52,085 会ったばかりの素性もわからない娘です。 13 00:00:55,255 --> 00:01:00,394 (ヨレンタ) そういう人には機会をあげたくなる。➡ 14 00:01:00,394 --> 00:01:03,096 協力されづらいだろうから。 15 00:01:08,502 --> 00:01:10,871 そうですか。 16 00:01:10,871 --> 00:01:14,741 それと 組織の今後――➡ 17 00:01:14,741 --> 00:01:17,177 頼んだよ。 18 00:01:17,177 --> 00:01:20,581 私は ここまでなので。 19 00:01:20,581 --> 00:01:24,451 本当に この本のために そこまでするのですか? 20 00:01:24,451 --> 00:01:27,054 …ええ。 21 00:01:27,054 --> 00:01:33,727 この本を… いや こういうモノを 出版できるようにするのが➡ 22 00:01:33,727 --> 00:01:36,029 私の夢だから。 23 00:01:38,498 --> 00:01:43,136 ♬「何度でも 何度でも叫ぶ」 24 00:01:43,136 --> 00:01:51,411 ♬「この暗い夜の怪獣になっても」 25 00:01:51,411 --> 00:01:57,184 ♬「ここに残しておきたいんだよ」 26 00:01:57,184 --> 00:01:59,186 ♬「この秘密を」 27 00:02:02,022 --> 00:02:05,692 ♬「だんだん食べる」 28 00:02:05,692 --> 00:02:12,466 ♬「赤と青の星々 未来から過去を」 29 00:02:12,466 --> 00:02:16,336 ♬「順々に食べる」 30 00:02:16,336 --> 00:02:24,411 ♬「何十回も噛み潰し 溶けたなら飲もう」 31 00:02:24,411 --> 00:02:29,049 ♬「丘の上で星を見ると」 32 00:02:29,049 --> 00:02:34,988 ♬「感じるこの寂しさも」 33 00:02:34,988 --> 00:02:37,758 ♬「朝焼けで」 34 00:02:37,758 --> 00:02:44,498 ♬「手が染まる頃にはもう忘れてるんだ」 35 00:02:44,498 --> 00:02:51,838 ♬「この世界は好都合に未完成」 36 00:02:51,838 --> 00:02:54,741 ♬「だから知りたいんだ」 37 00:02:54,741 --> 00:03:02,349 ♬「でも怪獣みたいに遠く遠く叫んでも」 38 00:03:02,349 --> 00:03:06,153 ♬「また消えてしまうんだ」 39 00:03:09,122 --> 00:03:11,925 ⚟(足音) (アッシュ)ノヴァクさん! 40 00:03:11,925 --> 00:03:13,860 やりました!➡ 41 00:03:13,860 --> 00:03:16,463 職人に聞き込んで 数か月前から➡ 42 00:03:16,463 --> 00:03:18,532 怪しい動きをしている 納屋の情報を…。 43 00:03:18,532 --> 00:03:20,534 兵 集めて。 っ! 44 00:03:22,936 --> 00:03:26,306 (ノヴァク)ケリをつけよう。 45 00:03:26,306 --> 00:03:28,408 (ドアが開く音) 46 00:03:34,081 --> 00:03:36,083 お…。 47 00:03:37,918 --> 00:03:40,287 (レヴァンドロフスキ)ほらよ。 え。 あっ…。 48 00:03:40,287 --> 00:03:44,791 フライが街で調達してきたんだ。 味わって食えよ。 49 00:03:44,791 --> 00:03:46,827 ど どうも。 50 00:03:46,827 --> 00:03:49,830 (咀嚼音) 51 00:03:58,939 --> 00:04:01,241 (ドゥラカ)あの。 ん…? 52 00:04:01,241 --> 00:04:07,748 何故貴方は 人生も天国も棒に振ってまで こんなことをしてるんですか? 53 00:04:11,885 --> 00:04:13,854 死だ。 54 00:04:13,854 --> 00:04:16,389 死を受け入れるためだ。 55 00:04:16,389 --> 00:04:19,092 っ! 56 00:04:19,092 --> 00:04:22,696 俺にはな 妹がいた。 57 00:04:22,696 --> 00:04:26,466 10歳そこらで病に倒れた。 58 00:04:26,466 --> 00:04:29,369 ま よくある話だよ。 59 00:04:32,205 --> 00:04:35,809 (レヴァンドロフスキ) 幼いアイツは 死ぬ間際に一言➡ 60 00:04:35,809 --> 00:04:42,382 極めて短く 静かに 究極の問いを投げた。➡ 61 00:04:42,382 --> 00:04:47,087 「私は なんのために生まれたの?」。➡ 62 00:04:47,087 --> 00:04:49,156 俺は 思った。 63 00:04:49,156 --> 00:04:53,326 「神のため」だ。 「天国へ行くため」だ。 64 00:04:53,326 --> 00:04:57,197 人は死ぬ。 じゃあ なんで生まれたのか? 65 00:04:57,197 --> 00:05:01,768 その問いに答えるため 神や宗教はある。 66 00:05:01,768 --> 00:05:04,271 でも俺は言えなかった。 67 00:05:04,271 --> 00:05:08,141 そして何も言えねぇまま 妹は死んだ。 68 00:05:08,141 --> 00:05:10,744 あ…。 69 00:05:10,744 --> 00:05:15,448 あの日以来 胸を張って 「神のため」って言えるようになるには➡ 70 00:05:15,448 --> 00:05:19,186 どうすりゃいいか考え続けた。 71 00:05:19,186 --> 00:05:24,257 その帰結として今 こんなことをしてる。え? 72 00:05:24,257 --> 00:05:29,729 少なくとも異端を迫害するのは 神じゃねぇ。 人だ。 73 00:05:29,729 --> 00:05:34,234 誰もそれを主張しないなら 俺がする。 74 00:05:34,234 --> 00:05:38,638 そうしなきゃ 妹に「神のため」って言えねぇままだ。 75 00:05:41,141 --> 00:05:45,779 隊長には言わねぇがっ! 宗教は大切だ。 76 00:05:45,779 --> 00:05:50,784 宗教がなきゃ きっと人はここまで強くなかった。 77 00:05:52,986 --> 00:05:58,425 遠く離れたどこかにも 同じ神を信じる人がいる。 78 00:05:58,425 --> 00:06:03,263 それだけで どれだけ心強いか。 79 00:06:03,263 --> 00:06:06,166 だが 教会が設立されてから➡ 80 00:06:06,166 --> 00:06:08,969 長いこと時間が経った。 81 00:06:08,969 --> 00:06:13,240 こうなると 経年劣化は免れねぇ。 82 00:06:13,240 --> 00:06:16,142 いろんな辻褄が合わなくなってきて➡ 83 00:06:16,142 --> 00:06:19,846 あちこちで時代が軋む音がする。 84 00:06:19,846 --> 00:06:23,717 俺らはきっと 変革期に立ち会ってる。 85 00:06:23,717 --> 00:06:27,053 だから 俺は自分の使命ってもんを探して➡ 86 00:06:27,053 --> 00:06:30,090 実践してるつもりだ。 87 00:06:30,090 --> 00:06:34,861 この道を進めば 妹の死を受け入れられると信じてる。 88 00:06:34,861 --> 00:06:39,633 死を忌避するんじゃなく 肯定したい。 89 00:06:39,633 --> 00:06:43,637 (レヴァンドロフスキの声) それが 俺の人生の命題だ。 90 00:06:46,206 --> 00:06:48,808 (シュミット)む。 ちょうどいいところに。 91 00:06:48,808 --> 00:06:50,810 う…? 92 00:06:56,916 --> 00:07:00,654 しかし こんな器械使うんですね。 93 00:07:00,654 --> 00:07:03,156 この手の技術が嫌いなんじゃ? 94 00:07:03,156 --> 00:07:07,994 もちろん! 技術を打倒するため 技術を使うわけだ。 95 00:07:07,994 --> 00:07:13,733 …一体 何をそこまで 人工の物を嫌うんですか? 96 00:07:13,733 --> 00:07:16,236 簡単だよ。 97 00:07:16,236 --> 00:07:22,242 私の故郷では 神の解釈の違いで 殺し合いが生じ 家族が殺された。 98 00:07:25,078 --> 00:07:28,281 (シュミット) そんなことがあちこちで よく起きてる。 99 00:07:28,281 --> 00:07:30,984 これは異常としか思えない。 100 00:07:30,984 --> 00:07:35,555 問題の原因 根本を潰すしかない。 101 00:07:35,555 --> 00:07:39,926 これらのすべては “人工”が引き起こした惨事だ。 102 00:07:39,926 --> 00:07:44,331 人工の社会 人工の掟 人工の神。 103 00:07:49,369 --> 00:07:54,207 人の作る物など “醜い模造品”しかない。 104 00:07:54,207 --> 00:07:57,010 この雄大な自然を見ればわかるだろう。 105 00:07:59,112 --> 00:08:01,214 敵わないと。 106 00:08:05,185 --> 00:08:08,088 (シュミット)人は一から何も作り出せない。 107 00:08:08,088 --> 00:08:11,991 その上 人が自然の力を借りて作る物は➡ 108 00:08:11,991 --> 00:08:17,764 馬車 弩 火薬 どれも醜い兵器ばかり。 109 00:08:17,764 --> 00:08:22,469 プラトン曰く 「人の作る模倣物は遊びのようなもので➡ 110 00:08:22,469 --> 00:08:25,905 真剣に従事することじゃない」。 111 00:08:25,905 --> 00:08:29,776 神の創造物だけが本物だ。 112 00:08:29,776 --> 00:08:35,782 人がつけあがり 自然を理解したなどと 勘違いするための技術など 不要。 113 00:08:38,018 --> 00:08:42,322 繰り返すが 私は人の知性を信じていない。 114 00:08:44,657 --> 00:08:47,027 うむ これでいい。 115 00:08:47,027 --> 00:08:49,396 ご協力どうもありがとう。 116 00:08:49,396 --> 00:08:51,398 そうですか。 じゃ。 117 00:08:57,137 --> 00:08:59,139 (ドゥルーヴの声)「考えろ」。 118 00:08:59,139 --> 00:09:01,841 その過程に知性が宿る。 119 00:09:06,179 --> 00:09:09,082 (ドゥラカ)アリストテレスも…。 ん? 120 00:09:09,082 --> 00:09:14,821 アリストテレスも 「技術は自然を模倣する」と言ってる。 121 00:09:14,821 --> 00:09:18,091 でも一方で こうも言ってる。 122 00:09:18,091 --> 00:09:22,295 「技術は自然が成し遂げないことも 成し遂げる」と。 123 00:09:27,767 --> 00:09:33,706 この布と 血のついたお金は 私の父の形見です。 124 00:09:33,706 --> 00:09:39,412 これを見て 私の信念を思い出す。 父を思い出す。 125 00:09:39,412 --> 00:09:42,982 この二つは自然に生えてたものじゃない。 126 00:09:42,982 --> 00:09:45,885 人が人工的に作ったもの。 127 00:09:45,885 --> 00:09:48,254 だからって無価値じゃない。 128 00:09:48,254 --> 00:09:53,660 人の作る模倣は時として 「自然が成し遂げないことも成し遂げる」。 129 00:09:56,663 --> 00:09:58,665 じゃ。 130 00:10:13,246 --> 00:10:15,381 (ドゥラカ)天体観測ですか? 131 00:10:15,381 --> 00:10:18,084 っ! えぇ。 132 00:10:18,084 --> 00:10:22,722 詳細な時間がわからないから 無駄な記録だけどね。 133 00:10:22,722 --> 00:10:24,657 そうですか…。 134 00:10:24,657 --> 00:10:28,962 もう出発らしいので 別れのご挨拶をと。 135 00:10:28,962 --> 00:10:32,866 随分礼儀正しいね。う…。 何か下心でも? 136 00:10:32,866 --> 00:10:35,168 えっ いやっ…。 137 00:10:35,168 --> 00:10:37,737 私はそんなガメツくないですよ。 138 00:10:37,737 --> 00:10:42,509 あ でも強いていえば この頭巾 上等でいいな~とか…。 139 00:10:42,509 --> 00:10:45,311 そう じゃ あげる。 えっ。 140 00:10:45,311 --> 00:10:48,748 それ もう使わないから。 ん…? 141 00:10:48,748 --> 00:10:52,552 あと もう一つ 貴方に渡したいものがある。 142 00:10:54,420 --> 00:10:58,424 ん…? 瓶? なんです? 143 00:10:58,424 --> 00:11:01,160 中に手紙が入ってる。 144 00:11:01,160 --> 00:11:06,099 あの本の印刷と配布が済んだら 郵送してほしい。 145 00:11:06,099 --> 00:11:09,602 手紙? 内容は? 146 00:11:09,602 --> 00:11:11,571 先人への配慮。 147 00:11:11,571 --> 00:11:16,476 え…? 貴方が聞かせてくれた あの本に書いてあったでしょ。 148 00:11:16,476 --> 00:11:20,246 「この本の利益の一部を譲る」って。 149 00:11:20,246 --> 00:11:23,816 今のところ 利益が出る予定はないけど。 150 00:11:23,816 --> 00:11:25,818 でも なんで私に? 151 00:11:25,818 --> 00:11:28,655 ん? 面倒だった? 152 00:11:28,655 --> 00:11:31,291 私の大切なものを燃やしたんだから➡ 153 00:11:31,291 --> 00:11:33,359 これくらい頼まれてもいいんじゃない? 154 00:11:33,359 --> 00:11:37,096 いや そうじゃなくて――。 155 00:11:37,096 --> 00:11:40,967 私を信用できますか? 156 00:11:40,967 --> 00:11:45,905 私には 貴方の過去とか これまでの歴史とか関係ない。 157 00:11:45,905 --> 00:11:48,775 シュミットさんたちに 頼めばいいじゃないですか。 158 00:11:48,775 --> 00:11:52,178 こんなもの またすぐ 燃やすかもしれない。 159 00:11:52,178 --> 00:11:54,547 なんで私に。 160 00:11:54,547 --> 00:11:57,350 貴方は若いから。 は?? 161 00:11:57,350 --> 00:12:03,990 別の言い方で言うと 今は貴方たちが歴史の主役だから。 162 00:12:03,990 --> 00:12:05,925 だから貴方に託す。 163 00:12:05,925 --> 00:12:10,763 …は? だから 勝手に巻き込まないでくれます? 164 00:12:10,763 --> 00:12:13,666 私はその歴史ってのに関係…。 関係ある。 165 00:12:13,666 --> 00:12:15,602 あ…。 166 00:12:15,602 --> 00:12:18,571 人は先人の発見を引き継ぐ。 167 00:12:18,571 --> 00:12:22,375 それもいつの間にか勝手に 自然に。 168 00:12:22,375 --> 00:12:27,013 だから今を生きる人には 過去のすべてが含まれてる。 169 00:12:27,013 --> 00:12:30,383 何故 人は記憶に こだわるのか。 170 00:12:30,383 --> 00:12:35,255 何故 人は個別の事象を 時系列で捉えるのか。 171 00:12:35,255 --> 00:12:38,157 何故 人は歴史を 見いだすことを➡ 172 00:12:38,157 --> 00:12:42,629 強制される認識の 構造をしているのか。 173 00:12:42,629 --> 00:12:47,967 私が思うに それは 神が人に学びを与えるためだ。 174 00:12:47,967 --> 00:12:52,305 つまり歴史は 神の意志の下に成り立ってる。 175 00:12:52,305 --> 00:12:54,240 神の意志…? 176 00:12:54,240 --> 00:12:56,743 なんですか? その意志って。 177 00:12:56,743 --> 00:12:59,612 聖書に書いてある。 178 00:12:59,612 --> 00:13:03,483 「神はこの世にある悪を 善に変える」。 179 00:13:03,483 --> 00:13:06,019 それが神の意志。 180 00:13:06,019 --> 00:13:09,889 神は人を通して この世を変えようとしてる。 181 00:13:09,889 --> 00:13:12,925 長い時間をかけて少しずつ。 182 00:13:12,925 --> 00:13:17,163 この“今”は その大いなる流れの中にある。 183 00:13:17,163 --> 00:13:20,900 とどのつまり 人の生まれる意味は➡ 184 00:13:20,900 --> 00:13:24,270 その企てに その試行錯誤に➡ 185 00:13:24,270 --> 00:13:29,876 “善”への鈍く果てしない にじり寄りに 参加することだと思う。 186 00:13:29,876 --> 00:13:34,313 悪を捨て去ることなく 飲み込んで直面することで➡ 187 00:13:34,313 --> 00:13:37,917 より大きな善が生まれることもある。 188 00:13:37,917 --> 00:13:41,621 悪と善 二つの道があるんじゃなく➡ 189 00:13:41,621 --> 00:13:45,391 すべては一つの線の上で繋がっている。 190 00:13:45,391 --> 00:13:50,830 そう考えたら かつての憂き節さえも 何も無意味なことはない。 191 00:13:50,830 --> 00:13:55,101 でも歴史を切り離すと それが見えなくなって➡ 192 00:13:55,101 --> 00:13:57,036 人は死んだら終わりだと➡ 193 00:13:57,036 --> 00:13:59,839 有限性の不安に 怯えるようになる。 194 00:13:59,839 --> 00:14:02,208 歴史を確認するのは➡ 195 00:14:02,208 --> 00:14:06,579 神が導こうとする 方向を確認するのに等しい。 196 00:14:06,579 --> 00:14:10,183 だから過去を無視すれば 道に迷う。 197 00:14:11,918 --> 00:14:13,853 抽象的すぎる。 198 00:14:13,853 --> 00:14:17,390 私には具体的な問題。 (ドゥラカ)どこが? 199 00:14:17,390 --> 00:14:20,793 歴史認識は私の決断に関わるから。 200 00:14:22,795 --> 00:14:27,266 例えば… 私の父は異端審問官だった。 201 00:14:27,266 --> 00:14:32,105 っ⁉ 私は父と全く違う道を歩いた。 202 00:14:32,105 --> 00:14:35,408 今 父が何をしているのかは知らない。 203 00:14:35,408 --> 00:14:39,812 生きてるのか そうじゃないのかすらね。 204 00:14:39,812 --> 00:14:43,049 もう二度と会うことはないだろうけど…。 205 00:14:43,049 --> 00:14:45,585 時々 想像する。 206 00:14:45,585 --> 00:14:49,122 もし今の私が父と対峙したら➡ 207 00:14:49,122 --> 00:14:53,526 道を阻まれたら どうなるだろうって。 208 00:14:53,526 --> 00:14:57,396 考えただけで それは人生最悪の瞬間で➡ 209 00:14:57,396 --> 00:15:01,267 混乱して平静を失うと思う。 210 00:15:01,267 --> 00:15:07,206 でも その時にこそ 正しいと思った選択をしなきゃいけない。 211 00:15:07,206 --> 00:15:13,212 きっと その一瞬の選択のために 私の数奇な人生は存在する。 212 00:15:13,212 --> 00:15:17,950 積み上げた歴史が 私の動揺を鎮めて➡ 213 00:15:17,950 --> 00:15:22,688 臆病を打破して 思考を駆動させて…➡ 214 00:15:22,688 --> 00:15:25,391 いざって時に退かせない。 215 00:15:29,195 --> 00:15:32,198 全歴史が私の背中を押す。 216 00:15:35,301 --> 00:15:37,236 …なんで? ん? 217 00:15:37,236 --> 00:15:40,940 なんで あの本のために そんな理屈こねてまで…。 218 00:15:42,775 --> 00:15:44,710 …ふっ。 219 00:15:44,710 --> 00:15:47,513 私は地動説を愛してる。 220 00:15:49,248 --> 00:15:54,620 そして 愛してしまったことを 祝福したいから。 221 00:15:54,620 --> 00:15:57,223 そんなの幼稚だ。 222 00:15:57,223 --> 00:16:00,726 そう。 だから貴方が乗り越えて。 223 00:16:02,428 --> 00:16:04,630 (シュミット)組織長! ん?⚟(足音) 224 00:16:06,966 --> 00:16:09,869 こっちに向かってる馬車が2台。➡ 225 00:16:09,869 --> 00:16:12,138 騎士団だ! 226 00:16:12,138 --> 00:16:14,073 え⁉ 227 00:16:14,073 --> 00:16:19,579 (ヨレンタ) もう特定されたんだ。 思ったより早いね。 228 00:16:19,579 --> 00:16:23,216 では みんなは裏口から逃げてください。 229 00:16:23,216 --> 00:16:26,118 森を抜けた所に馬車を停めてあるから➡ 230 00:16:26,118 --> 00:16:30,122 上手くやれば 貴方たちは気付かれず逃げられる。 231 00:16:30,122 --> 00:16:33,292 みんなで目的地まで向かって。 232 00:16:33,292 --> 00:16:36,696 私は ここに残って彼らを引きつける。 233 00:16:36,696 --> 00:16:41,234 は?? 彼らの狙いは 組織長である私だから。 234 00:16:41,234 --> 00:16:45,238 で でも 引きつけて… その後は? 235 00:16:45,238 --> 00:16:48,241 それは貴方の考えることじゃない。 236 00:16:51,410 --> 00:16:53,412 じゃあ。 237 00:16:57,250 --> 00:16:59,452 我々も移動を開始する! 238 00:17:15,701 --> 00:17:18,471 ふう…。 239 00:17:18,471 --> 00:17:39,358 ♬~ 240 00:17:39,358 --> 00:17:44,597 必ず… 敵を討ってくるからな。 241 00:17:44,597 --> 00:17:46,799 (御者)見えました!! っ! 242 00:17:49,068 --> 00:17:52,171 (御者)女です! 組織長かと! 243 00:18:00,513 --> 00:18:03,516 我々は異端審問官である! 244 00:18:03,516 --> 00:18:06,319 神の名の下に調査をする! 245 00:18:06,319 --> 00:18:10,156 貴様は異端解放戦線の組織長であるか! 246 00:18:10,156 --> 00:18:15,361 …如何にも 私が組織長だ。 247 00:18:15,361 --> 00:18:17,730 (アッシュ)各々 構えろ! 248 00:18:17,730 --> 00:18:56,035 ♬~ 249 00:19:01,807 --> 00:19:06,812 (爆発音) 250 00:19:09,315 --> 00:19:13,819 ⚟(いななき) 251 00:19:13,819 --> 00:19:16,622 え? か 火薬? 252 00:19:18,357 --> 00:19:21,260 (アッシュ)まさか 自分で…? 253 00:19:26,866 --> 00:19:31,070 っ! ノッ ノヴァクさん… これは一体⁉ 254 00:19:32,972 --> 00:19:35,775 今 一瞬…。 え⁉ 255 00:19:50,389 --> 00:19:53,693 ノヴァクさん これは…。 256 00:19:53,693 --> 00:19:57,563 私にも よくわからんが… 確実なのは➡ 257 00:19:57,563 --> 00:20:04,336 新しい技術を用いて 恐ろしいことが 目の前で起こったということ。 258 00:20:04,336 --> 00:20:07,239 そして――。 259 00:20:07,239 --> 00:20:10,743 組織長は死んだということだ。 260 00:20:22,722 --> 00:20:24,724 ⚟(爆発音) っ! 261 00:20:31,831 --> 00:20:34,400 っ!! 納屋のほうから煙が! 262 00:20:34,400 --> 00:20:37,303 ヨレンタさん 攻撃されたんじゃ⁉ 263 00:20:37,303 --> 00:20:39,738 いや 自爆だよ。 264 00:20:39,738 --> 00:20:43,609 じばっ… は? じばく? 265 00:20:43,609 --> 00:20:46,145 これも計画の内だ。 266 00:20:46,145 --> 00:20:50,749 自爆を隠れ蓑に これから向かう印刷工房を守るためだ。 267 00:20:50,749 --> 00:20:55,921 う…。 敵の狙いは 異端解放戦線のリーダーを潰すこと。 268 00:20:55,921 --> 00:20:57,990 これで叶った。 269 00:20:57,990 --> 00:21:01,727 当分は情報も出ないし 追われづらくなる。 270 00:21:01,727 --> 00:21:09,201 さらに 自爆は印刷後の流通先である 改革派の協力を仰ぐためにも重要。 271 00:21:09,201 --> 00:21:14,039 彼らは異端扱いされているが 信徒の一部には変わりない。 272 00:21:14,039 --> 00:21:18,511 我々のような組織とは 関係を持ちたがらない。 273 00:21:18,511 --> 00:21:21,413 そこで組織長の死が生きてくる。 274 00:21:21,413 --> 00:21:25,284 解放戦線は表向きには崩壊したことにし➡ 275 00:21:25,284 --> 00:21:28,787 我々は無関係な新組織を装うことで➡ 276 00:21:28,787 --> 00:21:32,291 改革派に接近できるようになる。 277 00:21:32,291 --> 00:21:35,694 だったら 組織は 解散したフリだけでも…。 278 00:21:35,694 --> 00:21:39,698 疑われないためには事実が一番だ。 279 00:21:39,698 --> 00:21:44,403 なんにせよ 組織長は考えた。 そして決めたんだ。 280 00:21:44,403 --> 00:21:50,209 たとえ僅かでも 自爆することで あの本が生きる可能性が高まるなら➡ 281 00:21:50,209 --> 00:21:52,611 そちらを選ぶと。 っ! 282 00:21:54,847 --> 00:21:58,450 …それを 止めなかったんですか? ん? 283 00:21:58,450 --> 00:22:00,686 それは情か? 284 00:22:00,686 --> 00:22:03,355 任務遂行には感傷は不要だ。 285 00:22:03,355 --> 00:22:06,058 流されれば判断を迷う。 286 00:22:06,058 --> 00:22:11,764 我々にとって死は日常 重要なのは「どこで」死ぬかだ。 287 00:22:11,764 --> 00:22:15,634 彼女の決断は その背後にいる神の決断。 288 00:22:15,634 --> 00:22:18,537 信念のため 名誉ある死だ。 289 00:22:22,374 --> 00:22:24,310 信念…。 290 00:22:24,310 --> 00:22:27,246 そういえば君も言っていたではないか。 291 00:22:27,246 --> 00:22:31,617 あのコインに象徴される 「稼ぐ」という信念があるのだろ。 292 00:22:31,617 --> 00:22:35,287 っ…! (シュミット)ならばいずれ直面する筈だ。 293 00:22:35,287 --> 00:22:38,591 信念を貫く難しさに。 294 00:22:38,591 --> 00:22:41,026 信念には対価が必要。 295 00:22:41,026 --> 00:22:43,963 命を懸けられないなら口だけだ。 296 00:22:43,963 --> 00:22:48,734 ここから先は 情と両立して進められる 領域ではない。 297 00:22:48,734 --> 00:22:50,769 そんな…。 298 00:22:50,769 --> 00:22:53,038 (レヴァンドロフスキ)おっと。 ん…?う…。 299 00:22:53,038 --> 00:22:55,140 みんな 緊張するなよ。 300 00:22:57,509 --> 00:23:00,212 (レヴァンドロフスキ)騎士団だ。 すれ違うぞ。 301 00:23:00,212 --> 00:23:03,415 っ! 活字を椅子の後ろに隠せ。 302 00:23:15,794 --> 00:23:18,597 ハァ…。(いななき) っ! 303 00:23:18,597 --> 00:23:21,500 (騎士団)そこの馬車 止まれ! (いななき) 304 00:23:26,171 --> 00:23:28,274 (騎士団)全員 降りてこい! 305 00:23:30,042 --> 00:23:35,381 ♬「行方知らずの あの雲を見た」 306 00:23:35,381 --> 00:23:40,986 ♬「わたしの鱗はあなたに似ていた」 307 00:23:40,986 --> 00:23:46,525 ♬「舌は二つ、まぶたは眠らず」 308 00:23:46,525 --> 00:23:53,065 ♬「ぼやけたよもぎの 香りがする」 309 00:23:53,065 --> 00:24:03,275 ♬~ 310 00:24:03,275 --> 00:24:08,881 ♬「行方知らずの あの雲の下」 311 00:24:08,881 --> 00:24:14,453 ♬「わたしの心は 火の粉に似ていた」 312 00:24:14,453 --> 00:24:20,225 ♬「靴はいらず、 耳は知らず」 313 00:24:20,225 --> 00:24:23,929 ♬「あなたの 寝息を聞く」 314 00:24:25,698 --> 00:24:31,570 ♬「ブルーベルのベッドを滑った 春みたいだ」 315 00:24:31,570 --> 00:24:36,875 ♬「シジュウカラはあんな風に歌うのか」 316 00:24:36,875 --> 00:24:43,515 ♬「海を知らず、花を愛でず、 空を仰ぐわたしは」 317 00:24:43,515 --> 00:24:47,820 ♬「また巫山の雲を見たいだけ」 318 00:24:47,820 --> 00:24:57,329 ♬~