1 00:00:01,869 --> 00:00:04,638 ああ Oh ノー! 2 00:00:04,638 --> 00:00:11,845 ♬~ 3 00:00:15,983 --> 00:00:20,087 (アントニ) 気の毒だが 受け入れるしかないだろう。 4 00:00:20,087 --> 00:00:23,857 君や 君が担当した異端者たち。 5 00:00:23,857 --> 00:00:27,761 君らは 歴史の登場人物じゃない。 6 00:00:27,761 --> 00:00:30,330 は…。 7 00:00:30,330 --> 00:00:32,266 いいかね? 8 00:00:32,266 --> 00:00:37,804 だからこの先 地動説に類似した 発想の本が出版されたとしても➡ 9 00:00:37,804 --> 00:00:41,508 とやかく騒がないでくれよ 無意味だから。 10 00:00:43,110 --> 00:00:45,646 アントニさん。 11 00:00:45,646 --> 00:00:49,816 いくら私でも すぐにわかりますよ。 12 00:00:49,816 --> 00:00:54,121 信仰だとか言っても 所詮は金なんでしょ? 13 00:00:57,124 --> 00:01:01,361 貴方は ずっと前からそうだ。 14 00:01:01,361 --> 00:01:03,864 唆したのは お前だな。 15 00:01:03,864 --> 00:01:05,799 っ…。 16 00:01:05,799 --> 00:01:09,169 (ノヴァク)聖職者を買収とは世も末だ。 17 00:01:09,169 --> 00:01:11,772 一体いくら使った。 18 00:01:11,772 --> 00:01:16,610 (ドゥラカ)さあね。 私は特殊な主張をしたいわけじゃない。 19 00:01:16,610 --> 00:01:22,482 みんなが向かいつつある場所へ ただ一足先に入ろうってだけ。 20 00:01:22,482 --> 00:01:25,786 これから来る “金”の時代に。 21 00:01:27,554 --> 00:01:29,523 …金。 22 00:01:29,523 --> 00:01:32,759 神を捨て 金か。 23 00:01:32,759 --> 00:01:36,763 金さえ稼げれば すべて肯定される。 24 00:01:36,763 --> 00:01:39,100 君はそんな時代がいいと思うのか? 25 00:01:39,100 --> 00:01:41,935 っ…。 26 00:01:41,935 --> 00:01:48,442 解放戦線の組織長が火薬を使って 自爆するところを見た。 27 00:01:48,442 --> 00:01:53,647 あの光景を見て 悲劇的だと思わない者がいるか? 28 00:01:55,215 --> 00:02:00,120 (ノヴァク) 知性や技術が進歩した先は あの爆発だ。 29 00:02:00,120 --> 00:02:03,023 文明や理性の名の下では➡ 30 00:02:03,023 --> 00:02:08,462 神の名の下とは比べ物にならない規模の 大虐殺が起こせる。 31 00:02:08,462 --> 00:02:15,702 わかるか? 神に“進むべき道”を 与えられなくなった人間の末路が。 32 00:02:15,702 --> 00:02:19,706 神を失ったら 人は迷い続ける。 33 00:02:21,508 --> 00:02:24,311 (ドゥラカ)えぇ。 34 00:02:24,311 --> 00:02:28,215 でも きっと迷いの中に倫理がある。 35 00:02:29,883 --> 00:02:32,519 その組織長の言葉だ。 36 00:02:32,519 --> 00:02:36,790 私だって これから平和が訪れるとは思わない。 37 00:02:36,790 --> 00:02:41,628 貴方の言うとおり 次に来るのは 大量死の時代かもしれない。 38 00:02:41,628 --> 00:02:46,833 でも その死の責任は神じゃなくて 人が引き受ける。 39 00:02:46,833 --> 00:02:50,704 だから そこにはきっと“罪”と“救い”じゃなく…➡ 40 00:02:50,704 --> 00:02:54,641 “反省”と“自立”がある。 41 00:02:54,641 --> 00:02:58,478 そうやって 苦しみを味わった知性は➡ 42 00:02:58,478 --> 00:03:02,249 いずれ十分迷うことのできる知性になる。 43 00:03:02,249 --> 00:03:04,951 暴走した文明に 歯止めをかけて➡ 44 00:03:04,951 --> 00:03:07,754 異常な技術も乗りこなせる知性になる。 45 00:03:10,257 --> 00:03:13,293 呆れるほど楽観的だ。 46 00:03:13,293 --> 00:03:16,463 えぇ。 でも私は…➡ 47 00:03:16,463 --> 00:03:20,801 私を裏切った恩人から 言われたことがある。 48 00:03:20,801 --> 00:03:24,404 「神ナシ」の世界で「考えろ」って。 49 00:03:24,404 --> 00:03:28,108 私は それで道が開けるって信じたい。 50 00:03:30,077 --> 00:03:35,649 それに 貴方は最も重要なことを忘れてる。 51 00:03:35,649 --> 00:03:37,651 きっと――。 52 00:03:41,088 --> 00:03:46,693 きっと社会から神が消えても 人の魂から神は消せない。 53 00:03:49,496 --> 00:03:52,699 見た目どおり子供だ。 54 00:03:52,699 --> 00:03:56,403 呑気で健気で我が儘。 55 00:03:56,403 --> 00:03:59,239 話にならない子供だ。 56 00:03:59,239 --> 00:04:03,443 そうか。 では 話は終わりだ。 57 00:04:03,443 --> 00:04:06,346 君は君の仕事をした。 58 00:04:06,346 --> 00:04:09,583 しかしそれは「今」に合わん。 59 00:04:09,583 --> 00:04:12,185 もう 風向きは変わった。 60 00:04:15,655 --> 00:04:18,558 お勤めご苦労。 休みたまえ。 61 00:04:18,558 --> 00:04:20,894 ん゛…。 62 00:04:20,894 --> 00:04:23,497 会うのも最後になるだろう。 63 00:04:23,497 --> 00:04:26,399 言い残したことがあれば聞くぞ。 64 00:04:28,168 --> 00:04:32,038 こんなこと信じたくない。 ん? 65 00:04:32,038 --> 00:04:36,743 こんな最悪の想定が 的中するなんて。 66 00:04:36,743 --> 00:04:40,614 ん…? 最悪の想定…? 67 00:04:40,614 --> 00:04:42,682 フン… ん? 68 00:04:42,682 --> 00:04:46,987 (においを嗅いで)なんだ 酒臭いな。 69 00:04:46,987 --> 00:04:49,389 (ノヴァク)気付きました? 70 00:04:49,389 --> 00:04:52,726 外に大量に撒いてきたので。 71 00:04:52,726 --> 00:04:56,029 藁にたっぷり染み込ませたのも 置いてきた。 72 00:04:56,029 --> 00:04:58,765 は… は? 73 00:04:58,765 --> 00:05:03,103 確かに風向きは変わったのかもしれない。 74 00:05:03,103 --> 00:05:08,909 でももし 今夜私たち全員が ここで死んだらどうです? 75 00:05:08,909 --> 00:05:14,714 そしてもし この教会が炎上するなんて 事件が起こったら? 76 00:05:14,714 --> 00:05:20,620 さらにもし 私が門番に こう伝言を残していたら? 77 00:05:20,620 --> 00:05:24,157 「異端者の捜査で 教会へ向かう」➡ 78 00:05:24,157 --> 00:05:28,161 「容疑者は 地動説主義者だ」と。 79 00:05:28,161 --> 00:05:30,597 (ナイフを刺す音) っ! あ゛…。 80 00:05:30,597 --> 00:05:34,568 そしたら 市民は誰が犯人だと思う? 81 00:05:34,568 --> 00:05:36,870 …え? (ナイフを抜く音) 82 00:05:38,839 --> 00:05:43,076 人は勘違いするんだろ? ヴォ…オ゛…。思い込むんだろ? 83 00:05:43,076 --> 00:05:48,415 ア゛ア゛… ヴ…。どうだ。 これでまた 風向きは変わったか? 84 00:05:48,415 --> 00:05:50,417 (倒れ込む音) 85 00:05:55,288 --> 00:05:58,592 な… なんてことを…。 86 00:05:58,592 --> 00:06:04,397 女が教会へ 向かったと聞いて嫌な予感がしたんだ。 87 00:06:04,397 --> 00:06:08,001 もし万が一にも地動説に 好意的な判断が➡ 88 00:06:08,001 --> 00:06:11,404 下されたら どうしようかと…。 89 00:06:11,404 --> 00:06:17,844 まさかここまでの前言撤回を 見せつけられるとは思わなかったがな。 90 00:06:17,844 --> 00:06:22,015 奥の手を用意しておいてよかった。 91 00:06:22,015 --> 00:06:27,854 これで地動説を信じるような奴は危険だ という噂を広められる。 92 00:06:27,854 --> 00:06:31,658 本気で そんなことできると思ってるの…⁉ 93 00:06:31,658 --> 00:06:34,361 やってみなければわからん。 94 00:06:34,361 --> 00:06:37,664 ハ… 私も殺す気? 95 00:06:42,068 --> 00:06:45,605 正直 もはやどっちでもいい。 96 00:06:45,605 --> 00:06:49,476 ここから君が逃げ延びて 真相を語ったところで➡ 97 00:06:49,476 --> 00:06:52,879 誰も信用しないだろうし。 98 00:06:52,879 --> 00:06:54,981 まぁ でも。 99 00:06:56,950 --> 00:06:59,853 殺したほうが確実かな。 100 00:07:03,890 --> 00:07:05,892 (深く息を吸う音) 101 00:07:13,933 --> 00:07:15,935 あっ う… う゛っ! 102 00:07:17,938 --> 00:07:20,740 くッ…! うあぁ!! 103 00:07:20,740 --> 00:07:22,742 う゛っ! 104 00:07:22,742 --> 00:07:24,744 っ! 105 00:07:33,586 --> 00:07:35,588 ん゛ん゛…。 106 00:07:39,793 --> 00:07:42,095 ん゛っ…。 107 00:07:42,095 --> 00:07:44,698 ん゛… フゥ…。 108 00:07:44,698 --> 00:07:54,207 ♬~ 109 00:07:54,207 --> 00:07:56,209 っ⁉ 110 00:08:04,417 --> 00:08:06,419 どうも。 111 00:08:08,088 --> 00:08:12,759 ♬「何度でも 何度でも叫ぶ」 112 00:08:12,759 --> 00:08:20,934 ♬「この暗い夜の怪獣になっても」 113 00:08:20,934 --> 00:08:26,740 ♬「ここに残しておきたいんだよ」 114 00:08:26,740 --> 00:08:28,742 ♬「この秘密を」 115 00:08:31,578 --> 00:08:35,348 ♬「だんだん食べる」 116 00:08:35,348 --> 00:08:42,088 ♬「赤と青の星々 未来から過去を」 117 00:08:42,088 --> 00:08:45,959 ♬「順々に食べる」 118 00:08:45,959 --> 00:08:54,067 ♬「何十回も噛み潰し 溶けたなら飲もう」 119 00:08:54,067 --> 00:08:58,671 ♬「丘の上で星を見ると」 120 00:08:58,671 --> 00:09:04,611 ♬「感じるこの寂しさも」 121 00:09:04,611 --> 00:09:07,380 ♬「朝焼けで」 122 00:09:07,380 --> 00:09:14,120 ♬「手が染まる頃にはもう忘れてるんだ」 123 00:09:14,120 --> 00:09:21,361 ♬「この世界は好都合に未完成」 124 00:09:21,361 --> 00:09:24,264 ♬「だから知りたいんだ」 125 00:09:24,264 --> 00:09:31,938 ♬「でも怪獣みたいに遠く遠く叫んでも」 126 00:09:31,938 --> 00:09:35,742 ♬「また消えてしまうんだ」 127 00:09:43,616 --> 00:09:45,885 …神様。 128 00:09:45,885 --> 00:09:50,824 これは 貴方がお見せくださっている お告げか何かですか? 129 00:09:50,824 --> 00:09:52,992 (ラファウ)いや。 ん…。 130 00:09:52,992 --> 00:09:55,895 多分 死にかけで朦朧としてて➡ 131 00:09:55,895 --> 00:09:58,665 勝手に見えてるだけの幻ですよ。 132 00:09:58,665 --> 00:10:02,101 あぁ… そんなもんか。 133 00:10:02,101 --> 00:10:04,704 えぇ そんなもんです。 134 00:10:06,406 --> 00:10:09,776 (ラファウ)ともあれ お久しぶりですね。 135 00:10:09,776 --> 00:10:13,379 どうでした? あれから。 136 00:10:13,379 --> 00:10:18,084 散々だったよ。 君のせいでな。 137 00:10:18,084 --> 00:10:20,620 私だけじゃない。 138 00:10:20,620 --> 00:10:24,858 何人もが 君の石箱に人生を狂わされた。 139 00:10:24,858 --> 00:10:27,093 人聞き悪いな。 140 00:10:27,093 --> 00:10:31,331 僕だってアレに 輝かしい未来を潰された一人ですよ。 141 00:10:31,331 --> 00:10:34,767 (ノヴァク)あぁ そうだったな。 142 00:10:34,767 --> 00:10:39,606 しかし 最後は滑稽だった。 143 00:10:39,606 --> 00:10:45,011 地動説は異端思想じゃないんだってさ。 144 00:10:45,011 --> 00:10:48,214 全く笑えるよな。 145 00:10:48,214 --> 00:10:52,118 …あぁ そうだ。 146 00:10:52,118 --> 00:10:54,921 コレを持ってたんだ。 147 00:10:54,921 --> 00:10:59,125 返す。 私にはもう必要ない。 148 00:10:59,125 --> 00:11:02,028 いえ。 大丈夫です。 149 00:11:02,028 --> 00:11:04,030 なんで。 150 00:11:04,030 --> 00:11:09,269 僕は幻ですから受け取れませんし それに➡ 151 00:11:09,269 --> 00:11:12,272 それはもう僕だけのものじゃない。 152 00:11:14,240 --> 00:11:17,043 …あぁ。 153 00:11:17,043 --> 00:11:22,949 クソ… 参るよ こんなことになるなんて…。 154 00:11:22,949 --> 00:11:25,718 私は…➡ 155 00:11:25,718 --> 00:11:29,088 私は今まで何を…。 156 00:11:29,088 --> 00:11:32,058 ま しょうがないですよ。 157 00:11:32,058 --> 00:11:36,829 それぞれの状況の中で やれることをやった。 お互いにね。 158 00:11:36,829 --> 00:11:40,233 お互い…じゃない。 159 00:11:40,233 --> 00:11:45,138 君と私は大きく違うんだ。 同じ立場じゃない。 160 00:11:46,906 --> 00:11:52,445 地動説が異端じゃないと言われて 気付いたよ。 ん…。 161 00:11:52,445 --> 00:11:56,916 全く予想外だったが➡ 162 00:11:56,916 --> 00:11:59,819 私は…。 163 00:11:59,819 --> 00:12:04,223 私は この物語の悪役だったんだ。 164 00:12:08,161 --> 00:12:12,065 クソ… 全く驚きだ。 165 00:12:13,933 --> 00:12:16,603 (ラファウ)確かに…。 166 00:12:16,603 --> 00:12:20,907 確かに僕らは敵対した関係でしたね。 167 00:12:20,907 --> 00:12:24,310 この世には様々な人がいる。 168 00:12:24,310 --> 00:12:30,783 正直者も 嘘吐きも 情けない奴も 勇敢な奴も。 169 00:12:30,783 --> 00:12:33,686 さらに驚きなのが 一人の人間に➡ 170 00:12:33,686 --> 00:12:36,923 そのすべての要素が 入ってることもあるし➡ 171 00:12:36,923 --> 00:12:40,493 それらが日々 変化したりもする。 172 00:12:40,493 --> 00:12:45,231 こんなに大勢いるのに誰一人 同じ人はいない。 173 00:12:45,231 --> 00:12:48,234 そりゃ 争いは絶えないでしょう。 174 00:12:49,902 --> 00:12:52,672 でも だけどです。 175 00:12:52,672 --> 00:12:57,510 過去や未来 長い時間を隔てた後の 「彼ら」から見れば➡ 176 00:12:57,510 --> 00:13:03,816 今いる僕らは所詮 皆おしなべて「15世紀の人」だ。 177 00:13:03,816 --> 00:13:06,719 僕らは気付いたら この時代にいた。 178 00:13:06,719 --> 00:13:09,722 別の時代でもよかったのに この時代だった。 179 00:13:09,722 --> 00:13:13,559 それは ただの偶然にすぎないけど➡ 180 00:13:13,559 --> 00:13:17,430 奇跡的であり 運命的なことだ。 181 00:13:17,430 --> 00:13:20,566 僕は同じ思想に生まれるよりも➡ 182 00:13:20,566 --> 00:13:25,371 同じ時代に生まれることのほうが よっぽど「近い」と思う。 183 00:13:25,371 --> 00:13:28,975 だから 絶対そんなわけないと思いつつも➡ 184 00:13:28,975 --> 00:13:33,780 感情と理屈に拒絶されようとも こう信じたい。 185 00:13:33,780 --> 00:13:37,650 今 たまたまここに生きた全員は➡ 186 00:13:37,650 --> 00:13:43,056 たとえ殺し合うほど憎んでも 同じ時代を作った仲間な気がする。 187 00:13:46,893 --> 00:13:51,731 (ノヴァク)同じ時代を作った仲間…。 188 00:13:51,731 --> 00:13:55,835 それは私を… 慰めてくれてるのか? 189 00:13:58,104 --> 00:14:03,009 もちろん。 僕は貴方が作り出してる幻ですし。 190 00:14:03,009 --> 00:14:07,246 ふ… どうも。 191 00:14:07,246 --> 00:14:10,550 でも それに甘えちゃいけない。 192 00:14:10,550 --> 00:14:16,055 私は… 私は本当は 君に思ってたことがあるんだ。 193 00:14:17,724 --> 00:14:23,863 しかしそれは 君ら異端には感じてはいけない感覚だ。 194 00:14:23,863 --> 00:14:27,300 だから忘れたふりをして生きてきた。 195 00:14:27,300 --> 00:14:29,702 …なんですか? 196 00:14:32,972 --> 00:14:35,742 痛みだ。 197 00:14:35,742 --> 00:14:40,980 あの時 君の選択を見て 気の毒に思った。 198 00:14:40,980 --> 00:14:43,049 死を選ぶな。 199 00:14:43,049 --> 00:14:48,621 自分の信念や 他人の信仰に殺されるには若すぎる。 200 00:14:48,621 --> 00:14:51,324 そう思った。 201 00:14:51,324 --> 00:14:56,162 そうですか。 僕の考えとは違いますね。 202 00:14:56,162 --> 00:15:00,032 ま だからこそ覚えておきますよ。 203 00:15:00,032 --> 00:15:03,903 …あぁ。 204 00:15:03,903 --> 00:15:11,010 あれは神から与えられた 最初で最後の機会だったのかもしれない。 205 00:15:11,010 --> 00:15:15,848 でも その感情を 面倒くさがって無視したんだ。 206 00:15:15,848 --> 00:15:19,752 だからやっぱり私は…➡ 207 00:15:19,752 --> 00:15:23,055 悪役なんだ。 208 00:15:23,055 --> 00:15:26,259 (焼け落ちる音) 209 00:15:29,796 --> 00:15:33,666 あと何か言いたいことありますか? 210 00:15:33,666 --> 00:15:37,870 多分もう ここも潰れるし 貴方も死にますよ。 211 00:15:40,173 --> 00:15:43,676 …君 物知りだろ? 212 00:15:43,676 --> 00:15:47,580 だったら頼む 最後に教えてくれ。 213 00:15:49,482 --> 00:15:54,287 私の娘は 天国に行けたのか? 214 00:15:56,088 --> 00:15:58,057 さァ? 215 00:15:58,057 --> 00:16:03,496 随分前に言ったでしょ。 死後のことは誰も知らない。 216 00:16:03,496 --> 00:16:07,233 でも そうなってほしいなら➡ 217 00:16:07,233 --> 00:16:13,172 貴方がまだ生きてるうちに すべきだと思うことをしてください。 218 00:16:13,172 --> 00:16:16,843 やり残したことを。 219 00:16:16,843 --> 00:16:19,245 では さよなら。 220 00:16:23,616 --> 00:16:30,323 (教会が燃える音) 221 00:16:36,762 --> 00:16:54,714 ♬~ 222 00:16:54,714 --> 00:17:00,519 そうか… お前も見つけたんだな…。 223 00:17:00,519 --> 00:17:05,458 そのために… 地獄に堕ちたっていいと思えるものを…。 224 00:17:05,458 --> 00:17:10,863 ♬~ 225 00:17:10,863 --> 00:17:12,865 神様。 226 00:17:14,734 --> 00:17:16,802 神様➡ 227 00:17:16,802 --> 00:17:21,941 娘の過ちはすべて 私の勘違いが原因なのです。 228 00:17:21,941 --> 00:17:26,646 すべて私の過ちなのです。 229 00:17:26,646 --> 00:17:31,250 地動説が あなたに反するものでないなら➡ 230 00:17:31,250 --> 00:17:33,686 どうか➡ 231 00:17:33,686 --> 00:17:36,188 どうか➡ 232 00:17:36,188 --> 00:17:39,692 どうか➡ 233 00:17:39,692 --> 00:17:44,196 どうか 子供は天国へ。 234 00:17:48,968 --> 00:17:53,472 天国…へ。 235 00:17:53,472 --> 00:17:55,408 (倒れ込む音) 236 00:17:55,408 --> 00:18:12,658 ♬~ 237 00:18:12,658 --> 00:18:17,363 (教会が燃える音) 238 00:18:19,932 --> 00:18:22,601 ハァッ… ハァ…。 239 00:18:22,601 --> 00:18:25,871 ウッ… ハァ… ハァ…。 240 00:18:25,871 --> 00:18:32,044 ンッ… ハァ… ハァ… ハァ…。 241 00:18:32,044 --> 00:18:33,980 ウッ…! 242 00:18:33,980 --> 00:18:38,384 ハァッ… ン… ハッ…。 243 00:18:38,384 --> 00:18:41,487 ハァ… ハァ…。 244 00:18:44,724 --> 00:18:46,692 フ…。 245 00:18:46,692 --> 00:18:50,663 ハァ ハァ ハァ…。 246 00:18:50,663 --> 00:18:53,366 ふざけんなよ…。 247 00:18:53,366 --> 00:18:57,536 クソ… 刺しやがった…。 248 00:18:57,536 --> 00:18:59,739 (羽音) 249 00:19:03,342 --> 00:19:05,845 ハァ…。 250 00:19:05,845 --> 00:19:07,847 イ゛ッ!! ウッ! 251 00:19:09,782 --> 00:19:12,218 グ グ…ッ。 252 00:19:12,218 --> 00:19:14,920 ハァッ ハァッ…。 253 00:19:14,920 --> 00:19:17,890 ハァ… ハァ…。 254 00:19:17,890 --> 00:19:21,360 クッ!! 255 00:19:21,360 --> 00:19:24,063 コレ… 死ぬな…。 256 00:19:25,931 --> 00:19:28,267 クソッ…。 257 00:19:28,267 --> 00:19:30,669 ウ… グッ…。 258 00:19:30,669 --> 00:19:33,239 間違えた…。 259 00:19:33,239 --> 00:19:36,208 死んだら全部終わりだ。 260 00:19:36,208 --> 00:19:38,844 神も死後もないんだ。 261 00:19:38,844 --> 00:19:46,152 稼いだ金も 覚えた知識も見えた未来も すべてムダだ。 262 00:19:46,152 --> 00:19:51,757 こんな所で… 終わりなんだ…。 263 00:19:51,757 --> 00:19:57,697 私の人生は 一体 なんのために…。 264 00:19:57,697 --> 00:19:59,865 は…。 265 00:19:59,865 --> 00:20:49,882 ♬~ 266 00:21:02,528 --> 00:21:05,831 はーい! 並んでくださーい! 267 00:21:05,831 --> 00:21:10,703 初めて来ましたけど 噂どおりの大盛況ですね! 268 00:21:10,703 --> 00:21:13,072 そりゃどうも! 269 00:21:13,072 --> 00:21:15,307 ご注文どうします? 270 00:21:15,307 --> 00:21:17,877 あら 貴方息子さん? 271 00:21:17,877 --> 00:21:21,747 え あ いや… ここで ちょっとお世話になってて…。 272 00:21:21,747 --> 00:21:24,750 あらそう。 じゃ ご出身は? 273 00:21:24,750 --> 00:21:27,453 ん… ええと…。 274 00:21:30,189 --> 00:21:32,491 ⚟(木づちで板を叩く音) あ…! 275 00:21:32,491 --> 00:21:36,428 はいはい おまたせ! 焼き上がったよー! 276 00:21:36,428 --> 00:21:38,531 (客たち)おぉ! さぁ買った買ったー! 277 00:21:41,567 --> 00:21:44,303 (親方)いやァ 今日もご苦労! 278 00:21:44,303 --> 00:21:46,605 親方も お疲れ様です。 279 00:21:46,605 --> 00:21:49,642 ん~… あぁ。 280 00:21:49,642 --> 00:21:53,913 そうだ アルベルト! ちょっと話があるんだ! 281 00:21:53,913 --> 00:21:56,815 いいか? 282 00:21:56,815 --> 00:21:59,018 単刀直入に言う。 283 00:22:00,786 --> 00:22:03,022 大学へ行けるぞ! 284 00:22:03,022 --> 00:22:05,090 …は?? 285 00:22:05,090 --> 00:22:08,627 フッフッフッ 驚いたろ? 286 00:22:08,627 --> 00:22:11,931 でも心配ねぇ まァ聞け。 287 00:22:11,931 --> 00:22:17,269 知ってのとおり 俺たちパン屋は 当局の麦の買い入れ料に応じて➡ 288 00:22:17,269 --> 00:22:21,507 適切な値段と目方のパンを 出さなきゃならねぇ。 289 00:22:21,507 --> 00:22:27,813 お前は賢い。 情報を収集して 相場を予測し概算を出せる。 290 00:22:27,813 --> 00:22:32,651 その数値で俺は完璧な調合 分量のパンが作れる。 291 00:22:32,651 --> 00:22:37,256 おかげで店は安泰! お前は この店の功労者だ! 292 00:22:39,291 --> 00:22:43,495 と!いうわけで! 大学へ行く費用は すべて俺が出す! 293 00:22:43,495 --> 00:22:47,366 (アルベルト)ありがとうございます。 お断りさせて頂きます。 294 00:22:47,366 --> 00:22:49,368 お…。 295 00:22:49,368 --> 00:22:53,005 僕 大学行きたいなんて言いました? 296 00:22:53,005 --> 00:22:58,143 あ いや… お前は賢いし 昔は学ぶのが好きだと…。 297 00:22:58,143 --> 00:23:00,112 (アルベルト)学問なんて どうしようもないですよ。 298 00:23:00,112 --> 00:23:02,114 お…! 無意味だ。 299 00:23:02,114 --> 00:23:05,451 いや それどころか害悪ですよ。 300 00:23:05,451 --> 00:23:07,820 好奇心は人を飲む。 301 00:23:07,820 --> 00:23:12,658 研究なんて いずれ自己目的化して暴走する。 302 00:23:12,658 --> 00:23:15,961 早い話 関わらないほうがいい。 303 00:23:15,961 --> 00:23:21,467 …まァ確かに お前の昔の辛さは 俺にはわからねぇ。 304 00:23:21,467 --> 00:23:24,203 もうちっと 気ぃつかうべきだったな。 305 00:23:24,203 --> 00:23:26,872 えぇ 気持ちはありがたいですが➡ 306 00:23:26,872 --> 00:23:29,842 もう忘れたいんです。 昔のことは。 307 00:23:29,842 --> 00:23:33,646 僕は生活さえできれば十分満足です。 308 00:23:33,646 --> 00:23:36,482 他に何も望みません。 309 00:23:36,482 --> 00:23:39,685 (親方)ちょっと待て。 310 00:23:39,685 --> 00:23:44,523 じゃあなんで アストロラーベを捨てねぇんだ? 311 00:23:44,523 --> 00:23:49,995 ♬「行方知らずの あの雲を見た」 312 00:23:49,995 --> 00:23:55,601 ♬「わたしの鱗はあなたに似ていた」 313 00:23:55,601 --> 00:24:01,140 ♬「舌は二つ、まぶたは眠らず」 314 00:24:01,140 --> 00:24:07,680 ♬「ぼやけたよもぎの 香りがする」 315 00:24:07,680 --> 00:24:17,890 ♬~ 316 00:24:17,890 --> 00:24:23,495 ♬「行方知らずの あの雲の下」 317 00:24:23,495 --> 00:24:29,068 ♬「わたしの心は 火の粉に似ていた」 318 00:24:29,068 --> 00:24:34,840 ♬「靴はいらず、 耳は知らず」 319 00:24:34,840 --> 00:24:38,544 ♬「あなたの 寝息を聞く」 320 00:24:40,312 --> 00:24:46,185 ♬「ブルーベルのベッドを滑った 春みたいだ」 321 00:24:46,185 --> 00:24:51,490 ♬「シジュウカラはあんな風に歌うのか」 322 00:24:51,490 --> 00:24:58,130 ♬「海を知らず、花を愛でず、 空を仰ぐわたしは」 323 00:24:58,130 --> 00:25:02,434 ♬「また巫山の雲を見たいだけ」 324 00:25:02,434 --> 00:25:11,944 ♬~