1 00:00:01,235 --> 00:00:05,138 (雨音) 2 00:00:07,774 --> 00:00:10,978 ファァァ~~…。 3 00:00:10,978 --> 00:00:14,414 頼むよ~ ダミアン君さー…。 4 00:00:14,414 --> 00:00:17,217 コレ私必要なの? 5 00:00:17,217 --> 00:00:21,054 今日の異端はペーターさんの担当でしょ? 6 00:00:21,054 --> 00:00:24,491 移送の時だけ駆り出されるのもなぁ~。 7 00:00:24,491 --> 00:00:29,096 ノヴァクさん… 前々から思っていましたが➡ 8 00:00:29,096 --> 00:00:31,999 その態度はなんですか? えっ? 9 00:00:31,999 --> 00:00:37,738 (ダミアン) 我々は神に仕え 信仰の安定を守るために 働いているのですよ?➡ 10 00:00:37,738 --> 00:00:39,773 惰性は許されない。 んー…。 11 00:00:39,773 --> 00:00:43,844 何かあったら ノヴァクさんの 責任になるって わかってます? 12 00:00:43,844 --> 00:00:47,347 えっ… いや それはあの…。 13 00:00:52,953 --> 00:00:54,922 っ⁉ 14 00:00:54,922 --> 00:00:57,124 (御者)あぁっ! 15 00:00:57,124 --> 00:00:59,960 は…⁉ おい!➡ 16 00:00:59,960 --> 00:01:02,763 どういうことだ⁉ (ノヴァク)どうした? 17 00:01:02,763 --> 00:01:07,067 前の馬車 御者が飛び降りたと思ったら…。 18 00:01:07,067 --> 00:01:11,171 これは…! (ダミアン)警備組合の奴ら 裏切ったな! 19 00:01:12,873 --> 00:01:14,975 ここで止めて。 20 00:01:19,646 --> 00:01:21,882 そ それ 使用許可は⁉ 21 00:01:21,882 --> 00:01:25,886 まぁ緊急事態だ。 1発ならいいでしょ。 22 00:01:28,755 --> 00:01:32,259 (いななき) 23 00:01:32,259 --> 00:01:35,162 (馬車が横転する音) 24 00:01:39,433 --> 00:01:42,336 ウ… ウゥ…。 25 00:01:42,336 --> 00:01:44,271 あ…。 26 00:01:44,271 --> 00:01:46,273 (異端者)グ… ウグ…。 っ! 27 00:01:46,273 --> 00:01:49,176 ウ゛… ア゛ァ…。 28 00:01:49,176 --> 00:01:53,280 わちゃ~~ 派手にコケたな~。 29 00:01:53,280 --> 00:01:55,882 もうムリか。 う う…。 30 00:01:58,118 --> 00:02:00,354 (オクジー)たっ 助けてください! 31 00:02:00,354 --> 00:02:02,289 (ノヴァク)あ…。 32 00:02:02,289 --> 00:02:04,858 ク… ハァ… ハァ…。 33 00:02:04,858 --> 00:02:06,493 ん…。 34 00:02:06,493 --> 00:02:08,562 ハァ… ハァ…。 35 00:02:08,562 --> 00:02:10,697 うわっ⁉ 36 00:02:10,697 --> 00:02:14,368 ちょ ちょっと! 俺は脅されて! 37 00:02:14,368 --> 00:02:17,104 ソレ信じろって? 38 00:02:17,104 --> 00:02:19,406 えっ… いやっ…。 39 00:02:24,845 --> 00:02:27,280 っ! 40 00:02:27,280 --> 00:02:29,383 す… 隙がない。 41 00:02:33,153 --> 00:02:38,425 <この人 強い… 戦ったら多分 死ぬ。➡ 42 00:02:38,425 --> 00:02:41,028 こうなったら アレか…> 43 00:02:42,829 --> 00:02:47,134 負けました! 俺が悪いです! 許してください! 44 00:02:47,134 --> 00:02:50,404 え…? えぇー…。 45 00:02:50,404 --> 00:02:56,543 アレ? 交戦中に降参って どう対処すればいいんだっけ?➡ 46 00:02:56,543 --> 00:02:58,612 えーと…。➡ 47 00:02:58,612 --> 00:03:05,252 「各自判断に任せる」…って 一番めんどいヤツじゃん。 48 00:03:05,252 --> 00:03:08,855 まぁでも一度裏切ってるしなー。 49 00:03:08,855 --> 00:03:13,093 ダメかな。 君もう必要ないし。 50 00:03:13,093 --> 00:03:15,062 えっ⁉ 51 00:03:15,062 --> 00:03:17,064 うわっ!! 52 00:03:19,366 --> 00:03:22,069 は… はァッ⁉ なんでっ⁉ 53 00:03:23,770 --> 00:03:28,375 歴史が君を必要としたからだ。 頼む。 54 00:03:28,375 --> 00:03:30,677 えっ え⁉ 55 00:03:33,814 --> 00:03:35,916 フッ…。 56 00:03:37,818 --> 00:03:39,953 はっ…! 57 00:03:39,953 --> 00:03:42,456 ウッ! ハッハッ…! あ。 58 00:03:44,224 --> 00:03:46,226 ハッ ハッ ハッ…! 59 00:03:53,433 --> 00:03:55,368 ちっ。 (ダミアン)ノヴァクさん! 60 00:03:55,368 --> 00:03:58,738 ん? クロスボウ取って来ましょうか? 61 00:03:58,738 --> 00:04:01,641 あー いいよいいよ。 62 00:04:01,641 --> 00:04:04,144 えっ なんで⁉ 63 00:04:04,144 --> 00:04:06,880 めんどくさ…。 64 00:04:06,880 --> 00:04:11,451 いや あんま矢 消耗すると 怒られるからさ。 65 00:04:11,451 --> 00:04:14,354 それに我々が捕らえるべきは➡ 66 00:04:14,354 --> 00:04:17,257 今くたばってる「コレ」だしね。 67 00:04:20,160 --> 00:04:26,600 私も元傭兵だからわかるが どうせ奴らは文字一つ読めんだろう。 68 00:04:26,600 --> 00:04:30,537 異端になる能もない。 69 00:04:30,537 --> 00:04:34,441 ほっといても何もできやしないさ。 70 00:04:37,577 --> 00:04:42,215 ♬「何度でも 何度でも叫ぶ」 71 00:04:42,215 --> 00:04:50,490 ♬「この暗い夜の怪獣になっても」 72 00:04:50,490 --> 00:04:56,296 ♬「ここに残しておきたいんだよ」 73 00:04:56,296 --> 00:04:58,298 ♬「この秘密を」 74 00:05:01,067 --> 00:05:04,771 ♬「だんだん食べる」 75 00:05:04,771 --> 00:05:11,545 ♬「赤と青の星々 未来から過去を」 76 00:05:11,545 --> 00:05:15,415 ♬「順々に食べる」 77 00:05:15,415 --> 00:05:23,490 ♬「何十回も噛み潰し 溶けたなら飲もう」 78 00:05:23,490 --> 00:05:28,128 ♬「丘の上で星を見ると」 79 00:05:28,128 --> 00:05:34,067 ♬「感じるこの寂しさも」 80 00:05:34,067 --> 00:05:36,837 ♬「朝焼けで」 81 00:05:36,837 --> 00:05:43,610 ♬「手が染まる頃にはもう忘れてるんだ」 82 00:05:43,610 --> 00:05:50,917 ♬「この世界は好都合に未完成」 83 00:05:50,917 --> 00:05:53,820 ♬「だから知りたいんだ」 84 00:05:53,820 --> 00:06:01,428 ♬「でも怪獣みたいに遠く遠く叫んでも」 85 00:06:01,428 --> 00:06:06,032 ♬「また消えてしまうんだ」 86 00:06:06,032 --> 00:06:10,337 ハッ… フゥ… ハァ…。 (足音) 87 00:06:10,337 --> 00:06:12,272 (足音) 88 00:06:12,272 --> 00:06:15,275 ハァ… ハッ ハッ…。 89 00:06:24,251 --> 00:06:26,620 (オクジー)あ あの…。 90 00:06:26,620 --> 00:06:30,056 逃げないんでもう剣 おろしていいですよ。 91 00:06:30,056 --> 00:06:32,459 そ… そうか…。 92 00:06:36,830 --> 00:06:40,066 巻き込んでしまい すまない。 93 00:06:40,066 --> 00:06:44,471 しかし やり直したいかと問われたら そうではなく➡ 94 00:06:44,471 --> 00:06:48,341 恐らく何度繰り返しても 同じ選択をしただろうから➡ 95 00:06:48,341 --> 00:06:51,344 この謝罪は 誠実さを欠いている。 96 00:06:51,344 --> 00:06:54,814 その点も 大変 申し訳ないと思ってる。 97 00:06:54,814 --> 00:07:00,220 あ…? あ ええ わかりました。 98 00:07:00,220 --> 00:07:03,523 (足音) 99 00:07:13,166 --> 00:07:15,669 ちょっと開けてきましたね。 100 00:07:15,669 --> 00:07:19,472 この辺りが中腹かもしれん。 探そう。 101 00:07:32,218 --> 00:07:34,321 ん…? 102 00:07:38,024 --> 00:07:40,126 グラスさん! 103 00:07:43,463 --> 00:07:45,398 っ! 104 00:07:45,398 --> 00:07:48,101 こ… コレか…。 105 00:07:51,604 --> 00:07:55,475 (石箱のフタを開ける音) 106 00:07:55,475 --> 00:08:03,950 ♬~ 107 00:08:03,950 --> 00:08:05,952 んー…。 108 00:08:09,122 --> 00:08:12,425 コレは… なんの図だ? 109 00:08:13,960 --> 00:08:17,430 こっちは手紙みたいです。 二つあって…。 110 00:08:17,430 --> 00:08:21,301 っ! 日付が最近のと…➡ 111 00:08:21,301 --> 00:08:24,637 10年前の? 112 00:08:24,637 --> 00:08:28,641 最近のほうをくれるか。 あの異端者の物かもしれん。 113 00:08:30,910 --> 00:08:33,246 ん…。 114 00:08:33,246 --> 00:08:36,449 ぐっ! クソッ 目が…。 115 00:08:36,449 --> 00:08:38,952 ええと…。 116 00:08:38,952 --> 00:08:41,454 「初めに――➡ 117 00:08:41,454 --> 00:08:47,260 私はこの石箱の製作者ではない 発見者だ。➡ 118 00:08:47,260 --> 00:08:53,066 この箱の発見に至った経緯について 書き残そうと思う。➡ 119 00:08:53,066 --> 00:08:58,705 私は占星術師として 日頃より天体観測をしていた。➡ 120 00:08:58,705 --> 00:09:05,478 ある時 視界や高度を考慮し ここ一帯で一番の観測地を見つけた。➡ 121 00:09:05,478 --> 00:09:08,748 すると不思議なことに気付いた。➡ 122 00:09:08,748 --> 00:09:11,651 そこにある二つの大岩のそれぞれに➡ 123 00:09:11,651 --> 00:09:15,455 中央に印がついた三つ星➡ 124 00:09:15,455 --> 00:09:19,092 オリオンのベルトが彫られていた。➡ 125 00:09:19,092 --> 00:09:23,530 そして それに対応するように 二つの岩の間に➡ 126 00:09:23,530 --> 00:09:27,200 ちょうど向かいの山の中腹が見える。➡ 127 00:09:27,200 --> 00:09:32,539 一体そこに何が? 誰が? なんのために?➡ 128 00:09:32,539 --> 00:09:36,242 好奇心に駆られた私は その山へ向かい――…」。 129 00:09:38,678 --> 00:09:42,549 (異端者の声) 「そして この箱に出会ったのである」。 130 00:09:42,549 --> 00:09:45,452 (グラス)「結局 箱を残したのが誰で➡ 131 00:09:45,452 --> 00:09:50,223 何故 放置されていたのか 経緯はわからない。➡ 132 00:09:50,223 --> 00:09:52,926 しかしその中身は 未完成ながら➡ 133 00:09:52,926 --> 00:09:58,264 人類の歴史と運命を変えてしまうものだと ハッキリわかった。➡ 134 00:09:58,264 --> 00:10:01,234 もしこの発見のせいで 私が死んだとしても➡ 135 00:10:01,234 --> 00:10:06,372 この発見のおかげで私は 幸福な命だったと断言できる」。 136 00:10:06,372 --> 00:10:09,275 っ! 137 00:10:09,275 --> 00:10:11,277 は…! 138 00:10:11,277 --> 00:10:15,515 「詳細は同梱されている資料を 確認されたい。➡ 139 00:10:15,515 --> 00:10:20,153 私も勝手ながら 複数の 計算修正をさせてもらった。➡ 140 00:10:20,153 --> 00:10:23,056 ――以上」。 141 00:10:23,056 --> 00:10:25,125 そっちの手紙には なんと? 142 00:10:25,125 --> 00:10:27,227 え? あ…。 143 00:10:28,862 --> 00:10:31,264 …よ 読めません。 144 00:10:31,264 --> 00:10:34,167 文字ちゃんと習ってないので…。 145 00:10:34,167 --> 00:10:38,171 あ でも… タイトルだけなら なんとか。 146 00:10:38,171 --> 00:10:40,907 (グラス)なんだ? 147 00:10:40,907 --> 00:10:42,909 「地」。 148 00:10:49,249 --> 00:10:51,251 (足音) 149 00:10:52,919 --> 00:10:55,722 (グラス)ダメだ。 この橋も崩れてる。 150 00:10:55,722 --> 00:10:59,325 迂回しよう。 ここからだと…。 151 00:11:01,561 --> 00:11:04,964 っ⁉ あ…。 152 00:11:04,964 --> 00:11:07,267 <そういやコレ…> 153 00:11:11,304 --> 00:11:13,806 捨てるのか? ええ。 154 00:11:13,806 --> 00:11:16,776 異端のですし 気味悪くて。 155 00:11:16,776 --> 00:11:20,780 (グラス)しかし 重要な手がかりだ。 私が引き継ごう。 156 00:11:24,484 --> 00:11:26,786 …っ。 さあ 行くぞ。 157 00:11:28,621 --> 00:11:30,623 あ…。 158 00:11:32,292 --> 00:11:36,196 地? はい。 表紙にはそれだけ。 159 00:11:36,196 --> 00:11:38,197 貸してくれ 読もう。 160 00:11:40,166 --> 00:11:44,871 (グラス)えー… 「この星空の秘密を捧げる。➡ 161 00:11:44,871 --> 00:11:51,678 なお これにより利益が生じた場合 その一割をポトツキに贈与すること。➡ 162 00:11:51,678 --> 00:11:56,482 彼の協力は心強かった。 住所は――…」➡ 163 00:11:56,482 --> 00:12:01,120 って 結局内容は書かれてないな…。➡ 164 00:12:01,120 --> 00:12:05,058 一体コレは なんなんだ…? 165 00:12:05,058 --> 00:12:10,663 まず この書物については 察するに天文学のものだろう。 166 00:12:10,663 --> 00:12:15,501 だが肝心の内容は ラテン語や数式で書かれてて読めん。 167 00:12:15,501 --> 00:12:18,871 そして我々の今後についてだが➡ 168 00:12:18,871 --> 00:12:24,010 私のせいで 君は街にも組合にも戻れないだろう。 169 00:12:24,010 --> 00:12:26,913 しかし自己弁護するなら…➡ 170 00:12:26,913 --> 00:12:31,751 今の状況を利用して 全てを逆転できるかもしれん。 171 00:12:31,751 --> 00:12:36,589 この記録の量を見るに ただの思いつきやホラ話じゃない。 172 00:12:36,589 --> 00:12:39,826 本気の“何か”だろう。 173 00:12:39,826 --> 00:12:44,163 見せるべき相手に見せれば 大手柄をくれるやもしれん。 174 00:12:44,163 --> 00:12:46,933 そして箱の内容も知れる。 175 00:12:46,933 --> 00:12:51,304 そんな都合のいい相手いますか? 176 00:12:51,304 --> 00:12:55,174 実は一人 心当たりがある。 177 00:12:55,174 --> 00:12:58,745 私が惑星について尋ねた修道士だ。 178 00:12:58,745 --> 00:13:02,282 名は確か… 「バデーニ」。 179 00:13:02,282 --> 00:13:06,152 っ! 修道士様に異端の話なんて…! 180 00:13:06,152 --> 00:13:09,055 それが ただの修道士じゃない。 181 00:13:09,055 --> 00:13:12,659 彼は少し前に左遷されてな。 182 00:13:12,659 --> 00:13:15,361 理由は素行不良と…➡ 183 00:13:15,361 --> 00:13:18,598 思想上の禁忌。 っ! 184 00:13:18,598 --> 00:13:23,102 適任だろ? そうと決まれば 早速行こう。 185 00:13:25,204 --> 00:13:28,608 お…? どうかしたかい? 186 00:13:28,608 --> 00:13:32,545 いや… 混乱してて…。 187 00:13:32,545 --> 00:13:37,283 ここまで来ちゃいましたけど 冷静になれば俺➡ 188 00:13:37,283 --> 00:13:41,187 この先も ついて行く必要 あんまないというか…。 189 00:13:44,057 --> 00:13:48,528 グラスさんが決めてくれますか? どっちがいいか。 190 00:13:48,528 --> 00:13:50,530 ん…。 191 00:13:52,265 --> 00:13:57,837 二人のほうが安全なので 同行して頂けると ありがたいが…。 192 00:13:57,837 --> 00:14:00,740 で では そうします。 193 00:14:00,740 --> 00:14:06,346 (川の水音) 194 00:14:08,448 --> 00:14:11,351 (グラス)オクジー君。 ん…? 195 00:14:11,351 --> 00:14:16,189 ちょっと北極星を見てくれるか? 方角が見たい。 196 00:14:16,189 --> 00:14:19,092 さっき目をやってしまってね。 197 00:14:19,092 --> 00:14:22,962 あ すいません。 それは無理です。 198 00:14:22,962 --> 00:14:25,965 は? 君の視力なら…。 199 00:14:25,965 --> 00:14:30,703 そ 空が見られないんです。 その…。 200 00:14:30,703 --> 00:14:34,440 …こ 怖くて。 201 00:14:34,440 --> 00:14:37,076 昔 神父様に教わったんです。 202 00:14:37,076 --> 00:14:43,783 夜空が綺麗なのは 汚れた底辺の地球から 見上げてるからだ と。 203 00:14:43,783 --> 00:14:48,020 それ以来 空を見ると 星が…➡ 204 00:14:48,020 --> 00:14:53,226 大地に生きている人間を 蔑むような眼に見えて…。 205 00:14:53,226 --> 00:14:56,129 おかしな話ですが。 206 00:14:56,129 --> 00:14:59,165 (グラス)それ以前は 空は見られたのかい? 207 00:14:59,165 --> 00:15:01,901 は はい。 208 00:15:01,901 --> 00:15:05,138 というか むしろ…➡ 209 00:15:05,138 --> 00:15:07,240 多分 好きでした。 210 00:15:09,475 --> 00:15:13,279 (グラス)もう一度 空を見たいとは 思わないのかい? 211 00:15:13,279 --> 00:15:17,550 …はい。 怖いんで いいです。 212 00:15:17,550 --> 00:15:22,255 せっかく好きだったんだ 見切るには惜しいじゃないか。 213 00:15:22,255 --> 00:15:26,025 まぁ そりゃ。 アハハ…。 214 00:15:26,025 --> 00:15:29,896 でも グラスさんには 関係ないことですよ。 215 00:15:29,896 --> 00:15:35,701 もちろん ない。 だが私も昔 家族を失ってね。 216 00:15:35,701 --> 00:15:40,239 好きなものを失う辛さはわかるよ。 …ッ。 217 00:15:40,239 --> 00:15:45,077 (オクジー) そ それに比べたら大したことないです。➡ 218 00:15:45,077 --> 00:15:48,681 所詮 この世のことなんで。 219 00:15:48,681 --> 00:15:53,553 そんなことはない。 本人からしたら大問題だ。 220 00:15:53,553 --> 00:16:00,226 いや それに… きっとグラスさんの場合は 失われてませんよ。 221 00:16:00,226 --> 00:16:04,664 ん…? ご家族は今頃 天国にいるはずです。 222 00:16:04,664 --> 00:16:09,202 いずれ天国で再会できますよ。 223 00:16:09,202 --> 00:16:12,471 ありがとう。 私もそう思うよ。 224 00:16:12,471 --> 00:16:14,507 しかし…➡ 225 00:16:14,507 --> 00:16:19,245 私が失ったのは この世に希望を感じる心だ。 226 00:16:19,245 --> 00:16:21,581 っ…! 227 00:16:21,581 --> 00:16:28,120 少し前までずっと… 愛しい家族を奪った この世を呪ってた。 228 00:16:28,120 --> 00:16:33,893 だが考えてみれば 愛しい家族と出会えたのも この世だ。 229 00:16:33,893 --> 00:16:39,198 だとしたら私は 家族と過ごしたこの世を 否定したくない。 230 00:16:39,198 --> 00:16:45,104 難しいことかもしれないが もう一度 この世を肯定したいんだ。 231 00:16:46,939 --> 00:16:50,376 (オクジー)残酷ですが ムリですよ それは。 232 00:16:50,376 --> 00:16:52,612 っ! 233 00:16:52,612 --> 00:16:57,450 希望は天国にしかない。 この世は汚れてる。 234 00:16:57,450 --> 00:17:01,988 何故なら 神様が そうお創りになられたからだ。 235 00:17:01,988 --> 00:17:06,759 歴史上の頭のいい人たちが出した 事実です。 236 00:17:06,759 --> 00:17:09,462 君は…➡ 237 00:17:09,462 --> 00:17:13,866 君はもう完全に この世を諦めてしまっているのか? 238 00:17:17,236 --> 00:17:21,541 はい。 この世で待っているのは喪失だけだ。 239 00:17:21,541 --> 00:17:25,778 しかも人はどうせ すぐ死んで 天国か地獄へ行くので➡ 240 00:17:25,778 --> 00:17:28,681 そっちを気にするべきです。 241 00:17:30,449 --> 00:17:32,552 あ…。 242 00:17:38,190 --> 00:17:41,928 (グラス)<「希望は天国にしかない」…。➡ 243 00:17:41,928 --> 00:17:44,263 なのに何故あの異端は➡ 244 00:17:44,263 --> 00:17:50,937 天国を遠ざけて 命を賭けてまで この世を称えた…?➡ 245 00:17:50,937 --> 00:17:55,808 人は死ぬ… いつか出て行く この世への想いを持つことに➡ 246 00:17:55,808 --> 00:17:58,678 なんの意味がある?➡ 247 00:17:58,678 --> 00:18:03,015 死後に残るのは 自分抜きの世界だけだ…。➡ 248 00:18:03,015 --> 00:18:06,886 そこに希望なんて…> 249 00:18:06,886 --> 00:18:08,988 っ! 250 00:18:13,559 --> 00:18:16,228 <いや…➡ 251 00:18:16,228 --> 00:18:19,332 もしかして ソレが…> 252 00:18:20,967 --> 00:18:25,571 (鳥の鳴き声) 253 00:18:25,571 --> 00:18:30,509 (グラス)よかった 橋が残ってた。 ここを渡れば もう村だ。 254 00:18:30,509 --> 00:18:33,913 これでとりあえず一安心ですね。 255 00:18:49,095 --> 00:18:51,597 オクジー君。 はい? 256 00:18:51,597 --> 00:18:54,567 ここまでは 私が無理やり巻き込んだ。 257 00:18:54,567 --> 00:18:58,270 だから ここからは 君に選んでほしい。 258 00:18:58,270 --> 00:19:01,941 え? この先の選択肢は二つ。 259 00:19:01,941 --> 00:19:07,880 一つは 村に着いたら今回の経緯と 石箱のことを教会に通報する。 260 00:19:07,880 --> 00:19:13,152 そうすれば 街に戻れるかもしれないし 君は天国に近づく。 261 00:19:13,152 --> 00:19:15,955 でも そんなことしたらグラスさんは…。 262 00:19:19,258 --> 00:19:21,360 二つ目は… っ! 263 00:19:24,096 --> 00:19:26,098 うおっ!!あぁ!! 264 00:19:29,068 --> 00:19:31,670 (オクジー)ぐっ…!! 265 00:19:31,670 --> 00:19:33,606 グ グラスさん!! 266 00:19:33,606 --> 00:19:37,610 ぐっ… く…!! うぅっ…!! 267 00:19:37,610 --> 00:19:40,446 うぅう…!! 268 00:19:40,446 --> 00:19:42,782 っ! 269 00:19:42,782 --> 00:19:45,351 これが 私の…。 270 00:19:45,351 --> 00:19:47,286 (グラス)二つ目を手短に言う! 271 00:19:47,286 --> 00:19:50,222 (オクジー)は⁉ 今そんな場合じゃ! 272 00:19:50,222 --> 00:19:55,795 二つ目は 一つ目全部無視して この世界に期待することだ! 273 00:19:55,795 --> 00:20:00,800 はっ⁉ (グラス) そしていつか 再びその眼で空を見てくれ。 274 00:20:03,069 --> 00:20:05,037 っ!➡ 275 00:20:05,037 --> 00:20:07,039 うぁっ!! 276 00:20:07,039 --> 00:20:09,475 んぐっ…!!➡ 277 00:20:09,475 --> 00:20:13,079 なっ 何してる!! ツタが切れるぞ!! 278 00:20:13,079 --> 00:20:15,114 (オクジー)しっ死にたいんですか⁉➡ 279 00:20:15,114 --> 00:20:18,484 そっちこそ何してるんですか!! 280 00:20:18,484 --> 00:20:21,253 託してる。 (オクジー)はっ⁉ 281 00:20:21,253 --> 00:20:25,124 (グラス)このままでは二人とも死ぬ。 それはダメだ。 282 00:20:25,124 --> 00:20:29,395 あの異端が命を張れたのはきっと 託す相手がいたからだ。 283 00:20:29,395 --> 00:20:32,298 (オクジー)うっ!! う…! (グラス)君の言うように➡ 284 00:20:32,298 --> 00:20:35,201 この世界は喪失で溢れている。➡ 285 00:20:35,201 --> 00:20:39,038 それに 人はいつか死んで ここを去る。➡ 286 00:20:39,038 --> 00:20:43,275 でも 私が死んでも この世界は続く。 287 00:20:43,275 --> 00:20:46,178 だったらそこに何かを託せる。➡ 288 00:20:46,178 --> 00:20:50,349 それが 喪失まみれのこの世界から 生まれたある種の➡ 289 00:20:50,349 --> 00:20:52,718 希望だ。 290 00:20:52,718 --> 00:20:56,155 っ! 託すって誰に⁉ 俺ですか⁉ 291 00:20:56,155 --> 00:21:00,159 期待されても困る!! 俺がやる保証なんて全くない!! 292 00:21:00,159 --> 00:21:03,696 (グラス)そのとおりだ。 だが君はやる。➡ 293 00:21:03,696 --> 00:21:06,065 君はまだ天国へ行くべきじゃない。 294 00:21:06,065 --> 00:21:08,033 なっ 何故⁉ 295 00:21:08,033 --> 00:21:13,806 フッ… 君の顔はまだ 死を恐れてるからだ。 296 00:21:13,806 --> 00:21:15,808 っ…! 297 00:21:18,644 --> 00:21:20,613 っ!! 298 00:21:24,517 --> 00:21:27,620 (グラスの声)これが私の 運命だ。 299 00:21:29,955 --> 00:21:31,957 (水音) 300 00:21:34,693 --> 00:21:38,564 ハッ… ハッ… ハッ… ハッ…➡ 301 00:21:38,564 --> 00:21:42,434 ハッ… ハッ… ハッ… ハァッ…。 302 00:21:42,434 --> 00:21:47,373 ハァッ ハァッ ハァッ ハァ… ハァ…。 303 00:21:47,373 --> 00:21:51,177 ハァッ… ハァッ… ハァッ…。 304 00:21:51,177 --> 00:21:53,879 し 死んだ…。 305 00:21:53,879 --> 00:21:56,515 ハッ… ッ…。 306 00:21:56,515 --> 00:21:58,517 ッ! 307 00:22:08,060 --> 00:22:10,362 (老人たち)ハハハハハ…。 308 00:22:10,362 --> 00:22:14,033 (老人) いやー クラボフスキさんは優しいなあ。 309 00:22:14,033 --> 00:22:17,403 (老女)いつも話し相手になってくれて。 310 00:22:17,403 --> 00:22:20,306 (クラボフスキ) 皆さんのお話が面白いからですよ。 311 00:22:20,306 --> 00:22:22,708 またまたー。 312 00:22:22,708 --> 00:22:28,047 こないだやって来た副助祭の… ほら 誰だっけ? 313 00:22:28,047 --> 00:22:30,583 あの人とは大違いだよ。 314 00:22:30,583 --> 00:22:36,722 (老人)全く。 いくら都会で 優秀だったからって 情がなきゃねぇ。 315 00:22:36,722 --> 00:22:39,725 ハハハ まぁそう言わないで。 316 00:22:41,694 --> 00:22:44,196 ん…? (老人たち)ん? 317 00:22:46,699 --> 00:22:50,269 (ペンで書く音) ⚟(ノック) 318 00:22:50,269 --> 00:22:52,271 ⚟(ノック) 319 00:22:52,271 --> 00:22:54,506 ⚟(クラボフスキ)すみません。 320 00:22:54,506 --> 00:22:57,843 お客さんですよ バデーニさん。 321 00:22:57,843 --> 00:23:00,746 そんな予定はないですが。 322 00:23:00,746 --> 00:23:03,649 と言われましても…。 323 00:23:03,649 --> 00:23:05,651 ハァ…。 324 00:23:14,293 --> 00:23:16,929 どちら様? なんの用で? 325 00:23:16,929 --> 00:23:30,009 ♬~ 326 00:23:30,009 --> 00:23:45,424 ♬~ 327 00:23:45,424 --> 00:23:49,295 ♬「描き始めた あなたは小さく」 328 00:23:49,295 --> 00:23:53,165 ♬「ため息をした あんなに大きく」 329 00:23:53,165 --> 00:23:57,069 ♬「波打つ窓の光の束が」 330 00:23:57,069 --> 00:24:02,474 ♬「あなたの横顔に跳ねている」 331 00:24:04,877 --> 00:24:08,714 ♬「僕の体は雨の集まり」 332 00:24:08,714 --> 00:24:12,618 ♬「貴方の指は 春の木漏れ日」 333 00:24:12,618 --> 00:24:16,689 ♬「紙に弾けたインクの影が」 334 00:24:16,689 --> 00:24:21,694 ♬「僕らの横顔を描写している」 335 00:24:23,562 --> 00:24:32,004 ♬「長い夢を見た 僕らは気球にいた」 336 00:24:32,004 --> 00:24:40,279 ♬「遠い国の誰かが月と見間違ったらいい」 337 00:24:40,279 --> 00:24:48,487 ♬「あの海を見たら 魂が酷く跳ねた」 338 00:24:48,487 --> 00:24:53,292 ♬「白い魚の群れに」 339 00:24:53,292 --> 00:24:56,195 ♬「あなたは見惚れている」