1 00:00:07,875 --> 00:00:10,878 (足音) (所員A)いや今日も気が重いですな。 2 00:00:10,878 --> 00:00:14,181 (所員B)また怒鳴られるよ。 ん? 3 00:00:14,181 --> 00:00:17,618 おい 君は参加できないぞ。 ヨレンタ君。 4 00:00:17,618 --> 00:00:21,488 うっ はい。 もちろんわかってます! 5 00:00:21,488 --> 00:00:23,790 (所員B)ふん そうか。 (扉が開く音) 6 00:00:32,733 --> 00:00:35,302 ハッ ハッ ハッ…! 7 00:00:35,302 --> 00:00:39,740 (ヨレンタ)<神様! バレませんように! バレませんように!!➡ 8 00:00:39,740 --> 00:00:44,544 なんでこんなこと始めちゃったんだ! 今からでも絶対やめたほうがいいのに!> 9 00:00:47,214 --> 00:00:49,416 <手袋は… 汚れないように> 10 00:00:51,752 --> 00:00:54,655 <なんか今日はツイてない気がする。➡ 11 00:00:54,655 --> 00:00:56,957 今日こそバレる気がする> 12 00:01:02,129 --> 00:01:04,131 んっ…! 13 00:01:08,869 --> 00:01:12,573 <ツイてない ツイてない… もう直感でわかる。➡ 14 00:01:12,573 --> 00:01:15,475 そろそろ神様も見放す…!> ⚟(ざわめき) 15 00:01:15,475 --> 00:01:17,477 っ! ⚟(扉の開閉音) 16 00:01:17,477 --> 00:01:20,447 ⚟(所員A)あ! ピャスト様。 ⚟(所員B)おはようございます! 17 00:01:20,447 --> 00:01:22,783 <まっ 間に合った…> 18 00:01:22,783 --> 00:01:25,585 ⚟(ピャスト伯) 挨拶などいい! ゴホッゴホッ…。➡ 19 00:01:25,585 --> 00:01:29,923 貴様のつまらん論文のせいで 私の寿命を無駄にした! 20 00:01:29,923 --> 00:01:31,858 ⚟(所員B)すっ すみません! 21 00:01:31,858 --> 00:01:35,562 ⚟(所員A)さ さて… ピャスト伯も来られたので本題に…。 22 00:01:40,968 --> 00:01:46,106 <え⁉ 中東異教徒による 古代ギリシア天文学の修正⁉➡ 23 00:01:46,106 --> 00:01:49,509 絶対 他じゃ聞けないヤツだ!➡ 24 00:01:49,509 --> 00:01:54,014 か 神様。 私 ツイてます…!> 25 00:01:56,617 --> 00:02:01,188 ♬「何度でも 何度でも叫ぶ」 26 00:02:01,188 --> 00:02:09,463 ♬「この暗い夜の怪獣になっても」 27 00:02:09,463 --> 00:02:15,268 ♬「ここに残しておきたいんだよ」 28 00:02:15,268 --> 00:02:17,270 ♬「この秘密を」 29 00:02:20,040 --> 00:02:23,810 ♬「だんだん食べる」 30 00:02:23,810 --> 00:02:30,584 ♬「赤と青の星々 未来から過去を」 31 00:02:30,584 --> 00:02:34,454 ♬「順々に食べる」 32 00:02:34,454 --> 00:02:42,529 ♬「何十回も噛み潰し 溶けたなら飲もう」 33 00:02:42,529 --> 00:02:47,167 ♬「丘の上で星を見ると」 34 00:02:47,167 --> 00:02:53,106 ♬「感じるこの寂しさも」 35 00:02:53,106 --> 00:02:55,876 ♬「朝焼けで」 36 00:02:55,876 --> 00:03:02,582 ♬「手が染まる頃にはもう忘れてるんだ」 37 00:03:02,582 --> 00:03:09,890 ♬「この世界は好都合に未完成」 38 00:03:09,890 --> 00:03:12,793 ♬「だから知りたいんだ」 39 00:03:12,793 --> 00:03:20,467 ♬「でも怪獣みたいに遠く遠く叫んでも」 40 00:03:20,467 --> 00:03:24,271 ♬「また消えてしまうんだ」 41 00:03:27,107 --> 00:03:30,977 (所員B)ふう… 今日も苛烈だったね…。 (所員A)ああ。 42 00:03:30,977 --> 00:03:33,580 (ヨレンタ)お疲れ様です。 (所員B)お。 43 00:03:37,384 --> 00:03:42,222 ふっ 全く羨ましいよ。 君はこの時間 休憩だもんな。 44 00:03:42,222 --> 00:03:46,793 ッ! で では いつもお願いしてるとおり➡ 45 00:03:46,793 --> 00:03:49,696 私も研究会に参加させてください! 46 00:03:49,696 --> 00:03:54,901 それはダメだ。 まだ君が この仕事に向いてるか判断しかねる。 47 00:03:54,901 --> 00:03:56,970 ん…。 48 00:03:56,970 --> 00:04:02,576 (所員B)何とは言わんが 君は我々とは明らかに違うからね。 49 00:04:02,576 --> 00:04:04,678 そ… それは。 50 00:04:06,279 --> 00:04:09,316 おぉ ヨレンタ君 ここにいたか。 51 00:04:09,316 --> 00:04:12,853 (ヨレンタ)あっ。 コルベさん。 ヤァ。 52 00:04:12,853 --> 00:04:15,822 ど どうも お疲れ様です。 53 00:04:15,822 --> 00:04:19,259 コルベさん お宅も大変ですね。 54 00:04:19,259 --> 00:04:21,995 まさかヨレンタ君が 助手につくとは。 55 00:04:21,995 --> 00:04:25,232 ええ 全くです。 う…。 56 00:04:25,232 --> 00:04:28,802 助手が優秀すぎるのも 扱いに困りますね。 57 00:04:28,802 --> 00:04:31,671 え? え? 58 00:04:31,671 --> 00:04:34,141 (足音) 59 00:04:34,141 --> 00:04:37,144 私は何度でも言うよ。 60 00:04:37,144 --> 00:04:41,615 これから先の人生 君の本質と無関係な所で➡ 61 00:04:41,615 --> 00:04:45,919 君の全てを否定する輩と 出会うかもしれない。 62 00:04:45,919 --> 00:04:49,923 そしてその度 心が折れそうになるかもしれない。 63 00:04:49,923 --> 00:04:54,594 だけど 君は 自分のやってることを信じて進むんだ。 64 00:04:54,594 --> 00:04:57,597 いざって時 退いたら終わりだ。 65 00:04:57,597 --> 00:05:00,233 私も可能な限り支援するよ。 66 00:05:00,233 --> 00:05:02,536 は… はい! 67 00:05:04,571 --> 00:05:08,208 というわけで 執筆中の論文はどうだい? 68 00:05:08,208 --> 00:05:11,077 一応 完成しました。 69 00:05:11,077 --> 00:05:14,347 ほう! 70 00:05:14,347 --> 00:05:16,283 コレです。 71 00:05:16,283 --> 00:05:18,285 どれ…。 72 00:05:20,053 --> 00:05:22,589 (紙をめくる音) 73 00:05:22,589 --> 00:05:26,092 い 今ある全てを出したつもりで…。 74 00:05:26,092 --> 00:05:28,662 面白い。 え? 75 00:05:28,662 --> 00:05:31,865 よくできてるよ! まだ若いのにスゴいな! 76 00:05:31,865 --> 00:05:34,768 ほ… 本当ですか! 77 00:05:34,768 --> 00:05:39,606 よし決めた! コレは私のほうから ピャスト伯に提出するよ。 78 00:05:39,606 --> 00:05:42,375 っ! ピャスト伯に⁉ 79 00:05:42,375 --> 00:05:47,347 ああ。 ちょっと査読をするから その間 君は休暇だ。 80 00:05:47,347 --> 00:05:51,818 そうだな この機に実家にでも顔を出すといい。 81 00:05:51,818 --> 00:05:54,588 実家? 何故ですか? 82 00:05:54,588 --> 00:05:58,892 コレが評価されたら 図書館から晴れて天文台勤務だ。 83 00:05:58,892 --> 00:06:01,261 っ! 84 00:06:01,261 --> 00:06:05,832 (コルベ)忙しくなるぞ。 今のうちに帰省したほうがいい。 85 00:06:05,832 --> 00:06:07,834 (ヨレンタ)は はい! 86 00:06:10,437 --> 00:06:12,439 …っしゃ! 87 00:06:14,140 --> 00:06:17,677 (バデーニ)1 惑星の中心は太陽である。 88 00:06:17,677 --> 00:06:20,146 2 軌道は真円である。 89 00:06:20,146 --> 00:06:24,117 3 惑星は一定の速度で運行する。 90 00:06:24,117 --> 00:06:30,490 まとめると それがこの書物の主張であり 独創的な発想であり――。 91 00:06:30,490 --> 00:06:32,559 (オクジー)真理ですか? 92 00:06:32,559 --> 00:06:35,862 いや 限界だ。 えっ? 93 00:06:35,862 --> 00:06:39,199 (バデーニ)まず この著者は相当優秀な人物だ。 94 00:06:39,199 --> 00:06:44,137 もはや先の三つの発想で やれることは達成していると言っていい。 95 00:06:44,137 --> 00:06:48,041 それなら…。 だがそれでも 率直に言って➡ 96 00:06:48,041 --> 00:06:51,177 とても発表できる完成度には 達していない。 97 00:06:51,177 --> 00:06:55,315 っ…。 (バデーニ)きっと何かを見落としてるんだ。 98 00:06:55,315 --> 00:06:58,285 このままでは反論の余地はかなりある。 99 00:06:58,285 --> 00:07:04,524 それに全体的に 言葉選びの 思慮深さに比べて根底に何か…➡ 100 00:07:04,524 --> 00:07:09,996 幼稚なほどの純粋さを感じる…。 不思議な著者だ。 101 00:07:09,996 --> 00:07:16,102 この仕事を引き継げるのは 慎重な知性と 時に大胆な度胸を併せ持った…➡ 102 00:07:16,102 --> 00:07:19,005 まさに完璧な英傑だけだろう。 103 00:07:19,005 --> 00:07:22,575 そんな人 どこに。 いる。 私だ。 104 00:07:22,575 --> 00:07:24,511 っ…。 105 00:07:24,511 --> 00:07:27,414 というわけで 正式に引き受けよう。 106 00:07:27,414 --> 00:07:30,317 ん…? 引き受ける? 107 00:07:30,317 --> 00:07:34,754 ん? 君はソレを 頼みに来たんじゃなかったか? 108 00:07:34,754 --> 00:07:37,590 そうでしたっけ…。 109 00:07:37,590 --> 00:07:39,659 そうかも。 110 00:07:39,659 --> 00:07:42,395 …まァいい。 111 00:07:42,395 --> 00:07:46,266 では今後のことで三つ 決まりを交わしたい。 112 00:07:46,266 --> 00:07:49,803 一つ目。 後進は作らない。 113 00:07:49,803 --> 00:07:55,108 死ぬまでに私が証明できなかったら 私の関わった書物全てを燃やす。 114 00:07:55,108 --> 00:07:57,043 え⁉ 115 00:07:57,043 --> 00:08:02,415 あくまで重要なのは 私がこれを完成 発表することだ。 116 00:08:02,415 --> 00:08:06,219 他の誰かの踏み台にされるのは ごめんだからな。 117 00:08:06,219 --> 00:08:08,755 …わかりました。 118 00:08:08,755 --> 00:08:13,326 二つ目。 君は観測手として この研究に参加してくれ。 119 00:08:13,326 --> 00:08:17,764 その代わり 食事と寝床はウチの教会から提供しよう。 120 00:08:17,764 --> 00:08:21,034 本当ですか! ありがとうございます! 121 00:08:21,034 --> 00:08:23,336 で 三つ目。 122 00:08:23,336 --> 00:08:27,307 全てが首尾よく運んで利益が生じた場合➡ 123 00:08:27,307 --> 00:08:31,478 分け前は9対1だ。 もちろん私が9。 124 00:08:31,478 --> 00:08:33,446 あ それはダメです。 125 00:08:33,446 --> 00:08:36,449 俺たちが受け取れるのは 9割までです。 126 00:08:36,449 --> 00:08:40,553 何? いや ええと確か…。 127 00:08:40,553 --> 00:08:44,357 この手紙に 利益の1割を誰かに渡すって。 128 00:08:44,357 --> 00:08:49,496 (バデーニ)ん? 「利益が生じた場合 ポトツキに1割渡すこと」…。 129 00:08:49,496 --> 00:08:51,431 共同研究者か? 130 00:08:51,431 --> 00:08:54,934 なので 我々は9割を分け前…。 131 00:08:54,934 --> 00:08:57,037 あ!! 132 00:09:02,108 --> 00:09:04,544 これでもう書いてない。 133 00:09:04,544 --> 00:09:07,247 では そろそろ村へ戻るぞ。 134 00:09:07,247 --> 00:09:09,249 あ… は はい。 135 00:09:11,418 --> 00:09:14,621 (風の音) 136 00:09:18,525 --> 00:09:22,195 (オクジー)あの… やっぱり 守りませんか? 137 00:09:22,195 --> 00:09:26,433 は? 何故? もうこの世から消えたぞ。 138 00:09:26,433 --> 00:09:30,403 でも 俺がまだ覚えちゃってるというか…。 139 00:09:30,403 --> 00:09:34,140 多分… あの手紙を残した人は➡ 140 00:09:34,140 --> 00:09:39,078 箱を開けて読む人のことを信じて ああ書いた気がするんです。 141 00:09:39,078 --> 00:09:46,352 今ここにいない人の想いを無視したら 何かが決定的に失われる気がして。 142 00:09:46,352 --> 00:09:48,321 何かってなんだ。 143 00:09:48,321 --> 00:09:51,191 歴史 というか。 144 00:09:51,191 --> 00:09:56,362 は? 聖書以外の歴史など私は気にしない。 145 00:09:56,362 --> 00:10:00,233 どうしても払いたいんなら 君の1割を譲ればいい。 146 00:10:00,233 --> 00:10:02,335 あぁ は はい…。 147 00:10:04,104 --> 00:10:08,274 (オクジー)あの 最後に… 聖職者として➡ 148 00:10:08,274 --> 00:10:13,079 アレに触れた今の我々は 地獄の入り口に立ったと思いますか? 149 00:10:14,781 --> 00:10:19,319 (バデーニ)ああ 入り口には立ってる。 150 00:10:19,319 --> 00:10:22,522 だが 天界のだ。 151 00:10:22,522 --> 00:10:28,194 ハハハハ… 久々の家族団らんはいいものだな。 152 00:10:28,194 --> 00:10:34,000 (ヨレンタ)私も心安らぎました。 お父様も出張で忙しいですもんね。 153 00:10:34,000 --> 00:10:36,436 まあ な。 154 00:10:36,436 --> 00:10:40,306 お前も少ししたら また職場に戻ってしまうのか。 155 00:10:40,306 --> 00:10:43,643 はい。 仕事があるので。 156 00:10:43,643 --> 00:10:48,081 その仕事だが… 何か悩みがあるんじゃないか? 157 00:10:48,081 --> 00:10:51,050 っ! 顔を見ればわかるよ。 158 00:10:51,050 --> 00:10:55,355 …正直 周りとの差は感じます。 159 00:10:55,355 --> 00:10:58,224 ついていけないか? 160 00:10:58,224 --> 00:11:01,127 いえ… それ以前です。 161 00:11:01,127 --> 00:11:04,464 そもそも研究に参加させてくれません。 162 00:11:04,464 --> 00:11:08,668 やってることといえば 図書館の雑用ばかりで…。 163 00:11:08,668 --> 00:11:11,638 私も天文部署で働きたいのに。 164 00:11:11,638 --> 00:11:15,808 しかし 今の仕事でも十分じゃないか? 165 00:11:15,808 --> 00:11:18,611 働けているだけで たいしたものだよ。 166 00:11:18,611 --> 00:11:23,416 で でも! 私も他の方と同じ試験を合格してる! 167 00:11:23,416 --> 00:11:27,587 なのに… 他の方と扱いが違うのは…。 168 00:11:27,587 --> 00:11:31,958 しょうがないことさ。 お前はまだ14歳だ。 169 00:11:31,958 --> 00:11:37,730 それに あそこで働く ただ一人の 女だ。 170 00:11:37,730 --> 00:11:40,266 しかもお前は優秀ときた。 171 00:11:40,266 --> 00:11:45,038 これがどれほど 周囲の不安を煽るか わかるか? 172 00:11:45,038 --> 00:11:49,943 (ヨレンタ)でも… それと学術研究とは無関係なはずです。 173 00:11:53,079 --> 00:11:57,951 いいかヨレンタ。 お前が職場ですべきことは一つだ。 174 00:11:57,951 --> 00:12:00,687 (テーブルを指で叩く音) 「何もするな」。 175 00:12:00,687 --> 00:12:02,622 っ! 176 00:12:02,622 --> 00:12:07,393 目立つな。 栄光を目指すな。➡ 177 00:12:07,393 --> 00:12:14,033 日々を粛々と慎ましやかに暮らせば いつか家族で天国へ行ける。 178 00:12:14,033 --> 00:12:18,705 でも… お父様から 冬場でも勉強できるようにと➡ 179 00:12:18,705 --> 00:12:21,407 この手袋を頂いた時から➡ 180 00:12:21,407 --> 00:12:24,711 私の心は 学者です。➡ 181 00:12:24,711 --> 00:12:28,681 だから私は 神と真理のためなら退きたくない。 182 00:12:28,681 --> 00:12:32,418 才能も発展も人生も➡ 183 00:12:32,418 --> 00:12:35,121 いざって時に 退いたら終わりだ。 184 00:12:39,492 --> 00:12:41,928 わかった。 あ…。 185 00:12:41,928 --> 00:12:45,398 お前ももう立派に 自立してるもんな…。 186 00:12:45,398 --> 00:12:50,136 心配で つい出すぎた真似を したよ。 すまなかった。 187 00:12:50,136 --> 00:12:52,772 …おっ お父様! 188 00:12:52,772 --> 00:12:56,576 応援するよ。 (ヨレンタ)ありがとうございます! 189 00:13:04,951 --> 00:13:08,154 (貧民の声)ください…。 190 00:13:08,154 --> 00:13:12,358 ください…。 ください…。 191 00:13:14,694 --> 00:13:18,598 ください。ください。 ください。ください。 192 00:13:20,266 --> 00:13:22,268 何してる! 行くぞ。 193 00:13:22,268 --> 00:13:25,138 っ! あっ は はい。 194 00:13:25,138 --> 00:13:28,007 施しなど無意味だ。 え? 195 00:13:28,007 --> 00:13:33,613 貧民に施しを与えれば 天国に行けるなんて 私は信じない。 196 00:13:33,613 --> 00:13:36,082 平気で罪を犯す奴らだ。 197 00:13:36,082 --> 00:13:40,820 っ! 聖職者様が そんなこと言うなんて…! 198 00:13:40,820 --> 00:13:45,324 フン。 神が彼らに与えた運命がアレなんだよ。 199 00:13:45,324 --> 00:13:50,830 第一ここへ来た目的は 彼らとは真逆の 持てる者との接触だ。 200 00:13:52,999 --> 00:13:58,838 (バデーニ)あの箱の中の記録だけでは あの箱の中の結論を超えられない。 201 00:13:58,838 --> 00:14:02,275 もっと多くの記録を持つ者に 会わなければ。 202 00:14:02,275 --> 00:14:04,210 (オクジー)ここにツテが? 203 00:14:04,210 --> 00:14:08,614 (バデーニ)いや ない。 だから あっちから出向いてもらう。 204 00:14:10,783 --> 00:14:13,486 コレだ。 205 00:14:13,486 --> 00:14:16,356 んん…。 206 00:14:16,356 --> 00:14:19,092 (釘を打つ音) 207 00:14:19,092 --> 00:14:25,298 (バデーニ)暇な上級市民が 出題者になったり 解答者になったりして腕を競ってるんだ。 208 00:14:25,298 --> 00:14:28,601 彼らは掲示板に難問を求めてる。 209 00:14:28,601 --> 00:14:30,603 じゃあ コレって…。 210 00:14:33,039 --> 00:14:36,409 私の作成した とびきりの難問だ。 211 00:14:36,409 --> 00:14:39,979 天体の記録と優れた知性がないと 解けない。 212 00:14:39,979 --> 00:14:43,583 手分けして めぼしい掲示板に張って回ろう。 213 00:14:43,583 --> 00:14:46,986 あとは解答者が出るまで ひたすら待つ。 214 00:14:46,986 --> 00:14:49,789 そんな人 現れますかね…。 215 00:14:49,789 --> 00:14:52,892 (バデーニ)そこは運だ。 夕方に落ち合おう。 216 00:14:57,964 --> 00:14:59,966 ふぅ…。 217 00:15:10,042 --> 00:15:14,947 <論文が評価されたら天文台。 論文が評価されたら天文台> 218 00:15:14,947 --> 00:15:17,383 (コルベ)おお 戻ってたかい。 あ…? 219 00:15:17,383 --> 00:15:20,319 コルベさん! ヤァ。 220 00:15:20,319 --> 00:15:24,157 (階段を降りてくる足音) あっ あの… 論文って今どう…。 221 00:15:24,157 --> 00:15:28,094 いや それがね なんと ピャスト伯が褒めてくださったよ! 222 00:15:28,094 --> 00:15:30,263 新鮮で興味深いと! 223 00:15:30,263 --> 00:15:32,598 っ!! 224 00:15:32,598 --> 00:15:36,068 これは快挙だよ! 新たな才能の誕生だ。 225 00:15:36,068 --> 00:15:38,805 あ… あのっ。 ん…? 226 00:15:38,805 --> 00:15:42,575 本当に ありがとうございます…! 227 00:15:42,575 --> 00:15:45,812 いやいや 礼には及ばないよ。 228 00:15:45,812 --> 00:15:49,816 名義は私で出してるし けどあれは君の実力! 229 00:15:49,816 --> 00:15:53,586 でも いつも助けてもら… ん? 230 00:15:53,586 --> 00:15:56,923 ん? 名義? 231 00:15:56,923 --> 00:16:03,629 だから 名義は私の名前に替えたけど 君の論文なんだから 誇りに思ってよ。 232 00:16:03,629 --> 00:16:05,698 は? ん? 233 00:16:05,698 --> 00:16:09,535 私の論文… コルベさんの名前で出したんですか? 234 00:16:09,535 --> 00:16:12,672 ん? そりゃ当然。 235 00:16:12,672 --> 00:16:16,142 と 当然って… なんで…。 236 00:16:16,142 --> 00:16:18,444 (コルベ)いや そりゃだって➡ 237 00:16:18,444 --> 00:16:21,347 女性の論文なんて 誰が読むの? 238 00:16:21,347 --> 00:16:23,783 そ… そんな…。 239 00:16:23,783 --> 00:16:28,387 (コルベ)え? まさか 自分の名前が通ると思ったの? 240 00:16:28,387 --> 00:16:32,358 あちゃ~ 参ったな。 それは意識が欠けてるよ。 241 00:16:32,358 --> 00:16:34,494 っ…。 242 00:16:34,494 --> 00:16:38,364 そもそも 女性の名前で発表なんて危険すぎる。 243 00:16:38,364 --> 00:16:42,268 内容に不適切な箇所でもあったら 一大事だ。 244 00:16:42,268 --> 00:16:48,040 すぐ魔女扱いされて 最悪 異端として殺されるよ? 245 00:16:48,040 --> 00:16:53,412 でも安心して。 そんなこと 私は絶対起こさせない。 246 00:16:53,412 --> 00:16:58,818 君には才能がある。 だから 君が書いて私が発表する。 247 00:16:58,818 --> 00:17:00,786 それで私が評価されれば➡ 248 00:17:00,786 --> 00:17:04,090 助手の君を安全に天文台へ 引き抜けるかもしれない。 249 00:17:06,158 --> 00:17:10,029 (コルベ)私なら君を正しいほうへ導ける。 250 00:17:10,029 --> 00:17:13,533 この世界での上手い動き方を教えられる。 251 00:17:13,533 --> 00:17:17,403 で… でも… その世界に➡ 252 00:17:17,403 --> 00:17:20,706 わ 私の名前は…。 253 00:17:22,842 --> 00:17:27,046 ないよ。 もう諦めて。 この世はそういうもんだから。 254 00:17:29,348 --> 00:17:34,053 名前が残らなくても 自分の書いた物を 発表できるだけマシだろ? 255 00:17:35,688 --> 00:17:38,658 君がそんなに純粋じゃ 心配だよ。 256 00:17:38,658 --> 00:17:44,697 変に目立って目をつけられたら最後 君の人生って軽く終わるよ? 257 00:17:44,697 --> 00:17:48,568 じゃ また書けたら 持ってきてね。 それでは! 258 00:17:48,568 --> 00:17:51,370 待て。 (ヨレンタ コルベ)っ⁉ 259 00:17:51,370 --> 00:17:54,106 (コルベ)あっ ピャスト様! 260 00:17:54,106 --> 00:17:57,810 ほ 本日はお日柄もよく…。 261 00:17:57,810 --> 00:18:01,113 おい 君。 (ヨレンタ)え…。 262 00:18:01,113 --> 00:18:05,651 (ピャスト伯)今 この前の論文を 君が書いたと言ったか? 263 00:18:05,651 --> 00:18:08,421 あっ そ それはですね…。 264 00:18:08,421 --> 00:18:12,725 自分で答えろ。 どうなんだ? 265 00:18:12,725 --> 00:18:15,328 そ それは…。 266 00:18:15,328 --> 00:18:19,665 ゴホッ ヴフッ! グホッゴホッ! 267 00:18:19,665 --> 00:18:22,335 っ…。 268 00:18:22,335 --> 00:18:24,270 ヴフォッ…。 269 00:18:24,270 --> 00:18:26,973 あ… あの…。 270 00:18:26,973 --> 00:18:31,210 女性の名前で発表なんて危険すぎる。 271 00:18:31,210 --> 00:18:34,880 <でも…いざって時 退いたら…> 272 00:18:34,880 --> 00:18:37,750 何もするな。 目立つな。 273 00:18:37,750 --> 00:18:39,685 <退いたら> 274 00:18:39,685 --> 00:18:42,488 君の人生って軽く終わるよ? 275 00:18:42,488 --> 00:18:44,457 <退いたら> 276 00:18:44,457 --> 00:18:48,060 女性の論文なんて 誰が読むの? 277 00:18:48,060 --> 00:18:52,398 わ… わ…➡ 278 00:18:52,398 --> 00:18:55,501 私のモノではないです。 279 00:18:57,870 --> 00:18:59,905 …そうか。 280 00:18:59,905 --> 00:19:03,409 (ピャスト伯の足音) 281 00:19:11,117 --> 00:19:13,052 賢いよ。 282 00:19:13,052 --> 00:19:20,760 ♬~ 283 00:19:20,760 --> 00:19:24,630 <私は 私は 嵌められたんだ。➡ 284 00:19:24,630 --> 00:19:28,501 これまでの言葉は全部ウソだったんだ。➡ 285 00:19:28,501 --> 00:19:31,804 コルベさんは悪い人だったんだ> 286 00:19:36,242 --> 00:19:39,045 <…もし➡ 287 00:19:39,045 --> 00:19:44,250 もしそうであってくれたら どれだけよかったか。➡ 288 00:19:44,250 --> 00:19:48,487 けど違う。 彼は善人だ。➡ 289 00:19:48,487 --> 00:19:52,124 本当に… 私を庇ったんだ。➡ 290 00:19:52,124 --> 00:19:57,396 きっと… ここが私が見られる 最上の景色なんだ。➡ 291 00:19:57,396 --> 00:20:00,399 これが私の 現実だ> 292 00:20:03,002 --> 00:20:05,705 <いや 冷静に考えるんだ。➡ 293 00:20:05,705 --> 00:20:09,408 研究が安全に続けられるなら これでいい。➡ 294 00:20:09,408 --> 00:20:12,711 そもそも名前なんて本質じゃない> 295 00:20:14,814 --> 00:20:17,183 <考えが幼稚すぎた。➡ 296 00:20:17,183 --> 00:20:21,787 世界がこうなら 上手い動き方が重要だ。➡ 297 00:20:21,787 --> 00:20:25,991 早速 次だ! 次は何を書こう。 次は…> 298 00:20:27,593 --> 00:20:32,064 <なっ なんで泣く! そんな必要ない!➡ 299 00:20:32,064 --> 00:20:34,333 泣いたらまるで敗者じゃないか!➡ 300 00:20:34,333 --> 00:20:37,837 泣いたらまるで 問題があるみたいじゃないか!> 301 00:20:40,973 --> 00:20:46,212 <とにかく次だ。 今 私にできることは それしかない。➡ 302 00:20:46,212 --> 00:20:49,715 何か… 新しい題材を探さないと> 303 00:20:51,650 --> 00:20:53,652 ん? 304 00:20:55,321 --> 00:21:01,594 (ヨレンタ)「解答者へ。 宇宙論について用件あり。 連絡されたし」。 305 00:21:01,594 --> 00:21:03,896 なんだろう コレ。 306 00:21:07,466 --> 00:21:09,902 <う~ん… なるほど。➡ 307 00:21:09,902 --> 00:21:14,273 掲示板の問題にしては ずいぶん本格的な…➡ 308 00:21:14,273 --> 00:21:20,713 というかコレ 惑星の記録がないと 解けないんじゃ?> 309 00:21:20,713 --> 00:21:23,149 (ノック) 310 00:21:23,149 --> 00:21:26,719 コルベさん。 …は 留守か…。 311 00:21:26,719 --> 00:21:30,122 ハッ…。 <今なら 記録を漁れる!!> 312 00:21:31,657 --> 00:21:34,460 ん コレか。 313 00:21:34,460 --> 00:21:37,997 おぉ… こっちは木星。 いいなァ…。 314 00:21:37,997 --> 00:21:42,301 みんなは こんな自由に 大量の記録が閲覧できるなんて。 315 00:21:42,301 --> 00:21:47,139 <なんか私… 平然と今 あんまよくないことしてない?➡ 316 00:21:47,139 --> 00:21:51,076 いや してるから! 普通に考えてダメすぎるから!➡ 317 00:21:51,076 --> 00:21:55,347 いや でもこれで 新しい論文書けるかもで➡ 318 00:21:55,347 --> 00:21:58,818 それがコルベさんの評価に つながるかもだし。➡ 319 00:21:58,818 --> 00:22:00,753 いや でもそれ以前に➡ 320 00:22:00,753 --> 00:22:03,589 こんなところ見られたら それこそ終わるというか!➡ 321 00:22:03,589 --> 00:22:06,692 コルベさんからすら 見放されるというか!> 322 00:22:11,063 --> 00:22:13,933 <う… うん やっぱり悪いことだ!➡ 323 00:22:13,933 --> 00:22:16,569 これはよくない! やめよう!> 324 00:22:16,569 --> 00:22:18,571 ふぅ…。 325 00:22:20,573 --> 00:22:24,977 でも 悪いとかどうでもいいから アレの答えが気になる。 326 00:22:26,779 --> 00:22:29,882 いいや 解いてから考えよう。 327 00:22:34,019 --> 00:22:36,422 問題 張り終わりました。 328 00:22:36,422 --> 00:22:38,924 (バデーニ)ああ。 ん…? 329 00:22:38,924 --> 00:22:40,860 どうした。 330 00:22:40,860 --> 00:22:45,397 バデーニさんの問題の前に… 人がいます。 331 00:22:45,397 --> 00:22:48,300 アレってもしかして… 解答者? 332 00:22:48,300 --> 00:22:51,904 は? もう? 今朝張ったばかりだぞ。 333 00:22:51,904 --> 00:22:53,906 (釘を打つ音) 334 00:22:56,141 --> 00:23:00,012 はぁ…。 <か 解答しちゃった。➡ 335 00:23:00,012 --> 00:23:03,782 大丈夫だよね さすがに。 男性名にしたし。➡ 336 00:23:03,782 --> 00:23:07,353 いや でもここで誰かに見られたら…!➡ 337 00:23:07,353 --> 00:23:09,688 いや こんな不安になるくらいなら➡ 338 00:23:09,688 --> 00:23:12,958 なんで もっと考えて 行動しなかったんだろう。➡ 339 00:23:12,958 --> 00:23:17,162 こんなこと繰り返してたら いつかゼッタイバレる。➡ 340 00:23:17,162 --> 00:23:20,599 誰かに見られる前に さっさと退散しよう> 341 00:23:20,599 --> 00:23:22,601 (バデーニ)あの! っ! 342 00:23:24,270 --> 00:23:26,272 あっ…。 343 00:23:30,042 --> 00:23:45,424 ♬~ 344 00:23:45,424 --> 00:23:49,295 ♬「描き始めた あなたは小さく」 345 00:23:49,295 --> 00:23:53,165 ♬「ため息をした あんなに大きく」 346 00:23:53,165 --> 00:23:57,069 ♬「波打つ窓の光の束が」 347 00:23:57,069 --> 00:24:02,474 ♬「あなたの横顔に跳ねている」 348 00:24:04,877 --> 00:24:08,714 ♬「僕の体は雨の集まり」 349 00:24:08,714 --> 00:24:12,618 ♬「貴方の指は春の木漏れ日」 350 00:24:12,618 --> 00:24:16,689 ♬「紙に弾けたインクの影が」 351 00:24:16,689 --> 00:24:21,694 ♬「僕らの横顔を描写している」 352 00:24:23,562 --> 00:24:32,004 ♬「長い夢を見た 僕らは気球にいた」 353 00:24:32,004 --> 00:24:40,279 ♬「遠い国の誰かが月と見間違ったらいい」 354 00:24:40,279 --> 00:24:48,487 ♬「あの海を見たら 魂が酷く跳ねた」 355 00:24:48,487 --> 00:24:53,125 ♬「白い魚の群れに」 356 00:24:53,125 --> 00:24:56,128 ♬「あなたは見惚れている」