1 00:00:03,971 --> 00:00:07,474 🔊福井 福井。 ご乗車ありがとうございました。 2 00:00:07,474 --> 00:00:09,810 🔊九頭竜線は乗り換えです。 3 00:00:09,810 --> 00:00:12,312 🔊お客様に お願いいたします。 4 00:00:12,312 --> 00:00:17,150 🔊特急列車の指定席乗車口から 自由席車両への乗車は➨ 5 00:00:17,150 --> 00:00:20,654 先に並ばれているお客様の ご迷惑となりますので➨ 6 00:00:20,654 --> 00:00:22,656 おやめください。 7 00:02:09,463 --> 00:02:11,965 (朔)んっ…。 8 00:02:15,636 --> 00:02:17,637 んっ! 9 00:02:19,639 --> 00:02:21,642 《いつか色あせた頃➨ 10 00:02:21,642 --> 00:02:25,812 この瞬間を懐かしく思い出す時が 来るのだろうか…。 11 00:02:25,812 --> 00:02:29,483 ガタガタ ゴトゴトと電車が揺れる。 12 00:02:29,483 --> 00:02:34,488 夢みる2人を 遠くの街へと運んでいく》 13 00:02:36,490 --> 00:02:39,159 🔊米原 米原 お忘れ物のないように➨ 14 00:02:39,159 --> 00:02:41,161 ご注意ください。 15 00:02:41,161 --> 00:02:43,830 🔊乗り降りの際 足元にご注意ください。 16 00:02:43,830 --> 00:02:46,833 あっ!? 17 00:02:46,833 --> 00:02:49,669 明日姉 早く起きて! 18 00:02:49,669 --> 00:02:52,172 (明日風)ふぁ? 五月ヶ瀬? 19 00:02:52,172 --> 00:02:54,174 福井銘菓じゃねえよ! 20 00:02:56,843 --> 00:03:00,514 ハァ ハァ ハァ ハァ…。 21 00:03:00,514 --> 00:03:02,449 んっ!? あっ…。 22 00:03:02,449 --> 00:03:05,952 あっ… んっ…。 23 00:03:05,952 --> 00:03:09,289 ま… 待って~! 24 00:03:09,289 --> 00:03:11,958 明日姉。 んっ? 25 00:03:11,958 --> 00:03:15,796 お父さんや お母さんには…。 書き置き残してきたよ。 26 00:03:15,796 --> 00:03:20,133 「東京を見てきます 明日には帰ります」って。 27 00:03:20,133 --> 00:03:23,303 《日帰りのつもり だったんだけどな…》 28 00:03:23,303 --> 00:03:26,807 ごめん ムチャやって。 29 00:03:26,807 --> 00:03:32,979 君は私の 「助けて」に 気付いてくれただけ… でしょ? 30 00:03:32,979 --> 00:03:36,817 俺にできるのは ここまでだよ。 31 00:03:36,817 --> 00:03:39,152 あっ! ありがとう。 32 00:03:39,152 --> 00:03:45,325 君が教えてくれた私を 今度は自分で見つけてみるよ。 33 00:03:45,325 --> 00:03:48,328 《朔:こころもち空気が薄く➨ 34 00:03:48,328 --> 00:03:52,499 いろんな匂いが混じり合って 混とんとしている》 35 00:03:52,499 --> 00:03:54,501 うぅ…。 36 00:03:54,501 --> 00:03:56,670 お父さんが心配する気持ちに➨ 37 00:03:56,670 --> 00:03:59,506 ちょっと共感しちゃったよ 俺。 うぅ…。 38 00:03:59,506 --> 00:04:01,508 (2人)ふぅ…。 39 00:04:01,508 --> 00:04:03,944 それで これからどうしようか。 40 00:04:03,944 --> 00:04:05,946 えっと…。 41 00:04:05,946 --> 00:04:08,615 ここ 行ってみたいかも。 42 00:04:08,615 --> 00:04:12,519 🔊4番線 ドアが閉まります ご注意ください。 43 00:04:14,454 --> 00:04:16,623 はぁ…。 んっ。 44 00:04:16,623 --> 00:04:20,627 《こういう街で 暮らしていくかも しれないんだな。 45 00:04:20,627 --> 00:04:22,629 明日姉は…》 46 00:04:22,629 --> 00:04:24,631 わっ! 47 00:04:27,634 --> 00:04:31,138 《俺は まるで 大切な人を抱き締めるように。 48 00:04:31,138 --> 00:04:34,641 遠くへ行かないでと願うように➨ 49 00:04:34,641 --> 00:04:38,311 強く 強く 引き寄せていた》 50 00:04:38,311 --> 00:04:40,981 ごめん 離す? 51 00:04:40,981 --> 00:04:43,483 このままで…。 52 00:04:43,483 --> 00:04:45,819 じゃなくて…。 53 00:04:45,819 --> 00:04:48,655 このままが いいです。 54 00:04:48,655 --> 00:04:52,859 支えててくれると うれしいかな。 55 00:04:54,995 --> 00:04:57,597 ねぇ 外見て。 56 00:04:59,666 --> 00:05:02,102 《窓の外に広がる東京は➨ 57 00:05:02,102 --> 00:05:04,938 どこまでも現実感が希薄で➨ 58 00:05:04,938 --> 00:05:09,109 よく出来たミニチュアの街にしか 思えなかった》 59 00:05:09,109 --> 00:05:13,313 私 今ね ちょっとワクワクしてるかも。 60 00:05:16,950 --> 00:05:18,952 フッ。 61 00:05:18,952 --> 00:05:21,788 わかる気がするよ。 62 00:05:21,788 --> 00:05:23,790 《この街には➨ 63 00:05:23,790 --> 00:05:27,961 福井じゃ経験できないことが 山ほど眠っているんだろう。 64 00:05:27,961 --> 00:05:31,631 きっと 短い旅が終わった時➨ 65 00:05:31,631 --> 00:05:34,467 この人は この街で生きていくことを➨ 66 00:05:34,467 --> 00:05:36,570 決意しているはずだ》 67 00:05:39,639 --> 00:05:43,844 とりあえずは この大通りを まっすぐ行けばいいっぽいよ。 68 00:05:46,479 --> 00:05:49,482 お昼 どうしようか。 う~ん。 69 00:05:49,482 --> 00:05:52,652 あっ なんか ツウなお店があるよ! 70 00:05:52,652 --> 00:05:55,355 寄ってみる? うん! 71 00:06:00,994 --> 00:06:02,996 あっ。 72 00:06:04,931 --> 00:06:07,601 どう かな? 73 00:06:07,601 --> 00:06:10,103 あっ フッ。 74 00:06:10,103 --> 00:06:13,273 『カサブランカ』の イングリッド・バーグマンみたいだ。 75 00:06:13,273 --> 00:06:15,775 む~ 古くさいってこと? 76 00:06:15,775 --> 00:06:19,779 そのまま モノクロ映画に出演しても 通用するってことだよ。 77 00:06:19,779 --> 00:06:23,950 今度はそれを着て もう少し お上品なデートをしよう。 78 00:06:23,950 --> 00:06:27,287 フッフフ する! 79 00:06:27,287 --> 00:06:31,791 じゃあ 次は私が君の服を選ぶよ。 80 00:06:31,791 --> 00:06:34,794 お互いに プレゼントってことで どう? 81 00:06:34,794 --> 00:06:37,964 俺はいいよ シャレた服は似合わないし。 82 00:06:37,964 --> 00:06:42,636 お姉さんに任せなさい。 ハンフリー・ボガートにしてあげるから。 83 00:06:42,636 --> 00:06:44,638 どういう意味? 84 00:06:44,638 --> 00:06:47,974 古きよき 女泣かせのキザ男? 85 00:06:47,974 --> 00:06:49,976 ホントにどういう意味だ コラ。 86 00:06:49,976 --> 00:06:52,479 (笑い声) 87 00:06:57,317 --> 00:07:00,153 思ってたより 落ち着いた雰囲気なんだね。 88 00:07:00,153 --> 00:07:05,058 これなら 自分が通ってる姿に 現実感が持てるよ。 89 00:07:09,596 --> 00:07:11,598 んっ? 90 00:07:15,435 --> 00:07:18,938 ねぇ 想像してみて。 91 00:07:18,938 --> 00:07:20,940 2人は大学生。 92 00:07:20,940 --> 00:07:24,611 私は 君に買ってもらった ワンピースを着ていて➨ 93 00:07:24,611 --> 00:07:28,448 君は 私が買ってあげた シャツを着ているの。 94 00:07:28,448 --> 00:07:31,451 髪とか染めたりするのかな。 95 00:07:31,451 --> 00:07:33,954 ちょっと想像できないや。 96 00:07:33,954 --> 00:07:37,290 明日姉は そのまんまが すてきだと思うけど。 97 00:07:37,290 --> 00:07:39,292 (2人)あっ。 (学生たちの笑い声) 98 00:07:44,464 --> 00:07:48,635 フフフ… やっぱり君も文学部かな。 99 00:07:48,635 --> 00:07:52,973 2人で どの講義を取るか 相談したりするんだ。 100 00:07:52,973 --> 00:07:55,642 サークルも決めないとだ。 101 00:07:55,642 --> 00:07:59,145 君は なんだかんだ 私を放っておけなくて➨ 102 00:07:59,145 --> 00:08:01,314 一緒なところに入ってくれる。 103 00:08:01,314 --> 00:08:04,417 飲み会で ちょろいお持ち帰り されないようにね。 104 00:08:04,417 --> 00:08:07,087 そこまで世間知らずじゃないもん。 105 00:08:07,087 --> 00:08:09,089 フフッ。 106 00:08:09,089 --> 00:08:11,091 フッ。 107 00:08:11,091 --> 00:08:13,927 出版社でアルバイトできたらいいな。 108 00:08:13,927 --> 00:08:17,097 休日は そうだなぁ。 109 00:08:17,097 --> 00:08:20,600 さっきみたいに 2人で街を散策したり➨ 110 00:08:20,600 --> 00:08:24,771 小さなキッチンで 慣れない料理の 練習をしたりしようか。 111 00:08:24,771 --> 00:08:27,774 俺は慣れてるし 料理できるからね? 112 00:08:27,774 --> 00:08:30,110 最初はやっぱり肉じゃがかな。 113 00:08:30,110 --> 00:08:33,613 聞かなかったことにすんなよ。 だけど…。 114 00:08:33,613 --> 00:08:37,617 そんな未来は訪れない。 115 00:08:37,617 --> 00:08:41,955 私たちは先輩と後輩だから。 116 00:08:41,955 --> 00:08:44,057 あっ…。 117 00:08:46,126 --> 00:08:49,796 仮に俺が 同じ大学を選んだとしても➨ 118 00:08:49,796 --> 00:08:51,798 そのころ明日姉は➨ 119 00:08:51,798 --> 00:08:55,802 文学部や バイト先の出版社で バリバリ勉強してて➨ 120 00:08:55,802 --> 00:08:59,472 サークルで築いた 新しい人間関係があって➨ 121 00:08:59,472 --> 00:09:02,909 上手に肉じゃがを 作れるようになってる。 122 00:09:02,909 --> 00:09:08,248 もしかしたら 恋人だってできてるかもね。 123 00:09:08,248 --> 00:09:11,418 遠いよね 私たち。 124 00:09:11,418 --> 00:09:14,254 遠いんだよ 俺たち。 125 00:09:14,254 --> 00:09:18,425 今は こんなに近いのに。 126 00:09:18,425 --> 00:09:21,094 《まだ高校生の俺たちにとって➨ 127 00:09:21,094 --> 00:09:23,596 1年は長すぎる。 128 00:09:23,596 --> 00:09:27,934 その間には きっと いろんなものが変わってしまう。 129 00:09:27,934 --> 00:09:29,936 変わり過ぎてしまう》 130 00:09:31,938 --> 00:09:35,275 でも ちゃんと前を向いて 走らなきゃ。 131 00:09:35,275 --> 00:09:37,777 追いつけなくなるから。 132 00:09:40,613 --> 00:09:44,784 《朔:神保町に行ってみたい と 明日姉が言った。 133 00:09:44,784 --> 00:09:48,588 なんでも 出版社や書店が 集まっているらしい》 134 00:09:52,292 --> 00:09:54,294 あっ…。 んっ…。 135 00:09:56,296 --> 00:09:58,631 フフッ。 フッ。 136 00:09:58,631 --> 00:10:00,834 好きに食べればいいよね。 137 00:10:04,471 --> 00:10:06,473 (2人)んま~っ! 138 00:10:06,473 --> 00:10:08,641 んっ? 139 00:10:08,641 --> 00:10:11,311 何 これ? 140 00:10:11,311 --> 00:10:15,815 俗に 「あ~ん」と言われてるやつに ござりますが。 141 00:10:15,815 --> 00:10:18,651 なんでちょっと 殿に しゃべってるみたいなんだよ。 142 00:10:18,651 --> 00:10:20,653 あっ! 143 00:10:22,655 --> 00:10:24,657 あっ!? 144 00:10:27,660 --> 00:10:30,663 んめえっ! チキンが メッチャパリッとしてる! 145 00:10:30,663 --> 00:10:33,666 んっ… なんか違う。 146 00:10:33,666 --> 00:10:36,336 ほら こうやるんだよ。 んっ? 147 00:10:36,336 --> 00:10:38,338 あ~ん。 148 00:10:38,338 --> 00:10:41,174 フン あ~ん。 149 00:10:41,174 --> 00:10:43,176 んっ! 150 00:10:43,176 --> 00:10:45,512 ねぇ 早くちょうだい? 151 00:10:45,512 --> 00:10:48,114 んっ…。 152 00:10:50,683 --> 00:10:52,886 んっ! 153 00:10:58,191 --> 00:11:00,193 おいし~! 154 00:11:00,193 --> 00:11:02,128 フッ。 155 00:11:02,128 --> 00:11:04,130 (笑い声) 156 00:11:04,130 --> 00:11:07,300 もうこれで 何回目のボツですか! (机を叩く音) 157 00:11:07,300 --> 00:11:09,302 今回のだって ちゃんと➨ 158 00:11:09,302 --> 00:11:11,638 過去の名作や流行を 研究してますよ! 159 00:11:11,638 --> 00:11:16,643 確かに 似たような青春小説は たくさんありますね。 160 00:11:16,643 --> 00:11:18,645 (2人)あっ! 161 00:11:18,645 --> 00:11:22,148 計算して ヒット作を出し続ける 作家さんはいます。 162 00:11:22,148 --> 00:11:27,153 だけど あなたは そういう 器用なタイプではないでしょう。 163 00:11:27,153 --> 00:11:29,556 んっ…。 164 00:11:31,824 --> 00:11:34,494 出てこないんです 何も。 165 00:11:34,494 --> 00:11:38,831 デビュー作は たまたまやっていた 特殊な職業について書いたら➨ 166 00:11:38,831 --> 00:11:41,668 もの珍しくて ウケただけで…。 167 00:11:41,668 --> 00:11:45,171 本当につまらない人生しか 送ってなくて。 168 00:11:45,171 --> 00:11:50,176 作家になれるような人間じゃ なかったんですよ 僕は。 169 00:11:50,176 --> 00:11:53,513 んっ…。 担当編集者に無断で➨ 170 00:11:53,513 --> 00:11:55,682 自分の限界を決めないでください。 171 00:11:55,682 --> 00:11:58,518 あっ! むしろ あなたの才能は➨ 172 00:11:58,518 --> 00:12:01,854 ありふれた日常を 独自の感性で切り取り➨ 173 00:12:01,854 --> 00:12:05,124 繊細な言葉に置き換えられる点に あると思ってますよ。 174 00:12:05,124 --> 00:12:07,961 だから こんな企画書はNGです。 175 00:12:07,961 --> 00:12:12,632 そんなに言うなら自分で… んっ! 176 00:12:12,632 --> 00:12:14,634 んっ…。 177 00:12:14,634 --> 00:12:18,972 試しに そのつまらない人生を 聞かせてくれませんか? 178 00:12:18,972 --> 00:12:28,314 ♬~ 179 00:12:28,314 --> 00:12:32,318 《朔:それは不思議な光景だった。 180 00:12:32,318 --> 00:12:35,321 語られる経験自体は ありふれたものだ。 181 00:12:35,321 --> 00:12:39,325 けれど 編集者さんが 相づちや質問を重ね➨ 182 00:12:39,325 --> 00:12:41,327 作家さんが答えていくうちに➨ 183 00:12:41,327 --> 00:12:44,163 ぐんぐん会話に引き込まれていく。 184 00:12:44,163 --> 00:12:48,668 苦しくて 痛くて 切なくて…。 185 00:12:48,668 --> 00:12:52,005 だけど 気付いたらそれはもう➨ 186 00:12:52,005 --> 00:12:56,109 他のどこにもない 一つの物語になっていた》 187 00:13:00,513 --> 00:13:05,118 それが あなたの書くべきものでは ありませんか? 188 00:13:05,118 --> 00:13:07,120 あっ! 189 00:13:07,120 --> 00:13:10,123 自信が ないんです。 190 00:13:10,123 --> 00:13:12,959 ちっぽけな僕の言葉が➨ 191 00:13:12,959 --> 00:13:15,294 こんなにありふれた物語が➨ 192 00:13:15,294 --> 00:13:17,630 これまでの自分と同じように➨ 193 00:13:17,630 --> 00:13:21,134 苦しんでいる どこかの誰かに届くでしょうか。 194 00:13:21,134 --> 00:13:25,471 その人生を ほんの少しでも明るい方向に➨ 195 00:13:25,471 --> 00:13:27,807 導いてあげられるでしょうか。 196 00:13:27,807 --> 00:13:29,809 フッ。 197 00:13:29,809 --> 00:13:33,479 あなたの ありったけで紡いだなら 必ず。 198 00:13:33,479 --> 00:13:37,984 私は 自分で すてきな物語を 創り出すことはできませんが➨ 199 00:13:37,984 --> 00:13:40,987 それを見つけ出して 届けることはできます。 200 00:13:40,987 --> 00:13:43,489 編集者ですから。 201 00:13:48,161 --> 00:13:50,330 書いてみます。 202 00:13:50,330 --> 00:13:52,332 大丈夫ですよ。 203 00:13:52,332 --> 00:13:57,170 私の信じた あなたの言葉を 信じてください。 204 00:13:57,170 --> 00:14:00,006 (朔)なんか すごかったね。 205 00:14:00,006 --> 00:14:03,776 うん。 ちょっと出来過ぎだよ。 どうだった? 206 00:14:03,776 --> 00:14:06,946 編集者って もっと作家さんを立てる➨ 207 00:14:06,946 --> 00:14:09,615 裏方的な仕事かと思ってたの。 208 00:14:09,615 --> 00:14:13,619 だけど まだ埋もれている 物語を見つけて➨ 209 00:14:13,619 --> 00:14:16,956 誰かに届けるために 2人とも本気だった。 210 00:14:16,956 --> 00:14:20,960 真剣だった。 情熱的だった。 とても真摯だった。 211 00:14:20,960 --> 00:14:25,064 あんなふうに 本気を ささげている人たちなんだ。 212 00:14:28,634 --> 00:14:33,639 こんなにも大好きなのは 私だけじゃなかったんだね。 213 00:14:33,639 --> 00:14:35,641 あっ! 214 00:14:35,641 --> 00:14:38,978 《きっとこの人は 不安だったんだ。 215 00:14:38,978 --> 00:14:41,314 福井という田舎にいながら➨ 216 00:14:41,314 --> 00:14:44,150 編集者になりたいという 夢を抱いて➨ 217 00:14:44,150 --> 00:14:48,821 だけど 心からわかり合える 相手がいなくて…。 218 00:14:48,821 --> 00:14:52,325 今 初めて 仲間を見つけたんだ。 219 00:14:52,325 --> 00:14:58,030 どこか ぼんやりとしていた夢が 現実と地続きになったんだ》 220 00:15:00,333 --> 00:15:02,268 やっぱり私…。 221 00:15:02,268 --> 00:15:04,937 編集者になりたいよ。 222 00:15:04,937 --> 00:15:09,108 《なぜだろう。 その瞬間 この街で➨ 223 00:15:09,108 --> 00:15:13,279 頑固な作家さんと バチバチ やり合っている明日姉が見えた。 224 00:15:13,279 --> 00:15:16,282 今より ちょっとだけ髪は長くて➨ 225 00:15:16,282 --> 00:15:19,285 服装は動きやすそうなパンツスタイル。 226 00:15:19,285 --> 00:15:23,790 さっきのカレー屋で あの編集者さんより感情的に➨ 227 00:15:23,790 --> 00:15:27,627 むきーって感じで 自分の意見を伝えている。 228 00:15:27,627 --> 00:15:32,131 だから俺は 心の中でそっと➨ 229 00:15:32,131 --> 00:15:36,335 さよならの準備を 始めようと決めた》 230 00:15:43,142 --> 00:15:47,480 ねぇ 次は うわさの歌舞伎町 ってやつを歩いてみたいな。 231 00:15:47,480 --> 00:15:50,316 でも そろそろ 東京駅に向かわないと➨ 232 00:15:50,316 --> 00:15:52,819 最終の新幹線に乗れない。 233 00:15:52,819 --> 00:15:54,987 言ったでしょ? あっ? 234 00:15:54,987 --> 00:15:57,990 明日帰るって書き置きしてきたの。 235 00:15:57,990 --> 00:16:01,327 ご両親から連絡は? 来てないよ~。 236 00:16:01,327 --> 00:16:05,765 に したってだな。 せっかく東京まで来たんだよ? 237 00:16:05,765 --> 00:16:12,605 それに… 君との旅行は 最初で最後になるかもしれない。 238 00:16:12,605 --> 00:16:15,441 そんな顔で そんなこと言わないでよ。 239 00:16:15,441 --> 00:16:17,443 断れなくなる。 240 00:16:17,443 --> 00:16:20,112 まだ夢の中にいたいんだよ。 241 00:16:20,112 --> 00:16:26,953 遠足も 修学旅行も 決して一緒には行けない君と。 242 00:16:26,953 --> 00:16:28,955 わぁったよ! 243 00:16:28,955 --> 00:16:31,290 駆け落ちしようと言ったのは俺だ。 244 00:16:31,290 --> 00:16:33,960 ハァッ そうこなくっちゃ! 245 00:16:33,960 --> 00:16:35,962 フッ。 おっ…! 246 00:16:41,300 --> 00:16:43,302 フッ。 247 00:16:45,304 --> 00:17:01,654 📱(バイブ音) 248 00:17:01,654 --> 00:17:04,757 (深呼吸) 249 00:17:04,757 --> 00:17:06,759 もしもし? 250 00:17:06,759 --> 00:17:09,262 📱(岩波)千歳 ゲームオーバーだ。 251 00:17:09,262 --> 00:17:12,598 なんの話? とか トライしてみてもいい? 252 00:17:12,598 --> 00:17:14,934 📱通用すると思うか? 253 00:17:14,934 --> 00:17:18,104 📱ほら ニッシー やっと捕まったぞ。 254 00:17:18,104 --> 00:17:22,275 《やっとも何も 今日 蔵センから 電話がかかってきたのは➨ 255 00:17:22,275 --> 00:17:24,277 これが初めてだ。 256 00:17:24,277 --> 00:17:26,612 たぶん この時間になるまで➨ 257 00:17:26,612 --> 00:17:29,115 のらりくらりと かわしてくれていたのだろう》 258 00:17:29,115 --> 00:17:32,285 📱(明日風の父)もしもし 明日風の父です。 259 00:17:32,285 --> 00:17:35,087 📱娘と代わってくれるかな? 260 00:17:41,460 --> 00:17:44,130 《美しく生きられないのなら➨ 261 00:17:44,130 --> 00:17:46,799 死んでいるのと大した違いはない。 262 00:17:46,799 --> 00:17:52,638 そうだろう? 古きよき 女たらしのキザ男》 263 00:17:52,638 --> 00:17:56,475 今 かわいい女の子と 東京デート中なんですよ。 264 00:17:56,475 --> 00:17:58,811 📱そのデート相手と代わりなさい。 265 00:17:58,811 --> 00:18:02,081 かわいい女の子 イコール 自分の娘だなんて➨ 266 00:18:02,081 --> 00:18:05,251 西野さん 親バカですか? 267 00:18:05,251 --> 00:18:08,588 📱やはり おもしろい男だな 君は。 268 00:18:08,588 --> 00:18:11,924 フッ。 📱昔の蔵を思い出す。 269 00:18:11,924 --> 00:18:15,928 📱それで このまま 押し問答を続けるつもりかな? 270 00:18:19,599 --> 00:18:23,269 明日の12時 福井着 しらさぎ。 271 00:18:23,269 --> 00:18:27,607 改札前で待っていたら 答え合わせができますよ。 272 00:18:27,607 --> 00:18:30,109 📱今そこに明日風がいないなら➨ 273 00:18:30,109 --> 00:18:33,446 私は警察に 捜索願いを出すことになる。 274 00:18:33,446 --> 00:18:35,448 んっ! 275 00:18:35,448 --> 00:18:38,117 仮に明日風さんと 一緒にいると仮定して➨ 276 00:18:38,117 --> 00:18:42,121 たった一晩で僕たちを 見つけるのは難しいでしょうね。 277 00:18:42,121 --> 00:18:44,457 そして福井に戻ったあと➨ 278 00:18:44,457 --> 00:18:47,293 明日風さんは 自分の意思で出ていったことを➨ 279 00:18:47,293 --> 00:18:49,629 警察に説明すると思いますよ。 280 00:18:49,629 --> 00:18:52,131 📱はぁ…。 281 00:18:52,131 --> 00:18:56,636 📱明日の12時着 しらさぎだったね。 282 00:18:56,636 --> 00:18:59,138 はい。 📱君とは一度➨ 283 00:18:59,138 --> 00:19:01,807 じっくり話す必要がありそうだな。 284 00:19:01,807 --> 00:19:05,411 東京ばな奈で 勘弁してもらえませんかね。 285 00:19:05,411 --> 00:19:08,414 📱バナナは嫌いなんだ。 (通話の切れる音) 286 00:19:10,416 --> 00:19:13,519 はぁ~。 287 00:19:16,255 --> 00:19:19,759 ごめん。 どうやら 明日姉との結婚は難しそうだ。 288 00:19:19,759 --> 00:19:21,761 えっ? 289 00:19:21,761 --> 00:19:24,597 お父さんに こっぴどく 嫌われたみたいだからな。 290 00:19:24,597 --> 00:19:26,599 じゃあ…。 291 00:19:26,599 --> 00:19:29,101 ロスタイムは明日の朝まで。 ハァッ! 292 00:19:29,101 --> 00:19:32,271 スマホの電源 ちゃんと入れておきなよ。 293 00:19:32,271 --> 00:19:34,273 エヘヘ…。 294 00:19:36,609 --> 00:19:38,611 フッ。 295 00:19:38,611 --> 00:19:42,114 《ごみごみしてるなと思っていた 新宿の街は➨ 296 00:19:42,114 --> 00:19:45,618 色とりどりのネオンで キラキラと彩られ➨ 297 00:19:45,618 --> 00:19:50,956 まるで本当に 夢の中へと紛れ込んだみたいだ。 298 00:19:50,956 --> 00:19:55,461 初めて 東京をきれいだと思った》 299 00:20:00,132 --> 00:20:02,134 すごいね。 300 00:20:02,134 --> 00:20:04,303 街が生きてるみたい。 301 00:20:04,303 --> 00:20:07,973 ドクン ドクンって 鼓動が聞こえてきそう。 302 00:20:07,973 --> 00:20:11,977 旅の締めくくりとしては さえないけど➨ 303 00:20:11,977 --> 00:20:14,647 コンビニでごはん買って ホテルで食べる? 304 00:20:14,647 --> 00:20:16,649 お任せしてもいいかな? 305 00:20:16,649 --> 00:20:20,553 もう少し ここで 雰囲気 味わってたい。 了解。 306 00:20:27,159 --> 00:20:29,161 あっ? 307 00:20:29,161 --> 00:20:32,832 いいじゃん。 君なら 絶対 人気出るって。 308 00:20:32,832 --> 00:20:35,134 行きません 離してください! 309 00:20:37,336 --> 00:20:39,338 おっ! 310 00:20:39,338 --> 00:20:41,507 ぐっ! ヤベっ! 311 00:20:41,507 --> 00:20:43,509 明日姉! あっ! 312 00:20:43,509 --> 00:20:47,346 いてぇ…。 ざけんな コラ ガキ! 313 00:20:47,346 --> 00:20:50,182 (朔/明日風)ハァ ハァ ハァ…。 314 00:20:50,182 --> 00:21:01,861 ♬~ 315 00:21:01,861 --> 00:21:03,796 待って! こっち! 316 00:21:03,796 --> 00:21:06,799 ハァ ハァ… んっ! チッ。 317 00:21:08,801 --> 00:21:10,803 (2人)ハァ ハァ ハァ…。 318 00:21:10,803 --> 00:21:13,973 ごめんね 「ちょっといいですか?」 って言うから➨ 319 00:21:13,973 --> 00:21:16,642 道でも聞かれるのかと思ったら➨ 320 00:21:16,642 --> 00:21:20,813 その… 風俗とか興味ないかって。 321 00:21:20,813 --> 00:21:24,316 こっちこそごめん。 かっとなった。 322 00:21:24,316 --> 00:21:27,820 フッ。 君は私のためにでも➨ 323 00:21:27,820 --> 00:21:30,489 ああやって 熱くなってくれるんだね。 324 00:21:30,489 --> 00:21:33,993 当たり前でしょ。 そんなことより…。 325 00:21:33,993 --> 00:21:36,328 明日姉 ここって ラブ…。 326 00:21:36,328 --> 00:21:41,333 言わないで。 口にしたら いられなくなる。 327 00:21:41,333 --> 00:21:45,337 まだ あの人が ウロウロしてるかもしれないし…。 328 00:21:45,337 --> 00:21:47,840 このまま泊まるのが正解だよ。 329 00:21:49,842 --> 00:21:51,844 でも…。 330 00:21:51,844 --> 00:21:54,180 私の世間知らずで迷惑かけて➨ 331 00:21:54,180 --> 00:21:58,350 そのうえ君を危険な目になんて 遭わせられないの。 332 00:21:58,350 --> 00:22:02,621 あっ…。 明日姉 痛くしないからね。 333 00:22:02,621 --> 00:22:05,624 ハッ… もぉっ! 334 00:22:08,127 --> 00:22:10,629 ハァ…。 335 00:22:10,629 --> 00:22:13,465 いいよ。 君となら。 336 00:22:13,465 --> 00:22:16,268 間違えても。