1 00:00:03,837 --> 00:00:07,640 《健太:これは 山崎健太の物語だ》 2 00:00:09,676 --> 00:00:12,345 《健太:ゆうべは 一睡もできなかった。 3 00:00:12,345 --> 00:00:17,17 俺は 神や夕湖たちへの恩を あだで返してしまった》 4 00:00:17,17 --> 00:00:19,853 ⸨朔:悪意をもって マウントとりにくるヤツなのか➨ 5 00:00:19,853 --> 00:00:22,689 愛あるいじりなのかは しぜんとわかる⸩ 6 00:00:22,689 --> 00:00:26,26 《ちょっと考えれば わかることだったのに。 7 00:00:26,26 --> 00:00:29,29 最初の印象は最悪だったけど➨ 8 00:00:29,29 --> 00:00:32,32 俺がこれまでに出会った 誰よりも大きくて➨ 9 00:00:32,32 --> 00:00:36,703 強くて 温かくて かっこよくて…。 10 00:00:36,703 --> 00:00:39,873 今の俺にできるのは… せめて➨ 11 00:00:39,873 --> 00:00:42,876 神たちがくれた この3週間に 意味があったのだと➨ 12 00:00:42,876 --> 00:00:45,211 証明することだけだ》 13 00:00:45,211 --> 00:00:48,915 ⸨朔:自分が描きたい物語の責任は 自分で持て!⸩ 14 00:00:51,384 --> 00:00:54,688 《これは山崎健太の物語だ》 15 00:02:26,212 --> 00:02:28,381 (美姫)あっ。 (笑い声) 16 00:02:28,381 --> 00:02:30,550 ごめん 待たせちゃった? 17 00:02:30,550 --> 00:02:32,886 健… 太? 18 00:02:32,886 --> 00:02:34,888 うん 久しぶり。 19 00:02:34,888 --> 00:02:38,224 (蓮)お前 なにその格好 超ウケるんだけど。 20 00:02:38,224 --> 00:02:40,226 ⸨朔:笑いものになるのさ⸩ 21 00:02:40,226 --> 00:02:42,562 美姫ちゃんにフラれたのがショックでさ。 22 00:02:42,562 --> 00:02:45,565 いっそ陽キャでも 目指してやろうかなって! 23 00:02:45,565 --> 00:02:48,234 (隼人)陰キャが陽キャに? あっ! 24 00:02:48,234 --> 00:02:51,671 ⸨他人は他人。 自分で自分を 誇れればそれでいい⸩ 25 00:02:51,671 --> 00:02:56,176 まぁ 失うものないしね。 やるだけやってみようかなって。 26 00:02:58,678 --> 00:03:01,181 とりあえず 中 入ろうよ。 27 00:03:05,685 --> 00:03:08,188 こういうとこ 慣れてないだろ お前。 28 00:03:08,188 --> 00:03:10,690 うん 予習で1回来ただけ。 29 00:03:10,690 --> 00:03:13,526 わざわざ予習か。 やっぱ陰キャだね。 30 00:03:13,526 --> 00:03:15,528 ちょっと やめなよ~。 31 00:03:15,528 --> 00:03:18,198 ⸨さぁ 相互理解を始めようぜ⸩ 32 00:03:18,198 --> 00:03:22,202 みんなはどうしてた? イベントとかオフ会 顔出してる? 33 00:03:22,202 --> 00:03:24,704 (蓮)行ってる行ってる。 お前が抜けてから➨ 34 00:03:24,704 --> 00:03:27,40 予定合わせやすくなって 助かったわ。 35 00:03:27,40 --> 00:03:30,543 (健太)そっか 迷惑かけてたならごめんね。 36 00:03:30,543 --> 00:03:33,213 俺は最近 まさかの筋トレしてたり。 37 00:03:33,213 --> 00:03:35,548 (隼人)なに 脱オタも目指してんの? 38 00:03:35,548 --> 00:03:39,386 その眼鏡とか服も どうせ誰かに 選んでもらったんでしょ。 39 00:03:39,386 --> 00:03:42,55 うん 学校の友達に。 40 00:03:42,55 --> 00:03:44,891 健太 新しい友達できたの? 41 00:03:44,891 --> 00:03:46,893 う… うん。 42 00:03:46,893 --> 00:03:50,497 女の子? 男もいるし 女の子もいる。 43 00:03:50,497 --> 00:03:53,333 とってもかっこいい生き方を してる人たちだよ。 44 00:03:53,333 --> 00:03:56,836 ねぇ 私のことは もう忘れちゃった? 45 00:03:56,836 --> 00:04:00,674 久しぶりに会えて ちょっとうれしいんだけど。 46 00:04:00,674 --> 00:04:02,842 ありがとう。 でももう➨ 47 00:04:02,842 --> 00:04:05,11 蓮くんとの仲を 邪魔する気はないよ。 48 00:04:05,11 --> 00:04:08,14 お前 このために 俺らを呼んだの? 49 00:04:08,14 --> 00:04:11,851 このためって? 友達ができたとか作り話 して➨ 50 00:04:11,851 --> 00:04:14,187 もう一度 美姫の気を引きたいんだろ! 51 00:04:14,187 --> 00:04:16,523 ま… 待って そんなの全然。 52 00:04:16,523 --> 00:04:19,693 もう美姫ちゃんのことは 完全に吹っ切れてるから。 53 00:04:19,693 --> 00:04:23,363 はあ? 何それ! ちょっとは悪かったと思って➨ 54 00:04:23,363 --> 00:04:25,699 優しくしてあげたら 調子に乗って! 55 00:04:25,699 --> 00:04:28,201 そういうとこ 全然変わってないじゃん! 56 00:04:28,201 --> 00:04:30,203 ご… ごめん。 57 00:04:30,203 --> 00:04:33,373 「元」 友達だから 忠告してあげるけど➨ 58 00:04:33,373 --> 00:04:37,210 アンタ その人たちにも暇潰しで からかわれてるんだよ。 59 00:04:37,210 --> 00:04:40,380 それかあれだな。 陰キャにも優しくできるって➨ 60 00:04:40,380 --> 00:04:42,382 陽キャの自分アピール。 61 00:04:42,382 --> 00:04:45,51 (隼人)あるある! 絶対そうだよね! 62 00:04:45,51 --> 00:04:47,53 それであれだろ? 俺 カッケー…。 63 00:04:47,53 --> 00:04:51,825 《そうか 俺も神や夕湖に こういう態度をとってたのか…。 64 00:04:51,825 --> 00:04:54,327 それでも あの人たちは…》 65 00:04:54,327 --> 00:04:58,998 同じだよ 美姫ちゃんにキモい 愛のメッセージ送ってきてたときと。 66 00:04:58,998 --> 00:05:03,837 アハハ…。 今考えると あのころは ホントに舞い上がっちゃってたよね。 67 00:05:03,837 --> 00:05:07,340 (蓮)お前 なに余裕ぶってんの? (健太)えっ? 68 00:05:07,340 --> 00:05:11,344 教えてやるよ。 美姫が お前に優しくしたの➨ 69 00:05:11,344 --> 00:05:14,347 俺の気を引くために 嫉妬させたと思ってんだろ? 70 00:05:14,347 --> 00:05:17,17 違うの? 違うね。 71 00:05:17,17 --> 00:05:19,185 そのときにはもう 美姫はとっくに➨ 72 00:05:19,185 --> 00:05:22,522 俺とつきあってたんだよ! じゃ… じゃあ なんで? 73 00:05:22,522 --> 00:05:26,359 お前が空回ってるのを見て 笑うために決まってんだろ! 74 00:05:26,359 --> 00:05:28,862 そん… な…。 75 00:05:28,862 --> 00:05:31,164 いいもの見せてやるよ。 76 00:05:52,819 --> 00:05:54,988 何 これ…。 77 00:05:54,988 --> 00:06:00,160 お前が美姫からだと思ってたメッセージ ほとんど俺が考えてたんだよ。 78 00:06:00,160 --> 00:06:02,495 そんな…。 79 00:06:02,495 --> 00:06:06,332 つまり お前は 俺に恋してたようなもんだな。 80 00:06:06,332 --> 00:06:08,835 (3人の笑い声) 81 00:06:08,835 --> 00:06:14,174 《健太:じゃあ 俺の初めての恋は 最初からずっと…》 82 00:06:14,174 --> 00:06:16,843 ごめんね~。 でも健太も➨ 83 00:06:16,843 --> 00:06:19,846 それなりに疑似恋愛 楽しめたでしょ? 84 00:06:19,846 --> 00:06:24,17 まぁ 健太にも新しい お友達ができてよかったな。 85 00:06:24,17 --> 00:06:27,821 本当にいるならだけど! アッハハハ…! 86 00:06:29,856 --> 00:06:31,858 《健太:ああ そうか…。 87 00:06:31,858 --> 00:06:36,29 これは 神にひどいことを 言ってしまった報いだ。 88 00:06:36,29 --> 00:06:39,199 大切な友達が できたはずだったのに➨ 89 00:06:39,199 --> 00:06:43,370 自分で突き放してしまったから…。 90 00:06:43,370 --> 00:06:48,41 俺の居場所なんて もうどこにもない…。 91 00:06:48,41 --> 00:06:50,477 あの部屋へ帰ろう。 92 00:06:50,477 --> 00:06:54,814 鍵をかけて また独りぼっちで閉じこもろう。 93 00:06:54,814 --> 00:06:58,151 ごめんなさい 神 夕湖。 94 00:06:58,151 --> 00:07:01,654 やっぱり俺は 変われなかったです》 95 00:07:06,159 --> 00:07:08,161 (氷のとける音) 96 00:07:08,161 --> 00:07:12,165 (朔)やれやれ お前は大事なことを 一つ忘れているぞ。 97 00:07:12,165 --> 00:07:14,334 ハッ! 相手が➨ 98 00:07:14,334 --> 00:07:18,171 悪意に満ちた いじめをしてくるヤツだったら? 99 00:07:18,171 --> 00:07:22,342 約束どおり お前の背中を守りにきたぜ。 100 00:07:22,342 --> 00:07:25,345 神 なんで…? 101 00:07:25,345 --> 00:07:28,181 あ… あの…? (朔)ああ➨ 102 00:07:28,181 --> 00:07:31,184 割り込んでごめん。 健太のクラスメートの➨ 103 00:07:31,184 --> 00:07:33,687 千歳朔です。 よろしく。 104 00:07:33,687 --> 00:07:36,122 じゃあ 新しくできた友達って…。 105 00:07:36,122 --> 00:07:40,627 俺も その一人ってことで いいよな? 健太。 106 00:07:45,198 --> 00:07:48,535 くっ! お人よしがすぎますよ! 107 00:07:48,535 --> 00:07:50,470 友達って…。 108 00:07:50,470 --> 00:07:54,974 冗談っすよね? コイツ メチャクチャ オタクっすよ。 109 00:07:54,974 --> 00:07:57,644 もちろん知ってるぞ。 今年の夏は➨ 110 00:07:57,644 --> 00:08:00,313 コミケを案内してもらうんだ。 なっ…。 111 00:08:00,313 --> 00:08:04,651 《そんな約束 してないじゃないっすか…。 112 00:08:04,651 --> 00:08:06,986 あぁ そっか…。 113 00:08:06,986 --> 00:08:10,990 これが 千歳朔という漢なんだ。 114 00:08:10,990 --> 00:08:14,494 ただ生きてるだけで 俺みたいな人間から➨ 115 00:08:14,494 --> 00:08:17,497 好き勝手に石を投げつけられて…。 116 00:08:17,497 --> 00:08:21,167 他人なんて さっさと 切り捨てちゃえば楽なのに➨ 117 00:08:21,167 --> 00:08:25,672 裏切られても 恩をあだで返されても➨ 118 00:08:25,672 --> 00:08:29,175 それでも誰かに 手を差し伸べようと…。 119 00:08:29,175 --> 00:08:33,13 自分の美学とか 失敗した過去とか➨ 120 00:08:33,13 --> 00:08:36,16 それでも捨てきれない 優しさとか➨ 121 00:08:36,16 --> 00:08:40,353 いろんなもののはざまで あがき続けてるんだ》 122 00:08:40,353 --> 00:08:43,23 き… 気をつけたほうが いいっすよ。 123 00:08:43,23 --> 00:08:47,360 コイツ 美姫にストーカーまがいの メッセージとか送ってきてたんで。 124 00:08:47,360 --> 00:08:49,529 アンタの彼女とかにもきっと…。 125 00:08:49,529 --> 00:08:52,799 フッ そうそう 確認なんだけど➨ 126 00:08:52,799 --> 00:08:55,135 美姫ちゃんとのことは 本当に全部➨ 127 00:08:55,135 --> 00:08:57,637 健太が勝手に 思い込んでただけなのか? 128 00:08:57,637 --> 00:09:01,141 そっ そうなんす! だから下手に同情して➨ 129 00:09:01,141 --> 00:09:03,543 優しくしないほうがいいっすよ! 130 00:09:05,645 --> 00:09:08,815 (朔)よかったな 健太。 え…? 131 00:09:08,815 --> 00:09:12,485 (朔)始まってさえいないものは 失われもしない。 132 00:09:12,485 --> 00:09:17,657 一生に一度の初恋は まだお前の手のひらにあるぞ。 133 00:09:17,657 --> 00:09:22,162 なにもみすみす こんなところで 捨てる必要はない。 134 00:09:22,162 --> 00:09:26,166 いつか心から大切だと思える人に 差し出すときまで➨ 135 00:09:26,166 --> 00:09:28,668 大事にとっておけ。 136 00:09:34,7 --> 00:09:36,676 (蓮)お前… なんなの? 137 00:09:36,676 --> 00:09:39,12 いきなり割り込んできて なんなんだよ! 138 00:09:39,12 --> 00:09:43,683 うむ わたくしは千歳朔。 通りすがりの神だ。 139 00:09:43,683 --> 00:09:46,519 (蓮)ふざけんな! ケンカ売ってんのかよ! 140 00:09:46,519 --> 00:09:49,189 あいにくだが➨ 141 00:09:49,189 --> 00:09:52,859 俺の仲間にケンカを売ったのは そっちが先だろう? 142 00:09:52,859 --> 00:09:56,529 (蓮)はっ なにが仲間だ。 こんな陰キャのクズが➨ 143 00:09:56,529 --> 00:09:59,32 今更アンタみたいに なれるわけねえだろ! 144 00:09:59,32 --> 00:10:02,35 そうだよ! どうせ 見捨てることになるんだから➨ 145 00:10:02,35 --> 00:10:04,537 中途半端に同情なんかすんな! 146 00:10:04,537 --> 00:10:07,707 健太 また勘違いしちゃダメだよ。 147 00:10:07,707 --> 00:10:11,711 こんな人が本気でアンタのこと 相手にするわけないじゃん。 148 00:10:11,711 --> 00:10:14,381 人は変わらない! 変われない! 149 00:10:14,381 --> 00:10:17,50 かなわない夢みて 努力ごっこなんかして➨ 150 00:10:17,50 --> 00:10:19,352 見てて イタイんだよ! 151 00:10:21,888 --> 00:10:23,890 はぁ~…。 152 00:10:23,890 --> 00:10:26,393 さすがにうるさいな。 153 00:10:26,393 --> 00:10:28,895 いいか よく聞けよ。 154 00:10:28,895 --> 00:10:32,399 健太は理想の自分を目指して 歩き始めた。 155 00:10:32,399 --> 00:10:37,570 失敗して 傷ついても 戻らないと誓ったんだ。 156 00:10:37,570 --> 00:10:41,908 健太は! 月に手を伸ばしたんだよ! 157 00:10:41,908 --> 00:10:47,580 高くて 遠くて 美しい 自分の憧れた月に! 158 00:10:47,580 --> 00:10:50,350 自分は何も進まず生み出さず➨ 159 00:10:50,350 --> 00:10:55,21 遠ざかっていく他人の背中に 恨み言吐いてる クソダセぇヤツに➨ 160 00:10:55,21 --> 00:10:57,624 今の健太を笑う資格はねえ! 161 00:11:03,363 --> 00:11:06,32 《健太:もう… 限界だった。 162 00:11:06,32 --> 00:11:09,703 いっつも ひょうひょうとしてて 本音を見せない男が➨ 163 00:11:09,703 --> 00:11:13,540 俺なんかのために 本気で怒ってくれている。 164 00:11:13,540 --> 00:11:15,709 これは エールだ。 165 00:11:15,709 --> 00:11:20,547 明日から違う道を歩く俺に向けた 最後の激励だ。 166 00:11:20,547 --> 00:11:24,50 進め 走れ 振り返るな! 167 00:11:24,50 --> 00:11:27,387 お前の決断と覚悟は 間違っていないって。 168 00:11:27,387 --> 00:11:32,559 今度こそ迷ったりしないように ちゃんと受け取らなきゃ。 169 00:11:32,559 --> 00:11:36,229 刻むんだ この瞬間を…。 170 00:11:36,229 --> 00:11:39,733 俺が憧れた漢の背中を…》 171 00:11:43,403 --> 00:11:45,405 (夕湖)ちょっと 朔~! 172 00:11:45,405 --> 00:11:48,408 壁ドンってそれ 私にしてほしいやつ~。 173 00:11:48,408 --> 00:11:50,844 夕湖… なんで…? 174 00:11:50,844 --> 00:11:54,347 だって 私だけ仲間外れは ずる~い! 175 00:11:54,347 --> 00:11:57,517 どうも お騒がせしました~! 176 00:11:57,517 --> 00:12:01,688 健太っちー 今日も天パ かわいいね~。 177 00:12:01,688 --> 00:12:03,690 よ~し よし~。 178 00:12:03,690 --> 00:12:05,859 イヒヒ なでたくなっちゃう。 ちょっ やめて…。 179 00:12:05,859 --> 00:12:07,861 わしゃわしゃわしゃ~。 180 00:12:07,861 --> 00:12:11,31 それじゃあ お互い言いたいことも言ったし➨ 181 00:12:11,31 --> 00:12:14,200 また明日から 楽しく頑張りましょ~! 182 00:12:14,200 --> 00:12:18,538 ってことで 健太っちー 最後に言い残したことはない? 183 00:12:18,538 --> 00:12:20,540 あっ…。 184 00:12:20,540 --> 00:12:23,209 これは健太の物語なんだろう? 185 00:12:23,209 --> 00:12:32,886 ♬~ 186 00:12:32,886 --> 00:12:36,723 俺… 月を 目指してみることにするよ。 187 00:12:36,723 --> 00:12:40,427 後ろはもう 振り返らない。 188 00:12:45,398 --> 00:12:48,401 なんで来たんですかぁ…! 189 00:12:48,401 --> 00:12:51,171 きっとうまくいくって 伝えただろ? 190 00:12:51,171 --> 00:12:54,507 なぜなら この千歳朔が そばにいるからだ。 191 00:12:54,507 --> 00:12:57,610 (健太)また そういうパターンかよぉ。 192 00:13:02,849 --> 00:13:07,20 (健太)プハッ。 あの… あれでよかったんですかね? 193 00:13:07,20 --> 00:13:09,856 もちろん責任は 俺にあるんですけど。 194 00:13:09,856 --> 00:13:12,25 (朔)やりすぎだとは思ってないぞ。 195 00:13:12,25 --> 00:13:15,528 これまでの分も考えたら ささやかなお仕置きだ。 196 00:13:15,528 --> 00:13:19,32 (夕湖)珍しく メッチャ熱くなってたもんね~。 197 00:13:19,32 --> 00:13:23,370 もちろん みんなが仲よくなれたら それがいちばん! 198 00:13:23,370 --> 00:13:26,206 だけど 私は何よりもまず➨ 199 00:13:26,206 --> 00:13:30,43 大切な友達のために 怒れる人でいたいな。 200 00:13:30,43 --> 00:13:32,379 神 夕湖…。 201 00:13:32,379 --> 00:13:34,381 まぁ 蓮くんたちも➨ 202 00:13:34,381 --> 00:13:38,218 石を投げた先には誰かがいて 拾って投げ返されたら➨ 203 00:13:38,218 --> 00:13:41,221 痛いんだってことがわかって よかったんじゃないか? 204 00:13:41,221 --> 00:13:46,393 美しく生きられないのなら 死んでいるのと大した違いはない。 205 00:13:46,393 --> 00:13:48,395 これが俺の美学だ。 206 00:13:48,395 --> 00:13:50,330 それに従った結果として➨ 207 00:13:50,330 --> 00:13:52,832 無責任な他人に あざ笑われようが➨ 208 00:13:52,832 --> 00:13:55,835 叩かれようが 一向にかまわない。 209 00:13:55,835 --> 00:13:58,338 本当に恐れるべきなのは➨ 210 00:13:58,338 --> 00:14:02,42 いつか自分で自分を 嫌いになってしまうことさ。 211 00:14:04,10 --> 00:14:09,516 《朔:カランと 心の奥のほうで 懐かしい音がする。 212 00:14:09,516 --> 00:14:11,685 春の出口は近く➨ 213 00:14:11,685 --> 00:14:16,523 本格的な夏の入り口はまだ遠い 4月の終わり。 214 00:14:16,523 --> 00:14:21,27 それは 俺たちの不自然な関係に よく似ている。 215 00:14:21,27 --> 00:14:26,32 美しく在りたいんだ。 あの日見た月のように。 216 00:14:26,32 --> 00:14:31,371 ラムネの瓶に沈んだ ビー玉みたいに》 217 00:14:31,371 --> 00:14:33,540 (朔)寄り道はおしまいだな。 218 00:14:33,540 --> 00:14:36,209 えっ? (朔)3週間。 219 00:14:36,209 --> 00:14:38,712 約束していた終わりの時間だ。 220 00:14:38,712 --> 00:14:40,714 あっ…。 221 00:14:40,714 --> 00:14:42,716 昨日 あんなこと 言っちゃった時点で➨ 222 00:14:42,716 --> 00:14:45,51 覚悟は決めてたんですけど…。 223 00:14:45,51 --> 00:14:48,888 本当に終わりが来るっていう 実感がまだなくて。 224 00:14:48,888 --> 00:14:51,191 約束は約束だ。 225 00:14:53,159 --> 00:14:55,829 あっ…。 226 00:14:55,829 --> 00:14:58,832 《朔:背負える荷物には 限りがある。 227 00:14:58,832 --> 00:15:01,835 出会う人みんなを 背中に乗せていたら➨ 228 00:15:01,835 --> 00:15:05,5 いつの日か いちばん最初に 乗っけた大切なものが➨ 229 00:15:05,5 --> 00:15:07,607 転がり落ちてしまうかも しれない》 230 00:15:11,511 --> 00:15:14,848 (健太)最初から そういう決め事でしたもんね。 231 00:15:14,848 --> 00:15:19,19 あの日 神が部屋のガラスを ぶち破ってくれたとき➨ 232 00:15:19,19 --> 00:15:23,189 自分の心を囲っていた 分厚いガラスまで一緒に➨ 233 00:15:23,189 --> 00:15:26,359 割れたような気がしたんです。 234 00:15:26,359 --> 00:15:28,862 俺 何言ってるんすかね。 235 00:15:28,862 --> 00:15:33,533 明日からは 一人で 自分の物語を描いていきます。 236 00:15:33,533 --> 00:15:35,869 だけど…! 237 00:15:35,869 --> 00:15:42,876 もしもいつか 神や夕湖の隣に 胸を張って立てる日が来たら…。 238 00:15:42,876 --> 00:15:47,881 もう一度言ってもいいですか? 239 00:15:47,881 --> 00:15:50,483 「友達になってください」って。 240 00:15:50,483 --> 00:15:55,155 この3週間 神に怒られたこと 教えてもらったこと➨ 241 00:15:55,155 --> 00:15:58,825 夕湖にかけてもらった言葉 見せてくれた笑顔も➨ 242 00:15:58,825 --> 00:16:02,829 死ぬまで絶対に忘れません。 忘れられません。 243 00:16:02,829 --> 00:16:09,336 本当に 本当に… ありがとうございました! 244 00:16:09,336 --> 00:16:11,838 フッ… コイツ 急にどうしたんだ? 245 00:16:11,838 --> 00:16:15,842 もう 朔が紛らわしい 言い方するからでしょ! 246 00:16:15,842 --> 00:16:18,511 あっ…。 (夕湖)あのね 健太っちー。 247 00:16:18,511 --> 00:16:21,14 朔がおしまいにしよう って言ったのは➨ 248 00:16:21,14 --> 00:16:24,851 教え 教えられるっていう この不自然な関係のこと! 249 00:16:24,851 --> 00:16:27,854 えっ えぇ? 明日からはちゃんと➨ 250 00:16:27,854 --> 00:16:31,24 対等なお友達になりましょう ってことだよ。 251 00:16:31,24 --> 00:16:34,527 期限が来たら はい他人です ってならないよね!? 252 00:16:34,527 --> 00:16:36,696 で… でも いいんですか? 253 00:16:36,696 --> 00:16:39,699 私たち とっくに友達でしょ? 254 00:16:39,699 --> 00:16:42,702 そもそもお前 「友達になってください」とか➨ 255 00:16:42,702 --> 00:16:45,38 これまで一度も言ってないだろ。 256 00:16:45,38 --> 00:16:50,977 神… もしかして 俺が 勘違いするってわかってて…。 257 00:16:50,977 --> 00:16:55,148 覚えておけよ。 これが 愛のあるいじりってやつだ。 258 00:16:55,148 --> 00:16:58,485 あっ… フフ…。 259 00:16:58,485 --> 00:17:01,154 うるせぇよ 神 この野郎! 260 00:17:01,154 --> 00:17:05,859 (健太)今度こそ 相互理解しました! 261 00:17:08,495 --> 00:17:10,497 (足音) 262 00:17:10,497 --> 00:17:12,499 (朔)明日姉。 263 00:17:12,499 --> 00:17:16,2 (明日風)今日は君に会えるとは 思ってなかったよ。 264 00:17:16,2 --> 00:17:20,6 ねぇ いいかげん その君っていう 呼び方やめてくんない? 265 00:17:20,6 --> 00:17:24,177 その他大勢みたいで嫌なんだけど。 フッ。 266 00:17:24,177 --> 00:17:26,513 おかしなこと言うんだね。 267 00:17:26,513 --> 00:17:29,15 君は 君だけ。 268 00:17:31,17 --> 00:17:35,21 (明日風)そっか すてきな物語を 紡いでいたんだね。 269 00:17:35,21 --> 00:17:39,192 まるで風船を集めて 空を飛ぼうとする少年みたいに➨ 270 00:17:39,192 --> 00:17:43,697 純粋で 切なくて 夢と願いがある。 271 00:17:43,697 --> 00:17:47,534 俺には そういうやり方しか できなかっただけさ。 272 00:17:47,534 --> 00:17:49,869 迂遠な男なんだよ。 273 00:17:49,869 --> 00:17:53,139 (明日風)だけど そんなふうに迂遠な君を➨ 274 00:17:53,139 --> 00:17:55,475 君は案外 気に入ってるんでしょ? 275 00:17:55,475 --> 00:17:57,577 まぁ ね…。 276 00:17:59,813 --> 00:18:03,316 あっ…。 少し 変わったね。 277 00:18:03,316 --> 00:18:07,821 今の君の公園でなら 線香花火ぐらいはできそうだ。 278 00:18:07,821 --> 00:18:13,493 まさか。 いつもどおり 中途半端な ヒーローごっこをしただけだよ。 279 00:18:13,493 --> 00:18:17,497 ごっこ遊びのヒーローは 客席から舞台によじ登ってまで➨ 280 00:18:17,497 --> 00:18:20,333 誰かに手を差し伸べたりしないよ。 281 00:18:20,333 --> 00:18:23,336 (明日風)君の内面は複雑だ。 282 00:18:23,336 --> 00:18:27,340 自分のことだけを考えて 生きているように見える君は➨ 283 00:18:27,340 --> 00:18:32,12 誰よりも他人に温かくて 自分に冷たい。 284 00:18:32,12 --> 00:18:34,347 (朔)本当の優しさっていうのは➨ 285 00:18:34,347 --> 00:18:39,19 ずぶぬれになって 子どもたちを笑顔にすることだ。 286 00:18:39,19 --> 00:18:42,355 君も私を美化しすぎている。 287 00:18:42,355 --> 00:18:45,692 もっと普通だよ 西野明日風は。 288 00:18:45,692 --> 00:18:48,862 君みたいに いろんな人を抱えられないし➨ 289 00:18:48,862 --> 00:18:52,132 君みたいに上手にもできない。 290 00:18:52,132 --> 00:18:56,636 抱えたい人だけを抱えて できることだけをやって➨ 291 00:18:56,636 --> 00:18:59,973 家に帰ったら お母さんのオムライスを食べてから➨ 292 00:18:59,973 --> 00:19:03,810 ハインラインの 『夏への扉』を読んで眠るの。 293 00:19:03,810 --> 00:19:07,981 (朔)そういう生き方を 人は自由って名付けたんだよ。 294 00:19:07,981 --> 00:19:11,484 ゴールデンウイーク 何か予定は? 295 00:19:11,484 --> 00:19:15,488 (明日風)ううん 先の予定を 立てるのって苦手なんだよね。 296 00:19:15,488 --> 00:19:19,492 もっと楽しい出来事が 起こったときに後悔しそうで。 297 00:19:19,492 --> 00:19:22,495 君はデートの約束でも 入れてるのかな? 298 00:19:22,495 --> 00:19:26,166 ちょうど憧れの先輩を デートにでも誘おうかと思って➨ 299 00:19:26,166 --> 00:19:28,501 玉砕したところだ。 300 00:19:28,501 --> 00:19:31,4 今度からは 明日姉が目覚める頃➨ 301 00:19:31,4 --> 00:19:34,341 窓の外でラジオ体操の歌を 歌うことにするよ。 302 00:19:34,341 --> 00:19:40,513 それはなかなか すてきな一日になりそうだね。 303 00:19:40,513 --> 00:19:44,517 そういうので いいんだけどな。 304 00:19:44,517 --> 00:19:46,519 ううん。 305 00:19:46,519 --> 00:19:51,358 きっと君とは こんなふうに 思いがけず会うからいいんだよ。 306 00:19:51,358 --> 00:19:56,363 憧れの先輩と すてきな後輩の 男の子でいるために。 307 00:19:56,363 --> 00:20:00,367 これ以上近づいたら その関係性が崩れる? 308 00:20:00,367 --> 00:20:03,570 あるいは ね。 309 00:20:06,539 --> 00:20:10,210 (引き戸の開く音) 310 00:20:10,210 --> 00:20:13,213 あっ! 311 00:20:13,213 --> 00:20:15,715 あのバカ…。 312 00:20:15,715 --> 00:20:18,618 禁止だって言っただろ。 313 00:20:21,54 --> 00:20:24,557 《朔:これは偽物の恋の物語だ。 314 00:20:24,557 --> 00:20:26,893 人が誰かに 恋をするのは➨ 315 00:20:26,893 --> 00:20:29,229 どんな瞬間だろう。 316 00:20:29,229 --> 00:20:31,564 きっとそれは 自分の中を➨ 317 00:20:31,564 --> 00:20:33,566 ぐるぐる 渦巻く 感情に➨ 318 00:20:33,566 --> 00:20:36,236 「恋」という名前を 与えたときだ。 319 00:20:36,236 --> 00:20:38,571 甘い響きに誘われて➨ 320 00:20:38,571 --> 00:20:42,409 最初のうちは 何もかもが華やいで見える。 321 00:20:42,409 --> 00:20:45,745 けれど おおよそ ほとんどの場合➨ 322 00:20:45,745 --> 00:20:48,81 いつかは限界が訪れる。 323 00:20:48,81 --> 00:20:51,685 恋は 無責任に相手を 傷つけるための➨ 324 00:20:51,685 --> 00:20:53,853 免罪符だ。 325 00:20:53,853 --> 00:20:56,856 甘酸っぱい理想と 現実のギャップに傷つくと➨ 326 00:20:56,856 --> 00:20:59,693 まるで裏切られた とでも いうように➨ 327 00:20:59,693 --> 00:21:03,530 大切だった はずの人に 刃を向ける。 328 00:21:03,530 --> 00:21:09,35 身勝手な憧れを押しつけたのが 誰だったのかも忘れたままに。 329 00:21:09,35 --> 00:21:12,706 そんなふうであって ほしくはないと思う。 330 00:21:12,706 --> 00:21:15,542 気付けば 目で追いかけていたあの人を➨ 331 00:21:15,542 --> 00:21:19,212 もっと知りたくなって 知ったら がっかりして➨ 332 00:21:19,212 --> 00:21:22,215 それでも心から離れない感情に➨ 333 00:21:22,215 --> 00:21:24,718 悩み 苦しみ➨ 334 00:21:24,718 --> 00:21:26,720 そんな自分も➨ 335 00:21:26,720 --> 00:21:28,722 自分をそうさせる相手も➨ 336 00:21:28,722 --> 00:21:30,724 嫌いになりかけて➨ 337 00:21:30,724 --> 00:21:34,227 だけど やっぱり どうしても…。 338 00:21:34,227 --> 00:21:37,897 そうして最後に両手で そっとすくい上げるのが➨ 339 00:21:37,897 --> 00:21:40,567 その言葉であってほしいと思う。 340 00:21:40,567 --> 00:21:44,404 だから本当は 恋なんて名前を付けるのは➨ 341 00:21:44,404 --> 00:21:47,607 最後の最後でいい》 342 00:21:54,514 --> 00:21:56,516 (悠月)やあ。 343 00:21:56,516 --> 00:21:58,518 やあ。 344 00:21:58,518 --> 00:22:01,187 (朔)せっかく いい男とデートだっていうのに➨ 345 00:22:01,187 --> 00:22:04,190 もっと おめかししなくて よかったのか? 346 00:22:04,190 --> 00:22:07,527 千歳は いい男とのデートで➨ 347 00:22:07,527 --> 00:22:10,196 ここぞとばかりに 着飾ってくるような女の子は➨ 348 00:22:10,196 --> 00:22:12,699 趣味じゃないと思ったんだけどな。 349 00:22:12,699 --> 00:22:16,870 それに 意外とこういうほうが ドキッとしない? 350 00:22:16,870 --> 00:22:19,172 《朔:うん 見てたのバレてる》 351 00:22:22,375 --> 00:22:24,544 (朔)七瀬 聞いてもいいか? 352 00:22:24,544 --> 00:22:27,213 (悠月)公の場で 答えられることなら。 353 00:22:27,213 --> 00:22:31,51 (朔)なんでこんなに早い? 約束は12時だろ? 354 00:22:31,51 --> 00:22:33,219 (悠月)きっと同じ理由だよ。 355 00:22:33,219 --> 00:22:36,222 人を待たせるのが あんまり好きじゃないの。 356 00:22:36,222 --> 00:22:39,225 その時点で 一つ貸しを つくっちゃうみたいで。 357 00:22:39,225 --> 00:22:42,896 まったく 隙のない女は モテないらしいぞ。 358 00:22:42,896 --> 00:22:44,898 それは一般論。 359 00:22:44,898 --> 00:22:47,233 私は七瀬悠月です。 360 00:22:47,233 --> 00:22:51,137 僕は千歳朔です。 どうぞよろしく。 361 00:22:53,340 --> 00:22:55,842 (朔)しかし いいとこ知ってるな。 362 00:22:55,842 --> 00:23:00,13 (悠月)休日の駅前は 意外と 知り合いに見つかりにくくて➨ 363 00:23:00,13 --> 00:23:02,115 何気に穴場なの。 364 00:23:04,517 --> 00:23:07,854 まるで誰かに見られたら 困るような言いぐさじゃないか。 365 00:23:07,854 --> 00:23:10,690 あら 男の子に告白するところを➨ 366 00:23:10,690 --> 00:23:13,193 のぞかれたい人なんて いないでしょ? 367 00:23:15,362 --> 00:23:17,697 (悠月)言ったじゃない。 368 00:23:17,697 --> 00:23:21,701 私の恋人になってみませんか? 369 00:23:21,701 --> 00:23:26,706 《朔:恋なんて名前を付けるのは 最後の最後でいい。 370 00:23:26,706 --> 00:23:34,614 そこから始まってしまったこれは きっと偽物の恋の物語だ》