1 00:01:31,791 --> 00:01:36,963 《悠月:私 七瀬悠月は 特別な女の子なのだと➨ 2 00:01:36,963 --> 00:01:40,300 結構早いうちに気付いていた。 3 00:01:40,300 --> 00:01:45,805 同時に ただの特別なままでは 生きにくいのだと気付いたのも➨ 4 00:01:45,805 --> 00:01:49,142 それなりに早かったように思う。 5 00:01:49,142 --> 00:01:54,914 だから私は 上手に立ち回るために いろんな自分をつくり出した。 6 00:01:54,914 --> 00:01:59,753 もちろん 地道な努力だって 人一倍 重ねてきた。 7 00:01:59,753 --> 00:02:04,924 私はいつだって よりよい自分で在りたいと願う。 8 00:02:04,924 --> 00:02:09,596 あの日 暴力そのものより 私が恐れたのは➨ 9 00:02:09,596 --> 00:02:12,766 それでもふんばれる 芯のようなものが➨ 10 00:02:12,766 --> 00:02:16,603 自分の中に 何一つ存在しなかったことだ。 11 00:02:16,603 --> 00:02:22,442 「ただの野蛮な暴力に負けるなんて 七瀬悠月のプライドが許さない」も➨ 12 00:02:22,442 --> 00:02:25,945 「愛する人のために こんな男には屈しない」も➨ 13 00:02:25,945 --> 00:02:29,616 まるでなかった。 空っぽだ。 14 00:02:29,616 --> 00:02:33,620 誰が見たって 何でも 持ってるように見える自分が➨ 15 00:02:33,620 --> 00:02:37,791 本当は 何にも 持っていないんじゃないか。 16 00:02:37,791 --> 00:02:43,630 そんな私が 初めて自分よりも まぶしいと思ったのは➨ 17 00:02:43,630 --> 00:02:48,968 青い海の上で さんさんと輝く太陽だ。 18 00:02:48,968 --> 00:02:51,905 総合力で圧倒的に劣る中➨ 19 00:02:51,905 --> 00:02:56,576 転んでも ニカッと笑って また走りだすその目は➨ 20 00:02:56,576 --> 00:02:59,79 まっすぐ前を見ていた》 21 00:02:59,79 --> 00:03:01,81 ((陽:そこを…! 22 00:03:01,81 --> 00:03:04,751 どっけぇ~っ! (ブザー) 23 00:03:04,751 --> 00:03:07,253 (歓声) 24 00:03:09,255 --> 00:03:12,425 フッフフ…。 25 00:03:12,425 --> 00:03:16,96 あっ。 高校 どこ行くの? 26 00:03:16,96 --> 00:03:18,398 フッ… 藤志高!)) 27 00:03:21,434 --> 00:03:24,104 《悠月:次に私が 興味を引かれたのは➨ 28 00:03:24,104 --> 00:03:26,606 真っ暗な新月の夜。 29 00:03:26,606 --> 00:03:30,443 その男の子は 私が生まれて初めて見つけた➨ 30 00:03:30,443 --> 00:03:33,279 自分の同類だった。 31 00:03:33,279 --> 00:03:36,783 何でもできるから何にもできない。 32 00:03:36,783 --> 00:03:39,285 誰に言ったって笑い飛ばされる➨ 33 00:03:39,285 --> 00:03:43,790 ちっぽけで浅い闇を 彼もまた抱いている。 34 00:03:43,790 --> 00:03:46,292 もしかしたら ただ一人➨ 35 00:03:46,292 --> 00:03:50,397 正しくお互いを 理解し合える相手かもしれない。 36 00:03:50,397 --> 00:03:55,68 そうして この2か月弱。 私の目に映ったのは➨ 37 00:03:55,68 --> 00:03:58,71 高い空で こうこうと みんなを見守る➨ 38 00:03:58,71 --> 00:04:00,740 大きな満月だった。 39 00:04:00,740 --> 00:04:04,411 全然違った。 同じじゃなかった。 40 00:04:04,411 --> 00:04:07,414 なんて不器用な生き方なんだろう。 41 00:04:07,414 --> 00:04:09,916 もっとうまくやれるはずなのに➨ 42 00:04:09,916 --> 00:04:13,586 その男の子は かっこつけながら いろんなものにぶつかって➨ 43 00:04:13,586 --> 00:04:17,257 すり切れて それでもまた前を向いて➨ 44 00:04:17,257 --> 00:04:21,594 一つ一つの壁を ぶち壊しながら進んでいく。 45 00:04:21,594 --> 00:04:25,432 「俺たちは似ている」と朔は言った。 46 00:04:25,432 --> 00:04:30,270 私たちは全然違うと 私は思う。 47 00:04:30,270 --> 00:04:33,940 だいたい 女の子の傷を癒やしたいなら➨ 48 00:04:33,940 --> 00:04:37,277 優しく抱き締めて 「俺が君を守るから」って➨ 49 00:04:37,277 --> 00:04:39,946 甘くささやくのが 筋ってもんじゃないのか! 50 00:04:39,946 --> 00:04:44,617 あの雰囲気なら チューのちょっと 先ぐらいまでは許してたのに。 51 00:04:44,617 --> 00:04:47,620 それがあろうことか 押し倒したあげくに➨ 52 00:04:47,620 --> 00:04:49,622 無理やり立ち上がらせるとか➨ 53 00:04:49,622 --> 00:04:52,325 そんな王子様なんて 聞いたことないぞ!》 54 00:04:56,563 --> 00:05:00,233 《だけど だけどね。 55 00:05:00,233 --> 00:05:02,402 私もそんなふうに➨ 56 00:05:02,402 --> 00:05:06,573 美しく生きてみたい って思ったんだ。 57 00:05:06,573 --> 00:05:10,577 覚悟しててね 千歳朔》 58 00:05:15,415 --> 00:05:20,253 《言っておくけど おとなしく 攻略されるのを待ってるほど➨ 59 00:05:20,253 --> 00:05:22,856 甘い女じゃないから》 60 00:05:26,259 --> 00:05:28,762 あっ! 61 00:05:28,762 --> 00:05:31,765 (柳下)よぉ 悠月。 62 00:05:31,765 --> 00:05:34,934 んっ! ふぅ…。 63 00:05:34,934 --> 00:05:39,339 お話ししましょうか 柳下先輩。 64 00:05:42,942 --> 00:05:46,146 それで 私とどうしたいんですか? 65 00:05:55,221 --> 00:05:58,558 (柳下)中学の頃 できなかったことだよ。 66 00:05:58,558 --> 00:06:01,561 つきあいたいってことですか? 67 00:06:01,561 --> 00:06:04,564 それとも… エッチ? 68 00:06:04,564 --> 00:06:07,233 とりあえずヤらせろよ。 69 00:06:07,233 --> 00:06:09,736 高校じゃ男を とっかえひっかえなんだろ。 70 00:06:09,736 --> 00:06:12,238 クッ…。 71 00:06:12,238 --> 00:06:15,575 誰から何を吹き込まれたのか 知りませんけど➨ 72 00:06:15,575 --> 00:06:17,911 私は処女だ バカ! 73 00:06:17,911 --> 00:06:20,747 アンタみたいな男には 絶対にあげない! 74 00:06:20,747 --> 00:06:23,583 へぇ? そりゃあいいな。 75 00:06:23,583 --> 00:06:25,752 イチから仕込んでやるよ。 76 00:06:25,752 --> 00:06:30,423 無理やりキスされたって レイプされたって 絶対に私は➨ 77 00:06:30,423 --> 00:06:32,425 あなたのものなんかじゃ ないから! 78 00:06:34,594 --> 00:06:36,930 なら 試してみようぜ。 79 00:06:36,930 --> 00:06:39,99 (頬を叩く音) 80 00:06:39,99 --> 00:06:42,102 ほら あのときみたいに泣けよ。 81 00:06:42,102 --> 00:06:46,439 この心の中に あなたの居場所はどこにもない! 82 00:06:46,439 --> 00:06:48,441 (叩く音) 83 00:06:51,544 --> 00:06:54,881 《怖い 恐い…。 84 00:06:54,881 --> 00:06:56,883 怖くない!》 85 00:06:56,883 --> 00:07:01,888 私の心は あなた程度の男に 傷つけられたりなんかしない。 86 00:07:01,888 --> 00:07:05,558 警察に行って 情けない男の 情けない生きざま➨ 87 00:07:05,558 --> 00:07:07,560 みんなの前にさらしてやる! 88 00:07:07,560 --> 00:07:09,562 やってみろよ。 89 00:07:09,562 --> 00:07:13,66 《大丈夫だよ 朔。 今はもう➨ 90 00:07:13,66 --> 00:07:16,69 私の中にメラメラ燃える芯がある。 91 00:07:16,69 --> 00:07:19,406 あなたのせいで 名前が付いちゃった思いがある。 92 00:07:19,406 --> 00:07:25,78 絶対にブレないように 薄れないように 消えないように。 93 00:07:25,78 --> 00:07:28,581 朔 朔 朔! 94 00:07:28,581 --> 00:07:31,418 朔 朔…!》 95 00:07:31,418 --> 00:07:33,920 朔~っ! 96 00:07:33,920 --> 00:07:37,123 (朔)呼んだか? お姫様。 97 00:07:40,593 --> 00:07:42,595 フンッ。 98 00:07:42,595 --> 00:07:45,398 (柳下)オラァッ! 99 00:07:49,769 --> 00:07:54,40 やめて! もうやめてください! (柳下)やめないよ~。 100 00:07:54,40 --> 00:07:57,43 なんの夢みてたのか 知らねえけど! 101 00:07:57,43 --> 00:08:00,714 ガキの頃から ケンカばっかしてきた俺らを! 102 00:08:00,714 --> 00:08:05,719 優等生が どうにかできるわけ ねえだろ! 103 00:08:05,719 --> 00:08:07,721 やめて! 104 00:08:07,721 --> 00:08:11,558 悠月が黙って俺のものになるなら やめてやってもいいぞ。 105 00:08:11,558 --> 00:08:13,893 け… 警察呼びます! 106 00:08:13,893 --> 00:08:16,229 させると思うか? 107 00:08:16,229 --> 00:08:21,901 ほら 先輩のものになりますって 言えよ。 コイツ死ぬぞ。 108 00:08:21,901 --> 00:08:23,903 ハッ! 109 00:08:26,72 --> 00:08:29,909 クッ… ぱい の…。 110 00:08:29,909 --> 00:08:31,911 (柳下)聞こえないよ? 111 00:08:31,911 --> 00:08:35,582 柳下… 先輩の… もの…。 112 00:08:35,582 --> 00:08:37,751 違うだろ。 ハッ! 113 00:08:37,751 --> 00:08:42,422 こんなのは… ただの痛みだ…。 114 00:08:42,422 --> 00:08:45,825 ((痛みに心まで 支配されないでくれってことだ)) 115 00:08:47,761 --> 00:08:53,533 《そうだ 私が今するべきなのは 一刻も早く助けを呼ぶこと。 116 00:08:53,533 --> 00:08:55,535 こぼれるな 涙! 117 00:08:55,535 --> 00:08:57,704 動け この足! 118 00:08:57,704 --> 00:08:59,873 まっすぐ前を見ろ!》 119 00:08:59,873 --> 00:09:02,42 決心はついたか? 120 00:09:02,42 --> 00:09:04,377 クッ…。 121 00:09:04,377 --> 00:09:08,381 私は 千歳朔の彼女だ! 122 00:09:08,381 --> 00:09:11,217 女一人 まともに口説けない臆病者に➨ 123 00:09:11,217 --> 00:09:13,887 指一本 触れさせてやるもんか! 124 00:09:13,887 --> 00:09:16,56 ハァ ハァ ハァ ハァ…。 125 00:09:16,56 --> 00:09:18,558 (和希)は~い カット~! 126 00:09:18,558 --> 00:09:21,61 ああ? なんだ テメエ! 127 00:09:21,61 --> 00:09:23,730 (和希)大丈夫だよ 早くこっちに。 128 00:09:23,730 --> 00:09:26,66 あっ…。 129 00:09:26,66 --> 00:09:30,403 ってて…。 おっせ~んだよ 和希。 130 00:09:30,403 --> 00:09:32,405 (和希)まあまあ。 131 00:09:32,405 --> 00:09:35,75 誰がどう見たって 状況を理解できるように➨ 132 00:09:35,75 --> 00:09:37,243 きっちり撮ってたんだよ。 133 00:09:37,243 --> 00:09:39,579 ったく。 134 00:09:39,579 --> 00:09:43,83 俺は 小学校の帰り道に転がってる➨ 135 00:09:43,83 --> 00:09:45,418 空き缶かっつうの! 136 00:09:45,418 --> 00:09:47,420 んっ…。 137 00:09:47,420 --> 00:09:51,424 ねぇ水篠 早く警察。 大丈夫だよ もう。 138 00:09:51,424 --> 00:09:55,95 ここで警察沙汰にしたら アイツの苦労が台なしだ。 139 00:09:55,95 --> 00:09:58,932 硬球を脇腹に食らうよりは ましだな。 140 00:09:58,932 --> 00:10:01,267 よく言った 七瀬悠月。 141 00:10:01,267 --> 00:10:06,373 あとは あなたの頼れる彼氏こと 千歳朔にお任せあれ。 142 00:10:08,441 --> 00:10:13,279 チッ! 死ねよ お前! 143 00:10:13,279 --> 00:10:16,449 チッ クソッ! 144 00:10:16,449 --> 00:10:19,619 テッメエ! 145 00:10:19,619 --> 00:10:25,125 野球やってた頃から 動体視力と 瞬発力には自信があるんすよ。 146 00:10:25,125 --> 00:10:27,627 言葉を返すぜ パイセン。 147 00:10:27,627 --> 00:10:31,297 ガキの頃から死ぬ気で スポーツに打ち込んでた人間に➨ 148 00:10:31,297 --> 00:10:34,134 プラプラ過ごしてただけのアンタが➨ 149 00:10:34,134 --> 00:10:37,337 本当に力で勝てるなんて 思ってたんすか!? 150 00:10:40,473 --> 00:10:44,644 うっ… ゴホッ ゴホッ ぐっ…。 151 00:10:44,644 --> 00:10:46,646 教えといてやるよ。 152 00:10:46,646 --> 00:10:49,482 暴力を振るえるから 強いんじゃない。 153 00:10:49,482 --> 00:10:52,419 みんなが振るわないように している暴力に➨ 154 00:10:52,419 --> 00:10:55,922 頼らなきゃいけないぐらい アンタは弱いんだ。 155 00:10:55,922 --> 00:11:01,428 だから俺は 同じ土俵に立つために 相応の理由を用意した。 156 00:11:01,428 --> 00:11:03,930 全部きっちり録画済みだ。 157 00:11:03,930 --> 00:11:07,600 それで心おきなく ケンカしようってか。 158 00:11:07,600 --> 00:11:10,103 野蛮な言い方はよしてくださいよ。 159 00:11:10,103 --> 00:11:14,107 こっから先は 上品な正当防衛だ! 160 00:11:14,107 --> 00:11:16,109 ぶっ殺す! 161 00:11:18,778 --> 00:11:20,780 思い知れ。 162 00:11:20,780 --> 00:11:22,782 がぁ…! 163 00:11:22,782 --> 00:11:25,785 答えろよ 先輩。 抵抗できない状態で➨ 164 00:11:25,785 --> 00:11:29,789 自分よりも腕力の強い相手から 殴られるのは怖いか? 165 00:11:29,789 --> 00:11:33,293 覚悟できてるんだろうな。 166 00:11:33,293 --> 00:11:36,596 何人も連れてきて お前も悠月も グチャグチャ…。 167 00:11:40,133 --> 00:11:44,304 優等生が偉そうに… 見下しやがって。 168 00:11:44,304 --> 00:11:46,473 俺だって昔は…。 169 00:11:46,473 --> 00:11:50,143 悪いが テメエの過去になんざ 興味はねえよ。 170 00:11:50,143 --> 00:11:53,747 ただ一つ言えるのはな! 人生から逃げ出し➨ 171 00:11:53,747 --> 00:11:56,750 他人も巻き添えに しようとしてるアンタより➨ 172 00:11:56,750 --> 00:12:00,587 歯ぁ食いしばって まっすぐ 生きようとしてる人間のほうが➨ 173 00:12:00,587 --> 00:12:04,591 100倍すてきだってことだ! ハッ! 174 00:12:04,591 --> 00:12:07,260 後悔させて…。 175 00:12:07,260 --> 00:12:10,430 いいか この先悠月に近づくなら➨ 176 00:12:10,430 --> 00:12:13,600 考えられるかぎり すべての手段を使って➨ 177 00:12:13,600 --> 00:12:15,935 お前を破滅させる。 178 00:12:15,935 --> 00:12:21,274 複数人で俺をボコボコにしようが お前だけを徹底的に追い詰める。 179 00:12:21,274 --> 00:12:25,612 悠月はな 比べ物にならないほど 怖い記憶と➨ 180 00:12:25,612 --> 00:12:29,783 ずっと独りで戦ってたんだよ! 181 00:12:29,783 --> 00:12:38,291 《心を殺して ヒーロー いや悪者を 演じる彼の姿がただ悲しくて…。 182 00:12:38,291 --> 00:12:42,796 悲しくて… 悲しかった。 183 00:12:42,796 --> 00:12:45,965 あなたに そんな顔は似合わないのに。 184 00:12:45,965 --> 00:12:49,469 いつもみたいに かっこつけて 笑っていてほしいのに。 185 00:12:49,469 --> 00:12:52,906 しようもないジョークで 笑わせてほしいのに》 186 00:12:52,906 --> 00:12:58,578 フッ。 まぁ あれこれ前置きしたけど 言いたいことは一つっす。 187 00:12:58,578 --> 00:13:00,914 す~っ。 188 00:13:00,914 --> 00:13:06,86 テメエ! 今度俺の女に手ぇ出したら ぶっ殺すぞ! 189 00:13:06,86 --> 00:13:08,888 ぐっ…! 190 00:13:14,94 --> 00:13:19,299 わかった。 金輪際 悠月には近寄らない。 191 00:13:21,267 --> 00:13:23,436 (倒れる音) 192 00:13:23,436 --> 00:13:35,448 ♬~ 193 00:13:35,448 --> 00:13:39,452 《そうして見せた 優しくて哀しい笑顔を➨ 194 00:13:39,452 --> 00:13:43,857 私だけは 忘れちゃいけないと思った》 195 00:13:48,128 --> 00:13:52,399 バカ! バカ バカ バカ バカ… バカ! 196 00:13:52,399 --> 00:13:57,404 正当防衛の証拠が必要なら 私が叩かれた時点で十分じゃん。 197 00:13:57,404 --> 00:14:02,75 なんで朔が私以上に ボコスカ蹴られる必要があるのよ! 198 00:14:02,75 --> 00:14:05,779 だって実際に殴り返すのは俺だし。 199 00:14:08,248 --> 00:14:10,750 バカだよ 朔は…。 200 00:14:10,750 --> 00:14:15,755 なんで… 助けにきちゃうの。 201 00:14:15,755 --> 00:14:20,760 まだ別れの言葉を 聞いてなかったからな。 202 00:14:20,760 --> 00:14:24,864 ホントに… バカ。 203 00:14:32,105 --> 00:14:36,943 《悠月:今 私の心は この五月晴れの空みたいに➨ 204 00:14:36,943 --> 00:14:39,612 澄み渡っている。 205 00:14:39,612 --> 00:14:44,284 いや やっぱちょっと モヤモヤしてるかもしれない》 206 00:14:44,284 --> 00:14:47,787 ((今度こそ 俺の役割は果たしたぞ。 207 00:14:47,787 --> 00:14:50,123 もう 一人でも大丈夫だな? 208 00:14:50,123 --> 00:14:52,892 うん!)) 209 00:14:52,892 --> 00:14:56,62 《よく考えたら 私が送っていって➨ 210 00:14:56,62 --> 00:14:58,732 手当てする場面だったんじゃ ないかとか➨ 211 00:14:58,732 --> 00:15:01,401 なに水篠 サラッと 肩なんて組んじゃってるんだ➨ 212 00:15:01,401 --> 00:15:03,403 羨ましいぞとか➨ 213 00:15:03,403 --> 00:15:05,405 おかしいな いつまでたっても➨ 214 00:15:05,405 --> 00:15:09,75 女の子モードが抜けないとか そんな感じ。 215 00:15:09,75 --> 00:15:13,913 なんていうか 昨日までの七瀬悠月が➨ 216 00:15:13,913 --> 00:15:16,916 どっかに行っちゃったみたいだ》 217 00:15:16,916 --> 00:15:20,120 (智也)悠月 送ってくよ。 あっ…。 218 00:15:22,255 --> 00:15:24,424 あの…。 219 00:15:24,424 --> 00:15:27,594 あなたは誰ですか? 220 00:15:27,594 --> 00:15:31,264 (智也)誰って…。 ほら 去年の春➨ 221 00:15:31,264 --> 00:15:35,769 校門の所で荷物を拾ってもらった。 222 00:15:35,769 --> 00:15:39,272 ごめんなさい ちょっと記憶に…。 223 00:15:39,272 --> 00:15:42,876 成瀬智也だよ! 千歳から聞いてるだろ? 224 00:15:45,445 --> 00:15:50,383 全部わかってるよ。 昔は柳下に 今は千歳に➨ 225 00:15:50,383 --> 00:15:53,887 こんなのを撮られて 逆らえないだけなんだよね? 226 00:15:53,887 --> 00:15:56,222 だけど もう安心だよ。 227 00:15:56,222 --> 00:16:00,727 これで僕に助けを求める 口実ができたんだから。 228 00:16:00,727 --> 00:16:06,232 《きっと朔は ストーカーが誰なのか 最初から気付いてたんだ。 229 00:16:06,232 --> 00:16:10,236 私に ひと言も知らせてない ってのはどうかと思うけど➨ 230 00:16:10,236 --> 00:16:13,406 あわよくばこの人まで 正しい方向に➨ 231 00:16:13,406 --> 00:16:15,909 導いてあげようとでも していたのだろう。 232 00:16:15,909 --> 00:16:18,244 やっぱり不自由な生き方だ》 233 00:16:18,244 --> 00:16:20,413 さぁ 悠月! 234 00:16:20,413 --> 00:16:23,416 はぁ…。 あのね➨ 235 00:16:23,416 --> 00:16:26,86 仮にその写真が 私だったとしても➨ 236 00:16:26,86 --> 00:16:28,922 朔に頼まれたら許しちゃうかも。 237 00:16:28,922 --> 00:16:31,424 うっ… 違う。 238 00:16:31,424 --> 00:16:34,94 悠月は そういう子じゃないはずだよ。 239 00:16:34,94 --> 00:16:36,262 ねぇ 知ってる? んっ? 240 00:16:36,262 --> 00:16:42,268 私も女の子の日には真っ赤な血が ドバドバ流れて機嫌が悪くなるし➨ 241 00:16:42,268 --> 00:16:47,941 気になる男の子にドキドキした日は こっそりオナニーだってするの。 242 00:16:47,941 --> 00:16:52,45 そんな… ウソだ! 243 00:16:52,45 --> 00:16:55,48 七瀬悠月に 近づきたいと思うのなら➨ 244 00:16:55,48 --> 00:16:57,550 まずはちゃんと私を見て。 245 00:16:57,550 --> 00:17:01,221 うっ… うるさい! 246 00:17:01,221 --> 00:17:03,723 ひきょうな手なんか使わないで➨ 247 00:17:03,723 --> 00:17:07,60 真正面から 壁をぶち破ってみなさいよ! 248 00:17:07,60 --> 00:17:10,897 うっ… うるさ~いっ! 249 00:17:10,897 --> 00:17:13,66 フン。 はうっ! 250 00:17:13,66 --> 00:17:15,68 《4割 4割》 251 00:17:18,71 --> 00:17:20,573 覚えたよ 成瀬智也くん。 252 00:17:20,573 --> 00:17:23,743 私があの人に 焦がれたきっかけとして➨ 253 00:17:23,743 --> 00:17:27,580 未来永劫 この胸に 刻んでおいてあげる。 254 00:17:27,580 --> 00:17:30,784 (朔)結局 こうなっちまったか。 んっ! 255 00:17:32,919 --> 00:17:35,588 答え合わせは必要か? 256 00:17:35,588 --> 00:17:39,92 千歳!? いつから疑ってたんだ。 257 00:17:39,92 --> 00:17:41,94 最初からさ。 258 00:17:41,94 --> 00:17:44,597 《朔:陽以外では智也しか 知らないはずの祭りに➨ 259 00:17:44,597 --> 00:17:49,269 ヤン高の連中が現れたことで 疑念はほとんど確信に変わった。 260 00:17:49,269 --> 00:17:53,540 わからなかったのは ヤン高の連中に 脅されているだけなのか➨ 261 00:17:53,540 --> 00:17:56,710 智也のほうが けしかけたのかだった。 262 00:17:56,710 --> 00:17:59,379 俺は仲間の協力を得て策を打った。 263 00:17:59,379 --> 00:18:02,716 あらかじめ悠月が 柳下に性的な写真を撮られて➨ 264 00:18:02,716 --> 00:18:06,386 脅されていたと吹き込んでおき うちに泊まった日のエピソードで➨ 265 00:18:06,386 --> 00:18:09,889 俺も似たような写真を撮ったと 誤解させる。 266 00:18:09,889 --> 00:18:13,59 それを知った智也が どう動くかを見れば➨ 267 00:18:13,59 --> 00:18:15,562 おのずと答えはわかる》 268 00:18:18,898 --> 00:18:21,735 ちなみにあの画像は 女装した健太だ。 269 00:18:21,735 --> 00:18:25,71 んっ… あっ…! (朔)ポストや机に写真を入れたのも➨ 270 00:18:25,71 --> 00:18:27,574 ヤン高を唆したのもお前だな? 271 00:18:27,574 --> 00:18:29,909 クッ…。 (朔)それから➨ 272 00:18:29,909 --> 00:18:34,114 悠月の家の車のドラレコに こいつが残ってたぞ。 273 00:18:36,249 --> 00:18:40,587 ずっと だましてたのか。 はぁ…。 274 00:18:40,587 --> 00:18:43,89 安易な近道を選ぶなって 言っただろ。 275 00:18:43,89 --> 00:18:45,425 じゃあ どうすればよかったんだよ! 276 00:18:45,425 --> 00:18:48,428 それも伝えたはずだぞ。 277 00:18:48,428 --> 00:18:53,33 ただ勇気を出して 普通に 話しかければよかったんだ。 278 00:18:53,33 --> 00:18:55,368 あっ…。 279 00:18:55,368 --> 00:19:06,212 ♬~ 280 00:19:06,212 --> 00:19:08,882 (朔)なぁ 智也。 281 00:19:08,882 --> 00:19:13,386 真っ暗な部屋で 泣きながら 女々しいポエムを書きつづって➨ 282 00:19:13,386 --> 00:19:17,390 飽きたらギターでも買って 曲にするといい。 283 00:19:17,390 --> 00:19:20,393 できれば きれいなラブソングよりも➨ 284 00:19:20,393 --> 00:19:24,397 ダサくて熱いパンクロックが聴きたいな。 285 00:19:24,397 --> 00:19:28,802 今度こそ ちゃんと相手と 向き合えるように。 286 00:19:42,916 --> 00:19:46,586 《朔:偽物の恋人になってから 2週間。 287 00:19:46,586 --> 00:19:51,758 いつの間にかすっかりと見慣れた 横顔は りんと澄んでいた。 288 00:19:51,758 --> 00:19:54,594 あと僅かで消えてしまう➨ 289 00:19:54,594 --> 00:19:57,597 手の届く距離を 思わず➨ 290 00:19:57,597 --> 00:19:59,799 つなぎ止めたくなりそうで…》 291 00:20:06,773 --> 00:20:13,446 《この感情に名前を付けるのは きっと最後の最後でいい》 292 00:20:13,446 --> 00:20:15,949 じゃあ 俺はこの辺で。 293 00:20:18,118 --> 00:20:22,122 まだ あと少しだけ…。 294 00:20:22,122 --> 00:20:26,426 なんだよ 寝る前に子守歌でも 歌ってほしいのか? 295 00:20:32,132 --> 00:20:34,334 んっ。 📱 296 00:20:49,983 --> 00:20:54,421 《それは 夏の通り雨みたいに唐突で➨ 297 00:20:54,421 --> 00:20:58,91 はかないキスだった》 298 00:20:58,91 --> 00:21:03,96 ご褒美のつもりなら 目測を3センチほど誤ってないか? 299 00:21:05,765 --> 00:21:09,269 ハッピーバースデー 朔。 300 00:21:09,269 --> 00:21:12,272 あっ… フッ…。 301 00:21:12,272 --> 00:21:15,375 そいつはちょっと… ずるいな。 302 00:21:20,447 --> 00:21:23,850 おやすみなさい 千歳。 303 00:21:28,121 --> 00:21:31,925 おやすみなさい 七瀬。 304 00:21:36,296 --> 00:21:38,631 (ドアの閉まる音) 305 00:21:38,631 --> 00:21:42,635 《17歳。 人生で18回目となる➨ 306 00:21:42,635 --> 00:21:45,805 少しだけ特別な今日の入り口に➨ 307 00:21:45,805 --> 00:21:50,143 俺は立っていた。 308 00:21:50,143 --> 00:21:54,581 踏み出した誰かと 踏み出せなかった誰か。 309 00:21:54,581 --> 00:21:57,751 その余韻に耳を澄ませながら➨ 310 00:21:57,751 --> 00:22:02,756 俺はしばらく 悠な月を見上げていた》 311 00:22:06,92 --> 00:22:09,763 《悠月:これは 本物の恋の物語だ。 312 00:22:09,763 --> 00:22:13,933 人が誰かに恋をするのは どんな瞬間だろう。 313 00:22:13,933 --> 00:22:16,603 ほとんどの場合 最初は➨ 314 00:22:16,603 --> 00:22:20,940 ほんの小さな 憧れなんじゃないかと思う。 315 00:22:20,940 --> 00:22:25,612 だけど 先に進むためには 理由がいるから➨ 316 00:22:25,612 --> 00:22:30,450 その感情を恋と名付けてみる。 317 00:22:30,450 --> 00:22:33,787 誰かのことを 大好きだって叫ぶためには➨ 318 00:22:33,787 --> 00:22:36,956 恋という名の 免罪符が必要だ。 319 00:22:36,956 --> 00:22:40,960 あの悠な夜空で 輝いている月は➨ 320 00:22:40,960 --> 00:22:43,797 ただぼんやりと 眺めているだけじゃ➨ 321 00:22:43,797 --> 00:22:46,966 いつまでたっても 届きやしないから。 322 00:22:46,966 --> 00:22:52,238 身勝手な憧れを押しつけて 足踏みするためじゃない。 323 00:22:52,238 --> 00:22:56,242 甘酸っぱい感情に 自己陶酔するためじゃない。 324 00:22:56,242 --> 00:23:01,581 ましてや その結果として 大切な誰かを傷つけるためじゃ➨ 325 00:23:01,581 --> 00:23:04,250 絶対にない。 326 00:23:04,250 --> 00:23:06,419 世の中には言葉にしなきゃ➨ 327 00:23:06,419 --> 00:23:09,589 走りだせない人だっているから。 328 00:23:09,589 --> 00:23:14,94 誰よりも早く あの月を撃ち落とすために➨ 329 00:23:14,94 --> 00:23:18,98 自分でピストルを構える理由を つくるんだ。 330 00:23:18,98 --> 00:23:21,935 だから本当は 止められない気持ちを➨ 331 00:23:21,935 --> 00:23:25,271 さっさと 恋って呼んであげればいい。 332 00:23:25,271 --> 00:23:29,776 そこから始まってくれたこれは➨ 333 00:23:29,776 --> 00:23:33,880 きっと本物の恋の物語だ》