1 00:02:13,133 --> 00:02:18,305 《悠月:私 七瀬悠月は 特別な女の子なのだと➨ 2 00:02:18,305 --> 00:02:21,642 結構早いうちに気付いていた。 3 00:02:21,642 --> 00:02:27,147 同時に ただの特別なままでは 生きにくいのだと気付いたのも➨ 4 00:02:27,147 --> 00:02:30,484 それなりに早かったように思う。 5 00:02:30,484 --> 00:02:36,256 だから私は 上手に立ち回るために いろんな自分をつくり出した。 6 00:02:36,256 --> 00:02:41,094 もちろん 地道な努力だって 人一倍 重ねてきた。 7 00:02:41,094 --> 00:02:46,266 私はいつだって よりよい自分で在りたいと願う。 8 00:02:46,266 --> 00:02:50,937 あの日 暴力そのものより 私が恐れたのは➨ 9 00:02:50,937 --> 00:02:54,107 それでもふんばれる 芯のようなものが➨ 10 00:02:54,107 --> 00:02:57,944 自分の中に 何一つ存在しなかったことだ。 11 00:02:57,944 --> 00:03:03,784 「ただの野蛮な暴力に負けるなんて 七瀬悠月のプライドが許さない」も➨ 12 00:03:03,784 --> 00:03:07,287 「愛する人のために こんな男には屈しない」も➨ 13 00:03:07,287 --> 00:03:10,957 まるでなかった。 空っぽだ。 14 00:03:10,957 --> 00:03:14,961 誰が見たって 何でも 持ってるように見える自分が➨ 15 00:03:14,961 --> 00:03:19,132 本当は 何にも 持っていないんじゃないか。 16 00:03:19,132 --> 00:03:24,971 そんな私が 初めて自分よりも まぶしいと思ったのは➨ 17 00:03:24,971 --> 00:03:30,310 青い海の上で さんさんと輝く太陽だ。 18 00:03:30,310 --> 00:03:33,246 総合力で圧倒的に劣る中➨ 19 00:03:33,246 --> 00:03:37,918 転んでも ニカッと笑って また走りだすその目は➨ 20 00:03:37,918 --> 00:03:40,420 まっすぐ前を見ていた》 21 00:03:40,420 --> 00:03:42,422 ((陽:そこを…! 22 00:03:42,422 --> 00:03:46,093 どっけぇ~っ! (ブザー) 23 00:03:46,093 --> 00:03:48,595 (歓声) 24 00:03:50,597 --> 00:03:53,767 フッフフ…。 25 00:03:53,767 --> 00:03:57,437 あっ。 高校 どこ行くの? 26 00:03:57,437 --> 00:03:59,739 フッ… 藤志高!)) 27 00:04:02,776 --> 00:04:05,445 《悠月:次に私が 興味を引かれたのは➨ 28 00:04:05,445 --> 00:04:07,948 真っ暗な新月の夜。 29 00:04:07,948 --> 00:04:11,785 その男の子は 私が生まれて初めて見つけた➨ 30 00:04:11,785 --> 00:04:14,621 自分の同類だった。 31 00:04:14,621 --> 00:04:18,125 何でもできるから何にもできない。 32 00:04:18,125 --> 00:04:20,627 誰に言ったって笑い飛ばされる➨ 33 00:04:20,627 --> 00:04:25,132 ちっぽけで浅い闇を 彼もまた抱いている。 34 00:04:25,132 --> 00:04:27,634 もしかしたら ただ一人➨ 35 00:04:27,634 --> 00:04:31,738 正しくお互いを 理解し合える相手かもしれない。 36 00:04:31,738 --> 00:04:36,409 そうして この2か月弱。 私の目に映ったのは➨ 37 00:04:36,409 --> 00:04:39,412 高い空で こうこうと みんなを見守る➨ 38 00:04:39,412 --> 00:04:42,082 大きな満月だった。 39 00:04:42,082 --> 00:04:45,752 全然違った。 同じじゃなかった。 40 00:04:45,752 --> 00:04:48,755 なんて不器用な生き方なんだろう。 41 00:04:48,755 --> 00:04:51,258 もっとうまくやれるはずなのに➨ 42 00:04:51,258 --> 00:04:54,928 その男の子は かっこつけながら いろんなものにぶつかって➨ 43 00:04:54,928 --> 00:04:58,598 すり切れて それでもまた前を向いて➨ 44 00:04:58,598 --> 00:05:02,936 一つ一つの壁を ぶち壊しながら進んでいく。 45 00:05:02,936 --> 00:05:06,773 「俺たちは似ている」と朔は言った。 46 00:05:06,773 --> 00:05:11,611 私たちは全然違うと 私は思う。 47 00:05:11,611 --> 00:05:15,282 だいたい 女の子の傷を癒やしたいなら➨ 48 00:05:15,282 --> 00:05:18,618 優しく抱き締めて 「俺が君を守るから」って➨ 49 00:05:18,618 --> 00:05:21,288 甘くささやくのが 筋ってもんじゃないのか! 50 00:05:21,288 --> 00:05:25,959 あの雰囲気なら チューのちょっと 先ぐらいまでは許してたのに。 51 00:05:25,959 --> 00:05:28,962 それがあろうことか 押し倒したあげくに➨ 52 00:05:28,962 --> 00:05:30,964 無理やり立ち上がらせるとか➨ 53 00:05:30,964 --> 00:05:33,667 そんな王子様なんて 聞いたことないぞ!》 54 00:05:37,904 --> 00:05:41,575 《だけど だけどね。 55 00:05:41,575 --> 00:05:43,743 私もそんなふうに➨ 56 00:05:43,743 --> 00:05:47,914 美しく生きてみたい って思ったんだ。 57 00:05:47,914 --> 00:05:51,918 覚悟しててね 千歳朔》 58 00:05:56,756 --> 00:06:01,595 《言っておくけど おとなしく 攻略されるのを待ってるほど➨ 59 00:06:01,595 --> 00:06:04,197 甘い女じゃないから》 60 00:06:07,601 --> 00:06:10,103 あっ! 61 00:06:10,103 --> 00:06:13,106 (柳下)よぉ 悠月。 62 00:06:13,106 --> 00:06:16,276 んっ! ふぅ…。 63 00:06:16,276 --> 00:06:20,680 お話ししましょうか 柳下先輩。 64 00:06:24,284 --> 00:06:27,487 それで 私とどうしたいんですか? 65 00:06:36,563 --> 00:06:39,899 (柳下)中学の頃 できなかったことだよ。 66 00:06:39,899 --> 00:06:42,902 つきあいたいってことですか? 67 00:06:42,902 --> 00:06:45,906 それとも… エッチ? 68 00:06:45,906 --> 00:06:48,575 とりあえずヤらせろよ。 69 00:06:48,575 --> 00:06:51,077 高校じゃ男を とっかえひっかえなんだろ。 70 00:06:51,077 --> 00:06:53,580 クッ…。 71 00:06:53,580 --> 00:06:56,916 誰から何を吹き込まれたのか 知りませんけど➨ 72 00:06:56,916 --> 00:06:59,252 私は処女だ バカ! 73 00:06:59,252 --> 00:07:02,088 アンタみたいな男には 絶対にあげない! 74 00:07:02,088 --> 00:07:04,925 へぇ? そりゃあいいな。 75 00:07:04,925 --> 00:07:07,093 イチから仕込んでやるよ。 76 00:07:07,093 --> 00:07:11,765 無理やりキスされたって レイプされたって 絶対に私は➨ 77 00:07:11,765 --> 00:07:13,767 あなたのものなんかじゃ ないから! 78 00:07:15,935 --> 00:07:18,271 なら 試してみようぜ。 79 00:07:18,271 --> 00:07:20,440 (頬を叩く音) 80 00:07:20,440 --> 00:07:23,443 ほら あのときみたいに泣けよ。 81 00:07:23,443 --> 00:07:27,781 この心の中に あなたの居場所はどこにもない! 82 00:07:27,781 --> 00:07:29,783 (叩く音) 83 00:07:32,886 --> 00:07:36,222 《怖い 恐い…。 84 00:07:36,222 --> 00:07:38,224 怖くない!》 85 00:07:38,224 --> 00:07:43,229 私の心は あなた程度の男に 傷つけられたりなんかしない。 86 00:07:43,229 --> 00:07:46,900 警察に行って 情けない男の 情けない生きざま➨ 87 00:07:46,900 --> 00:07:48,902 みんなの前にさらしてやる! 88 00:07:48,902 --> 00:07:50,904 やってみろよ。 89 00:07:50,904 --> 00:07:54,407 《大丈夫だよ 朔。 今はもう➨ 90 00:07:54,407 --> 00:07:57,410 私の中にメラメラ燃える芯がある。 91 00:07:57,410 --> 00:08:00,747 あなたのせいで 名前が付いちゃった思いがある。 92 00:08:00,747 --> 00:08:06,419 絶対にブレないように 薄れないように 消えないように。 93 00:08:06,419 --> 00:08:09,923 朔 朔 朔! 94 00:08:09,923 --> 00:08:12,759 朔 朔…!》 95 00:08:12,759 --> 00:08:15,261 朔~っ! 96 00:08:15,261 --> 00:08:18,465 (朔)呼んだか? お姫様。 97 00:08:21,935 --> 00:08:23,937 フンッ。 98 00:08:23,937 --> 00:08:26,740 (柳下)オラァッ! 99 00:08:31,111 --> 00:08:35,382 やめて! もうやめてください! (柳下)やめないよ~。 100 00:08:35,382 --> 00:08:38,385 なんの夢みてたのか 知らねえけど! 101 00:08:38,385 --> 00:08:42,055 ガキの頃から ケンカばっかしてきた俺らを! 102 00:08:42,055 --> 00:08:47,060 優等生が どうにかできるわけ ねえだろ! 103 00:08:47,060 --> 00:08:49,062 やめて! 104 00:08:49,062 --> 00:08:52,899 悠月が黙って俺のものになるなら やめてやってもいいぞ。 105 00:08:52,899 --> 00:08:55,235 け… 警察呼びます! 106 00:08:55,235 --> 00:08:57,570 させると思うか? 107 00:08:57,570 --> 00:09:03,243 ほら 先輩のものになりますって 言えよ。 コイツ死ぬぞ。 108 00:09:03,243 --> 00:09:05,245 ハッ! 109 00:09:07,414 --> 00:09:11,251 クッ… ぱい の…。 110 00:09:11,251 --> 00:09:13,253 (柳下)聞こえないよ? 111 00:09:13,253 --> 00:09:16,923 柳下… 先輩の… もの…。 112 00:09:16,923 --> 00:09:19,092 違うだろ。 ハッ! 113 00:09:19,092 --> 00:09:23,763 こんなのは… ただの痛みだ…。 114 00:09:23,763 --> 00:09:27,167 ((痛みに心まで 支配されないでくれってことだ)) 115 00:09:29,102 --> 00:09:34,874 《そうだ 私が今するべきなのは 一刻も早く助けを呼ぶこと。 116 00:09:34,874 --> 00:09:36,876 こぼれるな 涙! 117 00:09:36,876 --> 00:09:39,045 動け この足! 118 00:09:39,045 --> 00:09:41,214 まっすぐ前を見ろ!》 119 00:09:41,214 --> 00:09:43,383 決心はついたか? 120 00:09:43,383 --> 00:09:45,718 クッ…。 121 00:09:45,718 --> 00:09:49,722 私は 千歳朔の彼女だ! 122 00:09:49,722 --> 00:09:52,559 女一人 まともに口説けない臆病者に➨ 123 00:09:52,559 --> 00:09:55,228 指一本 触れさせてやるもんか! 124 00:09:55,228 --> 00:09:57,397 ハァ ハァ ハァ ハァ…。 125 00:09:57,397 --> 00:09:59,899 (和希)は~い カット~! 126 00:09:59,899 --> 00:10:02,402 ああ? なんだ テメエ! 127 00:10:02,402 --> 00:10:05,071 (和希)大丈夫だよ 早くこっちに。 128 00:10:05,071 --> 00:10:07,407 あっ…。 129 00:10:07,407 --> 00:10:11,744 ってて…。 おっせ~んだよ 和希。 130 00:10:11,744 --> 00:10:13,746 (和希)まあまあ。 131 00:10:13,746 --> 00:10:16,416 誰がどう見たって 状況を理解できるように➨ 132 00:10:16,416 --> 00:10:18,585 きっちり撮ってたんだよ。 133 00:10:18,585 --> 00:10:20,920 ったく。 134 00:10:20,920 --> 00:10:24,424 俺は 小学校の帰り道に転がってる➨ 135 00:10:24,424 --> 00:10:26,759 空き缶かっつうの! 136 00:10:26,759 --> 00:10:28,761 んっ…。 137 00:10:28,761 --> 00:10:32,765 ねぇ水篠 早く警察。 大丈夫だよ もう。 138 00:10:32,765 --> 00:10:36,436 ここで警察沙汰にしたら アイツの苦労が台なしだ。 139 00:10:36,436 --> 00:10:40,273 硬球を脇腹に食らうよりは ましだな。 140 00:10:40,273 --> 00:10:42,609 よく言った 七瀬悠月。 141 00:10:42,609 --> 00:10:47,714 あとは あなたの頼れる彼氏こと 千歳朔にお任せあれ。 142 00:10:49,782 --> 00:10:54,621 チッ! 死ねよ お前! 143 00:10:54,621 --> 00:10:57,790 チッ クソッ! 144 00:10:57,790 --> 00:11:00,960 テッメエ! 145 00:11:00,960 --> 00:11:06,466 野球やってた頃から 動体視力と 瞬発力には自信があるんすよ。 146 00:11:06,466 --> 00:11:08,968 言葉を返すぜ パイセン。 147 00:11:08,968 --> 00:11:12,639 ガキの頃から死ぬ気で スポーツに打ち込んでた人間に➨ 148 00:11:12,639 --> 00:11:15,475 プラプラ過ごしてただけのアンタが➨ 149 00:11:15,475 --> 00:11:18,678 本当に力で勝てるなんて 思ってたんすか!? 150 00:11:21,814 --> 00:11:25,985 うっ… ゴホッ ゴホッ ぐっ…。 151 00:11:25,985 --> 00:11:27,987 教えといてやるよ。 152 00:11:27,987 --> 00:11:30,823 暴力を振るえるから 強いんじゃない。 153 00:11:30,823 --> 00:11:33,760 みんなが振るわないように している暴力に➨ 154 00:11:33,760 --> 00:11:37,263 頼らなきゃいけないぐらい アンタは弱いんだ。 155 00:11:37,263 --> 00:11:42,769 だから俺は 同じ土俵に立つために 相応の理由を用意した。 156 00:11:42,769 --> 00:11:45,271 全部きっちり録画済みだ。 157 00:11:45,271 --> 00:11:48,942 それで心おきなく ケンカしようってか。 158 00:11:48,942 --> 00:11:51,444 野蛮な言い方はよしてくださいよ。 159 00:11:51,444 --> 00:11:55,448 こっから先は 上品な正当防衛だ! 160 00:11:55,448 --> 00:11:57,450 ぶっ殺す! 161 00:12:00,119 --> 00:12:02,121 思い知れ。 162 00:12:02,121 --> 00:12:04,123 がぁ…! 163 00:12:04,123 --> 00:12:07,126 答えろよ 先輩。 抵抗できない状態で➨ 164 00:12:07,126 --> 00:12:11,130 自分よりも腕力の強い相手から 殴られるのは怖いか? 165 00:12:11,130 --> 00:12:14,634 覚悟できてるんだろうな。 166 00:12:14,634 --> 00:12:17,937 何人も連れてきて お前も悠月も グチャグチャ…。 167 00:12:21,474 --> 00:12:25,645 優等生が偉そうに… 見下しやがって。 168 00:12:25,645 --> 00:12:27,814 俺だって昔は…。 169 00:12:27,814 --> 00:12:31,484 悪いが テメエの過去になんざ 興味はねえよ。 170 00:12:31,484 --> 00:12:35,088 ただ一つ言えるのはな! 人生から逃げ出し➨ 171 00:12:35,088 --> 00:12:38,091 他人も巻き添えに しようとしてるアンタより➨ 172 00:12:38,091 --> 00:12:41,928 歯ぁ食いしばって まっすぐ 生きようとしてる人間のほうが➨ 173 00:12:41,928 --> 00:12:45,932 100倍すてきだってことだ! ハッ! 174 00:12:45,932 --> 00:12:48,601 後悔させて…。 175 00:12:48,601 --> 00:12:51,771 いいか この先悠月に近づくなら➨ 176 00:12:51,771 --> 00:12:54,941 考えられるかぎり すべての手段を使って➨ 177 00:12:54,941 --> 00:12:57,277 お前を破滅させる。 178 00:12:57,277 --> 00:13:02,615 複数人で俺をボコボコにしようが お前だけを徹底的に追い詰める。 179 00:13:02,615 --> 00:13:06,953 悠月はな 比べ物にならないほど 怖い記憶と➨ 180 00:13:06,953 --> 00:13:11,124 ずっと独りで戦ってたんだよ! 181 00:13:11,124 --> 00:13:19,632 《心を殺して ヒーロー いや悪者を 演じる彼の姿がただ悲しくて…。 182 00:13:19,632 --> 00:13:24,137 悲しくて… 悲しかった。 183 00:13:24,137 --> 00:13:27,307 あなたに そんな顔は似合わないのに。 184 00:13:27,307 --> 00:13:30,810 いつもみたいに かっこつけて 笑っていてほしいのに。 185 00:13:30,810 --> 00:13:34,247 しようもないジョークで 笑わせてほしいのに》 186 00:13:34,247 --> 00:13:39,919 フッ。 まぁ あれこれ前置きしたけど 言いたいことは一つっす。 187 00:13:39,919 --> 00:13:42,255 す~っ。 188 00:13:42,255 --> 00:13:47,427 テメエ! 今度俺の女に手ぇ出したら ぶっ殺すぞ! 189 00:13:47,427 --> 00:13:50,229 ぐっ…! 190 00:13:55,435 --> 00:14:00,640 わかった。 金輪際 悠月には近寄らない。 191 00:14:02,608 --> 00:14:04,777 (倒れる音) 192 00:14:04,777 --> 00:14:16,789 ♬~ 193 00:14:16,789 --> 00:14:20,793 《そうして見せた 優しくて哀しい笑顔を➨ 194 00:14:20,793 --> 00:14:25,198 私だけは 忘れちゃいけないと思った》 195 00:14:29,469 --> 00:14:33,740 バカ! バカ バカ バカ バカ… バカ! 196 00:14:33,740 --> 00:14:38,745 正当防衛の証拠が必要なら 私が叩かれた時点で十分じゃん。 197 00:14:38,745 --> 00:14:43,416 なんで朔が私以上に ボコスカ蹴られる必要があるのよ! 198 00:14:43,416 --> 00:14:47,120 だって実際に殴り返すのは俺だし。 199 00:14:49,589 --> 00:14:52,091 バカだよ 朔は…。 200 00:14:52,091 --> 00:14:57,096 なんで… 助けにきちゃうの。 201 00:14:57,096 --> 00:15:02,101 まだ別れの言葉を 聞いてなかったからな。 202 00:15:02,101 --> 00:15:06,205 ホントに… バカ。 203 00:15:13,446 --> 00:15:18,284 《悠月:今 私の心は この五月晴れの空みたいに➨ 204 00:15:18,284 --> 00:15:20,953 澄み渡っている。 205 00:15:20,953 --> 00:15:25,625 いや やっぱちょっと モヤモヤしてるかもしれない》 206 00:15:25,625 --> 00:15:29,128 ((今度こそ 俺の役割は果たしたぞ。 207 00:15:29,128 --> 00:15:31,464 もう 一人でも大丈夫だな? 208 00:15:31,464 --> 00:15:34,233 うん!)) 209 00:15:34,233 --> 00:15:37,403 《よく考えたら 私が送っていって➨ 210 00:15:37,403 --> 00:15:40,072 手当てする場面だったんじゃ ないかとか➨ 211 00:15:40,072 --> 00:15:42,742 なに水篠 サラッと 肩なんて組んじゃってるんだ➨ 212 00:15:42,742 --> 00:15:44,744 羨ましいぞとか➨ 213 00:15:44,744 --> 00:15:46,746 おかしいな いつまでたっても➨ 214 00:15:46,746 --> 00:15:50,416 女の子モードが抜けないとか そんな感じ。 215 00:15:50,416 --> 00:15:55,254 なんていうか 昨日までの七瀬悠月が➨ 216 00:15:55,254 --> 00:15:58,257 どっかに行っちゃったみたいだ》 217 00:15:58,257 --> 00:16:01,461 (智也)悠月 送ってくよ。 あっ…。 218 00:16:03,596 --> 00:16:05,765 あの…。 219 00:16:05,765 --> 00:16:08,935 あなたは誰ですか? 220 00:16:08,935 --> 00:16:12,605 (智也)誰って…。 ほら 去年の春➨ 221 00:16:12,605 --> 00:16:17,109 校門の所で荷物を拾ってもらった。 222 00:16:17,109 --> 00:16:20,613 ごめんなさい ちょっと記憶に…。 223 00:16:20,613 --> 00:16:24,217 成瀬智也だよ! 千歳から聞いてるだろ? 224 00:16:26,786 --> 00:16:31,724 全部わかってるよ。 昔は柳下に 今は千歳に➨ 225 00:16:31,724 --> 00:16:35,228 こんなのを撮られて 逆らえないだけなんだよね? 226 00:16:35,228 --> 00:16:37,563 だけど もう安心だよ。 227 00:16:37,563 --> 00:16:42,068 これで僕に助けを求める 口実ができたんだから。 228 00:16:42,068 --> 00:16:47,573 《きっと朔は ストーカーが誰なのか 最初から気付いてたんだ。 229 00:16:47,573 --> 00:16:51,577 私に ひと言も知らせてない ってのはどうかと思うけど➨ 230 00:16:51,577 --> 00:16:54,747 あわよくばこの人まで 正しい方向に➨ 231 00:16:54,747 --> 00:16:57,250 導いてあげようとでも していたのだろう。 232 00:16:57,250 --> 00:16:59,585 やっぱり不自由な生き方だ》 233 00:16:59,585 --> 00:17:01,754 さぁ 悠月! 234 00:17:01,754 --> 00:17:04,757 はぁ…。 あのね➨ 235 00:17:04,757 --> 00:17:07,426 仮にその写真が 私だったとしても➨ 236 00:17:07,426 --> 00:17:10,263 朔に頼まれたら許しちゃうかも。 237 00:17:10,263 --> 00:17:12,765 うっ… 違う。 238 00:17:12,765 --> 00:17:15,434 悠月は そういう子じゃないはずだよ。 239 00:17:15,434 --> 00:17:17,603 ねぇ 知ってる? んっ? 240 00:17:17,603 --> 00:17:23,609 私も女の子の日には真っ赤な血が ドバドバ流れて機嫌が悪くなるし➨ 241 00:17:23,609 --> 00:17:29,282 気になる男の子にドキドキした日は こっそりオナニーだってするの。 242 00:17:29,282 --> 00:17:33,386 そんな… ウソだ! 243 00:17:33,386 --> 00:17:36,389 七瀬悠月に 近づきたいと思うのなら➨ 244 00:17:36,389 --> 00:17:38,891 まずはちゃんと私を見て。 245 00:17:38,891 --> 00:17:42,562 うっ… うるさい! 246 00:17:42,562 --> 00:17:45,064 ひきょうな手なんか使わないで➨ 247 00:17:45,064 --> 00:17:48,401 真正面から 壁をぶち破ってみなさいよ! 248 00:17:48,401 --> 00:17:52,238 うっ… うるさ~いっ! 249 00:17:52,238 --> 00:17:54,407 フン。 はうっ! 250 00:17:54,407 --> 00:17:56,409 《4割 4割》 251 00:17:59,412 --> 00:18:01,914 覚えたよ 成瀬智也くん。 252 00:18:01,914 --> 00:18:05,084 私があの人に 焦がれたきっかけとして➨ 253 00:18:05,084 --> 00:18:08,921 未来永劫 この胸に 刻んでおいてあげる。 254 00:18:08,921 --> 00:18:12,124 (朔)結局 こうなっちまったか。 んっ! 255 00:18:14,260 --> 00:18:16,929 答え合わせは必要か? 256 00:18:16,929 --> 00:18:20,433 千歳!? いつから疑ってたんだ。 257 00:18:20,433 --> 00:18:22,435 最初からさ。 258 00:18:22,435 --> 00:18:25,938 《朔:陽以外では智也しか 知らないはずの祭りに➨ 259 00:18:25,938 --> 00:18:30,610 ヤン高の連中が現れたことで 疑念はほとんど確信に変わった。 260 00:18:30,610 --> 00:18:34,880 わからなかったのは ヤン高の連中に 脅されているだけなのか➨ 261 00:18:34,880 --> 00:18:38,050 智也のほうが けしかけたのかだった。 262 00:18:38,050 --> 00:18:40,720 俺は仲間の協力を得て策を打った。 263 00:18:40,720 --> 00:18:44,056 あらかじめ悠月が 柳下に性的な写真を撮られて➨ 264 00:18:44,056 --> 00:18:47,727 脅されていたと吹き込んでおき うちに泊まった日のエピソードで➨ 265 00:18:47,727 --> 00:18:51,230 俺も似たような写真を撮ったと 誤解させる。 266 00:18:51,230 --> 00:18:54,400 それを知った智也が どう動くかを見れば➨ 267 00:18:54,400 --> 00:18:56,902 おのずと答えはわかる》 268 00:19:00,239 --> 00:19:03,075 ちなみにあの画像は 女装した健太だ。 269 00:19:03,075 --> 00:19:06,412 んっ… あっ…! (朔)ポストや机に写真を入れたのも➨ 270 00:19:06,412 --> 00:19:08,914 ヤン高を唆したのもお前だな? 271 00:19:08,914 --> 00:19:11,250 クッ…。 (朔)それから➨ 272 00:19:11,250 --> 00:19:15,454 悠月の家の車のドラレコに こいつが残ってたぞ。 273 00:19:17,590 --> 00:19:21,927 ずっと だましてたのか。 はぁ…。 274 00:19:21,927 --> 00:19:24,430 安易な近道を選ぶなって 言っただろ。 275 00:19:24,430 --> 00:19:26,766 じゃあ どうすればよかったんだよ! 276 00:19:26,766 --> 00:19:29,769 それも伝えたはずだぞ。 277 00:19:29,769 --> 00:19:34,373 ただ勇気を出して 普通に 話しかければよかったんだ。 278 00:19:34,373 --> 00:19:36,709 あっ…。 279 00:19:36,709 --> 00:19:47,553 ♬~ 280 00:19:47,553 --> 00:19:50,222 (朔)なぁ 智也。 281 00:19:50,222 --> 00:19:54,727 真っ暗な部屋で 泣きながら 女々しいポエムを書きつづって➨ 282 00:19:54,727 --> 00:19:58,731 飽きたらギターでも買って 曲にするといい。 283 00:19:58,731 --> 00:20:01,734 できれば きれいなラブソングよりも➨ 284 00:20:01,734 --> 00:20:05,738 ダサくて熱いパンクロックが聴きたいな。 285 00:20:05,738 --> 00:20:10,142 今度こそ ちゃんと相手と 向き合えるように。 286 00:20:24,256 --> 00:20:27,927 《朔:偽物の恋人になってから 2週間。 287 00:20:27,927 --> 00:20:33,099 いつの間にかすっかりと見慣れた 横顔は りんと澄んでいた。 288 00:20:33,099 --> 00:20:35,935 あと僅かで消えてしまう➨ 289 00:20:35,935 --> 00:20:38,938 手の届く距離を 思わず➨ 290 00:20:38,938 --> 00:20:41,140 つなぎ止めたくなりそうで…》 291 00:20:48,114 --> 00:20:54,787 《この感情に名前を付けるのは きっと最後の最後でいい》 292 00:20:54,787 --> 00:20:57,289 じゃあ 俺はこの辺で。 293 00:20:59,458 --> 00:21:03,462 まだ あと少しだけ…。 294 00:21:03,462 --> 00:21:07,766 なんだよ 寝る前に子守歌でも 歌ってほしいのか? 295 00:21:13,472 --> 00:21:15,674 んっ。 📱 296 00:21:31,323 --> 00:21:35,761 《それは 夏の通り雨みたいに唐突で➨ 297 00:21:35,761 --> 00:21:39,431 はかないキスだった》 298 00:21:39,431 --> 00:21:44,436 ご褒美のつもりなら 目測を3センチほど誤ってないか? 299 00:21:47,106 --> 00:21:50,609 ハッピーバースデー 朔。 300 00:21:50,609 --> 00:21:53,612 あっ… フッ…。 301 00:21:53,612 --> 00:21:56,715 そいつはちょっと… ずるいな。 302 00:22:01,787 --> 00:22:05,191 おやすみなさい 千歳。 303 00:22:09,461 --> 00:22:13,265 おやすみなさい 七瀬。 304 00:22:17,636 --> 00:22:19,972 (ドアの閉まる音) 305 00:22:19,972 --> 00:22:23,976 《17歳。 人生で18回目となる➨ 306 00:22:23,976 --> 00:22:27,146 少しだけ特別な今日の入り口に➨ 307 00:22:27,146 --> 00:22:31,483 俺は立っていた。 308 00:22:31,483 --> 00:22:35,921 踏み出した誰かと 踏み出せなかった誰か。 309 00:22:35,921 --> 00:22:39,091 その余韻に耳を澄ませながら➨ 310 00:22:39,091 --> 00:22:44,096 俺はしばらく 悠な月を見上げていた》 311 00:22:47,433 --> 00:22:51,103 《悠月:これは 本物の恋の物語だ。 312 00:22:51,103 --> 00:22:55,274 人が誰かに恋をするのは どんな瞬間だろう。 313 00:22:55,274 --> 00:22:57,943 ほとんどの場合 最初は➨ 314 00:22:57,943 --> 00:23:02,281 ほんの小さな 憧れなんじゃないかと思う。 315 00:23:02,281 --> 00:23:06,952 だけど 先に進むためには 理由がいるから➨ 316 00:23:06,952 --> 00:23:11,790 その感情を恋と名付けてみる。 317 00:23:11,790 --> 00:23:15,127 誰かのことを 大好きだって叫ぶためには➨ 318 00:23:15,127 --> 00:23:18,297 恋という名の 免罪符が必要だ。 319 00:23:18,297 --> 00:23:22,301 あの悠な夜空で 輝いている月は➨ 320 00:23:22,301 --> 00:23:25,137 ただぼんやりと 眺めているだけじゃ➨ 321 00:23:25,137 --> 00:23:28,307 いつまでたっても 届きやしないから。 322 00:23:28,307 --> 00:23:33,579 身勝手な憧れを押しつけて 足踏みするためじゃない。 323 00:23:33,579 --> 00:23:37,583 甘酸っぱい感情に 自己陶酔するためじゃない。 324 00:23:37,583 --> 00:23:42,921 ましてや その結果として 大切な誰かを傷つけるためじゃ➨ 325 00:23:42,921 --> 00:23:45,591 絶対にない。 326 00:23:45,591 --> 00:23:47,760 世の中には言葉にしなきゃ➨ 327 00:23:47,760 --> 00:23:50,929 走りだせない人だっているから。 328 00:23:50,929 --> 00:23:55,434 誰よりも早く あの月を撃ち落とすために➨ 329 00:23:55,434 --> 00:23:59,438 自分でピストルを構える理由を つくるんだ。 330 00:23:59,438 --> 00:24:03,275 だから本当は 止められない気持ちを➨ 331 00:24:03,275 --> 00:24:06,612 さっさと 恋って呼んであげればいい。 332 00:24:06,612 --> 00:24:11,116 そこから始まってくれたこれは➨ 333 00:24:11,116 --> 00:24:15,220 きっと本物の恋の物語だ》