1 00:00:02,002 --> 00:00:04,671 《中禅寺:脳は目や耳から 入ってくる情報を➡ 2 00:00:04,671 --> 00:00:07,674 意識の舞台に映し出す器官だ。 3 00:00:07,674 --> 00:00:09,676 だが人の脳というのは➡ 4 00:00:09,676 --> 00:00:12,679 案外 いいかげんなうえに プライドが高く➡ 5 00:00:12,679 --> 00:00:16,016 知らないことを 知らないなどとは言えない➡ 6 00:00:16,016 --> 00:00:18,852 少々やっかいな性質を持つ。 7 00:00:18,852 --> 00:00:21,855 そんなとき 脳は有り合わせの知識から➡ 8 00:00:21,855 --> 00:00:26,693 当人の納得に近い事象を 結びつけ 出力しようとする。 9 00:00:26,693 --> 00:00:30,197 その際 正確性は一切考慮しない。 10 00:00:30,197 --> 00:00:34,201 信仰や風習といった 共通認識と経験から➡ 11 00:00:34,201 --> 00:00:37,037 当人が見たいもの 信じたいもの➡ 12 00:00:37,037 --> 00:00:41,875 いちばん 「納得」できるストーリーを 無意識に作り上げてしまう。 13 00:00:41,875 --> 00:00:46,046 理解が及ばず 答えのわからない 不可思議に対し➡ 14 00:00:46,046 --> 00:00:49,883 この世ならざる者の 仕業を見てしまうのだ。 15 00:00:49,883 --> 00:00:52,719 もし怪異に遭ったときは➡ 16 00:00:52,719 --> 00:00:55,722 まず自分の脳に問いてみるといい。 17 00:00:55,722 --> 00:00:58,559 果たして 目の前の怪異は➡ 18 00:00:58,559 --> 00:01:01,695 正しく現実を 映し出した結果なのかと。 19 00:01:01,695 --> 00:01:03,664 そう…。 20 00:01:03,664 --> 00:01:06,667 この世には不思議なことなど➡ 21 00:01:06,667 --> 00:01:09,069 何もないのだから》 22 00:01:25,018 --> 00:01:36,697 (喧騒) 23 00:01:36,697 --> 00:01:40,200 (栞奈)ん~んっ うんうん。 おいひい! 24 00:01:40,200 --> 00:01:45,205 フワッフワ! な~んでカルメ焼きって こんなにおいしいんだろう! 25 00:01:45,205 --> 00:01:48,041 (静江)ま~た 買い食いしてるよ この子は。 26 00:01:48,041 --> 00:01:50,877 エヘヘ おいしそうだったから つい。 27 00:01:50,877 --> 00:01:52,879 (静江)まったくもう…。 28 00:01:57,050 --> 00:01:59,720 栞奈 バス来たよ~。 29 00:01:59,720 --> 00:02:01,822 (栞奈)ごめ~ん 今行く。 30 00:02:01,822 --> 00:02:04,191 これください。 あんがとね。 31 00:02:04,191 --> 00:02:07,661 あっ? (落とす音) 32 00:02:09,997 --> 00:02:12,100 ごめん静江 先乗ってて! 栞奈!? 33 00:02:16,203 --> 00:02:18,171 なんですかぁ~? 34 00:02:18,171 --> 00:02:20,207 おほほほ~! 35 00:02:20,207 --> 00:02:22,209 落としましたよ! 36 00:02:22,209 --> 00:02:25,045 栞奈~! 早く早く~! 37 00:02:25,045 --> 00:02:28,015 それじゃ! えっ? あぁ どうも。 38 00:02:28,015 --> 00:02:31,184 アハハ… 間に合った! 39 00:02:31,184 --> 00:02:33,854 もう 何やってるのよ。 40 00:02:33,854 --> 00:02:36,556 だって ほっとけないじゃない。 41 00:02:41,061 --> 00:02:44,564 《栞奈:東京都立 美戸川高校。 42 00:02:44,564 --> 00:02:49,069 去年の4月から学校制度が 旧制から新制に変わり➡ 43 00:02:49,069 --> 00:02:53,073 私たちは 新制 高校2年生になった》 44 00:02:53,073 --> 00:02:57,377 おはよ~! んっ? 45 00:02:57,377 --> 00:02:59,379 (涼子)あっ 栞奈。 46 00:03:02,816 --> 00:03:05,318 どうしたの? 具合悪い? 47 00:03:05,318 --> 00:03:09,322 (花代)実は… 幸子が幽霊を見たって。 48 00:03:09,322 --> 00:03:11,324 えっ? 幽霊? 49 00:03:13,360 --> 00:03:16,196 (幸子)ゆうべ… 慎吾くんと➡ 50 00:03:16,196 --> 00:03:19,700 旧校舎の図書室へ行こうとしたの。 51 00:03:19,700 --> 00:03:21,668 そしたら…。 52 00:03:25,505 --> 00:03:27,507 ((見つかったらどうしよう。 53 00:03:27,507 --> 00:03:31,344 (慎吾)大丈夫 こんな時間に誰もいないよ。 54 00:03:31,344 --> 00:03:33,346 慎吾くん。 55 00:03:33,346 --> 00:03:35,348 (足音) 56 00:03:35,348 --> 00:03:37,350 あっ!? (足音) 57 00:03:37,350 --> 00:03:43,390 (足音) 58 00:03:43,390 --> 00:03:46,860 だ 誰? 見回りじゃなさそうだけど。 59 00:03:46,860 --> 00:03:49,029 まさか 泥棒? (引き戸の開閉音) 60 00:03:49,029 --> 00:03:51,198 (引き戸の開閉音) 61 00:03:51,198 --> 00:04:03,143 ♬~ 62 00:04:03,143 --> 00:04:05,145 (引き戸の開く音) 63 00:04:05,145 --> 00:04:12,652 ♬~ 64 00:04:12,652 --> 00:04:14,654 えっ…。 65 00:04:14,654 --> 00:04:18,158 誰もいない…)) 66 00:04:21,661 --> 00:04:25,165 あの廊下には 他に抜け道なんてないから➡ 67 00:04:25,165 --> 00:04:27,667 絶対 図書室に 入っていったはずなの。 68 00:04:27,667 --> 00:04:31,671 それがうわさの 図書室の幽霊なんじゃないかって。 69 00:04:31,671 --> 00:04:34,674 図書室の幽霊? 知らないの? 70 00:04:34,674 --> 00:04:39,346 私 怪談とか あんまり知らなくて。 71 00:04:39,346 --> 00:04:42,182 今から30年くらい前➡ 72 00:04:42,182 --> 00:04:46,887 この学校に勤めてた国語教師が 一方的に解雇されたの。 73 00:04:48,855 --> 00:04:52,526 で 恨みながら 自殺しちゃったんだって。 74 00:04:52,526 --> 00:04:58,532 以来 旧校舎には国語教師の幽霊が 目撃されるようになったの。 75 00:04:58,532 --> 00:05:02,335 そして それを見た者は…。 76 00:05:02,335 --> 00:05:05,005 1か月以内に死ぬって うわさなの! 77 00:05:05,005 --> 00:05:08,642 ふんふん…。 し… 死ぬって… それ ホントなの? 78 00:05:08,642 --> 00:05:11,478 怖いよ 怖い~。 ホントだよ! みんなうわさしてるよ。 79 00:05:11,478 --> 00:05:15,982 あ… それで 先生には言ったの? 何かわかるかも。 80 00:05:15,982 --> 00:05:17,984 (幸子)言えるわけないよ! あっ。 81 00:05:17,984 --> 00:05:21,855 夜中に男子と 二人きりでいましたなんて…。 82 00:05:21,855 --> 00:05:24,324 まぁ… そうだよね。 83 00:05:24,324 --> 00:05:27,994 どうしよう 私 呪い殺されちゃう。 84 00:05:27,994 --> 00:05:32,165 死にたくない… 死にたくないよう…。 85 00:05:32,165 --> 00:05:34,568 幸子…。 86 00:05:41,208 --> 00:05:44,211 《幽霊だなんて…。 87 00:05:44,211 --> 00:05:46,179 でも…》 88 00:05:48,381 --> 00:05:52,052 《幸子… 本当に怖がってた。 89 00:05:52,052 --> 00:05:54,521 なんとかしてあげられないかな》 90 00:06:10,470 --> 00:06:12,472 財布? 91 00:06:12,472 --> 00:06:15,642 どなたか 財布落としましたよ。 92 00:06:15,642 --> 00:06:20,647 あぁ よかった。 それ私のだよ。 あっ よかった。 93 00:06:20,647 --> 00:06:22,649 ⚟あの~。 あっ。 94 00:06:22,649 --> 00:06:26,152 その財布 僕のです。 えっ!? 95 00:06:26,152 --> 00:06:29,489 待~て コラ! そりゃ俺んだ! 返せ! 96 00:06:29,489 --> 00:06:31,491 えっ!? えっと…。 97 00:06:31,491 --> 00:06:35,328 よく見ておくれよ。 これは女物の財布じゃないか! 98 00:06:35,328 --> 00:06:38,331 確かに。 それじゃあ…。 待ってください。 99 00:06:38,331 --> 00:06:41,334 それは妻の財布なんです。 今朝 間違えて➡ 100 00:06:41,334 --> 00:06:43,837 持ってきてしまって。 な なるほど…。 101 00:06:43,837 --> 00:06:45,839 適当言うな テメエ! 102 00:06:45,839 --> 00:06:49,342 そりゃ 嫁が具合悪くて 代わりに預かってきたんだ! 103 00:06:49,342 --> 00:06:52,178 えぇ~!? 104 00:06:52,178 --> 00:06:54,681 うぅ だから急いでんだ! 105 00:06:54,681 --> 00:06:57,350 さっさとよこせ! (栞奈)で でも…。 106 00:06:57,350 --> 00:06:59,352 僕のだ! 私のだよ! 107 00:06:59,352 --> 00:07:01,288 俺んだ! 108 00:07:01,288 --> 00:07:03,290 《いっ いったい誰のなの!?》 (争う声) 109 00:07:03,290 --> 00:07:05,292 (争う声) 110 00:07:05,292 --> 00:07:08,128 (中禅寺)その財布の根付…。 あっ。 (争う声) 111 00:07:08,128 --> 00:07:11,131 狛犬… ですか? 112 00:07:14,668 --> 00:07:16,670 (栞奈)狛犬? 113 00:07:16,670 --> 00:07:18,672 そうだよ 狛犬だよ。 114 00:07:18,672 --> 00:07:22,142 私は犬が好きでねぇ。 適当言うな! 115 00:07:22,142 --> 00:07:25,979 そりゃ俺が作ったんだよ! 嫁と神社に行ったとき➡ 116 00:07:25,979 --> 00:07:28,815 狛犬を見ながら彫ったんだ! 117 00:07:28,815 --> 00:07:31,484 それはどこの神社ですか? 118 00:07:31,484 --> 00:07:36,656 えっ? いや… そりゃオメエ 埼玉のなんとかって… 神社で。 119 00:07:36,656 --> 00:07:39,659 よ よ よく覚えてねえや。 120 00:07:39,659 --> 00:07:43,330 富岡八幡宮だよ! そこで買ったんだ。 121 00:07:43,330 --> 00:07:46,333 ふむ… なるほど。 122 00:07:46,333 --> 00:07:49,502 《そんなこと聞いて なんの意味が…》 123 00:07:49,502 --> 00:07:52,339 まず 背広の男性。 124 00:07:52,339 --> 00:07:55,508 あなたは持ち主ではありません。 えっ!? あっ…。 125 00:07:55,508 --> 00:08:00,146 (中禅寺)そんな荷物でいっぱいの 鞄に財布が入る余裕はないし➡ 126 00:08:00,146 --> 00:08:02,315 ポケットにも大きすぎる。 127 00:08:02,315 --> 00:08:05,318 どうやって持ち運んだんですか? 128 00:08:05,318 --> 00:08:08,788 そ それは…。 129 00:08:08,788 --> 00:08:12,459 チイッ! ったく… シケてやがんな! 130 00:08:12,459 --> 00:08:14,627 (3人)あっ…。 (中禅寺)ところで➡ 131 00:08:14,627 --> 00:08:18,131 その根付を自分で彫ったと おっしゃっていましたが➡ 132 00:08:18,131 --> 00:08:20,467 木彫り職人か何かですか? 133 00:08:20,467 --> 00:08:23,803 おっ… おう… 仏像を彫ってんだ。 134 00:08:23,803 --> 00:08:28,007 (中禅寺)その根付 狛犬は狛犬でも 狼ですね。 135 00:08:28,007 --> 00:08:32,345 おうさ! 狼が狛犬だなんて 珍しいからよ➡ 136 00:08:32,345 --> 00:08:34,681 嫁さんに彫ってやったのさ! 137 00:08:34,681 --> 00:08:37,851 (中禅寺)埼玉の秩父にある 三峯神社。 138 00:08:37,851 --> 00:08:43,857 そこでは狼を大神と称して 信仰しているのです。 へぇ~。 139 00:08:43,857 --> 00:08:48,161 おぉ 三峯神社! そうだそこだよ! 懐かしいなぁ。 140 00:08:48,161 --> 00:08:51,664 適当なこと言って! 証拠がないじゃないか! 141 00:08:51,664 --> 00:08:55,001 (中禅寺)証拠なら 財布の中にあるかもしれません。 142 00:08:55,001 --> 00:08:59,339 えっ? (中禅寺)その大きさなら お守りが入っているのでは? 143 00:08:59,339 --> 00:09:02,442 《そんな… 見てもいないのに》 144 00:09:02,442 --> 00:09:04,444 あっ! 145 00:09:04,444 --> 00:09:07,113 《ホントに入ってた!》 146 00:09:07,113 --> 00:09:10,016 ぐぬぬ… フン なにさ! 147 00:09:13,953 --> 00:09:16,456 お嬢ちゃん ありがとな! 148 00:09:18,458 --> 00:09:21,961 《よかった 本当の持ち主に返せて。 149 00:09:21,961 --> 00:09:27,967 それにしても 根付を見ただけで そこまでわかるなんて》 150 00:09:27,967 --> 00:09:30,970 あの ありがとうございまし… た。 151 00:09:33,306 --> 00:09:36,810 《なんだったんだろう… あの人》 152 00:09:40,980 --> 00:09:43,316 (栞奈)えぇ? 幸子来てないの!? 153 00:09:43,316 --> 00:09:45,985 (静江)そうなの。 今朝 迎えにいったら➡ 154 00:09:45,985 --> 00:09:47,987 学校には行きたくないって。 155 00:09:47,987 --> 00:09:50,657 幸子のお母さんに 理由を聞かれたけど➡ 156 00:09:50,657 --> 00:09:53,993 男子と一緒に夜の教室に いたなんて言えないし➡ 157 00:09:53,993 --> 00:09:57,330 困ったよね。 《幸子 大丈夫かな?》 158 00:09:57,330 --> 00:10:00,500 (教師)みんな~ 席について。 (引き戸の開く音) 159 00:10:00,500 --> 00:10:04,671 今日は新しい講師の先生を 紹介します。 160 00:10:04,671 --> 00:10:08,341 《んもう… 今は それどころじゃないのに》 161 00:10:08,341 --> 00:10:12,545 (足音) 162 00:10:16,349 --> 00:10:28,862 ♬~ 163 00:10:28,862 --> 00:10:33,066 今日から国語の 臨時講師を務めさていただく…。 164 00:10:36,703 --> 00:10:40,039 中禅寺秋彦です。 165 00:10:40,039 --> 00:10:42,709 《あ… あの人は…》 166 00:10:42,709 --> 00:10:46,045 どうしたの? ううん なんでもない。 167 00:10:46,045 --> 00:10:48,882 では 生徒たちからも 自己紹介を…。 168 00:10:48,882 --> 00:10:51,217 その必要はありません! えっ? 169 00:10:51,217 --> 00:10:54,220 私は国語の講義をするのが 仕事です。 170 00:10:54,220 --> 00:10:58,224 個々の生徒の詳細など 知る必要はありません。 171 00:11:01,194 --> 00:11:03,663 《な… なんなの この人…》 172 00:11:03,663 --> 00:11:05,665 (中禅寺)では早速 授業に入りたいので。 173 00:11:05,665 --> 00:11:09,068 (教師)あ… そうですね! では あとはお願いします。 174 00:12:41,027 --> 00:12:43,062 (タケ坊)「ひよひよと➡ 175 00:12:43,062 --> 00:12:45,064 かしがましく鳴きて➡ 176 00:12:45,064 --> 00:12:49,068 人の後前に立ちて歩くも いとおかし」。 177 00:12:49,068 --> 00:12:51,537 (中禅寺)幸田くん。 はい。 178 00:12:51,537 --> 00:12:56,376 この文章と 先のモンテーニュの 談話の違いはなんだね? 179 00:12:56,376 --> 00:12:59,379 えっ… わ… わかりません! 180 00:12:59,379 --> 00:13:01,314 ウッ。 181 00:13:01,314 --> 00:13:06,653 一方を感覚的とする以上 こういった比較に正答はない。 182 00:13:06,653 --> 00:13:10,156 答えを考えること自体が 学習なのだ。 183 00:13:10,156 --> 00:13:13,826 次回までに君なりの答えを まとめておきたまえ。 184 00:13:13,826 --> 00:13:15,828 は はい! 185 00:13:15,828 --> 00:13:17,830 (ベル) 186 00:13:17,830 --> 00:13:20,033 今日の授業はここまで。 187 00:13:22,335 --> 00:13:25,338 (引き戸の開閉音) 188 00:13:29,008 --> 00:13:31,678 中禅寺先生って すげぇ怖いな。 189 00:13:31,678 --> 00:13:35,014 うん どなりはしないけど 圧があるっていうか。 190 00:13:35,014 --> 00:13:38,618 でも芥川龍之介みたいで ちょっとかっこよくない? 191 00:13:42,855 --> 00:13:46,025 《このまま ほっとけないよね…》 192 00:13:46,025 --> 00:13:48,027 うぅ…。 193 00:13:53,366 --> 00:13:57,670 《幽霊の正体さえわかれば 幸子も安心できるはず》 194 00:14:14,654 --> 00:14:19,058 《ここを上れば すぐ右が図書室》 195 00:14:22,328 --> 00:14:24,364 えっ!? 196 00:14:24,364 --> 00:14:29,535 (足音) 197 00:14:29,535 --> 00:14:32,004 《ゆ… 幽霊!?》 198 00:14:32,004 --> 00:14:35,675 あっ。 (引き戸の開閉音) 199 00:14:35,675 --> 00:14:38,177 《確かめなきゃ!》 200 00:14:38,177 --> 00:14:40,179 (引き戸の開く音) 201 00:14:40,179 --> 00:14:56,696 ♬~ 202 00:14:56,696 --> 00:14:59,031 《そんなはず…。 203 00:14:59,031 --> 00:15:01,467 さっき確かに人影を見て➡ 204 00:15:01,467 --> 00:15:05,471 戸を開けて入った音が したはずなのに。 205 00:15:05,471 --> 00:15:08,975 幽霊は… 本当にいる!?》 206 00:15:12,145 --> 00:15:15,148 う… あぁ… あっ…。 207 00:15:15,148 --> 00:15:18,151 キャーッ! (尻餅をつく音) 208 00:15:18,151 --> 00:15:22,989 《私も… 死んじゃうってこと!?》 209 00:15:22,989 --> 00:15:25,658 あっ…。 210 00:15:25,658 --> 00:15:29,495 ギャーッ! 何をしている。 211 00:15:29,495 --> 00:15:32,665 って…! ええっ!? 212 00:15:32,665 --> 00:15:35,501 ちゅ 中禅寺先生!? 213 00:15:35,501 --> 00:15:38,004 下校時間はとっくに過ぎているぞ。 214 00:15:38,004 --> 00:15:42,341 君はたしか 2年1組の日下部栞奈くんだね。 215 00:15:42,341 --> 00:15:46,345 なぜここにいるかは知らないが 早く帰りたまえ。 216 00:15:46,345 --> 00:15:50,183 それが… あの… 今 幽霊がここに…。 217 00:15:50,183 --> 00:15:53,085 あれ? でも…。 218 00:15:55,021 --> 00:15:58,691 (栞奈)それで 図書室の中を 捜してみたんですけど➡ 219 00:15:58,691 --> 00:16:02,628 その人は いなかったんです。 (中禅寺)なるほど…。 220 00:16:02,628 --> 00:16:05,631 (栞奈)それに 幽霊を見た人間は➡ 221 00:16:05,631 --> 00:16:08,134 ひとつき以内に死んでしまうって。 222 00:16:08,134 --> 00:16:10,970 ハァ… その幽霊は➡ 223 00:16:10,970 --> 00:16:12,972 僕だね。 224 00:16:12,972 --> 00:16:14,974 はっ…? えっ!? 225 00:16:14,974 --> 00:16:18,144 だから その幽霊は僕だと言っている。 226 00:16:18,144 --> 00:16:20,980 え~っ! ど どういうことですか!? 227 00:16:20,980 --> 00:16:23,182 君はさっき こう言ったね。 228 00:16:23,182 --> 00:16:26,986 階段を上がって右に曲がると すぐ図書室があり➡ 229 00:16:26,986 --> 00:16:28,988 他に道はないと。 230 00:16:28,988 --> 00:16:30,990 は はい。 231 00:16:30,990 --> 00:16:33,826 ついてきなさい。 えっ? 232 00:16:33,826 --> 00:16:36,162 (引き戸の開く音) 233 00:16:36,162 --> 00:16:38,331 ここの壁を調べてみなさい。 234 00:16:38,331 --> 00:16:41,133 えっ… 壁… ですか。 235 00:16:47,340 --> 00:16:49,342 あっ…。 236 00:16:51,510 --> 00:16:53,513 えっ…。 (引き戸が開く音) 237 00:17:00,453 --> 00:17:03,456 ここって…。 図書準備室だ。 238 00:17:03,456 --> 00:17:08,160 君も君の級友も 僕がこの準備室に入ったのを➡ 239 00:17:08,160 --> 00:17:10,997 図書室に入ったと 思い込んだのだね。 240 00:17:10,997 --> 00:17:13,499 (栞奈)こんな部屋が あったなんて…。 241 00:17:13,499 --> 00:17:15,835 (中禅寺)ほとんど 知られてはいないからね。 242 00:17:15,835 --> 00:17:19,338 (栞奈)でも どうしてこんな わかりづらい所に…。 243 00:17:19,338 --> 00:17:21,340 (中禅寺)検閲対策だよ。 244 00:17:21,340 --> 00:17:24,343 この春に退職された安田先生は➡ 245 00:17:24,343 --> 00:17:27,847 戦中戦後の図書検閲を 非常に嫌ってね。 246 00:17:27,847 --> 00:17:30,850 こうやって準備室の扉を 作り変えて➡ 247 00:17:30,850 --> 00:17:34,520 処分されそうな本と閲覧票を 隠したんだ。 248 00:17:34,520 --> 00:17:37,490 その手の検閲に 引っ掛かりそうな本は➡ 249 00:17:37,490 --> 00:17:39,992 今では希少なものが多くてね。 250 00:17:39,992 --> 00:17:43,496 事情を知っている 校長先生の許可をいただいて➡ 251 00:17:43,496 --> 00:17:46,666 閲覧していたんだ。 それじゃ➡ 252 00:17:46,666 --> 00:17:50,002 私も幸子も呪いに殺されることは ないんですね。 253 00:17:50,002 --> 00:17:52,104 よかったぁ。 254 00:17:57,510 --> 00:17:59,512 あっ…。 255 00:17:59,512 --> 00:18:01,948 んっ。 256 00:18:01,948 --> 00:18:04,951 この世には➡ 257 00:18:04,951 --> 00:18:09,555 不思議なことなど 何もないのだよ 日下部くん。 258 00:18:12,959 --> 00:18:15,294 これで話は終わりだ。 259 00:18:15,294 --> 00:18:19,599 私は調べものをしていくから 君は早く帰りたまえ。 260 00:18:22,802 --> 00:18:26,138 そうだ。 このことは黙っておくから➡ 261 00:18:26,138 --> 00:18:29,141 君も この部屋のことは 他言無用だぞ。 262 00:18:29,141 --> 00:18:33,479 どうしてですか? この部屋は居心地がよくてね。 263 00:18:33,479 --> 00:18:36,983 他人に知られてほしくないのだよ。 264 00:18:36,983 --> 00:18:40,486 あの… 一人だけでも 言ってはだめですか? 265 00:18:40,486 --> 00:18:44,657 ああ どこからうわさが漏れるか わからないからね。 266 00:18:44,657 --> 00:18:49,862 だったら… 約束できません。 ふむ…。 267 00:18:51,831 --> 00:18:56,002 そういえば たしか 君のお父上は お医者様だったね。 268 00:18:56,002 --> 00:18:58,004 そ… それが何か? 269 00:18:58,004 --> 00:19:01,440 君がこんな夜中に 学校に忍び込んだと知ったら➡ 270 00:19:01,440 --> 00:19:04,610 どう思うかね? えっ きょ 脅迫ですか!? 271 00:19:04,610 --> 00:19:07,613 親にバラされたくなかったら 黙ってろって!? 272 00:19:07,613 --> 00:19:09,615 取り引きだよ。 273 00:19:09,615 --> 00:19:13,285 お互い平和に学校生活を 送りたいだろう。 うっ…。 274 00:19:13,285 --> 00:19:16,789 それでも やっぱり約束できません。 275 00:19:16,789 --> 00:19:19,291 君も強情だねぇ。 276 00:19:19,291 --> 00:19:21,293 私のことはともかく➡ 277 00:19:21,293 --> 00:19:24,130 幸子をあのままにしては おけないです! 278 00:19:24,130 --> 00:19:27,633 幸子 本当に自分が 死んじゃうんじゃないかって➡ 279 00:19:27,633 --> 00:19:29,635 すごく怖がってました。 280 00:19:29,635 --> 00:19:34,473 あんな姿を見たら… やっぱりほっとけないです! 281 00:19:34,473 --> 00:19:39,311 わかった。 それなら 別の方法を考えるとしよう。 282 00:19:39,311 --> 00:19:42,982 本当ですか? ただし! えっ…。 283 00:19:42,982 --> 00:19:46,485 君にも少々 骨を折ってもらうかもしれない。 284 00:19:46,485 --> 00:19:48,988 それでもいいかね? えっ…。 285 00:19:53,159 --> 00:19:56,162 お… おはよう…。 286 00:19:56,162 --> 00:19:59,865 みんな… どうかした…? 287 00:20:01,867 --> 00:20:03,836 どうかしたじゃないだろ! 288 00:20:03,836 --> 00:20:06,839 聞いたよ~。 図書室の幽霊を退治したって!? 289 00:20:06,839 --> 00:20:08,841 栞奈 本当なの? 290 00:20:08,841 --> 00:20:10,843 え え~と…。 291 00:20:10,843 --> 00:20:13,179 まぁ 本当といえばホント… かな? 292 00:20:13,179 --> 00:20:15,214 (どよめき) 293 00:20:15,214 --> 00:20:17,216 すげぇ 本当だったんだ。 294 00:20:17,216 --> 00:20:19,718 まさか栞奈に そんな力があったなんてねぇ。 295 00:20:19,718 --> 00:20:21,720 アハハハ まぁね~。 296 00:20:21,720 --> 00:20:24,390 栞奈! ひゃあ! いつの間にそんな技 覚えたの? 297 00:20:24,390 --> 00:20:28,727 え~と… なんかやってみたら できちゃった みたいな? 298 00:20:28,727 --> 00:20:30,729 (どよめき) 299 00:20:30,729 --> 00:20:34,567 《うぅ… やっぱり こういうことになっちゃうよね》 300 00:20:34,567 --> 00:20:38,370 ((それで 別の方法って なんですか? 301 00:20:38,370 --> 00:20:42,374 簡単な話だよ。 解決策を提示すればいい。 302 00:20:42,374 --> 00:20:46,879 解決策? 謎が謎のままだから 不安になるし➡ 303 00:20:46,879 --> 00:20:49,715 それを探ろうとする者が現れる。 304 00:20:49,715 --> 00:20:52,885 ならば それ以上言及されないよう➡ 305 00:20:52,885 --> 00:20:55,554 誰かが解決したことに してしまえばいい。 306 00:20:55,554 --> 00:20:57,556 (栞奈)な なるほど…。 307 00:20:57,556 --> 00:21:01,494 今回の場合 幽霊をお祓いして退治した➡ 308 00:21:01,494 --> 00:21:04,663 もう幽霊におびえる 心配はないとね。 309 00:21:04,663 --> 00:21:08,667 確かに それならみんなが 納得してくれますね。 310 00:21:10,669 --> 00:21:14,340 でも 誰が解決したことに するんですか? 311 00:21:14,340 --> 00:21:18,511 フッ… 君の他に誰がいるのだね?)) 312 00:21:18,511 --> 00:21:23,516 (3人)エヘヘ…。 うぅ…。 313 00:21:23,516 --> 00:21:26,852 《成り行きで 心霊探偵にされてしまった。 314 00:21:26,852 --> 00:21:30,022 霊感なんて これっぽっちもないのに》 315 00:21:30,022 --> 00:21:33,859 何してるの~? 触ってご利益もらってるの。 316 00:21:33,859 --> 00:21:36,529 栞奈! 幸子! 317 00:21:36,529 --> 00:21:38,531 (栞奈)よかった 元気になったんだ。 318 00:21:38,531 --> 00:21:41,033 (静江)幸子おかえり~。 (涼子)うわ~ん 幸子~! 319 00:21:41,033 --> 00:21:43,702 ありがとう 栞奈。 320 00:21:43,702 --> 00:21:47,206 栞奈のおかげで 心が軽くなった。 321 00:21:47,206 --> 00:21:49,208 うん! 322 00:21:49,208 --> 00:21:52,912 《案外 心霊探偵も 悪くないかもね》 323 00:21:54,880 --> 00:21:56,882 ヤバ! 中禅寺先生だ! 324 00:21:56,882 --> 00:21:59,885 (引き戸の開閉音) 325 00:22:02,822 --> 00:22:05,824 では 授業を始める。 326 00:22:09,161 --> 00:22:11,163 あっ…。 327 00:22:16,035 --> 00:22:18,871 フッ。 《うぅ~っ! 328 00:22:18,871 --> 00:22:22,841 前言撤回…》 (2人)あっ? 329 00:22:22,841 --> 00:22:27,646 《心霊探偵なんて 絶対やるもんか~!》