1 00:00:34,668 --> 00:00:37,337 《中禅寺:脳は目や耳から 入ってくる情報を➡ 2 00:00:37,337 --> 00:00:40,340 意識の舞台に映し出す器官だ。 3 00:00:40,340 --> 00:00:42,342 だが人の脳というのは➡ 4 00:00:42,342 --> 00:00:45,345 案外 いいかげんなうえに プライドが高く➡ 5 00:00:45,345 --> 00:00:48,682 知らないことを 知らないなどとは言えない➡ 6 00:00:48,682 --> 00:00:51,518 少々やっかいな性質を持つ。 7 00:00:51,518 --> 00:00:54,521 そんなとき 脳は有り合わせの知識から➡ 8 00:00:54,521 --> 00:00:59,359 当人の納得に近い事象を 結びつけ 出力しようとする。 9 00:00:59,359 --> 00:01:02,863 その際 正確性は一切考慮しない。 10 00:01:02,863 --> 00:01:06,867 信仰や風習といった 共通認識と経験から➡ 11 00:01:06,867 --> 00:01:09,703 当人が見たいもの 信じたいもの➡ 12 00:01:09,703 --> 00:01:14,541 いちばん 「納得」できるストーリーを 無意識に作り上げてしまう。 13 00:01:14,541 --> 00:01:18,712 理解が及ばず 答えのわからない 不可思議に対し➡ 14 00:01:18,712 --> 00:01:22,549 この世ならざる者の 仕業を見てしまうのだ。 15 00:01:22,549 --> 00:01:25,385 もし怪異に遭ったときは➡ 16 00:01:25,385 --> 00:01:28,388 まず自分の脳に問いてみるといい。 17 00:01:28,388 --> 00:01:31,224 果たして 目の前の怪異は➡ 18 00:01:31,224 --> 00:01:34,361 正しく現実を 映し出した結果なのかと。 19 00:01:34,361 --> 00:01:36,330 そう…。 20 00:01:36,330 --> 00:01:39,333 この世には不思議なことなど➡ 21 00:01:39,333 --> 00:01:41,735 何もないのだから》 22 00:01:57,684 --> 00:02:09,363 (喧騒) 23 00:02:09,363 --> 00:02:12,866 (栞奈)ん~んっ うんうん。 おいひい! 24 00:02:12,866 --> 00:02:17,871 フワッフワ! な~んでカルメ焼きって こんなにおいしいんだろう! 25 00:02:17,871 --> 00:02:20,707 (静江)ま~た 買い食いしてるよ この子は。 26 00:02:20,707 --> 00:02:23,543 エヘヘ おいしそうだったから つい。 27 00:02:23,543 --> 00:02:25,545 (静江)まったくもう…。 28 00:02:29,716 --> 00:02:32,386 栞奈 バス来たよ~。 29 00:02:32,386 --> 00:02:34,488 (栞奈)ごめ~ん 今行く。 30 00:02:34,488 --> 00:02:36,857 これください。 あんがとね。 31 00:02:36,857 --> 00:02:40,327 あっ? (落とす音) 32 00:02:42,662 --> 00:02:45,666 ごめん静江 先乗ってて! 栞奈!? 33 00:02:48,869 --> 00:02:50,837 なんですかぁ~? 34 00:02:50,837 --> 00:02:52,873 おほほほ~! 35 00:02:52,873 --> 00:02:54,875 落としましたよ! 36 00:02:54,875 --> 00:02:57,711 栞奈~! 早く早く~! 37 00:02:57,711 --> 00:03:00,680 それじゃ! えっ? あぁ どうも。 38 00:03:00,680 --> 00:03:03,850 アハハ… 間に合った! 39 00:03:03,850 --> 00:03:06,520 もう 何やってるのよ。 40 00:03:06,520 --> 00:03:09,222 だって ほっとけないじゃない。 41 00:03:13,727 --> 00:03:17,230 《栞奈:東京都立 美戸川高校。 42 00:03:17,230 --> 00:03:21,735 去年の4月から学校制度が 旧制から新制に変わり➡ 43 00:03:21,735 --> 00:03:25,739 私たちは 新制 高校2年生になった》 44 00:03:25,739 --> 00:03:30,043 おはよ~! んっ? 45 00:03:30,043 --> 00:03:32,045 (涼子)あっ 栞奈。 46 00:03:35,482 --> 00:03:37,984 どうしたの? 具合悪い? 47 00:03:37,984 --> 00:03:41,988 (花代)実は… 幸子が幽霊を見たって。 48 00:03:41,988 --> 00:03:43,990 えっ? 幽霊? 49 00:03:46,026 --> 00:03:48,862 (幸子)ゆうべ… 慎吾くんと➡ 50 00:03:48,862 --> 00:03:52,365 旧校舎の図書室へ行こうとしたの。 51 00:03:52,365 --> 00:03:54,334 そしたら…。 52 00:03:58,171 --> 00:04:00,173 ((見つかったらどうしよう。 53 00:04:00,173 --> 00:04:04,010 (慎吾)大丈夫 こんな時間に誰もいないよ。 54 00:04:04,010 --> 00:04:06,012 慎吾くん。 55 00:04:06,012 --> 00:04:08,014 (足音) 56 00:04:08,014 --> 00:04:10,016 あっ!? (足音) 57 00:04:10,016 --> 00:04:16,056 (足音) 58 00:04:16,056 --> 00:04:19,526 だ 誰? 見回りじゃなさそうだけど。 59 00:04:19,526 --> 00:04:21,695 まさか 泥棒? (引き戸の開閉音) 60 00:04:21,695 --> 00:04:23,864 (引き戸の開閉音) 61 00:04:23,864 --> 00:04:35,809 ♬~ 62 00:04:35,809 --> 00:04:37,811 (引き戸の開く音) 63 00:04:37,811 --> 00:04:45,318 ♬~ 64 00:04:45,318 --> 00:04:47,320 えっ…。 65 00:04:47,320 --> 00:04:50,824 誰もいない…)) 66 00:04:54,327 --> 00:04:57,831 あの廊下には 他に抜け道なんてないから➡ 67 00:04:57,831 --> 00:05:00,333 絶対 図書室に 入っていったはずなの。 68 00:05:00,333 --> 00:05:04,337 それがうわさの 図書室の幽霊なんじゃないかって。 69 00:05:04,337 --> 00:05:07,340 図書室の幽霊? 知らないの? 70 00:05:07,340 --> 00:05:12,012 私 怪談とか あんまり知らなくて。 71 00:05:12,012 --> 00:05:14,848 今から30年くらい前➡ 72 00:05:14,848 --> 00:05:19,553 この学校に勤めてた国語教師が 一方的に解雇されたの。 73 00:05:21,521 --> 00:05:25,192 で 恨みながら 自殺しちゃったんだって。 74 00:05:25,192 --> 00:05:31,198 以来 旧校舎には国語教師の幽霊が 目撃されるようになったの。 75 00:05:31,198 --> 00:05:35,001 そして それを見た者は…。 76 00:05:35,001 --> 00:05:37,671 1か月以内に死ぬって うわさなの! 77 00:05:37,671 --> 00:05:41,308 ふんふん…。 し… 死ぬって… それ ホントなの? 78 00:05:41,308 --> 00:05:44,144 怖いよ 怖い~。 ホントだよ! みんなうわさしてるよ。 79 00:05:44,144 --> 00:05:48,648 あ… それで 先生には言ったの? 何かわかるかも。 80 00:05:48,648 --> 00:05:50,650 (幸子)言えるわけないよ! あっ。 81 00:05:50,650 --> 00:05:54,521 夜中に男子と 二人きりでいましたなんて…。 82 00:05:54,521 --> 00:05:56,990 まぁ… そうだよね。 83 00:05:56,990 --> 00:06:00,660 どうしよう 私 呪い殺されちゃう。 84 00:06:00,660 --> 00:06:04,831 死にたくない… 死にたくないよう…。 85 00:06:04,831 --> 00:06:07,234 幸子…。 86 00:06:13,873 --> 00:06:16,877 《幽霊だなんて…。 87 00:06:16,877 --> 00:06:18,845 でも…》 88 00:06:21,047 --> 00:06:24,718 《幸子… 本当に怖がってた。 89 00:06:24,718 --> 00:06:27,187 なんとかしてあげられないかな》 90 00:06:43,136 --> 00:06:45,138 財布? 91 00:06:45,138 --> 00:06:48,308 どなたか 財布落としましたよ。 92 00:06:48,308 --> 00:06:53,313 あぁ よかった。 それ私のだよ。 あっ よかった。 93 00:06:53,313 --> 00:06:55,315 🗧あの~。 あっ。 94 00:06:55,315 --> 00:06:58,818 その財布 僕のです。 えっ!? 95 00:06:58,818 --> 00:07:02,155 待~て コラ! そりゃ俺んだ! 返せ! 96 00:07:02,155 --> 00:07:04,157 えっ!? えっと…。 97 00:07:04,157 --> 00:07:07,994 よく見ておくれよ。 これは女物の財布じゃないか! 98 00:07:07,994 --> 00:07:10,997 確かに。 それじゃあ…。 待ってください。 99 00:07:10,997 --> 00:07:14,000 それは妻の財布なんです。 今朝 間違えて➡ 100 00:07:14,000 --> 00:07:16,503 持ってきてしまって。 な なるほど…。 101 00:07:16,503 --> 00:07:18,505 適当言うな テメエ! 102 00:07:18,505 --> 00:07:22,008 そりゃ 嫁が具合悪くて 代わりに預かってきたんだ! 103 00:07:22,008 --> 00:07:24,844 えぇ~!? 104 00:07:24,844 --> 00:07:27,347 うぅ だから急いでんだ! 105 00:07:27,347 --> 00:07:30,016 さっさとよこせ! (栞奈)で でも…。 106 00:07:30,016 --> 00:07:32,018 僕のだ! 私のだよ! 107 00:07:32,018 --> 00:07:33,954 俺んだ! 108 00:07:33,954 --> 00:07:35,955 《いっ いったい誰のなの!?》 (争う声) 109 00:07:35,955 --> 00:07:37,957 (争う声) 110 00:07:37,957 --> 00:07:40,794 (中禅寺)その財布の根付…。 あっ。 (争う声) 111 00:07:40,794 --> 00:07:43,797 狛犬… ですか? 112 00:07:47,334 --> 00:07:49,336 (栞奈)狛犬? 113 00:07:49,336 --> 00:07:51,338 そうだよ 狛犬だよ。 114 00:07:51,338 --> 00:07:54,808 私は犬が好きでねぇ。 適当言うな! 115 00:07:54,808 --> 00:07:58,645 そりゃ俺が作ったんだよ! 嫁と神社に行ったとき➡ 116 00:07:58,645 --> 00:08:01,481 狛犬を見ながら彫ったんだ! 117 00:08:01,481 --> 00:08:04,150 それはどこの神社ですか? 118 00:08:04,150 --> 00:08:09,322 えっ? いや… そりゃオメエ 埼玉のなんとかって… 神社で。 119 00:08:09,322 --> 00:08:12,325 よ よ よく覚えてねえや。 120 00:08:12,325 --> 00:08:15,995 富岡八幡宮だよ! そこで買ったんだ。 121 00:08:15,995 --> 00:08:18,998 ふむ… なるほど。 122 00:08:18,998 --> 00:08:22,168 《そんなこと聞いて なんの意味が…》 123 00:08:22,168 --> 00:08:25,005 まず 背広の男性。 124 00:08:25,005 --> 00:08:28,174 あなたは持ち主ではありません。 えっ!? あっ…。 125 00:08:28,174 --> 00:08:32,812 (中禅寺)そんな荷物でいっぱいの 鞄に財布が入る余裕はないし➡ 126 00:08:32,812 --> 00:08:34,981 ポケットにも大きすぎる。 127 00:08:34,981 --> 00:08:37,984 どうやって持ち運んだんですか? 128 00:08:37,984 --> 00:08:41,454 そ それは…。 129 00:08:41,454 --> 00:08:45,125 チイッ! ったく… シケてやがんな! 130 00:08:45,125 --> 00:08:47,293 (3人)あっ…。 (中禅寺)ところで➡ 131 00:08:47,293 --> 00:08:50,797 その根付を自分で彫ったと おっしゃっていましたが➡ 132 00:08:50,797 --> 00:08:53,133 木彫り職人か何かですか? 133 00:08:53,133 --> 00:08:56,469 おっ… おう… 仏像を彫ってんだ。 134 00:08:56,469 --> 00:09:00,673 (中禅寺)その根付 狛犬は狛犬でも 狼ですね。 135 00:09:00,673 --> 00:09:05,011 おうさ! 狼が狛犬だなんて 珍しいからよ➡ 136 00:09:05,011 --> 00:09:07,347 嫁さんに彫ってやったのさ! 137 00:09:07,347 --> 00:09:10,517 (中禅寺)埼玉の秩父にある 三峯神社。 138 00:09:10,517 --> 00:09:16,523 そこでは狼を大神と称して 信仰しているのです。 へぇ~。 139 00:09:16,523 --> 00:09:20,827 おぉ 三峯神社! そうだそこだよ! 懐かしいなぁ。 140 00:09:20,827 --> 00:09:24,330 適当なこと言って! 証拠がないじゃないか! 141 00:09:24,330 --> 00:09:27,667 (中禅寺)証拠なら 財布の中にあるかもしれません。 142 00:09:27,667 --> 00:09:32,005 えっ? (中禅寺)その大きさなら お守りが入っているのでは? 143 00:09:32,005 --> 00:09:35,108 《そんな… 見てもいないのに》 144 00:09:35,108 --> 00:09:37,110 あっ! 145 00:09:37,110 --> 00:09:39,779 《ホントに入ってた!》 146 00:09:39,779 --> 00:09:42,682 ぐぬぬ… フン なにさ! 147 00:09:46,619 --> 00:09:49,122 お嬢ちゃん ありがとな! 148 00:09:51,124 --> 00:09:54,627 《よかった 本当の持ち主に返せて。 149 00:09:54,627 --> 00:10:00,633 それにしても 根付を見ただけで そこまでわかるなんて》 150 00:10:00,633 --> 00:10:03,636 あの ありがとうございまし… た。 151 00:10:05,972 --> 00:10:09,476 《なんだったんだろう… あの人》 152 00:10:13,646 --> 00:10:15,982 (栞奈)えぇ? 幸子来てないの!? 153 00:10:15,982 --> 00:10:18,651 (静江)そうなの。 今朝 迎えにいったら➡ 154 00:10:18,651 --> 00:10:20,653 学校には行きたくないって。 155 00:10:20,653 --> 00:10:23,323 幸子のお母さんに 理由を聞かれたけど➡ 156 00:10:23,323 --> 00:10:26,659 男子と一緒に夜の教室に いたなんて言えないし➡ 157 00:10:26,659 --> 00:10:29,996 困ったよね。 《幸子 大丈夫かな?》 158 00:10:29,996 --> 00:10:33,166 (教師)みんな~ 席について。 (引き戸の開く音) 159 00:10:33,166 --> 00:10:37,337 今日は新しい講師の先生を 紹介します。 160 00:10:37,337 --> 00:10:41,007 《んもう… 今は それどころじゃないのに》 161 00:10:41,007 --> 00:10:45,211 (足音) 162 00:10:49,015 --> 00:11:01,528 ♬~ 163 00:11:01,528 --> 00:11:05,732 今日から国語の 臨時講師を務めさていただく…。 164 00:11:09,369 --> 00:11:12,705 中禅寺秋彦です。 165 00:11:12,705 --> 00:11:15,375 《あ… あの人は…》 166 00:11:15,375 --> 00:11:18,711 どうしたの? ううん なんでもない。 167 00:11:18,711 --> 00:11:21,548 では 生徒たちからも 自己紹介を…。 168 00:11:21,548 --> 00:11:23,883 その必要はありません! えっ? 169 00:11:23,883 --> 00:11:26,886 私は国語の講義をするのが 仕事です。 170 00:11:26,886 --> 00:11:30,890 個々の生徒の詳細など 知る必要はありません。 171 00:11:33,860 --> 00:11:36,329 《な… なんなの この人…》 172 00:11:36,329 --> 00:11:38,331 (中禅寺)では早速 授業に入りたいので。 173 00:11:38,331 --> 00:11:41,734 (教師)あ… そうですね! では あとはお願いします。 174 00:13:13,693 --> 00:13:15,728 (タケ坊)「ひよひよと➡ 175 00:13:15,728 --> 00:13:17,730 かしがましく鳴きて➡ 176 00:13:17,730 --> 00:13:21,734 人の後前に立ちて歩くも いとおかし」。 177 00:13:21,734 --> 00:13:24,203 (中禅寺)幸田くん。 はい。 178 00:13:24,203 --> 00:13:29,042 この文章と 先のモンテーニュの 談話の違いはなんだね? 179 00:13:29,042 --> 00:13:32,045 えっ… わ… わかりません! 180 00:13:32,045 --> 00:13:33,980 ウッ。 181 00:13:33,980 --> 00:13:39,318 一方を感覚的とする以上 こういった比較に正答はない。 182 00:13:39,318 --> 00:13:42,822 答えを考えること自体が 学習なのだ。 183 00:13:42,822 --> 00:13:46,492 次回までに君なりの答えを まとめておきたまえ。 184 00:13:46,492 --> 00:13:48,494 は はい! 185 00:13:48,494 --> 00:13:50,496 (ベル) 186 00:13:50,496 --> 00:13:52,699 今日の授業はここまで。 187 00:13:55,001 --> 00:13:58,004 (引き戸の開閉音) 188 00:14:01,674 --> 00:14:04,343 中禅寺先生って すげぇ怖いな。 189 00:14:04,343 --> 00:14:07,680 うん どなりはしないけど 圧があるっていうか。 190 00:14:07,680 --> 00:14:11,284 でも芥川龍之介みたいで ちょっとかっこよくない? 191 00:14:15,521 --> 00:14:18,691 《このまま ほっとけないよね…》 192 00:14:18,691 --> 00:14:20,693 うぅ…。 193 00:14:26,032 --> 00:14:30,336 《幽霊の正体さえわかれば 幸子も安心できるはず》 194 00:14:47,320 --> 00:14:51,724 《ここを上れば すぐ右が図書室》 195 00:14:54,994 --> 00:14:57,029 えっ!? 196 00:14:57,029 --> 00:15:02,201 (足音) 197 00:15:02,201 --> 00:15:04,670 《ゆ… 幽霊!?》 198 00:15:04,670 --> 00:15:08,341 あっ。 (引き戸の開閉音) 199 00:15:08,341 --> 00:15:10,843 《確かめなきゃ!》 200 00:15:10,843 --> 00:15:12,845 (引き戸の開く音) 201 00:15:12,845 --> 00:15:29,362 ♬~ 202 00:15:29,362 --> 00:15:31,697 《そんなはず…。 203 00:15:31,697 --> 00:15:34,133 さっき確かに人影を見て➡ 204 00:15:34,133 --> 00:15:38,137 戸を開けて入った音が したはずなのに。 205 00:15:38,137 --> 00:15:41,641 幽霊は… 本当にいる!?》 206 00:15:44,811 --> 00:15:47,814 う… あぁ… あっ…。 207 00:15:47,814 --> 00:15:50,817 キャーッ! (尻餅をつく音) 208 00:15:50,817 --> 00:15:55,655 《私も… 死んじゃうってこと!?》 209 00:15:55,655 --> 00:15:58,324 あっ…。 210 00:15:58,324 --> 00:16:02,161 ギャーッ! 何をしている。 211 00:16:02,161 --> 00:16:05,331 って…! ええっ!? 212 00:16:05,331 --> 00:16:08,167 ちゅ 中禅寺先生!? 213 00:16:08,167 --> 00:16:10,670 下校時間はとっくに過ぎているぞ。 214 00:16:10,670 --> 00:16:15,007 君はたしか 2年1組の日下部栞奈くんだね。 215 00:16:15,007 --> 00:16:19,011 なぜここにいるかは知らないが 早く帰りたまえ。 216 00:16:19,011 --> 00:16:22,849 それが… あの… 今 幽霊がここに…。 217 00:16:22,849 --> 00:16:25,751 あれ? でも…。 218 00:16:27,687 --> 00:16:31,357 (栞奈)それで 図書室の中を 捜してみたんですけど➡ 219 00:16:31,357 --> 00:16:35,294 その人は いなかったんです。 (中禅寺)なるほど…。 220 00:16:35,294 --> 00:16:38,297 (栞奈)それに 幽霊を見た人間は➡ 221 00:16:38,297 --> 00:16:40,800 ひとつき以内に死んでしまうって。 222 00:16:40,800 --> 00:16:43,636 ハァ… その幽霊は➡ 223 00:16:43,636 --> 00:16:45,638 僕だね。 224 00:16:45,638 --> 00:16:47,640 はっ…? えっ!? 225 00:16:47,640 --> 00:16:50,810 だから その幽霊は僕だと言っている。 226 00:16:50,810 --> 00:16:53,646 え~っ! ど どういうことですか!? 227 00:16:53,646 --> 00:16:55,848 君はさっき こう言ったね。 228 00:16:55,848 --> 00:16:59,652 階段を上がって右に曲がると すぐ図書室があり➡ 229 00:16:59,652 --> 00:17:01,654 他に道はないと。 230 00:17:01,654 --> 00:17:03,656 は はい。 231 00:17:03,656 --> 00:17:06,492 ついてきなさい。 えっ? 232 00:17:06,492 --> 00:17:08,828 (引き戸の開く音) 233 00:17:08,828 --> 00:17:10,997 ここの壁を調べてみなさい。 234 00:17:10,997 --> 00:17:13,799 えっ… 壁… ですか。 235 00:17:20,006 --> 00:17:22,008 あっ…。 236 00:17:24,176 --> 00:17:26,178 えっ…。 (引き戸が開く音) 237 00:17:33,119 --> 00:17:36,122 ここって…。 図書準備室だ。 238 00:17:36,122 --> 00:17:40,826 君も君の級友も 僕がこの準備室に入ったのを➡ 239 00:17:40,826 --> 00:17:43,663 図書室に入ったと 思い込んだのだね。 240 00:17:43,663 --> 00:17:46,165 (栞奈)こんな部屋が あったなんて…。 241 00:17:46,165 --> 00:17:48,501 (中禅寺)ほとんど 知られてはいないからね。 242 00:17:48,501 --> 00:17:52,004 (栞奈)でも どうしてこんな わかりづらい所に…。 243 00:17:52,004 --> 00:17:54,006 (中禅寺)検閲対策だよ。 244 00:17:54,006 --> 00:17:57,009 この春に退職された安田先生は➡ 245 00:17:57,009 --> 00:18:00,513 戦中戦後の図書検閲を 非常に嫌ってね。 246 00:18:00,513 --> 00:18:03,516 こうやって準備室の扉を 作り変えて➡ 247 00:18:03,516 --> 00:18:07,186 処分されそうな本と閲覧票を 隠したんだ。 248 00:18:07,186 --> 00:18:10,156 その手の検閲に 引っ掛かりそうな本は➡ 249 00:18:10,156 --> 00:18:12,658 今では希少なものが多くてね。 250 00:18:12,658 --> 00:18:16,162 事情を知っている 校長先生の許可をいただいて➡ 251 00:18:16,162 --> 00:18:19,332 閲覧していたんだ。 それじゃ➡ 252 00:18:19,332 --> 00:18:22,668 私も幸子も呪いに殺されることは ないんですね。 253 00:18:22,668 --> 00:18:24,770 よかったぁ。 254 00:18:30,176 --> 00:18:32,178 あっ…。 255 00:18:32,178 --> 00:18:34,613 んっ。 256 00:18:34,613 --> 00:18:37,617 この世には➡ 257 00:18:37,617 --> 00:18:42,221 不思議なことなど 何もないのだよ 日下部くん。 258 00:18:45,624 --> 00:18:47,960 これで話は終わりだ。 259 00:18:47,960 --> 00:18:52,264 私は調べものをしていくから 君は早く帰りたまえ。 260 00:18:55,468 --> 00:18:58,804 そうだ。 このことは黙っておくから➡ 261 00:18:58,804 --> 00:19:01,807 君も この部屋のことは 他言無用だぞ。 262 00:19:01,807 --> 00:19:06,145 どうしてですか? この部屋は居心地がよくてね。 263 00:19:06,145 --> 00:19:09,649 他人に知られてほしくないのだよ。 264 00:19:09,649 --> 00:19:13,152 あの… 一人だけでも 言ってはだめですか? 265 00:19:13,152 --> 00:19:17,323 ああ どこからうわさが漏れるか わからないからね。 266 00:19:17,323 --> 00:19:22,528 だったら… 約束できません。 ふむ…。 267 00:19:24,497 --> 00:19:28,668 そういえば たしか 君のお父上は お医者様だったね。 268 00:19:28,668 --> 00:19:30,669 そ… それが何か? 269 00:19:30,669 --> 00:19:34,106 君がこんな夜中に 学校に忍び込んだと知ったら➡ 270 00:19:34,106 --> 00:19:37,276 どう思うかね? えっ きょ 脅迫ですか!? 271 00:19:37,276 --> 00:19:40,279 親にバラされたくなかったら 黙ってろって!? 272 00:19:40,279 --> 00:19:42,281 取り引きだよ。 273 00:19:42,281 --> 00:19:45,951 お互い平和に学校生活を 送りたいだろう。 うっ…。 274 00:19:45,951 --> 00:19:49,455 それでも やっぱり約束できません。 275 00:19:49,455 --> 00:19:51,957 君も強情だねぇ。 276 00:19:51,957 --> 00:19:53,959 私のことはともかく➡ 277 00:19:53,959 --> 00:19:56,796 幸子をあのままにしては おけないです! 278 00:19:56,796 --> 00:20:00,299 幸子 本当に自分が 死んじゃうんじゃないかって➡ 279 00:20:00,299 --> 00:20:02,301 すごく怖がってました。 280 00:20:02,301 --> 00:20:07,139 あんな姿を見たら… やっぱりほっとけないです! 281 00:20:07,139 --> 00:20:11,977 わかった。 それなら 別の方法を考えるとしよう。 282 00:20:11,977 --> 00:20:15,648 本当ですか? ただし! えっ…。 283 00:20:15,648 --> 00:20:19,151 君にも少々 骨を折ってもらうかもしれない。 284 00:20:19,151 --> 00:20:21,654 それでもいいかね? えっ…。 285 00:20:25,825 --> 00:20:28,828 お… おはよう…。 286 00:20:28,828 --> 00:20:32,531 みんな… どうかした…? 287 00:20:34,533 --> 00:20:36,502 どうかしたじゃないだろ! 288 00:20:36,502 --> 00:20:39,505 聞いたよ~。 図書室の幽霊を退治したって!? 289 00:20:39,505 --> 00:20:41,507 栞奈 本当なの? 290 00:20:41,507 --> 00:20:43,509 え え~と…。 291 00:20:43,509 --> 00:20:45,845 まぁ 本当といえばホント… かな? 292 00:20:45,845 --> 00:20:47,880 (どよめき) 293 00:20:47,880 --> 00:20:49,882 すげぇ 本当だったんだ。 294 00:20:49,882 --> 00:20:52,384 まさか栞奈に そんな力があったなんてねぇ。 295 00:20:52,384 --> 00:20:54,386 アハハハ まぁね~。 296 00:20:54,386 --> 00:20:57,056 栞奈! ひゃあ! いつの間にそんな技 覚えたの? 297 00:20:57,056 --> 00:21:01,393 え~と… なんかやってみたら できちゃった みたいな? 298 00:21:01,393 --> 00:21:03,395 (どよめき) 299 00:21:03,395 --> 00:21:07,233 《うぅ… やっぱり こういうことになっちゃうよね》 300 00:21:07,233 --> 00:21:11,036 ((それで 別の方法って なんですか? 301 00:21:11,036 --> 00:21:15,040 簡単な話だよ。 解決策を提示すればいい。 302 00:21:15,040 --> 00:21:19,545 解決策? 謎が謎のままだから 不安になるし➡ 303 00:21:19,545 --> 00:21:22,381 それを探ろうとする者が現れる。 304 00:21:22,381 --> 00:21:25,551 ならば それ以上言及されないよう➡ 305 00:21:25,551 --> 00:21:28,220 誰かが解決したことに してしまえばいい。 306 00:21:28,220 --> 00:21:30,222 (栞奈)な なるほど…。 307 00:21:30,222 --> 00:21:34,160 今回の場合 幽霊をお祓いして退治した➡ 308 00:21:34,160 --> 00:21:37,329 もう幽霊におびえる 心配はないとね。 309 00:21:37,329 --> 00:21:41,333 確かに それならみんなが 納得してくれますね。 310 00:21:43,335 --> 00:21:47,006 でも 誰が解決したことに するんですか? 311 00:21:47,006 --> 00:21:51,177 フッ… 君の他に誰がいるのだね?)) 312 00:21:51,177 --> 00:21:56,182 (3人)エヘヘ…。 うぅ…。 313 00:21:56,182 --> 00:21:59,518 《成り行きで 心霊探偵にされてしまった。 314 00:21:59,518 --> 00:22:02,688 霊感なんて これっぽっちもないのに》 315 00:22:02,688 --> 00:22:06,525 何してるの~? 触ってご利益もらってるの。 316 00:22:06,525 --> 00:22:09,195 栞奈! 幸子! 317 00:22:09,195 --> 00:22:11,197 (栞奈)よかった 元気になったんだ。 318 00:22:11,197 --> 00:22:13,699 (静江)幸子おかえり~。 (涼子)うわ~ん 幸子~! 319 00:22:13,699 --> 00:22:16,368 ありがとう 栞奈。 320 00:22:16,368 --> 00:22:19,872 栞奈のおかげで 心が軽くなった。 321 00:22:19,872 --> 00:22:21,874 うん! 322 00:22:21,874 --> 00:22:25,578 《案外 心霊探偵も 悪くないかもね》 323 00:22:27,546 --> 00:22:29,548 ヤバ! 中禅寺先生だ! 324 00:22:29,548 --> 00:22:32,551 (引き戸の開閉音) 325 00:22:35,487 --> 00:22:38,490 では 授業を始める。 326 00:22:41,827 --> 00:22:43,829 あっ…。 327 00:22:48,701 --> 00:22:51,537 フッ。 《うぅ~っ! 328 00:22:51,537 --> 00:22:55,507 前言撤回…》 (2人)あっ? 329 00:22:55,507 --> 00:23:00,312 《心霊探偵なんて 絶対やるもんか~!》