1 00:00:06,106 --> 00:00:09,076 (武蔵神楽)北田岳くん? (北田 岳)武蔵さん!? 2 00:00:09,076 --> 00:00:12,079 (武蔵魏一)娘を知ってるのか!? 3 00:00:12,079 --> 00:00:15,082 春合宿以来だね。 銀メダル おめでとう! 4 00:00:15,082 --> 00:00:18,118 武蔵議員… 武蔵神楽…。 5 00:00:18,118 --> 00:00:20,087 名字が一緒だ。 6 00:00:20,087 --> 00:00:22,089 …で? 7 00:00:22,089 --> 00:00:27,094 そうか! 数学オリンピックの同期だったか。 こんな偶然が! 8 00:00:27,094 --> 00:00:30,097 話したろう とんでもない高校生シェフがいるって。 9 00:00:30,097 --> 00:00:32,099 それが彼だ! 10 00:00:32,099 --> 00:00:36,203 ちょっ… 待ってください! 料理を作るなんて聞かされてない…。 11 00:00:36,203 --> 00:00:38,071 (朝倉 海)またまた ご謙遜を…。 12 00:00:38,071 --> 00:00:43,076 あれほどのナポリタンを作り上げた人だ。 できないなんてことないだろう。 13 00:00:43,076 --> 00:00:48,081 しかも 偶然とはいえ… 相手は数学オリンピックの同期。 14 00:00:48,081 --> 00:00:52,085 君の数学的思考で料理を作る相手に ふさわしい。 15 00:00:52,085 --> 00:00:57,090 数学的思考で 料理…? 16 00:00:57,090 --> 00:01:01,061 数学者の道は諦めたということですか? 北田くん。 17 00:01:04,097 --> 00:01:14,074 ♬~ 18 00:02:41,094 --> 00:02:43,063 興味ないのか? 19 00:02:43,063 --> 00:02:47,067 岳くんが 数学的なアプローチで どのような料理を作るのか。 20 00:02:47,067 --> 00:02:51,071 興味はありましたよ 北田岳くんの数学には。 21 00:02:51,071 --> 00:02:55,075 子供の頃から とても興味がありました。 22 00:02:56,076 --> 00:03:00,080 (神楽の声)初めて会った… ジュニアオリンピックの時。 23 00:03:02,082 --> 00:03:05,085 (神楽の声)思いきって質問した。 24 00:03:05,085 --> 00:03:11,091 点CGEHを通る円を こうやって描いたら 方べきの定理を使えるんだよ。 25 00:03:11,091 --> 00:03:13,060 アハハ… どう? 26 00:03:14,161 --> 00:03:21,068 小学生とは思えない独創的なアイデアを 次から次へと とても楽しそうに。 27 00:03:21,068 --> 00:03:25,105 (神楽の声) でも 今の彼には 全く興味ありません。 28 00:03:25,105 --> 00:03:28,075 久しぶりに再会した彼の数学は→ 29 00:03:28,075 --> 00:03:31,078 ひどくつまらないものに成り下がって…! 30 00:03:31,078 --> 00:03:36,083 数学者の道は挫折したということで よろしいんですね? 北田くん。 31 00:03:36,083 --> 00:03:41,088 今 そういう人と話すことは 私の脳に害悪でしかない。 32 00:03:41,088 --> 00:03:43,090 私は成長したいので。 33 00:03:43,090 --> 00:03:45,092 (福田寧々)ひどーい。 34 00:03:45,092 --> 00:03:48,095 (神楽)加えて 私は食に興味がない。 35 00:03:48,095 --> 00:03:51,064 興味がないものが2つそろっている。 36 00:03:51,064 --> 00:03:53,066 故に とどまる理由がない。 37 00:03:53,066 --> 00:03:55,102 帰らせていただきます。 38 00:03:55,102 --> 00:03:57,070 (武蔵)お… おい 神楽! 39 00:03:57,070 --> 00:04:02,075 成長したいとは 数学者の道でということですよね お嬢様。 40 00:04:04,077 --> 00:04:10,083 なのに 数学的思考で料理を作ることが どういうものか見ずに帰ると? 41 00:04:10,083 --> 00:04:13,053 不勉強の極みではありませんか。 42 00:04:15,088 --> 00:04:19,059 …うん。 やっぱり食べていって 武蔵さん。 43 00:04:20,093 --> 00:04:24,064 いや~ へこんだ! ズドンと胸にきた! 44 00:04:24,064 --> 00:04:26,099 さすがだね 武蔵さん。 45 00:04:26,099 --> 00:04:31,104 そんな武蔵さんに料理を作って 美味しいと言わせろとか→ 46 00:04:31,104 --> 00:04:33,106 もう むちゃくちゃだよ! 47 00:04:33,106 --> 00:04:36,109 (岳の声)でも そんな むちゃくちゃなことが待ってるって→ 48 00:04:36,109 --> 00:04:39,146 心で準備してたのかもしれない。 49 00:04:39,146 --> 00:04:41,081 海さんのことだからって! フッ…。 50 00:04:41,081 --> 00:04:45,085 食べてって 武蔵さん。 ぜひ! 51 00:04:48,088 --> 00:04:50,090 (ワインを注ぐ音) 52 00:04:50,090 --> 00:04:52,092 さすがに時間をやろう。 53 00:04:52,092 --> 00:04:54,094 (においを嗅ぐ音) 54 00:04:54,094 --> 00:04:57,164 コース開始を1時間あとにした。 待ってやれるか? 55 00:04:57,164 --> 00:04:59,099 (神楽)平気です。 56 00:04:59,099 --> 00:05:01,101 んー…。 57 00:05:01,101 --> 00:05:04,070 自由に使っていいって… 豪華だよなあ。 58 00:05:06,239 --> 00:05:09,109 (赤松蘭菜) 布袋! スーシェフのくせに 時間にルーズ。 59 00:05:09,109 --> 00:05:12,112 (布袋勝也)ワインの買い付けに行ってたんだ。 60 00:05:12,112 --> 00:05:15,081 スーシェフが わざわざ行くなんて! 61 00:05:15,081 --> 00:05:18,118 (布袋)ワインの知識は 俺じゃなきゃダメだろう! 62 00:05:18,118 --> 00:05:22,088 メドックの等級ワインだからって 値ふっかけてきやがって。 63 00:05:22,088 --> 00:05:27,093 こっちが若いと見るや これだ。 (蘭菜)わかったから 準備入って。 64 00:05:27,093 --> 00:05:30,063 (布袋)ん? あっ どうも。 65 00:05:32,098 --> 00:05:34,100 ミロは? 66 00:05:34,100 --> 00:05:37,070 (蘭菜)屋上。 自家栽培のほうで手いっぱいだって。 67 00:05:37,070 --> 00:05:41,107 (布袋)あいつこそサボってんじゃねえか! まったく…。 68 00:05:41,107 --> 00:05:44,077 《厨房は戦場って 本当なんだなあ…》 69 00:05:44,077 --> 00:05:46,079 《質問できる雰囲気じゃない…》 70 00:05:48,081 --> 00:05:51,084 布袋 俺は岳の助手をやる。 店の準備を頼む。 71 00:05:51,084 --> 00:05:53,086 えっ…! 72 00:05:53,086 --> 00:05:57,090 食材の扱いは素人だもんな 岳は。 73 00:05:57,090 --> 00:05:59,092 海さん! 74 00:05:59,092 --> 00:06:03,063 アイデアに口出しはしないが それ以外のことは申しつけてくれ。 75 00:06:03,063 --> 00:06:05,065 食材の解説もする。 76 00:06:05,065 --> 00:06:10,170 お前の最大限の力が見たい。 当然さ! 77 00:06:10,170 --> 00:06:12,072 なら できそうです! 78 00:06:12,072 --> 00:06:15,075 赤松さんのアイデアを ぜひ 僕もやってみたい! 79 00:06:15,075 --> 00:06:17,077 海さん。 80 00:06:17,077 --> 00:06:19,079 切ろって言われたら切るし→ 81 00:06:19,079 --> 00:06:22,082 煮ろって言われたら 延々 グツグツ煮てやるよ。 82 00:06:22,082 --> 00:06:26,086 食材一つ一つのうま味成分値を 教えてくれますか? 83 00:06:26,086 --> 00:06:28,088 ここのホワイトボードに書いていこう。 84 00:06:28,088 --> 00:06:31,091 ぜ… 全部 覚えてるんですか? 85 00:06:31,091 --> 00:06:33,093 おおよその数値なら。 86 00:06:33,093 --> 00:06:39,099 今では ネットなどで気軽に見れるが 扱う食材の特性は把握しておきたくてね。 87 00:06:39,099 --> 00:06:41,067 すごい…。 88 00:06:41,067 --> 00:06:43,103 どうぞ。 89 00:06:43,103 --> 00:06:45,071 さっきの蘭菜の一品は→ 90 00:06:45,071 --> 00:06:49,075 豚肉の持つイノシン酸と 蟹の持つグルタミン酸→ 91 00:06:49,075 --> 00:06:54,080 これが相乗効果で跳ね上がり うま味のあふれた料理となった。 92 00:06:54,080 --> 00:06:59,085 数値が高い食材同士を組み合わせれば 蘭菜のアイデアを踏襲できる。 93 00:06:59,085 --> 00:07:01,054 あれ…? 94 00:07:03,089 --> 00:07:07,060 あの~… うま味成分って2種類しかないんですか? 95 00:07:10,063 --> 00:07:14,100 赤松さんは イノシン酸とグルタミン酸で 相乗効果をもたらし→ 96 00:07:14,100 --> 00:07:17,070 1+1=2以上の式を完成させました。 97 00:07:17,070 --> 00:07:21,074 でも 僕は これ以外のうま味も使いたいんです。 98 00:07:21,074 --> 00:07:24,077 1 イノシン酸。 2 グルタミン酸。 99 00:07:24,077 --> 00:07:26,079 3 3つ目のうま味成分。 100 00:07:26,079 --> 00:07:29,082 1+1+1=3以上。 101 00:07:29,082 --> 00:07:33,086 計算式で すでに赤松さんの一品を超えられる…。 102 00:07:33,086 --> 00:07:36,089 これが僕が試したい計算式です。 103 00:07:36,089 --> 00:07:39,159 (寧々)ここ 立ち入り禁止ですよ。 104 00:07:39,159 --> 00:07:42,162 お手洗いが見つからなくて。 (寧々)ご案内します。 105 00:07:42,162 --> 00:07:44,097 《素晴らしい 岳! 106 00:07:44,097 --> 00:07:47,100 うま味の種類は2つだけじゃない。 107 00:07:47,100 --> 00:07:50,103 他にも グアニル酸 コハク酸などがある。 108 00:07:50,103 --> 00:07:53,106 わざと書かなかったのさ お前を引っ掛けるためにね。 109 00:07:53,106 --> 00:07:55,108 引っ掛ける…? 110 00:07:55,108 --> 00:07:59,079 この数値だけ見て 食材を選んでいたら アウトだった。 111 00:07:59,079 --> 00:08:01,081 だって そうだろ? 112 00:08:01,081 --> 00:08:04,084 蘭菜のアイデアを そのまんまやるだけ。 113 00:08:04,084 --> 00:08:06,086 ご退場願うところだった。 114 00:08:08,088 --> 00:08:10,090 だが お前は 当たり前のように→ 115 00:08:10,090 --> 00:08:14,094 うま味成分は まだあり それを掛け合わせたいと。 116 00:08:14,094 --> 00:08:16,096 (岳の声)相乗効果のある うま味成分は→ 117 00:08:16,096 --> 00:08:20,100 イノシン酸とグルタミン酸だけと 海さんは限定してなかった。 118 00:08:20,100 --> 00:08:23,103 じゃあ 他にもあると思うのが普通です! 119 00:08:23,103 --> 00:08:27,073 料理とは 目に見えない うま味の数値を いかにして高くしていくか。 120 00:08:27,073 --> 00:08:30,110 赤松さんの料理が それを教えてくれました。 121 00:08:30,110 --> 00:08:32,078 目から鱗が落ちた気分です。 122 00:08:32,078 --> 00:08:35,081 数値というのなら お手のものです! 123 00:08:35,081 --> 00:08:37,050 あの~…。 124 00:08:41,121 --> 00:08:46,092 (蘭菜)さっきの余りに コハク酸を多く含む 牡蠣の出汁を注いでみた。 125 00:08:46,092 --> 00:08:49,162 うま味が3つ入ってるわ。 味見して。 126 00:08:49,162 --> 00:08:51,131 蘭菜~。 127 00:08:54,167 --> 00:08:56,069 えっ…! 128 00:08:56,069 --> 00:09:00,073 海の二重トラップに 引っ掛かる寸前だったわね。 129 00:09:00,073 --> 00:09:05,145 なんでも数値にすればいいって? 数学脳って そんな浅いものなの? 130 00:09:05,145 --> 00:09:09,082 《こ… この味… 豚肉と蟹の相乗効果はある。 131 00:09:09,082 --> 00:09:14,087 でも コハク酸の出汁… うま味は足されてるけど 全然跳ねてない…。 132 00:09:14,087 --> 00:09:18,091 相乗効果という点では 全く意味がない味だ。 これは…! 133 00:09:18,091 --> 00:09:21,061 あーあ なんで教えるかなあ~。 134 00:09:22,095 --> 00:09:26,066 うま味の相乗効果は 基本 2つまでなんだよ。 135 00:09:26,066 --> 00:09:28,067 うま味の種類は数多くあれど→ 136 00:09:28,067 --> 00:09:31,104 グルタミン酸と イノシン酸の間でしか→ 137 00:09:31,104 --> 00:09:33,072 相乗効果は起きない。 138 00:09:33,072 --> 00:09:36,076 これは 科学的に証明されてることなんだ。 139 00:09:36,076 --> 00:09:38,111 ただ一つの例外がグアニル酸だが→ 140 00:09:38,111 --> 00:09:41,081 それを多く含む食材は少なくてね。 141 00:09:41,081 --> 00:09:43,082 ここには ない。 142 00:09:43,082 --> 00:09:45,085 当てが外れたな 岳。 143 00:09:45,085 --> 00:09:49,088 数学脳ならではの発想は素晴らしかった。 144 00:09:49,088 --> 00:09:53,092 だが その式は成立しない。 145 00:09:53,092 --> 00:09:56,062 さて どうする? 時間ないぜ。 146 00:09:56,062 --> 00:10:03,069 (荒い息) 147 00:10:04,104 --> 00:10:06,072 あっ…! 148 00:10:09,109 --> 00:10:11,111 (神楽)…終わったわね。 149 00:10:11,111 --> 00:10:14,080 えっ? 料理のことは よくわからないけれど→ 150 00:10:14,080 --> 00:10:18,084 凡庸な数学脳が陥りやすい現象だわ。 151 00:10:18,084 --> 00:10:20,086 哀れな人…。 152 00:10:23,089 --> 00:10:25,091 甘鯛…。 153 00:10:25,091 --> 00:10:29,095 その年で知ってるのか? 高級食材なんだがね。 154 00:10:29,095 --> 00:10:31,097 やっぱり 高級なんですか…? 155 00:10:31,097 --> 00:10:33,099 ああ。 156 00:10:33,099 --> 00:10:36,102 ただ一度だけ 食べたことがあります。 157 00:10:36,102 --> 00:10:39,105 (北田 勲)あのヴェルス学園中等部に 主席合格とはな! 158 00:10:39,105 --> 00:10:41,107 (勲)今日は祝いだ!! 159 00:10:41,107 --> 00:10:43,109 きれいなピンク色…。 160 00:10:43,109 --> 00:10:46,079 ハハハハハ…! これは甘鯛! 161 00:10:46,079 --> 00:10:48,081 鯛? 鯛が甘いの? 162 00:10:52,085 --> 00:10:54,120 美味しい…! 163 00:10:54,120 --> 00:10:57,090 〈でも 実は 前の日に電話してるのを聞いてた〉 164 00:10:57,090 --> 00:11:02,095 (勲)明日が合格発表よ。 よくやったよ あいつは! 165 00:11:02,095 --> 00:11:05,098 受かるよ! 落ちてたって祝うぜ。 166 00:11:05,098 --> 00:11:09,102 だから 頼むよ。 あの魚で祝ってやりてえ。 167 00:11:09,102 --> 00:11:12,105 勉強 頑張るなんて 俺にはできなかったことだからよ。 168 00:11:12,105 --> 00:11:14,107 最高の息子だ! 169 00:11:14,107 --> 00:11:18,111 (岳の声)あの日の甘鯛は 特別美味しいものに思えました。 170 00:11:18,111 --> 00:11:22,182 身が つやつやして 名前のとおり甘みが強くて…。 171 00:11:22,182 --> 00:11:26,119 とても上品で 洗練された味だった。 172 00:11:26,119 --> 00:11:28,087 生涯 たった一度の…。 173 00:11:35,128 --> 00:11:37,096 あっ…! 174 00:11:37,096 --> 00:11:39,098 フッ… そうだな。 175 00:11:39,098 --> 00:11:43,069 俺は トラップも仕掛けたが 伝えるべきヒントも全て伝えてある。 176 00:11:43,069 --> 00:11:46,072 今 自分で言った まさにそれだ。 177 00:11:51,177 --> 00:11:54,080 甘鯛 干し貝柱 生ハムを選びます。 178 00:11:54,080 --> 00:11:56,082 (メモを切り離す音) 179 00:11:56,082 --> 00:11:59,052 レシピは これです。 やります! 180 00:12:01,087 --> 00:12:05,191 そろそろ副菜に取りかかってくださ~い。 181 00:12:05,191 --> 00:12:07,093 あ…。 182 00:12:07,093 --> 00:12:27,080 ♬~ 183 00:12:30,149 --> 00:12:32,118 うん…。 (皿を置く音) 184 00:12:35,088 --> 00:12:40,093 (寧々)甘鯛のポワレ 干し貝柱と生ハムのスープ仕立てです。 185 00:12:40,093 --> 00:12:43,096 (武蔵)甘鯛… まずは食べてみよう。 186 00:12:43,096 --> 00:12:45,064 ええ。 187 00:12:46,065 --> 00:12:51,170 ん…? スープの底に何か沈んでいるぞ。 188 00:12:51,170 --> 00:12:55,074 油が浮いているので見えなかった。 これは…? 189 00:12:55,074 --> 00:12:57,076 甘鯛とご一緒に。 190 00:12:57,076 --> 00:12:59,078 ん? うん…。 191 00:12:59,078 --> 00:13:01,047 (においを嗅ぐ音) 192 00:13:09,088 --> 00:13:11,057 (かむ音) 193 00:13:14,093 --> 00:13:17,096 お… おおおおおお~…! 194 00:13:17,096 --> 00:13:20,099 (神楽)す… すごい…! 何? これ…。 195 00:13:20,099 --> 00:13:22,101 ぬお… おおおおお…! 196 00:13:22,101 --> 00:13:26,105 これだ! あのナポリタンと同じ衝撃! 197 00:13:26,105 --> 00:13:28,107 甘鯛の身のやわらかさ…→ 198 00:13:28,107 --> 00:13:32,111 高級食材ならではの上品な食感と ほのかな塩味。 199 00:13:32,111 --> 00:13:36,082 甘鯛の特徴を 絶妙な味付けで際立たせている…! 200 00:13:36,082 --> 00:13:39,085 くう~っ! そこに この生ハムだ。 201 00:13:39,085 --> 00:13:42,121 こんなに甘鯛と合うのか…。 202 00:13:42,121 --> 00:13:45,124 芳醇な香りと脂が 豊かなうま味として 干し貝柱のスープに移り→ 203 00:13:45,124 --> 00:13:49,128 甘鯛のそれと口の中で合わさって 花開く…! 204 00:13:49,128 --> 00:13:54,100 甘鯛のイノシン酸と生ハムのグルタミン酸の 相乗効果です。 205 00:13:55,101 --> 00:14:00,106 食感と味付けに統一感を与えれば 舌の上で うま味が広がっていく。 206 00:14:00,106 --> 00:14:04,110 ここまでは 赤松蘭菜さんの一品から アイデアを得たものです。 207 00:14:04,110 --> 00:14:07,080 ああ… それだけでも十分美味しい。 208 00:14:07,080 --> 00:14:10,083 しかし! 真に驚くべきは ここからだ…! 209 00:14:10,083 --> 00:14:13,186 スープの底に隠れていたものの正体…! 210 00:14:13,186 --> 00:14:16,122 なんと… 白米だ! 211 00:14:16,122 --> 00:14:20,126 甘鯛と生ハムに統一感を… といっても なかなかできない。 212 00:14:20,126 --> 00:14:24,097 だが このスープ出汁の利いた白米! これだ! 213 00:14:24,097 --> 00:14:28,101 2つの食材の食感 味付けを 強烈に結びつけてる! 214 00:14:28,101 --> 00:14:31,070 な… 何か なじみがあるんだ。 215 00:14:31,070 --> 00:14:35,108 ナポリタンの時もあった 身近にある この感じ…! 216 00:14:35,108 --> 00:14:37,110 これは…。 217 00:14:37,110 --> 00:14:40,079 お茶漬けです。 218 00:14:40,079 --> 00:14:45,084 子供の頃から 父さんが作ってくれる食事には 必ずお茶漬けがありました。 219 00:14:45,084 --> 00:14:50,089 (岳の声)ここに来る話をした時も 僕らは お茶漬けを一緒に食べた。 220 00:14:50,089 --> 00:14:53,092 あの甘鯛を食べた日も…。 221 00:14:53,092 --> 00:14:56,062 シメは やっぱり これだな。 222 00:14:56,062 --> 00:14:58,064 あっ 僕も 僕も! 223 00:14:59,065 --> 00:15:04,070 どうして こんなに美味しいのか 子供の頃から ずっと不思議でした。 224 00:15:04,070 --> 00:15:07,073 でも もう 理屈じゃない あれは。 225 00:15:07,073 --> 00:15:13,079 父さんは どんなに仕事で疲れてても 僕一人で食事は絶対させなかった。 226 00:15:13,079 --> 00:15:17,083 父さんが作るお茶漬けは 僕の心に染みついた味なんです。 227 00:15:17,083 --> 00:15:19,085 仕事が忙しくて→ 228 00:15:19,085 --> 00:15:23,089 毎日 僕が飽きないメニューを作るのも 大変だったと思う。 229 00:15:23,089 --> 00:15:27,059 だから 無限に組み合わせられるお茶漬けが 多くなったのかも。 230 00:15:28,094 --> 00:15:31,063 そんな 大好きなお茶漬けです。 231 00:15:31,063 --> 00:15:34,100 (岳の声) 海さんは 全てのヒントを僕にくれてました。 232 00:15:34,100 --> 00:15:39,071 「美味しい」は主観的な言葉。 「うまい」は客観的な言葉。 233 00:15:39,071 --> 00:15:42,074 僕は 主観的という言葉を 無意識に切り離しました。 234 00:15:42,074 --> 00:15:45,077 そんな曖昧なものは無駄であると。 235 00:15:45,077 --> 00:15:50,082 数値化できる うま味こそ 唯一 信じられるものなのだと。 236 00:15:50,082 --> 00:15:53,085 主観は必要だわ。 237 00:15:53,085 --> 00:15:57,156 数式に挑む時… 理屈や常識ばかりにとらわれると→ 238 00:15:57,156 --> 00:16:00,092 凡庸な答えばかりにたどり着く。 239 00:16:00,092 --> 00:16:04,063 武蔵さん! 君なら わかってくれると思ってた! 240 00:16:04,063 --> 00:16:06,098 君の言うとおりだった。 241 00:16:06,098 --> 00:16:10,102 子供の頃は 自由に数学をしていた。 楽しかったからだ! 242 00:16:10,102 --> 00:16:13,072 「楽しい」なんて主観を いつしか僕は信じなくなった。 243 00:16:13,072 --> 00:16:15,107 僕は そこに気づいた! 244 00:16:15,107 --> 00:16:19,078 岳は 思い入れのあるお茶漬けにヒントを得た。 245 00:16:19,078 --> 00:16:22,081 数値に裏付けされた理論的アプローチ→ 246 00:16:22,081 --> 00:16:26,118 人間の主観に頼った感覚的な発想。 247 00:16:26,118 --> 00:16:31,090 このどちらをも理想的なバランスで 結合 昇華させた一品です! 248 00:16:31,090 --> 00:16:37,096 お茶漬けだといっても 全く安っぽくない。 高級料理店にもふさわしい。 249 00:16:37,096 --> 00:16:41,167 理論と感覚 どちらが正しいというわけではない。 250 00:16:41,167 --> 00:16:45,104 両方の偉大なバランスをもって 完成へと向かう…。 251 00:16:45,104 --> 00:16:49,075 ああ 確かに 数学と料理は似ている。 252 00:16:50,109 --> 00:16:52,078 はい。 253 00:16:52,078 --> 00:16:57,116 ただ 料理における主観とは 作り手じゃなく あくまで お客様の主観だぞ。 254 00:16:57,116 --> 00:16:59,085 そこを勘違いしては…。 255 00:16:59,085 --> 00:17:01,120 えっ? だったら 聞きますけど…→ 256 00:17:01,120 --> 00:17:04,090 お茶漬け嫌いな日本人なんて います? 257 00:17:04,090 --> 00:17:10,096 フッ… そのとおりだ! 日本人 誰しもが持ち合わせてる主観だ! 258 00:17:10,096 --> 00:17:12,098 北田くんの完全勝利だ! 259 00:17:14,100 --> 00:17:16,068 (武蔵)北田くんは やはり すごい! 260 00:17:17,103 --> 00:17:20,106 これ…。 え? あ… 武蔵さん 待って! 261 00:17:20,106 --> 00:17:22,074 テーブルに手帳 忘れてるよ! 262 00:17:25,111 --> 00:17:28,080 信じられないくらい美味しかった。 263 00:17:28,080 --> 00:17:32,118 そして どういった考えで料理を作ったか聞いて→ 264 00:17:32,118 --> 00:17:36,088 久しぶりに あなたの数式に感銘を受けました。 265 00:17:36,088 --> 00:17:39,091 ごちそうさまでした。 266 00:17:40,092 --> 00:17:45,097 神楽! わざわざ手帳を持ってきてくれたのに あんな態度…。 267 00:17:45,097 --> 00:17:49,068 もっと素直にだな…! まったく…。 268 00:17:51,103 --> 00:17:55,107 海さん 高校を出たら 僕を この店に置いてください。 269 00:17:55,107 --> 00:18:00,079 夢中で数学をやっていた頃 子供の時に置いてきてしまったもの。 270 00:18:00,079 --> 00:18:03,082 それを取り戻せてる自分がいるんです。 271 00:18:03,082 --> 00:18:07,086 僕は どこまでいけるのか… ワクワクする気持ちが止まらない! 272 00:18:07,086 --> 00:18:11,090 数学の道を歩ませることが父親の夢では? 273 00:18:11,090 --> 00:18:13,092 父さんは説得します! 274 00:18:13,092 --> 00:18:17,063 東大は 入ろうと思ったら いつでも入れるんです。 275 00:18:17,063 --> 00:18:19,065 でも この衝動は 今 ここにしか…! 276 00:18:19,065 --> 00:18:24,103 止められない!! 海さんの言う 真理の扉を開けたい…! 277 00:18:24,103 --> 00:18:26,072 そこに何があるのか 見たい…! 278 00:18:26,072 --> 00:18:30,176 この気持ちを 胸の高鳴りを… 信じたい! 279 00:18:30,176 --> 00:18:32,078 ついてこれるか? 280 00:18:32,078 --> 00:18:34,080 はい! 281 00:18:35,081 --> 00:18:41,087 岳 俺たちの挑むべきは 数学と同じ… 真理の世界だ。 282 00:18:41,087 --> 00:18:44,090 客を相手にするだけでは たどり着けない。 283 00:18:44,090 --> 00:18:50,062 そう 俺たちは 料理をもって神に挑む。 284 00:18:52,098 --> 00:18:55,067 (男子生徒) 東大合格者だけ前に座らせて表彰か…。 285 00:18:55,067 --> 00:18:57,069 (男子生徒)それはいいんだけど…。 286 00:18:58,070 --> 00:19:01,073 (女子生徒) ねえ 聞いた? あの北田岳って人のこと。 287 00:19:01,073 --> 00:19:04,076 うん 聞いた 聞いた。 288 00:19:04,076 --> 00:19:07,079 (男子生徒)合格したっきりで すぐ入学を辞退するんだとよ。 289 00:19:07,079 --> 00:19:09,081 (男子生徒)えっ!? 何? それ。 290 00:19:09,081 --> 00:19:13,085 せっかく合格したのに 東大蹴る人なんている!? 291 00:19:13,085 --> 00:19:15,087 (魚見亜由)北田…。 292 00:19:16,122 --> 00:19:22,128 (西門理事長)ヴェルス学園 最優秀卒業生。 北田岳くんを表彰します。 293 00:19:23,095 --> 00:19:28,100 (西門)どこまでも 私をコケにしおって…! どういうつもりだ…!? 294 00:19:28,100 --> 00:19:33,072 合格はしたので この学校の実績に加算できますよね。 295 00:19:33,072 --> 00:19:35,074 お世話になりました。 296 00:19:37,143 --> 00:19:39,145 》(亜由)北田ーっ!! 297 00:19:42,048 --> 00:19:45,051 料理人 目指すって 本当かよ!? うん。 298 00:19:45,051 --> 00:19:47,086 (亜由)むちゃくちゃだ お前…。 299 00:19:47,086 --> 00:19:49,088 うん。 300 00:19:49,088 --> 00:19:53,059 私も東京なんだ! スポーツ進学でさ。 301 00:19:53,059 --> 00:19:56,062 しんどい時 連絡してこい。 302 00:19:56,062 --> 00:19:58,064 話 聞いてやる。 なっ? 303 00:20:00,066 --> 00:20:02,068 ありがとう 魚見さん。 304 00:20:04,070 --> 00:20:06,072 (焼ける音) 305 00:20:11,077 --> 00:20:14,046 (煮える音) 306 00:20:14,046 --> 00:20:24,056 ♬~ 307 00:20:24,056 --> 00:20:27,059 なんてうまさだ こりゃあ…! 308 00:20:27,059 --> 00:20:29,061 ただのお茶漬けで こんな…! 309 00:20:29,061 --> 00:20:33,065 かつお出汁に加えて この香りはチーズか!? 310 00:20:33,065 --> 00:20:36,068 それだけじゃない。 なじみのある風味が…。 311 00:20:36,068 --> 00:20:38,070 トマトチーズ茶漬けだよ 父さん。 312 00:20:38,070 --> 00:20:40,072 トマト!? 313 00:20:40,072 --> 00:20:45,044 ナチュラルチーズとトマトを煮出した出汁に かつお出汁を合わせて注ぐだけ。 314 00:20:45,044 --> 00:20:47,046 かつお出汁のイノシン酸と→ 315 00:20:47,046 --> 00:20:51,050 トマト チーズのグルタミン酸の相乗効果が すごいんだ! 316 00:20:51,050 --> 00:20:54,053 普通のかつお出汁より さらにコクが出るでしょ。 317 00:20:54,053 --> 00:20:56,122 ほう~…! 318 00:20:56,122 --> 00:21:10,102 ♬~ 319 00:21:10,102 --> 00:21:12,071 (2人)ごちそうさまでした。 320 00:21:15,074 --> 00:21:17,076 やりてえことをやらせてやるのが親だ。 321 00:21:17,076 --> 00:21:20,079 ただ 頑張れとしか言えねえよ。 うん。 322 00:21:20,079 --> 00:21:22,081 だが 忘れねえでくれ。 323 00:21:22,081 --> 00:21:27,086 全く覚えのない世界に飛び込んで勝負するのは 本当に大変だ。 324 00:21:27,086 --> 00:21:30,055 想像より追い込まれることだって あるだろう。 325 00:21:30,055 --> 00:21:33,092 絶対 一人で抱え込むんじゃねえ。 326 00:21:33,092 --> 00:21:37,062 お前には ここっていう帰る場所があるんだからな! 327 00:21:37,062 --> 00:21:40,099 何より 俺を頼れ。 俺は親父だ。 328 00:21:40,099 --> 00:21:43,169 親父ってのは そういうもんなんだ! 329 00:21:43,169 --> 00:21:47,072 海って人に よろしく伝えておいてくれ。 330 00:21:47,072 --> 00:21:49,074 どうか頼むってよ! 331 00:21:49,074 --> 00:21:51,043 うん。 332 00:21:53,078 --> 00:21:57,082 《僕を東大に行かせることが 父さんの夢だった》 333 00:21:57,082 --> 00:22:02,087 《息子は東大に合格したと 父さんに言わせてあげたかった》 334 00:22:02,087 --> 00:22:06,091 《でも 気休めだ… ごめんよ 父さん》 335 00:22:07,092 --> 00:22:09,061 《今は ただ ごめん》 336 00:22:09,061 --> 00:22:13,098 《僕にしか見れないものを あの世界で見るために》 337 00:22:13,098 --> 00:22:17,069 《いつか きっと あなたにも それを見せられるように》 338 00:22:17,069 --> 00:22:19,071 《いつか…》 339 00:22:20,072 --> 00:22:28,080 ♬~