1 00:01:46,750 --> 00:01:50,130 昔むかし あるところに 2 00:01:50,130 --> 00:01:53,710 お爺さんとお婆さんが 住んでいました。 3 00:01:58,260 --> 00:02:00,680 ある日のこと。 4 00:02:00,680 --> 00:02:03,760 山に柴刈りに出かけた お爺さんが 5 00:02:03,760 --> 00:02:09,190 たくさんの柴を背負って 帰ってくると…。 6 00:02:09,190 --> 00:02:12,690 うわっ! あわ あわ あわ… あ~っ! 7 00:02:17,440 --> 00:02:19,780 穴じゃ。 8 00:02:19,780 --> 00:02:23,120 はて いつの間に…。 9 00:02:23,120 --> 00:02:26,120 そうじゃ。 こういう穴を ほうっておくと 10 00:02:26,120 --> 00:02:29,120 悪いものが住みつくというで。 11 00:02:29,120 --> 00:02:33,500 どれ 柴で塞いでしまおうか。 12 00:02:33,500 --> 00:02:36,800 ひと束ぐらいは 使わせてもらうべ。 13 00:02:38,920 --> 00:02:41,010 あら!? 14 00:02:41,010 --> 00:02:43,600 これは相当 深いぞ。 15 00:02:43,600 --> 00:02:46,850 しかたない。 もうひと束 使うか。 16 00:02:46,850 --> 00:02:49,350 よいしょっと。 17 00:02:52,100 --> 00:02:56,110 うん? まだ足らんか。 18 00:03:04,160 --> 00:03:07,450 やれやれ 全部 使ってしまった。 19 00:03:07,450 --> 00:03:10,460 とんだ骨折り損じゃ。 20 00:03:12,880 --> 00:03:15,500 なっ… なに!? 21 00:03:20,260 --> 00:03:22,970 うん? 22 00:03:22,970 --> 00:03:25,470 おや? 誰かおるのか? 23 00:03:25,470 --> 00:03:29,480 わっ… わっ… わ~っ!! 24 00:03:29,480 --> 00:03:33,100 あ~っ!! 25 00:03:36,730 --> 00:03:39,490 お前さんか。 26 00:03:39,490 --> 00:03:41,400 わ~っ! 27 00:03:41,400 --> 00:03:45,030 柴は よう燃えて助かった。 28 00:03:45,030 --> 00:03:48,120 えっ… いや それは その… その… その…。 29 00:03:51,040 --> 00:03:56,630 まずは 酒でも飲んで。 さあ 遠慮はいらんよ。 30 00:04:00,760 --> 00:04:03,470 プハーッ… うまい。 31 00:04:03,470 --> 00:04:05,470 あっ いけん! 32 00:04:05,470 --> 00:04:09,810 あ… あの… わしゃ 家で女房が待ってるで 33 00:04:09,810 --> 00:04:12,770 帰らしてもらいたいが。 34 00:04:12,770 --> 00:04:16,480 そうか。 では この子を連れて帰りなさい。 35 00:04:16,480 --> 00:04:18,480 えっ? 36 00:04:23,780 --> 00:04:27,280 この子の名は ひょうとくといってな。 37 00:04:27,280 --> 00:04:31,830 アンタの家で きっと役に立つじゃろう。 38 00:04:31,830 --> 00:04:37,420 こうして お爺さんは 男の子を家に連れて帰った。 39 00:04:39,460 --> 00:04:42,630 柴のお礼に こんな おかしな顔をした子供を 40 00:04:42,630 --> 00:04:46,260 もらったなんて話を 誰が信じるものかね。 41 00:04:50,470 --> 00:04:53,850 さて この ひょうとくだが 42 00:04:53,850 --> 00:04:57,770 家の役に立つどころか かまどのそばに寝転んで 43 00:04:57,770 --> 00:05:01,780 日がな一日 ヘソばかり いじっていた。 44 00:05:07,450 --> 00:05:10,780 フウ… おい ひょうとく。 45 00:05:10,780 --> 00:05:14,250 お前 なんで そんなに ヘソばっかり いじってるんだ? 46 00:05:16,250 --> 00:05:19,460 (ひょうとく)ヘソが かゆくて しようがないんだ。 47 00:05:19,460 --> 00:05:21,460 なあ 爺様。 48 00:05:21,460 --> 00:05:25,090 そのひしゃくで おらのヘソを叩いてみておくれよ。 49 00:05:25,090 --> 00:05:27,090 えっ? 50 00:05:27,090 --> 00:05:29,850 かゆいのが おさまるかもしれないからさ。 51 00:05:29,850 --> 00:05:31,850 どれ。 52 00:05:40,110 --> 00:05:43,780 うわっ! これは いったい…。 53 00:05:43,780 --> 00:05:46,740 おかげで ヘソのかゆいのが治まった。 54 00:05:46,740 --> 00:05:51,280 爺さま またかゆくなったら さっきみたいに叩いておくれ。 55 00:05:51,280 --> 00:05:54,120 あ… あぁ。 56 00:05:54,120 --> 00:05:56,120 小判じゃ! 小判! 57 00:06:01,250 --> 00:06:05,210 そして ひょうとくが ヘソがかゆいと言うたびに 58 00:06:05,210 --> 00:06:08,800 お爺さんは ひしゃくで へそを叩いた。 59 00:06:19,310 --> 00:06:22,440 こうして お爺さんと お婆さんの家は 60 00:06:22,440 --> 00:06:26,280 あっという間に大金持ちになった。 61 00:06:29,450 --> 00:06:34,740 さて お爺さんが 山へ 柴を刈りに出かけたある日のこと。 62 00:06:39,160 --> 00:06:42,790 《わしも あのヘソを 叩いてみたいぞ》 63 00:06:45,750 --> 00:06:48,760 おい ひょうとく。 ん? 64 00:06:48,760 --> 00:06:51,840 わしにも ヘソを叩かせろや。 65 00:06:51,840 --> 00:06:56,100 ひえ~っ! コラ 待たんかい ひょうとく! 66 00:06:56,100 --> 00:07:00,520 ヘソがかゆくないのに 叩かれるのはやだよ~。 67 00:07:00,520 --> 00:07:03,730 わしにも 小判を 出させろって言ってんだよ! 68 00:07:03,730 --> 00:07:06,820 やだったら やだよ~! 69 00:07:06,820 --> 00:07:10,400 おら もう こんな家はごめんだよ。 70 00:07:13,410 --> 00:07:16,160 はぁ…。 71 00:07:16,160 --> 00:07:19,790 なんの騒ぎだ? あっ! ひょうとく! 72 00:07:23,790 --> 00:07:27,210 あっ… あぁ…。 73 00:07:27,210 --> 00:07:29,210 ひょうとく…。 74 00:07:34,850 --> 00:07:38,970 (ひょうとく)爺さま おらは 火の国に帰っただけだ。 75 00:07:38,970 --> 00:07:43,770 なんにも悲しむことはねえ。 それより…。 76 00:07:49,150 --> 00:07:54,280 おらの顔とそっくりの面を彫って かまどの脇に掛けてくれろ。 77 00:07:54,280 --> 00:07:59,410 そうすれば 爺さまの家は ずっと栄えるで。 78 00:08:07,500 --> 00:08:11,130 お爺さんは ひょうとくの言うとおりに 79 00:08:11,130 --> 00:08:16,800 ひょうとくそっくりのお面を作り かまどの脇の柱に掛けた。 80 00:08:16,800 --> 00:08:21,480 それ以来 かまどの守り神の男の子 ひょうとくは 81 00:08:21,480 --> 00:08:28,770 火の男… 火男… ひょっとこ と 名前が変わっていったんだとさ。 82 00:08:42,030 --> 00:08:44,700 昔むかし あるところに 83 00:08:44,700 --> 00:08:48,990 貧しい暮らしのお爺さんと お婆さんがいました。 84 00:08:48,990 --> 00:08:52,000 ある日 お爺さんが 山へ柴刈りに行くと 85 00:08:52,000 --> 00:08:56,330 どこからか…。 はっけよい のこった のこった。 86 00:08:56,330 --> 00:09:04,680 のこった のこった のこった。 87 00:09:04,680 --> 00:09:08,350 そこでは 2匹のねずみが すもうをとっていました。 88 00:09:08,350 --> 00:09:11,220 のこった のこった のこった。 89 00:09:11,220 --> 00:09:13,310 これは おもしろい! 90 00:09:13,310 --> 00:09:16,650 お爺さんは 隠れて見物することにしました。 91 00:09:16,650 --> 00:09:19,320 のこった のこった のこった。 92 00:09:19,320 --> 00:09:22,150 1匹のねずみは痩せねずみでした。 93 00:09:22,150 --> 00:09:24,990 もう1匹は よく太っています。 94 00:09:24,990 --> 00:09:27,030 わぁ~っ! 95 00:09:27,030 --> 00:09:28,990 とりゃ! 96 00:09:28,990 --> 00:09:33,620 はっけよい… のこった のこった。 97 00:09:40,380 --> 00:09:42,800 何度やっても 太ったねずみが 98 00:09:42,800 --> 00:09:45,800 痩せたねずみを 投げ飛ばしてしまいます。 99 00:09:49,260 --> 00:09:51,350 ありゃりゃ…。 100 00:09:53,680 --> 00:09:55,890 《なんじゃな…》 101 00:09:55,890 --> 00:09:58,190 ありゃ うちのねずみじゃないか! 102 00:10:00,230 --> 00:10:02,230 あ… あ…。 103 00:10:04,190 --> 00:10:08,200 太った もう1匹は 長者様の屋敷のねずみです。 104 00:10:08,200 --> 00:10:10,240 てりゃ~! 105 00:10:10,240 --> 00:10:14,160 《かわいそうに…。 あの痩せた体では無理もない》 106 00:10:14,160 --> 00:10:20,170 家に帰ると お爺さんは その話を お婆さんにしました。 107 00:10:20,170 --> 00:10:25,220 どうにかして うちのねずみにも 勝たせたいものだ。 108 00:10:25,220 --> 00:10:29,430 それなら お餅を 食べさせてやりましょうか。 109 00:10:29,430 --> 00:10:32,430 おう そうじゃ! それは いい。 110 00:10:34,390 --> 00:10:37,440 大事なお米じゃが…。 111 00:10:37,440 --> 00:10:40,730 ええんじゃ ええんじゃ! 112 00:10:44,650 --> 00:10:47,490 おいしいお餅を つきましょう。 113 00:10:47,490 --> 00:10:51,070 ペッタンコ ペッタンコ。 114 00:10:51,070 --> 00:10:53,990 それ それ ペッタンコ。 115 00:10:53,990 --> 00:10:58,040 そ~っと ねずみの穴に入れてやりました。 116 00:10:58,040 --> 00:11:02,460 わずかな餅ですが ねずみには十分。 117 00:11:02,460 --> 00:11:07,050 あくる日 お爺さんが山へ行くと…。 118 00:11:07,050 --> 00:11:10,680 本日 結びの一番! 119 00:11:14,970 --> 00:11:20,350 東 長者山。 120 00:11:20,350 --> 00:11:24,980 太ったねずみのしこは なかなか 力が入っています。 121 00:11:24,980 --> 00:11:26,990 どすこい! 122 00:11:26,990 --> 00:11:33,030 西 痩せの里。 123 00:11:33,030 --> 00:11:38,330 土俵に立つ 痩せねずみも 堂々としています。 124 00:11:38,330 --> 00:11:40,330 おぉ~! 125 00:11:44,750 --> 00:11:47,670 どすこい! 126 00:11:47,670 --> 00:11:50,340 見合って 見合って。 127 00:11:50,340 --> 00:11:54,800 はっけよい のこった のこった! 128 00:11:54,800 --> 00:11:59,430 今日は あっさりとは投げ飛ばされません。 129 00:11:59,430 --> 00:12:03,440 もう ひとふんばり と いうところで…。 130 00:12:05,650 --> 00:12:07,780 もう いっちょ! 131 00:12:07,780 --> 00:12:10,780 はっけよい のこった! 132 00:12:15,240 --> 00:12:18,290 いけ いけ いけ! 133 00:12:18,290 --> 00:12:27,170 ~ 134 00:12:27,170 --> 00:12:29,710 クエッ! うわ~! 135 00:12:29,710 --> 00:12:32,180 やったぞ~! 136 00:12:32,180 --> 00:12:35,760 とうとう痩せねずみが勝ちました。 137 00:12:35,760 --> 00:12:38,060 お爺さんも大喜び。 138 00:12:43,310 --> 00:12:45,360 こりゃ 驚いた! 139 00:12:45,360 --> 00:12:49,440 お前 たった1日で なんで 強くなった? 140 00:12:49,440 --> 00:12:54,070 昨日な うちの爺さんが お餅を食わせてくれたのさ。 141 00:12:54,070 --> 00:12:56,070 そうか それでか。 142 00:12:56,070 --> 00:12:59,490 そうさ。 それで 力が出たってわけだ。 143 00:12:59,490 --> 00:13:05,040 どうだ? 俺にも餅 食わせてくれないか? 144 00:13:05,040 --> 00:13:07,000 なぁ! いいだろ? 145 00:13:07,000 --> 00:13:11,550 どうだろう? うちの爺さんは貧乏だからな。 146 00:13:11,550 --> 00:13:15,180 いいじゃないか。 頼むよ。 147 00:13:15,180 --> 00:13:18,510 そうか それじゃ 来るだけ来いよ。 148 00:13:18,510 --> 00:13:23,020 お爺さんは ねずみのやりとりが おかしくて たまりません。 149 00:13:23,020 --> 00:13:25,980 見つからないように その場を離れると 150 00:13:25,980 --> 00:13:29,570 急いで 家に帰りました。 151 00:13:29,570 --> 00:13:33,320 それじゃ ねずみたちを 喜ばせてあげましょう。 152 00:13:33,320 --> 00:13:37,700 お婆さんは その日も お餅をつきました。 153 00:13:37,700 --> 00:13:41,330 ペッタン ペッタン。 154 00:13:41,330 --> 00:13:46,370 それが終わると なにやら 針仕事を始めます。 155 00:13:46,370 --> 00:13:52,880 赤い布を使って 小さなまわしが 2つ 縫いあがりました。 156 00:13:52,880 --> 00:13:56,300 おぉ~! これは いい。 157 00:13:56,300 --> 00:13:58,760 お爺さんは お餅と一緒に 158 00:13:58,760 --> 00:14:04,060 赤いまわしも ねずみの穴に そ~っと入れました。 159 00:14:13,990 --> 00:14:16,700 うぅ…。 プハー。 160 00:14:16,700 --> 00:14:18,660 さて また次の日です。 161 00:14:18,660 --> 00:14:22,660 今日は お婆さんも一緒に 山にやってきました。 162 00:14:22,660 --> 00:14:34,380 ~ 163 00:14:34,380 --> 00:14:36,970 あらあら まぁ! 164 00:14:36,970 --> 00:14:41,430 痩せたねずみも 太ったねずみも 赤いまわしを締めています。 165 00:14:45,100 --> 00:14:47,190 どすこい! 166 00:14:47,190 --> 00:14:49,520 はっけよい のこった! 167 00:14:49,520 --> 00:14:52,440 お婆さんは 大喜び。 168 00:14:52,440 --> 00:14:54,730 それ! ハハハハ! 169 00:14:58,700 --> 00:15:00,660 (みんな)おっ! 170 00:15:00,660 --> 00:15:03,490 いやいや 見ごたえのあることあること。 171 00:15:03,490 --> 00:15:07,710 のこった のこった のこった! 172 00:15:07,710 --> 00:15:09,670 お爺さんと お婆さんは→ 173 00:15:09,670 --> 00:15:12,380 すっかり ねずみのすもうを楽しんで→ 174 00:15:12,380 --> 00:15:17,010 見つからないように その場を去りました。 175 00:15:17,010 --> 00:15:22,220 家に帰ってみると ねずみの穴に 何やら光るものがあります。 176 00:15:22,220 --> 00:15:25,600 それは 何枚かの小判でした。 177 00:15:25,600 --> 00:15:29,190 太ったねずみが お礼を置いていったのです。 178 00:15:29,190 --> 00:15:33,270 どすこ~い どすこい! 179 00:15:42,210 --> 00:15:46,250 昔むかし あるお寺に→ 180 00:15:46,250 --> 00:15:50,050 2人の小僧さんがいました。 181 00:15:50,050 --> 00:15:55,010 (2人)ジャンケンポイ! あいこでしょ!あいこでしょ! 182 00:15:55,010 --> 00:15:57,550 (いち)わぁ~ 勝った勝った! 183 00:15:57,550 --> 00:16:04,980 和尚さんは 2人の小僧さんを 「いち」「にい」と呼んでいた。 184 00:16:04,980 --> 00:16:09,690 (2人)ジャンケンポイ! あいこでしょ!あいこでしょ! 185 00:16:09,690 --> 00:16:12,650 この和尚さん 名前の付け方が ぞんざいなわりに→ 186 00:16:12,650 --> 00:16:16,200 口うるさいこと 口うるさいこと。 187 00:16:16,200 --> 00:16:20,200 いち にい 庭掃除をしておきなさい! 188 00:16:20,200 --> 00:16:22,870 は~い。 (にい)は~い。 189 00:16:22,870 --> 00:16:26,670 おい そこの竹っこ取ってくれ。 (にい)あいよ。 190 00:16:26,670 --> 00:16:30,380 と… 竹ぼうきを渡そうものなら。 191 00:16:30,380 --> 00:16:36,220 コラ! 竹っことは何だ! きちんと竹ぼうきと呼びなさい! 192 00:16:36,220 --> 00:16:38,220 は~い。 は~い。 193 00:16:38,220 --> 00:16:44,640 よいか! 物の名前というのはな その物の魂が宿っておるのだ! 194 00:16:44,640 --> 00:16:48,310 粗末に扱ってはいかん! 195 00:16:48,310 --> 00:16:52,360 夜になればなったで…。 196 00:16:52,360 --> 00:16:55,860 そ~らよっと! ほ~らよっと! 197 00:16:55,860 --> 00:16:57,950 あ~らよっと! 198 00:16:57,950 --> 00:17:00,830 コラ! いつまでも ダラダラ起きていてはいかん! 199 00:17:00,830 --> 00:17:04,080 修行の身じゃろ! はよう寝や! 200 00:17:04,080 --> 00:17:06,710 は~い。 は~い。 201 00:17:09,170 --> 00:17:11,210 和尚さんに言われて→ 202 00:17:11,210 --> 00:17:14,130 いちとにいは 早くから布団に入った。 203 00:17:14,130 --> 00:17:19,760 布団に入ったはいいが どうも腹が減って寝られない。 204 00:17:19,760 --> 00:17:21,760 すると どこからか…。 205 00:17:23,930 --> 00:17:31,730 ぷ~ぷ~ ぱたぱた。 ぷ~ぷ~ ぱたぱた。 206 00:17:33,980 --> 00:17:36,700 何の音じゃろう? 207 00:17:36,700 --> 00:17:39,320 なんともおかしな音じゃ。 208 00:17:39,320 --> 00:17:41,990 そこで いちとにいは→ 209 00:17:41,990 --> 00:17:45,120 何の物音なのか 見に行くことにした。 210 00:17:51,250 --> 00:17:54,340 和尚様の部屋からだ。 うん。 211 00:17:56,380 --> 00:17:58,880 障子の穴から覗いてみると…。 212 00:18:01,350 --> 00:18:05,350 なんとまぁ 和尚さんが 火鉢で餅を焼いているではないか。 213 00:18:09,190 --> 00:18:13,320 和尚さん 焼けた餅を ぷ~ぷ~と吹いて→ 214 00:18:13,320 --> 00:18:16,280 ぱたぱたと叩く。 215 00:18:16,280 --> 00:18:19,860 うわ~ 餅だ。 うまそうだな。 216 00:18:24,160 --> 00:18:26,700 食べた。 あ~。 217 00:18:26,700 --> 00:18:29,080 (2人)あ~ うわ~! 218 00:18:29,080 --> 00:18:31,210 う… うわ~っ! 219 00:18:31,210 --> 00:18:33,840 こ これ 何しに来た! 220 00:18:33,840 --> 00:18:39,510 和尚様の。 夜の修行はどのようなものか。 221 00:18:39,510 --> 00:18:41,930 学びたかったのでございます。 222 00:18:41,930 --> 00:18:45,850 そ そうか。 (2人)教えてください。 223 00:18:45,850 --> 00:18:51,230 う う~ん… おっ そうじゃ。 224 00:18:51,230 --> 00:18:54,690 わしは 今 護摩木を 焚いておるのじゃ。 225 00:18:54,690 --> 00:18:57,030 護摩木? そうじゃ。 226 00:18:57,030 --> 00:19:01,530 護摩木というのは仏様に お願いごとをするときに燃やす 227 00:19:01,530 --> 00:19:03,700 大切な木のことです。 228 00:19:03,700 --> 00:19:08,330 護摩木? 護摩木ですか? 229 00:19:08,330 --> 00:19:14,540 部屋に戻ったものの お餅のことが忘れられません。 230 00:19:14,540 --> 00:19:17,920 あの餅うまそうだったな。 231 00:19:17,920 --> 00:19:20,840 ああ 食べたかったな。 232 00:19:20,840 --> 00:19:24,140 そうだ いい考えがある。 233 00:19:29,520 --> 00:19:32,100 さて あくる日のこと。 234 00:19:35,150 --> 00:19:37,520 和尚様お願いがございます。 235 00:19:37,520 --> 00:19:40,070 何じゃ。 名前には 236 00:19:40,070 --> 00:19:43,530 そのものの魂が宿ると 和尚様はおっしゃいました。 237 00:19:43,530 --> 00:19:45,490 さようじゃ。 238 00:19:45,490 --> 00:19:48,910 そこで 私も 名前を変えとう存じます。 239 00:19:48,910 --> 00:19:51,160 何と変える? 240 00:19:51,160 --> 00:19:53,670 はい。 天竺の言葉では 241 00:19:53,670 --> 00:19:56,880 供養のことを ぷ~じゃ というそうです。 242 00:19:56,880 --> 00:20:00,840 修行の身にとって 最も大切なものは供養。 243 00:20:00,840 --> 00:20:04,050 そこで ぷ~ぷ~と 変えとうございます。 244 00:20:04,050 --> 00:20:07,930 うむ よい心がけじゃ よかろう。 245 00:20:07,930 --> 00:20:10,180 ありがとうございます。 246 00:20:10,180 --> 00:20:13,850 では いちは これより ぷ~ぷ~でございます。 247 00:20:13,850 --> 00:20:18,860 和尚様 私は名前を ぱたぱたと変えとう存じます。 248 00:20:18,860 --> 00:20:21,820 ぱたぱた? はい。 249 00:20:21,820 --> 00:20:25,530 天竺の言葉では写経をする 大きな葉っぱのことを 250 00:20:25,530 --> 00:20:27,830 ぱっとら というそうです。 251 00:20:27,830 --> 00:20:30,830 我が身に経を写す気持で 252 00:20:30,830 --> 00:20:33,250 ぱたぱたでございます。 253 00:20:33,250 --> 00:20:36,960 うむ それもよい心がけじゃ。 よかろう。 254 00:20:36,960 --> 00:20:39,210 ありがとうございます。 255 00:20:39,210 --> 00:20:42,170 にいは ぱたぱたでございます。 256 00:20:42,170 --> 00:20:46,890 というわけで いちはぷ~ぷ~。 にいは ぱたぱたと名前を変えた。 257 00:20:46,890 --> 00:20:49,470 (2人)ウヒヒヒヒッ。 258 00:20:49,470 --> 00:20:52,850 そしてその晩のこと。 259 00:20:52,850 --> 00:20:57,190 コラッ! いつまでも ダラダラ起きていてはいかん。 260 00:20:57,190 --> 00:21:00,190 修行の身じゃろう 早う寝や! 261 00:21:00,190 --> 00:21:02,190 (2人)はい! 262 00:21:02,190 --> 00:21:05,030 と 小僧さんを寝かせてしまうと 263 00:21:05,030 --> 00:21:08,530 いつものように 火鉢で餅を焼き始めた。 264 00:21:10,870 --> 00:21:15,910 ウフフフッ。 265 00:21:15,910 --> 00:21:19,500 ウフフッ 焼け始めたぞ。 266 00:21:21,920 --> 00:21:23,920 お~ 焼けた焼けた。 267 00:21:32,180 --> 00:21:34,140 (2人)は~い! 268 00:21:34,140 --> 00:21:36,850 あ… お お前たち何しに来た! 269 00:21:36,850 --> 00:21:41,190 和尚様が ぷ~ぷ~とお呼びに なったので やって来ました。 270 00:21:41,190 --> 00:21:45,280 ぱたぱたと お呼びになったので やって来ました。 271 00:21:48,820 --> 00:21:51,200 (2人)何のご用でしょう? 272 00:21:51,200 --> 00:21:55,500 これには和尚さんも すっかりまいってしまった。 273 00:21:55,500 --> 00:21:59,750 しようがない お前たちも食え。 274 00:21:59,750 --> 00:22:01,750 (2人)は~い! 275 00:22:05,550 --> 00:22:10,720 和尚様 護摩木とは おいしいものでございますね。 276 00:22:10,720 --> 00:22:14,310 もうよい 餅と呼べ 餅と。 277 00:22:21,060 --> 00:22:24,150 それからというもの 和尚さんは 278 00:22:24,150 --> 00:22:28,280 ぷ~ぷ~とぱたぱたに ちゃんと名前をつけて 279 00:22:28,280 --> 00:22:33,280 一人前に扱うように なったということです。