1 00:01:44,270 --> 00:01:48,730 昔むかし 高天原の神々の一族に 2 00:01:48,730 --> 00:01:55,030 火遠理命と火照命という 兄弟がおりました。 3 00:02:01,960 --> 00:02:05,280 弟の火遠理命は山に入っては 4 00:02:05,280 --> 00:02:09,950 弓矢を使い 鳥や獣を仕留める 狩りが得意だったので 5 00:02:09,950 --> 00:02:13,300 山幸彦と呼ばれておりました。 6 00:02:13,300 --> 00:02:16,960 兄の火照命は釣りが得意で 7 00:02:16,960 --> 00:02:20,630 自慢の釣り針で何匹もの魚を 釣り上げていたので 8 00:02:20,630 --> 00:02:24,230 海幸彦と呼ばれておりました。 9 00:02:32,790 --> 00:02:35,960 (山幸彦)兄さん 今日1日 道具を取り替えてみないか。 10 00:02:35,960 --> 00:02:40,360 山幸彦は急に海の釣りが してみたくなりました。 11 00:02:40,360 --> 00:02:42,280 (海幸彦)いいだろう。 12 00:02:42,280 --> 00:02:45,680 山幸彦は 弓と矢を兄に渡し 13 00:02:45,680 --> 00:02:48,970 海幸彦は釣り具を弟に渡しました。 14 00:02:48,970 --> 00:02:53,270 山幸彦は兄の釣り具を持って 海に出ました。 15 00:02:58,280 --> 00:03:01,300 《やれやれ 1匹も釣れぬのか》 16 00:03:01,300 --> 00:03:04,300 きた! 17 00:03:04,300 --> 00:03:06,600 どうやら 大物です。 18 00:03:09,290 --> 00:03:13,610 ところが 大きな魚に釣り針を 取られてしまったのです。 19 00:03:13,610 --> 00:03:17,630 しまった。 20 00:03:17,630 --> 00:03:22,630 釣り針をなくした山幸彦は しょんぼりと家に帰りました。 21 00:03:26,290 --> 00:03:31,610 山では 鳥も獣も何にもとれんので 早々に帰ってきたよ。 22 00:03:31,610 --> 00:03:33,980 俺の釣り具を返してくれ。 23 00:03:33,980 --> 00:03:36,290 それが…。 24 00:03:36,290 --> 00:03:40,290 山幸彦は 釣り針をなくして しまったことを打ち明けました。 25 00:03:40,290 --> 00:03:42,840 な 何ということをしてくれた。 26 00:03:42,840 --> 00:03:45,640 俺の 俺の大切な釣り針を! 27 00:03:45,640 --> 00:03:47,640 すまない 兄さん。 28 00:03:50,520 --> 00:03:52,550 しかたがない。 29 00:03:52,550 --> 00:03:55,270 山幸彦は 大切にしていた 剣を潰して 30 00:03:55,270 --> 00:03:57,940 いくつもの釣り針を作りました。 31 00:03:57,940 --> 00:04:01,940 兄さん これで 勘弁してくれないか。 32 00:04:01,940 --> 00:04:04,610 いいや 俺には あの釣り針がいるのだ! 33 00:04:04,610 --> 00:04:07,980 あの釣り針でなければ 許すわけにはいかん! 34 00:04:07,980 --> 00:04:13,290 しかし 大海原から 小さな釣り針を見つけることは 35 00:04:13,290 --> 00:04:15,670 どうにもできそうにありません。 36 00:04:15,670 --> 00:04:19,610 お悩みかな。 37 00:04:19,610 --> 00:04:23,620 声に振り向くと 1人の老人が立っていました。 38 00:04:23,620 --> 00:04:27,320 では わしの言うとおりにするがよい。 39 00:04:27,320 --> 00:04:29,320 ここで 待っておれ。 40 00:04:33,340 --> 00:04:35,630 しばらくすると…。 41 00:04:35,630 --> 00:04:37,800 この船で海に出よ。 42 00:04:37,800 --> 00:04:40,930 潮に任せておれば やがて波がわかれ 43 00:04:40,930 --> 00:04:43,950 船は その間を進んでいくであろう。 44 00:04:43,950 --> 00:04:48,390 すると 魚のウロコのような 屋根の御殿が見えてくる。 45 00:04:48,390 --> 00:04:50,280 門の脇に井戸がある。 46 00:04:50,280 --> 00:04:53,660 井戸の横の木に登って 待っていればよい。 47 00:04:53,660 --> 00:04:56,300 それから どうすればよいのでしょう。 48 00:04:56,300 --> 00:04:58,820 そこで 言われたとおりにすればよい。 49 00:04:58,820 --> 00:05:01,320 さぁ。 50 00:05:10,300 --> 00:05:14,970 やがて 魚のウロコのような 屋根の御殿が見えてきました。 51 00:05:14,970 --> 00:05:18,390 山幸彦は 井戸の横の木に登りました。 52 00:05:18,390 --> 00:05:23,960 しばらくすると 玉の器を持った 若い娘が井戸にやってきました。 53 00:05:23,960 --> 00:05:29,050 若い娘は 御殿の主 海の神の姫でした。 54 00:05:29,050 --> 00:05:32,620 ハッ どなたですの? 55 00:05:32,620 --> 00:05:36,310 そのとき 山幸彦は 首のマガタマのひとつを 56 00:05:36,310 --> 00:05:38,310 井戸に落としてしまいました。 57 00:05:41,630 --> 00:05:45,300 それは 高天原の 神様の一族に違いない。 58 00:05:45,300 --> 00:05:47,300 下に置くわけにはいかぬ。 59 00:05:49,270 --> 00:05:52,720 山幸彦は 客人として 部屋の上座に据えられ 60 00:05:52,720 --> 00:05:55,670 ご馳走を振る舞われました。 61 00:05:55,670 --> 00:05:58,610 姫も 山幸彦が気に入りました。 62 00:05:58,610 --> 00:06:02,630 そうして 何日かが過ぎていきました。 63 00:06:02,630 --> 00:06:07,340 山幸彦は 兄の釣り針のことが 気になって しかたありません。 64 00:06:07,340 --> 00:06:11,440 海の神は 山幸彦に わけを聞きました。 65 00:06:13,630 --> 00:06:15,980 誰か この中で 66 00:06:15,980 --> 00:06:19,030 釣り針のありかを 知る者はないか? 67 00:06:19,030 --> 00:06:21,680 もしや これでしょうか? 68 00:06:21,680 --> 00:06:23,950 前に出たのは タイでした。 69 00:06:23,950 --> 00:06:27,340 なるほど その口に 釣り針が引っかかっています。 70 00:06:27,340 --> 00:06:29,360 これか? 71 00:06:29,360 --> 00:06:32,290 はい。 まさしく 兄の釣り針でございます。 72 00:06:32,290 --> 00:06:36,280 よかったな。 かたじけのうございます。 73 00:06:36,280 --> 00:06:39,300 山幸彦は 早速 釣り針を返しに 74 00:06:39,300 --> 00:06:42,290 兄のもとに帰ることにしました。 75 00:06:42,290 --> 00:06:45,960 この しおみつ玉と しおひる玉も お持ちください。 76 00:06:45,960 --> 00:06:49,390 きっと お役に立ちましょう。 77 00:06:49,390 --> 00:06:53,990 そして ワニザメの背に乗って 御殿を去っていきました。 78 00:06:57,300 --> 00:07:00,670 ほら 兄さん。 やっと釣り針が返ってきたよ。 79 00:07:00,670 --> 00:07:02,720 なに!? 80 00:07:02,720 --> 00:07:06,020 《取り返すことなど できないと思っていたのに…》 81 00:07:07,960 --> 00:07:12,670 ある日 海幸彦は 山の高いところに田んぼを作り 82 00:07:12,670 --> 00:07:17,060 山幸彦は 兄よりも低いところに 田んぼを作りました。 83 00:07:17,060 --> 00:07:19,940 山幸彦の田んぼには よく水が入り 84 00:07:19,940 --> 00:07:22,610 豊かに稲が実りますが 85 00:07:22,610 --> 00:07:27,000 海幸彦の田んぼには 水が入らず 稲が まったく実りません。 86 00:07:27,000 --> 00:07:29,550 なぜ 弟ばかり…。 87 00:07:29,550 --> 00:07:32,450 今日から こっちに稲を植える! ここは 俺のものだ! 88 00:07:32,450 --> 00:07:34,790 これも! これも! 89 00:07:34,790 --> 00:07:37,380 兄さん やめてくれ! 90 00:07:37,380 --> 00:07:39,980 え~い うるさい!! 言うことを聞け! 91 00:07:43,630 --> 00:07:47,790 この上は… 水よ 出ろ!! 92 00:07:47,790 --> 00:07:51,310 しおみつ玉から 水が噴き出しました。 93 00:07:51,310 --> 00:07:53,910 な… なんだ? これは…。 94 00:07:55,960 --> 00:07:58,630 た… 助けてくれ! 95 00:07:58,630 --> 00:08:01,280 今度は しおひる玉を取り出し…。 96 00:08:01,280 --> 00:08:03,950 水よ 引け! 97 00:08:03,950 --> 00:08:07,060 すると たちまち水が引き 98 00:08:07,060 --> 00:08:10,360 そこには 呆然とした兄がいました。 99 00:08:12,630 --> 00:08:16,620 これは驚いた。 弟とはいえ大したものだ。 100 00:08:16,620 --> 00:08:20,620 山幸彦よ どうか この海幸彦を許してくれ…。 101 00:08:20,620 --> 00:08:23,270 いいえ 兄さん。 102 00:08:23,270 --> 00:08:26,960 これからは 2人で 力を合わせていきましょう。 103 00:08:26,960 --> 00:08:31,380 それからというもの 海幸彦と山幸彦は 104 00:08:31,380 --> 00:08:35,380 仲よく力を合わせて暮らした ということです。 105 00:08:44,300 --> 00:08:49,300 昔むかし 旅の商人が 故郷へと急いでいました。 106 00:08:49,300 --> 00:08:51,960 家に残してきた嫁さんに 107 00:08:51,960 --> 00:08:55,610 もうじき 子供が生まれる頃だったのです。 108 00:08:55,610 --> 00:08:59,650 男は 朝から晩まで 歩き続けました。 109 00:08:59,650 --> 00:09:03,950 この山を越えれば 故郷の町は もうすぐでした。 110 00:09:07,460 --> 00:09:10,460 辺りは真っ暗闇になり 111 00:09:10,460 --> 00:09:13,460 一寸先も 見えなくなってしまいました。 112 00:09:17,470 --> 00:09:21,370 もう後にも先にも行けんな。 113 00:09:21,370 --> 00:09:25,970 山の神様 今晩 ひと晩 寝るところを貸してくだされ。 114 00:09:36,640 --> 00:09:39,620 男は 暗闇の中から 聞こえてくる声に 115 00:09:39,620 --> 00:09:42,140 目を覚ましました。 116 00:09:42,140 --> 00:09:45,130 山の神さんよ さっき ふもとの町で 117 00:09:45,130 --> 00:09:49,460 男の子が生まれたんで わしゃ 産声を聞いてきた。 118 00:09:49,460 --> 00:09:54,370 水の神さんよ 赤ん坊は なんと言って 泣いておった? 119 00:09:54,370 --> 00:10:00,130 男の子は 12歳になる日 雨の中で 河童に連れていかれると 120 00:10:00,130 --> 00:10:03,530 泣いておった。 かわいそうにのう…。 121 00:10:03,530 --> 00:10:08,300 男は 八百万の神様が 赤ん坊の産声で 122 00:10:08,300 --> 00:10:11,790 その一生のできごとを 知ることができるという話を 123 00:10:11,790 --> 00:10:13,820 思い出しました。 124 00:10:13,820 --> 00:10:15,820 も… もしや…。 125 00:10:21,950 --> 00:10:24,620 男がやっと家に着くと 126 00:10:24,620 --> 00:10:28,120 我が子は その日の明け方に 生まれたとわかりました。 127 00:10:28,120 --> 00:10:31,070 男の子か? 女の子か? 128 00:10:31,070 --> 00:10:36,070 男の子じゃった。 よかったのう よかったのう。 129 00:10:38,950 --> 00:10:42,130 山の神さんよ さっき ふもとの町で 130 00:10:42,130 --> 00:10:46,550 男の子が生まれたんで わしゃ 産声を聞いてきた。 131 00:10:46,550 --> 00:10:52,140 男の子は 12歳になる日 雨の中で 河童に連れていかれると 132 00:10:52,140 --> 00:10:54,160 泣いておった 133 00:10:54,160 --> 00:10:58,330 《夢じゃなかった。 あれは この子のことだったか》 134 00:10:58,330 --> 00:11:01,300 男は 嫁さんに そのことを話すと…。 135 00:11:01,300 --> 00:11:04,620 あんた 夢でも 見てたんじゃないのかい? 136 00:11:04,620 --> 00:11:07,530 夢じゃない。 あれは この子のことじゃ。 137 00:11:07,530 --> 00:11:11,460 男は せがれの行く末を心配しました。 138 00:11:11,460 --> 00:11:13,600 家の近くの川では 139 00:11:13,600 --> 00:11:18,270 河童が人を引き込むという話も あったからです。 140 00:11:18,270 --> 00:11:23,790 せがれは 大きな病気もせず 育っていきました。 141 00:11:23,790 --> 00:11:27,280 けれど 水の神様の言葉を忘れることは 142 00:11:27,280 --> 00:11:29,630 片ときもありませんでした。 143 00:11:29,630 --> 00:11:34,230 そして 決して せがれを 川で遊ばせませんでした。 144 00:11:36,270 --> 00:11:40,480 明日は せがれが 12歳になるという日のこと。 145 00:11:40,480 --> 00:11:44,660 おっ父 おっ母 明日 川で釣りがしてえ。 146 00:11:44,660 --> 00:11:47,570 せがれは これまで 親の言うことに 147 00:11:47,570 --> 00:11:50,950 逆らうことはありませんでしたが このときばかりは 148 00:11:50,950 --> 00:11:54,390 川で釣りをすると言って ききませんでした。 149 00:11:54,390 --> 00:12:00,390 男と嫁さんが 山で聞いた言葉は 本当のことだと悟りました。 150 00:12:03,130 --> 00:12:08,640 《水の神様 どうか 子供を 連れていかないでください》 151 00:12:08,640 --> 00:12:11,640 《何か いいお知恵を お授けください》 152 00:12:14,380 --> 00:12:16,380 その夜のこと。 153 00:12:20,370 --> 00:12:23,030 せがれは釣りに行かせなさい。 154 00:12:23,030 --> 00:12:27,630 けれど忘れずに だんごをたくさん 持たせてやりなさい。 155 00:12:30,060 --> 00:12:33,800 2人は 同じ夢を見たことを知り 驚きました。 156 00:12:33,800 --> 00:12:37,020 そして せがれには だんごをたくさん持たせ 157 00:12:37,020 --> 00:12:39,520 釣りに行かせることにしました。 158 00:12:42,390 --> 00:12:46,270 せがれは 初めて 川で遊ぶのを許され 159 00:12:46,270 --> 00:12:50,680 おまけに 好物のだんごまで 持たされ 上機嫌でした。 160 00:12:50,680 --> 00:13:08,010 ~ 161 00:13:08,010 --> 00:13:10,060 雨が降ってきたので 162 00:13:10,060 --> 00:13:13,160 しかたなく 橋の下で ひと休みすることにしました。 163 00:13:15,170 --> 00:13:17,810 どうも やみそうにないな。 164 00:13:17,810 --> 00:13:20,310 そうだ だんごでも食うか。 165 00:13:32,790 --> 00:13:35,820 おい お前 いいもの持ってるな。 166 00:13:35,820 --> 00:13:38,320 おいらにも 少しよこせ。 167 00:13:45,900 --> 00:13:48,800 こりゃ うまい。 あの…。 なんだ? 168 00:13:48,800 --> 00:13:53,310 河童というのは 水に引き込まれた 子供がなるもんだと聞いたが 169 00:13:53,310 --> 00:13:55,310 ホントかい? 170 00:13:55,310 --> 00:13:59,460 ヘッヘッヘ… お前も じき 俺たちの仲間になるんだ。 171 00:13:59,460 --> 00:14:01,500 えっ!? おらが? 172 00:14:01,500 --> 00:14:04,120 心配すんな。 人の子だったことなんか 173 00:14:04,120 --> 00:14:07,610 じきに忘れちまうさ。 174 00:14:07,610 --> 00:14:10,280 さて 仕事にかかるか。 175 00:14:10,280 --> 00:14:12,810 こっちも食うかい? 176 00:14:12,810 --> 00:14:15,610 お前 なかなか 気が利くじゃねえか。 177 00:14:18,750 --> 00:14:21,290 うまい うまいな。 178 00:14:21,290 --> 00:14:26,140 けんど このだんご ずっと昔に食った気がする。 179 00:14:26,140 --> 00:14:30,940 そんときは おいらも 人の子だったのかもしれねえな。 180 00:14:32,950 --> 00:14:35,350 うまい うまいな~ 181 00:14:35,350 --> 00:14:49,300 ~ 182 00:14:49,300 --> 00:14:54,800 今日は お前を連れにきたのに とても そんな気分になれねえや。 183 00:14:59,320 --> 00:15:02,420 うまいだんごじゃった。 あばよ! 184 00:15:09,000 --> 00:15:12,050 家に帰るとせがれは 河童に 185 00:15:12,050 --> 00:15:14,960 引き込まれそうになった話を しました。 186 00:15:14,960 --> 00:15:17,830 そのとき 両親は 水の神様が 187 00:15:17,830 --> 00:15:24,950 だんごをたくさん持たせろと おっしゃった意味がわかりました。 188 00:15:24,950 --> 00:15:29,050 せがれは そののちも丈夫に育ち 189 00:15:29,050 --> 00:15:33,350 たくさん 親孝行したということです。 190 00:15:44,280 --> 00:15:47,360 もうすぐ 三途の川です。 191 00:15:47,360 --> 00:15:52,360 ここで 神主さんと軽業師と 医者が出会いました。 192 00:15:55,440 --> 00:15:59,770 ここは この世と あの世の境目の川です。 193 00:15:59,770 --> 00:16:02,310 この川を渡った亡者は 194 00:16:02,310 --> 00:16:05,810 閻魔さまのお裁きを 受けることになっていました。 195 00:16:09,280 --> 00:16:12,640 これ そこの者。 196 00:16:12,640 --> 00:16:17,630 お前たちが生きてる間に どれだけ悪いことをしてきたか 197 00:16:17,630 --> 00:16:19,630 正直に 白状するがよい。 198 00:16:19,630 --> 00:16:24,220 へ… へい それが とんと 思い当たるふしがねえんで。 199 00:16:24,220 --> 00:16:28,790 わしとて 一生をかけて 患者の命を救ってきたのに…。 200 00:16:28,790 --> 00:16:31,840 私は 神様に おつかえする身じゃ。 201 00:16:31,840 --> 00:16:35,790 天地神明に誓って とがめだてされる覚えはない。 202 00:16:35,790 --> 00:16:40,470 間違いないか? ウソを申せば ただちに地獄行きだぞ。 203 00:16:40,470 --> 00:16:45,790 地獄というのは 生きている間に 悪いことをした人たちが 204 00:16:45,790 --> 00:16:48,340 送られる所です。 205 00:16:48,340 --> 00:16:51,940 ウソをついても お前たちの犯した罪は 206 00:16:51,940 --> 00:16:54,960 これ このとおり みんな 閻魔帳に書いて…。 207 00:16:54,960 --> 00:16:56,960 ない!? 208 00:16:56,960 --> 00:17:00,940 閻魔帳には 3人のことは 書いてありませんでした。 209 00:17:00,940 --> 00:17:03,670 あれ!? おかしいな? 210 00:17:03,670 --> 00:17:07,630 つまり 我らが ここに来たのは 間違いということじゃな。 211 00:17:07,630 --> 00:17:09,630 え… ま…。 212 00:17:09,630 --> 00:17:11,630 つまり その…。 213 00:17:11,630 --> 00:17:13,700 恐れることはない。 214 00:17:13,700 --> 00:17:16,620 我らは 何も 地獄に落ちるようなことは 215 00:17:16,620 --> 00:17:20,120 していないのだから。 う~ん! 216 00:17:20,120 --> 00:17:23,620 閻魔殿も 早いとこ 自分の過ちを詫びて 217 00:17:23,620 --> 00:17:26,940 即刻 我らを 極楽に送りなされ。 218 00:17:26,940 --> 00:17:29,960 な な… なに!? 219 00:17:29,960 --> 00:17:34,670 お前たち みんな 地獄で釜ゆでの刑じゃ! 220 00:17:34,670 --> 00:17:37,540 閻魔さまは カンカン! 221 00:17:37,540 --> 00:17:40,460 トホホホホ…。 222 00:17:40,460 --> 00:17:44,460 あぁ… 結局 俺たちは釜ゆでになるのか。 223 00:17:44,460 --> 00:17:48,450 閻魔大王といっても ムチャを言うのだな。 224 00:17:48,450 --> 00:17:52,550 やましいことがないのだから 心配せんでいい。 225 00:17:52,550 --> 00:17:55,050 早く入れ! 226 00:17:56,960 --> 00:18:06,500 天地の神様 煮え湯を いい湯加減にしてたもれ。 227 00:18:06,500 --> 00:18:09,540 神主さんがお祈りをすると 228 00:18:09,540 --> 00:18:13,620 煮えたぎった湯が たちまち いい湯加減になりました。 229 00:18:13,620 --> 00:18:16,710 さぁ ひと風呂 あびるとするか。 230 00:18:16,710 --> 00:18:18,730 あっ! 231 00:18:18,730 --> 00:18:22,680 ああ いい湯加減じゃな。 232 00:18:22,680 --> 00:18:24,620 よっと! 233 00:18:24,620 --> 00:18:27,560 くぅ~ 生意気な! 234 00:18:27,560 --> 00:18:30,160 釜ゆでが ダメなら針の山だ! 235 00:18:35,280 --> 00:18:39,680 山 越える前に 穴だらけになりそうだ。 236 00:18:39,680 --> 00:18:42,470 ここは 俺がなんとか! 237 00:18:42,470 --> 00:18:46,440 軽業師は 神主と医者を肩にのせ…。 238 00:18:46,440 --> 00:18:49,510 ほい ほい! ほい ほい! 239 00:18:49,510 --> 00:18:53,280 あ ほい! あ ほい! ほい ほい! 240 00:18:53,280 --> 00:18:56,630 ほ~! 241 00:18:56,630 --> 00:18:59,770 あらよっと! 10点! 242 00:18:59,770 --> 00:19:05,310 コラ! もっと真面目にやれ! 243 00:19:05,310 --> 00:19:09,110 お前らみたいなもんは こうしてやる~! 244 00:19:13,450 --> 00:19:16,520 ん? あ! 245 00:19:16,520 --> 00:19:20,120 (3人)あぁ~! 246 00:19:24,300 --> 00:19:26,300 うん。 247 00:19:26,300 --> 00:19:31,970 あぁ~ 落ちる! 落ちる~! 248 00:19:31,970 --> 00:19:36,570 (3人)あぁ~ あややや! 249 00:19:38,810 --> 00:19:42,410 ここは どこじゃ? あっ あっ? あっ? 250 00:19:46,950 --> 00:19:49,620 我らは 今 ここにおる。 251 00:19:49,620 --> 00:19:52,270 これで 突いたり引っ張ったりすれば→ 252 00:19:52,270 --> 00:19:55,630 たちまち腹痛を起こすはずじゃ。 253 00:19:55,630 --> 00:19:57,960 (3人)いざ! 254 00:19:57,960 --> 00:19:59,960 えい! ほっ! 255 00:19:59,960 --> 00:20:01,970 えい えい! 256 00:20:01,970 --> 00:20:04,040 (3人)えい えい えい! 257 00:20:04,040 --> 00:20:06,040 んっ!? 258 00:20:07,970 --> 00:20:10,340 うっ! 259 00:20:10,340 --> 00:20:13,290 イタタタ…。 260 00:20:13,290 --> 00:20:16,790 さっきの亡者どもに あたったかな… うっ! 261 00:20:19,450 --> 00:20:23,950 ひぇ~ 痛い 痛い 痛い! 262 00:20:23,950 --> 00:20:26,540 (3人)あぁ!? 263 00:20:26,540 --> 00:20:29,040 うぅ~! 264 00:20:32,300 --> 00:20:35,050 うわぁ~ イタタタ! 265 00:20:35,050 --> 00:20:37,050 うわぁ~! 266 00:20:38,970 --> 00:20:41,960 ぎゃ~! 267 00:20:41,960 --> 00:20:45,040 アチチチチ! アチッ! アチチチ! 268 00:20:45,040 --> 00:20:47,610 うわぁ~! 269 00:20:47,610 --> 00:20:51,780 イテテテ! イテテテテ! 270 00:20:51,780 --> 00:21:03,940 ~ 271 00:21:03,940 --> 00:21:07,630 えっ? えっ? 272 00:21:07,630 --> 00:21:09,780 えっ!? 273 00:21:09,780 --> 00:21:12,950 えっ!? あぁ~! 274 00:21:12,950 --> 00:21:15,940 あぁ~! 275 00:21:15,940 --> 00:21:17,940 うわぁ~! あわわ!? 276 00:21:17,940 --> 00:21:23,960 ~ 277 00:21:23,960 --> 00:21:27,000 うぇ~ あぁ~! 278 00:21:27,000 --> 00:21:30,100 あっ! あぁ…。 279 00:21:41,030 --> 00:21:47,330 (3人)うわぁ~! 280 00:22:00,430 --> 00:22:05,040 不思議なことに3人は それぞれ 最後に倒れていたところで→ 281 00:22:05,040 --> 00:22:07,340 息を吹き返しました。 282 00:22:10,800 --> 00:22:14,970 それから3人が出会うことは ありませんでした。 283 00:22:14,970 --> 00:22:20,440 けれど 苦しいときも力を合わせて→ 284 00:22:20,440 --> 00:22:23,160 地獄から抜け出したことを 忘れずに→ 285 00:22:23,160 --> 00:22:27,160 長生きしたということです。 286 00:22:31,380 --> 00:22:33,380 (笑い声)