1 00:01:45,410 --> 00:01:47,830 昔むかし あるところに→ 2 00:01:47,830 --> 00:01:51,840 お母さんねずみと お父さんねずみがいました。 3 00:01:58,050 --> 00:02:00,050 かわいい娘が生まれたので→ 4 00:02:00,050 --> 00:02:02,720 お母さんねずみと お父さんねずみは→ 5 00:02:02,720 --> 00:02:06,350 大事に 大事に育てました。 6 00:02:06,350 --> 00:02:11,770 やがて 娘のねずみは お嫁に行く年頃となりました。 7 00:02:11,770 --> 00:02:15,400 そろそろ娘に 婿をもらわねばならん。 8 00:02:15,400 --> 00:02:19,450 はい よい婿がおると よいですなぁ。 9 00:02:19,450 --> 00:02:24,080 かわいい娘だ 仲間のねずみなど とんでもない。 10 00:02:24,080 --> 00:02:26,370 もっと よい婿は いないものだろうか? 11 00:02:26,370 --> 00:02:30,330 それなら 猫はどうです? 猫か。 12 00:02:30,330 --> 00:02:34,420 はい 猫に勝てるねずみは おりませんから。 13 00:02:34,420 --> 00:02:36,380 なるほど。 14 00:02:36,380 --> 00:02:39,720 そこで お母さんねずみと お父さんねずみは→ 15 00:02:39,720 --> 00:02:42,010 猫のところへ行きました。 16 00:02:50,020 --> 00:02:54,440 猫さん 猫さん。 お願いがあります。 17 00:02:54,440 --> 00:02:56,690 ニャ~。 18 00:02:56,690 --> 00:02:58,690 どんなねずみにも勝てるお前に→ 19 00:02:58,690 --> 00:03:01,700 うちの娘の婿に なってもらいたいのだが→ 20 00:03:01,700 --> 00:03:03,990 どうじゃろ? ニャ~! 21 00:03:03,990 --> 00:03:07,370 (犬の吠え声) 22 00:03:07,370 --> 00:03:11,040 お父さん 猫より強いものが おりましたよ。 23 00:03:11,040 --> 00:03:14,380 あぁ 犬どんなら よいかもしれぬ。 24 00:03:14,380 --> 00:03:17,420 おいで! 25 00:03:17,420 --> 00:03:20,010 よし こっちへおいで。 26 00:03:20,010 --> 00:03:23,390 おやおや 連れて行かれて しまいました。 27 00:03:23,390 --> 00:03:26,430 やはり 人間様か。 28 00:03:26,430 --> 00:03:31,100 けど 人間様が ねずみの家に 婿に来ましょうか? 29 00:03:31,100 --> 00:03:36,110 うむ 確かに 聞いたことはないが 頼むだけ頼んでみよう。 30 00:03:40,360 --> 00:03:43,360 お前のところもダメか。 31 00:03:43,360 --> 00:03:46,780 うん 今年は 米の出来が悪いぞ。 32 00:03:46,780 --> 00:03:48,700 困ったもんだ。 33 00:03:48,700 --> 00:03:51,410 米がなくては 生きてゆけん。 34 00:03:51,410 --> 00:03:53,370 聞きましたか お父さん。 35 00:03:53,370 --> 00:03:57,090 人間は お米がないと 生きていけないそうですよ。 36 00:03:57,090 --> 00:04:01,090 あぁ 人間より お米のほうが 偉いのだな。 37 00:04:01,090 --> 00:04:04,050 お米のできる田んぼに 行ってみましょう。 38 00:04:04,050 --> 00:04:06,720 そうしよう そうしよう。 39 00:04:06,720 --> 00:04:11,020 お母さんねずみと お父さんねずみは→ 40 00:04:11,020 --> 00:04:15,020 田んぼの稲のところに やって来たのですが…。 41 00:04:17,690 --> 00:04:22,110 稲さん 稲さん あなたは 人間より偉いんですね? 42 00:04:22,110 --> 00:04:25,030 もっと 景気のいい時に 来てくれよ。 43 00:04:25,030 --> 00:04:28,740 今年は ダメですか? 見てのとおり→ 44 00:04:28,740 --> 00:04:31,750 お天道様が ちっとも 顔を出してくれぬので→ 45 00:04:31,750 --> 00:04:36,040 このありさまだ。 はぁ お天道様が。 46 00:04:36,040 --> 00:04:40,460 なにしろ 空から わしら みんなを 照らしているのだ。 47 00:04:40,460 --> 00:04:43,720 わしら みんな お天道様が頼りなんだ。 48 00:04:43,720 --> 00:04:47,140 行ってみよう。 49 00:04:47,140 --> 00:04:50,010 そこで お母さんねずみと お父さんねずみは→ 50 00:04:50,010 --> 00:04:52,730 お天道様に会いに行きました。 51 00:04:52,730 --> 00:04:55,350 お天道様 お天道様→ 52 00:04:55,350 --> 00:05:00,070 あなたは 空から わしらみんなを 照らしている 偉いお方だ。 53 00:05:00,070 --> 00:05:03,070 どうか わしの娘の 婿になってくれぬか? 54 00:05:03,070 --> 00:05:07,700 なんも 見ればわかるべ。 55 00:05:07,700 --> 00:05:12,700 今年は 雲のやつに邪魔されて みんなに迷惑をかけてしもうた。 56 00:05:12,700 --> 00:05:15,710 雲にさえぎられれば いくら照らしても→ 57 00:05:15,710 --> 00:05:21,380 お前たちに届かぬ。 あぁ 来た来た これだもん。 58 00:05:21,380 --> 00:05:24,760 ははぁ…。 なるほど。 59 00:05:24,760 --> 00:05:27,720 だから わしとて 雲には勝てん。 60 00:05:27,720 --> 00:05:31,390 行きましょう。 61 00:05:31,390 --> 00:05:34,060 お母さんねずみと お父さんねずみは→ 62 00:05:34,060 --> 00:05:37,020 雲のところにやって来ました。 63 00:05:37,020 --> 00:05:39,730 お天道様より偉い雲さん→ 64 00:05:39,730 --> 00:05:42,730 わしの娘の婿に なってくれぬか? 65 00:05:42,730 --> 00:05:44,740 な~にが偉いもんか。 66 00:05:44,740 --> 00:05:48,990 わしらは ただ プ~プカ プ~プカ 浮かんどるだけじゃ。 67 00:05:48,990 --> 00:05:52,660 風が吹いたら あっという間に 吹き飛ばされてしまう。 68 00:05:52,660 --> 00:05:55,620 ほらほら。 あっ ちぎれる ちぎれる。 69 00:05:55,620 --> 00:05:58,580 わしより風の方が偉い。 70 00:05:58,580 --> 00:06:03,170 はぁ さようか。 71 00:06:03,170 --> 00:06:06,220 そこでお母さんねずみと お父さんねずみは→ 72 00:06:06,220 --> 00:06:09,090 風さんに会いに行きました。 73 00:06:09,090 --> 00:06:12,140 お天道様より偉い雲さんが→ 74 00:06:12,140 --> 00:06:15,600 自分より偉いと言うておる風さん。 75 00:06:15,600 --> 00:06:18,690 わしの娘の婿になってくれぬか? 76 00:06:18,690 --> 00:06:21,650 そう言うてくれるのは嬉しいが→ 77 00:06:21,650 --> 00:06:25,610 婿にするなら わしより強いのがおるぞ。 78 00:06:25,610 --> 00:06:28,610 はぁ 風さんより 強いものがおりますか? 79 00:06:28,610 --> 00:06:31,570 それはどなたでしょう? 80 00:06:31,570 --> 00:06:34,790 壁じゃ。 (2人)壁? 81 00:06:42,290 --> 00:06:47,380 わしがいくらピープー吹き荒れても びくともせぬ。 82 00:06:47,380 --> 00:06:51,800 壁ほどこの世に強いものは なかろう。 83 00:06:55,510 --> 00:06:59,850 とほほっ 壁は嫌いじゃ。 84 00:06:59,850 --> 00:07:02,860 (2人)さようですか。 85 00:07:02,860 --> 00:07:05,860 お母さんねずみと お父さんねずみは→ 86 00:07:05,860 --> 00:07:08,820 とうとう この世で いちばん強いものを見つけたと→ 87 00:07:08,820 --> 00:07:11,820 壁のところへやってきました。 88 00:07:11,820 --> 00:07:14,910 この世でいちばん強い壁さん。 89 00:07:14,910 --> 00:07:17,870 どうか わしの娘の婿に なってくれぬか? 90 00:07:17,870 --> 00:07:24,130 ふわぁ~ ムニャ。 なんだ ねずみじゃないか。 91 00:07:24,130 --> 00:07:30,300 わしに婿というから てっきり きれいな白壁が相手だと思うたぞ。 92 00:07:30,300 --> 00:07:33,260 いいえ わしの娘でございます。 93 00:07:33,260 --> 00:07:36,760 わしはな ボロボロなんじゃ。 94 00:07:36,760 --> 00:07:40,310 はぁ? どういうことでしょうか? 95 00:07:40,310 --> 00:07:43,310 ねずみに食われてボロボロなんじゃ。 96 00:07:47,400 --> 00:07:53,280 悪いけんど婿になど行けぬ。 まったくねずみには勝てぬ。 97 00:07:53,280 --> 00:07:56,240 おっ またかじっとる。 98 00:07:56,240 --> 00:08:01,830 はぁ さようですか。 驚きましたね。 99 00:08:01,830 --> 00:08:07,130 あちこち歩き回ったが わしらは そんなに強かったんだな。 100 00:08:07,130 --> 00:08:10,090 はい。 知りませなんだ。 101 00:08:10,090 --> 00:08:13,130 ほんとに偉いものでございます。 102 00:08:13,130 --> 00:08:16,470 まったく ねずみに生まれてよかったよ。 103 00:08:16,470 --> 00:08:19,520 はい。 104 00:08:19,520 --> 00:08:22,520 そこで お母さんねずみと お父さんねずみは→ 105 00:08:22,520 --> 00:08:27,230 立派な若者ねずみを 婿にとることにしたのだそうです。 106 00:08:30,070 --> 00:08:33,150 すぐ近くに すてきな婿さんがいたのに→ 107 00:08:33,150 --> 00:08:36,450 気がつかなかったんですね。 108 00:08:48,380 --> 00:08:53,060 ワォ~ン。 109 00:08:53,060 --> 00:08:56,810 ワン ワン。 ワォ~ン。 110 00:08:56,810 --> 00:09:00,020 昔むかし ある町に→ 111 00:09:00,020 --> 00:09:04,320 所帯を持って間もない 貧しい夫婦が住んでいました。 112 00:09:07,820 --> 00:09:11,200 亭主は駕籠かきをしておりました。 113 00:09:11,200 --> 00:09:14,120 エイホー エイホー。 114 00:09:19,250 --> 00:09:23,630 この亭主 根はまじめでしたが 何しろ酒に目がなくて→ 115 00:09:23,630 --> 00:09:28,010 ときどき飲みすぎては…。 116 00:09:28,010 --> 00:09:31,550 周りに迷惑をかけていました。 117 00:09:31,550 --> 00:09:36,850 けれども女房は一生懸命 この亭主の世話をしておりました。 118 00:09:40,060 --> 00:09:42,940 コケコッコ~。 119 00:09:42,940 --> 00:09:45,900 (いびき) 120 00:09:45,900 --> 00:09:49,400 起きな。 朝じゃぞ。 121 00:09:49,400 --> 00:09:52,110 仕事に遅れるよ。 122 00:09:54,370 --> 00:09:57,450 この女房 ちょっと変わり者で→ 123 00:09:57,450 --> 00:10:02,040 読み書きはできませんでしたが 言葉遊びが大好きでした。 124 00:10:07,170 --> 00:10:09,550 うわ! 何だ そのお面は。 125 00:10:09,550 --> 00:10:11,720 おきな! おきな! 126 00:10:11,720 --> 00:10:14,680 わかったよ。 起きる 起きるよ。 127 00:10:14,680 --> 00:10:18,890 翁というのは おじいさんのことです。 128 00:10:18,890 --> 00:10:21,560 ある夜遅く 亭主は→ 129 00:10:21,560 --> 00:10:24,440 たいそう酔っ払って 帰ってきました。 130 00:10:24,440 --> 00:10:28,360 なんと その日の稼ぎを みんな飲んでしまったといいます。 131 00:10:28,360 --> 00:10:30,400 なんだって!? 132 00:10:30,400 --> 00:10:33,780 それじゃ 店賃が 払えなくなっちまうじゃないか。 133 00:10:33,780 --> 00:10:36,370 だから酒は控えろと いつも言ってるだろ。 134 00:10:36,370 --> 00:10:40,750 やかましい! いちいち口出しすんな。 135 00:10:40,750 --> 00:10:43,710 コケコッコ~。 136 00:10:43,710 --> 00:10:53,220 (いびき) 137 00:10:57,890 --> 00:11:00,060 わ~い わ~い! 138 00:11:00,060 --> 00:11:04,190 あ! もうこんな時間だ。 なんで起こさねえんだ。 139 00:11:04,190 --> 00:11:06,400 あ! 140 00:11:06,400 --> 00:11:09,020 何だ? これは。 141 00:11:09,020 --> 00:11:12,070 カエル… かえる? 142 00:11:12,070 --> 00:11:15,990 私の苦労など知りもしないで 勝手なことばかり。 143 00:11:15,990 --> 00:11:18,490 もう里に帰ります。 フン! 144 00:11:20,410 --> 00:11:26,040 女房は怒って 山2つ越えた村の 実家に帰ってしまったのでした。 145 00:11:41,060 --> 00:11:43,060 今 けえったぞ。 146 00:11:46,730 --> 00:11:48,730 チッ! 147 00:11:50,730 --> 00:11:53,900 えい チクショウ! はぁ! 148 00:11:53,900 --> 00:11:56,740 (鼻歌) 149 00:11:56,740 --> 00:11:59,450 煮えたかなっと。 150 00:11:59,450 --> 00:12:01,450 (3人)いただきます。 151 00:12:03,370 --> 00:12:06,460 うまい。 おいしい。 152 00:12:06,460 --> 00:12:09,710 しかし ちょっと量が多いのう。 153 00:12:09,710 --> 00:12:13,420 婿さんの分まで こしらえてしまったんだべ。 154 00:12:13,420 --> 00:12:16,430 芋煮は婿さんの好物だでな。 155 00:12:19,550 --> 00:12:23,560 本当は会いたいのじゃろう。 早く帰ってやんなさい。 156 00:12:23,560 --> 00:12:29,900 あの人も意地っ張りだから すぐには許してくれますまい。 157 00:12:29,900 --> 00:12:34,780 私に読み書きができたら 手紙をかけるのに。 158 00:12:34,780 --> 00:12:38,740 それから しばらくして…。 159 00:12:38,740 --> 00:12:40,740 まいど。 160 00:12:40,740 --> 00:12:45,120 隣村の女将さんから これを預かってきました。 161 00:12:45,120 --> 00:12:49,080 確かに これは 女房の古着で作ったもんだ。 162 00:12:51,380 --> 00:12:55,420 あっ… 小石? 163 00:12:55,420 --> 00:12:59,970 亭主は 女房が何を思って 小さな石を送ってきたのか→ 164 00:12:59,970 --> 00:13:02,430 さっぱり わかりませんでした。 165 00:13:05,430 --> 00:13:08,390 エイホー エイホー エイホー。 166 00:13:08,390 --> 00:13:12,770 亭主は 女房が いつか戻ってくると信じ→ 167 00:13:12,770 --> 00:13:16,900 酒も飲まずに仕事に励みました。 168 00:13:16,900 --> 00:13:21,030 ときどき里のほうから 商人が訪ねてきて→ 169 00:13:21,030 --> 00:13:25,370 女房から預かってきたという 小石を置いていきました。 170 00:13:25,370 --> 00:13:28,210 いったい何のつもりだ? 171 00:13:28,210 --> 00:13:33,920 亭主は 長屋の住人や仕事の仲間に 聞いて回りましたが→ 172 00:13:33,920 --> 00:13:37,420 小石の意味は まったく わかりませんでした。 173 00:13:37,420 --> 00:13:41,220 う~ん。 まいど! 174 00:13:41,220 --> 00:13:43,350 何か入り用のものは? 175 00:13:43,350 --> 00:13:46,890 そこに立っていたのは なじみの商人でした。 176 00:13:46,890 --> 00:13:50,390 ちょうどいいや。 ちょっくら家へ来てくんな! 177 00:13:53,060 --> 00:13:56,070 こりゃあ たまげた。 これが袋の中身ですかい。 178 00:13:56,070 --> 00:13:58,360 そうなんだ。 おいらには→ 179 00:13:58,360 --> 00:14:01,070 何のことか さっぱり わからねえんだ。 180 00:14:01,070 --> 00:14:04,450 こっちも小石 あっちも小石。 181 00:14:04,450 --> 00:14:08,580 こいし こいし…。 こら 遊ぶな。 182 00:14:08,580 --> 00:14:11,080 あっ これは旦那様のことが→ 183 00:14:11,080 --> 00:14:14,130 恋しい 恋しい という意味でございますよ。 184 00:14:14,130 --> 00:14:18,050 そうか! 小石で… 恋し。 185 00:14:18,050 --> 00:14:20,720 そういうことだったのか! 186 00:14:20,720 --> 00:14:24,350 女房から届けられた たくさんの小石は→ 187 00:14:24,350 --> 00:14:27,390 女房が亭主に会いたい という思いを込めた→ 188 00:14:27,390 --> 00:14:31,020 小石の手紙だったのです。 189 00:14:31,020 --> 00:14:34,480 一刻も早く 返事を送ってやりましょう。 190 00:14:34,480 --> 00:14:39,490 《しかし 困ったぞ。 女房は字が読めないからな》 191 00:14:41,700 --> 00:14:47,450 しばらくして 商人が 女房の家を訪ねてきました。 192 00:14:47,450 --> 00:14:51,460 これを隣町の旦那さんから 預かってきました。 193 00:14:53,830 --> 00:14:56,460 これは松の枝だね。 194 00:14:56,460 --> 00:14:58,460 ん~。 195 00:15:01,050 --> 00:15:04,840 お前の帰りを待ってるぞ~! 196 00:15:07,390 --> 00:15:13,350 亭主からの返事は 女房に しっかり届いたのでした。 197 00:15:13,350 --> 00:15:17,400 次の日 女房は里の家をあとにして→ 198 00:15:17,400 --> 00:15:20,440 亭主の待つ家に向かいました。 199 00:15:20,440 --> 00:15:24,410 女房が戻ってみると 亭主は すっぱり酒をやめて→ 200 00:15:24,410 --> 00:15:27,950 まじめな働き者に 変わっていました。 201 00:15:27,950 --> 00:15:33,410 こうして夫婦は いつまでも 仲よく暮らしたそうです。 202 00:15:42,680 --> 00:15:46,730 ある日のこと 村の庄屋さんの家で→ 203 00:15:46,730 --> 00:15:49,650 跡取り息子が お嫁さんをもらって→ 204 00:15:49,650 --> 00:15:54,400 祝言を挙げることになりました。 庄屋さんは めでたいからと→ 205 00:15:54,400 --> 00:15:57,860 村人たちに餅を 分けてあげることにしました。 206 00:15:57,860 --> 00:16:01,410 なに!? 餅じゃと~!? 207 00:16:01,410 --> 00:16:04,410 (2人)む~! 208 00:16:04,410 --> 00:16:07,500 実は この おじいさんと おばあさん→ 209 00:16:07,500 --> 00:16:10,370 どんなご馳走より餅が大好き。 210 00:16:10,370 --> 00:16:13,040 こりゃ うまそうな餅じゃなぁ。 211 00:16:13,040 --> 00:16:15,710 えぇ つきたてじゃから。 212 00:16:15,710 --> 00:16:18,090 でも この餅 数が…。 213 00:16:18,090 --> 00:16:21,140 もらった餅は3つでした。 214 00:16:21,140 --> 00:16:25,350 夫婦は別れてはいけない という意味から 祝いの餅は→ 215 00:16:25,350 --> 00:16:28,850 割ることのできない数を おすそ分けするのです。 216 00:16:28,850 --> 00:16:33,690 3つを2人で1つずつ食べたら 1つ残ってしまうな。 217 00:16:33,690 --> 00:16:36,400 そうですね。 218 00:16:36,400 --> 00:16:42,360 いつもは仲よしの2人でしたが 大好きな餅のことになると話は別。 219 00:16:42,360 --> 00:16:47,410 残った1つを譲ろうなんて 考えもしません。 220 00:16:47,410 --> 00:16:50,330 ばあさん こうなったら 分けることなんぞせず→ 221 00:16:50,330 --> 00:16:55,380 勝負して勝ったほうから 餅を食べるというのは どうじゃ? 222 00:16:55,380 --> 00:16:58,380 おじいさん それはいい考えじゃ。 223 00:16:58,380 --> 00:17:01,880 よっしゃ では 何の勝負をしようかのぉ。 224 00:17:01,880 --> 00:17:04,470 にらめっこは どうです? 225 00:17:04,470 --> 00:17:08,810 うむ。 じゃあ ばあさん 早速 始めよう。 226 00:17:08,810 --> 00:17:16,400 (2人)にらめっこしましょ 笑うと負けよ あっぷっぷ! 227 00:17:21,360 --> 00:17:23,910 ワハハハハ! 228 00:17:23,910 --> 00:17:29,410 やった! わしの勝ちじゃ! では いただきま~す。 229 00:17:29,410 --> 00:17:32,410 あぁ…。 230 00:17:41,470 --> 00:17:44,720 うまい。 あぁ 悔しい。 231 00:17:44,720 --> 00:17:48,720 今度こそ負けんぞ~。 さぁ 勝負 勝負。 232 00:17:48,720 --> 00:17:57,310 (2人)にらめっこしましょ 笑うと負けよ あっぷっぷ! 233 00:18:00,400 --> 00:18:03,070 ワハハハハ! 234 00:18:03,070 --> 00:18:08,870 やった~ 今度は私の勝ちじゃ! いただきます。 235 00:18:15,120 --> 00:18:19,130 なんて おいしい お餅なんじゃろう! 236 00:18:22,050 --> 00:18:25,720 ばあさん この最後のひとつは だんまりくらべをして→ 237 00:18:25,720 --> 00:18:27,890 勝ったほうが 食べることにせんか? 238 00:18:27,890 --> 00:18:32,600 いいですとも。 おじいさんには 絶対に負けませんからね。 239 00:18:32,600 --> 00:18:36,400 わしだって ばあさんに負けるもんか。 240 00:18:38,360 --> 00:18:40,400 だんまりくらべというのは→ 241 00:18:40,400 --> 00:18:43,740 どっちか先に 声を出したほうが負けです。 242 00:18:43,740 --> 00:18:47,740 (2人)せ~の! だんまり。 243 00:18:47,740 --> 00:18:52,700 2人は それっきり 背中を向けて しゃべらなくなりました。 244 00:18:52,700 --> 00:18:57,370 しかし だんまりを決め込んで 何もしないでいると→ 245 00:18:57,370 --> 00:19:02,380 そりゃあもう 退屈で しかたがありません。 246 00:19:02,380 --> 00:19:08,720 (あくび) 247 00:19:08,720 --> 00:19:12,140 おじいさんとおばあさんは することがないので→ 248 00:19:12,140 --> 00:19:15,430 もう布団に入って 寝ることにしました。 249 00:19:21,730 --> 00:19:25,780 しかし 大好きな餅のことが 気になって→ 250 00:19:25,780 --> 00:19:29,370 とても眠れません。 251 00:19:38,040 --> 00:19:41,170 (物音) 252 00:19:49,720 --> 00:19:52,180 音の正体は泥棒でした。 253 00:19:52,180 --> 00:19:54,680 しかし 今は だんまりくらべの真っ最中。 254 00:19:54,680 --> 00:19:59,400 大声を出して 泥棒を追い出すこともできません。 255 00:19:59,400 --> 00:20:02,860 《ヘッヘッヘッヘッ おじゃまいたしやす。 256 00:20:02,860 --> 00:20:06,070 じいさんも ばあさんも ぐっすり寝てくれてるな。 257 00:20:06,070 --> 00:20:09,950 しめしめ…。 258 00:20:09,950 --> 00:20:14,580 チェッ! ボロボロの着物が 少しあるだけじゃねえか。 259 00:20:14,580 --> 00:20:17,750 なんて貧乏な家なんだ。 260 00:20:17,750 --> 00:20:20,750 いや 待てよ…》 261 00:20:23,750 --> 00:20:27,260 《床の下に ヘソクリを隠していたりして》 262 00:20:29,380 --> 00:20:35,060 《ここかな? ここかな? ここかな? 263 00:20:35,060 --> 00:20:37,520 ここかな? 264 00:20:37,520 --> 00:20:40,520 あっ! あった あった!》 265 00:20:44,060 --> 00:20:47,230 この最後のひとつは だんまりくらべをして→ 266 00:20:47,230 --> 00:20:49,530 勝ったほうが 食べることにせんか? 267 00:20:49,530 --> 00:20:55,030 いいですとも。 おじいさんには 絶対に負けませんからね 268 00:20:57,750 --> 00:21:02,210 《いただくものは いただいて とっとと逃げるとするか。 269 00:21:02,210 --> 00:21:06,050 ん? 270 00:21:06,050 --> 00:21:08,380 こんなところに 餅があるじゃねえか。 271 00:21:08,380 --> 00:21:11,720 こりゃ うまそうだ。 それでは 遠慮なく…。 272 00:21:11,720 --> 00:21:14,090 いただきま~す!》 273 00:21:14,090 --> 00:21:16,930 それは食うてはならん! 274 00:21:16,930 --> 00:21:18,930 あぁ~! 275 00:21:21,770 --> 00:21:25,270 うわ~ うわぁ~! 276 00:21:32,910 --> 00:21:35,530 ばあさんや とうとうしゃべったな。 277 00:21:35,530 --> 00:21:38,040 だんまりくらべは わしの勝ちじゃ。 278 00:21:38,040 --> 00:21:41,500 あっ! あぁ 悔しい…。 279 00:21:41,500 --> 00:21:45,540 最後の餅が食べられんように なってしもうた…。 280 00:21:45,540 --> 00:21:52,260 ばあさん 泣くな。 ほれ。 おじいさん どうして? 281 00:21:52,260 --> 00:21:54,550 泥棒が入ってきた時→ 282 00:21:54,550 --> 00:21:59,010 わしは ただ怖くて 声が出せんかっただけじゃった。 283 00:21:59,010 --> 00:22:01,350 そこへいくと ばあさんは えらい。 284 00:22:01,350 --> 00:22:04,020 ばあさんが声を出したおかげで→ 285 00:22:04,020 --> 00:22:07,520 泥棒は逃げていって 餅は無事じゃったんだから→ 286 00:22:07,520 --> 00:22:11,240 その餅は ばあさんのものだ。 さぁ お食べ。 287 00:22:11,240 --> 00:22:13,360 おじいさん ありがとう。 288 00:22:13,360 --> 00:22:18,120 じゃあ このお餅は 仲よく 2つに分けて食べましょう。 289 00:22:18,120 --> 00:22:21,700 はい。 ばあさん ありがとう。 290 00:22:25,040 --> 00:22:29,170 (2人)ほんに 餅は おいしいな。 291 00:22:29,170 --> 00:22:36,180 (笑い声)