1 00:01:44,410 --> 00:01:48,920 昔むかし あるところに 若い漁師がおりました。 2 00:01:48,920 --> 00:01:52,090 ある日 海辺を歩いていると→ 3 00:01:52,090 --> 00:01:57,760 浅瀬で バタバタと苦しんでいる 小さなタイを見つけました。 4 00:01:57,760 --> 00:02:01,680 かわいそうになぁ。 こんな小さなタイでも→ 5 00:02:01,680 --> 00:02:05,060 誰かに見つかったら つかまって食べられてしまうぞ。 6 00:02:05,060 --> 00:02:08,440 さぁ 早いとこ 沖へ逃げろ。 7 00:02:08,440 --> 00:02:10,440 それ。 8 00:02:15,780 --> 00:02:18,240 おぉ~い! 9 00:02:18,240 --> 00:02:21,700 誰かの呼ぶ声がしたので 振り返ってみましたが→ 10 00:02:21,700 --> 00:02:24,580 浜辺には誰もいませんでした。 11 00:02:24,580 --> 00:02:29,040 ここだよ。 海の中じゃ。 12 00:02:29,040 --> 00:02:32,250 うわ! おいらを呼んだのは お前か? 13 00:02:32,250 --> 00:02:36,920 そうだ。 わしは 竜宮城の竜王様の使いでな。 14 00:02:36,920 --> 00:02:41,050 お前に 昨日 助けてもらった 小さなタイは 実は→ 15 00:02:41,050 --> 00:02:44,470 竜王様の大切な ひとり娘なんじゃ。 16 00:02:44,470 --> 00:02:47,270 あのタイが竜王様の? 17 00:02:47,270 --> 00:02:51,650 あぁ 竜王様は 娘を助けてくれた お礼がしたいので→ 18 00:02:51,650 --> 00:02:55,730 お前を竜宮城にお連れするように と言っているんじゃ。 19 00:02:55,730 --> 00:02:58,280 さぁ わしの上に乗ってくれ。 20 00:02:58,280 --> 00:03:00,780 え? あ… あぁ…。 21 00:03:10,210 --> 00:03:13,920 さて これから 海の深いところへ潜るが→ 22 00:03:13,920 --> 00:03:17,590 その前に お前に ひとつだけ いいことを教えよう。 23 00:03:17,590 --> 00:03:19,720 いいことって何だい? 24 00:03:19,720 --> 00:03:24,720 竜宮城から帰る時に 竜王様が お土産をくださる。 25 00:03:24,720 --> 00:03:26,720 何がいいかと聞くから→ 26 00:03:26,720 --> 00:03:29,770 「きき耳ずきんが欲しい」と 答えるんじゃ。 27 00:03:29,770 --> 00:03:32,850 きき耳ずきん? そうだ。 28 00:03:32,850 --> 00:03:36,020 それをもらえば お前には きっと いいことが起きるぞ。 29 00:03:36,020 --> 00:03:39,490 ふ~ん… よし わかった。 30 00:03:39,490 --> 00:03:42,950 では 深い海へ潜るから 目をつぶっててくれ。 31 00:03:42,950 --> 00:03:45,070 うん。 32 00:03:47,450 --> 00:03:52,080 しだいに気持よくなって 寝てしまいました。 33 00:03:55,420 --> 00:03:59,000 そして 目が覚めると…。 34 00:04:04,930 --> 00:04:06,970 よく来てくれた。 35 00:04:06,970 --> 00:04:11,140 食事などを用意してますから 存分に楽しんでくだされ。 36 00:04:11,140 --> 00:04:13,440 は… はい。 37 00:04:17,400 --> 00:04:19,400 わぁ~! 38 00:04:21,400 --> 00:04:23,820 若い漁師は おいしいごちそうを食べながら→ 39 00:04:23,820 --> 00:04:26,620 タコやイカのおもしろい踊りや 歌を聴いて→ 40 00:04:26,620 --> 00:04:30,450 それは楽しいひとときを 過ごしました。 41 00:04:32,410 --> 00:04:34,750 そして 帰る時になって…。 42 00:04:34,750 --> 00:04:37,130 それでは 土産をあげよう。 43 00:04:37,130 --> 00:04:40,920 何でも欲しいものを 言ってみなさい。 44 00:04:44,050 --> 00:04:47,760 おら きき耳ずきんが欲しい。 45 00:04:47,760 --> 00:04:50,560 おぉ! あれは 木や花や鳥→ 46 00:04:50,560 --> 00:04:53,980 生きているものの すべての声を聞くことができる→ 47 00:04:53,980 --> 00:04:57,060 この広い世界に 2つとない宝物だ。 48 00:04:57,060 --> 00:04:59,360 いいもの選んだぞ。 49 00:05:02,740 --> 00:05:06,450 竜宮城から戻ってきた 若い漁師は→ 50 00:05:06,450 --> 00:05:10,450 早速 きき耳ずきんを かぶってみました。 51 00:05:13,910 --> 00:05:16,290 チュンチュン チュンチュン。 52 00:05:16,290 --> 00:05:19,880 ねぇ 知ってる? この木の下の川の中に→ 53 00:05:19,880 --> 00:05:23,260 コケが生えた 小さな石があるでしょう? 54 00:05:23,260 --> 00:05:25,380 あっ あの小石かい? 55 00:05:25,380 --> 00:05:29,430 そう あれよ。 あの小石は金のかたまりなのに→ 56 00:05:29,430 --> 00:05:31,760 人間は気がつかないでいるのよ。 57 00:05:31,760 --> 00:05:35,140 川に入って いつも 踏みつけて歩いているのに。 58 00:05:35,140 --> 00:05:37,190 人間は利口なようで→ 59 00:05:37,190 --> 00:05:40,360 そうでもないんだね。 (2人)アハハハハ! 60 00:05:40,360 --> 00:05:45,150 《本当に スズメの言葉が 聞けるとは 驚いた》 61 00:05:45,150 --> 00:05:49,160 どれどれ この小石のことかな。 62 00:05:51,410 --> 00:05:54,790 あぁっ! 本当に金の塊だ! 63 00:05:54,790 --> 00:05:56,830 きき耳ずきんのおかげで→ 64 00:05:56,830 --> 00:06:01,420 若い漁師は 金の塊を手に入れました。 65 00:06:01,420 --> 00:06:05,550 次の日 大きな屋敷の近くを 歩いていると→ 66 00:06:05,550 --> 00:06:09,130 立て札の前に 村人たちが 集まっていました。 67 00:06:11,390 --> 00:06:14,390 この家で 何かあったのですか? 68 00:06:14,390 --> 00:06:19,060 あぁ ここの庄屋さんの家の ひとり娘が病気にかかってな→ 69 00:06:19,060 --> 00:06:23,110 娘の病気を治した者には お礼をくれるそうじゃ。 70 00:06:23,110 --> 00:06:25,780 そんなに重い病気なのですか? 71 00:06:25,780 --> 00:06:28,450 もう ひと月近くも 寝たきりらしい。 72 00:06:28,450 --> 00:06:32,030 どんな お医者様が診ても 原因が わからんそうじゃ。 73 00:06:34,370 --> 00:06:39,750 かわいそうにな このままじゃ 命も そう長くは ないらしい。 74 00:06:39,750 --> 00:06:41,750 そうなんですか…。 75 00:06:41,750 --> 00:06:48,050 わしらには なんにもできん。 (鳴き声) 76 00:06:48,050 --> 00:06:50,680 《あのカラスたち 何か話しているぞ》 77 00:06:53,760 --> 00:06:57,730 あの家の娘の病気は 薬なんかじゃ治らないカ~! 78 00:06:57,730 --> 00:07:01,730 あぁ 庄屋の娘が病気になったのは ひと月前→ 79 00:07:01,730 --> 00:07:03,770 家の屋根を直した時→ 80 00:07:03,770 --> 00:07:08,740 茅葺きの茅と一緒に 知らずに ヘビを縛りつけたからなのにな。 81 00:07:08,740 --> 00:07:13,120 そのヘビを助けてやれば 長者の娘も助かるんだがな カ~! 82 00:07:13,120 --> 00:07:15,160 カ~ カ~。 83 00:07:15,160 --> 00:07:18,080 へぇ そうだったのか ようし! 84 00:07:18,080 --> 00:07:22,710 若い漁師は 早速 庄屋さんの屋敷に行きました。 85 00:07:22,710 --> 00:07:27,710 庄屋さん どうして娘さんが 病気になったのか わかりました。 86 00:07:27,710 --> 00:07:29,720 なに!? 本当か? 87 00:07:29,720 --> 00:07:33,760 はい。 実は この屋敷の茅の中に ヘビが縛りつけられて→ 88 00:07:33,760 --> 00:07:35,800 苦しんでいるんです。 89 00:07:35,800 --> 00:07:38,390 そのヘビを助けてあげれば 娘さんの病気は→ 90 00:07:38,390 --> 00:07:40,770 すぐに治るはずです。 91 00:07:40,770 --> 00:07:45,150 なんじゃと!? 娘の病気は そのヘビのせいだと言うのか!? 92 00:07:45,150 --> 00:07:47,780 はい。 よし わかった→ 93 00:07:47,780 --> 00:07:49,780 すぐに そのヘビを助けよう。 94 00:07:49,780 --> 00:07:53,820 庄屋の家の人たちが 屋根を調べてみると→ 95 00:07:53,820 --> 00:07:58,450 本当に 茅の中に ヘビが縛りつけられていました。 96 00:07:58,450 --> 00:08:01,080 そして そのヘビを助けてやると…。 97 00:08:06,420 --> 00:08:08,420 あっ! 気がついたか! 98 00:08:08,420 --> 00:08:11,840 元気になった娘を見て 大喜びの庄屋さんは→ 99 00:08:11,840 --> 00:08:16,430 若い漁師に ぜひ娘の 婿になってくれと頼みました。 100 00:08:19,060 --> 00:08:22,100 そして 若い漁師は 娘と夫婦になり→ 101 00:08:22,100 --> 00:08:25,060 村で 何か不思議なことが 起きると→ 102 00:08:25,060 --> 00:08:27,400 きき耳ずきんを使って→ 103 00:08:27,400 --> 00:08:30,400 いろんな生き物たちの声を聞き→ 104 00:08:30,400 --> 00:08:34,410 その謎を解いてあげた ということです。 105 00:08:43,420 --> 00:08:49,720 昔むかし とても大金持ちの 長者様がおりました。 106 00:08:49,720 --> 00:08:55,140 田んぼや畑も たくさん持っているし→ 107 00:08:55,140 --> 00:08:59,350 大きな家で 大勢の男衆や 女衆を使い→ 108 00:08:59,350 --> 00:09:03,110 何不自由なく暮らしていました。 109 00:09:03,110 --> 00:09:07,780 長者様は 毎日 朝早く起きて 顔を洗うと→ 110 00:09:07,780 --> 00:09:14,370 羽織袴を着け 倉の中へ入って行きます。 111 00:09:14,370 --> 00:09:17,410 不思議に思った 庭掃きの男が→ 112 00:09:17,410 --> 00:09:21,420 そっと覗いてみると→ 113 00:09:21,420 --> 00:09:25,090 そこには 小さな祭壇があり 金のえびす様と→ 114 00:09:25,090 --> 00:09:28,130 大黒様が祀ってありました。 115 00:09:28,130 --> 00:09:33,390 えびす様 大黒様 ありがとうございます。 116 00:09:33,390 --> 00:09:37,810 《ははぁ この家が 繁盛しているのは→ 117 00:09:37,810 --> 00:09:41,810 あの お宝を 拝んでいるからなんだな》 118 00:09:45,820 --> 00:09:48,400 ヘッヘッヘッヘ。 119 00:09:52,070 --> 00:09:56,740 庭掃きの男は 長者様のお宝を 盗み出し→ 120 00:09:56,740 --> 00:10:02,170 山向こうの自分の村へ 持ち去ってしまいました。 121 00:10:02,170 --> 00:10:06,550 すると長者様の家は たちまち財産を失い→ 122 00:10:06,550 --> 00:10:10,970 雇い人たちも いなくなってしまいました。 123 00:10:10,970 --> 00:10:16,600 残ったのは白い犬と 三毛猫だけです。 124 00:10:16,600 --> 00:10:20,270 その2匹も もう飼い続けることは できません。 125 00:10:20,270 --> 00:10:25,020 どこかでいい人に飼われるんだぞ。 126 00:10:25,020 --> 00:10:30,320 白い犬と三毛猫は トボトボと家を出ていきました。 127 00:10:34,660 --> 00:10:37,660 やつがあんなことを しなけりゃな。 128 00:10:37,660 --> 00:10:40,870 どういうことだ? 知らなかったのか? 129 00:10:43,830 --> 00:10:46,130 そいつは どこにいる? 130 00:10:46,130 --> 00:10:49,130 山向こうの村で いい暮らしをしてるらしいぜ。 131 00:10:49,130 --> 00:10:53,380 俺たちも そこで厄介になるか。 132 00:10:53,380 --> 00:10:59,560 どこへ行くつもりだ? どうするつも…。 133 00:10:59,560 --> 00:11:02,350 ニャ~。 134 00:11:40,680 --> 00:11:43,770 入れるスキなんざないぜ。 え? 135 00:11:43,770 --> 00:11:47,480 さがってな。 なに? いいからさがってな。 136 00:11:54,610 --> 00:11:57,240 ニャ~ッ。 うわぁ! 137 00:11:57,240 --> 00:12:00,200 ニャッ。 138 00:12:00,200 --> 00:12:03,250 命ばかりはお助けを。 心配するな。 139 00:12:03,250 --> 00:12:06,460 ちょっと頼みがあるんだ。 え? 140 00:12:14,050 --> 00:12:18,760 これで よろしいのですか? ああ 恩にきるぜ。 141 00:12:35,650 --> 00:12:38,660 あっ いけねえ。 泳げねえんだ。 142 00:12:38,660 --> 00:12:41,700 それに腹がペコペコだ。 143 00:12:41,700 --> 00:12:46,500 どっかで食い物を調達して それから下の橋へ回る。 144 00:12:46,500 --> 00:12:50,420 2つ持てるか? はぁ? 145 00:12:50,420 --> 00:12:52,840 持ったら俺の背に乗るんだ。 146 00:12:55,010 --> 00:12:59,800 いいか 決して口を開けるなよ。 わかった。 147 00:13:29,540 --> 00:13:31,540 あっ。 148 00:13:39,470 --> 00:13:42,470 なんてことをした! 149 00:13:46,180 --> 00:13:49,480 何もかも水の泡だ。 150 00:14:07,080 --> 00:14:12,000 ニャ~! 何をするの? 手を離して。 151 00:14:12,000 --> 00:14:15,090 違う 頼みがあるんだ。 152 00:14:24,760 --> 00:14:27,060 はい これでいい? 153 00:14:27,060 --> 00:14:29,560 助かった。 礼を言うぜ。 154 00:14:41,490 --> 00:14:43,490 ん? 155 00:14:49,450 --> 00:14:51,620 お前…。 156 00:14:51,620 --> 00:14:54,420 ニャハハハ。 157 00:14:57,750 --> 00:15:01,760 ニャ~。 ワンワンワン。 158 00:15:08,310 --> 00:15:12,730 あ! お前たち 会いたかったぞ。 159 00:15:12,730 --> 00:15:15,770 よ~し よ~し。 160 00:15:15,770 --> 00:15:18,270 それからというもの→ 161 00:15:18,270 --> 00:15:22,570 長者様の家は また たいそう繁盛しました。 162 00:15:22,570 --> 00:15:29,410 犬と猫も 長者様の家で 仲よく暮らしたということです。 163 00:15:29,410 --> 00:15:33,410 ハァ~ はかない夢だったな。 164 00:15:42,430 --> 00:15:47,730 (犬の遠吠え) 165 00:15:47,730 --> 00:15:51,770 (猫の鳴き声) 166 00:15:51,770 --> 00:15:54,070 キャ~! 167 00:15:57,780 --> 00:15:59,950 なんだって!? またかい。 168 00:15:59,950 --> 00:16:03,200 (八五郎)へぇ 引っ越してきた ばっかりだってのに→ 169 00:16:03,200 --> 00:16:06,620 夜明けも待たずに 出ていっちまいやして。 170 00:16:06,620 --> 00:16:10,250 やれやれ また店賃を取りっぱぐれたか。 171 00:16:10,250 --> 00:16:14,040 弱ったね ばあさん。 本当にねぇ。 172 00:16:14,040 --> 00:16:16,550 (熊)ねえ 大家さん。 な なんだよ? 173 00:16:16,550 --> 00:16:21,220 あの家 ひょっとして オバケでも出るんじゃありません? 174 00:16:21,220 --> 00:16:24,100 バカ言うんじゃないよ お前たち。 175 00:16:24,100 --> 00:16:27,640 だってさ 来る人 来る人 すぐに出ていっちまうし。 176 00:16:27,640 --> 00:16:29,940 訳を聞く間もなく逃げるように。 177 00:16:29,940 --> 00:16:32,900 (鉄)おかしいじゃありませんか ねえ 大家さん。 178 00:16:32,900 --> 00:16:36,900 出るんでしょ? オバケ。 うるさ~い! 179 00:16:36,900 --> 00:16:39,820 おかしな噂をたてたら 承知しないぞ! 180 00:16:39,820 --> 00:16:44,410 (3人)もう みんな言ってますよ オバケ長屋って。 181 00:16:47,950 --> 00:16:52,370 しかたがない 私が夜っぴて見張っていよう。 182 00:16:52,370 --> 00:16:55,250 お前たちも寝ずに つきあうんだぞ。 いいな? 183 00:16:55,250 --> 00:16:57,250 (3人)へえ。 184 00:17:00,380 --> 00:17:03,890 (3人)ほんとに出るのかな? 185 00:17:03,890 --> 00:17:06,930 出やしないよ バカバカしい。 186 00:17:06,930 --> 00:17:11,600 どうせ どっかのコソドロあたりが こんなふうに…。 187 00:17:11,600 --> 00:17:13,600 (3人)わっ 出た! 188 00:17:17,440 --> 00:17:20,110 ねえ こうやって待ってたんじゃ→ 189 00:17:20,110 --> 00:17:23,110 幽霊も 出にくいんじゃありませんかね。 190 00:17:23,110 --> 00:17:25,870 俺は もう寝る。 ダメだよ おい。 191 00:17:25,870 --> 00:17:27,910 じゃあ 帰るわ。 192 00:17:27,910 --> 00:17:29,910 おいおい 待てよ。 193 00:17:29,910 --> 00:17:32,120 なんだよ じゃあ おいらも一緒に。 194 00:17:32,120 --> 00:17:36,130 こら 待ちな。 お前さんだけでも残んなさい。 195 00:17:42,420 --> 00:17:47,350 こうやって隠れてて 誰か来たら捕まえるんだぞ。 196 00:17:47,350 --> 00:17:49,930 誰が捕まえるんで? 197 00:17:49,930 --> 00:17:53,230 お前に決まってるだろ。 やですよ そんなの。 198 00:17:53,230 --> 00:17:57,150 つべこべ言うんじゃないよ。 店賃を三月もためといて。 199 00:17:57,150 --> 00:18:00,400 それとこれとは 話が違うでしょうよ。 200 00:18:00,400 --> 00:18:12,000 かきまずる~ 灰は浜辺の 色に似て…。 201 00:18:14,080 --> 00:18:17,040 かきまずる…。 202 00:18:17,040 --> 00:18:19,040 あ… あれは確か…。 203 00:18:19,040 --> 00:18:22,130 歌よみの ばあさんだ 先月死んだ。 うん。 204 00:18:22,130 --> 00:18:25,970 ってことは やっぱり 幽霊? シーッ! 205 00:18:25,970 --> 00:18:33,060 灰は浜辺の色に似て。 206 00:18:37,600 --> 00:18:41,440 (泣き声) 207 00:18:41,440 --> 00:18:44,570 幽霊が… 泣いてる。 208 00:18:47,490 --> 00:18:49,490 消えた。 209 00:18:52,080 --> 00:18:57,120 なるほど。 歌よみが 成仏できずに いるというのじゃな? 210 00:18:57,120 --> 00:19:00,090 歌に未練があるんでしょうか? 211 00:19:00,090 --> 00:19:03,260 お坊さんが何か詠んでやりゃあ…。 212 00:19:03,260 --> 00:19:07,050 いやいや わしは 経は読むが 歌は詠まんよ。 213 00:19:07,050 --> 00:19:09,760 うまい! どんな訳があるのか→ 214 00:19:09,760 --> 00:19:12,770 もう一度 確かめて ご覧なされ。 215 00:19:12,770 --> 00:19:16,390 はぁ。 もういっぺん? 216 00:19:16,390 --> 00:19:20,110 (熊)ほんとに出たって? (鉄)おもしれえじゃねえか。 217 00:19:20,110 --> 00:19:22,480 あの ばあさんには 貸しがあるんだ こちとら。 218 00:19:22,480 --> 00:19:25,110 何だよ? 貸しってのは。 219 00:19:27,400 --> 00:19:31,080 (熊)何だって こんな 狭っ苦しい所に へえるんだよ! 220 00:19:31,080 --> 00:19:33,370 (八五郎)いいから黙ってろって。 221 00:19:35,410 --> 00:19:38,080 (鉄)出た。 (八五郎)シーッ! 222 00:19:38,080 --> 00:19:44,090 かきまずる→ 223 00:19:44,090 --> 00:19:49,930 灰は浜辺の色に似て。 224 00:19:49,930 --> 00:19:51,890 (熊)何て歌なんでい。 225 00:19:51,890 --> 00:19:57,430 だから 火鉢の灰が 浜辺の砂に 似てるって詠んでるんだよ。 226 00:19:57,430 --> 00:20:01,980 (八五郎)で その先 下の句が出てこねえと。 227 00:20:01,980 --> 00:20:04,270 (鉄)なるほど。 228 00:20:04,270 --> 00:20:06,280 (泣き声) 229 00:20:06,280 --> 00:20:08,900 (鉄)あっ そうか。 (2人)え? 230 00:20:11,070 --> 00:20:14,490 どこに行こうってんだい? いいから早く! 231 00:20:14,490 --> 00:20:16,750 大家さん 連れてきやした。 232 00:20:16,750 --> 00:20:20,620 あぁ ご苦労さん。 さぁさぁ ご隠居 上がって。 233 00:20:20,620 --> 00:20:23,590 いったい この私に何の用だい? 234 00:20:23,590 --> 00:20:26,590 じゃあ あとは頼みましたよ。 235 00:20:29,970 --> 00:20:32,890 ってことなんですよ ご隠居。 236 00:20:32,890 --> 00:20:37,060 なるほどね。 それで 歌好きの私を呼んだと。 237 00:20:37,060 --> 00:20:41,060 しかし 歌詠みの幽霊とは おもしろい。 238 00:20:41,060 --> 00:20:44,440 よろしい。 私が なんとかしてやりましょう。 239 00:20:44,440 --> 00:20:46,940 じゃあ 早速 今夜。 240 00:20:48,900 --> 00:20:51,450 ほんとに出ますかな? 241 00:20:51,450 --> 00:20:54,070 ゆうべは ちょうど 今ごろ…。 242 00:20:57,910 --> 00:21:02,830 かきまずる→ 243 00:21:02,830 --> 00:21:07,050 灰は浜辺の色に似て。 244 00:21:07,050 --> 00:21:11,130 かきまずる 灰は浜辺の色に似て。 245 00:21:11,130 --> 00:21:13,140 うん! 246 00:21:15,100 --> 00:21:17,930 かきまずる。 247 00:21:17,930 --> 00:21:26,230 はぁ… 灰は浜辺の色に似て。 248 00:21:28,440 --> 00:21:30,440 ん? 249 00:22:05,400 --> 00:22:07,770 出来た。 250 00:22:07,770 --> 00:22:11,900 出来ました! 251 00:22:11,900 --> 00:22:15,410 消えた。 消えましたな。 252 00:22:19,490 --> 00:22:25,250 これで あの ばあさんも 成仏したことでしょう。 253 00:22:25,250 --> 00:22:32,380 ゆるりが海か おきの見ゆるに。