1 00:00:34,801 --> 00:00:40,140 (厳)うぅ うぅ…。 2 00:00:40,140 --> 00:00:42,142 もう限界だ! 3 00:00:42,142 --> 00:00:45,145 焚き火がしてえ! 4 00:00:45,145 --> 00:00:47,147 とりあえず➨ 5 00:00:47,147 --> 00:00:49,950 適当に必要な物だけ持って…。 6 00:00:58,325 --> 00:01:02,129 《そうだ ついでにアレを作ろう》 7 00:01:06,333 --> 00:01:08,435 おし 行くぞ。 8 00:02:54,975 --> 00:03:00,147 《とりあえず こんなものか。 9 00:03:00,147 --> 00:03:03,650 ようやく手にした 一日の休みだ》 10 00:03:07,154 --> 00:03:09,656 《2週間ぶりか》 11 00:03:34,281 --> 00:03:37,951 《たまには 近場で 焚き火ってのもいい》 12 00:03:37,951 --> 00:03:40,787 (おなかが鳴る音) 13 00:03:40,787 --> 00:03:46,293 フッ… おっし 腹ごしらえに…。 14 00:03:46,293 --> 00:03:49,896 《コンビニで買った焼き鳥を 軽くあぶって…》 15 00:03:55,135 --> 00:03:57,137 乾杯だ! 16 00:03:59,806 --> 00:04:01,808 ぷっほほぉ~! 17 00:04:01,808 --> 00:04:03,810 《うまい! 18 00:04:03,810 --> 00:04:06,313 コンビニ焼き鳥 あなどりがたし! 19 00:04:06,313 --> 00:04:09,483 そして このテーブル! 20 00:04:09,483 --> 00:04:12,486 広さも十分だし シンプルで素朴。 21 00:04:12,486 --> 00:04:15,489 なにより この軽さが俺好みだ。 22 00:04:15,489 --> 00:04:17,491 前から気になってたが➨ 23 00:04:17,491 --> 00:04:21,995 通販サイトの残り1つの誘惑に 負けてしまった…。 24 00:04:21,995 --> 00:04:26,833 キャンプに行けない時ほど 新しいギアに手を伸ばしてしまう。 25 00:04:26,833 --> 00:04:30,170 キャンプ欲を ギアを買うことで発散し➨ 26 00:04:30,170 --> 00:04:34,774 結局 早くギアを使いたくて 悶々とする…。 27 00:04:34,774 --> 00:04:39,613 一度ハマれば はい上がれないのがギアの沼…》 28 00:04:39,613 --> 00:04:45,285 おっと… こいつも そろそろよさそうだな。 29 00:04:45,285 --> 00:04:49,623 あとは ちょい冷めるのを待って…。 30 00:04:49,623 --> 00:04:53,793 こういうのは いざという時に あると 困らないからな。 31 00:04:53,793 --> 00:04:55,962 これも 今度…。 32 00:04:55,962 --> 00:04:59,466 ん? ん~? 33 00:04:59,466 --> 00:05:02,369 厳さん! 34 00:05:05,138 --> 00:05:08,808 (雫)今日 短大の卒業式だったんです。 35 00:05:08,808 --> 00:05:12,813 袴 かわいくないですか~? 36 00:05:12,813 --> 00:05:17,484 さっきメッセージしたときに 近いじゃんって思って 見せに…。 37 00:05:17,484 --> 00:05:22,155 厳さん? あ あ… おう。 38 00:05:22,155 --> 00:05:25,825 はっは~ん 見ほれてましたね。 39 00:05:25,825 --> 00:05:29,329 ばっ… アホか! ですよね~。 40 00:05:29,329 --> 00:05:31,832 というか もう少し離れろ。 41 00:05:31,832 --> 00:05:33,934 火の粉が飛んだら困るだろう その服! 42 00:05:33,934 --> 00:05:35,936 わっ そうだった…。 43 00:05:35,936 --> 00:05:38,605 レンタルだから 汚さないようにしないと。 44 00:05:38,605 --> 00:05:42,943 (厳)まさかホントに来るとはな。 《厳:しかも そんな格好で》 45 00:05:42,943 --> 00:05:46,279 (雫)ていうか ここって 焚き火とかしてもいいんですか? 46 00:05:46,279 --> 00:05:49,950 大丈夫なとこは 大丈夫だ。 というと? 47 00:05:49,950 --> 00:05:54,120 河川は公共のもので 誰もが自由に利用できる。 48 00:05:54,120 --> 00:05:57,791 しかし 自治体が占有している 河川になると➨ 49 00:05:57,791 --> 00:06:02,128 ルールも利用法も変わってくる。 どちらにしても➨ 50 00:06:02,128 --> 00:06:04,631 直火による焚き火は 危険もあるから➨ 51 00:06:04,631 --> 00:06:07,467 焚き火台の使用は必須だ。 52 00:06:07,467 --> 00:06:11,638 何にせよ 自然の中で 火を扱いたいのなら➨ 53 00:06:11,638 --> 00:06:15,141 それに関する法律も ちゃんと知っておく必要がある。 54 00:06:15,141 --> 00:06:18,311 例えば 焚き火。 昔とは違って➨ 55 00:06:18,311 --> 00:06:21,147 自分の家の庭でも 焚き火をしてはいけないと➨ 56 00:06:21,147 --> 00:06:24,985 誤解されがちだが これも正解ではない。 57 00:06:24,985 --> 00:06:29,656 はっきりと禁止されているのは 野焼きと呼ばれる行為だ。 58 00:06:29,656 --> 00:06:32,926 つまり 廃棄物を 許可された施設以外で➨ 59 00:06:32,926 --> 00:06:35,762 燃やすことが 禁止されている。 60 00:06:35,762 --> 00:06:39,099 焚き火は 日常生活を営む上で➨ 61 00:06:39,099 --> 00:06:41,768 大規模じゃないものなら 許されているんだ。 62 00:06:41,768 --> 00:06:44,938 では 好きに 焚き火をやってもいいのか? 63 00:06:44,938 --> 00:06:47,440 答えはノーだ。 64 00:06:47,440 --> 00:06:49,943 近隣へ煙が流れていってしまう とか➨ 65 00:06:49,943 --> 00:06:52,612 防災の観点から 不安な点が多い とか➨ 66 00:06:52,612 --> 00:06:54,614 そういうのはダメだ。 67 00:06:54,614 --> 00:06:56,616 ルールを守るだけでは不十分! 68 00:06:56,616 --> 00:07:00,787 マナーを守ってこそ 初めて許されることがあるんだ! 69 00:07:00,787 --> 00:07:03,957 はい 心に刻んでおきます! 70 00:07:03,957 --> 00:07:06,626 フッ フフ…。 71 00:07:06,626 --> 00:07:08,628 《ルールにマナーか…。 72 00:07:08,628 --> 00:07:12,799 厳さんは そういうのを 大事にしてるんだなぁ》 73 00:07:12,799 --> 00:07:15,635 今週はキャンプじゃなかったんですね。 74 00:07:15,635 --> 00:07:19,639 最近 忙しくて やっと休みがとれたんだ。 75 00:07:19,639 --> 00:07:22,309 あたしもホントは キャンプ行きたいんです。 76 00:07:22,309 --> 00:07:25,812 でも 学校の申し込みとか いろいろあって…。 77 00:07:25,812 --> 00:07:29,149 卒業したら また新しい学校に? 78 00:07:29,149 --> 00:07:31,484 調理師やりたくて…。 79 00:07:31,484 --> 00:07:36,089 親に甘えさせてもらってるのは 間違いないんだけど…。 80 00:07:36,089 --> 00:07:38,925 別に 甘えさせてくれる 親がいるなら➨ 81 00:07:38,925 --> 00:07:42,929 それはそれで いいと思うが…。 そうですかね。 82 00:07:42,929 --> 00:07:46,766 フッ…。 それ 何ですか? 83 00:07:46,766 --> 00:07:49,102 これか? 84 00:07:49,102 --> 00:07:51,905 開けてみろ 袖 汚すなよ。 85 00:07:54,274 --> 00:07:57,110 (雫)何ですか? これ。 (厳)チャークロスだ。 86 00:07:57,110 --> 00:08:01,114 炭化させた布で 火口として使いやすいアイテムだ。 87 00:08:01,114 --> 00:08:04,451 これ 厳さんが 自分で作ったんですか? 88 00:08:04,451 --> 00:08:06,953 ああ 念のためにな。 89 00:08:06,953 --> 00:08:09,789 杉の葉や シラカバの樹皮みたいに➨ 90 00:08:09,789 --> 00:08:12,125 キャンプ場に落ちている 火口もあるが➨ 91 00:08:12,125 --> 00:08:15,462 雨とかで しけって 使えないこともあるからな。 92 00:08:15,462 --> 00:08:18,465 ふ~む。 こういった下準備から➨ 93 00:08:18,465 --> 00:08:21,468 快適な焚き火ライフは 始まっているのだ! 94 00:08:21,468 --> 00:08:25,138 出た ドヤ顔! うるせえ。 95 00:08:25,138 --> 00:08:29,142 チャークロスか… 難しいのかな これ。 96 00:08:29,142 --> 00:08:33,246 (厳)もう一つ作るつもりだったし 見ていくか? 97 00:08:33,246 --> 00:08:35,749 いいんですか? 98 00:08:35,749 --> 00:08:41,087 必要なのは 蓋ができるスチール缶と コットン100%の布だ。 99 00:08:41,087 --> 00:08:43,089 化学繊維が入ってると➨ 100 00:08:43,089 --> 00:08:45,425 溶けたりして危ねえから 気をつけろ! 101 00:08:45,425 --> 00:08:48,428 (厳)缶のサイズに合わせて 布を切って➨ 102 00:08:48,428 --> 00:08:51,431 缶の中に入れる。 103 00:08:51,431 --> 00:08:55,435 蓋に穴を開け あとは火に入れる。 104 00:08:55,435 --> 00:08:58,271 強火であれば バーナーでもいいぞ。 105 00:08:58,271 --> 00:09:02,609 家のガスコンロでもいいんですかね? やれなくはないが➨ 106 00:09:02,609 --> 00:09:06,780 においも出るし あまり おすすめはしないな。 107 00:09:06,780 --> 00:09:10,116 (雫)わっ 煙が出てきましたよ。 108 00:09:10,116 --> 00:09:12,452 ここで 煙に着火したり➨ 109 00:09:12,452 --> 00:09:14,954 タールっぽい 茶色い汁が 出ることがあるが➨ 110 00:09:14,954 --> 00:09:18,792 気にしなくていい。 ただ それが➨ 111 00:09:18,792 --> 00:09:24,631 穴を塞ぎそうな時は 小枝やペグで 汁を取り除いてやってくれ。 112 00:09:24,631 --> 00:09:29,135 煙が出なくなったら 火から離し 穴を塞ぐ。 113 00:09:32,472 --> 00:09:34,741 冷めたら完成だ。 114 00:09:34,741 --> 00:09:37,410 さっきは 穴が 塞がらないようにしてたのに➨ 115 00:09:37,410 --> 00:09:39,913 大丈夫なんですか? ああ。 116 00:09:39,913 --> 00:09:43,583 この段階では 空気が穴から入ると➨ 117 00:09:43,583 --> 00:09:46,753 せっかくのチャークロスが 発火するおそれがあるからな。 118 00:09:46,753 --> 00:09:49,756 (厳)チャークロスってのは 布の炭だ。 119 00:09:49,756 --> 00:09:53,426 炭素は酸素と結合し 燃焼し➨ 120 00:09:53,426 --> 00:09:55,929 二酸化炭素として出ていっちまう。 121 00:09:55,929 --> 00:10:00,266 しかし 缶に入っていると 高温になっても➨ 122 00:10:00,266 --> 00:10:03,436 酸素が不十分なので 燃焼できない。 123 00:10:03,436 --> 00:10:06,773 一部の炭素は分解され 穴から出ていくが➨ 124 00:10:06,773 --> 00:10:12,078 揮発性の低い炭素は残り 炭化するというわけだ。 125 00:10:14,280 --> 00:10:16,282 ほら できたぞ。 126 00:10:16,282 --> 00:10:21,287 わぁ… これを焚き火する時 枝の下に入れればいいんですね! 127 00:10:21,287 --> 00:10:26,292 いや これ単体で 枝を燃やすほどの力はない。 128 00:10:26,292 --> 00:10:29,462 ファイヤースターターや 火打ち石の火花だけで➨ 129 00:10:29,462 --> 00:10:31,464 着火できる。 130 00:10:35,135 --> 00:10:37,136 これを使って…。 131 00:10:39,472 --> 00:10:43,676 麻糸をほぐしたものや 枯れ葉とかで 火を育てていく。 132 00:10:45,812 --> 00:10:47,814 うわぁ…。 133 00:10:47,814 --> 00:10:50,650 でも 結構 手がかかるんですね。 134 00:10:50,650 --> 00:10:53,486 着火剤なんかを使っても いいんだけどな。 135 00:10:53,486 --> 00:10:57,690 自分で作ったものを使うってのは 風情がある。 136 00:11:01,828 --> 00:11:04,497 さて お前は そろそろ帰れ。 137 00:11:04,497 --> 00:11:09,002 その格好でウロチョロされると 満足に焚き火できねえんだよ。 138 00:11:09,002 --> 00:11:11,170 あっ そうですよね…。 139 00:11:11,170 --> 00:11:14,173 じゃあ 火の粉がつく前に 退散します。 140 00:11:14,173 --> 00:11:18,011 おう そうしてくれ。 あっ このチャークロス…。 141 00:11:18,011 --> 00:11:20,013 お前にやるよ。 142 00:11:20,013 --> 00:11:23,683 この前 焚き火に成功した その… 褒美っつうかな。 143 00:11:23,683 --> 00:11:26,853 ありがとうございます! 大切にしますね。 144 00:11:26,853 --> 00:11:29,522 大切にするな 使え! 145 00:11:29,522 --> 00:11:33,526 次からは自分で作れよ。 は~い。 146 00:11:37,297 --> 00:11:42,302 フッ… やっと焚き火に集中できる。 147 00:11:42,302 --> 00:11:45,805 (雫)厳さ~ん! 148 00:11:45,805 --> 00:11:47,807 ちょっと空いちゃいますけど➨ 149 00:11:47,807 --> 00:11:51,311 次のキャンプも よろしくお願いしますね~! 150 00:11:51,311 --> 00:11:54,480 バッカ… 大声で叫ぶな! 151 00:11:54,480 --> 00:11:56,983 じゃあ いってきます! 152 00:12:00,320 --> 00:12:04,324 (さや)あんた ホントに 袴 見せに行ったの? 153 00:12:04,324 --> 00:12:08,628 (瑞希)あの男 何か言ってた? (雫)あ~ そういえば何も…。 154 00:12:10,997 --> 00:12:12,999 《何も 言ってくれなかったけど…》 155 00:12:12,999 --> 00:12:15,501 フフッ…。 (瑞希)ねぇ 雫➨ 156 00:12:15,501 --> 00:12:18,404 何? その汚いの。 フフッ…。 157 00:12:36,122 --> 00:12:39,292 ⸨あれ 厳くんひとり? お父さんは? 158 00:12:39,292 --> 00:12:44,130 えっと… もうすぐ来ます。 先に入っててくれって…。 159 00:12:44,130 --> 00:12:47,967 う~ん 本当は困るんだけど…。 160 00:12:47,967 --> 00:12:51,971 君たち親子とは顔なじみだし…。 (厳)すみません…⸩ 161 00:12:59,812 --> 00:13:05,318 《厳:思えば あの時が 始まりだった 俺のソロキャンプは》 162 00:13:08,488 --> 00:13:10,690 そろそろ始めるか。 163 00:13:14,827 --> 00:13:17,330 《キャンプに行けば 簡単なメシばかりだが➨ 164 00:13:17,330 --> 00:13:22,001 年に1回 ふだんはあまり飲まない 日本酒と➨ 165 00:13:22,001 --> 00:13:24,504 つまみを作る時がある》 166 00:13:31,344 --> 00:13:35,348 よし 日本酒おつまみセットの 完成だ! 167 00:13:45,792 --> 00:13:48,294 それじゃあ 乾杯。 168 00:13:51,464 --> 00:13:54,467 ふぅ~ うめえ! 169 00:13:57,470 --> 00:14:01,474 《今度 遠征する時は 地酒でも買ってみるか》 170 00:14:01,474 --> 00:14:03,643 ふぅ~。 171 00:14:03,643 --> 00:14:06,479 《たまには こういう酒も いいもんだ。 172 00:14:06,479 --> 00:14:09,816 ちびちび焼き ちびちび食う。 173 00:14:09,816 --> 00:14:13,319 そして ちびちび酒を楽しむ。 174 00:14:13,319 --> 00:14:16,155 空を仰ぎ 火に語りかける。 175 00:14:16,155 --> 00:14:19,158 年に一度…》 176 00:14:19,158 --> 00:14:23,663 ⸨すまんな 厳 ちょっとした検査だけだ。 177 00:14:23,663 --> 00:14:26,499 すぐ退院できるから。 178 00:14:26,499 --> 00:14:29,669 だから そんな顔するな⸩ 179 00:14:29,669 --> 00:14:35,775 《厳:なんて言ってた親父は その2日後 あっさり死んだ》 180 00:14:35,775 --> 00:14:39,779 ⸨どうするの? 奥さんとも 別れたばかりでしょ。 181 00:14:39,779 --> 00:14:42,115 引き取る気ないって言うし…。 182 00:14:42,115 --> 00:14:44,617 こっちは 面倒 見きれないわよ⸩ 183 00:14:44,617 --> 00:14:47,120 《厳:ほとんど家にいなかった 母。 184 00:14:47,120 --> 00:14:51,624 人との距離のとり方が下手で 友人もいなかった俺。 185 00:14:51,624 --> 00:14:55,962 親父の存在は 世界のすべてだった。 186 00:14:55,962 --> 00:15:00,299 そのあとのことは あまり覚えていない。 187 00:15:00,299 --> 00:15:03,469 親父と行く約束をしていた キャンプ場に➨ 188 00:15:03,469 --> 00:15:05,471 ひとりで どうやって行ったのかも➨ 189 00:15:05,471 --> 00:15:08,474 なぜ行ったのかも…。 190 00:15:08,474 --> 00:15:11,644 うるさい親族から 離れたかったのか➨ 191 00:15:11,644 --> 00:15:16,649 それとも 親父を捜しに行ったのか…》 192 00:15:22,822 --> 00:15:25,625 ⸨おっ… 厳くん!? 193 00:15:28,661 --> 00:15:30,997 厳くん! 194 00:15:30,997 --> 00:15:33,433 厳くん! 厳くん!⸩ 195 00:15:33,433 --> 00:15:36,269 《厳:世界が 真っ暗になっていくのを➨ 196 00:15:36,269 --> 00:15:39,438 感じていた。 197 00:15:39,438 --> 00:15:44,443 よくも悪くも 放任主義な祖父母のもとに➨ 198 00:15:44,443 --> 00:15:49,782 預けられた俺は 相変わらず 勝手に孤独を感じ続けていた。 199 00:15:49,782 --> 00:15:51,784 中学生になると➨ 200 00:15:51,784 --> 00:15:54,954 親父の知り合いのキャンプ場に 通うようになった。 201 00:15:54,954 --> 00:15:57,790 デイキャンプ限定だ。 202 00:15:57,790 --> 00:16:00,793 火を前に 勝手にいなくなった親父に➨ 203 00:16:00,793 --> 00:16:03,963 文句を言い 親父が好きだった本を読み➨ 204 00:16:03,963 --> 00:16:06,632 親父の言葉を反すうし➨ 205 00:16:06,632 --> 00:16:09,969 失敗し 学んでいった。 206 00:16:09,969 --> 00:16:14,473 気がつけば 親父と共に 過ごした時間より➨ 207 00:16:14,473 --> 00:16:18,644 親父がいなくなってからの 時間のほうが 長くなっていた。 208 00:16:18,644 --> 00:16:24,650 親父の命日には 親父の好きだった 渓流のキャンプ場で➨ 209 00:16:24,650 --> 00:16:27,486 親父好みの酒や つまみを持って➨ 210 00:16:27,486 --> 00:16:31,657 火の中の親父に 会いに来ている。 211 00:16:31,657 --> 00:16:34,427 焚き火とは不思議なものだ。 212 00:16:34,427 --> 00:16:37,096 ある時は獣を遠ざけ➨ 213 00:16:37,096 --> 00:16:40,266 食事に 戦いに…。 214 00:16:40,266 --> 00:16:44,103 火には 太古の記憶が揺さぶられ➨ 215 00:16:44,103 --> 00:16:46,105 魅了される。 216 00:16:46,105 --> 00:16:48,107 ある学者は言う。 217 00:16:48,107 --> 00:16:51,611 焚き火には f分の1のゆらぎという➨ 218 00:16:51,611 --> 00:16:54,280 自然がかもし出す 波があり➨ 219 00:16:54,280 --> 00:16:57,450 それに人々は癒やされると。 220 00:16:57,450 --> 00:17:00,953 安堵と癒やし 興奮と情熱。 221 00:17:00,953 --> 00:17:04,957 さまざまなエネルギーを 火から感じ取ることができる。 222 00:17:04,957 --> 00:17:09,128 人は 時に 火を前に 未来を夢見➨ 223 00:17:09,128 --> 00:17:12,632 希望を語り 思想にふけり➨ 224 00:17:12,632 --> 00:17:16,969 過去に思いをはせる。 225 00:17:16,969 --> 00:17:20,640 報告しないといけないことが あります 父さん。 226 00:17:20,640 --> 00:17:24,310 変な小娘と キャンプをすることになりました。 227 00:17:24,310 --> 00:17:28,147 メシは一緒だけど それ以外は それぞれで…。 228 00:17:28,147 --> 00:17:30,149 父さんみたいに➨ 229 00:17:30,149 --> 00:17:34,086 誰かにキャンプについて 教える時が来るなんて…》 230 00:17:34,086 --> 00:17:36,589 ふたりソロキャンプか…。 231 00:17:36,589 --> 00:17:38,591 《まさか 俺が➨ 232 00:17:38,591 --> 00:17:41,294 誰かとキャンプに行く日が 来るとはな…》 233 00:17:44,931 --> 00:17:49,936 《お前が聞いたら なんて言うかな…》 234 00:17:49,936 --> 00:17:52,605 ⸨ハハ… そりゃ笑える。 (彰人)だろ? 235 00:17:52,605 --> 00:17:56,108 早くしろ 置いてくぞ。 ちょっと待ってくださいよ 先輩。 236 00:17:56,108 --> 00:17:58,110 あっ! (花夏)うわっ! 237 00:17:58,110 --> 00:18:01,614 おわっ…。 (花夏)すみません! 238 00:18:01,614 --> 00:18:03,950 大丈夫ですか? お客様。 すみません ホントに。 239 00:18:03,950 --> 00:18:06,452 ああ いいですから ここは。 (彰人)ハハハ…。 240 00:18:06,452 --> 00:18:08,454 ん? ん? 241 00:18:08,454 --> 00:18:11,123 あ… 厳くんじゃん! 242 00:18:11,123 --> 00:18:14,794 アタシだよ わかる? 243 00:18:14,794 --> 00:18:19,632 ほれ。 あっ この人 アタシの同級生なの。 244 00:18:19,632 --> 00:18:23,970 思い出した? すまん 誰? 245 00:18:23,970 --> 00:18:26,472 (花夏)えぇ~!? (彰人)こいつ 同級生なんか➨ 246 00:18:26,472 --> 00:18:30,142 まるで覚えてないもん。 (花夏)てか 彰人くんじゃん。 247 00:18:30,142 --> 00:18:32,745 アタシ もうちょっとで あがりだから まぜてよ! 248 00:18:32,745 --> 00:18:34,747 (花夏)生サービスするから。 249 00:18:34,747 --> 00:18:36,749 (花夏)店長 生3つ! はいよ! 250 00:18:36,749 --> 00:18:38,751 ハハハ…⸩ 251 00:18:38,751 --> 00:18:40,753 《厳:よく笑う女だった。 252 00:18:40,753 --> 00:18:47,927 がさつで男勝りだったが どこか女性らしかった。 253 00:18:47,927 --> 00:18:50,763 俺たちは しぜんと馬が合った。 254 00:18:50,763 --> 00:18:54,433 それから たまに 3人で会うようになり➨ 255 00:18:54,433 --> 00:18:58,604 時折 2人で会うようになった》 256 00:18:58,604 --> 00:19:00,940 ⸨厳くんは 意識してなかっただろうけど➨ 257 00:19:00,940 --> 00:19:05,277 高校のときは ちょっとした 有名人だったんだよ。 258 00:19:05,277 --> 00:19:07,947 (花夏)ひとりで つっぱってる 変人がいるって。 259 00:19:07,947 --> 00:19:10,616 ふ~ん。 (花夏)でも 一部では➨ 260 00:19:10,616 --> 00:19:13,119 孤高で かっこいいって。 261 00:19:15,287 --> 00:19:17,289 アタシも 前から➨ 262 00:19:17,289 --> 00:19:20,292 ちゃんと話してみたいと 思ってたんだ。 263 00:19:20,292 --> 00:19:22,461 ハハハ…⸩ 264 00:19:22,461 --> 00:19:24,463 《厳:変な女だった。 265 00:19:24,463 --> 00:19:27,133 お前も浮いてただろう と言おうとして やめた。 266 00:19:27,133 --> 00:19:31,470 社交的で その場で 誰とでも仲よくなれるタイプ。 267 00:19:31,470 --> 00:19:37,476 それでも 友人は少ないと 言っていたのを覚えている》 268 00:19:43,916 --> 00:19:47,253 ⸨花夏:またキャンプ行くの? ああ。 269 00:19:47,253 --> 00:19:50,756 どうせ 連れてって くれないんでしょう? 270 00:19:52,925 --> 00:19:56,429 俺は 生っ粋のソロキャンパーだからな。 271 00:19:56,429 --> 00:20:00,433 一度くらい 連れてってくれてもいいのに。 272 00:20:04,770 --> 00:20:09,775 いつまで こうやって会えるか わかんないんだし…。 273 00:20:09,775 --> 00:20:12,878 なんか言ったか? なんでもな~い⸩ 274 00:20:19,452 --> 00:20:23,289 《厳:結局 あいつは 俺の前からいなくなった。 275 00:20:23,289 --> 00:20:27,793 いい別れ方ではなかったと思う》 276 00:20:35,134 --> 00:20:40,639 《うちの卵は マヨネーズを入れるのだ。 277 00:20:40,639 --> 00:20:43,976 コーヒーは ちょっと楽して インスタントで》 278 00:20:43,976 --> 00:20:46,145 よし! 279 00:20:46,145 --> 00:20:48,147 《スクランブルエッグにベーコン。 280 00:20:48,147 --> 00:20:51,317 親父定番の朝食セットの完成だ。 281 00:20:51,317 --> 00:20:55,921 食パンにチーズをのせ 具材をのせる》 282 00:20:59,658 --> 00:21:01,994 《うめえ! 283 00:21:01,994 --> 00:21:05,164 親父と一緒に行ってた あの頃より➨ 284 00:21:05,164 --> 00:21:07,166 ひとりで行っている この時間が➨ 285 00:21:07,166 --> 00:21:11,837 はるかに長くなった 今だからこそ 言えることがある。 286 00:21:11,837 --> 00:21:18,344 焚き火も 夜の静けさも 朝の空気も 自然の音も➨ 287 00:21:18,344 --> 00:21:23,349 ギアを集めることも すべてが好きだ》 288 00:21:25,351 --> 00:21:27,353 ⸨花夏:好きなことを 仕事にするとか➨ 289 00:21:27,353 --> 00:21:31,857 考えたことはない? そんな簡単な話じゃないだろう。 290 00:21:31,857 --> 00:21:37,129 そんなことないよ。 だって私は そうするつもりだもん。 291 00:21:37,129 --> 00:21:39,131 海外に行って➨ 292 00:21:39,131 --> 00:21:41,133 大きな舞台に立ちたい。 293 00:21:41,133 --> 00:21:45,304 そのために 子どもの頃から お金貯めてある。 294 00:21:45,304 --> 00:21:49,108 だから 例えば 厳くんなら…⸩ 295 00:21:51,644 --> 00:21:54,647 《俺には ひそかな野望がある。 296 00:21:54,647 --> 00:21:58,818 生前 親父が 冗談まじりで言ってた夢が➨ 297 00:21:58,818 --> 00:22:02,655 いつしか俺自身の夢になった。 298 00:22:02,655 --> 00:22:06,992 あの時 言えなかった 俺の夢➨ 299 00:22:06,992 --> 00:22:10,496 今なら言えるかもしれない。 300 00:22:10,496 --> 00:22:16,669 小さくてもいい 自分のキャンプ場を 持つのが 俺の夢だ。 301 00:22:16,669 --> 00:22:21,173 花夏 お前はどうしている?》 302 00:22:30,850 --> 00:22:34,453 う~ん…。 303 00:22:34,453 --> 00:22:36,855 はぁ… 久々の日本だ。