1 00:00:04,104 --> 00:00:12,479 (慧月)うぅ… ハァ ハァ…。 2 00:00:12,479 --> 00:00:16,583 《息が… 苦しい…》 3 00:00:16,583 --> 00:00:20,120 ⸨珊瑚:いつもほど お熱は高くはありませんのに。 4 00:00:20,120 --> 00:00:24,157 (翠玉)玲琳様 それほどに おつろうございますか?⸩ 5 00:00:24,157 --> 00:00:27,761 《あの女は こんな高熱を出しながら➨ 6 00:00:27,761 --> 00:00:31,765 普通に振る舞っていたというの!? 7 00:00:31,765 --> 00:00:36,436 黄玲琳が儀式を休んだことはない。 8 00:00:36,436 --> 00:00:39,773 朱貴妃様だって 褒めこそすれ➨ 9 00:00:39,773 --> 00:00:44,111 こんな虚弱だとは 言ってなかった…》 10 00:00:44,111 --> 00:00:49,683 薬… 薬は どれなの…。 11 00:00:51,752 --> 00:00:54,755 どれよっ…。 12 00:00:54,755 --> 00:01:01,428 薬…! ハァ ハァ…。 13 00:01:01,428 --> 00:01:04,765 《おかしいわよ…。 14 00:01:04,765 --> 00:01:10,137 どうして入れ替わっても 私は惨めなのよ…》 15 00:01:10,137 --> 00:01:13,173 助けなさいよ…。 16 00:01:13,173 --> 00:01:18,178 私を助けなさい 黄玲琳!! 17 00:03:01,415 --> 00:03:04,918 莉莉 遅いですね…。 18 00:03:04,918 --> 00:03:08,855 ⸨莉莉:あたし 雅容様に かんざしを返してきます。 19 00:03:08,855 --> 00:03:11,425 いいえ 莉莉。 えっ? 20 00:03:11,425 --> 00:03:14,761 私が 落とし前をつけてまいります。 21 00:03:14,761 --> 00:03:17,097 あたしに行かせてください! 22 00:03:17,097 --> 00:03:20,767 今のあんた 納屋の害虫を 大量虐殺したときと同じ➨ 23 00:03:20,767 --> 00:03:23,437 めっちゃ怖い顔してるよ! へっ? 24 00:03:23,437 --> 00:03:26,773 じゃっ。 25 00:03:26,773 --> 00:03:30,844 い… いってきます。 26 00:03:30,844 --> 00:03:34,114 フフッ… いってらっしゃい⸩ 27 00:03:34,114 --> 00:03:36,750 《それにしても➨ 28 00:03:36,750 --> 00:03:41,121 金家の清佳様が 嫌がらせを命じたなんて…。 29 00:03:41,121 --> 00:03:45,792 誇り高くて 潔い方だと思っていたのですが…。 30 00:03:45,792 --> 00:03:49,763 私は 自分の体調を 整えることに必死で➨ 31 00:03:49,763 --> 00:03:53,433 皆様と心から交流が できてはいなかったのかも➨ 32 00:03:53,433 --> 00:03:55,435 しれませんね…。 33 00:03:55,435 --> 00:03:59,106 それに比べて 慧月様のお体は➨ 34 00:03:59,106 --> 00:04:02,442 気を張らなくても失神しない! 35 00:04:02,442 --> 00:04:05,779 興奮しても息切れしない! 36 00:04:05,779 --> 00:04:08,448 健康でうらやましい! 37 00:04:08,448 --> 00:04:10,450 いけません! 38 00:04:10,450 --> 00:04:13,820 こんな私を もし皇后陛下がご覧になったら➨ 39 00:04:13,820 --> 00:04:16,089 あきれられてしまいます! 40 00:04:16,089 --> 00:04:21,094 初めて雛宮に上がった日 胸に刻んだではないですか》 41 00:04:21,094 --> 00:04:26,500 ⸨玲琳よ わらわが 雛女に求めるものは ただ1つ。 42 00:04:26,500 --> 00:04:31,071 とくと胸に刻むがいい⸩ 43 00:04:31,071 --> 00:04:34,407 《陛下はただ 「根性がある」という理由だけで➨ 44 00:04:34,407 --> 00:04:37,744 私を雛女に 選んでくださったのですから。 45 00:04:37,744 --> 00:04:42,415 しっかりしなくては。 これは慧月様のお体なのです。 46 00:04:42,415 --> 00:04:46,052 あくまでも私は 黄玲琳なのですよ》 47 00:04:46,052 --> 00:04:48,655 黄玲琳! キャッ! 48 00:04:54,461 --> 00:05:01,401 慧月様でございますね? ハァ ハァ… そうよ…。 49 00:05:01,401 --> 00:05:04,070 ずいぶんとおつらそうですね…。 50 00:05:04,070 --> 00:05:10,744 熱が 全然引かないし… 息が できなくて…。 51 00:05:10,744 --> 00:05:13,079 今すぐ どうにかしてよ! 52 00:05:13,079 --> 00:05:16,716 息が? 息がどのようにできないのです? 53 00:05:16,716 --> 00:05:19,719 できないったら できないのよ! 54 00:05:19,719 --> 00:05:24,057 吸っても吸っても… 苦しい…! 55 00:05:24,057 --> 00:05:27,060 過呼吸を起こしているのですね。 56 00:05:27,060 --> 00:05:29,396 大丈夫です 慧月様。 57 00:05:29,396 --> 00:05:32,065 今は息をうまく吐けていないだけ。 58 00:05:32,065 --> 00:05:36,503 吐けてない!? 吸えないと… 言っているのよ!? 59 00:05:36,503 --> 00:05:40,740 体がちゃんと息を吐いていると 理解できていないのです。 60 00:05:40,740 --> 00:05:44,411 さぁ 慧月様 両手で口を覆って。 61 00:05:44,411 --> 00:05:47,380 苦しいのに… 口を覆うですって!? 62 00:05:47,380 --> 00:05:50,784 大丈夫 それだけ話せていますもの。 63 00:05:50,784 --> 00:05:53,453 さぁ 口を覆って。 64 00:05:55,722 --> 00:06:01,728 いいですか 私がいいと言うまで 息を吐いてください。 65 00:06:01,728 --> 00:06:04,397 ゆっくり…。 66 00:06:04,397 --> 00:06:10,737 吐いて… 大丈夫ですから。 67 00:06:10,737 --> 00:06:18,745 そうです 吸って… またゆっくり吐いて…。 68 00:06:18,745 --> 00:06:22,716 ふぅ…。 少し落ち着いてきました? 69 00:06:22,716 --> 00:06:26,086 そしたら 後ほど薬棚の左上の➨ 70 00:06:26,086 --> 00:06:32,726 9番と15番の薬を混ぜて 吸い込んでください。 71 00:06:32,726 --> 00:06:35,762 あなた どういう体をしているのよ。 72 00:06:35,762 --> 00:06:39,065 えっ? ありえないわよ こんなひ弱で。 73 00:06:39,065 --> 00:06:42,736 ちっとも健康なときが ないじゃないの。 おかしいわ。 74 00:06:42,736 --> 00:06:45,372 も 申し訳ありません。 75 00:06:45,372 --> 00:06:52,379 それが日常でしたので 慣れてしまっておりました…。 76 00:06:52,379 --> 00:06:57,083 あの… 入れ替わりはもう 解消なさいませんか? 77 00:06:57,083 --> 00:07:00,420 えっ…。 慧月様にこれ以上➨ 78 00:07:00,420 --> 00:07:05,392 その体でご迷惑をおかけするのは しのびなくて…。 79 00:07:05,392 --> 00:07:07,727 冗談じゃないわ。 80 00:07:07,727 --> 00:07:11,765 なに親切ぶって 有利に事を進めようとしているの。 81 00:07:11,765 --> 00:07:14,401 そういうわけでは…。 これまでは うまみを➨ 82 00:07:14,401 --> 00:07:17,070 十分に堪能できてなかったけど➨ 83 00:07:17,070 --> 00:07:20,407 それでも 誰もが私に かしずいてくれる➨ 84 00:07:20,407 --> 00:07:23,076 今の状況は最高だわ。 85 00:07:23,076 --> 00:07:28,381 あの高慢な金清佳さえ 見舞いにと香炉を寄越したのよ。 86 00:07:28,381 --> 00:07:31,384 清佳様が ですか…。 87 00:07:31,384 --> 00:07:34,054 あの それはもしかしたら➨ 88 00:07:34,054 --> 00:07:36,389 あまり 素直に受け取らないほうが…。 89 00:07:36,389 --> 00:07:40,427 フッ 負け惜しみ? いい気味だわ。 90 00:07:40,427 --> 00:07:45,065 あなたはそうやって 今の私を羨んでいればいいのよ。 91 00:07:45,065 --> 00:07:48,735 美貌も才気もない 誰からも顧みられない➨ 92 00:07:48,735 --> 00:07:51,404 どぶネズミの朱慧月としてね。 93 00:07:51,404 --> 00:07:54,074 そんなに ないないとおっしゃらなくても➨ 94 00:07:54,074 --> 00:07:59,079 慧月様は こんなに健康な体を お持ちではありませんか。 95 00:07:59,079 --> 00:08:01,715 はっ? それが何になるの? 96 00:08:01,715 --> 00:08:06,386 その体には 雛女に必要な才能が全然ないの。 97 00:08:06,386 --> 00:08:11,057 美貌と運と 愛をささやく男も 気を許せる友も➨ 98 00:08:11,057 --> 00:08:13,727 守ってくれる親も…。 99 00:08:13,727 --> 00:08:17,397 そうよ。 私の親は➨ 100 00:08:17,397 --> 00:08:21,735 肝心なものを 何一つ与えてくれなかったのだわ。 101 00:08:21,735 --> 00:08:24,371 ですが すてきなお名前を➨ 102 00:08:24,371 --> 00:08:28,408 与えてくださったでは ありませんか。 はぁ? 103 00:08:28,408 --> 00:08:33,413 慧月様は 乞巧節の夜 星に何を願いました? 104 00:08:33,413 --> 00:08:38,084 えっ? 私は 2つ願い事をしたのですが➨ 105 00:08:38,084 --> 00:08:42,722 1つは もちろん 健康になりたい でした。 106 00:08:42,722 --> 00:08:47,394 毎日毎日 それを願っていたのですもの。 107 00:08:47,394 --> 00:08:49,729 フン でしょうね。 108 00:08:49,729 --> 00:08:54,768 実は それまで願掛けなど あまり信じていなかったのですが。 109 00:08:54,768 --> 00:08:59,739 入れ替わって こうして 健康を得た今は 思うのです。 110 00:08:59,739 --> 00:09:01,741 あのほうき星には➨ 111 00:09:01,741 --> 00:09:06,146 本当に奇跡を起こす力が あったのではないかと。 112 00:09:06,146 --> 00:09:10,750 それが 私の名前と何か関係ある? 113 00:09:10,750 --> 00:09:13,386 慧月様の 「慧」の字は➨ 114 00:09:13,386 --> 00:09:18,425 彗星 ほうき星の心と書きますね。 115 00:09:18,425 --> 00:09:24,130 なんと壮大で 美しいお名前でしょう。 116 00:09:24,130 --> 00:09:28,101 私 あなた様に感謝しております。 117 00:09:31,538 --> 00:09:39,412 あなた様こそが 私のほうき星なのです。 118 00:09:39,412 --> 00:09:43,783 な 何を…。 119 00:09:43,783 --> 00:09:48,822 何を言うのよ。 バカじゃないの。 私なんかを星だなんて…。 120 00:09:48,822 --> 00:09:54,427 慧月様 一度 直接会って お話しできませんか? 121 00:09:54,427 --> 00:09:58,465 あなた様は 私ばかりが恵まれて 不公平だから➨ 122 00:09:58,465 --> 00:10:01,768 正すために入れ替わったと おっしゃいました。 123 00:10:01,768 --> 00:10:04,437 ですが 私 入れ替わって➨ 124 00:10:04,437 --> 00:10:09,442 いい思いをさせていただいて ばかりですし…。 125 00:10:09,442 --> 00:10:12,111 きちんとお話しできれば➨ 126 00:10:12,111 --> 00:10:15,715 何か風が吹くことも あるかもしれません。 127 00:10:17,750 --> 00:10:19,752 結構よ。 128 00:10:19,752 --> 00:10:25,158 私の体調が回復さえしたら あなたになんか もう用はないわ。 129 00:10:25,158 --> 00:10:27,193 慧月様…。 130 00:10:27,193 --> 00:10:31,130 朱慧月としていい思いを してるなんてきれいごと➨ 131 00:10:31,130 --> 00:10:35,101 いつまで言ってられるか。 楽しみにしているわ。 132 00:10:35,101 --> 00:10:38,371 慧月様… お待ちください。 フゥー。 133 00:10:41,441 --> 00:10:43,443 (莉莉)慧月様! (ドアが開く音) 134 00:10:43,443 --> 00:10:46,112 あっ… 莉莉。 135 00:10:46,112 --> 00:10:49,449 あたしのこと 待ってたんですか? えっ? 136 00:10:49,449 --> 00:10:53,786 なのに戻ってきたとわかって 慌てて火を消したんでしょう? 137 00:10:53,786 --> 00:10:56,789 バレバレですよ。 138 00:10:56,789 --> 00:11:00,159 フッ… おかえりなさい。 139 00:11:02,061 --> 00:11:05,064 (莉莉)んま~。 フフッ。 140 00:11:05,064 --> 00:11:08,434 無事に かんざしは返せましたか? 141 00:11:08,434 --> 00:11:11,471 それが どれだけ待っても➨ 142 00:11:11,471 --> 00:11:14,374 待ち合わせの場所に 来なかったんです。 143 00:11:14,374 --> 00:11:18,044 もしかしたら すでに あたしを鷲官長に突き出そうと➨ 144 00:11:18,044 --> 00:11:20,413 動いているのかも…。 だったら➨ 145 00:11:20,413 --> 00:11:23,049 とっくに 捕らえに来ているはずです。 146 00:11:23,049 --> 00:11:28,054 違うということは 先方も 莉莉と取り引きを重ねることは➨ 147 00:11:28,054 --> 00:11:31,391 危険だと判断して 手を引いたのでしょう。 148 00:11:31,391 --> 00:11:33,726 なら そう思うことにします。 149 00:11:33,726 --> 00:11:36,396 あたしも この件からは これっきり手を引いて…。 150 00:11:36,396 --> 00:11:39,799 何を言っているのですか? へっ? 151 00:11:39,799 --> 00:11:43,736 女官同士では決着がつかなかった ということなら➨ 152 00:11:43,736 --> 00:11:47,740 主人同士… 私と清佳様の間で➨ 153 00:11:47,740 --> 00:11:50,710 落とし前をつけるべきでは ありませんか? 154 00:11:50,710 --> 00:11:54,747 はい!? 折しも 3日後は中元節ですよね? 155 00:11:54,747 --> 00:11:57,417 そうだけど。 儀式に参加すれば➨ 156 00:11:57,417 --> 00:12:00,086 もれなく 清佳様にもお会いできます。 157 00:12:00,086 --> 00:12:04,057 いや 朱貴妃様は 出なくていいと おっしゃったじゃないですか。 158 00:12:04,057 --> 00:12:08,461 出なくていいということは 出てもいいということです。 159 00:12:08,461 --> 00:12:11,831 はっ!? けど 今の境遇の慧月様じゃ➨ 160 00:12:11,831 --> 00:12:14,701 上級女官たちは 随伴を拒否しますよ! 161 00:12:14,701 --> 00:12:16,736 付き添いのいない雛女なんて…。 162 00:12:16,736 --> 00:12:21,741 3日もあれば 銀朱の衣を きれいに繕えるから大丈夫ですよ。 163 00:12:21,741 --> 00:12:24,744 ねっ 莉莉上級女官殿? 164 00:12:24,744 --> 00:12:28,081 あ あたしが上級女官!? フフッ。 165 00:12:28,081 --> 00:12:31,050 いや でも 中元節の儀って➨ 166 00:12:31,050 --> 00:12:34,087 豊穣を願って 舞を奉納するじゃないですか。 167 00:12:34,087 --> 00:12:38,391 正直 踊りの才能なんて 慧月様はまったく…。 168 00:12:38,391 --> 00:12:40,426 莉莉。 169 00:12:40,426 --> 00:12:47,066 私はね 大切な女官の心の健康を 損ねた方に一矢報いねば➨ 170 00:12:47,066 --> 00:12:49,669 雛女として気が済まないのです。 171 00:12:52,071 --> 00:12:56,509 なら お好きに。 後悔しても知りませんから。 172 00:12:56,509 --> 00:12:58,411 そこは手を取り合って➨ 173 00:12:58,411 --> 00:13:01,748 えいえいおう! ではありませんか? 174 00:13:01,748 --> 00:13:04,417 夜更けに何言ってるんですか。 175 00:13:04,417 --> 00:13:10,089 《莉莉:ったく。 女官のかたき討ちとか ホント。 176 00:13:10,089 --> 00:13:13,660 あんた いったい誰なんだよ…》 177 00:13:16,462 --> 00:13:18,498 (尭明)こよいは これでしまいとしよう。 178 00:13:18,498 --> 00:13:21,401 (文官たち)はっ。 殿下。 179 00:13:21,401 --> 00:13:24,237 朱駒宮での 女官の刃傷沙汰の件ですが。 180 00:13:24,237 --> 00:13:27,407 よい。 報告書なら すでに目を通した。 181 00:13:27,407 --> 00:13:31,411 朱慧月が女官を擁護し 不問に付したのであろう。 182 00:13:31,411 --> 00:13:33,746 はい…。 183 00:13:33,746 --> 00:13:35,748 何が言いたい。 184 00:13:35,748 --> 00:13:39,752 (辰宇)朱慧月は 確かに悪女であったのでしょう。 185 00:13:39,752 --> 00:13:44,424 ですが 今は 変わろうとしている。 そう感じました。 186 00:13:44,424 --> 00:13:48,428 それが まことならば良いが。 187 00:13:48,428 --> 00:13:54,067 玲琳をまねて 慈悲の心を演じただけかもしれぬ。 188 00:13:54,067 --> 00:14:00,373 次に玲琳の猿まねをするなら 首をはねるとも告げたはずだが。 189 00:14:05,078 --> 00:14:07,046 まあいい…。 190 00:14:07,046 --> 00:14:10,416 獣尋の儀の判決に 従わねばとは思うが➨ 191 00:14:10,416 --> 00:14:13,786 あれ以来 弱っていく 玲琳の姿を見ていると➨ 192 00:14:13,786 --> 00:14:17,390 朱慧月への怒りが よみがえってもくる。 193 00:14:17,390 --> 00:14:21,394 玲琳の あの頼りなげな風情を見ると➨ 194 00:14:21,394 --> 00:14:24,063 恐ろしいのだ。 195 00:14:24,063 --> 00:14:28,735 あの夜 欄干の向こうへ 消えていったように。 196 00:14:28,735 --> 00:14:31,104 また…。 197 00:14:38,711 --> 00:14:48,388 (鼻歌) 198 00:14:48,388 --> 00:14:50,823 《莉莉:不思議…。 199 00:14:50,823 --> 00:14:55,027 この人が きれいに見えるなんて》 200 00:14:55,027 --> 00:14:58,731 んっ… 莉莉 おはようございます。 201 00:14:58,731 --> 00:15:03,102 もしや 起こしてしまいましたか? いや だから➨ 202 00:15:03,102 --> 00:15:06,372 主人を差し置いて のんきに寝てていい女官なんて➨ 203 00:15:06,372 --> 00:15:09,041 いないんですけど…。 えっ!? 204 00:15:09,041 --> 00:15:11,377 もう完成してる!? 205 00:15:11,377 --> 00:15:15,047 フフフッ 破れたところは すべて縫い終えました。 206 00:15:15,047 --> 00:15:17,049 こんな短時間で…。 207 00:15:17,049 --> 00:15:22,388 ハッ! まさか 上級女官の部屋から 新しい衣を盗んできたんですか? 208 00:15:22,388 --> 00:15:26,692 まぁ 莉莉ったら。 ちくちく地道に縫っただけですよ。 209 00:15:26,692 --> 00:15:29,061 (莉莉)こんなの 数刻じゃ無理ですよ! 210 00:15:29,061 --> 00:15:32,698 だって ようやく莉莉に あげられるものができたのが➨ 211 00:15:32,698 --> 00:15:36,068 うれしくて 興奮が抑えられず➨ 212 00:15:36,068 --> 00:15:39,372 ほんの少し 早く目が覚めてしまったのです。 213 00:15:39,372 --> 00:15:42,375 (莉莉)ちなみに 何時に起きたんです? 214 00:15:42,375 --> 00:15:47,780 んっ… 夜から朝に転じる ほんのひととき。 215 00:15:47,780 --> 00:15:51,551 地上が薄青く染まる あの神秘的な様子。 216 00:15:51,551 --> 00:15:53,719 長い夜のとばりをあけ➨ 217 00:15:53,719 --> 00:15:56,689 光あふれる世界へ 飛び出そうとする➨ 218 00:15:56,689 --> 00:16:01,127 まるで赤子の目の 薄青さにも通ずる清らかさ…。 219 00:16:01,127 --> 00:16:03,029 つまり完徹…? 220 00:16:03,029 --> 00:16:06,365 女官の繕い物のために 徹夜する雛女がいますか! 221 00:16:06,365 --> 00:16:08,401 えへっ。 ちょっ…。 222 00:16:08,401 --> 00:16:10,736 まぁ 色がぴったり! 223 00:16:10,736 --> 00:16:15,041 明るい色の髪が銀朱に映えて すばらしいですね。 224 00:16:15,041 --> 00:16:21,380 こんなに美しい女官を 伴えるなんて 私 鼻が高いです。 225 00:16:21,380 --> 00:16:23,382 (莉莉)やめてください。 226 00:16:23,382 --> 00:16:26,385 自分の素質くらい ちゃんとわかってますから…。 227 00:16:26,385 --> 00:16:28,387 莉莉? 228 00:16:28,387 --> 00:16:31,424 昨日だって 雅容様に会いに行く途中➨ 229 00:16:31,424 --> 00:16:33,459 銀朱たちに言われました。 230 00:16:33,459 --> 00:16:38,030 ⸨あら みすぼらしい赤ネズミさん どこへ行くのかしら。 231 00:16:38,030 --> 00:16:41,033 ホント 小汚いわね~⸩ 232 00:16:41,033 --> 00:16:44,370 (莉莉)にらみ返して やりましたけどね! 233 00:16:44,370 --> 00:16:48,407 ただ 別に卑屈になってるつもりは ないですけど。 234 00:16:48,407 --> 00:16:51,777 今のあたしに銀朱の衣は…。 235 00:16:51,777 --> 00:16:55,414 上級女官にふさわしい 立ち居振る舞いなんて➨ 236 00:16:55,414 --> 00:16:58,417 学んだこともないんですよ? 237 00:16:58,417 --> 00:17:04,056 その方々には ちゃんと 莉莉から反撃したのですね? 238 00:17:04,056 --> 00:17:06,058 えっ? えぇ。 239 00:17:06,058 --> 00:17:08,761 舌打ちもおまけしたら 逃げていきましたけど。 240 00:17:08,761 --> 00:17:10,730 まあでも だから➨ 241 00:17:10,730 --> 00:17:13,399 あたしに銀朱って どうなのかなって…。 242 00:17:13,399 --> 00:17:17,069 そう。 243 00:17:17,069 --> 00:17:19,739 《莉莉:怒ってる…?》 244 00:17:19,739 --> 00:17:22,742 それでは…。 245 00:17:22,742 --> 00:17:25,111 色糸で刺繍を施して➨ 246 00:17:25,111 --> 00:17:28,748 史上最大に豪華な銀朱の 衣装を仕上げてみせますので➨ 247 00:17:28,748 --> 00:17:30,750 ご期待くださいね。 248 00:17:30,750 --> 00:17:33,085 はっ? 考えてみれば➨ 249 00:17:33,085 --> 00:17:35,087 せっかくの晴れの舞台➨ 250 00:17:35,087 --> 00:17:37,456 ごく一般的な 衣を仕立てようとしていた➨ 251 00:17:37,456 --> 00:17:40,393 私が愚かでした。 えっ? 252 00:17:40,393 --> 00:17:44,764 式典の場には 女官もまた刺繍の衣が許される。 253 00:17:44,764 --> 00:17:49,068 となれば 全身を着飾らぬわけには まいりませんよね。 254 00:17:49,068 --> 00:17:51,470 いや 待って? あの あたし今➨ 255 00:17:51,470 --> 00:17:53,506 自分は銀朱には ふさわしくない➨ 256 00:17:53,506 --> 00:17:55,408 って言った つもりだったんですけど…。 257 00:17:55,408 --> 00:17:58,377 えぇ つまり 銀朱にふさわしい女性に➨ 258 00:17:58,377 --> 00:18:01,047 早くなりたいということですよね。 259 00:18:01,047 --> 00:18:03,049 なんと素晴らしいことでしょう。 260 00:18:03,049 --> 00:18:06,419 莉莉がここまで 志の高い人物だったなんて…。 261 00:18:06,419 --> 00:18:09,689 そんな志なんてないですけど!? あぁ もう…。 262 00:18:09,689 --> 00:18:11,724 好きです! ギャーッ! 263 00:18:11,724 --> 00:18:14,393 その根性。 飽くなき向上心。 264 00:18:14,393 --> 00:18:17,730 あなたは なんと 上級女官にふさわしい魂を➨ 265 00:18:17,730 --> 00:18:19,799 お持ちなのでしょう。 い いや だから…。 266 00:18:19,799 --> 00:18:21,701 共に頑張りましょうね。 267 00:18:21,701 --> 00:18:24,370 私 全力で 支えさせていただきます。 268 00:18:24,370 --> 00:18:27,373 ちょっ…。 まずは 姿勢改善から。 269 00:18:27,373 --> 00:18:31,377 筋力を上げる鍛錬を朝夕一刻ずつ。 270 00:18:31,377 --> 00:18:34,780 呼吸については これから日常のすべてを➨ 271 00:18:34,780 --> 00:18:37,049 腹式呼吸に切り替えましょう。 272 00:18:37,049 --> 00:18:43,723 それから 経典の暗記 筆の練習 刺繍も少し頑張っていただいて➨ 273 00:18:43,723 --> 00:18:46,726 あと それから…。 なんで上級女官になることが➨ 274 00:18:46,726 --> 00:18:50,363 前提になってんだよ! だって あなたは 私の➨ 275 00:18:50,363 --> 00:18:54,066 唯一の大切な女官でしょう? 276 00:18:54,066 --> 00:18:59,038 あぁ 藤黄の衣をまとう 莉莉の姿というのも➨ 277 00:18:59,038 --> 00:19:02,375 本当に 素晴らしいことでしょうねぇ。 278 00:19:02,375 --> 00:19:05,378 《莉莉:藤黄? 279 00:19:05,378 --> 00:19:10,349 藤黄は 黄麒宮の上級女官のまとう色だ。 280 00:19:10,349 --> 00:19:13,052 まさか…》 281 00:19:13,052 --> 00:19:16,389 どうかしましたか? いえ。 282 00:19:16,389 --> 00:19:19,725 《莉莉:単なる言い間違い…?》 283 00:19:19,725 --> 00:19:24,030 冷静に考えて 儀式の主役は雛女様でしょう? 284 00:19:24,030 --> 00:19:26,699 あんたこそ もろもろの準備をしないと。 285 00:19:26,699 --> 00:19:30,369 式典用の衣装もないのに。 ご安心ください。 286 00:19:30,369 --> 00:19:34,373 莉莉の洗朱の衣を頂戴して 加工いたしますので。 287 00:19:34,373 --> 00:19:37,777 染色用の花や 昨日切った髪で作った筆も➨ 288 00:19:37,777 --> 00:19:39,812 用意したのですよ。 289 00:19:39,812 --> 00:19:43,049 雛女のくせに この生活に順応しすぎ! 290 00:19:43,049 --> 00:19:45,051 でも その…。 291 00:19:45,051 --> 00:19:47,420 あたしだけ 雛女様に手を掛けてもらって➨ 292 00:19:47,420 --> 00:19:51,724 導かれるのも その… ふがいないかなと…。 293 00:19:51,724 --> 00:19:55,695 まあ! でしたら莉莉 あなたは代わりに➨ 294 00:19:55,695 --> 00:19:58,364 私に胡旋舞を 教えてくださいませんか? 295 00:19:58,364 --> 00:20:01,367 はい!? いや あんな難易度の高い舞➨ 296 00:20:01,367 --> 00:20:05,037 あたしができるわけないでしょ!? ご謙遜を。 297 00:20:05,037 --> 00:20:07,406 お母君は 胡旋舞の名手で➨ 298 00:20:07,406 --> 00:20:09,708 あなたは それを見てきたのでしょう? 299 00:20:09,708 --> 00:20:12,445 ならば思い出せるはず。 300 00:20:12,445 --> 00:20:14,747 ⸨キャハハハ…!⸩ 301 00:20:16,782 --> 00:20:19,385 こたびの儀には 向かない舞ですし➨ 302 00:20:19,385 --> 00:20:22,388 私も引き出しを 増やしたいだけですので➨ 303 00:20:22,388 --> 00:20:24,423 どうぞお気軽に。 304 00:20:24,423 --> 00:20:27,393 い いや でも…。 ねっ? 305 00:20:32,698 --> 00:20:36,402 じゃあ ちょっとだけ なら? 306 00:20:36,402 --> 00:20:39,038 わぁ… はい! 307 00:20:39,038 --> 00:20:42,041 さぁ 声を出してまいりましょう! 308 00:20:55,688 --> 00:21:00,359 《つまらないこと。 華がありませんわ。 309 00:21:00,359 --> 00:21:03,529 まったく興が乗らない。 310 00:21:03,529 --> 00:21:07,399 雛女たちが 豊穣の舞を披露する中元節は➨ 311 00:21:07,399 --> 00:21:10,703 秋を司る我が金家の領分。 312 00:21:10,703 --> 00:21:15,708 なのに 儀の準備は いまいましい朱慧月のせいで➨ 313 00:21:15,708 --> 00:21:18,711 忌払いで中断。 規模も縮小。 314 00:21:18,711 --> 00:21:21,013 もっとも許し難いのは➨ 315 00:21:21,013 --> 00:21:24,717 玲琳様が 今日の儀に出られないとのこと。 316 00:21:24,717 --> 00:21:29,722 殿下の胡蝶とたたえられる 美しい玲琳様。 317 00:21:29,722 --> 00:21:32,091 いつか皇后になられたら➨ 318 00:21:32,091 --> 00:21:37,062 私が貴妃として 共に殿下を支えたい。 319 00:21:37,062 --> 00:21:40,699 それが 朱慧月に突き落とされて以来➨ 320 00:21:40,699 --> 00:21:43,369 床に伏せっておられる。 321 00:21:43,369 --> 00:21:46,038 殿下の鑑賞に値するのは➨ 322 00:21:46,038 --> 00:21:49,708 私と玲琳様の 舞くらいしかないのに。 323 00:21:49,708 --> 00:21:55,714 仏頂面の玄家の女と リスみたいな藍家の小娘の舞では➨ 324 00:21:55,714 --> 00:21:58,050 穴埋めにもなりやしない。 325 00:21:58,050 --> 00:22:00,719 ましてや朱慧月など…。 326 00:22:00,719 --> 00:22:03,389 無芸無才で卑劣な女。 327 00:22:03,389 --> 00:22:08,060 どぶネズミに時間を割くのも無粋だと 放置してきたけれど➨ 328 00:22:08,060 --> 00:22:10,362 もはや我慢ならないわ。 329 00:22:10,362 --> 00:22:14,033 雛宮に居残っているのを 後悔するほどに➨ 330 00:22:14,033 --> 00:22:17,469 徹底的に惨めな目に遭わせてやる。 331 00:22:17,469 --> 00:22:22,741 さぁ 出ていらっしゃい。 朱慧月!!》