1 00:00:05,172 --> 00:00:10,219 (慧月(けいげつ):玲琳(れいりん)の声) ハァ ハァ ハァ ハァ… 2 00:00:10,302 --> 00:00:12,054 うっ… ハァ… 3 00:00:12,722 --> 00:00:16,434 (慧月)息が 苦しい 4 00:00:16,517 --> 00:00:20,020 (珊瑚)いつもほど お熱は高くはありませんのに 5 00:00:20,104 --> 00:00:23,941 (翠玉)玲琳様 それほどに おつろうございますか? 6 00:00:24,024 --> 00:00:27,903 (慧月)あの女は こんな高熱を出しながら 7 00:00:27,987 --> 00:00:30,614 普通に ふるまっていたというの? 8 00:00:32,616 --> 00:00:36,579 黄(こう) 玲琳が 儀式を休んだことはない 9 00:00:36,662 --> 00:00:40,040 朱(しゅ)貴妃様だって 褒めこそすれ 10 00:00:40,124 --> 00:00:42,877 こんな虚弱だとは言ってなかった 11 00:00:44,712 --> 00:00:46,380 (玲琳:慧月の声)薬… 12 00:00:47,423 --> 00:00:50,009 薬は どれなの 13 00:00:51,844 --> 00:00:53,512 どれよ 14 00:00:54,847 --> 00:00:56,098 薬… 15 00:00:56,182 --> 00:00:59,018 ハァ ハァ ハァ… 16 00:01:02,229 --> 00:01:04,148 (慧月)おかしいわよ 17 00:01:05,107 --> 00:01:09,904 どうして 入れ替わっても わたくしは惨めなのよ 18 00:01:10,571 --> 00:01:12,615 (慧月:玲琳の声)助けなさいよ 19 00:01:13,157 --> 00:01:14,909 わたくしを助けなさい 20 00:01:15,993 --> 00:01:18,162 黄 玲琳! 21 00:01:19,455 --> 00:01:23,793 ♪~ 22 00:02:43,622 --> 00:02:48,961 ~♪ 23 00:02:51,964 --> 00:02:54,633 (玲琳:慧月の声) 莉莉(りーりー) 遅いですね 24 00:02:54,717 --> 00:02:58,596 (莉莉)あたし 雅容(がよう)様に かんざしを返してきます 25 00:02:59,221 --> 00:03:01,348 (玲琳:慧月の声)いいえ 莉莉 26 00:03:01,432 --> 00:03:04,727 わたくしが落とし前を つけてまいります 27 00:03:04,810 --> 00:03:06,979 (莉莉)あたしに 行かせてください! 28 00:03:07,062 --> 00:03:10,733 今のあんた 納屋の害虫を 大量虐殺した時と同じ 29 00:03:10,816 --> 00:03:12,234 めっちゃ怖い顔してるよ 30 00:03:12,318 --> 00:03:13,152 え? 31 00:03:14,153 --> 00:03:15,321 (莉莉)じゃあ 32 00:03:16,989 --> 00:03:19,658 い… いってきます 33 00:03:20,868 --> 00:03:23,662 (玲琳:慧月の声) フフッ いってらっしゃい 34 00:03:25,122 --> 00:03:26,165 (玲琳)それにしても 35 00:03:26,957 --> 00:03:31,170 金(きん)家の清佳(せいか)様が 嫌がらせを命じたなんて… 36 00:03:31,253 --> 00:03:35,799 誇り高くて潔い方だと 思っていたのですが 37 00:03:35,883 --> 00:03:39,553 わたくしは 自分の体調を整えることに必死で 38 00:03:39,637 --> 00:03:45,142 皆様と心から交流ができては いなかったのかもしれませんね 39 00:03:45,643 --> 00:03:49,063 それに比べて慧月様のお体は 40 00:03:49,146 --> 00:03:51,732 気を張らなくても 失神しない 41 00:03:52,399 --> 00:03:55,069 興奮しても 息切れしない 42 00:03:55,653 --> 00:03:58,197 健康で羨ましい 43 00:03:58,280 --> 00:03:59,114 ハッ… 44 00:03:59,198 --> 00:04:00,282 いけません 45 00:04:00,366 --> 00:04:03,827 こんなわたくしを もし皇后陛下が ご覧になったら 46 00:04:03,911 --> 00:04:05,621 あきれられてしまいます 47 00:04:06,205 --> 00:04:08,624 初めて雛宮(すうぐう)に上がった日 48 00:04:08,707 --> 00:04:11,251 胸に刻んだではないですか 49 00:04:11,335 --> 00:04:12,962 (絹秀(けんしゅう))玲琳よ 50 00:04:13,045 --> 00:04:16,590 わらわが雛女(ひめ)に求めるものは ただひとつ 51 00:04:16,674 --> 00:04:18,634 とくと胸に刻むがいい 52 00:04:20,970 --> 00:04:24,431 (玲琳)陛下は ただ 根性があるという理由だけで 53 00:04:24,515 --> 00:04:27,685 わたくしを雛女に 選んでくださったのですから 54 00:04:27,768 --> 00:04:29,645 しっかりしなくては 55 00:04:29,728 --> 00:04:32,314 これは慧月様のお体なのです 56 00:04:32,398 --> 00:04:33,816 あくまでも わたくしは 57 00:04:33,899 --> 00:04:36,068 黄 玲琳なのですよ 58 00:04:36,151 --> 00:04:38,278 (慧月:玲琳の声)黄 玲琳! 59 00:04:44,410 --> 00:04:47,204 慧月様でございますね 60 00:04:47,287 --> 00:04:50,082 ハァ ハァ… そうよ 61 00:04:51,667 --> 00:04:54,294 (玲琳:慧月の声) ずいぶんと おつらそうですね 62 00:04:54,378 --> 00:04:57,840 熱が全然 引かないし 63 00:04:57,923 --> 00:04:59,967 息ができなくて 64 00:05:00,884 --> 00:05:03,095 今すぐ どうにかしてよ! 65 00:05:03,178 --> 00:05:04,513 息が? 66 00:05:04,596 --> 00:05:06,598 息が どのようにできないのです? 67 00:05:06,682 --> 00:05:09,476 できないったら できないのよ! 68 00:05:10,310 --> 00:05:13,522 吸っても 吸っても 苦しい 69 00:05:14,189 --> 00:05:16,984 過呼吸を起こしているのですね 70 00:05:17,484 --> 00:05:19,403 大丈夫です 慧月様 71 00:05:19,486 --> 00:05:21,864 今は 息を うまく吐けていないだけ 72 00:05:21,947 --> 00:05:23,741 吐けてない? 73 00:05:23,824 --> 00:05:26,368 吸えないと 言っているのよ 74 00:05:26,452 --> 00:05:30,873 体が ちゃんと 息を吐いていると 理解できていないのです 75 00:05:30,956 --> 00:05:34,126 さあ 慧月様 両手で口を覆って 76 00:05:34,209 --> 00:05:37,254 苦しいのに 口を覆うですって? 77 00:05:37,337 --> 00:05:40,674 (玲琳:慧月の声)大丈夫 それだけ話せていますもの 78 00:05:40,758 --> 00:05:43,177 さあ 口を覆って 79 00:05:46,096 --> 00:05:47,139 いいですか 80 00:05:47,222 --> 00:05:51,268 わたくしが いいと言うまで 息を吐いてください 81 00:05:52,102 --> 00:05:53,437 ゆっくり 82 00:05:54,980 --> 00:05:56,106 吐いて 83 00:05:57,441 --> 00:05:58,942 大丈夫ですから 84 00:06:00,986 --> 00:06:03,697 そうです 吸って 85 00:06:05,324 --> 00:06:07,868 また ゆっくり吐いて 86 00:06:10,329 --> 00:06:13,040 (玲琳:慧月の声) 少し落ち着いてきました? 87 00:06:13,123 --> 00:06:18,837 そうしたら後ほど 薬棚の左上の 9番と15番の薬を混ぜて 88 00:06:18,921 --> 00:06:20,714 吸い込んでください 89 00:06:22,674 --> 00:06:25,511 (慧月:玲琳の声)あなた どういう体をしているのよ 90 00:06:25,594 --> 00:06:26,428 え? 91 00:06:26,512 --> 00:06:29,181 ありえないわよ こんなひ弱で 92 00:06:29,264 --> 00:06:31,475 ちっとも健康な時が ないじゃないの 93 00:06:31,558 --> 00:06:32,768 おかしいわ! 94 00:06:32,851 --> 00:06:35,521 も… 申し訳ありません 95 00:06:35,604 --> 00:06:40,567 それが日常でしたので 慣れてしまっておりました 96 00:06:42,778 --> 00:06:43,821 あの… 97 00:06:43,904 --> 00:06:47,032 入れ替わりは もう解消なさいませんか? 98 00:06:47,116 --> 00:06:48,283 え… 99 00:06:48,367 --> 00:06:50,327 慧月様に これ以上 100 00:06:50,410 --> 00:06:54,164 その体で ご迷惑をおかけするのは 忍びなくて 101 00:06:56,041 --> 00:06:57,876 冗談じゃないわ 102 00:06:57,960 --> 00:07:01,672 何 親切ぶって 有利に事を進めようとしているの? 103 00:07:01,755 --> 00:07:03,006 そういうわけでは… 104 00:07:03,090 --> 00:07:04,299 (慧月:玲琳の声) これまでは うまみを 105 00:07:04,383 --> 00:07:07,219 十分に堪能できてなかったけど 106 00:07:07,302 --> 00:07:11,431 それでも 誰もが わたくしに かしずいてくれる今の状況は 107 00:07:11,515 --> 00:07:12,766 最高だわ 108 00:07:12,850 --> 00:07:15,269 あの高慢な金 清佳さえ 109 00:07:15,352 --> 00:07:18,397 見舞いにと香炉をよこしたのよ 110 00:07:18,480 --> 00:07:21,316 清佳様がですか? 111 00:07:21,400 --> 00:07:23,944 あの… それは もしかしたら 112 00:07:24,027 --> 00:07:26,155 あまり素直に 受け取らないほうが… 113 00:07:26,238 --> 00:07:28,699 (慧月:玲琳の声) フッ 負け惜しみ? 114 00:07:28,782 --> 00:07:30,117 いい気味だわ 115 00:07:30,701 --> 00:07:32,035 あなたは そうやって 116 00:07:32,119 --> 00:07:35,164 今のわたくしを 羨んでいればいいのよ 117 00:07:35,247 --> 00:07:38,625 美貌も才気もない 誰からも顧みられない 118 00:07:38,709 --> 00:07:41,253 ドブネズミの朱 慧月としてね 119 00:07:41,336 --> 00:07:44,423 そんなに“ない ない”と おっしゃらなくても… 120 00:07:44,506 --> 00:07:49,178 慧月様は こんなに健康な体を お持ちではありませんか 121 00:07:49,261 --> 00:07:51,638 (慧月:玲琳の声) は? それが何になるの? 122 00:07:51,722 --> 00:07:56,435 その体には 雛女に必要な才能が全然ないの 123 00:07:56,518 --> 00:07:57,895 美貌と運と 124 00:07:57,978 --> 00:08:00,939 愛をささやく男も 気を許せる友も 125 00:08:01,023 --> 00:08:03,025 守ってくれる親も 126 00:08:04,109 --> 00:08:05,736 そうよ 127 00:08:05,819 --> 00:08:08,447 わたくしの親は 肝心なものを 128 00:08:08,530 --> 00:08:11,575 何ひとつ 与えてくれなかったのだわ 129 00:08:11,658 --> 00:08:13,160 (玲琳:慧月の声)ですが 130 00:08:13,243 --> 00:08:16,872 すてきなお名前を 与えてくださったではありませんか 131 00:08:16,955 --> 00:08:18,040 はあ? 132 00:08:18,123 --> 00:08:23,253 慧月様は 乞巧節(きっこうせつ)の夜 星に何を願いました? 133 00:08:24,546 --> 00:08:27,799 わたくしは 2つ 願い事をしたのですが 134 00:08:27,883 --> 00:08:32,971 1つは もちろん “健康になりたい”でした 135 00:08:33,055 --> 00:08:37,559 毎日 毎日 それを願っていたのですもの 136 00:08:37,643 --> 00:08:39,686 (慧月:玲琳の声) フン… でしょうね 137 00:08:39,770 --> 00:08:44,441 実は それまで 願かけなど あまり信じていなかったのですが 138 00:08:45,317 --> 00:08:50,030 入れ替わって こうして 健康を得た今は思うのです 139 00:08:50,113 --> 00:08:52,032 あのほうき星には 140 00:08:52,115 --> 00:08:55,953 本当に奇跡を起こす力が あったのではないかと 141 00:08:56,036 --> 00:09:00,207 それが わたくしの名前と 何か関係ある? 142 00:09:00,999 --> 00:09:05,212 (玲琳:慧月の声) 慧月様の慧の字は彗星(すいせい)… 143 00:09:05,295 --> 00:09:08,340 ほうき星の心と書きますね 144 00:09:08,423 --> 00:09:12,219 なんと壮大で美しいお名前でしょう 145 00:09:14,179 --> 00:09:15,430 わたくし 146 00:09:15,514 --> 00:09:18,100 あなた様に 感謝しております 147 00:09:21,687 --> 00:09:23,563 あなた様こそが 148 00:09:24,690 --> 00:09:27,234 わたくしのほうき星なのです 149 00:09:29,861 --> 00:09:32,072 な… 何を… 150 00:09:34,074 --> 00:09:36,785 何を言うのよ バカじゃないの 151 00:09:36,868 --> 00:09:38,745 わたくしなんかを星だなんて 152 00:09:39,538 --> 00:09:41,039 慧月様 153 00:09:41,123 --> 00:09:44,251 一度 直接 会って お話しできませんか? 154 00:09:44,334 --> 00:09:48,380 あなた様は わたくしばかりが 恵まれて不公平だから 155 00:09:48,463 --> 00:09:51,633 正すために入れ替わったと おっしゃいました 156 00:09:51,717 --> 00:09:53,010 ですが わたくし 157 00:09:53,593 --> 00:09:57,514 入れ替わって いい思いを させていただいてばかりですし 158 00:09:59,850 --> 00:10:02,394 きちんと お話しできれば 159 00:10:02,477 --> 00:10:05,397 何か風が吹くことも あるかもしれません 160 00:10:08,275 --> 00:10:09,526 結構よ 161 00:10:09,609 --> 00:10:15,240 わたくしの体調が回復さえしたら あなたになんか もう用はないわ 162 00:10:15,324 --> 00:10:17,034 慧月様… 163 00:10:17,117 --> 00:10:18,327 朱 慧月として 164 00:10:18,410 --> 00:10:20,996 いい思いをしてるなんて きれいごと 165 00:10:21,079 --> 00:10:24,750 いつまで言ってられるか 楽しみにしているわ 166 00:10:24,833 --> 00:10:26,585 慧月様 お待ちください 167 00:10:26,585 --> 00:10:27,544 慧月様 お待ちください 168 00:10:26,585 --> 00:10:27,544 (息を吹きかける音) 169 00:10:31,757 --> 00:10:34,134 (扉が開く音) (莉莉)慧月様 170 00:10:35,135 --> 00:10:36,219 (玲琳:慧月の声)莉莉 171 00:10:36,303 --> 00:10:38,555 あたしのこと 待ってたんですか? 172 00:10:38,638 --> 00:10:39,639 (玲琳:慧月の声)え? 173 00:10:39,723 --> 00:10:41,641 (莉莉) なのに 戻ってきたと分かって 174 00:10:41,725 --> 00:10:43,685 慌てて火を消したんでしょう? 175 00:10:43,769 --> 00:10:45,645 バレバレですよ 176 00:10:46,980 --> 00:10:48,398 フフッ 177 00:10:48,482 --> 00:10:50,150 おかえりなさい 178 00:10:51,485 --> 00:10:52,903 (莉莉)んま~ 179 00:10:55,530 --> 00:10:58,742 (玲琳:慧月の声)無事に かんざしは返せましたか? 180 00:10:58,825 --> 00:11:01,328 それが どれだけ待っても 181 00:11:01,411 --> 00:11:03,455 待ち合わせの場所に 来なかったんです 182 00:11:04,456 --> 00:11:06,041 もしかしたら すでに 183 00:11:06,124 --> 00:11:09,336 あたしを鷲官長(しゅうかんちょう)に突き出そうと 動いてるのかも 184 00:11:09,419 --> 00:11:13,423 だったら とっくに 捕らえに来ているはずです 185 00:11:13,507 --> 00:11:15,217 違うということは 186 00:11:15,300 --> 00:11:17,886 先方も 莉莉と 取り引きを重ねることは 187 00:11:17,969 --> 00:11:19,721 危険だと判断して 188 00:11:19,805 --> 00:11:21,348 手を引いたのでしょう 189 00:11:21,431 --> 00:11:23,683 なら そう思うことにします 190 00:11:23,767 --> 00:11:26,478 あたしも この件からは これっきり手を引いて… 191 00:11:26,561 --> 00:11:28,105 (玲琳:慧月の声) 何を言っているのですか? 192 00:11:28,188 --> 00:11:29,022 へ? 193 00:11:29,815 --> 00:11:33,902 (玲琳:慧月の声)女官同士では 決着がつかなかったということなら 194 00:11:29,815 --> 00:11:33,902 (骨を鳴らす音) 195 00:11:33,985 --> 00:11:37,697 主人同士 わたくしと清佳様の間で 196 00:11:37,781 --> 00:11:40,659 落とし前を つけるべきではありませんか? 197 00:11:40,742 --> 00:11:41,618 はい? 198 00:11:41,701 --> 00:11:44,788 折しも 3日後は中元節(ちゅうげんせつ)ですよね? 199 00:11:44,871 --> 00:11:45,997 そうだけど… 200 00:11:46,081 --> 00:11:49,918 儀式に参加すれば もれなく 清佳様にも お会いできます 201 00:11:50,001 --> 00:11:53,922 いや 朱貴妃様は 出なくていいと おっしゃったじゃないですか 202 00:11:54,005 --> 00:11:56,425 出なくていいということは 203 00:11:56,508 --> 00:11:58,343 出てもいいということです 204 00:11:58,427 --> 00:11:59,344 は? 205 00:11:59,428 --> 00:12:01,888 けど 今の境遇の慧月様じゃ 206 00:12:01,972 --> 00:12:04,724 上級女官たちは 随伴を拒否しますよ 207 00:12:04,808 --> 00:12:06,643 付き添いのいない雛女なんて… 208 00:12:06,726 --> 00:12:11,440 3日もあれば 銀朱(ぎんしゅ)の衣を きれいに繕えるから大丈夫ですよ 209 00:12:12,023 --> 00:12:14,609 ねっ 莉莉上級女官殿? 210 00:12:14,693 --> 00:12:17,070 あ… あたしが上級女官? 211 00:12:17,154 --> 00:12:18,363 フフッ 212 00:12:18,447 --> 00:12:20,949 いや でも 中元節の儀って 213 00:12:21,032 --> 00:12:23,994 豊穣(ほうじょう)を願って 舞を奉納するじゃないですか 214 00:12:24,077 --> 00:12:28,457 正直 踊りの才能なんて 慧月様は全く… 215 00:12:28,540 --> 00:12:30,125 (玲琳:慧月の声)莉莉 (莉莉)あ… 216 00:12:30,709 --> 00:12:32,294 わたくしはね 217 00:12:32,377 --> 00:12:37,174 大切な女官の心の健康を損ねた方に 一矢報いねば 218 00:12:37,257 --> 00:12:39,509 雛女として気が済まないのです 219 00:12:39,593 --> 00:12:41,094 (莉莉)ハッ… 220 00:12:42,095 --> 00:12:43,889 なら お好きに 221 00:12:43,972 --> 00:12:46,475 後悔しても知りませんから 222 00:12:46,558 --> 00:12:48,477 そこは手を取り合って 223 00:12:48,560 --> 00:12:51,605 “えい えい おー!”では ありませんか? 224 00:12:51,688 --> 00:12:53,732 夜ふけに何 言ってるんですか 225 00:12:54,524 --> 00:12:58,195 …ったく 女官の仇(かたき)討ちとか 226 00:12:58,820 --> 00:12:59,738 ホント 227 00:13:01,072 --> 00:13:03,617 あんた 一体 誰なんだよ 228 00:13:06,328 --> 00:13:08,580 (尭明(ぎょうめい))今宵(こよい)は これで しまいとしよう 229 00:13:08,663 --> 00:13:09,998 (文官たち)はっ 230 00:13:10,582 --> 00:13:11,666 (辰宇(しんう))殿下 231 00:13:11,750 --> 00:13:14,002 朱駒宮(しゅくぐう)での女官の 刃傷沙汰(にんじょうざた)の件ですが 232 00:13:14,085 --> 00:13:15,253 (尭明)よい 233 00:13:15,337 --> 00:13:17,547 報告書なら すでに目を通した 234 00:13:17,631 --> 00:13:21,676 朱 慧月が女官を擁護し 不問に付したのであろう 235 00:13:22,511 --> 00:13:23,386 はい 236 00:13:24,095 --> 00:13:25,764 何が言いたい 237 00:13:25,847 --> 00:13:29,392 (辰宇)朱 慧月は 確かに悪女であったのでしょう 238 00:13:29,476 --> 00:13:32,646 ですが 今は変わろうとしている 239 00:13:32,729 --> 00:13:34,648 そう感じました 240 00:13:34,731 --> 00:13:37,609 それが まことならばよいが 241 00:13:38,235 --> 00:13:42,155 玲琳をまねて 慈悲の心を演じただけかもしれぬ 242 00:13:44,658 --> 00:13:50,080 次に玲琳の猿まねをするなら 首をはねるとも告げたはずだが 243 00:13:55,460 --> 00:13:56,336 まあ いい 244 00:13:57,254 --> 00:14:00,715 獣尋(じゅうじん)の儀の判決に 従わねばとは思うが 245 00:14:00,799 --> 00:14:03,718 あれ以来 弱っていく 玲琳の姿を見ていると 246 00:14:03,802 --> 00:14:07,180 朱 慧月への怒りが よみがえってもくる 247 00:14:07,681 --> 00:14:11,726 玲琳のあの頼りなげな風情を見ると 248 00:14:12,269 --> 00:14:13,728 恐ろしいのだ 249 00:14:14,354 --> 00:14:18,358 あの夜 欄干の向こうへ 消えていったように 250 00:14:18,984 --> 00:14:19,901 また… 251 00:14:29,077 --> 00:14:32,998 (かすかに聞こえる鼻歌) 252 00:14:38,712 --> 00:14:40,005 (莉莉)不思議 253 00:14:40,964 --> 00:14:44,092 この人が きれいに見えるなんて 254 00:14:45,135 --> 00:14:46,136 ん? 255 00:14:46,219 --> 00:14:48,513 莉莉 おはようございます 256 00:14:48,597 --> 00:14:50,974 もしや 起こしてしまいましたか? 257 00:14:51,057 --> 00:14:52,976 (莉莉)いや だから 258 00:14:53,059 --> 00:14:56,271 主人を差し置いて のんきに寝てていい女官なんて 259 00:14:56,354 --> 00:14:57,522 いないんですけど 260 00:14:57,606 --> 00:14:58,773 えっ? 261 00:14:59,357 --> 00:15:01,276 もう完成してる 262 00:15:01,359 --> 00:15:05,030 フフフッ 破れたところは すべて縫い終えました 263 00:15:05,113 --> 00:15:07,198 こんな短時間で… 264 00:15:07,282 --> 00:15:09,784 ハッ… まさか 上級女官の部屋から 265 00:15:09,868 --> 00:15:12,287 新しい衣を盗んできたんですか? 266 00:15:12,370 --> 00:15:14,331 (玲琳:慧月の声) まあ 莉莉ったら 267 00:15:14,414 --> 00:15:16,666 チクチク 地道に縫っただけですよ 268 00:15:16,750 --> 00:15:19,044 (莉莉)こんなの 数刻じゃ無理ですよ! 269 00:15:19,127 --> 00:15:20,253 だって 270 00:15:20,337 --> 00:15:24,257 ようやく莉莉にあげられるものが できたのが うれしくて 271 00:15:24,341 --> 00:15:26,134 興奮が抑えられず 272 00:15:26,217 --> 00:15:29,471 ほんの少し早く 目が覚めてしまったのです 273 00:15:29,554 --> 00:15:32,432 (莉莉)ちなみに 何時に起きたんです? 274 00:15:33,892 --> 00:15:37,312 (玲琳:慧月の声) 夜から朝に転じる ほんのひととき 275 00:15:37,896 --> 00:15:41,733 地上が薄青く染まる あの神秘的な様子 276 00:15:41,816 --> 00:15:43,943 長い夜のとばりを開け 277 00:15:44,027 --> 00:15:46,821 光あふれる世界へ 飛び出そうとする 278 00:15:46,905 --> 00:15:50,950 まるで赤子の目の薄青さにも 通ずる清らかさ 279 00:15:51,034 --> 00:15:52,994 つまり完徹? 280 00:15:53,078 --> 00:15:57,165 女官の縫い物のために 徹夜する雛女がいますか! 281 00:15:57,832 --> 00:15:58,958 (莉莉)ちょっ… 282 00:15:57,832 --> 00:15:58,958 (玲琳:慧月の声) まあ 色がぴったり 283 00:15:58,958 --> 00:16:00,669 (玲琳:慧月の声) まあ 色がぴったり 284 00:16:00,752 --> 00:16:05,090 明るい色の髪が銀朱に映えて すばらしいですね 285 00:16:05,173 --> 00:16:08,385 こんなに美しい女官を 伴えるなんて 286 00:16:08,468 --> 00:16:11,179 わたくし 鼻が高いです 287 00:16:11,680 --> 00:16:13,390 (莉莉)やめてください 288 00:16:13,473 --> 00:16:16,559 自分の素質くらい ちゃんと分かってますから 289 00:16:16,643 --> 00:16:17,602 莉莉? 290 00:16:17,686 --> 00:16:19,354 昨日だって 291 00:16:19,437 --> 00:16:21,398 雅容様に 会いに行く途中 292 00:16:21,481 --> 00:16:23,108 銀朱たちに 言われました 293 00:16:23,191 --> 00:16:26,319 (上級女官)あら みすぼらしい赤ネズミさん 294 00:16:26,403 --> 00:16:27,904 どこへ行くのかしら 295 00:16:27,987 --> 00:16:30,240 (上級女官)ホント 小汚いわね 296 00:16:30,323 --> 00:16:31,574 (上級女官たち)アハハハハッ… 297 00:16:31,658 --> 00:16:34,244 (莉莉)にらみ返して やりましたけどね! 298 00:16:34,327 --> 00:16:38,540 ただ 別に卑屈になってるつもりは ないですけど 299 00:16:38,623 --> 00:16:41,376 今のあたしに銀朱の衣は… 300 00:16:42,168 --> 00:16:45,839 上級女官にふさわしい 立ち居ふるまいなんて 301 00:16:45,922 --> 00:16:47,632 学んだこともないんですよ 302 00:16:49,008 --> 00:16:50,927 (玲琳:慧月の声)その方々には 303 00:16:51,010 --> 00:16:53,638 ちゃんと 莉莉から反撃したのですね? 304 00:16:54,222 --> 00:16:55,724 え? ええ 305 00:16:55,807 --> 00:16:59,060 舌打ちも おまけしたら 逃げていきましたけど 306 00:16:59,144 --> 00:17:00,103 まあ でも… 307 00:17:00,186 --> 00:17:03,148 だから あたしに銀朱って どうなのかなって 308 00:17:03,732 --> 00:17:04,899 (玲琳:慧月の声)そう 309 00:17:07,485 --> 00:17:09,112 (莉莉)怒ってる? 310 00:17:10,780 --> 00:17:12,240 (玲琳:慧月の声)それでは 311 00:17:12,907 --> 00:17:15,034 色糸で刺繍(ししゅう)を施して 312 00:17:15,118 --> 00:17:19,038 史上最大に豪華な銀朱の衣装を 仕上げてみせますので 313 00:17:19,122 --> 00:17:20,582 ご期待くださいね 314 00:17:20,665 --> 00:17:21,708 は? 315 00:17:21,791 --> 00:17:24,711 (玲琳:慧月の声)考えてみれば せっかくの晴れの舞台 316 00:17:24,794 --> 00:17:27,464 ごく一般的な衣を 仕立てようとしていた― 317 00:17:27,547 --> 00:17:29,299 わたくしが愚かでした 318 00:17:29,382 --> 00:17:30,341 (莉莉)え? 319 00:17:30,425 --> 00:17:34,929 式典の場には 女官も また 刺繍の衣が許される 320 00:17:35,013 --> 00:17:39,017 となれば 全身を着飾らぬわけには まいりませんよね 321 00:17:39,100 --> 00:17:40,560 いや 待って あの… 322 00:17:40,643 --> 00:17:43,688 あたし 今 自分は 銀朱には ふさわしくないって 323 00:17:43,772 --> 00:17:45,231 言ったつもりだったんですけど 324 00:17:45,315 --> 00:17:46,608 ええ つまり 325 00:17:46,691 --> 00:17:50,945 銀朱に ふさわしい女性に 早くなりたいということですよね 326 00:17:51,029 --> 00:17:52,781 なんと すばらしいことでしょう 327 00:17:52,864 --> 00:17:56,367 莉莉が ここまで 志の高い人物だったなんて! 328 00:17:56,451 --> 00:17:58,244 そんな志なんてないですけど? 329 00:17:58,328 --> 00:17:59,662 ああ もう… 330 00:17:59,746 --> 00:18:01,331 (玲琳:慧月の声)好きです! (莉莉)ギャー! 331 00:18:01,414 --> 00:18:04,417 その根性 飽くなき向上心 332 00:18:04,501 --> 00:18:07,670 あなたは なんと 上級女官にふさわしい魂を 333 00:18:07,754 --> 00:18:08,296 お持ちなのでしょう 334 00:18:08,296 --> 00:18:09,881 お持ちなのでしょう 335 00:18:08,296 --> 00:18:09,881 (莉莉) い… いや だから… 336 00:18:09,964 --> 00:18:11,591 共に頑張りましょうね 337 00:18:11,674 --> 00:18:14,093 わたくし 全力で 支えさせていただきます 338 00:18:14,177 --> 00:18:15,011 ちょ… 339 00:18:15,094 --> 00:18:17,680 まずは姿勢改善から 340 00:18:17,764 --> 00:18:21,267 筋力を上げる鍛錬を 朝夕 一刻ずつ 341 00:18:21,351 --> 00:18:23,061 呼吸については 342 00:18:23,144 --> 00:18:27,148 これから日常のすべてを 腹式呼吸に切り替えましょう 343 00:18:27,232 --> 00:18:31,236 それから経典の暗記 筆の練習 344 00:18:31,319 --> 00:18:33,655 刺繍も少し頑張っていただいて 345 00:18:33,738 --> 00:18:34,614 あと それから… 346 00:18:34,697 --> 00:18:38,284 なんで上級女官になることが 前提になってんだよ! 347 00:18:38,368 --> 00:18:42,789 だって あなたは わたくしの 唯一の大切な女官でしょう? 348 00:18:44,624 --> 00:18:45,792 ああ… 349 00:18:45,875 --> 00:18:49,379 藤黄(とうおう)の衣をまとう 莉莉の姿というのも 350 00:18:49,462 --> 00:18:52,298 本当に すばらしいことでしょうね 351 00:18:53,591 --> 00:18:55,301 (莉莉)藤黄? 352 00:18:55,385 --> 00:19:00,306 藤黄は 黄麒宮(こうきぐう)の 上級女官のまとう色だ 353 00:19:01,099 --> 00:19:02,475 まさか… 354 00:19:03,309 --> 00:19:04,978 どうかしましたか? 355 00:19:05,061 --> 00:19:06,020 いえ… 356 00:19:06,980 --> 00:19:09,107 単なる言い間違い? 357 00:19:09,941 --> 00:19:14,112 冷静に考えて 儀式の主役は雛女様でしょう? 358 00:19:14,195 --> 00:19:16,656 あんたこそ もろもろの準備をしないと 359 00:19:16,739 --> 00:19:18,867 式典用の衣装もないのに 360 00:19:18,950 --> 00:19:20,410 ご安心ください 361 00:19:20,493 --> 00:19:24,455 莉莉の洗朱(あらいしゅ)の衣をちょうだいして 加工いたしますので 362 00:19:24,539 --> 00:19:25,999 染色用の花や 363 00:19:26,082 --> 00:19:29,544 昨日 切った髪で作った筆も 用意したのですよ 364 00:19:29,627 --> 00:19:32,589 (莉莉)雛女のくせに この生活に順応しすぎ! 365 00:19:33,256 --> 00:19:34,924 でも その… 366 00:19:35,008 --> 00:19:38,469 あたしだけ 雛女様に 手をかけてもらって導かれるのも 367 00:19:38,553 --> 00:19:41,723 その… ふがいないかなあと 368 00:19:41,806 --> 00:19:42,932 まあ 369 00:19:43,016 --> 00:19:45,560 でしたら 莉莉 あなたは 代わりに 370 00:19:45,643 --> 00:19:48,313 わたくしに胡旋舞(こせんぶ)を 教えてくださいませんか? 371 00:19:48,396 --> 00:19:49,230 (莉莉)はい? 372 00:19:49,314 --> 00:19:53,276 いや あんな難易度の高い舞 あたしが できるわけないでしょ 373 00:19:53,359 --> 00:19:55,111 ご謙遜を 374 00:19:55,194 --> 00:19:57,196 お母君は胡旋舞の名手で 375 00:19:57,280 --> 00:19:59,699 あなたは それを見てきたのでしょう? 376 00:19:59,782 --> 00:20:00,283 ならば 思い出せるはず 377 00:20:00,283 --> 00:20:02,201 ならば 思い出せるはず 378 00:20:00,283 --> 00:20:02,201 (莉莉の笑い声) 379 00:20:06,789 --> 00:20:09,584 こたびの儀には向かない舞ですし 380 00:20:09,667 --> 00:20:12,712 わたくしも 引き出しを 増やしたいだけですので 381 00:20:12,795 --> 00:20:14,213 どうぞ お気軽に 382 00:20:14,297 --> 00:20:16,049 い… いや でも… 383 00:20:16,132 --> 00:20:17,342 ね? 384 00:20:23,056 --> 00:20:26,225 じゃあ ちょっとだけなら 385 00:20:26,309 --> 00:20:28,728 あ… はい! 386 00:20:28,811 --> 00:20:32,357 さあ 声を出してまいりましょう! 387 00:20:46,204 --> 00:20:48,081 (清佳)つまらないこと 388 00:20:48,164 --> 00:20:50,833 華がありませんわ 389 00:20:50,917 --> 00:20:53,336 全く興が乗らない 390 00:20:53,419 --> 00:20:57,507 雛女たちが 豊穣の舞を披露する中元節は 391 00:20:57,590 --> 00:21:00,718 秋をつかさどる我が金家の領分 392 00:21:00,802 --> 00:21:05,515 なのに 儀の準備は 忌々(いまいま)しい朱 慧月のせいで 393 00:21:05,598 --> 00:21:07,225 忌払(いみばら)いで中断 394 00:21:07,308 --> 00:21:08,726 規模も縮小 395 00:21:08,810 --> 00:21:14,482 最も許しがたいのは 玲琳様が 今日の儀に出られないとのこと 396 00:21:15,066 --> 00:21:19,737 殿下の胡蝶(こちょう)とたたえられる 美しい玲琳様 397 00:21:19,821 --> 00:21:24,158 いつか皇后になられたら わたくしが貴妃として 398 00:21:24,242 --> 00:21:26,619 共に殿下を支えたい 399 00:21:26,703 --> 00:21:30,999 それが朱 慧月に 突き落とされて以来 400 00:21:31,082 --> 00:21:33,376 床に伏せっておられる 401 00:21:33,459 --> 00:21:36,129 殿下の鑑賞に値するのは 402 00:21:36,212 --> 00:21:39,382 わたくしと玲琳様の舞くらいしか ないのに 403 00:21:40,174 --> 00:21:42,760 仏頂面の玄(げん)家の女と 404 00:21:42,844 --> 00:21:45,763 リスみたいな藍(らん)家の小娘の舞では 405 00:21:45,847 --> 00:21:47,890 穴埋めにもなりやしない 406 00:21:47,974 --> 00:21:50,768 ましてや朱 慧月など… 407 00:21:50,852 --> 00:21:53,604 無芸無才で卑劣な女 408 00:21:53,688 --> 00:21:57,775 ドブネズミに時間を割くのも 不粋だと放置してきたけれど 409 00:21:58,359 --> 00:22:00,528 もはや我慢ならないわ 410 00:22:00,611 --> 00:22:04,073 雛宮に居残っているのを 後悔するほどに 411 00:22:04,157 --> 00:22:07,160 徹底的に惨めな目に遭わせてやる 412 00:22:07,243 --> 00:22:09,912 さあ 出ていらっしゃい 413 00:22:10,496 --> 00:22:12,415 朱 慧月 414 00:22:20,006 --> 00:22:25,011 ♪~ 415 00:23:44,048 --> 00:23:49,053 ~♪