1 00:00:01,835 --> 00:00:05,797 (黄(こう)玲琳(れいりん):朱(しゅ)慧月(けいげつ)の姿) それでは 白練(しろねり)の雅容(がよう)様という方も 2 00:00:05,880 --> 00:00:07,674 この場に お呼びいただけますか? 3 00:00:07,757 --> 00:00:09,759 (金(きん)清佳(せいか))白練の中に 4 00:00:09,843 --> 00:00:12,679 雅容などという名前の者は いませんわよ 5 00:00:12,762 --> 00:00:13,930 {\an8}(莉莉(りーりー))え? 6 00:00:17,350 --> 00:00:18,309 (玲琳)ん… 7 00:00:18,393 --> 00:00:21,563 (金家(きんけ)女官)誰かが かんざしを なくしたと嘆いていたのを 8 00:00:21,646 --> 00:00:23,606 聞いたことがございます 9 00:00:24,566 --> 00:00:25,483 (玲琳)清佳(せいか)様 10 00:00:25,567 --> 00:00:29,029 {\an8}かんざしをなくした 女官がいたのですよね? 11 00:00:29,112 --> 00:00:31,322 {\an8}それは いつのことですか? 12 00:00:31,406 --> 00:00:34,492 確か… ひと月ほど前ですわ 13 00:00:35,285 --> 00:00:36,327 ひと月… 14 00:00:36,411 --> 00:00:37,996 (扉が開く音) 15 00:00:38,079 --> 00:00:40,498 (黄(こう)冬雪(とうせつ)の荒い息) 16 00:00:40,582 --> 00:00:42,584 {\an8}(冬雪)ハア ハア… 17 00:00:42,667 --> 00:00:45,378 {\an8}儀式の最中に ご無礼つかまつります 18 00:00:50,592 --> 00:00:52,135 {\an8}(黄(こう)絹秀(けんしゅう))何事だ 冬雪(とうせつ) 19 00:00:52,218 --> 00:00:53,636 皇后陛下 20 00:00:53,720 --> 00:00:56,139 急ぎ 黄麒宮(こうきぐう)に お戻りくださいませ 21 00:00:56,222 --> 00:00:57,640 -(冬雪)雛女(ひめ)様が… -(玲琳)あっ… 22 00:00:57,724 --> 00:00:59,142 {\an8}(冬雪)玲琳(れいりん)様が 23 00:00:59,225 --> 00:01:02,020 {\an8}高熱で意識朦朧(もうろう)と なられております! 24 00:01:02,103 --> 00:01:03,521 (ざわめき) (玲琳)あっ! 25 00:01:03,605 --> 00:01:04,898 {\an8}(詠(えい)尭明(ぎょうめい))なんだと? 26 00:01:04,981 --> 00:01:09,152 (ざわめき) 27 00:01:09,235 --> 00:01:13,156 (朱(しゅ)慧月(けいげつ):玲琳の姿)ハア… ハア… 28 00:01:13,239 --> 00:01:15,658 {\an8}(慧月の荒い息) 29 00:01:15,742 --> 00:01:18,161 -(珊瑚)玲琳様! -(珠蘭)お気を確かに! 30 00:01:18,244 --> 00:01:20,914 (慧月の荒い息) 31 00:01:21,539 --> 00:01:23,541 ♪~ 32 00:02:48,960 --> 00:02:50,962 {\an8}~♪ 33 00:02:52,005 --> 00:02:54,215 {\an8}(尭明)冬雪 薬師(くすし)は呼んだのか? 34 00:02:54,299 --> 00:02:56,759 はい 呼びましたが 35 00:02:56,843 --> 00:02:59,095 どのような薬も まるで効きませぬ 36 00:02:59,179 --> 00:03:03,474 病(やまい)がちな玲琳様とはいえ このようなことは初めてで… 37 00:03:03,558 --> 00:03:06,477 (ざわめき) 38 00:03:06,561 --> 00:03:07,604 (絹秀)静まれ 39 00:03:11,191 --> 00:03:13,193 委細 相分かった 40 00:03:13,276 --> 00:03:14,819 だが 冬雪よ 41 00:03:14,903 --> 00:03:18,114 女官の長(おさ)が 動揺を あらわにするものではない 42 00:03:18,198 --> 00:03:19,282 (冬雪)あ… 43 00:03:19,365 --> 00:03:22,285 (絹秀) 玲琳は あれで芯の強いおなご 44 00:03:22,368 --> 00:03:26,915 此度(こたび)も気丈に耐えておろうに 周囲が取り乱してどうするのだ 45 00:03:26,998 --> 00:03:28,249 ですが 陛下! 46 00:03:28,333 --> 00:03:31,628 此度ばかりは いつもと様子が異なるのです 47 00:03:31,711 --> 00:03:36,132 もしかしたら 玲琳様は 今日一日とて… 48 00:03:36,216 --> 00:03:38,885 (ざわめき) 49 00:03:44,849 --> 00:03:46,392 -(絹秀)仮に… -(玲琳)あ… 50 00:03:47,101 --> 00:03:49,354 (絹秀)仮に 妾(わらわ)の愛する あの子が 51 00:03:49,437 --> 00:03:53,149 今日一日で命を燃やしきってしまう というのなら 52 00:03:53,233 --> 00:03:55,652 それが あの子の天命なのだ 53 00:03:57,987 --> 00:03:59,280 陛下… 54 00:04:01,115 --> 00:04:02,617 (絹秀)ただし 55 00:04:02,700 --> 00:04:05,954 あの子が それに あらがい 生きようともするなら 56 00:04:06,037 --> 00:04:08,289 あらゆる手助けを惜しんではならぬ 57 00:04:09,040 --> 00:04:10,625 よいか 冬雪 58 00:04:10,708 --> 00:04:11,334 (冬雪)はっ 59 00:04:11,417 --> 00:04:13,211 (絹秀)金(きん)清佳よ 60 00:04:14,003 --> 00:04:17,840 見事な儀であったぞ 中座の非礼を許せ 61 00:04:18,758 --> 00:04:21,052 もったいないお言葉でございます 62 00:04:25,682 --> 00:04:28,559 (玲琳) お待ちくださいませ 陛下 殿下 63 00:04:30,770 --> 00:04:32,438 お願いでございます 64 00:04:32,522 --> 00:04:35,817 わたくしも 黄麒宮に伺わせてくださいませ 65 00:04:36,442 --> 00:04:37,694 なんだと? 66 00:04:37,777 --> 00:04:41,698 (玲琳)わたくしには 看病の心得がございます 67 00:04:41,781 --> 00:04:45,201 かの方の病状を きっと癒やせると思うのです 68 00:04:45,285 --> 00:04:46,828 -(絹秀)笑止 -(玲琳)あっ… 69 00:04:46,911 --> 00:04:50,581 (絹秀)薬師を上回る 腕前だとでもいうのか 70 00:04:50,665 --> 00:04:51,916 妾の知るかぎり 71 00:04:52,000 --> 00:04:55,295 そんな不遜を吐いてよいのは 玲琳本人だけだ 72 00:04:55,378 --> 00:04:56,045 ですので… 73 00:04:56,129 --> 00:04:58,089 (尭明)わきまえろ 朱(しゅ)慧月(けいげつ)よ 74 00:04:58,172 --> 00:05:00,300 なぜ そこまで躍起になる 75 00:05:00,800 --> 00:05:02,677 お前が玲琳のことを妬み 76 00:05:02,760 --> 00:05:06,347 終始 疎ましげな視線を 送っていたことは周知の事実 77 00:05:06,431 --> 00:05:09,100 あっ… そうなのですか? 78 00:05:09,183 --> 00:05:11,853 (ざわめき) 79 00:05:11,936 --> 00:05:13,146 あっ… 80 00:05:13,229 --> 00:05:15,606 いえ そ… そうでしたわ 81 00:05:15,690 --> 00:05:18,776 わたくし 見つめておりました 82 00:05:18,860 --> 00:05:21,112 ですが それは 害意からではなく 83 00:05:23,072 --> 00:05:26,534 か… 彼女のことが好き? 84 00:05:26,617 --> 00:05:27,493 だったのです! 85 00:05:27,577 --> 00:05:29,370 なんで 照れてるんです? 86 00:05:30,913 --> 00:05:32,373 (玲琳)お願いでございます 87 00:05:32,457 --> 00:05:35,376 先ほどの舞の褒美ということで 88 00:05:36,461 --> 00:05:38,504 彼女を 追い詰めてしまったことのある— 89 00:05:38,588 --> 00:05:41,257 わたくしだからこそ 救わねば 90 00:05:44,093 --> 00:05:45,720 (尭明)信用できぬ 91 00:05:46,220 --> 00:05:47,180 (玲琳)あ… 92 00:05:47,680 --> 00:05:49,140 -(絹秀)よかろう -(玲琳)ハッ… 93 00:05:49,223 --> 00:05:50,641 (絹秀)朱慧月 94 00:05:51,225 --> 00:05:54,896 そこまで言うのなら お前に機会を与える 95 00:05:54,979 --> 00:05:56,814 陛下! ありがとうございます 96 00:05:56,814 --> 00:05:57,899 陛下! ありがとうございます 97 00:05:56,814 --> 00:05:57,899 {\an8}(絹秀)ただし 98 00:05:57,982 --> 00:06:03,154 (絹秀)看病の機会ではなく まずは お前が信用を得る機会をだ 99 00:06:03,237 --> 00:06:04,572 (玲琳)あ… 100 00:06:04,655 --> 00:06:07,658 (絹秀)鷲官長(しゅうかんちょう)破魔(はま)の弓を持て 101 00:06:08,493 --> 00:06:09,994 (辰宇(しんう))恐れながら 陛下 102 00:06:10,078 --> 00:06:14,624 破魔の弓は玄家(げんけ)が管理してきた 水の気の強い神器(じんぎ)です 103 00:06:15,750 --> 00:06:18,211 火の加護のある 朱家(しゅけ)の雛女が扱うには 104 00:06:18,294 --> 00:06:19,504 向かないでしょう 105 00:06:20,004 --> 00:06:21,631 だからこそだ 106 00:06:21,714 --> 00:06:23,883 誠意を測るための行為が 107 00:06:23,966 --> 00:06:26,844 容易なものであって いいはずがないだろう? 108 00:06:26,928 --> 00:06:27,720 (辰宇)はっ… 109 00:06:36,145 --> 00:06:37,438 (莉莉)お… 110 00:06:38,815 --> 00:06:40,817 (莉莉)こんな重いものを? 111 00:06:42,944 --> 00:06:46,614 (絹秀)その弓は 弦音(つるね)で病魔をおびえさせ 112 00:06:46,697 --> 00:06:49,450 的を射る音によって祓(はら)うという 113 00:06:49,534 --> 00:06:53,830 玲琳の回復を祈って ひと晩中 弓を引けたなら 114 00:06:53,913 --> 00:06:57,708 お前に害意がないことを認め 看病を許そう 115 00:06:57,792 --> 00:06:59,460 (莉莉)ひと晩中? 116 00:07:02,046 --> 00:07:03,464 (玲琳)フッ… 117 00:07:03,548 --> 00:07:07,051 なんと やりがいのある 挑戦でございましょう 118 00:07:07,135 --> 00:07:09,303 さすがは皇后陛下でございます 119 00:07:09,387 --> 00:07:10,304 (絹秀)ん… 120 00:07:12,390 --> 00:07:13,558 (莉莉)うわ… 121 00:07:13,641 --> 00:07:16,602 やってみせましょう 徹夜弓! 122 00:07:20,398 --> 00:07:25,153 (慧月の荒い息) 123 00:07:25,236 --> 00:07:28,156 (慧月)うっ… ハア… 124 00:07:28,239 --> 00:07:30,658 (幼い慧月)うっ… ぐっ… 125 00:07:31,159 --> 00:07:34,829 お母様 出してください! お願いです! 126 00:07:36,038 --> 00:07:37,832 (慧月)これは夢だ 127 00:07:37,915 --> 00:07:39,667 (慧月の母)ああ うるさい 128 00:07:39,750 --> 00:07:43,212 お前は わたくしの恥だから 隠さねばならないのよ 129 00:07:43,296 --> 00:07:46,591 大きくて醜くて 本当に恥ずかしい子 130 00:07:53,681 --> 00:07:55,892 (慧月)ぬくもりを求めて 131 00:07:56,392 --> 00:07:59,437 いつからか 炎と会話するようになった 132 00:08:00,438 --> 00:08:04,775 それが禁術だと 父の書物を見て知り 133 00:08:04,859 --> 00:08:09,155 そして 意のままに 操れるようになったころ… 134 00:08:12,658 --> 00:08:15,036 (朱(しゅ)雅媚(がび))その年で両親を… 135 00:08:15,119 --> 00:08:17,163 なんと哀れですこと 136 00:08:17,246 --> 00:08:18,873 {\an8}(慧月)唯一 137 00:08:18,956 --> 00:08:21,876 {\an8}朱貴妃(しゅきひ)様が 引き取ってくれたとき 138 00:08:21,959 --> 00:08:23,628 {\an8}ほんの少し 139 00:08:23,711 --> 00:08:26,672 {\an8}信頼というものを 思い出しかけた 140 00:08:27,673 --> 00:08:28,841 だけど… 141 00:08:28,925 --> 00:08:32,178 (女官たちの笑い声) 142 00:08:32,261 --> 00:08:37,183 (雅媚)あなたも玲琳様のように なれればよかったのに 143 00:08:37,266 --> 00:08:38,267 ねえ 144 00:08:39,894 --> 00:08:41,229 (慧月)く… くう… 145 00:08:41,312 --> 00:08:44,190 (慧月)だったら なってやる 146 00:08:46,943 --> 00:08:48,945 これで ようやく 147 00:08:49,028 --> 00:08:51,864 自分が理不尽にも受けてきた 不幸が終わり 148 00:08:51,948 --> 00:08:54,325 輝かしい日々が始まる 149 00:08:54,951 --> 00:08:56,994 そう思ってたのに… 150 00:08:58,079 --> 00:09:01,082 (慧月)ハア… ハア… 151 00:09:01,165 --> 00:09:03,334 ちくしょう… 152 00:09:04,835 --> 00:09:08,130 ハッ… ハッ… 153 00:09:08,214 --> 00:09:10,007 ハア… 154 00:09:10,091 --> 00:09:11,092 {\an8}(冬雪)雛女様! 155 00:09:11,175 --> 00:09:12,843 {\an8}(珠蘭)玲琳様! 156 00:09:17,890 --> 00:09:21,769 (慧月)わたくしは… 死ぬの? 157 00:09:34,073 --> 00:09:35,199 (玲琳)んっ… 158 00:09:40,121 --> 00:09:41,247 (矢を射る音) (玲琳)ふっ 159 00:09:43,416 --> 00:09:44,458 フウ… 160 00:09:45,376 --> 00:09:48,004 (莉莉)雛女様 水を持ってきました 161 00:09:49,005 --> 00:09:49,922 ハッ… 162 00:09:51,007 --> 00:09:54,051 今度こそ 食事は取ると 言ったではないですか 163 00:09:56,637 --> 00:09:57,763 (矢を射る音) 164 00:09:58,389 --> 00:09:59,557 あ… 165 00:10:00,057 --> 00:10:01,600 って 聞いてます? 166 00:10:01,684 --> 00:10:02,310 (玲琳)ハッ! 167 00:10:02,393 --> 00:10:03,894 莉莉(りーりー)… 168 00:10:03,978 --> 00:10:06,272 ごめんなさい ええっと… 169 00:10:06,355 --> 00:10:09,942 揚げ芋は蜂蜜派か塩派かという お話ですっけ? 170 00:10:10,026 --> 00:10:12,820 (莉莉) 先に会話の的中率を上げろよ! 171 00:10:12,903 --> 00:10:16,324 ちゃんと ご飯を 食べてくださいって話です 172 00:10:16,407 --> 00:10:17,658 (玲琳)ああ… 173 00:10:17,742 --> 00:10:19,994 さっきも言ったじゃないですか 174 00:10:20,077 --> 00:10:23,831 中元節(ちゅうげんせつ)の儀で あんな激しい 胡旋舞(こせんぶ)を舞ったあとに… 175 00:10:24,665 --> 00:10:27,710 (莉莉)急いで戻って 薬を作って 176 00:10:28,294 --> 00:10:30,046 黄麒宮に届けて… 177 00:10:30,129 --> 00:10:34,050 わたくしの誠意が届きましたら どうか この薬を 178 00:10:34,634 --> 00:10:36,302 (莉莉)それから三刻以上も 179 00:10:36,385 --> 00:10:39,263 そんな弓を ぶっ通しで引き続けて… 180 00:10:39,347 --> 00:10:41,891 (莉莉)さすがのあんたも 倒れちゃうだろ 181 00:10:41,974 --> 00:10:45,394 まあ 莉莉 心配してくれたのですね 182 00:10:45,478 --> 00:10:46,479 (莉莉)うっ… 183 00:10:46,979 --> 00:10:48,689 あんたが倒れでもしたら 184 00:10:48,773 --> 00:10:51,400 あたしの寝泊まりする場所が なくなるんです 185 00:10:51,484 --> 00:10:53,402 それだけですから 186 00:10:54,445 --> 00:10:57,156 莉莉の気持ちは しかと受け止めました 187 00:10:57,239 --> 00:10:59,158 ありがとうございます 188 00:10:59,700 --> 00:11:02,787 でも わたくし 絶対に倒れません 189 00:11:03,371 --> 00:11:05,581 かの方を お助けするまでは 190 00:11:06,165 --> 00:11:07,083 あっ… 191 00:11:13,005 --> 00:11:14,298 (矢を射る音) 192 00:11:20,596 --> 00:11:23,349 (尭明)黄麒宮からの知らせは まだ来ないのか 193 00:11:23,432 --> 00:11:25,059 (宦官(かんがん))申し訳ございません 194 00:11:25,142 --> 00:11:28,187 宮(みや)が封鎖されてしまい なかなか… 195 00:11:28,270 --> 00:11:31,440 よい そなたの咎(とが)ではない 196 00:11:32,274 --> 00:11:33,275 ハア… 197 00:11:34,026 --> 00:11:36,946 (慧月の荒い息) 198 00:11:37,029 --> 00:11:39,573 尭明(ぎょうめい) 本宮へ戻れ 199 00:11:39,657 --> 00:11:41,200 (尭明)しっ しかし… 200 00:11:41,283 --> 00:11:43,828 (冬雪)黄家(こうけ)の者としても お願いいたします 201 00:11:45,746 --> 00:11:46,831 (尭明)ふがいない 202 00:11:46,914 --> 00:11:47,498 {\an8}(慧月の荒い息) 203 00:11:47,498 --> 00:11:51,085 {\an8}(慧月の荒い息) 204 00:11:47,498 --> 00:11:51,085 好いた女の危機に 何もできぬなど… 205 00:11:51,794 --> 00:11:53,337 いつも そうだ 206 00:11:53,421 --> 00:11:58,092 皇太子として この上ない権力を 与えられているようで 207 00:11:58,175 --> 00:12:00,344 実際は 不幸から遠ざけられ 208 00:12:00,428 --> 00:12:03,180 恭しく 籠に閉じ込められている 209 00:12:05,099 --> 00:12:07,101 (幼い玲琳) お初に お目にかかります 210 00:12:07,685 --> 00:12:09,603 (幼い玲琳)玲琳と申します 211 00:12:09,687 --> 00:12:11,105 (尭明)あ… 212 00:12:15,943 --> 00:12:17,862 (尭明)お前は なぜ装う? 213 00:12:17,945 --> 00:12:18,487 (幼い玲琳)あ… 214 00:12:19,196 --> 00:12:21,407 わたくしの顔色が良いと 215 00:12:21,490 --> 00:12:25,077 皆様が うれしそうな顔を なさるからでございます 216 00:12:26,370 --> 00:12:29,832 (尭明) あのとき以来 俺は ずっと… 217 00:12:32,126 --> 00:12:33,502 (宦官)あの… 218 00:12:33,586 --> 00:12:36,505 黄麒宮からの 知らせではないのですが 219 00:12:36,589 --> 00:12:38,007 朱慧月様が 220 00:12:38,090 --> 00:12:41,510 破魔の弓を引き続けているとの 報告は来ております 221 00:12:41,594 --> 00:12:43,679 かれこれ三刻の間 222 00:12:43,763 --> 00:12:45,139 三刻だと? 223 00:12:45,222 --> 00:12:48,934 (宦官)はい 食事も絶ち ただ ひたすらに 224 00:12:49,018 --> 00:12:53,147 見張っておりました宦官(かんがん)の多くも 感心しているようです 225 00:12:57,109 --> 00:12:58,277 (矢を射る音) 226 00:12:58,360 --> 00:13:00,279 -(玲琳)あっ… -(莉莉)刺さった! 227 00:13:00,362 --> 00:13:01,489 フウ… 228 00:13:01,572 --> 00:13:04,533 まだまだ 的から外れていますけどね 229 00:13:04,617 --> 00:13:06,535 一歩前進です 230 00:13:06,619 --> 00:13:07,787 (莉莉)ちょ… 231 00:13:07,870 --> 00:13:10,539 雛女様が本気で黄(こう)玲琳様を 232 00:13:10,623 --> 00:13:13,083 お助けしたいと思ったことは 分かりました 233 00:13:13,167 --> 00:13:15,419 でも もう いいんじゃないですか? 234 00:13:15,503 --> 00:13:17,296 -(辰宇)そのとおりだな -(莉莉)ハッ… 235 00:13:17,379 --> 00:13:20,424 (莉莉)鷲官長様? 文昂(ぶんこう)様も… 236 00:13:20,508 --> 00:13:21,675 なんで ここに? 237 00:13:21,759 --> 00:13:25,638 (文昂(ぶんこう))そこの むちゃな雛女様を 見かねた女官や宦官から 238 00:13:25,721 --> 00:13:28,933 連絡があったからですよね 鷲官長 239 00:13:29,517 --> 00:13:31,477 朱慧月 240 00:13:31,560 --> 00:13:34,563 贖罪(しょくざい)を見せつけるための弓ならば 十分 見た 241 00:13:35,147 --> 00:13:39,610 これ以上の弓引きは無用であると 黄麒宮から言質も取った 242 00:13:40,194 --> 00:13:42,822 なので もう 弓は引かずともよい 243 00:13:43,489 --> 00:13:47,660 (玲琳)では わたくしの薬を 飲んでいただけたのですか? 244 00:13:47,743 --> 00:13:50,329 黄玲琳殿の意識は戻らず 245 00:13:50,412 --> 00:13:54,500 薬師の薬も含めて 飲める状況ではないということだ 246 00:13:55,084 --> 00:13:56,502 そうですか 247 00:13:57,086 --> 00:14:00,256 ならば まだ 弓を引かなくてはなりませんね 248 00:14:00,339 --> 00:14:02,424 いいかげんにしないか 249 00:14:02,508 --> 00:14:05,386 お前の誠意は既に伝わったと 言っているだろう 250 00:14:05,469 --> 00:14:06,262 んっ… 251 00:14:06,345 --> 00:14:07,721 その右手は… 252 00:14:07,805 --> 00:14:09,390 (玲琳)あ… えっ? いえ… 253 00:14:09,473 --> 00:14:10,641 (手をつかむ音) (玲琳)あの… 254 00:14:10,724 --> 00:14:11,642 えっ? 255 00:14:11,725 --> 00:14:13,769 -(辰宇)これは… -(文昂)うわっ 256 00:14:13,852 --> 00:14:15,938 (莉莉)あんた 何やってんの? 257 00:14:16,021 --> 00:14:17,648 手 ボロボロじゃないか! 258 00:14:17,731 --> 00:14:19,984 (玲琳)だ… 大丈夫です 259 00:14:20,067 --> 00:14:23,237 神器には血が付かぬよう 細心の注意を払って… 260 00:14:23,320 --> 00:14:25,155 そういうこと言ってんじゃないだろ 261 00:14:25,239 --> 00:14:27,575 そ… そうですよね 262 00:14:27,658 --> 00:14:30,411 汚れないようになんて 気を取られているから 263 00:14:30,494 --> 00:14:32,538 集中が甘くなるのだという ご指摘… 264 00:14:32,621 --> 00:14:34,290 違う この ど阿呆(あほう)! 265 00:14:34,373 --> 00:14:36,542 (玲琳)はい! ど阿呆です! 266 00:14:36,625 --> 00:14:38,919 (辰宇)もう 弓は取り上げるぞ 267 00:14:39,003 --> 00:14:40,045 (玲琳)嫌でございます 268 00:14:40,129 --> 00:14:41,297 朱慧月! 269 00:14:41,380 --> 00:14:43,173 なぜ止めるのです? 270 00:14:43,257 --> 00:14:46,760 鷲官長様 わたくし 悪女なのでしょう? 271 00:14:46,844 --> 00:14:50,180 そんな女が 少し すり傷をこさえただけで 272 00:14:50,264 --> 00:14:53,309 大騒ぎなさるのは おかしなことに思いますわ 273 00:14:53,392 --> 00:14:54,268 (辰宇)んっ… 274 00:14:54,351 --> 00:14:56,770 (宦官)鷲官長様! 文昂様! 275 00:14:56,854 --> 00:15:00,524 ハア… 黄玲琳様の熱が 徐々に下がり 276 00:15:00,608 --> 00:15:03,027 回復の兆候が 見受けられるとのことです 277 00:15:03,110 --> 00:15:04,612 -(玲琳)あっ… -(莉莉)ハッ… 278 00:15:04,695 --> 00:15:05,696 (辰宇)ん… 279 00:15:05,779 --> 00:15:07,656 すぐに殿下に知らせる 280 00:15:08,657 --> 00:15:11,535 あとで こちらにも薬師を手配する 281 00:15:11,619 --> 00:15:12,661 手当てを受けろ 282 00:15:12,745 --> 00:15:15,539 それから 必ず 弓を終えよ 283 00:15:15,623 --> 00:15:17,958 表情は平静を装っていても 284 00:15:18,042 --> 00:15:20,961 異常な量の汗が お前の限界を訴えているぞ 285 00:15:21,045 --> 00:15:21,670 あっ… 286 00:15:21,754 --> 00:15:23,255 (辰宇)女官よ 287 00:15:23,339 --> 00:15:26,091 何かあれば 即座に鷲官所に連絡をよこせ 288 00:15:26,175 --> 00:15:27,551 は… はい! 289 00:15:28,677 --> 00:15:29,803 (矢をつがえる音) 290 00:15:31,472 --> 00:15:32,306 (莉莉)ん? 291 00:15:33,223 --> 00:15:34,558 ちょ… ちょっと 292 00:15:34,642 --> 00:15:37,353 せめて 手当てを 受けてからにしなよ 293 00:15:37,436 --> 00:15:40,230 黄玲琳様は回復し始めてるんだ 294 00:15:40,314 --> 00:15:41,482 もういいだろ 295 00:15:42,608 --> 00:15:43,233 (玲琳)フッ… 296 00:15:43,317 --> 00:15:46,654 莉莉 わたくし 存外… 297 00:15:47,154 --> 00:15:51,367 というか かなり この状況を堪能しておりますの 298 00:15:51,951 --> 00:15:52,618 へっ? 299 00:15:53,202 --> 00:15:55,621 (玲琳)水の気の強い神器でも 300 00:15:55,704 --> 00:16:00,501 土の気の強い わたくしなら 制することができるはず 301 00:16:00,584 --> 00:16:05,130 手は しびれるけれど 徐々に精度が上がってきている 302 00:16:05,631 --> 00:16:10,177 弓が 少しずつ 寄り添ってくれているのを感じます 303 00:16:10,260 --> 00:16:11,261 (矢を射る音) 304 00:16:12,221 --> 00:16:14,390 (辰宇)殿下 朗報にございます 305 00:16:14,473 --> 00:16:17,768 (尭明)そうか! 回復の兆候が… 306 00:16:17,851 --> 00:16:20,980 そうか… よかった 307 00:16:25,025 --> 00:16:27,695 しばし出かける 火を持て 308 00:16:27,778 --> 00:16:30,489 (辰宇)殿下 気が急(せ)くのは分かりますが 309 00:16:30,572 --> 00:16:34,535 黄麒宮に見舞うのは せめて 夜が明けるまで待たれたほうが 310 00:16:34,618 --> 00:16:37,454 分かっている 向かうのは紫龍泉(しりゅうせん)だ 311 00:16:37,538 --> 00:16:39,456 紫龍泉? 312 00:16:39,540 --> 00:16:41,709 というと 禁域の? 313 00:16:42,292 --> 00:16:43,836 (尭明)幸い 身は清めてある 314 00:16:44,545 --> 00:16:47,923 (尭明) 神秘の力を帯びた紫龍泉の水だ 315 00:16:48,424 --> 00:16:52,010 少なくとも ただの水よりかは 助けになるだろう 316 00:16:53,095 --> 00:16:57,182 あの朱慧月すら 愚直に 弓を引き続けていると聞いたが 317 00:16:57,683 --> 00:17:01,520 手のひらに血をにじませながら 弓を引き続けておりました 318 00:17:02,146 --> 00:17:03,814 なら なおのこと 319 00:17:04,356 --> 00:17:07,276 俺が のんびり 夜明けを待っていて いいはずがなかろう 320 00:17:08,944 --> 00:17:09,778 はっ 321 00:17:10,362 --> 00:17:13,073 (尭明)先触れを出せ 陛下に許可を取る 322 00:17:13,574 --> 00:17:17,953 無垢(むく)の布と 油で巻いた松明(たいまつ)と 泉に供える酒 323 00:17:18,037 --> 00:17:19,413 それから 新しい桶(おけ)を 324 00:17:21,457 --> 00:17:23,751 桶は 2つ用意せよ 325 00:17:24,877 --> 00:17:27,379 あとは任せたぞ 辰宇(しんう) 326 00:17:32,760 --> 00:17:37,639 (慧月)ハア… ハア… 327 00:17:42,603 --> 00:17:43,604 (慧月)あ… 328 00:17:44,605 --> 00:17:45,773 ハッ… 329 00:17:50,402 --> 00:17:51,945 ひいい! 330 00:17:52,905 --> 00:17:59,912 (慧月の荒い息) 331 00:18:00,788 --> 00:18:01,830 (慧月)あっ… 332 00:18:03,373 --> 00:18:06,585 いや… いやあ! 333 00:18:08,462 --> 00:18:09,838 あっ… うう… 334 00:18:11,548 --> 00:18:12,090 え? 335 00:18:16,553 --> 00:18:17,429 あっ… 336 00:18:21,350 --> 00:18:24,686 これは… 何? 337 00:18:24,770 --> 00:18:26,063 (矢を射る音) 338 00:18:28,148 --> 00:18:29,566 (玲琳)慧月様 339 00:18:29,650 --> 00:18:30,234 {\an8}(玲琳の荒い息) 340 00:18:30,234 --> 00:18:31,527 {\an8}(玲琳の荒い息) 341 00:18:30,234 --> 00:18:31,527 ごめんなさい 342 00:18:31,527 --> 00:18:32,236 {\an8}(玲琳の荒い息) 343 00:18:32,236 --> 00:18:36,573 {\an8}(玲琳の荒い息) 344 00:18:32,236 --> 00:18:36,573 わたくし 実は あのとき 見栄(みえ)を張りました 345 00:18:37,282 --> 00:18:42,079 今 思えば 乞巧節(きっこうせつ)で最初に願ったことは 346 00:18:42,162 --> 00:18:47,084 “健康になりたい”というよりも “楽になりたい” 347 00:18:48,293 --> 00:18:51,839 わたくしは きっと 疲れていたのです 348 00:18:52,339 --> 00:18:57,177 人に心配をかけてはいないかと 気を遣う日々を送り続け 349 00:18:57,678 --> 00:18:59,638 寝床に横たわるとき 350 00:19:00,138 --> 00:19:05,102 朝には死んでいるかもと 一体 何度 思ったか 351 00:19:05,811 --> 00:19:09,857 恐怖も痛みも 繰り返せば慣れる 352 00:19:10,440 --> 00:19:13,610 病のときにこそ 鍛錬に打ち込んだのは 353 00:19:13,694 --> 00:19:16,613 きっと 心を 空っぽにするためでした 354 00:19:18,115 --> 00:19:19,283 けれど… 355 00:19:19,366 --> 00:19:20,117 (玲琳)んっ… 356 00:19:20,701 --> 00:19:22,452 (玲琳)ねえ 慧月様 357 00:19:22,953 --> 00:19:25,289 あなた様のおかげで 358 00:19:25,372 --> 00:19:28,959 わたくし 今 すごく体力があるのです 359 00:19:29,042 --> 00:19:33,130 心を せわしなく動かすための すばらしい力が 360 00:19:35,716 --> 00:19:37,301 だから… 361 00:19:37,384 --> 00:19:38,468 (矢を射る音) (玲琳)ふっ 362 00:19:39,469 --> 00:19:40,596 あっ… 363 00:19:40,679 --> 00:19:42,181 あ… 364 00:19:47,936 --> 00:19:51,648 (玲琳)みっともなく あがいて むちゃをして 365 00:19:52,691 --> 00:19:55,068 あなたを救わせてくださいませ 366 00:19:56,361 --> 00:19:57,070 (玲琳)ん… 367 00:19:57,154 --> 00:19:59,281 (玲琳)死なせたりしない! 368 00:20:06,955 --> 00:20:08,832 -(玲琳)慧月様! -(慧月)あ… 369 00:20:09,625 --> 00:20:11,335 (玲琳)どうぞ こちらへ! 370 00:20:11,919 --> 00:20:14,087 (慧月)あ… ああ… 371 00:20:21,428 --> 00:20:23,013 {\an8}-(冬雪)玲琳様! -(珠蘭)あっ… 372 00:20:23,764 --> 00:20:25,265 (珊瑚たち)玲琳様! 373 00:20:25,349 --> 00:20:28,769 (一同の喜ぶ声) 374 00:20:30,604 --> 00:20:32,314 -(玲琳)あ… -(莉莉)当たった 375 00:20:32,397 --> 00:20:35,067 (玲琳)やりました… やりましたわ 莉莉 376 00:20:35,150 --> 00:20:36,777 (女官たちの歓声) (2人)あっ… 377 00:20:37,527 --> 00:20:40,030 (玲琳)今の 聞こえました? 378 00:20:40,113 --> 00:20:43,283 (莉莉)はい 黄麒宮のほうからの歓声です 379 00:20:43,367 --> 00:20:44,785 (珊瑚)ハア ハア… 380 00:20:45,535 --> 00:20:47,829 玲琳様の意識が戻られました! 381 00:20:47,913 --> 00:20:48,705 (玲琳・莉莉)あっ… 382 00:20:48,789 --> 00:20:51,333 雛女様! 黄玲琳様が! 383 00:20:51,416 --> 00:20:54,836 ええ… よかった 384 00:20:57,256 --> 00:20:58,882 あ… 385 00:21:00,425 --> 00:21:01,843 (玲琳)そんな… 386 00:21:02,427 --> 00:21:07,516 せっかくの 8日連続 気絶なし記録が… 387 00:21:07,599 --> 00:21:08,350 (莉莉)ちょ… 388 00:21:08,934 --> 00:21:10,310 雛女様! 389 00:21:12,437 --> 00:21:14,439 {\an8}♪~ 390 00:22:38,815 --> 00:22:40,817 {\an8}~♪ 391 00:22:44,404 --> 00:22:45,364 (玲琳)ん… 392 00:22:51,328 --> 00:22:54,247 (玲琳)莉莉 手当てまで… 393 00:22:55,540 --> 00:22:56,583 (玲琳)フフッ 394 00:23:03,965 --> 00:23:04,925 あ… 395 00:23:07,844 --> 00:23:09,554 あらら… 396 00:23:09,638 --> 00:23:11,556 (玲琳)知りませんでした 397 00:23:12,265 --> 00:23:17,020 涙は 安堵(あんど)したときにこそ 込み上げることを 398 00:23:17,604 --> 00:23:19,022 慧月様 399 00:23:19,606 --> 00:23:22,901 あなた様が生き延びてくださって よかった 400 00:23:23,610 --> 00:23:24,778 本当に… 401 00:23:24,861 --> 00:23:27,197 (冬雪)お目覚めでございますか 402 00:23:27,864 --> 00:23:28,782 (玲琳)あ… 403 00:23:30,534 --> 00:23:32,035 冬雪… 404 00:23:32,119 --> 00:23:33,286 あっ… 405 00:23:34,162 --> 00:23:35,622 冬雪様 406 00:23:36,206 --> 00:23:37,499 {\an8}あっ… 407 00:23:40,293 --> 00:23:41,378 {\an8}やはり… 408 00:23:41,461 --> 00:23:42,462 あ… 409 00:23:42,963 --> 00:23:47,634 (冬雪)やはり… あなた様が玲琳様なのですね 410 00:23:48,385 --> 00:23:49,803 (玲琳)あ…