1 00:00:02,002 --> 00:00:04,171 (エリーゼ)初めまして ローゼと申します。 2 00:00:04,171 --> 00:00:07,007 (ハンス)どう見ても 貴族のお嬢様だよな。 3 00:00:07,007 --> 00:00:09,009 やっていけるのか? 4 00:00:09,009 --> 00:00:11,678 (グレアム)ここは 外傷患者や 緊急の患者が➡ 5 00:00:11,678 --> 00:00:14,014 随時 押し寄せる場所だ。 6 00:00:14,014 --> 00:00:17,017 緊張感を持って 務めるように。 はい! 7 00:00:17,017 --> 00:00:19,186 私は 会議に行ってくる。 8 00:00:19,186 --> 00:00:22,189 ハンス! ローゼに ここの案内をしてやってくれ。 9 00:00:22,189 --> 00:00:24,691 はい グレアム先生! 10 00:00:24,691 --> 00:00:27,194 よろしくお願いします。 11 00:00:27,194 --> 00:00:29,196 あっ はい。 12 00:00:29,196 --> 00:00:33,400 《大丈夫かな? 血を見たら 気を失いそうだけど…》 13 00:02:16,003 --> 00:02:19,673 患者が来たら 私たち見習いが まず 簡単に診察し➡ 14 00:02:19,673 --> 00:02:21,675 先生に報告をする。 15 00:02:21,675 --> 00:02:25,345 そして 各担当の先生に 治療してもらうというシステムに➡ 16 00:02:25,345 --> 00:02:27,347 なっているんだよ。 17 00:02:27,347 --> 00:02:32,519 《なるほど。 救命救急室と似た 運営体制ってことね》 18 00:02:32,519 --> 00:02:36,189 (ハンス)ここには 急な外傷患者が 来たときのために➡ 19 00:02:36,189 --> 00:02:38,525 手術道具が準備されている。 20 00:02:38,525 --> 00:02:42,529 《エリーゼ:どれも 私が使っていた 器具に似ている》 21 00:02:42,529 --> 00:02:44,698 あの レディー ローゼ。 22 00:02:44,698 --> 00:02:48,201 あっ 気楽に ローゼと お呼びください。 23 00:02:48,201 --> 00:02:50,537 そっ… そうか。 24 00:02:50,537 --> 00:02:52,706 急患です! あっ! 25 00:02:52,706 --> 00:02:55,542 すぐに ここへ連れてきてくれ! はい! 26 00:02:55,542 --> 00:02:58,211 診察のしかたを教えるから。 はい! 27 00:02:58,211 --> 00:03:02,983 ハァ… むっ… 胸が 苦し…。 28 00:03:02,983 --> 00:03:04,985 あっ…。 29 00:03:04,985 --> 00:03:07,654 心臓電流測定器を 持ってきてください。 30 00:03:07,654 --> 00:03:10,824 それと グレアム先生を呼んできて! はい! 31 00:03:10,824 --> 00:03:13,326 ハァハァ…。 32 00:03:13,326 --> 00:03:15,328 《違う》 33 00:03:15,328 --> 00:03:18,832 もう少しの辛抱です。 すぐに 検査して 処置しますので。 34 00:03:18,832 --> 00:03:22,836 《心臓の検査を してる場合じゃない。 35 00:03:22,836 --> 00:03:25,839 この様子じゃ 先生が来るまで…》 36 00:03:25,839 --> 00:03:27,841 がはっ! あっ! んっ! 37 00:03:27,841 --> 00:03:30,343 聴診器を貸してください! んっ? 38 00:03:30,343 --> 00:03:33,513 急がないと! 1分1秒を争います! 39 00:03:33,513 --> 00:03:37,350 あっ…。 こっ… これを! ありがとうございます。 40 00:03:37,350 --> 00:03:41,354 ハァハァ ハァハァ…。 41 00:03:41,354 --> 00:03:43,523 んっ…。 42 00:03:43,523 --> 00:03:47,694 《やっぱり! 左側の呼吸音が減弱している。 43 00:03:47,694 --> 00:03:51,531 頸静脈が怒張して…。 44 00:03:51,531 --> 00:03:54,534 これは 緊張性気胸。 45 00:03:54,534 --> 00:03:57,037 漏れ出した空気が多すぎて➡ 46 00:03:57,037 --> 00:04:01,975 心臓まで圧迫され ショック状態を起こしているんだわ。 47 00:04:01,975 --> 00:04:04,978 すぐに 処置を施さないと…》 48 00:04:04,978 --> 00:04:07,481 消毒液と注射針を準備して! 49 00:04:07,481 --> 00:04:10,650 えっ? あっ? 早く 注射針を下さい! 50 00:04:10,650 --> 00:04:12,986 いちばん 針が太い物を。 はっ… はい! 51 00:04:12,986 --> 00:04:14,988 こちらです。 52 00:04:14,988 --> 00:04:17,157 ありがとうございます。 53 00:04:17,157 --> 00:04:19,826 ハァハァハァ…。 54 00:04:19,826 --> 00:04:22,662 ローゼ 何を? 55 00:04:22,662 --> 00:04:25,332 患者さんの体を つかんでいてください。 56 00:04:25,332 --> 00:04:28,001 えっ? ああ…。 んっ! 57 00:04:28,001 --> 00:04:31,505 んっ…。 58 00:04:31,505 --> 00:04:34,508 んっ…。 59 00:04:34,508 --> 00:04:36,676 なっ! ひっ! 離さないで! 60 00:04:36,676 --> 00:04:41,014 あっ… んっ! んっ! 61 00:04:41,014 --> 00:04:43,016 《もう少し…》 62 00:04:46,019 --> 00:04:49,856 ぐはっ! (せき) 63 00:04:49,856 --> 00:04:51,858 フゥ…。 64 00:04:51,858 --> 00:04:54,694 んっ… フゥ…。 65 00:04:54,694 --> 00:04:58,031 あっ…。 66 00:04:58,031 --> 00:05:02,302 あっ! 勝手なまねを どうか お許しください。 67 00:05:02,302 --> 00:05:04,971 あまりにも 緊急な状況だったので…。 68 00:05:04,971 --> 00:05:06,973 えっ… あっ…。 69 00:05:06,973 --> 00:05:08,975 患者の容体は? 70 00:05:08,975 --> 00:05:10,977 んっ…。 あっ…。 あっ! 71 00:05:10,977 --> 00:05:12,979 これは…。 72 00:05:12,979 --> 00:05:15,148 誰が やった? 73 00:05:15,148 --> 00:05:17,150 あっ…。 74 00:05:17,150 --> 00:05:19,986 (グレアム)ローゼ 君が やったのか? 75 00:05:19,986 --> 00:05:22,822 はい。 私が やりました。 76 00:05:22,822 --> 00:05:25,325 どうして このような処置を? 77 00:05:25,325 --> 00:05:27,327 (エリーゼ)胸腔に空気が漏れ➡ 78 00:05:27,327 --> 00:05:30,163 肺と心臓を圧迫した状態と 判断し➡ 79 00:05:30,163 --> 00:05:34,334 空気を外に出すため このように施しました。 80 00:05:34,334 --> 00:05:38,538 気胸か。 それも 緊張性気胸。 81 00:05:40,841 --> 00:05:43,510 よくやった。 緊張性気胸は➡ 82 00:05:43,510 --> 00:05:46,680 すぐに処置しなければ 死に至る 救急疾患だ。 83 00:05:46,680 --> 00:05:51,351 ローゼのおかげで この患者は 死なずに済んだ。 84 00:05:51,351 --> 00:05:55,689 《人を褒めないことで有名な グレアム先生が…》 85 00:05:55,689 --> 00:05:59,693 しかし 緊張性気胸だと なぜ わかったんだ? 86 00:05:59,693 --> 00:06:04,798 急な呼吸困難の容体から 気胸の疑いがあり➡ 87 00:06:04,798 --> 00:06:09,636 聴診したところ 肺の音が 全く聞こえませんでした。 88 00:06:09,636 --> 00:06:14,641 これは 空気が 音波の伝達を 遮断し 起こった現象。 89 00:06:14,641 --> 00:06:17,477 頸静脈も張っていたことから➡ 90 00:06:17,477 --> 00:06:22,148 心臓まで圧迫した 緊張性気胸だと判断しました。 91 00:06:22,148 --> 00:06:26,319 あっ…。 なんと 大したものだ! 92 00:06:26,319 --> 00:06:28,321 もっと 詳しく聞かせてくれないか? 93 00:06:28,321 --> 00:06:30,490 私も聞きたいです! いや…。 94 00:06:30,490 --> 00:06:33,159 《グレアム:まだ 病院に入って 半月にもならない少女が➡ 95 00:06:33,159 --> 00:06:35,161 こんな…。 96 00:06:35,161 --> 00:06:41,167 やはり この少女は まれに見る 真の天才なのだ》 97 00:06:43,336 --> 00:06:47,674 あの子よ 注射針で 胸腔を開け 患者を助けたの。 98 00:06:47,674 --> 00:06:51,011 え~? どう見ても 華やかな世界で育った➡ 99 00:06:51,011 --> 00:06:53,179 貴族の姫君って感じよ。 100 00:06:53,179 --> 00:06:56,850 《変に疑われても しかたないわ。 101 00:06:56,850 --> 00:06:59,019 目の前の患者を 無視することなんて➡ 102 00:06:59,019 --> 00:07:01,454 私には できないもの》 103 00:07:01,454 --> 00:07:05,125 先生 急患が! 今 行きます! 104 00:07:05,125 --> 00:07:07,127 あ~ 頼りになる! 105 00:07:07,127 --> 00:07:09,796 すてきな先生が来てくれて よかったわね。 106 00:07:09,796 --> 00:07:11,965 ウフッ! ウフッ! 107 00:07:11,965 --> 00:07:16,136 (ハンス)みんな ローゼの容姿に 目を奪われがちだけど➡ 108 00:07:16,136 --> 00:07:18,972 本当に すごいのは 彼女の実力だよ! 109 00:07:18,972 --> 00:07:22,142 気胸だけじゃない。 他の診察だって…。 110 00:07:22,142 --> 00:07:24,144 わかった わかった。 111 00:07:24,144 --> 00:07:26,980 ハンスが あの子を好きなのは よく わかったよ。 112 00:07:26,980 --> 00:07:30,150 えっ!? あっ なっ… その… あっ… あっ…。 113 00:07:30,150 --> 00:07:33,987 そうだ。 彼女を 祭りに誘ってみたら どうだ? 114 00:07:33,987 --> 00:07:40,493 確かに! 年に1度の祝祭なら 誘っても 不自然では…。 115 00:07:43,997 --> 00:07:48,168 あっ ハァ… だめだ。 俺じゃ 釣り合わなすぎる。 116 00:07:48,168 --> 00:07:52,005 あ~… きれいな お嬢様だしな。 117 00:07:52,005 --> 00:07:55,008 確かに 最初は 容姿に引かれたけど…。 118 00:07:58,345 --> 00:08:03,116 あの姿を見て ほれずには いられないよ。 119 00:08:03,116 --> 00:08:06,453 先ほどの 脱臼患者の処置ですが➡ 120 00:08:06,453 --> 00:08:09,122 脱臼した方向に 手を持ち上げたあと➡ 121 00:08:09,122 --> 00:08:11,624 外側に回転させ 矯正しました。 122 00:08:11,624 --> 00:08:15,462 《コッヘル法での矯正もできるとは…。 123 00:08:15,462 --> 00:08:17,964 ローゼの医術は 才能というより➡ 124 00:08:17,964 --> 00:08:20,800 すでに完成されているようにすら 感じる。 125 00:08:20,800 --> 00:08:26,139 まるで 医術を 体に刻んで 生まれたかのように…》 126 00:08:26,139 --> 00:08:29,309 先生 どうかされました? 127 00:08:29,309 --> 00:08:32,145 んっ? あっ いや なんでも…。 128 00:08:32,145 --> 00:08:35,982 《何を考えてるんだ 俺は》 (歓声) 129 00:08:35,982 --> 00:08:40,320 んっ? ああ そうか 今日は 祝祭だったな。 130 00:08:40,320 --> 00:08:42,822 お祭りですか? ああ。 131 00:08:42,822 --> 00:08:46,659 年に1度の 数少ない楽しみだ。 132 00:08:46,659 --> 00:08:48,661 救護所に勤めている者も➡ 133 00:08:48,661 --> 00:08:51,364 この日ばかりは 残業せずに帰る者が多い。 134 00:08:56,836 --> 00:08:59,839 ローゼも 早めに上がって 見てくればいい。 135 00:08:59,839 --> 00:09:02,442 初日から いろいろあって 疲れたろう。 136 00:09:02,442 --> 00:09:06,279 気分転換と休息 どちらも大切なことだ。 137 00:09:06,279 --> 00:09:10,283 お気遣い ありがとうございます。 グレアム先生。 138 00:09:10,283 --> 00:09:13,453 んっ! んっ… んっ…。 139 00:09:13,453 --> 00:09:15,955 グレアム先生 重症患者です! 140 00:09:15,955 --> 00:09:17,957 えっ? あっ…。 141 00:09:17,957 --> 00:09:20,960 (グレアム)これは…。 142 00:09:20,960 --> 00:09:25,298 (ランドル)ハァハァハァ…。 143 00:09:25,298 --> 00:09:27,967 んっ…。 (ロン)どうだ? 144 00:09:27,967 --> 00:09:30,970 命は助かるのか? 145 00:09:30,970 --> 00:09:33,139 厳しいかと…。 146 00:09:33,139 --> 00:09:36,643 どういうことだ? 説明してくれ! 147 00:09:36,643 --> 00:09:39,312 銃弾が 脾臓を貫通しています。 148 00:09:39,312 --> 00:09:42,148 止血するのは困難です。 149 00:09:42,148 --> 00:09:45,652 残念ですが 手の施しようがありません。 150 00:09:45,652 --> 00:09:49,155 あっ… うっ…。 151 00:09:52,492 --> 00:09:54,494 んっ…。 152 00:09:56,496 --> 00:10:01,000 それは 皇室の紋章! 153 00:10:01,000 --> 00:10:03,169 礼は いくらでもする。 154 00:10:03,169 --> 00:10:06,339 どんな手を使ってでも この患者を助けてくれ。 155 00:10:06,339 --> 00:10:09,342 あっ…。 156 00:10:09,342 --> 00:10:11,344 んっ…。 157 00:10:11,344 --> 00:10:15,014 《しかし この帝国中を探しても➡ 158 00:10:15,014 --> 00:10:18,518 脾臓を貫通した傷を 治療できる者など…》 159 00:10:18,518 --> 00:10:20,854 くっ…。 160 00:10:20,854 --> 00:10:23,523 大変 申し訳…。 (エリーゼ)承知いたしました。 161 00:10:23,523 --> 00:10:27,026 あっ! 最善を尽くしてみます。 162 00:10:27,026 --> 00:10:30,363 ローゼ 何を? 163 00:10:30,363 --> 00:10:32,365 あっ…。 164 00:10:36,035 --> 00:10:38,538 (ロン)そなた…。 165 00:10:38,538 --> 00:10:41,708 あっ…。 166 00:10:41,708 --> 00:10:43,710 《リンデン:エリーゼ…》 167 00:10:47,213 --> 00:10:57,557 ♬~ 168 00:10:57,557 --> 00:11:00,827 ⦅年に1度の祝祭 にぎやかですよ。 169 00:11:00,827 --> 00:11:03,163 (リンデン)そうか。 あっ…。 170 00:11:03,163 --> 00:11:06,332 人々のにぎわう様子を ご覧になりたくて➡ 171 00:11:06,332 --> 00:11:09,502 視察を希望されたのかと 思っておりました。 172 00:11:09,502 --> 00:11:13,006 いや テレサ病院に 少し 用があるんだ。 173 00:11:13,006 --> 00:11:16,676 やはり お体の調子が悪いのですか? 174 00:11:16,676 --> 00:11:19,512 近頃 ずっと お疲れのようですし…。 175 00:11:19,512 --> 00:11:24,317 夜も あまり眠れていないのでは? まあな。 176 00:11:30,189 --> 00:11:32,358 《リンデン:15年前の あの日から➡ 177 00:11:32,358 --> 00:11:36,863 安心して眠れたことなんて 一度もなかった。 178 00:11:36,863 --> 00:11:40,166 常に繰り返される 悪夢のせいで…》 179 00:11:42,702 --> 00:11:46,372 一度 テレサ病院で 診てもらっては いかがでしょう? 180 00:11:46,372 --> 00:11:49,709 あの病院は 信頼の置ける医師が多いですし。 181 00:11:49,709 --> 00:11:53,880 問題ない。 すでに もらった薬を飲んでいる。 182 00:11:53,880 --> 00:11:55,882 じきに よくなるだろう。 183 00:11:55,882 --> 00:12:00,486 ですが…。 くどい。 お前は 心配し過ぎる。 184 00:12:00,486 --> 00:12:03,823 あるじを心配するのは 当たり前のことです。 185 00:12:03,823 --> 00:12:06,659 殿下は ご自分を軽んじがちですから。 186 00:12:06,659 --> 00:12:10,663 フゥ… 私は 部下に恵まれたな。 187 00:12:10,663 --> 00:12:15,568 私も 寛大な あるじに お仕えできて 幸いです。 188 00:12:18,838 --> 00:12:20,840 フゥ…。 189 00:12:34,187 --> 00:12:38,024 どうした? あっ いえ 何度 見ても 殿下の…。 190 00:12:38,024 --> 00:12:42,362 ロマノフ皇室の変装能力は 巧みだと思いまして。 191 00:12:42,362 --> 00:12:46,699 ランドル 視察中だ。 言葉には気を付けろ。 192 00:12:46,699 --> 00:12:49,535 あっ 申し訳ありません。 193 00:12:49,535 --> 00:12:53,373 詳しいんだな この辺りのこと。 194 00:12:53,373 --> 00:12:57,543 実は 妻が テレサ病院で 息子を出産しまして。 195 00:12:57,543 --> 00:13:00,980 病院に通ううちに 自然と…。 196 00:13:00,980 --> 00:13:03,283 (ロン)そうだったのか おめでとう。 197 00:13:06,319 --> 00:13:10,123 暗い道ですが まっすぐ進めば テレサ病院です。 198 00:13:13,826 --> 00:13:16,663 ハァハァ…。 んっ! 199 00:13:16,663 --> 00:13:18,665 ハァ…。 200 00:13:18,665 --> 00:13:21,834 もっ… 持ってる物 全部 出せ! 201 00:13:21,834 --> 00:13:25,672 けがをしたくなければ 今すぐ 立ち去れ! 202 00:13:25,672 --> 00:13:28,841 うわ~! (ランドル)フッ! 203 00:13:28,841 --> 00:13:31,511 うわっ うっ… うぅ…。 204 00:13:31,511 --> 00:13:33,513 うわ~! 205 00:13:33,513 --> 00:13:35,515 あっ! ランドル! 206 00:13:35,515 --> 00:13:37,817 ランドル!!⦆ 207 00:13:42,188 --> 00:13:44,190 承知いたしました。 208 00:13:44,190 --> 00:13:47,527 最善を尽くしてみます。 ローゼ…。 209 00:13:47,527 --> 00:13:49,862 《エリーゼ? 210 00:13:49,862 --> 00:13:54,200 病院で働きだしたばかりの者が 何を言ってるんだ?》 211 00:13:54,200 --> 00:13:58,538 血管が 無数に通っている脾臓を 銃弾が貫通したんだぞ! 212 00:13:58,538 --> 00:14:01,140 ほとんどの血管が 切れてしまっているんだから➡ 213 00:14:01,140 --> 00:14:04,811 止血するのは不可能だ。 承知しています。 214 00:14:04,811 --> 00:14:06,979 じゃあ どうすると? 215 00:14:06,979 --> 00:14:09,816 脾臓を摘出すればいいんです。 216 00:14:09,816 --> 00:14:12,652 あっ! 217 00:14:12,652 --> 00:14:14,654 ハッ…。 218 00:14:14,654 --> 00:14:19,325 《グレアム:必ずしも 脾臓の中で 止血する必要はない。 219 00:14:19,325 --> 00:14:22,829 脾臓を切除し そこへ向かう血管を結べば➡ 220 00:14:22,829 --> 00:14:24,831 止血は可能だ。 221 00:14:24,831 --> 00:14:28,334 単純だが これまで 誰も思いつかなかった➡ 222 00:14:28,334 --> 00:14:32,672 まさに 革命に近い発想。 しかし…》 223 00:14:32,672 --> 00:14:36,342 脾臓は 腹腔の いちばん奥に 位置しているんだぞ。 224 00:14:36,342 --> 00:14:40,680 脾臓の周りにある 胃と膵臓 腸と大網は どうするんだ? 225 00:14:40,680 --> 00:14:44,183 まず 脾臓を支える靱帯を切除し➡ 226 00:14:44,183 --> 00:14:47,854 その後 脾臓の位置を 回転させればよいかと。 227 00:14:47,854 --> 00:14:53,025 《俺のような凡人には 全く理解できない》 228 00:14:53,025 --> 00:14:56,529 だったら 誰が その手術をするというんだ? 229 00:14:56,529 --> 00:14:58,698 私には そんな能力はないぞ。 230 00:14:58,698 --> 00:15:00,633 私に やらせてください。 231 00:15:00,633 --> 00:15:03,803 (ロン/グレアム)なっ! こんな大がかりな手術を➡ 232 00:15:03,803 --> 00:15:05,805 見習いが執刀するだと? 233 00:15:05,805 --> 00:15:08,808 出過ぎたまねだということは 承知しています。 234 00:15:08,808 --> 00:15:12,812 しかし このままでは この患者は 命を落としてしまいます。 235 00:15:12,812 --> 00:15:15,648 この方法で 手術すれば 助かる見込みはあります! 236 00:15:15,648 --> 00:15:18,151 いえ 絶対 助けてみせます! 237 00:15:18,151 --> 00:15:21,487 本当に できるのか? 238 00:15:21,487 --> 00:15:25,491 私は この患者を助けたいんです! 信じてください! 239 00:15:28,828 --> 00:15:31,998 いいだろう。 必ず 助けよ。 240 00:15:31,998 --> 00:15:35,001 んっ…。 241 00:15:35,001 --> 00:15:37,170 手術をするなら➡ 242 00:15:37,170 --> 00:15:40,339 助手の役割をする者が あと1人 必要だ。 243 00:15:40,339 --> 00:15:43,342 他の者は 別の患者で忙しいし➡ 244 00:15:43,342 --> 00:15:45,511 緊急で 呼び寄せるにも…。 245 00:15:45,511 --> 00:15:48,514 だったら 私が手伝おう。 えっ? 246 00:15:48,514 --> 00:15:52,185 ですが…。 2年前の アンジェリー戦争で➡ 247 00:15:52,185 --> 00:15:55,021 さまざまな 医療処置をした経験もある。 248 00:15:55,021 --> 00:15:57,023 役に立てるはずだ。 249 00:15:57,023 --> 00:15:59,525 あっ…。 あっ うん。 250 00:15:59,525 --> 00:16:01,461 では えっと…。 251 00:16:01,461 --> 00:16:03,963 ロンと呼んでくれたまえ。 252 00:16:03,963 --> 00:16:06,766 かしこまりました ロン様。 253 00:16:09,802 --> 00:16:12,972 《容体からして 脾臓の損傷は激しい。 254 00:16:12,972 --> 00:16:15,475 手術しても 死亡率は高いわ。 255 00:16:15,475 --> 00:16:19,812 前世での私からしても 簡単ではない重患。 256 00:16:19,812 --> 00:16:22,982 一瞬たりとも 気を抜くことはできない》 257 00:16:22,982 --> 00:16:25,585 それでは 始めます。 258 00:16:28,487 --> 00:16:30,490 《出血が ひどい》 259 00:16:30,490 --> 00:16:34,660 ロン様 ガーゼで圧迫し 出血部位を塞いでください。 260 00:16:34,660 --> 00:16:37,830 ガーゼは できるだけ多く! わかった。 261 00:16:37,830 --> 00:16:41,334 グレアム先生 この器具で 胃腸を こちらの方向に➡ 262 00:16:41,334 --> 00:16:43,336 もう少し 寄せてください。 263 00:16:43,336 --> 00:16:48,174 同時に 下の肋骨を持ち上げて。 ああ。 264 00:16:48,174 --> 00:16:52,011 《まるで この手術を 何度も してきたかのように➡ 265 00:16:52,011 --> 00:16:54,013 迷いがない》 266 00:16:54,013 --> 00:16:59,185 で 次は どうすればいいんだ? 脾臓を切除します。 267 00:16:59,185 --> 00:17:03,289 脾臓と つながっている 膵臓の後ろの部分を剥離すれば➡ 268 00:17:03,289 --> 00:17:06,792 脾臓を分離し 切除することができます。 269 00:17:06,792 --> 00:17:12,131 《想定どおり できるなら 脾臓を切除するのは可能。 270 00:17:12,131 --> 00:17:14,634 しかし あくまで できたらの話だ。 271 00:17:14,634 --> 00:17:16,636 ローゼに それが…》 272 00:17:16,636 --> 00:17:19,305 グレアム先生。 えっ? 273 00:17:19,305 --> 00:17:21,307 必ず できます。 274 00:17:21,307 --> 00:17:26,312 先生が 私を信じてくださるのなら この患者は助かります。 275 00:17:26,312 --> 00:17:28,314 わかった。 276 00:17:34,654 --> 00:17:38,491 《医術には詳しくないが この手さばきは 本物だ。 277 00:17:38,491 --> 00:17:43,162 父上は 帝国を支配する 絶対的な存在。 278 00:17:43,162 --> 00:17:47,333 彼が望んだ瞬間 婚約は すでに確定したも同然。 279 00:17:47,333 --> 00:17:50,670 だが エリーゼは 本気で 父上に逆らい➡ 280 00:17:50,670 --> 00:17:52,838 医者になろうとしているのか。 281 00:17:52,838 --> 00:17:56,542 私は 誰が婚約者でも関係ないと 思ってきたが…》 282 00:18:01,280 --> 00:18:03,616 患部の手術は これで終わりです。 283 00:18:03,616 --> 00:18:07,520 完璧だ。 まるで 夢を見ていたかのようだ。 284 00:18:10,289 --> 00:18:12,291 んっ…。 285 00:18:16,128 --> 00:18:18,464 ハァ…。 (エリーゼ)ロン様。 286 00:18:18,464 --> 00:18:21,968 んっ? 手術は 成功に終わりましたので➡ 287 00:18:21,968 --> 00:18:25,972 じきに回復されるかと。 改めて 礼を言う。 288 00:18:25,972 --> 00:18:29,809 いえ ロン様の お力添えがあってのことです。 289 00:18:29,809 --> 00:18:31,978 本当に お疲れさまでした。 290 00:18:31,978 --> 00:18:35,815 私は ただ すべきことを やったまでだ。 291 00:18:35,815 --> 00:18:38,651 ところで 約束の褒美だが➡ 292 00:18:38,651 --> 00:18:41,487 そなたが望むもの なんでも言ってくれたまえ。 293 00:18:41,487 --> 00:18:45,491 それは 私ではなく 病院の精算部に言ってください。 294 00:18:45,491 --> 00:18:49,996 私のほうこそ 医者として すべきことを したまでですから。 295 00:18:49,996 --> 00:18:53,332 きっと 請求書を見て 驚かれますよ。 296 00:18:53,332 --> 00:18:58,838 当病院は 一般市民と貴族階級では 金額が異なりますから。 297 00:18:58,838 --> 00:19:03,109 あとになって ぼったくりなどと お怒りにならないでくださいね。 298 00:19:03,109 --> 00:19:06,112 んっ…。 では 私は これで…。 299 00:19:06,112 --> 00:19:08,280 うっ… あっ…。 あっ ロン様? 300 00:19:08,280 --> 00:19:12,284 ハァ… 大丈夫だ。 心配いらない。 301 00:19:12,284 --> 00:19:14,787 顔色が よくありませんわ。 302 00:19:14,787 --> 00:19:17,456 体温を確認しても よろしいですか? 303 00:19:17,456 --> 00:19:21,627 あっ…。 だっ… 大丈夫だ! あっ…。 304 00:19:21,627 --> 00:19:24,463 このくらいの めまいは いつものことだ。 305 00:19:24,463 --> 00:19:29,135 定期的な めまいとなると 何かあるかもしれません。 306 00:19:29,135 --> 00:19:33,806 お時間は取らせませんので 診察を受けていかれませんか? 307 00:19:33,806 --> 00:19:36,809 私のことより ランドルのことだ。 308 00:19:36,809 --> 00:19:41,480 明日 皇室十字病院に移させたいが 大丈夫か? 309 00:19:41,480 --> 00:19:43,983 はい 問題はないかと。 310 00:19:43,983 --> 00:19:47,153 手術の報告書を お渡ししますね。 311 00:19:47,153 --> 00:19:51,824 《脾臓摘出術は まだ なじみのない手術だから➡ 312 00:19:51,824 --> 00:19:55,494 手術過程を できるだけ詳しく書かなきゃ…》 313 00:19:55,494 --> 00:19:57,830 よろしく頼む。 あっ…。 314 00:19:57,830 --> 00:20:01,333 ロン様 もし 症状が続くようでしたら➡ 315 00:20:01,333 --> 00:20:03,536 必ず 病院に来てくださいね! 316 00:20:11,677 --> 00:20:15,014 ハァ… ほんとに 心配したんですよ。 317 00:20:15,014 --> 00:20:17,016 もう 大丈夫なんですか? 318 00:20:17,016 --> 00:20:19,018 (ランドル)あっ…。 あっ…。 319 00:20:19,018 --> 00:20:23,522 (エリーゼ)先生 先日の 脾臓摘出手術の報告書です。 320 00:20:23,522 --> 00:20:25,858 ああ…。 321 00:20:25,858 --> 00:20:28,694 うっ! (エリーゼ)どうされました? 322 00:20:28,694 --> 00:20:31,864 あっ いや…。 うっ…。 323 00:20:31,864 --> 00:20:34,867 《字が下手すぎる。 324 00:20:34,867 --> 00:20:37,536 これが 天才の字か? 325 00:20:37,536 --> 00:20:40,706 凡人の俺は 試されてるのか?》 326 00:20:40,706 --> 00:20:46,378 (ゴート)なんだ? この 子どもの 落書きのような 汚い文字は…。 327 00:20:46,378 --> 00:20:49,882 (ベン)いいから 早く読め! うん? 328 00:20:49,882 --> 00:20:55,554 どうだ? 脾臓摘出手術。 まさに 奇跡の手術じゃないか! 329 00:20:55,554 --> 00:20:59,992 うん… どう見ても うそじゃないか。 330 00:20:59,992 --> 00:21:03,329 えっ? 発想のよさは認めるが➡ 331 00:21:03,329 --> 00:21:05,831 こんな手術が 可能なわけがない。 332 00:21:05,831 --> 00:21:10,336 誰だか知らないが よくできた空想を書いたものだ。 333 00:21:10,336 --> 00:21:13,005 んっ! 空想じゃない! 334 00:21:13,005 --> 00:21:17,343 我が 皇室十字病院に その患者がいるんだ! 335 00:21:17,343 --> 00:21:20,346 銃弾が 脾臓を貫通したにもかかわらず➡ 336 00:21:20,346 --> 00:21:23,849 生きているんだぞ! 何 ばかなことを…。 337 00:21:23,849 --> 00:21:28,521 それも そなたの テレサ病院から 移送されてきた患者だ。 338 00:21:28,521 --> 00:21:31,357 んっ? 一体 誰なんだ? 339 00:21:31,357 --> 00:21:34,360 この 奇跡のような手術をした医者は! 340 00:21:34,360 --> 00:21:38,197 皇室十字病院への移送…。 341 00:21:38,197 --> 00:21:41,200 もしかして 患者の名前は ランドルか? 342 00:21:41,200 --> 00:21:43,202 ああ そうだ! 343 00:21:43,202 --> 00:21:45,704 祭りの日の患者だったな。 344 00:21:45,704 --> 00:21:49,542 その日は グレアム教授が執刀していた。 345 00:21:49,542 --> 00:21:51,544 お~! 346 00:21:51,544 --> 00:21:54,213 失礼します。 (エリーゼ/グレアム)あっ…。 (ドアの開く音) 347 00:21:54,213 --> 00:21:58,050 グレアム先生 至急 院長室に来てほしいと➡ 348 00:21:58,050 --> 00:21:59,985 院長先生が お呼びです。 349 00:21:59,985 --> 00:22:04,657 何かあったのか? 先日の手術についてだとか…。 350 00:22:04,657 --> 00:22:07,493 あっ わかった。 351 00:22:07,493 --> 00:22:10,496 ローゼ 一緒に来てくれ。 えっ? はい。