1 00:00:17,910 --> 00:00:20,910 (ソーマ)人材が足りない 2 00:00:20,910 --> 00:00:24,080 (リーシア)そうね… 3 00:00:24,080 --> 00:00:27,920 例えば ロロアの経済センスは 非凡なものだ 4 00:00:27,920 --> 00:00:31,420 (ロロア)エヘヘ せやろ? ハァ… だけど— 5 00:00:31,420 --> 00:00:34,760 ロロア一人で国の財政を 回せるわけじゃないだろ? 6 00:00:34,760 --> 00:00:36,760 せやな 7 00:00:36,760 --> 00:00:40,760 官僚組織 そのもとで働く 計算のできる人がおらんとな 8 00:00:40,760 --> 00:00:43,600 うん… 不足しているのは— 9 00:00:43,600 --> 00:00:46,600 そんな読み書き 計算ができる人材だ 10 00:00:46,600 --> 00:00:51,280 (ジュナ)悲しいですが 民衆の識字率は高くありません 11 00:00:51,280 --> 00:00:53,280 算術を扱えるのも— 12 00:00:53,280 --> 00:00:56,950 貴族 騎士を除けば 商人ぐらいしかいませんね 13 00:00:56,950 --> 00:00:59,280 ジュナさんの言うとおり 14 00:00:59,280 --> 00:01:03,120 だったら広く市井の人々から 募集してみたら? 15 00:01:03,120 --> 00:01:09,130 突き抜けた人材を登用するなら 金も権力も集中できる国が強い 16 00:01:09,130 --> 00:01:14,470 だけど 市井の有能な者を 大量に… となると厳しい 17 00:01:14,470 --> 00:01:16,730 じゃあ どうするのよ 18 00:01:16,730 --> 00:01:19,070 他国からも人材を集めつつ— 19 00:01:19,290 --> 00:01:22,470 あれを行うしかないだろう 「あれ」って? 20 00:02:58,030 --> 00:03:03,620 〈「奴隷」 それは現在まで続く 最大の人権侵害である 21 00:03:04,130 --> 00:03:08,220 人が人を所有し その権利 自由を認めず— 22 00:03:08,390 --> 00:03:10,390 所有物のように売買する 23 00:03:11,110 --> 00:03:12,560 かの アリストテレスは— 24 00:03:12,670 --> 00:03:15,060 「生命ある道具」として 擁護したが— 25 00:03:15,430 --> 00:03:18,730 決して 認められるべきではない制度だ 26 00:03:19,270 --> 00:03:20,730 しかし 悲しいかな— 27 00:03:21,090 --> 00:03:25,070 超大陸ランディアには この制度が残っていた 28 00:03:25,070 --> 00:03:29,580 それは フリードニア王国も 例外ではなかったのである 29 00:03:30,670 --> 00:03:32,080 ここでの奴隷は— 30 00:03:32,310 --> 00:03:34,920 罪を犯して 奴隷にされた者もいるが— 31 00:03:35,270 --> 00:03:39,590 ほとんどは貧困ゆえに 身売りするしかない者たちだった 32 00:03:39,850 --> 00:03:43,260 あるじが許せば 自由民になることもできるし— 33 00:03:43,870 --> 00:03:47,090 暴力的 性的虐待は 禁じられていた 34 00:03:47,610 --> 00:03:50,760 が 女性奴隷は性的に虐待され— 35 00:03:51,110 --> 00:03:55,100 男性奴隷は 死ぬまで 働かされることもあった 36 00:03:56,290 --> 00:03:59,270 ここに一人の奴隷商がいた 37 00:03:59,850 --> 00:04:03,280 名を ジンジャー・カミュという〉 38 00:04:03,280 --> 00:04:05,210 (ジンジャー)じいちゃんが死んで— 39 00:04:05,210 --> 00:04:08,050 商品である皆さんを 引き継いだカミュです 40 00:04:08,050 --> 00:04:10,750 えっと… よろしく 41 00:04:15,720 --> 00:04:18,730 あ… み みんな— 42 00:04:18,730 --> 00:04:21,060 なにをそんなに 怯えているのかな? 43 00:04:21,060 --> 00:04:24,460 わかりませんか? 店主様 あっ 44 00:04:26,400 --> 00:04:30,070 あ えっと… 妖狸族? 洗熊族です 45 00:04:30,070 --> 00:04:36,080 ちなみに 違うのはしっぽです 妖狸族には縞はありませんが— 46 00:04:36,080 --> 00:04:39,580 我々 洗熊族には 優美な縞があります 47 00:04:39,580 --> 00:04:41,920 あっ… 君は? 48 00:04:41,920 --> 00:04:46,420 失礼いたしました 奴隷のサンドリアと申します 49 00:04:46,420 --> 00:04:49,590 じゃあ サンさんだね 50 00:04:49,590 --> 00:04:52,590 あっ… あ… はい 51 00:04:52,590 --> 00:04:56,600 よろしくね こちらこそ 店主様 52 00:04:56,600 --> 00:04:58,600 ところで サンさん 53 00:04:58,600 --> 00:05:01,770 この沈んだ空気の 原因は何かわかる? 54 00:05:01,770 --> 00:05:04,610 (サンドリア)それは 店主様のおじいさまが— 55 00:05:04,610 --> 00:05:07,210 亡くなられたからです (ジンジャー)奴隷なのに— 56 00:05:07,210 --> 00:05:09,880 じいちゃんの死を 悲しんでくれるの? 57 00:05:09,880 --> 00:05:13,050 (サンドリア)悲しい… のもあります 58 00:05:13,050 --> 00:05:15,550 えっ? おじいさまは— 59 00:05:15,550 --> 00:05:20,220 普通の奴隷商と比べれば 奴隷の扱いがよかったですから 60 00:05:20,220 --> 00:05:22,220 そうなの? 61 00:05:22,220 --> 00:05:26,230 着るものも食べるものも ちゃんとしてくださいました 62 00:05:26,230 --> 00:05:29,060 至極まっとうな 奴隷商だったのです 63 00:05:29,060 --> 00:05:31,570 ごめん… 64 00:05:31,570 --> 00:05:34,570 僕 奴隷商のこと なんにも知らなかったんだ 65 00:05:34,570 --> 00:05:37,240 そうでしょうね えっ 66 00:05:37,240 --> 00:05:41,410 おじいさまは生前 あなた様にはこの仕事を— 67 00:05:41,410 --> 00:05:44,080 引き継げないだろうと おっしゃっていました 68 00:05:44,080 --> 00:05:48,750 「優しすぎる孫に この仕事は 重荷でしかないだろう…」と 69 00:05:48,750 --> 00:05:50,750 あっ… 70 00:05:50,750 --> 00:05:53,250 《じいちゃんに見透かされてた 71 00:05:53,250 --> 00:05:56,420 奴隷なんて残されても困る 72 00:05:56,420 --> 00:06:01,760 もう いっそ全部売り払って 新しい商売を始めるんだ 73 00:06:01,760 --> 00:06:04,430 そう思っていたのに》 74 00:06:04,430 --> 00:06:06,870 店主様? あっ 75 00:06:06,870 --> 00:06:11,710 あぁ ごめん じいちゃんのこと考えてたんだ 76 00:06:11,710 --> 00:06:14,370 あなた様が 引き継がないとなると— 77 00:06:14,370 --> 00:06:18,550 私たちは他の奴隷商に 払い下げられることになります 78 00:06:18,550 --> 00:06:22,050 この数をまとめて引き取る 奴隷商はいません 79 00:06:22,050 --> 00:06:24,720 私たちはバラバラになります 80 00:06:24,720 --> 00:06:26,720 だからこそ— 81 00:06:26,720 --> 00:06:29,390 みんな おじいさまの死を 悲しんでいるのです 82 00:06:29,390 --> 00:06:31,390 あ… 83 00:06:31,390 --> 00:06:34,060 店主様 あっ… んっ? 84 00:06:34,060 --> 00:06:36,460 サンさん これは? 85 00:06:39,070 --> 00:06:41,070 えっ? 86 00:06:41,070 --> 00:06:44,740 奴隷の分際で 生意気に意見いたしました 87 00:06:44,740 --> 00:06:47,740 罰を与えていただきたく思います 88 00:06:47,740 --> 00:06:49,740 えっ… なんで!? 89 00:06:49,740 --> 00:06:53,080 大丈夫です その鞭は特別製で— 90 00:06:53,080 --> 00:06:55,920 打っても対象に 傷一つ つけることなく— 91 00:06:55,920 --> 00:06:58,920 私の商品価値が 下がることはありません 92 00:06:58,920 --> 00:07:01,590 そういうことを 言ってるんじゃない! 93 00:07:01,590 --> 00:07:04,260 なんで 罰せられるかもしれないって わかってるのに— 94 00:07:04,260 --> 00:07:06,190 意見なんかしたの!? 95 00:07:06,190 --> 00:07:08,360 この店を畳まれるにしても— 96 00:07:08,360 --> 00:07:12,200 少しでも 便宜を図っていただけるように 97 00:07:12,200 --> 00:07:15,870 せめて… 親族だけでも— 98 00:07:15,870 --> 00:07:19,540 一緒にいられる引き取り手を 探していただきたく… 99 00:07:19,540 --> 00:07:24,210 この中にサンさんの親族はいるの? 100 00:07:24,210 --> 00:07:28,220 あ… サンさんって 仲間思いなんだね 101 00:07:28,220 --> 00:07:32,890 フゥ… 皆さんの事情は 理解しました 102 00:07:32,890 --> 00:07:34,890 かといって— 103 00:07:34,890 --> 00:07:38,730 僕にこの店を継ぐ気はありません (みんな)あぁ… 104 00:07:38,730 --> 00:07:44,730 ですが 皆さんが 売れるまでの間は頑張ります 105 00:07:44,730 --> 00:07:48,400 もちろん 変な買い手には 売るつもりはありません 106 00:07:48,400 --> 00:07:52,200 そこらへんは 僕が責任をもって吟味します 107 00:07:58,580 --> 00:08:03,250 すみません サンさん 荷物持ちにつきあわせちゃって 108 00:08:03,250 --> 00:08:06,190 奴隷にそんな気遣いは無用です 109 00:08:06,190 --> 00:08:08,390 何なりとお命じください 110 00:08:10,860 --> 00:08:12,860 それよりも んっ? 111 00:08:12,860 --> 00:08:15,700 なぜ ジンジャー様は 手放すはずの奴隷に— 112 00:08:15,700 --> 00:08:20,530 十分な食料を与え 新しい衣服を 与えようとしているのですか? 113 00:08:20,530 --> 00:08:23,200 清潔な者と汚い者— 114 00:08:23,200 --> 00:08:26,370 どちらが より大事にされると 思いますか? 115 00:08:26,370 --> 00:08:28,380 それは… 116 00:08:28,380 --> 00:08:31,210 清潔なほう… だと思いますが 117 00:08:31,210 --> 00:08:35,220 それと同じですよ 清潔な奴隷なら— 118 00:08:35,220 --> 00:08:39,050 単純な労働力として 使い潰そうとする買い手を— 119 00:08:39,050 --> 00:08:41,050 遠ざけられると思うんです 120 00:08:44,390 --> 00:08:46,390 (ジンジャー)はい 皆さん! 121 00:08:46,390 --> 00:08:48,900 それでは 3の段を言ってみましょう! 122 00:08:48,900 --> 00:08:50,900 さん はいっ! 123 00:08:50,900 --> 00:08:54,730 (みんな)サンイチが3 サンニが6 124 00:08:54,730 --> 00:08:58,240 サザンが9 サンシ12… あ… ジンジャー様 125 00:08:58,240 --> 00:09:00,740 今度は何を なさっているんですか? 126 00:09:00,740 --> 00:09:05,180 あっ おかえり 頼んだ物は? あ… はい 127 00:09:05,180 --> 00:09:08,520 これでみんなに 読み書きも教えられる 128 00:09:08,520 --> 00:09:10,520 あの… ジンジャー様 129 00:09:10,520 --> 00:09:14,520 なぜ奴隷に 読み書き計算などを 教えるのですか? 130 00:09:14,520 --> 00:09:18,690 んっ? 考えたんだけどさ 道具だって— 131 00:09:18,690 --> 00:09:21,860 付加価値が付いているものの方が 大事にされるよね 132 00:09:21,860 --> 00:09:24,200 じゃあ 人間にも付けられる— 133 00:09:24,200 --> 00:09:26,700 付加価値って 何かなって考えたときに— 134 00:09:26,700 --> 00:09:30,700 教育かなぁって (サンドリア)確かにそうですが— 135 00:09:30,700 --> 00:09:34,210 教育を受けた奴隷を 買う人間は限られています 136 00:09:34,210 --> 00:09:36,210 売れ残ったり— 137 00:09:36,210 --> 00:09:38,380 肉体労働用としてしか 売れなかったら— 138 00:09:38,380 --> 00:09:42,550 意味がないかと そうだけどさ— 139 00:09:42,550 --> 00:09:46,220 僕には この仕事を 続けていくつもりはないんだ 140 00:09:46,220 --> 00:09:48,220 今いる人たちが— 141 00:09:48,220 --> 00:09:51,390 なるべく いい買い手に 引き取ってもらえればそれでいい 142 00:09:51,390 --> 00:09:54,060 あっ サンさんにも教えようか? 143 00:09:54,060 --> 00:09:57,900 大丈夫です 私の実家は商店でしたから— 144 00:09:57,900 --> 00:10:02,240 読み書きも計算もできます あっ… あの 145 00:10:02,240 --> 00:10:07,740 サンさんは なんで奴隷になったのか 理由を聞いてもいいかな… 146 00:10:07,740 --> 00:10:11,750 人に騙されて 借金を背負わされた店主が— 147 00:10:11,750 --> 00:10:14,250 店と家族を守るために— 148 00:10:14,250 --> 00:10:17,750 娘の一人を 売らなければならなかった… 149 00:10:17,750 --> 00:10:19,750 それだけです 150 00:10:19,750 --> 00:10:23,760 それだけって… よくある話ですよ 151 00:10:23,760 --> 00:10:27,760 こんなことは どこにでも 転がっている不幸です 152 00:10:34,430 --> 00:10:38,930 あっ ありがとう いかがですか? 売れ行きは 153 00:10:41,270 --> 00:10:45,780 芳しくないねぇ というか まったく売れない 154 00:10:45,780 --> 00:10:48,620 ハハッ どうしたもんかねぇ 155 00:10:48,620 --> 00:10:53,620 お客様は来ていたと思うのですが なぜ売らなかったのですか? 156 00:10:55,620 --> 00:11:01,130 僕はね 自慢じゃないけど 人を見る目だけは自信あるんだ 157 00:11:01,130 --> 00:11:03,460 どの人もこの人も— 158 00:11:03,460 --> 00:11:06,400 奴隷を使い捨ての道具としか 見てなかったんだ 159 00:11:06,400 --> 00:11:09,900 たとえどんなに 紳士的に振る舞っていてもね 160 00:11:09,900 --> 00:11:12,410 (サンドリア)そうなのですか… 161 00:11:12,410 --> 00:11:16,080 (ジンジャー)みんなには 信頼できる 買い手を探すと約束したからね 162 00:11:16,080 --> 00:11:18,410 ちゃんと厳選しないと 163 00:11:18,410 --> 00:11:20,410 そんなこと言っていたら— 164 00:11:20,410 --> 00:11:22,920 借金苦で 奴隷に落ちてしまいますよ 165 00:11:22,920 --> 00:11:24,920 それは困るけど… 166 00:11:24,920 --> 00:11:27,750 昔 じいちゃんが こう言ってたんだ 167 00:11:27,750 --> 00:11:32,090 「凪はいつか終わり 潮目は唐突に変わる 168 00:11:32,090 --> 00:11:35,260 だから いつ いかなるときも諦めず— 169 00:11:35,260 --> 00:11:37,260 じっと機を待ち— 170 00:11:37,260 --> 00:11:40,930 来たら見逃さずに掴み取れ」ってね 171 00:11:40,930 --> 00:11:44,270 フッ… 不思議ですね 172 00:11:44,270 --> 00:11:48,440 ジンジャー様といると 奴隷の身でありながら— 173 00:11:48,440 --> 00:11:51,040 未来に希望を 抱いてしまいそうです 174 00:12:03,460 --> 00:12:06,890 ≪すみません! (ノック) 175 00:12:06,890 --> 00:12:10,560 こちらに読み書きや計算のできる 奴隷がいると聞きましたが— 176 00:12:10,560 --> 00:12:12,570 本当ですか! 177 00:12:12,570 --> 00:12:14,730 (ノック) ≪大至急 必要なんだ! 178 00:12:14,730 --> 00:12:17,240 ≪言い値でいいから譲ってくれ! (ノック) 179 00:12:17,240 --> 00:12:19,240 ≪こちらにも頼む! (ノック) 180 00:12:19,240 --> 00:12:21,240 ≪要求があれば 何なりと言ってくれ! (ノック) 181 00:12:21,240 --> 00:12:23,440 ≪金ならあるぞ! えっ! 182 00:12:25,410 --> 00:12:28,250 あ… えっと… 183 00:12:28,250 --> 00:12:31,580 頼みます 読み書きや計算ができる奴隷が— 184 00:12:31,580 --> 00:12:33,590 どうしても必要なんです 185 00:12:33,590 --> 00:12:38,260 うちの奴隷たちは全員 読み書き計算もできますが… 186 00:12:38,260 --> 00:12:40,260 全員? 本当か? 187 00:12:40,260 --> 00:12:43,760 おぉ神よ ありがとうございます! 188 00:12:43,760 --> 00:12:46,770 ぜひ! ぜひとも私どもに 売ってください! 189 00:12:46,770 --> 00:12:50,940 私が先だ! 領地が心配なんだ! あっ 190 00:12:50,940 --> 00:12:53,440 (もめる声) 皆さん 落ち着いてください 191 00:12:53,440 --> 00:12:56,040 これはいったい どういう 状況なのですか? (もめる声) 192 00:12:58,110 --> 00:13:00,110 (みんな)フゥ… 193 00:13:00,110 --> 00:13:03,280 なるほど。 陛下が— 194 00:13:03,280 --> 00:13:08,560 「今度から騎士 貴族階級の 昇格 降格の評価方針に— 195 00:13:08,560 --> 00:13:13,560 領地の統治能力の 有無も加えるからよろしく」と— 196 00:13:13,560 --> 00:13:15,560 おっしゃったんですね? 197 00:13:15,560 --> 00:13:19,400 ご領主様は 貴族で国政に 参加することこそが— 198 00:13:19,400 --> 00:13:22,240 出世の道だと 信じていらっしゃったんです 199 00:13:22,240 --> 00:13:25,070 騎士は戦場の手柄こそが誉れ 200 00:13:25,070 --> 00:13:28,910 それが自領の統治能力が 問われたんだぞ 201 00:13:28,910 --> 00:13:32,250 その統治のため 事務処理能力は必須! 202 00:13:32,250 --> 00:13:36,420 だから 読み書き計算ができる 人間じゃないとだめなんだ! 203 00:13:36,420 --> 00:13:40,420 えっと… 事情はわかりました 204 00:13:40,420 --> 00:13:43,760 こちらには 親子や姉妹などおりますので— 205 00:13:43,760 --> 00:13:47,260 できれば親族同士は まとめて 引き受けてくださいますよう— 206 00:13:47,260 --> 00:13:50,260 お願いします つまり 親族同士なら— 207 00:13:50,260 --> 00:13:53,430 優先的に2人以上 確保できる というわけですね? 208 00:13:53,430 --> 00:13:56,440 そうか それなら いくらでも引き受けるぞ 209 00:13:56,440 --> 00:13:59,270 あっ 私が先だと申しているだろ! 210 00:13:59,270 --> 00:14:01,940 (もめる声) 211 00:14:01,940 --> 00:14:04,110 皆さん お静かに (もめる声) 212 00:14:04,110 --> 00:14:06,810 お静かにお願いします! (もめる声) 213 00:14:11,720 --> 00:14:13,890 ハァ… 214 00:14:13,890 --> 00:14:17,560 あっという間に 静かになってしまいましたね 215 00:14:17,560 --> 00:14:19,560 そうですね 216 00:14:19,560 --> 00:14:23,230 最後のアンズとシホも ピルトリー・サラセンさんに 217 00:14:23,230 --> 00:14:25,400 まさか自由民にして— 218 00:14:25,400 --> 00:14:28,740 そのうえ 妻として 迎えるとまでおっしゃるとは— 219 00:14:28,740 --> 00:14:32,070 思ってもいませんでした そうですね 220 00:14:32,070 --> 00:14:35,770 とうとう 奴隷は 私だけになりましたね 221 00:14:37,740 --> 00:14:42,580 大金… とまではいきませんが まとまった額になりました 222 00:14:42,580 --> 00:14:47,750 (サンドリア)フフッ 私たちに 読み書き計算を教えるために— 223 00:14:47,750 --> 00:14:49,920 お金を使い過ぎたからですよ 224 00:14:49,920 --> 00:14:53,090 僕は奴隷商向きじゃないから 225 00:14:53,090 --> 00:14:56,930 でもまぁ これで 新しい商売が始められそうです 226 00:14:56,930 --> 00:15:01,600 新しい商売… ですか そうなったら私は… 227 00:15:01,600 --> 00:15:07,370 サンさん ずっと立っていて 疲れたんじゃないですか? 228 00:15:07,370 --> 00:15:10,880 あっ とんでもない 私は奴隷の身分 229 00:15:10,880 --> 00:15:15,720 主人の前に座るなどできません そうですか… 230 00:15:15,720 --> 00:15:20,420 命令してもいいんですよ? う… わ わかりました 231 00:15:24,060 --> 00:15:26,060 あっ (扉の開く音) 232 00:15:26,060 --> 00:15:30,560 一息つきましょう そのような雑事は私が! 233 00:15:30,560 --> 00:15:32,570 いいんですよ 234 00:15:32,570 --> 00:15:35,900 ほんのささやかなお礼です お礼? 235 00:15:35,900 --> 00:15:38,740 えぇ あのとき— 236 00:15:38,740 --> 00:15:42,240 あなたが勇気をもって 申し出てくださらなかったら— 237 00:15:42,240 --> 00:15:46,910 僕はみんなを 他の奴隷商に 任せてしまっていたでしょう 238 00:15:46,910 --> 00:15:51,580 奴隷商としてはだめですけど なんとか付加価値をつけようと— 239 00:15:51,580 --> 00:15:54,420 みんなに 読み書き計算を覚えさせた 240 00:15:54,420 --> 00:15:58,590 それが たまたま陛下の ご命令によってうまくいった 241 00:15:58,590 --> 00:16:00,590 これもすべて サンさんが— 242 00:16:00,590 --> 00:16:03,100 あのとき 勇気を出してくれたからです 243 00:16:03,100 --> 00:16:06,530 あ… いえ 244 00:16:06,530 --> 00:16:10,540 お礼を言わねばならないのは 私たちのほうです 245 00:16:10,540 --> 00:16:13,210 付加価値などと おっしゃいますが— 246 00:16:13,210 --> 00:16:15,710 ジンジャー様は それは親身になって— 247 00:16:15,710 --> 00:16:19,550 みんなのために 新しい服や満足な食事— 248 00:16:19,550 --> 00:16:22,720 それに教育まで 与えてくださいました 249 00:16:22,720 --> 00:16:25,890 わざわざ おじいさまの遺産を 切り崩してまで— 250 00:16:25,890 --> 00:16:29,060 私たちに与えてくださった 251 00:16:29,060 --> 00:16:32,890 普通の人の できることではありません 252 00:16:32,890 --> 00:16:36,190 本当に… ありがとうございます 253 00:16:39,070 --> 00:16:41,070 あの… 254 00:16:41,070 --> 00:16:43,070 (2人)あっ (扉の開く音) 255 00:16:43,070 --> 00:16:45,270 いらっしゃいませ 256 00:16:49,080 --> 00:16:52,780 《変な笠 九頭竜の人かな》 257 00:16:55,580 --> 00:16:57,580 お願いする 258 00:16:57,580 --> 00:17:01,090 その奴隷を 売っていただけないだろうか 259 00:17:01,090 --> 00:17:04,590 あの… 外の看板見ましたか? 260 00:17:04,590 --> 00:17:08,530 もう閉店なんです あぁ これは失礼 261 00:17:08,530 --> 00:17:12,370 が その洗熊族の奴隷に 見惚れてしまい— 262 00:17:12,370 --> 00:17:15,030 居ても立っても いられなくなりました 263 00:17:15,030 --> 00:17:19,210 どうか 私にその奴隷を 譲っていただけないでしょうか 264 00:17:19,210 --> 00:17:22,040 もちろん 相応以上の代金を— 265 00:17:22,040 --> 00:17:24,710 支払うつもりでございます あ… 266 00:17:24,710 --> 00:17:28,720 買ったあと 彼女を 奴隷身分からも解放します 267 00:17:28,720 --> 00:17:32,550 あの… ですから… それで— 268 00:17:32,550 --> 00:17:35,560 私には いかほどの値段を お付けになりますか? 269 00:17:35,560 --> 00:17:37,560 サンさん!? 270 00:17:37,560 --> 00:17:40,890 ジンジャー様には 奴隷一同 よくしていただきました 271 00:17:40,890 --> 00:17:46,230 残るは私だけです ですので 最後のご奉公として— 272 00:17:46,230 --> 00:17:49,240 高く買い取って いただきたいと思います 273 00:17:49,240 --> 00:17:55,240 ジンジャー様 新しい商売を始める 資金になさってくださいませ 274 00:17:55,240 --> 00:17:58,740 ちょっと! なに言ってるのさ! わかりました~! 275 00:18:00,910 --> 00:18:04,250 (2人)ああっ! 大金貨が10枚に— 276 00:18:04,250 --> 00:18:06,690 金貨50枚 入っています 277 00:18:06,690 --> 00:18:12,690 この額でよろしいでしょうか 破格の値段ですね 商談成立です 278 00:18:12,690 --> 00:18:16,200 よかった! だから勝手に決めないでよ! 279 00:18:16,200 --> 00:18:21,530 申し訳ないですが 売れません 彼女は奴隷ではないのです 280 00:18:21,530 --> 00:18:24,200 僕が新しい商売を始めるときに— 281 00:18:24,200 --> 00:18:26,870 従業員になってもらいたいと 思っていますので 282 00:18:26,870 --> 00:18:30,880 あ… ジンジャー様 ごめん サンさん 283 00:18:30,880 --> 00:18:34,210 もしかしたら この人に買われるほうが— 284 00:18:34,210 --> 00:18:36,880 あなたにとっては 幸せなのかもしれない 285 00:18:36,880 --> 00:18:39,220 かなりの財力もあるみたいだしね 286 00:18:39,220 --> 00:18:41,220 でも僕は… 287 00:18:41,220 --> 00:18:44,390 僕のわがままとして あなたを手放したくない! 288 00:18:44,390 --> 00:18:46,890 ジンジャー様 289 00:18:50,060 --> 00:18:54,900 どうか… 私を ジンジャー様のそばに置いてください 290 00:18:54,900 --> 00:18:57,500 うん もちろんだよ 291 00:19:00,740 --> 00:19:02,910 あぁ… 292 00:19:02,910 --> 00:19:06,510 アハハ… いや そのぅ 293 00:19:06,510 --> 00:19:09,350 なぁ? セバスチャンの言ったとおり— 294 00:19:09,350 --> 00:19:13,350 おもしろい奴隷商やったやろ? まったくだな 295 00:19:13,350 --> 00:19:15,860 あの… これは… 296 00:19:15,860 --> 00:19:20,530 すまなかった 試すだけのつもりが… 297 00:19:20,530 --> 00:19:22,530 試す? 298 00:19:22,530 --> 00:19:25,030 世に人なきにあらず 299 00:19:25,030 --> 00:19:29,370 こんな所にまた こんな人材が 隠れているんだもんなぁ 300 00:19:29,370 --> 00:19:32,210 これだから 人材探しはやめられない 301 00:19:32,210 --> 00:19:34,210 あっ! へ 陛下!? 302 00:19:34,210 --> 00:19:38,880 お忍びだから そういう堅苦しいのはいらない 303 00:19:38,880 --> 00:19:42,550 うん「お忍び」って 一度は言ってみたかったセリフだ 304 00:19:42,550 --> 00:19:46,890 あ… あの… 陛下はどうしてここに? 305 00:19:46,890 --> 00:19:49,220 君の評判を聞いたんだ 306 00:19:49,220 --> 00:19:53,390 奴隷に読み書きと計算を教えて 待遇のいい所に— 307 00:19:53,390 --> 00:19:55,730 買い取ってもらえるように したそうじゃないか 308 00:19:55,730 --> 00:19:58,560 今では王都中の奴隷商が 君をまねて— 309 00:19:58,560 --> 00:20:02,400 奴隷を教育するようになっている は… はぁ… 310 00:20:02,400 --> 00:20:04,400 その様子だと— 311 00:20:04,400 --> 00:20:06,910 自分がどれだけの偉業を 成し遂げたか— 312 00:20:06,910 --> 00:20:10,740 わかっていないようだね 偉業だなんて 313 00:20:10,740 --> 00:20:14,080 俺は常々 この国の奴隷制度を— 314 00:20:14,080 --> 00:20:16,250 廃止できないかと考えていたんだ 315 00:20:16,250 --> 00:20:20,250 だが 王命で急な改革を行えば— 316 00:20:20,250 --> 00:20:23,090 社会が大混乱することは免れない 317 00:20:23,090 --> 00:20:25,590 下手すれば 内乱になる可能性もある 318 00:20:25,590 --> 00:20:28,930 そりゃ大げさやろ いや 319 00:20:28,930 --> 00:20:31,600 俺のいた世界では 実際 戦争になったんだ 320 00:20:31,600 --> 00:20:35,600 だからまずは 奴隷制度を有名無実化したい 321 00:20:35,600 --> 00:20:38,940 (アイーシャ)あっ もしかして んっ? 322 00:20:38,940 --> 00:20:42,110 陛下が姫さまにおっしゃってた 「あれ」とは— 323 00:20:42,110 --> 00:20:45,950 このことだったんですか? そうだよ 「教育」だ 324 00:20:45,950 --> 00:20:48,610 君は社会的な弱者に対し— 325 00:20:48,610 --> 00:20:52,790 手に職をつけさせることで 待遇改善を図った 326 00:20:52,790 --> 00:20:56,460 その結果 奴隷が奴隷でなくなった 327 00:20:56,460 --> 00:21:01,960 これを偉業と言わずなんと言う? そんな… 僕はただ— 328 00:21:01,960 --> 00:21:05,570 ここにいた人たちだけでも 守ってあげようと必死で 329 00:21:05,570 --> 00:21:07,570 フッ… 330 00:21:07,570 --> 00:21:10,900 そういうことができる人材を 求めていたんだ 331 00:21:10,900 --> 00:21:15,240 俺はこれから 国内の奴隷商店を公営化する 332 00:21:15,240 --> 00:21:17,910 陛下 公営化とは? 333 00:21:17,910 --> 00:21:22,250 奴隷商は公務員として ちゃんとした審査を設ける 334 00:21:22,250 --> 00:21:24,250 そのうえで— 335 00:21:24,250 --> 00:21:27,750 奴隷たちが ただ肉体労働で 使い潰されることがないよう— 336 00:21:27,750 --> 00:21:31,920 手に職を付けられる 職業訓練所も造るつもりだ 337 00:21:31,920 --> 00:21:35,600 奴隷制度なんて すぐにでも廃止したいが— 338 00:21:35,600 --> 00:21:38,600 今 俺にできることは これくらいだ 339 00:21:38,600 --> 00:21:42,440 それって… 飲み込みの悪いやっちゃなぁ 340 00:21:42,440 --> 00:21:45,100 アンタがやってたことを 国がやるんや 341 00:21:45,100 --> 00:21:48,270 その職業訓練所の 初代所長として— 342 00:21:48,270 --> 00:21:51,610 君を登用したい ぼ… 僕をですか!? 343 00:21:51,610 --> 00:21:55,110 君こそがふさわしいと 俺は思っている 344 00:21:55,110 --> 00:21:57,950 この金は準備金だ 345 00:21:57,950 --> 00:22:01,290 この金で その事業を始めてみないか? 346 00:22:01,290 --> 00:22:03,290 あぁ… 347 00:22:03,290 --> 00:22:05,560 凪はいつか終わり… あっ 348 00:22:06,630 --> 00:22:09,230 潮目は唐突に変わる! 349 00:22:09,230 --> 00:22:11,230 ハッ… 350 00:22:14,230 --> 00:22:16,400 やります 陛下 351 00:22:17,110 --> 00:22:18,400 やらせてください! 352 00:22:18,400 --> 00:22:20,400