1 00:00:04,170 --> 00:00:06,589 {\an8}(ソーマ) 人材が足りない… 2 00:00:08,633 --> 00:00:10,176 {\an8}(リーシア)そうね… 3 00:00:10,468 --> 00:00:14,097 (ソーマ)例えば ロロアの経済センスは非凡なものだ 4 00:00:14,180 --> 00:00:15,890 (ロロア)ヘヘヘヘッ… せやろ 5 00:00:15,974 --> 00:00:18,435 (ソーマ)ハァ… だけど ロロア1人で— 6 00:00:18,518 --> 00:00:21,146 国の財政を 回せるわけじゃないだろう? 7 00:00:21,229 --> 00:00:22,439 (ロロア)せやな 8 00:00:22,522 --> 00:00:27,193 官僚組織 そのもとで働く 計算のできる人がおらんとな 9 00:00:27,277 --> 00:00:33,033 (ソーマ)うん 不足しているのは そんな読み書き計算ができる人材だ 10 00:00:33,116 --> 00:00:37,495 (ジュナ)悲しいですが 民衆の識字率は高くありません 11 00:00:37,579 --> 00:00:39,330 算術を扱えるのも— 12 00:00:39,414 --> 00:00:43,418 貴族 騎士を除けば 商人ぐらいしかいませんね 13 00:00:43,501 --> 00:00:45,295 (ソーマ)ジュナさんの言うとおり 14 00:00:45,378 --> 00:00:48,840 (リーシア)だったら 広く 市井の人々から募集してみたら? 15 00:00:49,507 --> 00:00:52,260 (ソーマ)突き抜けた人材を 登用するなら— 16 00:00:52,343 --> 00:00:55,597 金も権力も集中できる国が強い 17 00:00:55,680 --> 00:01:00,560 だけど 市井の有能な者を大量に …となると厳しい 18 00:01:01,019 --> 00:01:02,896 (リーシア)じゃ どうするのよ? 19 00:01:02,979 --> 00:01:05,273 (ソーマ)他国からも 人材を集めつつ— 20 00:01:05,356 --> 00:01:07,484 アレを行うしかないだろう 21 00:01:07,567 --> 00:01:08,902 (リーシア)アレって? 22 00:01:13,406 --> 00:01:15,825 ♪~ 23 00:02:36,948 --> 00:02:42,954 ~♪ 24 00:02:44,205 --> 00:02:45,415 (ナレーション)奴隷… 25 00:02:45,707 --> 00:02:49,294 それは 現在まで続く 最大の人権侵害である 26 00:02:50,295 --> 00:02:51,963 人が人を所有し— 27 00:02:52,046 --> 00:02:56,801 その権利 自由を認めず 所有物のように売買する 28 00:02:57,176 --> 00:03:01,472 かのアリストテレスは “生命ある道具”として擁護したが 29 00:03:01,556 --> 00:03:04,851 決して 認められるべきではない制度だ 30 00:03:05,435 --> 00:03:07,103 しかし 悲しいかな— 31 00:03:07,187 --> 00:03:10,773 超大陸ランディアには この制度が残っていた 32 00:03:11,232 --> 00:03:15,653 それは フリードニア王国も 例外ではなかったのである 33 00:03:16,863 --> 00:03:21,284 ここでの奴隷は 罪を犯して 奴隷にされた者もいるが— 34 00:03:21,367 --> 00:03:25,580 ほとんどは 貧困ゆえに 身売りするしかない者たちだった 35 00:03:26,122 --> 00:03:29,792 主(あるじ)が許せば 自由民になることもできるし— 36 00:03:29,876 --> 00:03:33,379 暴力的・性的虐待は禁じられていた 37 00:03:33,713 --> 00:03:37,091 …が 女性奴隷は性的に虐待され 38 00:03:37,175 --> 00:03:41,221 男性奴隷は 死ぬまで 働かされることもあった 39 00:03:42,388 --> 00:03:45,308 ここに ひとりの奴隷商がいた 40 00:03:46,017 --> 00:03:48,978 名をジンジャー・カミュという 41 00:03:49,729 --> 00:03:51,147 {\an8}(カミュ) じいちゃんが死んで— 42 00:03:51,230 --> 00:03:54,567 {\an8}商品である皆さんを 引き継いだカミュです 43 00:03:54,651 --> 00:03:56,903 えっと… よろしく 44 00:03:58,696 --> 00:04:00,031 (夫婦)ンン… 45 00:04:00,114 --> 00:04:01,449 (アンズ・シホ)ンン… 46 00:04:01,991 --> 00:04:03,409 アア… 47 00:04:03,743 --> 00:04:07,455 み… みんな 何をそんなに おびえているのかな? 48 00:04:07,538 --> 00:04:09,624 (サン)分かりませんか? 店主さま 49 00:04:09,707 --> 00:04:10,541 えっ? 50 00:04:12,543 --> 00:04:14,921 (カミュ) あっ えっと… 妖狸(ようり)族? 51 00:04:15,004 --> 00:04:16,255 (サン)洗熊(せんゆう)族です 52 00:04:17,090 --> 00:04:19,842 ちなみに 違うのはシッポです 53 00:04:20,093 --> 00:04:22,512 妖狸族には シマはありませんが 54 00:04:22,595 --> 00:04:25,765 我々 洗熊族には 優美なシマがあります 55 00:04:26,015 --> 00:04:27,976 あっ… 君は? 56 00:04:28,768 --> 00:04:32,563 失礼いたしました 奴隷のサンドリアと申します 57 00:04:34,023 --> 00:04:35,775 (カミュ)じゃ サンさんだね 58 00:04:36,025 --> 00:04:38,987 (サン)えっ… あっ はい 59 00:04:39,070 --> 00:04:43,199 (カミュ)よろしくね (サン)こちらこそ 店主さま 60 00:04:43,283 --> 00:04:44,659 (カミュ)ところで サンさん 61 00:04:44,993 --> 00:04:48,162 この沈んだ空気の原因は 何か分かる? 62 00:04:48,246 --> 00:04:51,833 (サン)それは 店主さまの おじいさまが亡くなられたからです 63 00:04:52,375 --> 00:04:53,584 (カミュ)奴隷なのに— 64 00:04:53,668 --> 00:04:56,295 じいちゃんの死を 悲しんでくれるの? 65 00:04:56,379 --> 00:04:59,173 (サン)悲しい …のもあります 66 00:04:59,507 --> 00:05:00,633 (カミュ)うん? 67 00:05:00,717 --> 00:05:01,968 おじいさまは— 68 00:05:02,051 --> 00:05:06,639 普通の奴隷商と比べれば 奴隷の扱いが良かったですから 69 00:05:06,723 --> 00:05:08,057 そうなの? 70 00:05:08,307 --> 00:05:12,395 着る物も 食べる物も ちゃんとしてくださいました 71 00:05:12,729 --> 00:05:15,148 至極真っ当な奴隷商だったのです 72 00:05:16,649 --> 00:05:17,775 ごめん… 73 00:05:17,859 --> 00:05:20,987 僕 奴隷商のこと 何にも知らなかったんだ 74 00:05:21,279 --> 00:05:23,364 (サン)そうでしょうね (カミュ)えっ? 75 00:05:24,073 --> 00:05:26,659 (サン)おじいさまは生前 あなたさまには— 76 00:05:26,743 --> 00:05:29,954 この仕事を引き継げないだろうと おっしゃっていました 77 00:05:30,288 --> 00:05:34,751 優しすぎる孫に この仕事は 重荷でしかないだろうと 78 00:05:34,834 --> 00:05:36,085 ンンッ… 79 00:05:36,627 --> 00:05:38,880 じいちゃんに見透かされてた… 80 00:05:40,089 --> 00:05:42,633 奴隷なんて残されても困る 81 00:05:43,217 --> 00:05:47,805 もう いっそ 全部 売り払って 新しい商売を始めるんだ 82 00:05:48,514 --> 00:05:50,350 そう思っていたのに… 83 00:05:50,433 --> 00:05:52,393 ンッ… 店主さま? 84 00:05:52,477 --> 00:05:57,440 うん? あっ ごめん じいちゃんのこと考えてたんだ 85 00:05:58,358 --> 00:06:00,401 あなたさまが引き継がないとなると 86 00:06:00,985 --> 00:06:04,906 私たちは ほかの奴隷商に 払い下げられることになります 87 00:06:05,281 --> 00:06:08,409 この数をまとめて 引き取る奴隷商はいません 88 00:06:08,743 --> 00:06:10,870 私たちはバラバラになります 89 00:06:11,496 --> 00:06:15,416 だからこそ みんな おじいさまの 死を悲しんでいるのです 90 00:06:15,750 --> 00:06:17,460 ンン… 91 00:06:17,543 --> 00:06:20,171 (サン)店主さま (カミュ)あっ… うん? 92 00:06:20,880 --> 00:06:22,673 (カミュ)サンさん これは? 93 00:06:25,885 --> 00:06:26,928 えっ? 94 00:06:27,845 --> 00:06:30,973 (サン)奴隷のぶんざいで 生意気に意見いたしました 95 00:06:31,224 --> 00:06:33,768 罰を与えていただきたく思います 96 00:06:33,851 --> 00:06:35,645 えっ!? なんで? 97 00:06:36,145 --> 00:06:39,357 (サン)大丈夫です そのムチは特別製で— 98 00:06:39,440 --> 00:06:42,360 打っても 対象に 傷ひとつ つけることなく— 99 00:06:42,443 --> 00:06:45,404 私の商品価値が 下がることはありません 100 00:06:45,488 --> 00:06:47,490 そういうことを 言ってるんじゃない! 101 00:06:47,740 --> 00:06:50,368 なんで罰せられるかもしれないって 分かってるのに— 102 00:06:50,451 --> 00:06:51,828 意見なんかしたの? 103 00:06:52,328 --> 00:06:54,747 (サン)この店を畳まれるにしても 104 00:06:55,123 --> 00:06:58,626 少しでも 便宜を 図っていただけるように 105 00:06:59,001 --> 00:07:02,046 せめて 親族だけでも— 106 00:07:02,380 --> 00:07:05,800 一緒にいられる引き取り手を 探していただきたく… 107 00:07:06,259 --> 00:07:09,137 この中に サンさんの親族は いるの? 108 00:07:10,471 --> 00:07:14,225 あっ… サンさんって 仲間思いなんだね 109 00:07:14,976 --> 00:07:16,060 フゥ… 110 00:07:16,978 --> 00:07:19,063 皆さんの事情は理解しました 111 00:07:19,939 --> 00:07:23,359 かといって 僕に この店を継ぐ気はありません 112 00:07:23,442 --> 00:07:24,777 (一同)ンン… 113 00:07:25,736 --> 00:07:26,988 (カミュ)ですが— 114 00:07:27,071 --> 00:07:29,657 皆さんが売れるまでの間は 頑張ります 115 00:07:29,740 --> 00:07:30,908 (一同)アア… 116 00:07:30,992 --> 00:07:32,034 (カミュ)もちろん— 117 00:07:32,118 --> 00:07:34,495 変な買い手には 売るつもりはありません 118 00:07:34,871 --> 00:07:38,708 そこら辺は 僕が責任を持って吟味します 119 00:07:44,797 --> 00:07:46,674 すみません サンさん 120 00:07:46,757 --> 00:07:48,468 荷物持ちに つきあわせちゃって 121 00:07:48,551 --> 00:07:49,385 (サン)ンッ… 122 00:07:50,094 --> 00:07:52,680 奴隷に そんな気遣いは無用です 123 00:07:52,763 --> 00:07:54,724 何なりと お命じください 124 00:07:55,766 --> 00:07:57,059 アア… 125 00:07:57,143 --> 00:08:00,021 (サン)それよりも なぜジンジャーさまは— 126 00:08:00,271 --> 00:08:03,733 手放すはずの奴隷に 十分な食料を与え— 127 00:08:03,816 --> 00:08:06,861 新しい衣服を 与えようとしているのですか? 128 00:08:06,944 --> 00:08:09,488 清潔なものと汚いもの 129 00:08:09,572 --> 00:08:12,950 どちらが より大事にされると 思いますか? 130 00:08:13,034 --> 00:08:17,246 それは… 清潔なほうだと思いますが 131 00:08:17,705 --> 00:08:21,417 {\an8}それと同じですよ 清潔な奴隷なら— 132 00:08:21,500 --> 00:08:23,169 {\an8}単純な労働力として— 133 00:08:23,252 --> 00:08:25,087 {\an8}使いつぶそうとする 買い手を— 134 00:08:25,171 --> 00:08:27,215 {\an8}遠ざけられると 思うんです 135 00:08:31,219 --> 00:08:35,514 (カミュ)はい 皆さん それでは3の段を言ってみましょう 136 00:08:35,598 --> 00:08:36,641 さんはい! 137 00:08:37,058 --> 00:08:38,851 (一同)3×1=3(さんいちがさん) 138 00:08:38,935 --> 00:08:42,313 3×2=6(さんにがろく) 3×3=9(さざんがきゅう) 139 00:08:42,396 --> 00:08:47,151 アア… ジンジャーさま 今度は何をなさっているんですか? 140 00:08:47,235 --> 00:08:49,904 あっ おかえり 頼んだ物は? 141 00:08:49,987 --> 00:08:51,364 あっ はい 142 00:08:51,989 --> 00:08:54,575 (カミュ)これで みんなに 読み書きも教えられる 143 00:08:55,034 --> 00:08:57,119 あの… ジンジャーさま 144 00:08:57,203 --> 00:09:00,748 なぜ奴隷に 読み書き計算などを 教えるのですか? 145 00:09:00,831 --> 00:09:04,585 うん? 考えたんだけどさ 道具だって— 146 00:09:04,669 --> 00:09:07,421 付加価値がついている物のほうが 大事にされるよね 147 00:09:08,172 --> 00:09:10,800 じゃ 人間にもつけられる 付加価値って— 148 00:09:10,883 --> 00:09:14,637 何かなって考えたときに 教育かなって 149 00:09:15,304 --> 00:09:17,098 (サン)確かに そうですが 150 00:09:17,181 --> 00:09:20,726 教育を受けた奴隷を買う人間は 限られています 151 00:09:20,810 --> 00:09:21,852 売れ残ったり— 152 00:09:22,144 --> 00:09:26,649 肉体労働用としてしか 売れなかったら 意味がないかと… 153 00:09:26,732 --> 00:09:32,738 そうだけどさ 僕には この仕事を 続けていくつもりはないんだ 154 00:09:32,822 --> 00:09:34,240 今いる人たちが— 155 00:09:34,323 --> 00:09:37,577 なるべく いい買い手に 引き取ってもらえれば それでいい 156 00:09:37,660 --> 00:09:40,204 あっ サンさんにも教えようか? 157 00:09:40,538 --> 00:09:41,831 (サン)大丈夫です 158 00:09:41,914 --> 00:09:46,168 私の実家は商店でしたから 読み書きも計算もできます 159 00:09:46,252 --> 00:09:47,461 あっ… 160 00:09:47,795 --> 00:09:52,091 あの… サンさんは なんで奴隷になったのか— 161 00:09:52,174 --> 00:09:53,884 理由を聞いてもいいかな? 162 00:09:54,885 --> 00:09:58,264 人にダマされて 借金を背負わされた店主が— 163 00:09:58,347 --> 00:10:03,769 店と家族を守るために 娘の1人を 売らなければならなかった 164 00:10:04,729 --> 00:10:05,855 それだけです 165 00:10:06,188 --> 00:10:10,026 (カミュ)それだけって… (サン)よくある話ですよ 166 00:10:10,109 --> 00:10:13,779 こんなことは どこにでも転がっている不幸です 167 00:10:13,863 --> 00:10:15,406 (カミュ)ンン… 168 00:10:20,786 --> 00:10:22,997 あっ ありがとう 169 00:10:23,080 --> 00:10:25,541 いかがですか? 売れ行きは 170 00:10:27,877 --> 00:10:32,089 芳しくないね …というか 全く売れない 171 00:10:32,173 --> 00:10:34,759 ハハハッ… どうしたもんかねえ 172 00:10:35,259 --> 00:10:39,722 お客さまは来ていたと思うのですが なぜ売らなかったのですか? 173 00:10:42,224 --> 00:10:44,894 僕はね 自慢じゃないけど— 174 00:10:44,977 --> 00:10:47,313 人を見る目だけは 自信あるんだ 175 00:10:48,022 --> 00:10:49,732 どの人も この人も— 176 00:10:49,815 --> 00:10:52,943 奴隷を 使い捨ての道具としか 見てなかったんだ 177 00:10:53,235 --> 00:10:56,280 たとえ どんなに 紳士的に振る舞っていてもね 178 00:10:56,364 --> 00:10:58,074 (サン)そうなのですか… 179 00:10:58,574 --> 00:11:00,785 (カミュ)みんなには 信頼できる買い手を探すと— 180 00:11:00,868 --> 00:11:04,538 約束したからね ちゃんと厳選しないと 181 00:11:04,830 --> 00:11:09,126 そんなこと言っていたら 借金苦で奴隷に落ちてしまいますよ 182 00:11:09,210 --> 00:11:11,379 それは困るけど… 183 00:11:11,462 --> 00:11:14,006 昔 じいちゃんが こう言ってたんだ 184 00:11:14,340 --> 00:11:18,135 “凪(なぎ)は いつか終わり 潮目は唐突に変わる” 185 00:11:18,844 --> 00:11:23,349 “だから いつ いかなるときも 諦めず じっと機を待ち—” 186 00:11:23,432 --> 00:11:27,144 “来たら 見逃さずに つかみ取れ”ってね 187 00:11:27,228 --> 00:11:28,354 フフッ… 188 00:11:28,938 --> 00:11:32,775 (サン)不思議ですね ジンジャーさまといると— 189 00:11:32,858 --> 00:11:37,488 奴隷の身でありながら 未来に希望を抱いてしまいそうです 190 00:11:50,084 --> 00:11:52,128 (寝息) (ドアをたたく音) 191 00:11:52,211 --> 00:11:53,462 (貴族A)すみません! 192 00:11:53,546 --> 00:11:56,674 こちらに 読み書きや計算のできる 奴隷がいると聞きましたが 193 00:11:56,757 --> 00:11:57,967 本当ですか!? 194 00:11:58,050 --> 00:11:59,427 (ドアをたたく音) 195 00:11:59,510 --> 00:12:03,389 (貴族B)大至急 必要なんだ! 言い値でいいから譲ってくれ! 196 00:12:03,472 --> 00:12:04,807 (貴族C)こちらにも頼む! 197 00:12:04,890 --> 00:12:07,184 要求があれば 何なりと言ってくれ! 198 00:12:07,268 --> 00:12:09,478 (貴族D)金ならあるぞ! (カミュ)ハッ!? 199 00:12:11,689 --> 00:12:14,358 (カミュ)あ~ えっと… 200 00:12:14,692 --> 00:12:15,735 (貴族A)頼みます 201 00:12:15,818 --> 00:12:19,613 読み書きや計算ができる奴隷が どうしても必要なんです 202 00:12:19,989 --> 00:12:24,493 (カミュ)うちの奴隷たちは 全員 読み書き計算もできますが 203 00:12:24,577 --> 00:12:26,745 (貴族B)全員? 本当か!? 204 00:12:26,829 --> 00:12:29,874 おお 神よ! ありがとうございます! 205 00:12:29,957 --> 00:12:32,960 (貴族A)是非! 是非とも 私どもに売ってください! 206 00:12:33,043 --> 00:12:36,172 (貴族C)私が先だ 領地が心配なんだ! 207 00:12:36,255 --> 00:12:37,089 (カミュ)うん? 208 00:12:37,173 --> 00:12:39,800 (貴族たちの騒ぎ声) 皆さん 落ち着いてください! 209 00:12:39,884 --> 00:12:42,803 これは 一体 どういう状況なのですか? 210 00:12:44,555 --> 00:12:46,223 (貴族たち)ハァ… 211 00:12:46,765 --> 00:12:48,267 (カミュ)なるほど… 212 00:12:48,350 --> 00:12:54,940 陛下が“今度から 騎士 貴族階級の 昇格 降格の評価方針に—” 213 00:12:55,024 --> 00:12:59,236 “領地の統治能力の有無も 加えるから よろしく~” 214 00:12:59,528 --> 00:13:01,447 …と おっしゃったんですね? 215 00:13:01,697 --> 00:13:05,576 ご領主さまは 貴族で 国政に参加することこそが— 216 00:13:05,659 --> 00:13:07,912 出世の道だと 信じていらっしゃったんです 217 00:13:08,662 --> 00:13:11,499 (貴族C)騎士は 戦場の手柄こそが誉れ 218 00:13:11,582 --> 00:13:14,502 それが 自領の統治能力が 問われたんだぞ 219 00:13:15,252 --> 00:13:18,631 (貴族D)その統治のため 事務処理能力は必須! 220 00:13:18,714 --> 00:13:22,551 だから 読み書き計算ができる 人間じゃないとダメなんだ! 221 00:13:23,177 --> 00:13:26,806 (カミュ)えっと… 事情は分かりました 222 00:13:26,889 --> 00:13:30,100 こちらには 親子や姉妹などおりますので— 223 00:13:30,184 --> 00:13:31,977 できれば 親族同士は まとめて— 224 00:13:32,061 --> 00:13:34,355 引き受けてくださいますよう お願いします 225 00:13:34,438 --> 00:13:38,526 (貴族A)つまり 親族同士なら 優先的に2人以上 確保できる 226 00:13:38,609 --> 00:13:39,777 …というわけですね? 227 00:13:39,860 --> 00:13:42,488 (貴族D)そうか それなら いくらでも引き受けるぞ 228 00:13:42,571 --> 00:13:45,741 (貴族C)なっ! 私が先だと申しているだろう! 229 00:13:45,825 --> 00:13:48,285 (貴族たちの騒ぎ声) 230 00:13:48,369 --> 00:13:52,456 皆さん お静かに! お静かにお願いします! 231 00:13:58,170 --> 00:13:59,797 (ため息) 232 00:14:00,923 --> 00:14:04,134 あっという間に 静かになってしまいましたね 233 00:14:04,218 --> 00:14:09,640 そうですね 最後のアンズとシホも ピルトリー・サラセンさんに… 234 00:14:09,723 --> 00:14:11,642 まさか 自由民にして— 235 00:14:11,725 --> 00:14:14,812 その上 妻として迎えるとまで おっしゃるとは— 236 00:14:14,895 --> 00:14:16,897 思ってもいませんでした 237 00:14:16,981 --> 00:14:18,232 そうですね 238 00:14:18,691 --> 00:14:21,986 とうとう 奴隷は 私だけになりましたね 239 00:14:24,029 --> 00:14:29,118 大金 …とまでは いきませんが まとまった額になりました 240 00:14:29,201 --> 00:14:30,578 (サン)フフフッ… 241 00:14:30,661 --> 00:14:33,664 私たちに 読み書き計算を 教えるために— 242 00:14:33,747 --> 00:14:36,000 お金を使い過ぎたからですよ 243 00:14:36,250 --> 00:14:39,295 僕は奴隷商向きじゃないから 244 00:14:39,378 --> 00:14:42,965 でも まあ これで 新しい商売が始められそうです 245 00:14:43,424 --> 00:14:46,010 新しい商売 …ですか 246 00:14:46,093 --> 00:14:47,678 そうなったら 私は… 247 00:14:49,179 --> 00:14:53,267 サンさん ずっと立っていて 疲れたんじゃないですか? 248 00:14:53,350 --> 00:14:55,436 ハッ… とんでもない! 249 00:14:55,519 --> 00:14:59,940 私は奴隷の身分 主人の前に座るなど できません 250 00:15:00,024 --> 00:15:03,861 そうですか… 命令してもいいんですよ 251 00:15:03,944 --> 00:15:06,405 ウッ… わ… 分かりました 252 00:15:09,825 --> 00:15:12,077 (ドアの開く音) あっ… 253 00:15:12,703 --> 00:15:14,204 ひと息つきましょう 254 00:15:14,288 --> 00:15:17,124 そのような雑事は私が… 255 00:15:17,207 --> 00:15:20,919 いいんですよ ほんの ささやかなお礼です 256 00:15:21,003 --> 00:15:22,046 お礼? 257 00:15:22,463 --> 00:15:23,589 ええ 258 00:15:23,881 --> 00:15:28,260 あのとき あなたが勇気を持って 申し出てくださらなかったら— 259 00:15:28,761 --> 00:15:32,973 僕は みんなを ほかの奴隷商に 任せてしまっていたでしょう 260 00:15:33,557 --> 00:15:35,684 (カミュ)奴隷商としては ダメですけど 261 00:15:35,768 --> 00:15:40,731 なんとか付加価値をつけようと みんなに読み書き計算を覚えさせた 262 00:15:40,981 --> 00:15:44,610 それが たまたま 陛下の ご命令によって うまくいった 263 00:15:44,943 --> 00:15:49,198 これも全て サンさんが あのとき 勇気を出してくれたからです 264 00:15:51,450 --> 00:15:54,411 {\an8}いえ お礼を言わねば ならないのは— 265 00:15:54,495 --> 00:15:56,622 {\an8}私たちのほうです 266 00:15:57,081 --> 00:15:59,124 付加価値などと おっしゃいますが 267 00:15:59,208 --> 00:16:02,002 ジンジャーさまは それは親身になって— 268 00:16:02,086 --> 00:16:05,881 みんなのために 新しい服や満足な食事… 269 00:16:05,965 --> 00:16:08,759 それに 教育まで 与えてくださいました 270 00:16:09,301 --> 00:16:12,471 わざわざ おじいさまの遺産を 切り崩してまで— 271 00:16:12,554 --> 00:16:14,890 私たちに与えてくださった 272 00:16:16,016 --> 00:16:18,769 普通の人のできることでは ありません 273 00:16:19,228 --> 00:16:22,648 本当に ありがとうございます 274 00:16:22,731 --> 00:16:23,941 フフッ… 275 00:16:25,776 --> 00:16:27,069 あの… 276 00:16:27,152 --> 00:16:29,113 (ドアの開く音) (2人)あっ… 277 00:16:29,947 --> 00:16:31,407 (カミュ)いらっしゃいませ 278 00:16:35,369 --> 00:16:39,039 変な笠(かさ)… 九頭龍(くずりゅう)の人かな? 279 00:16:39,331 --> 00:16:40,791 (ソーマ)ンン… 280 00:16:42,167 --> 00:16:46,296 お願いする その奴隷を 売っていただけないだろうか? 281 00:16:46,380 --> 00:16:47,214 (サン)あっ… 282 00:16:47,589 --> 00:16:50,884 (カミュ)あの… 外の看板 見ましたか? 283 00:16:50,968 --> 00:16:52,720 もう閉店なんです 284 00:16:52,803 --> 00:16:54,930 (ソーマ)ああ これは失礼 285 00:16:55,014 --> 00:16:58,684 …が その洗熊族の奴隷に 見ほれてしまい— 286 00:16:58,767 --> 00:17:01,061 居ても立っても いられなくなりました 287 00:17:01,520 --> 00:17:05,691 どうか 私に その奴隷を 譲っていただけないでしょうか? 288 00:17:05,774 --> 00:17:09,987 もちろん 相応以上の代金を 支払うつもりでございます 289 00:17:11,071 --> 00:17:14,867 買ったあと 彼女を 奴隷身分からも解放します 290 00:17:15,242 --> 00:17:17,536 (カミュ)あの… ですから… 291 00:17:17,619 --> 00:17:18,954 (サン)それで— 292 00:17:19,038 --> 00:17:21,832 私には いかほどの値段を おつけになりますか? 293 00:17:21,915 --> 00:17:23,417 (カミュ)サンさん? 294 00:17:23,500 --> 00:17:27,546 (サン)ジンジャーさまには 奴隷一同 よくしていただきました 295 00:17:27,629 --> 00:17:29,465 残るは私だけです 296 00:17:29,548 --> 00:17:32,593 ですので 最後のご奉公として— 297 00:17:32,676 --> 00:17:35,345 高く買い取っていただきたいと 思います 298 00:17:36,513 --> 00:17:38,057 ジンジャーさま 299 00:17:38,140 --> 00:17:41,393 新しい商売を始める資金に なさってくださいませ 300 00:17:41,477 --> 00:17:43,479 ちょっと 何言ってるのさ! 301 00:17:43,562 --> 00:17:45,522 (ソーマ)分かりました (カミュ)あっ… 302 00:17:47,107 --> 00:17:48,233 (カミュ・サン)ハッ… 303 00:17:48,317 --> 00:17:53,197 (ソーマ)大金貨が10枚に 金貨50枚 入っています 304 00:17:53,280 --> 00:17:55,407 この額でよろしいでしょうか? 305 00:17:55,491 --> 00:17:59,036 (サン)破格の値段ですね 商談成立です 306 00:17:59,119 --> 00:18:00,037 (ソーマ)良かった 307 00:18:00,120 --> 00:18:02,247 (カミュ)だから 勝手に決めないでよ! 308 00:18:02,915 --> 00:18:05,209 申し訳ないですが売れません 309 00:18:05,292 --> 00:18:07,628 彼女は 奴隷ではないのです 310 00:18:07,711 --> 00:18:10,339 僕が新しい商売を始めるときに— 311 00:18:10,422 --> 00:18:12,966 従業員になってもらいたいと 思っていますので 312 00:18:13,050 --> 00:18:15,594 (サン)ハッ… ジンジャーさま 313 00:18:15,677 --> 00:18:17,179 (カミュ)ごめん サンさん 314 00:18:17,262 --> 00:18:20,140 もしかしたら この人に買われるほうが— 315 00:18:20,224 --> 00:18:23,227 あなたにとっては 幸せなのかもしれない 316 00:18:23,310 --> 00:18:25,354 かなりの財力もあるみたいだしね 317 00:18:25,979 --> 00:18:27,314 (カミュ)でも 僕は— 318 00:18:27,397 --> 00:18:31,068 僕のわがままとして あなたを手放したくない 319 00:18:31,360 --> 00:18:32,945 ジンジャーさま… 320 00:18:36,281 --> 00:18:41,161 どうか 私をジンジャーさまの そばに置いてください 321 00:18:41,245 --> 00:18:43,497 うん もちろんだよ 322 00:18:47,125 --> 00:18:48,710 あ~… 323 00:18:49,002 --> 00:18:51,755 アハハッ… いや その… 324 00:18:52,631 --> 00:18:53,674 (ロロア)なっ? 325 00:18:53,757 --> 00:18:58,095 セバスチャンの言ったとおり 面白い奴隷商やったやろ 326 00:18:58,178 --> 00:18:59,471 まったくだな 327 00:18:59,972 --> 00:19:01,974 あの… これは… 328 00:19:02,224 --> 00:19:06,144 すまなかった 試すだけのつもりが… 329 00:19:07,062 --> 00:19:08,564 試す? 330 00:19:08,939 --> 00:19:11,024 世に人なきにあらず… 331 00:19:11,108 --> 00:19:15,320 こんな所に また こんな人材が 隠れているんだもんな 332 00:19:15,737 --> 00:19:18,282 これだから 人材探しは やめられない 333 00:19:18,574 --> 00:19:20,367 へ… 陛下! 334 00:19:21,702 --> 00:19:25,247 (ソーマ)お忍びだから そういう堅苦しいのは要らない 335 00:19:25,330 --> 00:19:28,625 うん “お忍び”って 一度は言ってみたかったセリフだ 336 00:19:29,126 --> 00:19:33,046 {\an8}あ… あの… 陛下は どうして ここに? 337 00:19:33,463 --> 00:19:35,632 (ソーマ)君の評判を聞いたんだ 338 00:19:35,716 --> 00:19:39,386 奴隷に 読み書きと計算を教えて 待遇のいい所に— 339 00:19:39,469 --> 00:19:42,055 買い取ってもらえるように したそうじゃないか 340 00:19:42,139 --> 00:19:44,766 今では 王都中の奴隷商が 君をマネて— 341 00:19:44,850 --> 00:19:47,144 奴隷を教育するようになっている 342 00:19:47,227 --> 00:19:48,520 (カミュ)は… はぁ… 343 00:19:49,021 --> 00:19:51,106 その様子だと 自分が— 344 00:19:51,190 --> 00:19:54,735 どれだけの偉業を成し遂げたか 分かっていないようだね 345 00:19:55,277 --> 00:19:57,279 (カミュ)偉業だなんて… 346 00:19:57,362 --> 00:19:58,739 (ソーマ)俺は常々— 347 00:19:58,822 --> 00:20:02,701 この国の奴隷制度を 廃止できないかと考えていたんだ 348 00:20:02,784 --> 00:20:09,374 だが 王命で急な改革を行えば 社会が大混乱することは免れない 349 00:20:09,458 --> 00:20:12,044 下手すれば 内乱になる可能性もある 350 00:20:12,127 --> 00:20:13,754 (ロロア)そりゃ大げさやろ 351 00:20:14,171 --> 00:20:18,258 いや 俺のいた世界では 実際 戦争になったんだ 352 00:20:18,342 --> 00:20:21,637 だから まずは 奴隷制度を有名無実化したい 353 00:20:23,013 --> 00:20:25,098 (アイーシャ)あっ もしかして… (カミュ)うん? 354 00:20:25,432 --> 00:20:28,185 (アイーシャ)陛下が 姫さまに おしゃってたアレとは— 355 00:20:28,268 --> 00:20:29,811 このことだったんですか? 356 00:20:29,895 --> 00:20:32,397 そうだよ 教育だ 357 00:20:32,689 --> 00:20:34,942 君は 社会的な弱者に対し— 358 00:20:35,025 --> 00:20:39,238 手に職をつけさせることで 待遇改善を図った 359 00:20:39,321 --> 00:20:45,285 その結果 奴隷が奴隷でなくなった これを偉業と言わず 何と言う? 360 00:20:45,369 --> 00:20:47,871 そんな… 僕は ただ— 361 00:20:47,955 --> 00:20:51,583 ここにいた人たちだけでも 守ってあげようと必死で… 362 00:20:51,667 --> 00:20:52,876 (サン)フフッ… 363 00:20:53,877 --> 00:20:57,422 そういうことができる人材を 求めていたんだ 364 00:20:57,506 --> 00:21:01,468 俺は これから 国内の奴隷商店を公営化する 365 00:21:01,802 --> 00:21:04,221 (アイーシャ) 陛下 コーエー化とは? 366 00:21:04,304 --> 00:21:08,642 (ソーマ)奴隷商は 公務員として ちゃんとした審査を設ける 367 00:21:08,976 --> 00:21:10,227 その上で— 368 00:21:10,310 --> 00:21:14,189 奴隷たちが ただ肉体労働で 使いつぶされることがないよう— 369 00:21:14,272 --> 00:21:18,068 手に職をつけられる 職業訓練所も作るつもりだ 370 00:21:18,735 --> 00:21:22,030 奴隷制度なんて すぐにでも廃止したいが 371 00:21:22,114 --> 00:21:24,741 今 俺にできることは これくらいだ 372 00:21:24,825 --> 00:21:26,034 それって… 373 00:21:26,326 --> 00:21:28,704 のみ込みの悪いやっちゃなぁ 374 00:21:28,787 --> 00:21:31,540 あんたがやってたことを 国がやるんや 375 00:21:31,623 --> 00:21:36,044 (ソーマ)その職業訓練所の 初代所長として 君を登用したい 376 00:21:36,128 --> 00:21:37,754 ぼ… 僕をですか!? 377 00:21:38,380 --> 00:21:41,216 君こそが ふさわしいと 俺は思っている 378 00:21:42,092 --> 00:21:43,927 この金は準備金だ 379 00:21:44,511 --> 00:21:47,764 この金で その事業を 始めてみないか? 380 00:21:48,223 --> 00:21:49,349 アア… 381 00:21:49,433 --> 00:21:51,685 (サン)“凪は いつか終わり”… (カミュ)あっ… 382 00:21:52,769 --> 00:21:54,980 “潮目は唐突に変わる” 383 00:21:55,522 --> 00:21:56,732 ハッ… 384 00:22:00,360 --> 00:22:02,487 やります 陛下 385 00:22:03,196 --> 00:22:04,698 やらせてください! 386 00:22:10,996 --> 00:22:17,002 {\an8}♪~ 387 00:23:33,412 --> 00:23:39,417 {\an8}~♪