1 00:00:02,600 --> 00:00:04,500 《ソーマ:この世界には 魔法があり— 2 00:00:04,500 --> 00:00:06,500 不思議な 生き物がいる 3 00:00:06,960 --> 00:00:10,500 だから空を飛びたいと思えば ワイバーンに乗ればいい 4 00:00:10,660 --> 00:00:14,510 飼い馴らされた大型生物が 荷車を引き— 5 00:00:14,920 --> 00:00:19,180 鋼鉄の軍艦の動力は 巨大なシードラゴンだ 6 00:00:19,800 --> 00:00:24,350 電球はないが 街灯に入れられた 光るコケが夜の町を照らし— 7 00:00:25,040 --> 00:00:28,860 薪とかまどと火属性の魔法で 煮炊きしている 8 00:00:29,780 --> 00:00:31,690 この世界では 科学がなくとも— 9 00:00:32,340 --> 00:00:35,540 魔法の力などで できてしまうことが多い 10 00:00:36,280 --> 00:00:37,540 逆に言えば— 11 00:00:37,620 --> 00:00:40,030 魔法や不思議な生き物の 要素を抜かせば— 12 00:00:40,580 --> 00:00:43,370 この国の技術レベルは それほど高くない 13 00:00:44,280 --> 00:00:50,210 産業革命はまだ遠く いまだに封建体制が残っている 14 00:00:50,600 --> 00:00:52,710 そんな国で今— 15 00:00:53,880 --> 00:00:55,610 俺は王様をしている》 16 00:02:26,440 --> 00:02:29,520 魔法検査? 文献によりますれば— 17 00:02:29,680 --> 00:02:33,820 異世界より召喚された勇者には こちらの世界に来たとき— 18 00:02:33,880 --> 00:02:37,360 なんらかの魔法を 付与されることがあるとか 19 00:02:37,760 --> 00:02:41,370 つまり 俺も魔法が 使えるようになってるかどうか— 20 00:02:41,560 --> 00:02:43,570 確かめようってわけか 21 00:02:46,040 --> 00:02:48,210 これに触れればいいんだな? 22 00:02:48,560 --> 00:02:51,810 はい もし魔法が 使えるようになっていれば— 23 00:02:52,060 --> 00:02:55,150 それがいかなる魔法かが 脳裏に浮かびますので 24 00:02:55,580 --> 00:02:58,850 へぇ それはずいぶん親切設計な 25 00:03:14,480 --> 00:03:16,220 あぁ… 26 00:03:25,440 --> 00:03:27,340 いかがでしたか? 27 00:03:28,300 --> 00:03:31,680 どうやら 俺も魔法が 使えるようになってるみたいだ 28 00:03:32,240 --> 00:03:33,280 おぉ! 29 00:03:33,680 --> 00:03:38,020 ハァ… けど この魔法って どんな使い道が… 30 00:03:39,400 --> 00:03:40,020 あっ! 31 00:03:44,840 --> 00:03:46,120 (ノック) 32 00:03:47,280 --> 00:03:49,240 (リーシア)ソーマ 入るわよ 33 00:03:50,500 --> 00:03:51,240 えっ? 34 00:03:58,810 --> 00:04:00,810 何事? 35 00:04:00,810 --> 00:04:03,650 来たのか リーシア 36 00:04:03,650 --> 00:04:05,650 あっ… 37 00:04:05,650 --> 00:04:08,150 え~っと これって 38 00:04:08,150 --> 00:04:11,320 魔法でペンを動かしてるのよね? 39 00:04:11,320 --> 00:04:13,490 ってことになるのかな? 40 00:04:13,490 --> 00:04:18,330 とりあえず俺が使えるのは 物体に自分の意識をコピーし— 41 00:04:18,330 --> 00:04:20,500 自由自在に操る力で 42 00:04:20,500 --> 00:04:23,170 あっ つまりそっちのペンは— 43 00:04:23,170 --> 00:04:25,340 俺が自分で 動かしてるんじゃなくて— 44 00:04:25,340 --> 00:04:29,170 コピーした俺の意識を宿して 独自に動いているんだ 45 00:04:29,170 --> 00:04:31,170 俺は この力を— 46 00:04:31,170 --> 00:04:34,510 生きた騒霊たち 「リビング・ポルターガイスツ」と名付けた 47 00:04:34,510 --> 00:04:37,850 ハハッ って ちょっと中二っぽいか 48 00:04:37,850 --> 00:04:42,350 チューニが何かわからないけど なんだか変な魔法ね 49 00:04:42,350 --> 00:04:46,360 まぁ今のところ 動かせる物体は3つが限度で— 50 00:04:46,360 --> 00:04:50,630 それも自分の近くでしか だめみたいなんだけど 51 00:04:50,630 --> 00:04:52,630 この力があれば— 52 00:04:52,630 --> 00:04:57,470 独立した意識のもと 複数の物事を並列して処理できる 53 00:04:57,470 --> 00:04:59,800 つまり… 54 00:04:59,800 --> 00:05:03,470 んっ… つまり… 55 00:05:03,470 --> 00:05:05,970 書類仕事に超便利 56 00:05:08,310 --> 00:05:12,150 いやぁ これのおかげで 仕事がはかどる はかどる 57 00:05:12,150 --> 00:05:15,990 この力がなかったら今頃 書類の山に飲み込まれてたよ 58 00:05:15,990 --> 00:05:18,090 ハハハ ハァ… 59 00:05:20,160 --> 00:05:22,160 私には今でも十分— 60 00:05:22,160 --> 00:05:25,000 飲み込まれてるみたいに 見えるけど 61 00:05:25,000 --> 00:05:27,500 ところでこれは なんの騒ぎなの? 62 00:05:27,500 --> 00:05:31,000 埋蔵金の発掘だよ 埋蔵金? 63 00:05:31,000 --> 00:05:34,840 正確に言えば 使途不明金の洗い出しだな 64 00:05:34,840 --> 00:05:38,840 概算要求書と 収支報告書を見比べて— 65 00:05:38,840 --> 00:05:42,680 要求された金額と支出が 同じ値になっていても— 66 00:05:42,680 --> 00:05:45,350 支出の項目が 予定より増えていたら— 67 00:05:45,350 --> 00:05:49,520 それは請求額を使い切るために 行われた無駄投資 68 00:05:49,520 --> 00:05:53,290 あるいは 投資を偽装した 横領の可能性がある 69 00:05:53,290 --> 00:05:56,130 それをチェックして不正があれば— 70 00:05:56,130 --> 00:05:59,630 その損失分を 関係各所に支払わせるんだ 71 00:05:59,630 --> 00:06:03,470 個人の横領が発見されれば 返済義務を課し— 72 00:06:03,470 --> 00:06:06,640 支払えなければ逮捕し 資産を没収する 73 00:06:06,640 --> 00:06:09,470 けど… どうしてそこまで 74 00:06:09,470 --> 00:06:11,640 帝国への支援金は— 75 00:06:11,640 --> 00:06:14,140 国宝を売ったお金で 確保できたんでしょ? 76 00:06:14,140 --> 00:06:16,650 フッ… あぁ 77 00:06:16,650 --> 00:06:21,320 とりあえず 俺の身柄が帝国に 引き渡される心配はなくなった 78 00:06:21,320 --> 00:06:24,660 でも この国の経営を 軌道に乗せるには— 79 00:06:24,660 --> 00:06:26,660 資金は いくらあっても足りない 80 00:06:26,660 --> 00:06:30,660 もちろん 人手も あっ… ええっ? 81 00:06:30,660 --> 00:06:35,670 (アルベルト)あ~ ハハ… ソーマ殿と リーシアは うまくやっとるかのぅ 82 00:06:35,670 --> 00:06:40,340 (エリシャ)あの子たちなら きっと大丈夫ですよ 83 00:06:40,340 --> 00:06:42,840 そうか… ハァ… 84 00:06:42,840 --> 00:06:44,840 そうじゃな… 85 00:06:58,620 --> 00:07:01,790 ハァ… んっ 86 00:07:01,790 --> 00:07:08,970 (寝息) 87 00:07:08,970 --> 00:07:10,970 んっ… 88 00:07:13,800 --> 00:07:19,810 (寝息) 89 00:07:19,810 --> 00:07:34,490 ♩~ 90 00:07:34,490 --> 00:07:36,490 んっ… あ… 91 00:07:36,490 --> 00:07:38,660 あっ… あぁ えっ? 92 00:07:38,660 --> 00:07:43,000 あ… 私 寝ちゃった? お おはよう リーシア 93 00:07:43,000 --> 00:07:45,670 あっ おはよう… い いつからそこに!? 94 00:07:45,670 --> 00:07:49,340 いつからって… さっきからだけど 95 00:07:49,340 --> 00:07:51,610 な… なんで? いやぁ 96 00:07:51,610 --> 00:07:53,610 気持ちよさそうに寝てるなぁって 97 00:07:53,610 --> 00:07:55,950 うぅ…! 98 00:07:55,950 --> 00:08:00,780 仕事は ひと段落ついたよ このまま もう少し寝とく? 99 00:08:00,780 --> 00:08:04,620 あ… ううん! 大丈夫 100 00:08:04,620 --> 00:08:06,620 それよりソーマは? 101 00:08:06,620 --> 00:08:09,630 その顔だと 全然 寝てないんじゃない? 102 00:08:09,630 --> 00:08:12,630 このあとゆっくり 寝るつもりだけど— 103 00:08:12,630 --> 00:08:15,300 少しつきあってもらえるか? 104 00:08:15,300 --> 00:08:19,140 えっ? 今から? うん 105 00:08:19,140 --> 00:08:22,640 リーシアに 見せておきたいものがあってさ 106 00:08:32,980 --> 00:08:36,150 ちょっと! そんなに強く しがみつかないでよ 107 00:08:36,150 --> 00:08:38,490 いや だって 結構怖いんだぞ 108 00:08:38,490 --> 00:08:40,490 情けないわね 109 00:08:40,490 --> 00:08:43,490 普通は男が 手綱を握るべきなんじゃない? 110 00:08:43,490 --> 00:08:47,660 しかたないだろ 馬に乗ったの初めてなんだから 111 00:08:47,660 --> 00:08:50,430 そうなの!? 俺のいた世界には— 112 00:08:50,430 --> 00:08:54,930 馬に乗れなくても 他に便利な 乗り物がたくさんあったんだよ 113 00:08:56,940 --> 00:08:59,440 ソーマのいた世界… 114 00:08:59,440 --> 00:09:01,950 ねぇ ソーマ んっ なんだ? 115 00:09:01,950 --> 00:09:06,620 ソーマには向こうの世界に 残してきた家族とか… 116 00:09:06,620 --> 00:09:10,950 その… こ 恋人とかいたの? 117 00:09:10,950 --> 00:09:14,120 いないよ 最後の肉親だったじいちゃんも— 118 00:09:14,120 --> 00:09:16,130 こっちに来る前に 119 00:09:16,130 --> 00:09:19,300 あっ ごめんなさい 謝ることないさ 120 00:09:19,300 --> 00:09:22,470 じいちゃんは天寿を全うしたんだ 121 00:09:22,470 --> 00:09:25,970 だからまぁ 帰りを待ってる人もいないし— 122 00:09:25,970 --> 00:09:29,470 すぐに向こうに 帰りたいってこともないかな 123 00:09:29,470 --> 00:09:32,140 そう… なんだ 124 00:09:32,140 --> 00:09:42,490 ♩~ 125 00:09:42,490 --> 00:09:44,490 ここで止めて 126 00:09:57,500 --> 00:10:02,010 朝霧に濡れてきれいね 「きれい」か… 127 00:10:02,010 --> 00:10:06,010 もしかして これが 私に見せたかったものなの? 128 00:10:06,010 --> 00:10:08,010 あぁ 129 00:10:08,010 --> 00:10:12,350 この「食えない畑」が この国の食糧不足の原因だ 130 00:10:12,350 --> 00:10:14,520 食えない畑? 131 00:10:14,520 --> 00:10:18,020 それってどういう意味? そのまんまの意味さ 132 00:10:18,020 --> 00:10:21,860 ここに広がっているのは すべて綿花畑なんだ 133 00:10:21,860 --> 00:10:26,030 あぁ… 食べられないって そういう意味ね 134 00:10:26,030 --> 00:10:30,700 結論からいえば この綿花畑が増えすぎたせいで— 135 00:10:30,700 --> 00:10:36,040 この国は食糧不足になったんだ はい? 136 00:10:36,040 --> 00:10:38,880 発端は魔王領の拡大だ 137 00:10:38,880 --> 00:10:42,550 これまで綿花を 多く生産していた北の国々が— 138 00:10:42,550 --> 00:10:46,220 魔物の被害を受けたため 生産が激減した 139 00:10:46,220 --> 00:10:48,220 そういえば— 140 00:10:48,220 --> 00:10:51,660 この世界って北に行くほど 暖かくなるんだよな 141 00:10:51,660 --> 00:10:56,490 ソーマの世界は違うの? 俺のいた国は逆だった 142 00:10:56,490 --> 00:10:59,000 あっ まぁ それはさておき— 143 00:10:59,000 --> 00:11:02,670 供給が減ったことで 綿花の買い取り価格が上がり— 144 00:11:02,670 --> 00:11:06,670 作れば作るだけ売れるものだから この国の農家は— 145 00:11:06,670 --> 00:11:09,840 それまで作ってきた 食用作物の栽培をやめ— 146 00:11:09,840 --> 00:11:12,340 こぞって綿花を作るようになった 147 00:11:12,340 --> 00:11:16,010 食べるためでなく 他者に売るために作る作物を— 148 00:11:16,010 --> 00:11:18,680 「商品作物」というんだけど— 149 00:11:18,680 --> 00:11:23,020 農家がこぞって商品作物ばかり 栽培するようになったことが— 150 00:11:23,020 --> 00:11:27,360 この国の食糧自給率を低下させた 151 00:11:27,360 --> 00:11:29,860 それで食糧不足に? 152 00:11:29,860 --> 00:11:34,700 いいや 不足する食糧は 他国からの輸入にすればいい 153 00:11:34,700 --> 00:11:39,040 そっか 綿花が高く売れるんだもの 154 00:11:39,040 --> 00:11:44,210 そのお金で食糧を買えばいいのね そう ただここで— 155 00:11:44,210 --> 00:11:47,210 綿花が値崩れを起こした あっ 156 00:11:47,210 --> 00:11:49,210 利益が出るとわかって— 157 00:11:49,210 --> 00:11:52,150 他の国々も 綿花の生産に走ったから— 158 00:11:52,150 --> 00:11:55,990 世界的に供給が需要を 上回ったんだろうな 159 00:11:55,990 --> 00:12:00,320 こうなると綿花の輸出益に 依存していたこの国は— 160 00:12:00,320 --> 00:12:02,330 一気に苦しくなる 161 00:12:02,330 --> 00:12:06,000 よその国から食糧を買うお金が 減っちゃったのね 162 00:12:06,000 --> 00:12:11,670 輸入量が減れば当然 国内での流通する食糧が高騰し— 163 00:12:11,670 --> 00:12:15,170 所得が少ない層ほど 苦しむことになる 164 00:12:15,170 --> 00:12:19,010 これが 今この国を蝕んでいる 病巣のひとつだ 165 00:12:19,010 --> 00:12:24,010 あっ… 知らなかった… 166 00:12:24,010 --> 00:12:27,180 こんなことも わかっていなかったなんて— 167 00:12:27,180 --> 00:12:31,520 私は上に立つ者として失格ね 168 00:12:31,520 --> 00:12:33,520 そんな しょぼくれんな 169 00:12:33,520 --> 00:12:36,020 こうしたことは 今から学んでいけばいいさ 170 00:12:38,700 --> 00:12:42,370 もしかして ここを私に見せたかったのって 171 00:12:42,370 --> 00:12:50,810 あぁ リーシアはいずれ この国を指導する立場の人間だ 172 00:12:50,810 --> 00:12:55,150 だから こうしたことも 知っておいてほしいと思ってさ 173 00:12:55,150 --> 00:12:57,650 俺がいなくなったあとも— 174 00:12:57,650 --> 00:13:00,150 ちゃんとこの国を 経営していけるようにね 175 00:13:00,150 --> 00:13:10,850 ♩~ 176 00:13:19,170 --> 00:13:22,170 まずは商品作物の 作付けを制限し— 177 00:13:22,170 --> 00:13:26,340 食用作物の畑を復活させて 自給率を上げる 178 00:13:26,340 --> 00:13:29,850 その転換を 国は補助金を出して支援する 179 00:13:29,850 --> 00:13:32,520 まずは利用範囲の広い大豆や— 180 00:13:32,520 --> 00:13:35,690 天候不順に強い芋に 植え替えるのが先決かな 181 00:13:35,690 --> 00:13:38,020 ハァ… んっ? 182 00:13:38,020 --> 00:13:40,520 リーシア 聞いてるか? あっ? 183 00:13:40,520 --> 00:13:42,530 あぁ うん 聞いてるわ 184 00:13:42,530 --> 00:13:45,360 農業改革は 一朝一夕でできるものじゃない 185 00:13:45,360 --> 00:13:50,470 だから当面 食糧は輸入したものも 国内で生産されたものも— 186 00:13:50,470 --> 00:13:54,640 いったん国が買い上げて 買った値段より安い価格で売る 187 00:13:54,640 --> 00:13:57,310 それだと赤字になるんじゃない? 188 00:13:57,310 --> 00:14:03,810 あぁ… その補填は 輸出で稼ぎたいんだけど 189 00:14:03,810 --> 00:14:07,150 今まで稼ぎ頭だった 綿花に代わる商品を— 190 00:14:07,150 --> 00:14:10,490 見つけ出さないと 難しいわね 191 00:14:10,490 --> 00:14:13,660 まぁ それはそれとして… 192 00:14:13,660 --> 00:14:15,660 王様なのに なんで— 193 00:14:15,660 --> 00:14:18,160 こんなとこで食べてるの? んっ… 194 00:14:18,160 --> 00:14:22,330 気にするな 今は城をあげて倹約中だからな 195 00:14:22,330 --> 00:14:24,830 食費で浪費はできない 196 00:14:24,830 --> 00:14:26,840 だからって… 197 00:14:26,840 --> 00:14:29,170 (ルドウィン)お久ぶりですね 姫様 んっ? あっ 198 00:14:29,170 --> 00:14:32,680 いや 今は王妃様とお呼びした ほうがいいでしょうか 199 00:14:32,680 --> 00:14:35,510 あぁ その… 今はまだ… 200 00:14:35,510 --> 00:14:41,680 ソーマ この人は 近衛騎士団長のルドウィン・アークス殿よ 201 00:14:41,680 --> 00:14:43,690 ソーマ・カズヤだ 202 00:14:43,690 --> 00:14:46,860 一応 この国の 王様ってことになってる 203 00:14:46,860 --> 00:14:50,290 ルドウィン・アークスです 陛下の仕事ぶりは— 204 00:14:50,290 --> 00:14:53,130 文官たちの間で うわさになっていますよ 205 00:14:53,130 --> 00:14:55,130 じゃあ その文官たちに— 206 00:14:55,130 --> 00:14:58,300 「うわさしてる暇があったら働け」と 伝えてくれ 207 00:14:58,300 --> 00:15:00,640 ハハ… 了解しました 208 00:15:00,640 --> 00:15:03,140 朝食ご一緒しても よろしいですか? 209 00:15:03,140 --> 00:15:05,140 別にかまわないよ 210 00:15:05,140 --> 00:15:10,150 せっかくの機会なので ひとつお聞きしてもいいですか? 211 00:15:10,150 --> 00:15:12,820 俺に答えられることなら 212 00:15:12,820 --> 00:15:15,490 王がなされようとしている 改革ですが— 213 00:15:15,490 --> 00:15:17,490 うまく進んでいますか? 214 00:15:17,490 --> 00:15:22,330 あまりうまくいってない 特に人材面が問題だ 215 00:15:22,330 --> 00:15:24,830 宰相のマルクス殿はともかく— 216 00:15:24,830 --> 00:15:28,330 他は使い物にならない (マルクス)ハーックション! 217 00:15:28,330 --> 00:15:31,500 前国王の重臣たちを 引き継いだものの— 218 00:15:31,500 --> 00:15:33,500 言うなれば アイツらは— 219 00:15:33,500 --> 00:15:36,170 国がこうなるまで ほうっておいた連中だしな 220 00:15:36,170 --> 00:15:39,840 耳の痛い話です えっ ちょ… ソーマ 221 00:15:39,840 --> 00:15:42,680 俺が知りたいことを教えてくれて— 222 00:15:42,680 --> 00:15:46,850 取り組んでほしいことに 進んで取り組んでくれる… 223 00:15:46,850 --> 00:15:50,650 そんな自前の家臣が欲しいよ あ… 224 00:15:52,620 --> 00:15:55,320 人材募集に宝珠放送を使う!? 225 00:15:57,290 --> 00:16:00,130 あぁ。 宝珠放送ってのは— 226 00:16:00,130 --> 00:16:03,970 国土全域にまで届くんだろう? えっ… えぇ… 227 00:16:03,970 --> 00:16:06,640 受信環境が整っていれば— 228 00:16:06,640 --> 00:16:09,640 この城にある 宝珠の間で発した声は— 229 00:16:09,640 --> 00:16:12,140 国のどこでも 聞けるようになってるけど 230 00:16:12,140 --> 00:16:15,980 なら国民に広く訴えるのに うってつけだな 231 00:16:15,980 --> 00:16:19,320 普通は国王の年頭の挨拶とか— 232 00:16:19,320 --> 00:16:22,320 重要な法令を出すとき使うものだけど— 233 00:16:22,320 --> 00:16:25,150 人材を募集するのは初めてでしょうね 234 00:16:25,150 --> 00:16:29,330 普通は どうやって集めるんだ? そうね… 235 00:16:29,330 --> 00:16:32,000 個人のツテを頼るとか— 236 00:16:32,000 --> 00:16:35,330 筆記試験を開いて 合格者を採用するとか 237 00:16:35,330 --> 00:16:37,670 それって かなり偏ってないか? 238 00:16:37,670 --> 00:16:40,670 ちなみに この国の識字率はどれくらい? 239 00:16:40,670 --> 00:16:43,010 読める人が半分 240 00:16:43,010 --> 00:16:47,010 書ける人は3割くらいかしらね 全然だめじゃないか! 241 00:16:47,010 --> 00:16:50,950 読み書きだけで人材のよしあしが 決まるわけでもないのに 242 00:16:50,950 --> 00:16:55,290 そのせいで人口の7割が 採用試験を受けられないなんて 243 00:16:55,290 --> 00:16:58,120 どんだけ原石を 眠らせとくつもりだよ 244 00:16:58,120 --> 00:17:00,520 返す言葉もないわ… 245 00:17:06,630 --> 00:17:09,800 まぁ経済状況が安定すれば— 246 00:17:09,800 --> 00:17:12,800 そこもおいおい 解決していけばいいさ 247 00:17:12,800 --> 00:17:16,140 それよりも まずは当面の人材募集だ 248 00:17:16,140 --> 00:17:19,980 どんな人材を集めるつもりなの? 249 00:17:19,980 --> 00:17:22,650 募集の文言は考えてある 250 00:17:22,650 --> 00:17:27,150 もっとも俺の尊敬する 英雄の言葉を借りるだけだけど 251 00:17:27,150 --> 00:17:29,650 英雄? あぁ 252 00:17:29,650 --> 00:17:32,820 それも「乱世の奸雄」だ 253 00:17:32,820 --> 00:17:34,820 〈後漢末期 254 00:17:34,820 --> 00:17:38,160 三国時代の 魏の礎を築いた曹操は— 255 00:17:38,160 --> 00:17:40,330 人材収集マニアと呼ばれるほど— 256 00:17:40,330 --> 00:17:44,170 麾下に才能ある者を揃えるのに 熱心であったという 257 00:17:44,170 --> 00:17:46,500 その曹操が— 258 00:17:46,500 --> 00:17:51,940 広く人材を求めるため 建安15年に布告した「求賢令」 259 00:17:51,940 --> 00:17:55,950 その中に後世にまで 語り継がれる一節があった 260 00:17:55,950 --> 00:17:57,950 それは…〉 261 00:17:57,950 --> 00:18:00,780 ただ才あらば用いる! 262 00:18:00,780 --> 00:18:04,290 ≪あれが新しい王様 ≪ずいぶん若いのね 263 00:18:04,290 --> 00:18:06,290 諸君! 264 00:18:06,290 --> 00:18:09,460 この国は今 未曾有の危機に瀕している 265 00:18:09,460 --> 00:18:13,300 慢性的な食糧問題 経済不況 266 00:18:13,300 --> 00:18:16,800 魔王領に土地を奪われた難民の流入 267 00:18:16,800 --> 00:18:20,470 いずれも この国を侵す深刻な病である 268 00:18:20,470 --> 00:18:25,810 更に周辺国の中には 虎視眈々とこの国を狙う者もいる 269 00:18:25,810 --> 00:18:28,480 前国王は この事態を前にし— 270 00:18:28,480 --> 00:18:33,820 自らの力及ばずと判断し この私に後事を託した 271 00:18:33,820 --> 00:18:39,660 前国王は安寧なる世においては まさに名君と呼べる器であった 272 00:18:39,660 --> 00:18:42,830 しかし 今は動乱の時代である 273 00:18:42,830 --> 00:18:47,000 動乱の時代に求められる王は 聖人君子ではなく— 274 00:18:47,000 --> 00:18:49,000 しぶとく生き残る者だ! 275 00:18:49,000 --> 00:18:51,430 そうした君主が結果的に— 276 00:18:51,430 --> 00:18:55,610 諸君らの家族と財産を 守ることに繋がるからだ 277 00:18:55,610 --> 00:18:58,780 だから 前国王は私を選んだ! 278 00:18:58,780 --> 00:19:01,440 しぶといという 一点においてのみ— 279 00:19:01,440 --> 00:19:06,620 私は前国王よりも 優れていたからだ! 280 00:19:06,620 --> 00:19:10,290 現在 私は さまざまな改革に着手している 281 00:19:10,290 --> 00:19:14,790 しかし そのための人材が 圧倒的に足りない 282 00:19:14,790 --> 00:19:19,590 ゆえに ここに才能ある人材を 募集する次第である 283 00:19:24,470 --> 00:19:29,310 混迷の時代に必要なのは 平和的に優れている者ではなく— 284 00:19:29,310 --> 00:19:32,810 どこか一点において 突き抜けている者である 285 00:19:32,810 --> 00:19:34,810 その才の形は問わない 286 00:19:34,810 --> 00:19:38,310 ただ「これだけは人に負けぬ」 という矜持があれば— 287 00:19:38,310 --> 00:19:40,650 我が前に立て! 288 00:19:40,650 --> 00:19:46,320 学歴も年齢も身分も出身も 種族も性別も問わない! 289 00:19:46,320 --> 00:19:49,330 文字の読み書きが できるかどうかも— 290 00:19:49,330 --> 00:19:52,160 財産の大小も容姿の美醜も— 291 00:19:52,160 --> 00:19:55,000 スネに傷があるかどうかも問わない 292 00:19:55,000 --> 00:19:57,670 「これだけは人より優れている」 293 00:19:57,670 --> 00:20:00,840 「これだけは この国の 誰にも負ける気はしない」 294 00:20:00,840 --> 00:20:05,170 そう思うものがあれば 我が前にて披露せよ! 295 00:20:05,170 --> 00:20:08,850 自分の才が 本当に役立つものなのかどうか— 296 00:20:08,850 --> 00:20:11,010 ためらっている者もいることだろう 297 00:20:11,010 --> 00:20:14,850 しかし それは 諸君が判断することではない! 298 00:20:14,850 --> 00:20:20,190 この国に必要な才であるか否かは 国王である私が判断する! 299 00:20:20,190 --> 00:20:24,190 たとえ人にくだらないと言われる 才でもかまわない 300 00:20:24,190 --> 00:20:26,200 だから ためらうな! 301 00:20:26,200 --> 00:20:29,200 (ポンチョ)ウッ… ウゥ… 302 00:20:29,200 --> 00:20:33,540 諸君らの才が この国にとって 有用と判断したら— 303 00:20:33,540 --> 00:20:37,840 私は礼を尽くして その者を家臣に迎えるであろう! 304 00:20:41,380 --> 00:20:44,710 それでも まだためらうならば こうしよう 305 00:20:44,710 --> 00:20:48,380 その才が国において 並びないものと証明されれば— 306 00:20:48,380 --> 00:20:52,820 エルフリーデン国王の名において 無双証明書を発行し— 307 00:20:52,820 --> 00:20:54,820 金一封を授ける! 308 00:20:54,820 --> 00:20:56,830 (どよめき) 309 00:20:56,830 --> 00:20:59,160 これで少しは やる気が出たか? 310 00:20:59,160 --> 00:21:03,170 (歓声) 野郎ども! 311 00:21:03,170 --> 00:21:05,370 (歓声) 312 00:21:08,670 --> 00:21:10,840 自薦他薦は問わない 313 00:21:10,840 --> 00:21:15,510 他薦の場合は 推薦者に報酬の3割を出そう 314 00:21:15,510 --> 00:21:19,350 この非常時に引きこもって 隠者を気取っているヤツは— 315 00:21:19,350 --> 00:21:22,020 諸君らの手で引きずり出せ! 316 00:21:22,020 --> 00:21:25,020 あと「人より力が強い」とか— 317 00:21:25,020 --> 00:21:27,860 「歌がうまい」みたいに 競合しそうな才は— 318 00:21:27,860 --> 00:21:30,190 事前に候補者同士で競ってもらい— 319 00:21:30,190 --> 00:21:32,860 代表1名を 選出することになるから— 320 00:21:32,860 --> 00:21:34,860 そのつもりでいてくれ 321 00:21:34,860 --> 00:21:38,200 それじゃ 才ある者よ 322 00:21:38,720 --> 00:21:41,540 王都パルナムで僕と握手! 323 00:21:41,540 --> 00:21:48,040 (歓声) 324 00:21:50,200 --> 00:21:51,980 最後のは何? 325 00:21:51,980 --> 00:21:54,280 その場のノリ あのねぇ… 326 00:22:00,320 --> 00:22:02,330 《欲しい人材— 327 00:22:02,330 --> 00:22:04,530 たくさん来てくれると いいんだけど》 328 00:22:17,560 --> 00:22:20,510 (ボーダン)では 決心は変わらぬのだな? 329 00:22:20,520 --> 00:22:22,510 (アイーシャ)はい 父上 330 00:22:35,320 --> 00:22:36,690 フーンッ 331 00:22:36,690 --> 00:22:38,690