1 00:00:00,990 --> 00:00:03,480 《ソーマ:この世界の人々が思う魔物と— 2 00:00:03,990 --> 00:00:06,660 俺のいた世界の 人々が思う魔物には— 3 00:00:06,660 --> 00:00:09,000 若干 ズレがあるようだ 4 00:00:09,000 --> 00:00:13,340 俺のいた世界では 魔物とは 人でも動物でもない— 5 00:00:13,340 --> 00:00:16,840 異形の生物という認識だった 6 00:00:16,840 --> 00:00:18,840 しかし この世界では— 7 00:00:18,840 --> 00:00:22,850 そうした生き物も 人や動物のカテゴリーに入っている 8 00:00:22,850 --> 00:00:24,850 具体的に言うと— 9 00:00:24,850 --> 00:00:29,190 人間族もエルフ族も 獣人族もドラゴニュートも— 10 00:00:29,190 --> 00:00:31,520 人類というカテゴリーに入っている 11 00:00:31,520 --> 00:00:33,520 動植物で言えば— 12 00:00:33,520 --> 00:00:37,030 恐竜にしか見えなくても オオトカゲは爬虫類であり— 13 00:00:37,030 --> 00:00:40,530 人の大きさほどあっても 巨大アリはアリだし— 14 00:00:40,530 --> 00:00:44,200 人を食ってもマンイーターは植物なのだ 15 00:00:44,200 --> 00:00:49,710 ちなみにドラゴンなどは神獣と呼ばれ また別の扱いを受けている 16 00:00:49,710 --> 00:00:52,540 これらが魔物と 呼ばれていないのは— 17 00:00:52,540 --> 00:00:54,540 この世界の生態系に— 18 00:00:54,540 --> 00:00:56,550 組み込まれているからだ 19 00:00:56,550 --> 00:00:58,720 そのため 俺の目から見ると— 20 00:00:58,720 --> 00:01:02,490 モンスターにしか見えない スライム状の生物 ゼルリンも— 21 00:01:02,490 --> 00:01:05,320 この世界では動物扱いされている 22 00:01:05,320 --> 00:01:08,490 では魔物とは何かというと— 23 00:01:08,490 --> 00:01:12,000 さまざまな生物が 融合したようなものを指す 24 00:01:12,000 --> 00:01:17,170 中には比較的 人型に近い 形態をしているものも多いが— 25 00:01:17,460 --> 00:01:21,510 それらの知能は 獣と何ら変わりはない 26 00:01:22,480 --> 00:01:26,180 そんな世界で人材募集した俺は— 27 00:01:27,080 --> 00:01:30,180 それに応じてやってきた 妖狼族の少女から— 28 00:01:30,740 --> 00:01:32,580 とんでもないことを聞かされた》 29 00:03:08,180 --> 00:03:12,960 さぁ 大きな声でなくていいから 緊張せずに言ってみて 30 00:03:16,140 --> 00:03:17,000 ハッ! 31 00:03:17,240 --> 00:03:21,000 間違いないのか? (トモエ)はっ はい 32 00:03:21,600 --> 00:03:24,840 このことは他の誰かに言った? いっ いえ 33 00:03:24,840 --> 00:03:27,140 お母さん以外には誰にも 34 00:03:33,010 --> 00:03:36,350 《落ち着け 呼吸を整えろ 35 00:03:36,350 --> 00:03:39,350 この場の誰にも 動揺を悟られるな》 36 00:03:40,240 --> 00:03:42,520 そなたの望みはわかった 37 00:03:42,740 --> 00:03:44,520 必ずとは約束できないが— 38 00:03:44,520 --> 00:03:46,530 考えておこう えっ…? 39 00:03:46,740 --> 00:03:48,530 マルクス (マルクス)はっ 40 00:03:48,530 --> 00:03:50,630 彼女の才は得難いものだ 41 00:03:50,630 --> 00:03:53,470 ただ それをどう用いるかには 一考が必要だろう 42 00:03:53,470 --> 00:03:57,640 それをこのあと相談したい かしこまりました 43 00:03:57,640 --> 00:04:00,140 才ある者よ 44 00:04:00,140 --> 00:04:03,480 こたびは呼びかけに 応じてくれたこと感謝する 45 00:04:03,480 --> 00:04:06,310 この国を立て直すため力を貸してほしい 46 00:04:06,310 --> 00:04:08,650 頼む (みんな)はっ 47 00:04:08,650 --> 00:04:11,050 あ… 48 00:04:17,990 --> 00:04:20,330 あ… あの… 49 00:04:20,330 --> 00:04:24,160 何か大事なお話が あるということですが… 50 00:04:24,160 --> 00:04:26,170 謁見の間で— 51 00:04:26,170 --> 00:04:29,340 彼女が俺に耳打ちした言葉が 聞こえた者はいるか? 52 00:04:29,340 --> 00:04:32,010 (リーシア)私は聞こえなかったわ はい 53 00:04:32,010 --> 00:04:34,170 ずいぶん小さい声でしたから 54 00:04:34,170 --> 00:04:36,840 (ルドウィン)私の耳にも 届きませんでした 55 00:04:36,840 --> 00:04:40,510 なら 宝珠放送で 声が流れた心配はないか 56 00:04:40,510 --> 00:04:42,520 多分 大丈夫だと思う 57 00:04:42,520 --> 00:04:44,520 あれって それほど感度はよくないから 58 00:04:44,520 --> 00:04:47,350 外に漏れるのを 気にしているみたいだけど— 59 00:04:47,350 --> 00:04:50,120 それほどのことなの? あぁ 60 00:04:50,120 --> 00:04:52,790 彼女は動物と会話ができる 61 00:04:52,790 --> 00:04:55,130 それは聞いたよな? えぇ 62 00:04:55,130 --> 00:04:57,800 (マルクス)動物の言葉が わかるだけでなく— 63 00:04:57,800 --> 00:05:01,470 彼女が発する言葉は なぜか動物に伝わるようでして— 64 00:05:01,470 --> 00:05:04,140 誠 稀有な才と申せましょうか 65 00:05:04,140 --> 00:05:06,140 フゥ… 66 00:05:06,140 --> 00:05:09,140 その力で魔族と話したそうだ 67 00:05:09,140 --> 00:05:11,140 (みんな)ええっ! 68 00:05:11,140 --> 00:05:13,310 〈従来 この世界で— 69 00:05:13,310 --> 00:05:17,480 魔物は動物並みの知能しか 持たないと考えられていた 70 00:05:17,480 --> 00:05:21,150 だが 魔王領の魔物の中には— 71 00:05:21,150 --> 00:05:24,160 集団で行動し 武器や魔法を使い— 72 00:05:24,160 --> 00:05:27,660 まるで人であるかのように 行動する者たちがいた 73 00:05:27,660 --> 00:05:31,670 人間たちは そうした特殊な 魔物たちを区別して— 74 00:05:31,670 --> 00:05:33,830 魔族と呼ぶことにした 75 00:05:33,830 --> 00:05:37,670 さながら知性があるかのように 振る舞う魔族だが— 76 00:05:37,670 --> 00:05:42,510 それらには多種多様な種族を含む この世界の人類と— 77 00:05:42,510 --> 00:05:45,510 決定的に異なるところがあった 78 00:05:45,510 --> 00:05:48,010 魔族は言葉を解さない 79 00:05:48,010 --> 00:05:53,620 そう 世界における唯一言語を 人類と共有していないのだ〉 80 00:05:53,620 --> 00:05:55,960 ま 魔族と話した!? 81 00:05:55,960 --> 00:05:59,460 そんなのありえないわ 魔族は言葉がわからないのよ! 82 00:05:59,460 --> 00:06:01,460 いったい どのような会話を? 83 00:06:01,460 --> 00:06:04,970 わ 私が話したのは 背がちっちゃくて— 84 00:06:04,970 --> 00:06:09,140 顔全部が犬みたいな 魔族だったんですけど 85 00:06:09,140 --> 00:06:13,640 山菜を採りに山に入ったとき ばったり鉢合わせして— 86 00:06:13,640 --> 00:06:16,480 思わず「助けて」って叫んだら— 87 00:06:16,480 --> 00:06:20,150 「お前は言葉がわかるのか」 って叫んで— 88 00:06:20,150 --> 00:06:22,480 向こうも驚いた様子で 89 00:06:22,480 --> 00:06:27,650 物見っていうんでしょうか そういうことをしてたみたいで 90 00:06:27,650 --> 00:06:29,660 で… その魔族が— 91 00:06:29,660 --> 00:06:33,490 「同じにおいを持つ者が 殺されるのを見るのは忍びない 92 00:06:33,490 --> 00:06:35,500 早く逃げよ」って 93 00:06:35,500 --> 00:06:37,830 魔族がそのようなことを? 94 00:06:37,830 --> 00:06:41,170 妖狼族を 逃がしたような者たちは— 95 00:06:41,170 --> 00:06:44,070 魔族全体から見れば ほんの一握りかもしれない 96 00:06:46,010 --> 00:06:48,010 だが たとえ一部であっても— 97 00:06:48,010 --> 00:06:49,940 魔族と意思疎通が できるようになれば— 98 00:06:49,940 --> 00:06:53,110 状況が大きく変わるかもしれない どういうこと? 99 00:06:53,110 --> 00:06:57,280 まさか 魔族と交渉して 奪われた地を取り返せるとでも? 100 00:06:57,280 --> 00:06:59,280 ハァ… 101 00:07:01,620 --> 00:07:04,620 そっちのほうへ 動いてくれればいいけど 102 00:07:04,620 --> 00:07:06,630 あ… 103 00:07:06,630 --> 00:07:10,630 今現在 人類側の国々は一丸となって— 104 00:07:10,630 --> 00:07:12,800 魔王領と対峙している 105 00:07:12,800 --> 00:07:15,470 それは魔族を人類の敵— 106 00:07:15,470 --> 00:07:18,810 決して相いれない存在と 捉えているからだ 107 00:07:18,810 --> 00:07:21,810 もし魔族側と 意思疎通ができるとわかれば— 108 00:07:21,810 --> 00:07:23,810 人類側の国の中で— 109 00:07:23,810 --> 00:07:26,650 魔族と手を組もうする者が 現れるかもしれない 110 00:07:26,650 --> 00:07:28,650 そんな… まさか 111 00:07:28,650 --> 00:07:30,980 俺はまだ全部を 把握してるわけじゃないが— 112 00:07:30,980 --> 00:07:35,490 この世界も俺がいた世界と同じで 国同士の争いはあるんだろ? 113 00:07:35,490 --> 00:07:37,660 はい 身近なところでは— 114 00:07:37,660 --> 00:07:40,490 我が国は西に隣接する アミドニア公国と— 115 00:07:40,490 --> 00:07:44,830 前王の頃より 争いの火種を抱えています 116 00:07:44,830 --> 00:07:47,170 魔王領の拡大を防ぐため— 117 00:07:47,170 --> 00:07:52,110 グラン・ケイオス帝国を筆頭に 今は皆 手を携えておりますが— 118 00:07:52,110 --> 00:07:56,280 人類側も決して 一枚岩ではありませんな 119 00:07:56,280 --> 00:07:59,450 う… そうね… 120 00:07:59,450 --> 00:08:01,450 ソーマの言うとおりだわ 121 00:08:11,290 --> 00:08:14,290 まぁ さっき俺が言ったのは— 122 00:08:14,290 --> 00:08:16,800 あくまでもそうした可能性の話だ 123 00:08:16,800 --> 00:08:20,300 何しろ魔族と 意思疎通ができるっていうのは— 124 00:08:20,300 --> 00:08:22,800 この世界を 揺るがしかねないことだからな 125 00:08:22,800 --> 00:08:25,970 用心するに越したことはない 126 00:08:25,970 --> 00:08:30,480 この件 外に漏れぬよう 気をつけねばなりませんな 127 00:08:30,480 --> 00:08:33,480 あぁ 128 00:08:33,480 --> 00:08:35,480 そして何より— 129 00:08:35,480 --> 00:08:38,990 我が国は全力で 君を保護しなければならない 130 00:08:38,990 --> 00:08:41,150 ほ… 保護ですか? 131 00:08:41,150 --> 00:08:44,160 あぁ 誇張なしに今の君は— 132 00:08:44,160 --> 00:08:46,660 俺なんかより よっぽど重要人物だ 133 00:08:46,660 --> 00:08:49,160 人類と魔族との関係を— 134 00:08:49,160 --> 00:08:51,600 一変させるかもしれない 存在だからね 135 00:08:51,600 --> 00:08:55,100 そんな… ウソ… ですよね? 136 00:08:59,940 --> 00:09:02,940 彼女には王族並みの 警護を付けたい 137 00:09:02,940 --> 00:09:05,450 頼めるかな? 承知しました 138 00:09:05,450 --> 00:09:07,450 しかし それだと— 139 00:09:07,450 --> 00:09:09,780 かえって 不審を招くのではないですかな 140 00:09:09,780 --> 00:09:12,620 あっ… (ルドウィン)確かに 141 00:09:12,620 --> 00:09:16,120 今のところ一介の平民にすぎぬ 彼女の周りに— 142 00:09:16,120 --> 00:09:20,960 仰々しく護衛を付ければ 何かあると思われるのは必定 143 00:09:20,960 --> 00:09:25,130 そうか… そこから 嗅ぎつけられる可能性もあるか 144 00:09:25,130 --> 00:09:27,130 ならばいっそ— 145 00:09:27,130 --> 00:09:29,470 王族として迎えてしまえば よいのではないですか 146 00:09:29,470 --> 00:09:31,970 えっ そんなことができるのか? 147 00:09:31,970 --> 00:09:36,980 はい いちばん手っ取り早いのは 陛下の養子になさることですが— 148 00:09:36,980 --> 00:09:40,650 これはまだ陛下が婚礼前なので 不可能でございます 149 00:09:40,650 --> 00:09:44,980 姫様との婚礼にも 1年以上 準備がいりますからな 150 00:09:44,980 --> 00:09:47,820 だってさ 私に振らないでよ! 151 00:09:47,820 --> 00:09:49,820 他には? 152 00:09:49,820 --> 00:09:52,490 陛下が側妃として 娶るという手もございます 153 00:09:52,490 --> 00:09:54,830 えっ… 側妃って この子をか? 154 00:09:54,830 --> 00:09:59,330 この国では 子供が 王位継承権を持つ正妃には— 155 00:09:59,330 --> 00:10:02,000 騎士階級以上の 身分が必要ですが— 156 00:10:02,000 --> 00:10:06,840 正妃でなければ問題ありません いや そこじゃなくて 157 00:10:06,840 --> 00:10:10,840 ちなみに 君いくつ? 10歳ですけど 158 00:10:10,840 --> 00:10:13,350 あぁ 許容範囲内ですな 159 00:10:13,350 --> 00:10:16,850 政略結婚では 例のない年齢でもありませんし 160 00:10:16,850 --> 00:10:21,350 ソーマ… 10歳はさすがに なんで俺が責められてるの!? 161 00:10:21,350 --> 00:10:24,190 っていうか 前王夫妻の養子でいいだろう 162 00:10:24,190 --> 00:10:27,860 ハァ… そういう手もございましたな 163 00:10:27,860 --> 00:10:29,860 それ いいわね! (2人)んっ? 164 00:10:29,860 --> 00:10:32,200 私 妹が欲しかったの 165 00:10:32,200 --> 00:10:34,370 ウフフ… わぁっ 166 00:10:34,370 --> 00:10:37,870 あ あの… そんなの困ります あっ 167 00:10:37,870 --> 00:10:41,040 わ 私には ちゃんと家族がいます 168 00:10:41,040 --> 00:10:45,380 お母さんとちっちゃい弟が 難民キャンプで待ってるんです! 169 00:10:45,380 --> 00:10:47,380 あっ… 170 00:10:47,380 --> 00:10:50,320 大丈夫 171 00:10:50,320 --> 00:10:52,320 養子って言っても— 172 00:10:52,320 --> 00:10:54,990 君を保護するための 方便みたいなものだから 173 00:10:54,990 --> 00:10:57,160 君が俺の妹になれば— 174 00:10:57,160 --> 00:11:00,160 お母さんや弟さんも 縁戚関係になるし— 175 00:11:00,160 --> 00:11:02,330 城で一緒に暮らしてもらって かまわない 176 00:11:02,330 --> 00:11:06,670 あ… あの… それなら わかりました 177 00:11:06,670 --> 00:11:09,000 うん マルクス 178 00:11:09,000 --> 00:11:12,840 養子の件はしばらく時間を置いて 改めて発表する 179 00:11:12,840 --> 00:11:15,510 急にこんな話を持ち出せば— 180 00:11:15,510 --> 00:11:19,010 何かあるに違いないと 勘ぐられるおそれがあるからな 181 00:11:19,010 --> 00:11:21,180 賢明なご判断かと 182 00:11:21,180 --> 00:11:24,180 だが 彼女の身柄は このまま保護したい 183 00:11:24,180 --> 00:11:29,520 城に留め置く理由として トモエ殿に しかるべき職を与えよと? 184 00:11:29,520 --> 00:11:32,190 そうだ ウーン… 185 00:11:32,190 --> 00:11:35,030 では 動物の言葉を話す才を見込んで— 186 00:11:35,030 --> 00:11:39,030 陛下の馬車を引く馬の世話係あたりで いかがでしょう 187 00:11:39,030 --> 00:11:41,030 名案だ それでいこう 188 00:11:41,030 --> 00:11:44,540 それでいいかな? はっ はい! 189 00:11:44,540 --> 00:11:48,840 うん ヘヘッ… 190 00:11:55,980 --> 00:12:08,330 ♩~ 191 00:12:08,330 --> 00:12:11,000 ねぇ… さっきから何してるの? 192 00:12:11,000 --> 00:12:13,500 見ればわかるだろ 縫い物だよ 193 00:12:13,500 --> 00:12:15,500 それはわかるけど— 194 00:12:15,500 --> 00:12:17,670 どうしてわざわざ 私の部屋でやってるのよ 195 00:12:17,670 --> 00:12:20,840 いや… 政務室 みんな仕事してるから— 196 00:12:20,840 --> 00:12:23,140 息抜きしようにも 落ち着かなくてさ 197 00:12:30,180 --> 00:12:33,190 いいかげん 父上の部屋譲ってもらって— 198 00:12:33,190 --> 00:12:36,190 自分の部屋にしなさいよ ウーン… 199 00:12:36,190 --> 00:12:38,860 けど 効率考えると— 200 00:12:38,860 --> 00:12:41,360 今のまま 政務室で 寝泊まりするのが— 201 00:12:41,360 --> 00:12:43,360 いいんだけどなぁ 202 00:12:43,360 --> 00:12:45,700 だからって なんで私の部屋で… 203 00:12:45,700 --> 00:12:48,370 そういえば トモエちゃんはどうしたんだ? 204 00:12:48,370 --> 00:12:53,140 あの子が来てから ずっとベッタリだったじゃないか 205 00:12:53,140 --> 00:12:57,480 最近は母上が気に入っちゃって なかなか離さないのよ 206 00:12:57,480 --> 00:13:00,150 まぁ 最初 戸惑ってたトモエちゃんも— 207 00:13:00,150 --> 00:13:02,650 「お母さんがもう一人 できたみたいだ」って— 208 00:13:02,650 --> 00:13:04,650 喜んでるからいいけど (ノック) 209 00:13:04,650 --> 00:13:06,650 いいわよ 入って 210 00:13:08,660 --> 00:13:11,990 (セリィナ)んっ… 211 00:13:11,990 --> 00:13:13,990 フフッ 212 00:13:16,000 --> 00:13:18,500 ちょっと! 変な気 回さないで! 213 00:13:21,170 --> 00:13:23,670 そうか! 戻ってきたか! 214 00:13:23,670 --> 00:13:26,670 はい すでに 応接の間でお待ちです 215 00:13:28,680 --> 00:13:31,180 行こう リーシア えっ… あ… 216 00:13:31,180 --> 00:13:33,350 えっ… え… ええっ!? 217 00:13:33,350 --> 00:13:35,550 ウフフ… (ドアの開閉音) 218 00:13:37,520 --> 00:13:41,350 ご苦労だったな で? 成果はどうだった? 219 00:13:41,350 --> 00:13:45,860 (ポンチョ)はい 王室専用の ワイバーンをお貸しいただいたので— 220 00:13:45,860 --> 00:13:49,700 思った以上に 早く 各地を回ることができました 221 00:13:49,700 --> 00:13:52,970 おかげで目当ての 食材のほとんどを— 222 00:13:52,970 --> 00:13:54,970 こうして集めることが 223 00:13:54,970 --> 00:13:57,970 ちょっと… それ 勇者のズタ袋じゃない 224 00:13:57,970 --> 00:14:01,640 あぁ 見た目以上に 大量に物が詰め込め— 225 00:14:01,640 --> 00:14:05,480 その上 入れた物が腐りにくいって 便利な袋だからな 226 00:14:05,480 --> 00:14:07,810 食材集めに ちょうどいいと思って貸した 227 00:14:07,810 --> 00:14:13,150 それ… 王家の至宝 勇者装備一式の一つなんだけど 228 00:14:13,150 --> 00:14:16,160 至宝よ 至宝… 229 00:14:16,160 --> 00:14:18,160 まぁ いいわ 230 00:14:18,160 --> 00:14:22,500 それで そうまでして食材を集めて 何をしようっていうの? 231 00:14:22,500 --> 00:14:26,830 何って… 少しばかり 国のためになること… かな 232 00:14:26,830 --> 00:14:28,830 はぁ? 233 00:14:31,840 --> 00:14:35,010 (ジュナ)エルフリーデン王国の皆さん こんにちは! 234 00:14:35,010 --> 00:14:37,010 こ… こんにちは 235 00:14:37,010 --> 00:14:41,180 この番組は パルナム城からの情報をお伝えする— 236 00:14:41,180 --> 00:14:46,350 王様のブリリアントなランチ 略して『王様のブリンチ』です 237 00:14:46,350 --> 00:14:49,190 司会は私 ジュナ・ドーマと 238 00:14:49,190 --> 00:14:53,460 ポンチョ・パナコッタで お送りするのです ハイ 239 00:14:53,460 --> 00:14:57,300 ポンチョさん なにもそこまで緊張しなくても 240 00:14:57,300 --> 00:15:01,300 な なにぶん こういうことに 慣れていませんもので 241 00:15:01,300 --> 00:15:04,800 ジュナ殿は実に 堂々としていますなぁ 242 00:15:04,800 --> 00:15:07,470 羨ましいです… ハイ 243 00:15:07,470 --> 00:15:10,810 私はよく お客様の前で歌っていますから 244 00:15:10,810 --> 00:15:13,150 パルナムにお越しの際には— 245 00:15:13,150 --> 00:15:17,320 私が働いているカフェ「ローレライ」を よろしくお願いしますね 246 00:15:17,320 --> 00:15:20,650 私 そこで時折歌っていますので 247 00:15:20,650 --> 00:15:23,160 露骨な宣伝を挟まないでください 248 00:15:23,160 --> 00:15:26,990 それでは 今回の番組の趣旨について— 249 00:15:26,990 --> 00:15:29,160 この方にご説明いただきましょう 250 00:15:29,160 --> 00:15:34,670 エ エルフリーデン第14代国王の ソーマ・カズヤ陛下です 251 00:15:34,670 --> 00:15:40,170 俺はまだ戴冠前だから 厳密には王じゃないんだけど… 252 00:15:40,170 --> 00:15:42,180 あぁ どうも 253 00:15:42,180 --> 00:15:45,510 現在 国王代理をやっている ソーマ・カズヤだ 254 00:15:45,510 --> 00:15:48,180 皆も知っているとおり— 255 00:15:48,180 --> 00:15:52,120 現在 この国は 食糧不足に陥っている 256 00:15:52,120 --> 00:15:55,620 為政者のトップとして こうした事態を招いたことを— 257 00:15:55,620 --> 00:15:57,790 国民に深くお詫びする 258 00:15:57,790 --> 00:15:59,790 あっ… 259 00:15:59,790 --> 00:16:02,130 (どよめき) 260 00:16:02,130 --> 00:16:06,300 今 早急に 食糧の増産計画を進めているが— 261 00:16:06,300 --> 00:16:08,470 それには時間がかかる 262 00:16:08,470 --> 00:16:12,640 今回の放送は 食糧不足が解決するまで— 263 00:16:12,640 --> 00:16:15,140 少しでも その手助けになるよう— 264 00:16:15,140 --> 00:16:18,640 この国では食べる習慣のない 食材の紹介と— 265 00:16:18,640 --> 00:16:22,150 調理法の公開を行うために 企画したものだ 266 00:16:22,150 --> 00:16:25,650 そして それら未知の食材が— 267 00:16:25,650 --> 00:16:28,150 実際に食べられることを 証明するため— 268 00:16:28,150 --> 00:16:30,990 実食を担当する者たちを用意した 269 00:16:30,990 --> 00:16:33,990 (3人)あ… フフフ… 270 00:16:33,990 --> 00:16:36,160 では 早速まいりましょう 271 00:16:36,160 --> 00:16:40,330 ポンチョさん 最初の食材は何ですか? は はい! 272 00:16:40,330 --> 00:16:42,530 最初の食材は… 273 00:16:44,500 --> 00:16:47,010 (3人)ひぃ! ま まま まさか— 274 00:16:47,010 --> 00:16:49,010 それを食べさせるつもりじゃ ないでしょうね? 275 00:16:49,010 --> 00:16:51,780 させるつもりだよ 276 00:16:51,780 --> 00:16:54,780 (アイーシャ)うぅ… ひぃ… う~っ 277 00:16:54,780 --> 00:16:57,450 まぁ 見た目がこんなですから— 278 00:16:57,450 --> 00:17:00,620 海辺の一部の地域でしか 食されてませんでしたが— 279 00:17:00,620 --> 00:17:02,620 おいしいものですよ 280 00:17:02,620 --> 00:17:05,290 ジュ… ジュナ殿はそれを 食べたことがあるのですか? 281 00:17:05,290 --> 00:17:09,960 はい 私の故郷では 普通に食べていましたよ 282 00:17:09,960 --> 00:17:18,470 ♩~ 283 00:17:18,470 --> 00:17:21,470 うぅ… ううっ 284 00:17:21,470 --> 00:17:36,990 ♩~ 285 00:17:36,990 --> 00:17:39,160 (揚げる音) 286 00:17:39,160 --> 00:17:42,660 んっ… なかなかいい匂いが してきましたな 287 00:17:47,170 --> 00:17:49,370 さぁ 食べてみてくれ 288 00:17:52,270 --> 00:17:54,270 あ… 289 00:17:58,280 --> 00:18:00,280 なにこれ! おいしい! 290 00:18:00,280 --> 00:18:02,280 えっ 291 00:18:04,280 --> 00:18:06,280 本当だ すごくおいしいです 292 00:18:08,290 --> 00:18:12,290 いや これはいけますな 手が止まりませんぞ 293 00:18:14,630 --> 00:18:18,460 私も1ついただいてもいいですか もちろん 294 00:18:18,460 --> 00:18:21,800 うん… (アイーシャ)うまい おいしいわね 295 00:18:21,800 --> 00:18:24,140 (ジュナ)ホントおいしいですね 296 00:18:24,140 --> 00:18:29,310 サクッとした衣の中から現れるタコが すごくジューシーです 297 00:18:29,310 --> 00:18:33,480 父ちゃん タコなら今日の網に たくさんかかってたな 298 00:18:33,480 --> 00:18:37,650 あぁ いつもなら捨てるとこだが いっちょ食ってみっか 299 00:18:37,650 --> 00:18:41,350 次の食材は こちらでございます 300 00:18:43,820 --> 00:18:46,660 これは… 木の根っこ? 301 00:18:46,660 --> 00:18:49,500 あんまり おいしそうじゃないですけど— 302 00:18:49,500 --> 00:18:51,760 本当に食べられるんですか? 303 00:18:51,760 --> 00:18:56,270 これはゴボウですな なんだ アイーシャは知ってたのか 304 00:18:56,270 --> 00:18:59,940 もしかしてあなた この根っこを 食べたことがあるの? 305 00:18:59,940 --> 00:19:03,280 森では食べられるものは すべて食べないと— 306 00:19:03,280 --> 00:19:06,580 生きてはいけませぬから そうなんだ… 307 00:19:09,120 --> 00:19:13,820 こっちには塩を こっちには砂糖 308 00:19:15,790 --> 00:19:17,790 よし 完成 309 00:19:21,790 --> 00:19:25,130 サックサクで塩味が効いて おいしいわね 310 00:19:25,130 --> 00:19:27,130 う~ん… 311 00:19:27,130 --> 00:19:30,640 噛みしめると出てくる油で 砂糖が溶け出し— 312 00:19:30,640 --> 00:19:34,470 甘さが口の中に ジュワッと広がりますね 313 00:19:34,470 --> 00:19:37,770 これ お母さんに 食べさせてあげたいな 314 00:19:39,810 --> 00:19:43,320 両方一緒に食べれば 甘じょっぱくておいしいですぞ 315 00:19:43,320 --> 00:19:46,150 陛下 おかわりはありませぬか? 316 00:19:46,150 --> 00:19:49,820 兄上… アイーシャは 元気にやっているようですな 317 00:19:49,820 --> 00:19:51,820 あ… あぁ… 318 00:19:51,820 --> 00:19:55,120 次は すでに調理済みのものを 用意いたしました 319 00:19:57,330 --> 00:19:59,330 (2人)えっ!? 320 00:20:01,500 --> 00:20:06,170 こ… これを食すのですか? も 森ではなんでも食べないと— 321 00:20:06,170 --> 00:20:08,170 生きていけないんじゃ なかったの? 322 00:20:08,170 --> 00:20:12,850 た… 確かにそう申しましたが さすがにこれは 323 00:20:12,850 --> 00:20:14,850 あっ (食べる音) 324 00:20:14,850 --> 00:20:17,180 (トモエ)う~ん おいしいです 325 00:20:17,180 --> 00:20:21,020 懐かしの味です 大イナゴの佃煮 326 00:20:21,020 --> 00:20:25,360 佃煮? これって佃煮なのか? あっ はい 327 00:20:25,360 --> 00:20:29,030 味つけはおもに ひしおみずと 砂糖でしてあります 328 00:20:29,030 --> 00:20:32,200 ひしおみず? ひしおみずとは— 329 00:20:32,200 --> 00:20:36,540 妖狼族たちが好んで用いる 調味料のことです 330 00:20:36,540 --> 00:20:41,040 妖狼族には 豆を塩漬けにして発酵させた— 331 00:20:41,040 --> 00:20:44,040 「まめびしお」なる 調味料があったのですが— 332 00:20:44,040 --> 00:20:47,550 その生成過程で生まれた 上澄みをくみ出し— 333 00:20:47,550 --> 00:20:50,820 熟成させたのが ひしおみずなのです 334 00:20:50,820 --> 00:20:56,160 どちらも この国にはない 独特な風味の調味料なのです ハイ 335 00:20:56,160 --> 00:20:59,160 《つまり まめびしおとは味噌のことで— 336 00:20:59,160 --> 00:21:01,560 ひしおみずは醤油ってことか》 337 00:21:03,500 --> 00:21:05,800 ソーマ… それ食べる気なの? 338 00:21:07,830 --> 00:21:09,830 ひぃっ… 339 00:21:14,510 --> 00:21:16,510 あっ…? 340 00:21:16,510 --> 00:21:19,350 えっ? ソーマったら泣いてるの? 341 00:21:19,350 --> 00:21:21,850 これが泣かずにいられるか 342 00:21:21,850 --> 00:21:25,350 これは… 俺の故郷の味なんだ 343 00:21:25,350 --> 00:21:27,690 ソーマの故郷の味… 344 00:21:27,690 --> 00:21:33,360 《あぁ… 噛みしめるたび 口の中に広がる懐かしい味 345 00:21:33,360 --> 00:21:36,860 この世界にも 醤油がある 味噌がある 346 00:21:36,860 --> 00:21:40,370 口になじんだ あの味を もう一度味わうことも— 347 00:21:40,370 --> 00:21:42,370 夢じゃないんだ》 348 00:21:44,370 --> 00:21:46,370 あの… 陛下 349 00:21:46,370 --> 00:21:49,040 感動されているところ 申し訳ないのですが— 350 00:21:49,300 --> 00:21:51,780 そろそろ次にいっても よろしいでしょうか? 351 00:21:52,980 --> 00:21:54,150 あっ… 352 00:21:55,100 --> 00:21:57,980 あぁ すまない 番組を続けてくれ 353 00:21:58,680 --> 00:22:01,150 ではポンチョさん 次の食材は? 354 00:22:02,380 --> 00:22:05,490 はい こちらでございます 355 00:22:05,900 --> 00:22:08,990 えっ!? うっ! あぁ… 356 00:22:08,990 --> 00:22:10,990