1 00:00:02,000 --> 00:00:05,670 《ソーマ:魔法が存在するせいで この世界の技術体系は— 2 00:00:05,960 --> 00:00:09,170 俺から見ると ちょっと おかしなことになっている 3 00:00:09,520 --> 00:00:11,840 例えば 戦艦アルベルト 4 00:00:12,520 --> 00:00:16,850 前国王の名を冠された 禁軍が所有する唯一の船 5 00:00:17,300 --> 00:00:18,850 全体的に見れば— 6 00:00:18,850 --> 00:00:22,180 産業革命にすら届いていない この世界の技術力で— 7 00:00:22,520 --> 00:00:25,520 こんな戦艦があるのは おかしいと思うかもしれない 8 00:00:25,960 --> 00:00:28,190 しかし たとえ鉄であっても— 9 00:00:28,440 --> 00:00:32,360 浮力を計算された形状であれば 水に浮かせることができる 10 00:00:32,900 --> 00:00:38,200 つまり 戦艦の外側だけなら 中世レベルの技術力でも造れたのだ 11 00:00:38,800 --> 00:00:41,700 それが産業革命以後まで 造られなかったのは— 12 00:00:41,980 --> 00:00:45,210 思い鉄の船を動かす 機関がなかったからだ 13 00:00:45,660 --> 00:00:47,380 しかし この世界には— 14 00:00:47,380 --> 00:00:50,880 鉄の船を牽引できるほど 強力な海竜類がいた 15 00:00:51,500 --> 00:00:54,050 彼らを調教し 引っ張ってもらうことで— 16 00:00:54,280 --> 00:00:56,050 遠洋航海も可能になる 17 00:00:56,680 --> 00:00:59,050 だから鉄の船が造られたのだ 18 00:00:59,880 --> 00:01:02,820 戦艦に搭載されている 大砲にしてもそうだ 19 00:01:03,400 --> 00:01:07,830 この世界には火薬がすでにある しかし火縄銃はない 20 00:01:08,640 --> 00:01:12,000 なまじ魔法が遠距離攻撃手段 として使えてしまうため— 21 00:01:12,280 --> 00:01:14,340 銃が発達しなかったのだ 22 00:01:14,740 --> 00:01:17,170 また 付与術式というものもあり— 23 00:01:17,540 --> 00:01:21,180 これは物体にさまざまな効果を 持った術式を付与することで— 24 00:01:21,560 --> 00:01:23,180 より強固にしたり— 25 00:01:23,180 --> 00:01:25,350 より切断力を上げたりできるのだ 26 00:01:25,350 --> 00:01:29,520 ただし 鉄砲はないものの 大砲は存在する 27 00:01:29,520 --> 00:01:31,850 これは水上では— 28 00:01:31,850 --> 00:01:35,520 なぜか水系以外の魔法が 大きく制限されてしまうため— 29 00:01:35,520 --> 00:01:39,360 艦船への攻撃手段として 大砲が発達したのだ 30 00:01:39,360 --> 00:01:44,200 結局 技術は需要があって 発達するものらしい 31 00:01:44,200 --> 00:01:48,040 こんなアンバランスな 技術体系を持つ世界で— 32 00:01:48,140 --> 00:01:51,640 俺は一人 土木事業を進めようとしていた》 33 00:03:22,010 --> 00:03:43,190 ♩~ 34 00:03:43,190 --> 00:03:46,530 (ハルバート)んっ… フゥ… 35 00:03:46,820 --> 00:03:49,020 ったく… なんで禁軍が— 36 00:03:49,020 --> 00:03:51,200 道路工事なんか やんなきゃなんねえんだ? 37 00:03:51,260 --> 00:03:52,970 (カエデ)そこ! サボらないのです! うっ 38 00:03:53,160 --> 00:03:56,140 無駄口たたいてないで キリキリ働くのですよ~! 39 00:03:56,380 --> 00:03:58,480 なぁカエデ… だめなのです! 40 00:03:58,880 --> 00:04:02,480 ハルは部下なのですよ ちゃんと現場監督と呼ぶのです! 41 00:04:02,640 --> 00:04:05,420 うっ… 監督 42 00:04:05,480 --> 00:04:08,320 これってホントに禁軍の仕事なのか? 43 00:04:08,320 --> 00:04:11,320 王都の失業者も 雇われているみたいですが— 44 00:04:11,320 --> 00:04:13,320 とても手が足らないのですよ 45 00:04:13,320 --> 00:04:17,000 何しろ新たに建設される 港湾都市を起点に— 46 00:04:17,000 --> 00:04:21,000 王国中に道路網を 張り巡らせる計画なのですから 47 00:04:21,000 --> 00:04:25,000 だからって普通 禁軍にこんなことさせるか? 48 00:04:25,000 --> 00:04:27,600 俺たちゃ国を守るのが仕事だぞ 49 00:04:30,010 --> 00:04:35,010 (ざわめき) 50 00:04:35,010 --> 00:04:39,020 アーン… 51 00:04:39,020 --> 00:04:41,020 うん! うまい! 52 00:04:41,020 --> 00:04:44,190 肉に絡めてあるソースが 甘辛くてイケるな! 53 00:04:44,190 --> 00:04:48,690 これは王様が考案した ショウガヤキという料理なのです 54 00:04:48,690 --> 00:04:53,970 あの王様 料理の才能だけは 認めざるをえないな 55 00:04:53,970 --> 00:04:58,140 難民として我が国に来た 妖狼族に居住区を与え— 56 00:04:58,140 --> 00:05:01,640 そこで作らせた 醤油やみりんという調味料が— 57 00:05:01,640 --> 00:05:03,640 使われているらしいのです 58 00:05:03,640 --> 00:05:06,640 妖狼族は そうした調味料の生産者として— 59 00:05:06,640 --> 00:05:08,810 この国で生きていくすべを得— 60 00:05:08,810 --> 00:05:11,980 私たちはこうして おいしい物が食べられる 61 00:05:11,980 --> 00:05:14,320 一石二鳥の施策なのです 62 00:05:14,320 --> 00:05:16,820 フン… 63 00:05:16,820 --> 00:05:20,330 それに生野菜が食べられるって こともすごいのです 64 00:05:20,330 --> 00:05:22,660 王都から道を繋いだ— 65 00:05:22,660 --> 00:05:26,000 ここから いちばん近い村で 用意させているのですよ 66 00:05:26,000 --> 00:05:30,340 兵站線を容易に維持できる 道の力は偉大なのです 67 00:05:30,340 --> 00:05:34,340 (ハルバート)造った道路が 早速 役に立っているのか 68 00:05:34,340 --> 00:05:36,340 この輸送力があれば— 69 00:05:36,340 --> 00:05:39,680 食糧問題の解決に 大きく寄与するはずなのです 70 00:05:39,680 --> 00:05:43,180 そうなのか? 流通がスムーズになれば— 71 00:05:43,180 --> 00:05:45,520 需給の不均衡が解消されて— 72 00:05:45,520 --> 00:05:48,520 多少なりとも食料品の価格が 下がるはずなのです 73 00:05:48,520 --> 00:05:51,460 そこまで考えてやっているのか あの王様は!? 74 00:05:51,460 --> 00:05:53,630 王様はすごい人なのですよ 75 00:05:53,630 --> 00:05:57,800 怖いくらい 先見の明がある人なのです 76 00:05:57,800 --> 00:06:00,300 食べ終わったら ハルは お昼寝ですか? 77 00:06:00,300 --> 00:06:02,300 そうだな 78 00:06:02,300 --> 00:06:06,140 能率が上がるからって 食後の睡眠は王様推しだしな 79 00:06:06,140 --> 00:06:08,970 (カエデ)王様が 異世界人ということもあって… 80 00:06:08,970 --> 00:06:12,140 あっ王様! それに姫様も! 81 00:06:12,140 --> 00:06:14,810 ハルバート 禁軍には慣れたか? 82 00:06:14,810 --> 00:06:18,980 はっ! 問題ありません! 硬いなぁ 83 00:06:18,980 --> 00:06:22,150 俺に食って掛かったときの 威勢はどうした? 84 00:06:22,150 --> 00:06:24,490 あのときは 申し訳ありませんでした! 85 00:06:24,490 --> 00:06:29,830 陛下に対し大変なご無礼を… 国王命令だ 敬語はやめてくれ 86 00:06:29,830 --> 00:06:33,000 あと「陛下」もな ソーマでいい 87 00:06:33,000 --> 00:06:35,170 あ… いえ… ですが 88 00:06:35,170 --> 00:06:38,340 ハル! 聞こえなかったのか? これは命令だ 89 00:06:38,340 --> 00:06:41,010 んっ… わかった… ソーマ 90 00:06:41,010 --> 00:06:43,010 それでいい 91 00:06:43,010 --> 00:06:46,340 ちょうど タメ口で話せる 同年代の男が欲しかったんだよ 92 00:06:46,340 --> 00:06:48,340 ヘヘッ 93 00:06:51,950 --> 00:06:55,790 (リーシア)道を造るのって こんなふうにするのね 94 00:06:55,790 --> 00:06:58,290 何度もその上を歩いてきたけど— 95 00:06:58,290 --> 00:07:00,790 道がどうやって 造られているかなんて— 96 00:07:00,790 --> 00:07:02,790 考えたこともなかったわ 97 00:07:02,790 --> 00:07:04,800 名目は視察だが— 98 00:07:04,800 --> 00:07:07,500 まぁ 勉強だと思って よく見ておいてくれ 99 00:07:09,630 --> 00:07:11,640 よっ… んっ 100 00:07:11,640 --> 00:07:14,140 あのドロドロしたものは なんなの? 101 00:07:14,140 --> 00:07:16,810 火山灰と石灰を 混ぜたものなのです 102 00:07:16,810 --> 00:07:18,810 俺のいた世界では— 103 00:07:18,810 --> 00:07:21,310 古代コンクリートって 呼んでいたものだ 104 00:07:21,310 --> 00:07:23,980 時間がたてば 固まる性質をもっている 105 00:07:23,980 --> 00:07:25,980 その強靭さは— 106 00:07:25,980 --> 00:07:29,650 あれが全力疾走しても ひび割れが生じないほどだ 107 00:07:29,650 --> 00:07:31,660 それはすごいわね 108 00:07:31,660 --> 00:07:33,660 そんなに硬いの? いや 109 00:07:33,660 --> 00:07:35,830 むしろ適度な しなやかさがあるから— 110 00:07:35,830 --> 00:07:37,830 加わる力を逃がせるんだ 111 00:07:37,830 --> 00:07:40,670 俺のいた世界には このコンクリートを使った— 112 00:07:40,670 --> 00:07:43,570 二千年以上前の 建物が残っていた 113 00:07:47,170 --> 00:07:51,110 道の両側に建ててある街灯は 王都と同じ物なの? 114 00:07:51,110 --> 00:07:53,950 (カエデ)はい 中に ヒカリゴケを入れて— 115 00:07:53,950 --> 00:07:56,280 暗くなると 点灯する仕組みなのです 116 00:07:56,280 --> 00:07:59,120 あと 街路樹として 植えてあるのは— 117 00:07:59,120 --> 00:08:02,620 神護の森原産の「退魔樹」だ 退魔樹? 118 00:08:02,620 --> 00:08:05,820 アイーシャ 説明を頼む (アイーシャ)はっ 119 00:08:07,960 --> 00:08:09,960 この退魔樹は— 120 00:08:09,960 --> 00:08:13,800 魔物や野生生物の嫌がる波動を 常に放出しているようなのです 121 00:08:13,800 --> 00:08:17,140 おそらく 大イノシシなどに 食い荒らされるのを— 122 00:08:17,140 --> 00:08:19,140 防ぐためなのでしょう 123 00:08:19,140 --> 00:08:22,970 神護の森では 集落の周りにこの退魔樹を植え— 124 00:08:22,970 --> 00:08:26,810 魔物や動物たちの侵入を 防ぐのに使っております 125 00:08:26,810 --> 00:08:29,310 簡易の結界みたいなものなのね 126 00:08:29,310 --> 00:08:31,980 まぁ あんまり密に植えると— 127 00:08:31,980 --> 00:08:34,490 生態系にどんな影響があるか わからないから— 128 00:08:34,490 --> 00:08:36,490 適度に間隔を開けて— 129 00:08:36,490 --> 00:08:40,490 野生動物が近寄りにくくする 程度にとどめてある 130 00:08:40,490 --> 00:08:44,000 どうして? 完全に防げたほうが いいんじゃないの? 131 00:08:44,000 --> 00:08:46,000 じゃあ リーシア 132 00:08:46,000 --> 00:08:49,330 季節ごとに狩り場を変える 灰色狼やレッドベアが— 133 00:08:49,330 --> 00:08:52,600 道のせいで移動できず その地にとどまり— 134 00:08:52,600 --> 00:08:56,270 エサがなくなって 家畜や人を 襲うようになったらどうする? 135 00:08:56,270 --> 00:08:58,280 んっ…? 136 00:08:58,280 --> 00:09:00,280 あるいは同じく 1か所にとどまって— 137 00:09:00,280 --> 00:09:03,610 その場のエサを 食い尽くした大ザルや大イノシシが— 138 00:09:03,610 --> 00:09:06,780 やむなく人里に下りてきて 田畑を食い荒らしたり— 139 00:09:06,780 --> 00:09:08,790 なんて事態になったら? 140 00:09:08,790 --> 00:09:12,960 絶対にやめたほうがいいのは わかったけど… 141 00:09:12,960 --> 00:09:14,960 なんでそんな具体的なの? 142 00:09:14,960 --> 00:09:19,800 害獣対策は 地方自治体が 共通に抱える問題だからな 143 00:09:19,800 --> 00:09:22,800 チホウ… ジチタイ? 144 00:09:22,800 --> 00:09:26,300 そこまで考え抜いているなんて さすが陛下なのですよ! 145 00:09:26,300 --> 00:09:29,640 (クイの鳴き声) 146 00:09:29,640 --> 00:09:31,640 (みんな)あっ… (クイの鳴き声) 147 00:09:31,640 --> 00:09:33,640 (クイの鳴き声) 148 00:09:33,640 --> 00:09:36,980 あれは? 伝書クイね 149 00:09:36,980 --> 00:09:40,490 クイという鳥は 帰巣本能があるだけでなく— 150 00:09:40,490 --> 00:09:43,820 飼い主が放つ波動を 遠くから感知できるのです 151 00:09:43,820 --> 00:09:46,660 なるほど… その習性を— 152 00:09:46,660 --> 00:09:49,560 遠距離の伝達手段として 使用しているわけか 153 00:09:51,500 --> 00:09:54,800 どうやら アイーシャへの手紙を 運んできたみたいね 154 00:09:58,000 --> 00:10:02,010 あっ… そんな! どうした? アイーシャ 155 00:10:02,010 --> 00:10:06,180 ダークエルフの里の長をしている 父上から連絡がきたんです 156 00:10:06,180 --> 00:10:10,350 昨夜 突如 神護の森で 大規模な地滑りが起きて— 157 00:10:10,350 --> 00:10:13,180 集落の半分ほどを 飲み込んでしまったと 158 00:10:13,180 --> 00:10:15,190 (みんな)えっ! 159 00:10:15,190 --> 00:10:19,020 ここのところ 神護の森では 長雨が続いていたそうです 160 00:10:19,020 --> 00:10:25,700 行方不明者… 多数… うぅ… 161 00:10:25,700 --> 00:10:29,700 ソーマ… んっ… 162 00:10:29,700 --> 00:10:31,700 おい! どうす… シッ! 163 00:10:31,700 --> 00:10:35,870 今 王様は考えてるのです 邪魔しちゃだめなのです 164 00:10:35,870 --> 00:10:37,880 カエデ あっ 165 00:10:37,880 --> 00:10:40,210 今ここには何人くらいいる? はっ! 166 00:10:40,210 --> 00:10:44,720 禁軍兵54名 土木建築ギルドからの出向技師4名 167 00:10:44,720 --> 00:10:48,550 うち 土系魔導士は 私を含め6名なのです! 168 00:10:48,550 --> 00:10:50,490 よし この部隊で— 169 00:10:50,490 --> 00:10:52,490 ダークエルフの里の救援に向かう (みんな)あっ! 170 00:10:52,490 --> 00:10:54,490 陛下! アイーシャ 171 00:10:54,490 --> 00:10:57,660 1対1なら 俺はアイーシャよりはるかに弱い 172 00:10:57,660 --> 00:11:01,170 だが 多くの人間を 動かせる立場にある 173 00:11:01,170 --> 00:11:03,170 だから任せろ 174 00:11:03,170 --> 00:11:05,500 救える命は救えるかぎり 救ってみせる 175 00:11:05,500 --> 00:11:08,510 うっ… うぅ… 176 00:11:08,510 --> 00:11:10,840 アイーシャ 泣くのはあとだ 177 00:11:10,840 --> 00:11:13,010 外部の人間である俺たちが— 178 00:11:13,010 --> 00:11:15,510 神護の森に入って 救援活動するには— 179 00:11:15,510 --> 00:11:17,520 お前がいてくれたほうがいい 180 00:11:17,520 --> 00:11:20,690 案内を頼むぞ クッ… はい! 181 00:11:20,690 --> 00:11:24,190 うん 災害救助は時間との勝負だ 182 00:11:24,190 --> 00:11:27,360 幸いここは 王都よりも神護の森に近い 183 00:11:27,360 --> 00:11:30,860 このまま現場に直行する かしこまりました! 184 00:11:30,860 --> 00:11:34,360 すぐに兵たちを用意させるのです 頼む 185 00:11:36,700 --> 00:11:40,540 リーシアは王都に戻って 救援部隊の派遣を要請してくれ 186 00:11:40,540 --> 00:11:44,880 そしてハクヤに言って救援物資を ダークエルフの里まで届けさせろ 187 00:11:44,880 --> 00:11:46,880 わかったわ 任せて 188 00:11:49,050 --> 00:11:52,480 アイーシャ ここから神護の森まで どれくらいかかる? 189 00:11:52,480 --> 00:11:56,820 早馬で半日 通常の行軍ペースですと どんなに急いでも— 190 00:11:56,820 --> 00:11:59,160 2日はかかります 2日!? 191 00:11:59,160 --> 00:12:02,990 発生が深夜だとすると すでに半日近くたってる 192 00:12:02,990 --> 00:12:07,330 どんなに急いでも 現場到着は発生から2日半 193 00:12:07,330 --> 00:12:11,170 72時間の壁まで 半日しかないのは厳しいな 194 00:12:11,170 --> 00:12:13,840 72時間の壁? 195 00:12:13,840 --> 00:12:17,680 こういう自然災害のとき 発生から丸3日— 196 00:12:17,680 --> 00:12:20,180 つまり72時間を過ぎると— 197 00:12:20,180 --> 00:12:22,680 要救助者の死亡率が 跳ね上がるんだ 198 00:12:22,680 --> 00:12:25,520 なら! さっさと神護の森に向かおうぜ! 199 00:12:25,520 --> 00:12:29,690 わかってる だが通常の行軍だと 時間がかかりすぎる 200 00:12:29,690 --> 00:12:33,690 一瞬で大勢を別の場所に 移動させる魔法とかないのか? 201 00:12:33,690 --> 00:12:36,360 ねえよ! そんなのがあれば— 202 00:12:36,360 --> 00:12:39,860 そもそも汗水たらして 道路なんか造る必要ないだろ 203 00:12:39,860 --> 00:12:42,030 んっ… クソ 204 00:12:42,030 --> 00:12:45,370 (荷馬車の音) 何か他に移動手段は… 205 00:12:45,370 --> 00:12:47,370 あっ (荷馬車の音) 206 00:12:47,370 --> 00:12:49,370 (荷馬車の音) 207 00:12:49,370 --> 00:12:51,980 あっ! (荷馬車の音) 208 00:12:51,980 --> 00:13:13,780 ♩~ 209 00:13:20,340 --> 00:13:25,840 ♩~ 210 00:13:25,840 --> 00:13:28,850 王よ お初にお目にかかります 211 00:13:28,850 --> 00:13:34,350 ダークエルフの長でアイーシャの父 ボーダン・ウドガルドと申します 212 00:13:34,350 --> 00:13:36,520 堅苦しい挨拶は抜きにしよう 213 00:13:36,520 --> 00:13:40,020 それよりも今は 救助が先決だ 214 00:13:40,020 --> 00:13:44,360 とりあえず手近の禁軍兵士を 50名ほど連れてきた 215 00:13:44,360 --> 00:13:48,870 数日後には救援物資を持った 第2陣も到着するはずだ 216 00:13:48,870 --> 00:13:52,470 まずは状況を説明してくれ はい 217 00:13:52,470 --> 00:13:56,810 地滑りを起こしたのは この集落の東側にある斜面で— 218 00:13:56,810 --> 00:14:01,480 すでに100名以上の 死傷者が出ています 219 00:14:01,480 --> 00:14:04,820 行方不明者もまだ40名以上 220 00:14:04,820 --> 00:14:07,990 なら その行方不明者の リストを作成してくれ 221 00:14:07,990 --> 00:14:10,820 安否確認がとれた順に 消していけば— 222 00:14:10,820 --> 00:14:14,990 取りこぼしがない わかりました すぐに手配します 223 00:14:14,990 --> 00:14:18,160 それと 人手を割いて 山を見張らせてくれ 224 00:14:18,160 --> 00:14:20,500 ちょっとでも山が動いたり— 225 00:14:20,500 --> 00:14:22,830 変な音がしたりしたら 報告させるんだ 226 00:14:22,830 --> 00:14:26,500 救助中に再度崩れたら シャレにならないからな 227 00:14:26,500 --> 00:14:30,000 陛下 その任 私にお与えください 228 00:14:32,180 --> 00:14:34,180 我が娘は幼いころより— 229 00:14:34,180 --> 00:14:37,680 神護の森を遊び場とし よく知悉しております 230 00:14:37,680 --> 00:14:40,520 任せて心配はないかと 231 00:14:40,520 --> 00:14:42,520 かつてお前と一緒に— 232 00:14:42,520 --> 00:14:45,020 森の中を駆け回っていた 連中がいるだろう 233 00:14:45,020 --> 00:14:48,860 その者たちなら お前と同じくらい 森に詳しいはずだ 234 00:14:48,860 --> 00:14:50,800 声をかけて連れていけ 235 00:14:50,800 --> 00:14:54,800 はっ 承知しました! 頼んだぞ アイーシャ 236 00:14:54,800 --> 00:14:57,640 ただし 決してムチャはするなよ 237 00:14:57,640 --> 00:15:02,310 これより 行方不明者の 捜索活動を開始する! 238 00:15:02,310 --> 00:15:06,140 耳を澄まし 土の中で助けを求める声を聞き— 239 00:15:06,140 --> 00:15:08,650 慎重に彼らを救助せよ! 240 00:15:09,320 --> 00:15:12,320 道路工事で培った 穴掘りスキルの見せ場だぞ! 241 00:15:12,320 --> 00:15:14,320 んっ… 242 00:15:14,320 --> 00:15:16,320 だが絶対 無理はするな 243 00:15:16,320 --> 00:15:20,320 また崩れそうだと思ったら 救助中であっても退避しろ 244 00:15:20,320 --> 00:15:24,160 救助する側には一人の犠牲者を 出すことも許されん! 245 00:15:24,160 --> 00:15:26,660 いいな! (みんな)はっ! 246 00:15:26,660 --> 00:15:35,010 ♩~ 247 00:15:35,010 --> 00:15:39,010 あっ… 声が聞こえた えっ? あっ 248 00:15:41,510 --> 00:15:44,180 この太い木の下だ まだ息があるぞ! 249 00:15:44,180 --> 00:15:46,180 えぇ? 250 00:15:46,180 --> 00:15:49,350 声なんて聞こえな… いるんだよ いいから掘れ! 251 00:15:49,350 --> 00:15:52,650 んっ… んっ… んっ 252 00:15:54,630 --> 00:15:56,960 んっ… あっ… マジかよ! 253 00:15:56,960 --> 00:16:00,300 よっ! んんっ…! 254 00:16:00,300 --> 00:16:03,300 くっ… 255 00:16:03,300 --> 00:16:05,300 んんっ… 256 00:16:11,480 --> 00:16:14,980 ハァ… よくあそこに 埋まってるってわかったな 257 00:16:14,980 --> 00:16:17,150 これが教えてくれたんだ 258 00:16:17,150 --> 00:16:21,850 それは… ネズミか? 木彫りの… な 259 00:16:28,330 --> 00:16:32,000 コイツを操って 人間が入り込めないような所を— 260 00:16:32,000 --> 00:16:34,500 あちこち探ってるんだ そうか 261 00:16:34,500 --> 00:16:37,670 それがうわさの リビングなんとかって能力か 262 00:16:37,670 --> 00:16:40,170 あぁ ダンジョンでの探索用に— 263 00:16:40,170 --> 00:16:42,340 いくつか試作品を 作ってたんだが— 264 00:16:42,340 --> 00:16:44,510 こんな所で役に立つな… ウッ! 265 00:16:44,510 --> 00:16:46,510 あっ どうした? 266 00:16:46,510 --> 00:16:48,680 ウッ… ウウッ! オエッ… 267 00:16:48,680 --> 00:16:51,280 オエェ… おい! 大丈夫かよ!? 268 00:16:51,280 --> 00:16:53,280 ゴホッ ゴホ… なんで急に 269 00:16:53,280 --> 00:16:55,450 あぁ… 悪い 270 00:16:55,450 --> 00:16:59,460 ハァ… 捜索中の 木彫りネズミの1匹が— 271 00:16:59,460 --> 00:17:03,130 損壊の激しい遺体を 急に見つけたもんだから 272 00:17:03,130 --> 00:17:07,130 一目見ただけで遺体ってわかる 状態だったってことか 273 00:17:07,130 --> 00:17:09,130 (2人)ハァ… 274 00:17:09,130 --> 00:17:13,470 そうか… 行方不明者が 全員見つかったか 275 00:17:13,470 --> 00:17:15,640 (ボーダン)残念ながら— 276 00:17:15,640 --> 00:17:18,140 冷たいむくろとなった者も おりますが— 277 00:17:18,140 --> 00:17:20,480 陛下が 駆けつけてくださらなければ— 278 00:17:20,480 --> 00:17:22,810 その数は もっと多くなっていたはず 279 00:17:22,810 --> 00:17:27,150 ダークエルフの長として 改めてお礼申し上げます 280 00:17:27,150 --> 00:17:29,650 んっ… (アイーシャ)陛下! 父上! 281 00:17:29,650 --> 00:17:31,820 あっ 282 00:17:31,820 --> 00:17:36,160 王都から姫様とともに 救援の第2陣が到着しました! 283 00:17:36,160 --> 00:17:38,160 来たか! 284 00:17:38,160 --> 00:17:40,560 ≪もう… 遅い (2人)あっ? 285 00:17:44,340 --> 00:17:47,840 ウゥ… 286 00:17:50,940 --> 00:17:53,780 確かに捜索には間に合わなかった 287 00:17:53,780 --> 00:17:57,110 だが 救援というのは むしろ ここからが本番だ 288 00:17:57,110 --> 00:18:02,620 負傷者の手当て 土砂の除去 仮設住宅の建設 289 00:18:02,620 --> 00:18:04,960 やるべきことは いくらでもある 290 00:18:04,960 --> 00:18:09,130 だが… 死んだ者は もう帰ってこない 291 00:18:09,130 --> 00:18:12,300 あっ… よさんか ロブトール! 292 00:18:12,300 --> 00:18:16,300 この者は 私の弟で ロブトールと申します 293 00:18:16,300 --> 00:18:18,800 この災害で妻を亡くし— 294 00:18:18,800 --> 00:18:23,470 一人娘は いまだ生死の境を さまよっておりまして 295 00:18:23,470 --> 00:18:25,810 いささか 取り乱しておるようですが— 296 00:18:25,810 --> 00:18:28,980 なにとぞ ご容赦を いや いい 297 00:18:28,980 --> 00:18:32,820 王よ! 私は森を守ってきたつもりです! 298 00:18:32,820 --> 00:18:36,650 なのに なぜ… なぜ森は我が家族を! 299 00:18:36,650 --> 00:18:38,660 ロブトール! あっ… 300 00:18:38,660 --> 00:18:40,990 今は誰を責めるときでもない 301 00:18:40,990 --> 00:18:46,000 もちろん お前自身もだ ウッ… 302 00:18:46,000 --> 00:18:48,670 今は妻の死を悼んでやれ 303 00:18:48,670 --> 00:18:52,940 そして 娘の魂が 現世にとどまるよう祈れ 304 00:18:52,940 --> 00:19:03,040 (泣き声) 305 00:19:09,120 --> 00:19:11,960 叔父上は 間伐に反対していたのです 306 00:19:11,960 --> 00:19:14,460 森の守護者であるダークエルフが— 307 00:19:14,460 --> 00:19:17,630 不要に木々を伐採するなど とんでもないことだと 308 00:19:17,630 --> 00:19:20,130 そうか それで… 309 00:19:20,130 --> 00:19:23,800 もし叔父上が もっと間伐に協力的であれば— 310 00:19:23,800 --> 00:19:26,140 叔父上の家族は 助かったのでしょうか? 311 00:19:26,140 --> 00:19:30,470 それは… わからない 312 00:19:30,470 --> 00:19:33,310 確かに適度な間伐をして 下草を育て— 313 00:19:33,310 --> 00:19:35,810 土の保水力を高めていれば— 314 00:19:35,810 --> 00:19:38,980 土砂崩れが起きにくい 環境にすることはできる 315 00:19:38,980 --> 00:19:42,820 だがそれは あくまでも起きにくくするだけだ 316 00:19:42,820 --> 00:19:45,660 今回みたいな長雨が原因だった場合— 317 00:19:45,660 --> 00:19:47,830 どこで起こってもおかしくない 318 00:19:47,830 --> 00:19:51,160 それでは ただ運が悪かっただけだと? 319 00:19:51,160 --> 00:19:54,500 土砂崩れの 発生箇所に関してはそうだ 320 00:19:54,500 --> 00:19:58,170 しかし 間伐は 常に森の中での作業になる 321 00:19:58,170 --> 00:20:00,500 「異様な音が聞こえる」 322 00:20:00,500 --> 00:20:02,840 「森が動いているように 見える」などの— 323 00:20:02,840 --> 00:20:05,510 土砂崩れの前兆に 気付きやすいのは確かだ 324 00:20:05,510 --> 00:20:09,680 気付けたなら対策も立てられるし 避難だってできただろう 325 00:20:09,680 --> 00:20:13,350 「森を守る」と言えば 聞こえはいいが— 326 00:20:13,350 --> 00:20:16,690 守っているという 意識自体が間違いだ 327 00:20:16,690 --> 00:20:19,860 自然は人に守られるほど 弱くはない 328 00:20:19,860 --> 00:20:23,030 自然を破壊するのが人のエゴなら— 329 00:20:23,030 --> 00:20:25,530 守ろうとするのも またエゴなんだ 330 00:20:25,530 --> 00:20:29,870 本来なら破壊と再生を 繰り返すはずの自然に— 331 00:20:29,870 --> 00:20:33,540 人の都合のいい状態のままで いてもらうわけだからな 332 00:20:33,540 --> 00:20:37,370 人にできるのは 間伐などで手を加え— 333 00:20:37,370 --> 00:20:41,170 森を共存可能な状態で 維持していくことだけだ 334 00:20:43,210 --> 00:21:00,500 ♩~ 335 00:21:00,500 --> 00:21:04,330 今回 私は何もできなかったわね 336 00:21:04,330 --> 00:21:07,170 救援部隊を 呼びにいってくれただろ 337 00:21:07,170 --> 00:21:09,670 みんな全力を尽くしたさ 338 00:21:09,670 --> 00:21:14,010 むしろ… 何もできなかったのは 俺のほうだ 339 00:21:14,010 --> 00:21:17,110 そんな… 大活躍だったって聞いたわよ 340 00:21:19,180 --> 00:21:21,690 俺の立場は国王だ 341 00:21:21,690 --> 00:21:25,190 有事の際 現場で指揮を執るのは 王の仕事じゃない 342 00:21:25,560 --> 00:21:30,360 王の仕事は 有事が起こる前に 事前準備をしておくことだ 343 00:21:30,960 --> 00:21:32,860 俺は それを怠った 344 00:21:33,020 --> 00:21:35,580 何を言ってるの? ソーマ あなたは… 345 00:21:36,100 --> 00:21:39,700 禁軍の救援部隊としての 運用はうまくできたと思う 346 00:21:40,220 --> 00:21:42,710 だけど それ以上に 至らなかった点が多い 347 00:21:43,360 --> 00:21:46,540 情報伝達手段 長距離輸送手段 348 00:21:46,900 --> 00:21:51,480 救援物資の各地方での備蓄 救援隊に付属する医療チーム 349 00:21:51,480 --> 00:21:55,150 何もかもが足りなかった… 350 00:21:55,150 --> 00:21:58,320 食糧難と三公の問題ばかりに 目がいって— 351 00:21:58,840 --> 00:22:00,490 これらの整備を怠った 352 00:22:01,600 --> 00:22:03,090 ソーマ… 353 00:22:03,090 --> 00:22:05,090