1 00:00:12,677 --> 00:00:16,504 《ソーマ:魔法が存在するせいで この世界の技術体系は— 2 00:00:16,806 --> 00:00:20,153 俺から見ると ちょっと おかしなことになっている 3 00:00:20,518 --> 00:00:22,937 例えば 戦艦アルベルト 4 00:00:23,646 --> 00:00:28,161 前国王の名を冠された 禁軍が所有する唯一の船 5 00:00:28,630 --> 00:00:30,247 全体的に見れば— 6 00:00:30,247 --> 00:00:33,719 産業革命にすら届いていない この世界の技術力で— 7 00:00:34,073 --> 00:00:37,201 こんな戦艦があるのは おかしいと思うかもしれない 8 00:00:37,660 --> 00:00:39,985 しかし たとえ鉄であっても— 9 00:00:40,246 --> 00:00:44,334 浮力を計算された形状であれば 水に浮かせることができる 10 00:00:44,897 --> 00:00:50,423 つまり 戦艦の外側だけなら 中世レベルの技術力でも造れたのだ 11 00:00:51,049 --> 00:00:54,072 それが産業革命以後まで 造られなかったのは— 12 00:00:54,364 --> 00:00:57,732 思い鉄の船を動かす 機関がなかったからだ 13 00:00:58,202 --> 00:00:59,995 しかし この世界には— 14 00:00:59,995 --> 00:01:03,645 鉄の船を牽引できるほど 強力な海竜類がいた 15 00:01:04,291 --> 00:01:06,950 彼らを調教し 引っ張ってもらうことで— 16 00:01:07,190 --> 00:01:09,035 遠洋航海も可能になる 17 00:01:09,692 --> 00:01:12,163 だから鉄の船が造られたのだ 18 00:01:13,029 --> 00:01:16,095 戦艦に搭載されている 大砲にしてもそうだ 19 00:01:16,699 --> 00:01:21,318 この世界には火薬がすでにある しかし火縄銃はない 20 00:01:22,163 --> 00:01:25,667 なまじ魔法が遠距離攻撃手段 として使えてしまうため— 21 00:01:25,959 --> 00:01:28,107 銃が発達しなかったのだ 22 00:01:28,524 --> 00:01:31,057 また 付与術式というものもあり— 23 00:01:31,443 --> 00:01:35,239 これは物体にさまざまな効果を 持った術式を付与することで— 24 00:01:35,635 --> 00:01:37,324 より強固にしたり— 25 00:01:37,324 --> 00:01:39,587 より切断力を上げたりできるのだ 26 00:01:39,587 --> 00:01:43,935 ただし 鉄砲はないものの 大砲は存在する 27 00:01:43,935 --> 00:01:46,364 これは水上では— 28 00:01:46,364 --> 00:01:50,191 なぜか水系以外の魔法が 大きく制限されてしまうため— 29 00:01:50,191 --> 00:01:54,195 艦船への攻撃手段として 大砲が発達したのだ 30 00:01:54,195 --> 00:01:59,242 結局 技術は需要があって 発達するものらしい 31 00:01:59,242 --> 00:02:03,246 こんなアンバランスな 技術体系を持つ世界で— 32 00:02:03,350 --> 00:02:07,000 俺は一人 土木事業を進めようとしていた》 33 00:03:41,229 --> 00:04:03,314 ♩~ 34 00:04:03,314 --> 00:04:06,796 (ハルバート)んっ… フゥ… 35 00:04:07,099 --> 00:04:09,393 ったく… なんで禁軍が— 36 00:04:09,393 --> 00:04:11,666 道路工事なんか やんなきゃなんねえんだ? 37 00:04:11,728 --> 00:04:13,512 (カエデ)そこ! サボらないのです! うっ 38 00:04:13,710 --> 00:04:16,817 無駄口たたいてないで キリキリ働くのですよ~! 39 00:04:17,067 --> 00:04:19,257 なぁカエデ… だめなのです! 40 00:04:19,674 --> 00:04:23,428 ハルは部下なのですよ ちゃんと現場監督と呼ぶのです! 41 00:04:23,595 --> 00:04:26,493 うっ… 監督 42 00:04:26,556 --> 00:04:29,517 これってホントに禁軍の仕事なのか? 43 00:04:29,517 --> 00:04:32,645 王都の失業者も 雇われているみたいですが— 44 00:04:32,645 --> 00:04:34,731 とても手が足らないのですよ 45 00:04:34,731 --> 00:04:38,568 何しろ新たに建設される 港湾都市を起点に— 46 00:04:38,568 --> 00:04:42,739 王国中に道路網を 張り巡らせる計画なのですから 47 00:04:53,581 --> 00:04:57,751 だからって普通 禁軍にこんなことさせるか? 48 00:04:57,751 --> 00:05:00,463 俺たちゃ国を守るのが仕事だぞ 49 00:05:02,975 --> 00:05:08,189 (ざわめき) 50 00:05:08,189 --> 00:05:12,370 アーン… 51 00:05:12,370 --> 00:05:14,456 うん! うまい! 52 00:05:14,456 --> 00:05:17,761 肉に絡めてあるソースが 甘辛くてイケるな! 53 00:05:17,761 --> 00:05:22,453 これは王様が考案した ショウガヤキという料理なのです 54 00:05:22,453 --> 00:05:27,959 あの王様 料理の才能だけは 認めざるをえないな 55 00:05:27,959 --> 00:05:32,307 難民として我が国に来た 妖狼族に居住区を与え— 56 00:05:32,307 --> 00:05:35,956 そこで作らせた 醤油やみりんという調味料が— 57 00:05:35,956 --> 00:05:38,042 使われているらしいのです 58 00:05:38,042 --> 00:05:41,170 妖狼族は そうした調味料の生産者として— 59 00:05:41,170 --> 00:05:43,433 この国で生きていくすべを得— 60 00:05:43,433 --> 00:05:46,738 私たちはこうして おいしい物が食べられる 61 00:05:46,738 --> 00:05:49,178 一石二鳥の施策なのです 62 00:05:49,178 --> 00:05:51,785 フン… 63 00:05:51,785 --> 00:05:55,445 それに生野菜が食べられるって こともすごいのです 64 00:05:55,445 --> 00:05:57,874 王都から道を繋いだ— 65 00:05:57,874 --> 00:06:01,357 ここから いちばん近い村で 用意させているのですよ 66 00:06:01,357 --> 00:06:05,882 兵站線を容易に維持できる 道の力は偉大なのです 67 00:06:05,882 --> 00:06:10,053 (ハルバート)造った道路が 早速 役に立っているのか 68 00:06:10,053 --> 00:06:12,138 この輸送力があれば— 69 00:06:12,138 --> 00:06:15,621 食糧問題の解決に 大きく寄与するはずなのです 70 00:06:15,621 --> 00:06:19,271 そうなのか? 流通がスムーズになれば— 71 00:06:19,271 --> 00:06:21,710 需給の不均衡が解消されて— 72 00:06:21,710 --> 00:06:24,839 多少なりとも食料品の価格が 下がるはずなのです 73 00:06:24,839 --> 00:06:27,904 そこまで考えてやっているのか あの王様は!? 74 00:06:27,904 --> 00:06:30,167 王様はすごい人なのですよ 75 00:06:30,167 --> 00:06:34,515 怖いくらい 先見の明がある人なのです 76 00:06:34,515 --> 00:06:37,122 食べ終わったら ハルは お昼寝ですか? 77 00:06:37,122 --> 00:06:39,207 そうだな 78 00:06:39,207 --> 00:06:43,211 能率が上がるからって 食後の睡眠は王様推しだしな 79 00:06:43,211 --> 00:06:46,162 (カエデ)王様が 異世界人ということもあって… 80 00:06:46,162 --> 00:06:49,467 あっ王様! それに姫様も! 81 00:06:49,467 --> 00:06:52,251 ハルバート 禁軍には慣れたか? 82 00:06:52,251 --> 00:06:56,599 はっ! 問題ありません! 硬いなぁ 83 00:06:56,599 --> 00:06:59,905 俺に食って掛かったときの 威勢はどうした? 84 00:06:59,905 --> 00:07:02,345 あのときは 申し訳ありませんでした! 85 00:07:02,345 --> 00:07:07,913 陛下に対し大変なご無礼を… 国王命令だ 敬語はやめてくれ 86 00:07:07,913 --> 00:07:11,218 あと「陛下」もな ソーマでいい 87 00:07:11,218 --> 00:07:13,481 あ… いえ… ですが 88 00:07:13,481 --> 00:07:16,786 ハル! 聞こえなかったのか? これは命令だ 89 00:07:16,786 --> 00:07:19,570 んっ… わかった… ソーマ 90 00:07:19,570 --> 00:07:21,656 それでいい 91 00:07:21,656 --> 00:07:25,128 ちょうど タメ口で話せる 同年代の男が欲しかったんだよ 92 00:07:25,128 --> 00:07:27,213 ヘヘッ 93 00:07:30,978 --> 00:07:34,982 (リーシア)道を造るのって こんなふうにするのね 94 00:07:34,982 --> 00:07:37,588 何度もその上を歩いてきたけど— 95 00:07:37,588 --> 00:07:40,195 道がどうやって 造られているかなんて— 96 00:07:40,195 --> 00:07:42,281 考えたこともなかったわ 97 00:07:42,281 --> 00:07:44,376 名目は視察だが— 98 00:07:44,376 --> 00:07:47,192 まぁ 勉強だと思って よく見ておいてくれ 99 00:07:49,413 --> 00:07:51,509 よっ… んっ 100 00:07:51,509 --> 00:07:54,115 あのドロドロしたものは なんなの? 101 00:07:54,115 --> 00:07:56,899 火山灰と石灰を 混ぜたものなのです 102 00:07:56,899 --> 00:07:58,985 俺のいた世界では— 103 00:07:58,985 --> 00:08:01,592 古代コンクリートって 呼んでいたものだ 104 00:08:01,592 --> 00:08:04,376 時間がたてば 固まる性質をもっている 105 00:08:04,376 --> 00:08:06,461 その強靭さは— 106 00:08:06,461 --> 00:08:10,288 あれが全力疾走しても ひび割れが生じないほどだ 107 00:08:10,288 --> 00:08:12,384 それはすごいわね 108 00:08:12,384 --> 00:08:14,469 そんなに硬いの? いや 109 00:08:14,469 --> 00:08:16,732 むしろ適度な しなやかさがあるから— 110 00:08:16,732 --> 00:08:18,817 加わる力を逃がせるんだ 111 00:08:18,817 --> 00:08:21,778 俺のいた世界には このコンクリートを使った— 112 00:08:21,778 --> 00:08:24,802 二千年以上前の 建物が残っていた 113 00:08:28,556 --> 00:08:32,664 道の両側に建ててある街灯は 王都と同じ物なの? 114 00:08:32,664 --> 00:08:35,626 (カエデ)はい 中に ヒカリゴケを入れて— 115 00:08:35,626 --> 00:08:38,055 暗くなると 点灯する仕組みなのです 116 00:08:38,055 --> 00:08:41,016 あと 街路樹として 植えてあるのは— 117 00:08:41,016 --> 00:08:44,666 神護の森原産の「退魔樹」だ 退魔樹? 118 00:08:44,666 --> 00:08:48,003 アイーシャ 説明を頼む (アイーシャ)はっ 119 00:08:50,234 --> 00:08:52,319 この退魔樹は— 120 00:08:52,319 --> 00:08:56,323 魔物や野生生物の嫌がる波動を 常に放出しているようなのです 121 00:08:56,323 --> 00:08:59,806 おそらく 大イノシシなどに 食い荒らされるのを— 122 00:08:59,806 --> 00:09:01,891 防ぐためなのでしょう 123 00:09:01,891 --> 00:09:05,885 神護の森では 集落の周りにこの退魔樹を植え— 124 00:09:05,885 --> 00:09:09,889 魔物や動物たちの侵入を 防ぐのに使っております 125 00:09:09,889 --> 00:09:12,496 簡易の結界みたいなものなのね 126 00:09:12,496 --> 00:09:15,280 まぁ あんまり密に植えると— 127 00:09:15,280 --> 00:09:17,897 生態系にどんな影響があるか わからないから— 128 00:09:17,897 --> 00:09:19,982 適度に間隔を開けて— 129 00:09:19,982 --> 00:09:24,153 野生動物が近寄りにくくする 程度にとどめてある 130 00:09:24,153 --> 00:09:27,813 どうして? 完全に防げたほうが いいんじゃないの? 131 00:09:27,813 --> 00:09:29,899 じゃあ リーシア 132 00:09:29,899 --> 00:09:33,371 季節ごとに狩り場を変える 灰色狼やレッドベアが— 133 00:09:33,371 --> 00:09:36,781 道のせいで移動できず その地にとどまり— 134 00:09:36,781 --> 00:09:40,607 エサがなくなって 家畜や人を 襲うようになったらどうする? 135 00:09:40,607 --> 00:09:42,703 んっ…? 136 00:09:42,703 --> 00:09:44,789 あるいは同じく 1か所にとどまって— 137 00:09:44,789 --> 00:09:48,261 その場のエサを 食い尽くした大ザルや大イノシシが— 138 00:09:48,261 --> 00:09:51,566 やむなく人里に下りてきて 田畑を食い荒らしたり— 139 00:09:51,566 --> 00:09:53,662 なんて事態になったら? 140 00:09:53,662 --> 00:09:58,010 絶対にやめたほうがいいのは わかったけど… 141 00:09:58,010 --> 00:10:00,095 なんでそんな具体的なの? 142 00:10:00,095 --> 00:10:05,142 害獣対策は 地方自治体が 共通に抱える問題だからな 143 00:10:05,142 --> 00:10:08,270 チホウ… ジチタイ? 144 00:10:08,270 --> 00:10:11,920 そこまで考え抜いているなんて さすが陛下なのですよ! 145 00:10:11,920 --> 00:10:15,402 (クイの鳴き声) 146 00:10:15,402 --> 00:10:17,488 (みんな)あっ… (クイの鳴き声) 147 00:10:17,488 --> 00:10:19,573 (クイの鳴き声) 148 00:10:19,573 --> 00:10:23,056 あれは? 伝書クイね 149 00:10:23,056 --> 00:10:26,716 クイという鳥は 帰巣本能があるだけでなく— 150 00:10:26,716 --> 00:10:30,188 飼い主が放つ波動を 遠くから感知できるのです 151 00:10:30,188 --> 00:10:33,149 なるほど… その習性を— 152 00:10:33,149 --> 00:10:36,173 遠距離の伝達手段として 使用しているわけか 153 00:10:38,196 --> 00:10:41,637 どうやら アイーシャへの手紙を 運んできたみたいね 154 00:10:44,974 --> 00:10:49,155 あっ… そんな! どうした? アイーシャ 155 00:10:49,155 --> 00:10:53,503 ダークエルフの里の長をしている 父上から連絡がきたんです 156 00:10:53,503 --> 00:10:57,851 昨夜 突如 神護の森で 大規模な地滑りが起きて— 157 00:10:57,851 --> 00:11:00,802 集落の半分ほどを 飲み込んでしまったと 158 00:11:00,802 --> 00:11:02,898 (みんな)えっ! 159 00:11:02,898 --> 00:11:06,891 ここのところ 神護の森では 長雨が続いていたそうです 160 00:11:06,891 --> 00:11:13,857 行方不明者… 多数… うぅ… 161 00:11:13,857 --> 00:11:18,028 ソーマ… んっ… 162 00:11:18,028 --> 00:11:20,113 おい! どうす… シッ! 163 00:11:20,113 --> 00:11:24,461 今 王様は考えてるのです 邪魔しちゃだめなのです 164 00:11:24,461 --> 00:11:26,557 カエデ あっ 165 00:11:26,557 --> 00:11:28,986 今ここには何人くらいいる? はっ! 166 00:11:28,986 --> 00:11:33,689 禁軍兵54名 土木建築ギルドからの出向技師4名 167 00:11:33,689 --> 00:11:37,683 うち 土系魔導士は 私を含め6名なのです! 168 00:11:37,683 --> 00:11:39,706 よし この部隊で— 169 00:11:39,706 --> 00:11:41,791 ダークエルフの里の救援に向かう (みんな)あっ! 170 00:11:41,791 --> 00:11:43,876 陛下! アイーシャ 171 00:11:43,876 --> 00:11:47,182 1対1なら 俺はアイーシャよりはるかに弱い 172 00:11:47,182 --> 00:11:50,842 だが 多くの人間を 動かせる立場にある 173 00:11:50,842 --> 00:11:52,927 だから任せろ 174 00:11:52,927 --> 00:11:55,357 救える命は救えるかぎり 救ってみせる 175 00:11:55,357 --> 00:11:58,495 うっ… うぅ… 176 00:11:58,495 --> 00:12:00,925 アイーシャ 泣くのはあとだ 177 00:12:00,925 --> 00:12:03,187 外部の人間である俺たちが— 178 00:12:03,187 --> 00:12:05,794 神護の森に入って 救援活動するには— 179 00:12:05,794 --> 00:12:07,890 お前がいてくれたほうがいい 180 00:12:07,890 --> 00:12:11,195 案内を頼むぞ クッ… はい! 181 00:12:11,195 --> 00:12:14,845 うん 災害救助は時間との勝負だ 182 00:12:14,845 --> 00:12:18,150 幸いここは 王都よりも神護の森に近い 183 00:12:18,150 --> 00:12:21,800 このまま現場に直行する かしこまりました! 184 00:12:21,800 --> 00:12:25,449 すぐに兵たちを用意させるのです 頼む 185 00:12:27,889 --> 00:12:31,893 リーシアは王都に戻って 救援部隊の派遣を要請してくれ 186 00:12:31,893 --> 00:12:36,418 そしてハクヤに言って救援物資を ダークエルフの里まで届けさせろ 187 00:12:36,418 --> 00:12:38,504 わかったわ 任せて 188 00:12:40,767 --> 00:12:44,343 アイーシャ ここから神護の森まで どれくらいかかる? 189 00:12:44,343 --> 00:12:48,868 早馬で半日 通常の行軍ペースですと どんなに急いでも— 190 00:12:48,868 --> 00:12:51,308 2日はかかります 2日!? 191 00:12:51,308 --> 00:12:55,302 発生が深夜だとすると すでに半日近くたってる 192 00:12:55,302 --> 00:12:59,827 どんなに急いでも 現場到着は発生から2日半 193 00:13:50,116 --> 00:13:54,120 72時間の壁まで 半日しかないのは厳しいな 194 00:13:54,120 --> 00:13:56,904 72時間の壁? 195 00:13:56,904 --> 00:14:00,908 こういう自然災害のとき 発生から丸3日— 196 00:14:00,908 --> 00:14:03,515 つまり72時間を過ぎると— 197 00:14:03,515 --> 00:14:06,122 要救助者の死亡率が 跳ね上がるんだ 198 00:14:06,122 --> 00:14:09,083 なら! さっさと神護の森に向かおうぜ! 199 00:14:09,083 --> 00:14:13,431 わかってる だが通常の行軍だと 時間がかかりすぎる 200 00:14:13,431 --> 00:14:17,602 一瞬で大勢を別の場所に 移動させる魔法とかないのか? 201 00:14:17,602 --> 00:14:20,386 ねえよ! そんなのがあれば— 202 00:14:20,386 --> 00:14:24,036 そもそも汗水たらして 道路なんか造る必要ないだろ 203 00:14:24,036 --> 00:14:26,298 んっ… クソ 204 00:14:26,298 --> 00:14:29,781 (荷馬車の音) 何か他に移動手段は… 205 00:14:29,781 --> 00:14:31,866 あっ (荷馬車の音) 206 00:14:31,866 --> 00:14:33,952 (荷馬車の音) 207 00:14:33,952 --> 00:14:36,673 あっ! (荷馬車の音) 208 00:14:36,673 --> 00:14:59,404 ♩~ 209 00:15:06,245 --> 00:15:11,979 ♩~ 210 00:15:11,979 --> 00:15:15,118 王よ お初にお目にかかります 211 00:15:15,118 --> 00:15:20,853 ダークエルフの長でアイーシャの父 ボーダン・ウドガルドと申します 212 00:15:20,853 --> 00:15:23,116 堅苦しい挨拶は抜きにしよう 213 00:15:23,116 --> 00:15:26,765 それよりも今は 救助が先決だ 214 00:15:26,765 --> 00:15:31,290 とりあえず手近の禁軍兵士を 50名ほど連れてきた 215 00:15:31,290 --> 00:15:35,993 数日後には救援物資を持った 第2陣も到着するはずだ 216 00:15:35,993 --> 00:15:39,747 まずは状況を説明してくれ はい 217 00:15:39,747 --> 00:15:44,272 地滑りを起こしたのは この集落の東側にある斜面で— 218 00:15:44,272 --> 00:15:49,142 すでに100名以上の 死傷者が出ています 219 00:15:49,142 --> 00:15:52,624 行方不明者もまだ40名以上 220 00:15:52,624 --> 00:15:55,930 なら その行方不明者の リストを作成してくれ 221 00:15:55,930 --> 00:15:58,880 安否確認がとれた順に 消していけば— 222 00:15:58,880 --> 00:16:03,229 取りこぼしがない わかりました すぐに手配します 223 00:16:03,229 --> 00:16:06,534 それと 人手を割いて 山を見張らせてくれ 224 00:16:06,534 --> 00:16:08,974 ちょっとでも山が動いたり— 225 00:16:08,974 --> 00:16:11,403 変な音がしたりしたら 報告させるんだ 226 00:16:11,403 --> 00:16:15,230 救助中に再度崩れたら シャレにならないからな 227 00:16:15,230 --> 00:16:18,880 陛下 その任 私にお与えください 228 00:16:21,153 --> 00:16:23,238 我が娘は幼いころより— 229 00:16:23,238 --> 00:16:26,888 神護の森を遊び場とし よく知悉しております 230 00:16:26,888 --> 00:16:29,849 任せて心配はないかと 231 00:16:29,849 --> 00:16:31,934 かつてお前と一緒に— 232 00:16:31,934 --> 00:16:34,541 森の中を駆け回っていた 連中がいるだろう 233 00:16:34,541 --> 00:16:38,545 その者たちなら お前と同じくらい 森に詳しいはずだ 234 00:16:38,545 --> 00:16:40,568 声をかけて連れていけ 235 00:16:40,568 --> 00:16:44,739 はっ 承知しました! 頼んだぞ アイーシャ 236 00:16:44,739 --> 00:16:47,700 ただし 決してムチャはするなよ 237 00:16:47,700 --> 00:16:52,570 これより 行方不明者の 捜索活動を開始する! 238 00:16:52,570 --> 00:16:56,563 耳を澄まし 土の中で助けを求める声を聞き— 239 00:16:56,563 --> 00:16:59,180 慎重に彼らを救助せよ! 240 00:16:59,879 --> 00:17:03,007 道路工事で培った 穴掘りスキルの見せ場だぞ! 241 00:17:03,007 --> 00:17:05,093 んっ… 242 00:17:05,093 --> 00:17:07,178 だが絶対 無理はするな 243 00:17:07,178 --> 00:17:11,349 また崩れそうだと思ったら 救助中であっても退避しろ 244 00:17:11,349 --> 00:17:15,353 救助する側には一人の犠牲者を 出すことも許されん! 245 00:17:15,353 --> 00:17:17,960 いいな! (みんな)はっ! 246 00:17:17,960 --> 00:17:26,666 ♩~ 247 00:17:26,666 --> 00:17:30,837 あっ… 声が聞こえた えっ? あっ 248 00:17:33,444 --> 00:17:36,228 この太い木の下だ まだ息があるぞ! 249 00:17:36,228 --> 00:17:38,313 えぇ? 250 00:17:38,313 --> 00:17:41,619 声なんて聞こえな… いるんだよ いいから掘れ! 251 00:17:41,619 --> 00:17:45,060 んっ… んっ… んっ 252 00:17:47,124 --> 00:17:49,554 んっ… あっ… マジかよ! 253 00:17:49,554 --> 00:17:53,036 よっ! んんっ…! 254 00:17:53,036 --> 00:17:56,164 くっ… 255 00:17:56,164 --> 00:17:58,250 んんっ… 256 00:18:04,694 --> 00:18:08,343 ハァ… よくあそこに 埋まってるってわかったな 257 00:18:08,343 --> 00:18:10,606 これが教えてくれたんだ 258 00:18:10,606 --> 00:18:15,507 それは… ネズミか? 木彫りの… な 259 00:18:22,263 --> 00:18:26,090 コイツを操って 人間が入り込めないような所を— 260 00:18:26,090 --> 00:18:28,697 あちこち探ってるんだ そうか 261 00:18:28,697 --> 00:18:32,002 それがうわさの リビングなんとかって能力か 262 00:18:32,002 --> 00:18:34,609 あぁ ダンジョンでの探索用に— 263 00:18:34,609 --> 00:18:36,872 いくつか試作品を 作ってたんだが— 264 00:18:36,872 --> 00:18:39,134 こんな所で役に立つな… ウッ! 265 00:18:39,134 --> 00:18:41,220 あっ どうした? 266 00:18:41,220 --> 00:18:43,483 ウッ… ウウッ! オエッ… 267 00:18:43,483 --> 00:18:46,194 オエェ… おい! 大丈夫かよ!? 268 00:18:46,194 --> 00:18:48,279 ゴホッ ゴホ… なんで急に 269 00:18:48,279 --> 00:18:50,542 あぁ… 悪い 270 00:18:50,542 --> 00:18:54,723 ハァ… 捜索中の 木彫りネズミの1匹が— 271 00:18:54,723 --> 00:18:58,550 損壊の激しい遺体を 急に見つけたもんだから 272 00:18:58,550 --> 00:19:02,721 一目見ただけで遺体ってわかる 状態だったってことか 273 00:19:02,721 --> 00:19:04,806 (2人)ハァ… 274 00:19:04,806 --> 00:19:09,331 そうか… 行方不明者が 全員見つかったか 275 00:19:09,331 --> 00:19:11,594 (ボーダン)残念ながら— 276 00:19:11,594 --> 00:19:14,201 冷たいむくろとなった者も おりますが— 277 00:19:14,201 --> 00:19:16,641 陛下が 駆けつけてくださらなければ— 278 00:19:16,641 --> 00:19:19,070 その数は もっと多くなっていたはず 279 00:19:19,070 --> 00:19:23,596 ダークエルフの長として 改めてお礼申し上げます 280 00:19:23,596 --> 00:19:26,202 んっ… (アイーシャ)陛下! 父上! 281 00:19:26,202 --> 00:19:28,465 あっ 282 00:19:28,465 --> 00:19:32,990 王都から姫様とともに 救援の第2陣が到着しました! 283 00:19:32,990 --> 00:19:35,076 来たか! 284 00:19:35,076 --> 00:19:37,578 ≪もう… 遅い (2人)あっ? 285 00:19:41,520 --> 00:19:45,169 ウゥ… 286 00:19:48,402 --> 00:19:51,363 確かに捜索には間に合わなかった 287 00:19:51,363 --> 00:19:54,835 だが 救援というのは むしろ ここからが本番だ 288 00:19:54,835 --> 00:20:00,581 負傷者の手当て 土砂の除去 仮設住宅の建設 289 00:20:00,581 --> 00:20:03,020 やるべきことは いくらでもある 290 00:20:03,020 --> 00:20:07,369 だが… 死んだ者は もう帰ってこない 291 00:20:07,369 --> 00:20:10,674 あっ… よさんか ロブトール! 292 00:20:10,674 --> 00:20:14,845 この者は 私の弟で ロブトールと申します 293 00:20:14,845 --> 00:20:17,452 この災害で妻を亡くし— 294 00:20:17,452 --> 00:20:22,321 一人娘は いまだ生死の境を さまよっておりまして 295 00:20:22,321 --> 00:20:24,761 いささか 取り乱しておるようですが— 296 00:20:24,761 --> 00:20:28,066 なにとぞ ご容赦を いや いい 297 00:20:28,066 --> 00:20:32,070 王よ! 私は森を守ってきたつもりです! 298 00:20:32,070 --> 00:20:36,064 なのに なぜ… なぜ森は我が家族を! 299 00:20:36,064 --> 00:20:38,160 ロブトール! あっ… 300 00:20:38,160 --> 00:20:40,589 今は誰を責めるときでもない 301 00:20:40,589 --> 00:20:45,813 もちろん お前自身もだ ウッ… 302 00:20:45,813 --> 00:20:48,597 今は妻の死を悼んでやれ 303 00:20:48,597 --> 00:20:53,050 そして 娘の魂が 現世にとどまるよう祈れ 304 00:20:53,050 --> 00:21:03,581 (泣き声) 305 00:21:09,921 --> 00:21:12,882 叔父上は 間伐に反対していたのです 306 00:21:12,882 --> 00:21:15,489 森の守護者であるダークエルフが— 307 00:21:15,489 --> 00:21:18,794 不要に木々を伐採するなど とんでもないことだと 308 00:21:18,794 --> 00:21:21,401 そうか それで… 309 00:21:21,401 --> 00:21:25,228 もし叔父上が もっと間伐に協力的であれば— 310 00:21:25,228 --> 00:21:27,668 叔父上の家族は 助かったのでしょうか? 311 00:21:27,668 --> 00:21:32,183 それは… わからない 312 00:21:32,183 --> 00:21:35,144 確かに適度な間伐をして 下草を育て— 313 00:21:35,144 --> 00:21:37,751 土の保水力を高めていれば— 314 00:21:37,751 --> 00:21:41,056 土砂崩れが起きにくい 環境にすることはできる 315 00:21:41,056 --> 00:21:45,060 だがそれは あくまでも起きにくくするだけだ 316 00:21:45,060 --> 00:21:48,021 今回みたいな長雨が原因だった場合— 317 00:21:48,021 --> 00:21:50,284 どこで起こってもおかしくない 318 00:21:50,284 --> 00:21:53,756 それでは ただ運が悪かっただけだと? 319 00:21:53,756 --> 00:21:57,239 土砂崩れの 発生箇所に関してはそうだ 320 00:21:57,239 --> 00:22:01,066 しかし 間伐は 常に森の中での作業になる 321 00:22:01,066 --> 00:22:03,495 「異様な音が聞こえる」 322 00:22:03,495 --> 00:22:05,935 「森が動いているように 見える」などの— 323 00:22:05,935 --> 00:22:08,719 土砂崩れの前兆に 気付きやすいのは確かだ 324 00:22:08,719 --> 00:22:13,067 気付けたなら対策も立てられるし 避難だってできただろう 325 00:22:13,067 --> 00:22:16,894 「森を守る」と言えば 聞こえはいいが— 326 00:22:16,894 --> 00:22:20,377 守っているという 意識自体が間違いだ 327 00:22:20,377 --> 00:22:23,682 自然は人に守られるほど 弱くはない 328 00:22:23,682 --> 00:22:26,987 自然を破壊するのが人のエゴなら— 329 00:22:26,987 --> 00:22:29,594 守ろうとするのも またエゴなんだ 330 00:22:29,594 --> 00:22:34,119 本来なら破壊と再生を 繰り返すはずの自然に— 331 00:22:34,119 --> 00:22:37,946 人の都合のいい状態のままで いてもらうわけだからな 332 00:22:37,946 --> 00:22:41,940 人にできるのは 間伐などで手を加え— 333 00:22:41,940 --> 00:22:45,902 森を共存可能な状態で 維持していくことだけだ 334 00:22:48,029 --> 00:23:06,058 ♩~ 335 00:23:06,058 --> 00:23:10,051 今回 私は何もできなかったわね 336 00:23:10,051 --> 00:23:13,013 救援部隊を 呼びにいってくれただろ 337 00:23:13,013 --> 00:23:15,619 みんな全力を尽くしたさ 338 00:23:15,619 --> 00:23:20,145 むしろ… 何もできなかったのは 俺のほうだ 339 00:23:20,145 --> 00:23:23,377 そんな… 大活躍だったって聞いたわよ 340 00:23:25,535 --> 00:23:28,153 俺の立場は国王だ 341 00:23:28,153 --> 00:23:31,802 有事の際 現場で指揮を執るのは 王の仕事じゃない 342 00:23:32,188 --> 00:23:37,193 王の仕事は 有事が起こる前に 事前準備をしておくことだ 343 00:23:37,819 --> 00:23:39,800 俺は それを怠った 344 00:23:39,967 --> 00:23:42,636 何を言ってるの? ソーマ あなたは… 345 00:23:43,178 --> 00:23:46,932 禁軍の救援部隊としての 運用はうまくできたと思う 346 00:23:47,474 --> 00:23:50,070 だけど それ以上に 至らなかった点が多い 347 00:23:50,748 --> 00:23:54,064 情報伝達手段 長距離輸送手段 348 00:23:54,439 --> 00:23:59,215 救援物資の各地方での備蓄 救援隊に付属する医療チーム 349 00:23:59,215 --> 00:24:03,042 何もかもが足りなかった… 350 00:24:03,042 --> 00:24:06,347 食糧難と三公の問題ばかりに 目がいって— 351 00:24:06,889 --> 00:24:08,610 これらの整備を怠った 352 00:24:09,767 --> 00:24:11,321 ソーマ… 353 00:24:11,321 --> 00:24:13,406