1 00:01:35,500 --> 00:01:38,740 地球から銀河系に進出した人類は 2 00:01:38,740 --> 00:01:42,970 西暦2801年 銀河連邦を樹立し 3 00:01:42,970 --> 00:01:45,940 この年を宇宙暦元年とした 4 00:01:45,940 --> 00:01:52,020 清新と進取の気風にあふれた 人類の黄金時代の始まりである 5 00:01:52,020 --> 00:01:56,860 宇宙暦296年 連邦軍の若き英雄であった 6 00:01:56,860 --> 00:02:00,430 ルドルフ・フォン・ ゴールデンバウムは政界に転じ 7 00:02:00,430 --> 00:02:02,430 その強力なる指導力をもって 8 00:02:02,430 --> 00:02:06,600 連邦議会に 確固たる地位を築くに至った 9 00:02:06,600 --> 00:02:08,870 そして同310年 10 00:02:08,870 --> 00:02:11,770 首相と国家元首を 兼任したルドルフは 11 00:02:11,770 --> 00:02:14,470 銀河帝国の成立を宣言し 12 00:02:14,470 --> 00:02:17,340 自ら初代皇帝の地位に つくとともに 13 00:02:17,340 --> 00:02:22,650 宇宙暦を廃止し 帝国暦元年とした 14 00:02:22,650 --> 00:02:24,950 ルドルフの支配は苛烈を極め 15 00:02:24,950 --> 00:02:30,760 批判者や反対者を弾圧 粛清する 恐怖政治へと移行していった 16 00:02:30,760 --> 00:02:33,060 帝国暦164年 17 00:02:33,060 --> 00:02:35,960 若き指導者 アーレ・ハイネセン率いる 18 00:02:35,960 --> 00:02:40,200 共和主義者の一団が この帝国領を脱出 19 00:02:40,200 --> 00:02:44,170 宇宙の危険宙域を越えた サジタリウス腕に至り 20 00:02:44,170 --> 00:02:49,870 新たに自由惑星同盟を建国し 宇宙暦を復活させた 21 00:02:49,870 --> 00:02:54,750 宇宙暦640年 帝国暦331年 22 00:02:54,750 --> 00:02:59,480 銀河帝国と自由惑星同盟は 最初の接触をし 23 00:02:59,480 --> 00:03:01,990 以来 150年にもわたる 24 00:03:01,990 --> 00:03:05,860 長く不毛な戦いの歴史を 繰り広げてきた 25 00:03:05,860 --> 00:03:10,300 特に帝国領と同盟領を結ぶ 唯一の航路である 26 00:03:10,300 --> 00:03:13,570 イゼルローン回廊に 帝国軍が築き上げた 27 00:03:13,570 --> 00:03:17,540 イゼルローン要塞を巡って 多くの血が流されてきた 28 00:03:17,540 --> 00:03:20,240 今 そのイゼルローン要塞を 29 00:03:20,240 --> 00:03:24,940 ヤン・ウェンリー指揮下の 自由惑星同盟軍が奪取した 30 00:03:37,420 --> 00:03:39,490 トールハンマーの第2射確認 31 00:03:39,490 --> 00:03:41,630 ゼークト閣下の旗艦も消滅の模様 32 00:03:41,630 --> 00:03:44,400 他の艦も戦線を 離脱しつつあります 33 00:03:44,400 --> 00:03:48,130 イゼルローンが イゼルローン要塞が 落ちるなんて そんな 34 00:03:48,130 --> 00:03:51,840 うろたえるな イゼルローンなど いつでも取り戻せる 35 00:03:51,840 --> 00:03:55,340 は? 問題は それを実行するのに 36 00:03:55,340 --> 00:03:57,340 誰を選ぶかだが 37 00:04:01,980 --> 00:04:04,880 イゼルローンが落ちた? 信じられん 38 00:04:04,880 --> 00:04:06,850 何かの間違いではないのか 39 00:04:06,850 --> 00:04:10,050 イゼルローン要塞は 難攻不落ではなかったのか 40 00:04:10,050 --> 00:04:14,360 あの愚か者ども 一体 何をしておったのか 41 00:04:14,360 --> 00:04:17,260 軍務尚書 統帥本部総長 42 00:04:17,260 --> 00:04:20,830 宇宙艦隊司令長官の 帝国軍三長官は 43 00:04:20,830 --> 00:04:23,740 国務尚書 リヒテンラーデ公を介し 44 00:04:23,740 --> 00:04:27,370 事態を皇帝フリードリヒ4世に 報告した 45 00:04:27,370 --> 00:04:32,080 帝国領土は外敵に対し 神聖不可侵でなければならぬに 46 00:04:32,080 --> 00:04:36,650 かかる事態を招きましたること 臣らの不徳の致すところ 47 00:04:36,650 --> 00:04:40,350 誠に恐懼の極みにござります 48 00:04:40,350 --> 00:04:42,290 おかしな議論だな 49 00:04:42,290 --> 00:04:46,160 帝国領は外敵に侵略されては ならぬものだそうだ 50 00:04:46,160 --> 00:04:49,060 同盟とやらは いつから外敵になったのだ 51 00:04:49,060 --> 00:04:52,800 あれは帝国辺境部の 反乱軍ではなかったのか 52 00:04:52,800 --> 00:04:56,530 元帥閣下も お意地が悪い 53 00:04:56,530 --> 00:04:58,940 現実を見ずに 体面ばかりにこだわるから 54 00:04:58,940 --> 00:05:00,870 こういう羽目にもなる 55 00:05:00,870 --> 00:05:04,340 ゼークト シュトックハウゼン 両大将が敗れたのも 56 00:05:04,340 --> 00:05:07,910 その辺というわけですか そのとおりだ 57 00:05:07,910 --> 00:05:09,850 いずれにせよ イゼルローンが落ちたとなれば 58 00:05:09,850 --> 00:05:12,180 このままでは済むまい 59 00:05:12,180 --> 00:05:15,390 近々 卿らにも 働いてもらうことになろう 60 00:05:15,390 --> 00:05:19,260 各々の艦隊の整備に努めよ はっ 61 00:05:19,260 --> 00:05:21,260 下がってよい 62 00:05:25,200 --> 00:05:28,930 何か心配事でも おありなのですか 63 00:05:28,930 --> 00:05:30,940 彼らに不満でも? 64 00:05:30,940 --> 00:05:35,310 勇敢で戦術能力に富んだ 前線指揮官は そろえた 65 00:05:35,310 --> 00:05:39,210 しかし… 参謀役がいない 66 00:05:39,210 --> 00:05:41,210 分かっていたのか 67 00:05:41,210 --> 00:05:44,750 私にできることでしたら何なりと 68 00:05:44,750 --> 00:05:47,650 いや キルヒアイスには 全軍の副将として 69 00:05:47,650 --> 00:05:49,720 数個艦隊を統率してもらう 70 00:05:49,720 --> 00:05:52,820 とても参謀役などしている 余裕はない 71 00:05:52,820 --> 00:05:54,760 それに… 72 00:05:54,760 --> 00:05:57,630 いや 何でもない 73 00:05:57,630 --> 00:06:00,530 ゼークトもシュトックハウゼンも 何をやっていたのか 74 00:06:00,530 --> 00:06:05,500 だからイゼルローンの司令官職を 1つに統合すべきだったのだ 75 00:06:05,500 --> 00:06:07,940 結果論を言っても仕方あるまい 76 00:06:07,940 --> 00:06:09,870 この責任をどうするかであろう 77 00:06:09,870 --> 00:06:12,380 責任を取らせるにも ゼークトは死に 78 00:06:12,380 --> 00:06:14,410 シュトックハウゼンは 敵に捕らわれ 79 00:06:14,410 --> 00:06:16,710 その当事者がおらんではな 80 00:06:16,710 --> 00:06:19,680 当事者と言えば ゼークト次席幕僚の 81 00:06:19,680 --> 00:06:22,450 オーベルシュタインが おめおめと戻っておる 82 00:06:22,450 --> 00:06:25,920 とりあえずは やつに 詰め腹を切らせるということで 83 00:06:25,920 --> 00:06:28,530 それはよいとしても 84 00:06:28,530 --> 00:06:32,230 我らも辞表を用意する 必要がありそうだな 85 00:06:38,800 --> 00:06:42,540 閣下 オーベルシュタイン大佐が 面会を申し込んでまいりましたが 86 00:06:42,540 --> 00:06:44,480 オーベルシュタイン? 87 00:06:44,480 --> 00:06:47,680 例の元帥号授与式の時の 88 00:06:47,680 --> 00:06:51,150 ああ そのオーベルシュタインが 何用かな 89 00:06:51,150 --> 00:06:55,890 確か イゼルローンの司令部で ただ一人 生きて帰ったとか 90 00:06:55,890 --> 00:06:59,390 あまり好意的である理由は なさそうだが 91 00:06:59,390 --> 00:07:01,690 お会いになりませんか? 92 00:07:01,690 --> 00:07:04,030 いや とにかく通せ 93 00:07:04,030 --> 00:07:06,360 はい 94 00:07:06,360 --> 00:07:08,660 オーベルシュタイン大佐をここに 95 00:07:15,740 --> 00:07:19,610 オーベルシュタインか 私にどんな用件があるのだ 96 00:07:19,610 --> 00:07:22,410 まず お人払いをお願いいたします 97 00:07:22,410 --> 00:07:24,480 ここには3人しかいない 98 00:07:24,480 --> 00:07:27,320 そう キルヒアイス中将がおられる 99 00:07:27,320 --> 00:07:31,820 ですから お人払いをと お願いしております 100 00:07:31,820 --> 00:07:35,260 キルヒアイス中将は 私自身も同様だ 101 00:07:35,260 --> 00:07:37,730 それを卿は知らんのか 102 00:07:37,730 --> 00:07:40,400 存じております 103 00:07:40,400 --> 00:07:42,330 あえてキルヒアイス中将に 104 00:07:42,330 --> 00:07:45,070 聞かせたくない話があると 言うのだな 105 00:07:45,070 --> 00:07:48,770 だが私が後で話せば 結局は同じことだぞ 106 00:07:48,770 --> 00:07:51,680 それは無論 閣下のご自由ですが 107 00:07:51,680 --> 00:07:53,980 閣下の覇業を成就されるには 108 00:07:53,980 --> 00:07:57,450 さまざまな異なるタイプの 人材が必要でしょう 109 00:07:57,450 --> 00:07:59,680 AにはAに向いた話 110 00:07:59,680 --> 00:08:04,090 BにはBにふさわしい任務という ものがあると思いますが 111 00:08:04,090 --> 00:08:08,930 元帥閣下 私は隣室に 控えていた方がよろしいかと 112 00:08:08,930 --> 00:08:10,930 そうか 113 00:08:20,270 --> 00:08:25,210 実は閣下 私は現在いささか 苦しい立場に立たされています 114 00:08:25,210 --> 00:08:27,450 ご存じかと思いますが 115 00:08:27,450 --> 00:08:32,580 イゼルローンからの逃亡者 糾弾されて当然だろうな 116 00:08:32,580 --> 00:08:36,790 ゼークト提督は 壮烈な玉砕を遂げたというのに 117 00:08:36,790 --> 00:08:41,630 凡百の指揮官にとって 私は卑劣な逃亡者に過ぎますまい 118 00:08:41,630 --> 00:08:45,200 しかし閣下 私には私の言い分があります 119 00:08:45,200 --> 00:08:47,200 閣下にそれを 聞いていただきたいのです 120 00:08:47,200 --> 00:08:49,370 筋違いだな 121 00:08:49,370 --> 00:08:51,970 卿がそれを主張すべきは 私にではなく 122 00:08:51,970 --> 00:08:54,510 軍法会議においてであろう 123 00:08:54,510 --> 00:08:56,440 卿は指揮官を補佐し 124 00:08:56,440 --> 00:09:00,210 その誤りを訂正するという 任務を全うせず 125 00:09:00,210 --> 00:09:03,210 しかも一身の安全を図った 126 00:09:03,210 --> 00:09:09,390 その事実を前にしては どのような言い訳も無力だ 127 00:09:09,390 --> 00:09:11,360 違うでしょう 128 00:09:11,360 --> 00:09:16,230 イゼルローン駐留艦隊旗艦の ただ一人の生存者である私は 129 00:09:16,230 --> 00:09:19,060 生き残ったという まさに そのことによって 130 00:09:19,060 --> 00:09:21,460 処断されようとしているのです 131 00:09:29,810 --> 00:09:33,440 このとおり私の両目は義眼です 132 00:09:33,440 --> 00:09:38,080 弱者に生きる資格なしとした あのルドルフ大帝の治世であれば 133 00:09:38,080 --> 00:09:40,280 とうに抹殺されていたでしょう 134 00:09:43,450 --> 00:09:47,060 お分かりですか? 私は憎んでいるのです 135 00:09:47,060 --> 00:09:51,260 ルドルフ大帝と 彼の子孫と 彼の生み出した全てのものを 136 00:09:51,260 --> 00:09:53,800 大胆な発言だな 137 00:09:53,800 --> 00:09:55,800 銀河帝国 いや 138 00:09:55,800 --> 00:09:58,640 ゴールデンバウム王朝は 滅びるべきです 139 00:09:58,640 --> 00:10:02,040 可能であれば私自身の手で 滅ぼしてやりたい 140 00:10:02,040 --> 00:10:05,040 ですが私には その力量がありません 141 00:10:05,040 --> 00:10:10,110 私にできることは 新たな覇者の登場に協力すること 142 00:10:10,110 --> 00:10:12,050 ただ それだけです 143 00:10:12,050 --> 00:10:16,520 帝国元帥 ローエングラム伯 ラインハルト閣下 144 00:10:16,520 --> 00:10:20,420 卿は自分が何を言っているのか 分かっているのか? 145 00:10:20,420 --> 00:10:23,260 無論です 何度でも言いましょう 146 00:10:23,260 --> 00:10:26,160 ゴールデンバウム王朝は 滅びるべきなのです 147 00:10:26,160 --> 00:10:29,830 そして その後 新しい帝国を創る方は 148 00:10:29,830 --> 00:10:32,840 閣下をおいて他にいません 149 00:10:32,840 --> 00:10:36,310 キルヒアイス 150 00:10:36,310 --> 00:10:38,580 オーベルシュタイン大佐を 逮捕しろ 151 00:10:38,580 --> 00:10:41,180 帝国に対して反逆の言質があった 152 00:10:41,180 --> 00:10:43,380 帝国軍人として看過できぬ 153 00:10:47,890 --> 00:10:50,990 しょせん あなたも この程度の人か 154 00:10:53,520 --> 00:10:57,400 結構 キルヒアイス中将一人を 腹心とたのんで 155 00:10:57,400 --> 00:10:59,900 あなたの狭い道をお行きなさい 156 00:11:03,770 --> 00:11:06,670 キルヒアイス中将 私を撃てるか? 157 00:11:06,670 --> 00:11:11,480 私はこのとおり丸腰だ それでも撃てるか? 158 00:11:11,480 --> 00:11:14,810 撃てんだろう 貴官はそういう男だ 159 00:11:14,810 --> 00:11:18,980 尊敬に値するが それだけでは 閣下の覇業の助けにはならん 160 00:11:18,980 --> 00:11:21,250 光には必ず影が従う 161 00:11:21,250 --> 00:11:23,690 しかし お若いローエングラム伯には 162 00:11:23,690 --> 00:11:25,990 まだご理解いただけぬか 163 00:11:28,630 --> 00:11:30,630 キルヒアイス 164 00:11:34,030 --> 00:11:37,070 言いたいことを言う男だな 165 00:11:37,070 --> 00:11:39,340 恐縮です 166 00:11:39,340 --> 00:11:43,140 ゼークト提督からも さぞ嫌われたことだろう 167 00:11:43,140 --> 00:11:48,950 あの提督は部下の忠誠心を 刺激する人ではありませんでした 168 00:11:48,950 --> 00:11:52,950 よかろう 卿を貴族どもから買おう 169 00:12:00,420 --> 00:12:04,830 卿らは責任を回避して 地位に執着しようとせぬ 170 00:12:04,830 --> 00:12:08,270 その潔さは称すべきと思うが 171 00:12:08,270 --> 00:12:11,270 しかし三長官の席が一時に空けば 172 00:12:11,270 --> 00:12:13,400 少なくとも その1つは 173 00:12:13,400 --> 00:12:16,640 ローエングラム伯の 得るところとなろう 174 00:12:16,640 --> 00:12:21,010 かの者の階位が 進む手助けになるが よいのかな? 175 00:12:21,010 --> 00:12:23,680 その点を考えぬでも ありませんでしたが 176 00:12:23,680 --> 00:12:25,620 私どもも武人です 177 00:12:25,620 --> 00:12:29,320 地位に恋々として 出処進退を誤ったと評されるのは 178 00:12:29,320 --> 00:12:31,260 あまりに無念 179 00:12:31,260 --> 00:12:33,590 どうか お受け取りくださいますよう 180 00:12:33,590 --> 00:12:36,790 そうか そこまで言うのなら やむを得まい 181 00:12:36,790 --> 00:12:40,430 とにかく陛下に取り次ごう 182 00:12:40,430 --> 00:12:43,930 辞めたいと申す者を 止めるわけにもいかんだろう 183 00:12:43,930 --> 00:12:45,970 しかし 184 00:12:45,970 --> 00:12:48,370 ローエングラム伯を呼べ 185 00:13:03,390 --> 00:13:06,690 どの職が欲しいか 186 00:13:06,690 --> 00:13:09,890 自ら功績を立てたわけでも ございませんのに 187 00:13:09,890 --> 00:13:13,200 他の方の席を奪うことは できません 188 00:13:13,200 --> 00:13:15,200 イゼルローン陥落はゼークト 189 00:13:15,200 --> 00:13:18,140 シュトックハウゼン 両名の不覚によるもの 190 00:13:18,140 --> 00:13:21,710 しかもゼークト提督は 死をもって罪をあがなっており 191 00:13:21,710 --> 00:13:24,480 いま一人は敵の獄中にあります 192 00:13:24,480 --> 00:13:27,510 他に罪を負うべき者が いるとは思えません 193 00:13:27,510 --> 00:13:30,720 何とぞ三長官をおとがめなきよう 194 00:13:30,720 --> 00:13:35,550 謹んで陛下にお願い申し上げます そちは無欲だな 195 00:13:35,550 --> 00:13:39,320 伯はこう申しておる そちはどう思うか 196 00:13:39,320 --> 00:13:44,600 若さに似合わぬ伯の見識 臣は感服いたしました 197 00:13:44,600 --> 00:13:48,330 臣としても国家に大功ある 三長官に対し 198 00:13:48,330 --> 00:13:51,940 寛大なご処置をと 願うものでござります 199 00:13:51,940 --> 00:13:54,740 うむ 両人がそう申すなら 200 00:13:54,740 --> 00:13:58,180 余としても彼らに 過酷な処分を下すまい 201 00:13:58,180 --> 00:14:02,480 委細は国務尚書に任す 話はそれだけか? 202 00:14:02,480 --> 00:14:05,880 さようでございます では両人とも下がれ 203 00:14:05,880 --> 00:14:08,690 バラの世話をせねばならんでな 204 00:14:08,690 --> 00:14:12,560 陛下のご寛容には 感謝の言葉もないが 205 00:14:12,560 --> 00:14:16,490 あの小僧の力添えとは不本意な 206 00:14:16,490 --> 00:14:19,060 意外に無欲ではないか 207 00:14:19,060 --> 00:14:23,270 なんの 陛下の前で 格好をつけてみせただけだ 208 00:14:23,270 --> 00:14:25,200 そのローエングラム伯が 209 00:14:25,200 --> 00:14:28,970 例のオーベルシュタイン大佐の 免責を求めてきておる 210 00:14:28,970 --> 00:14:31,710 オーベルシュタインの? 211 00:14:31,710 --> 00:14:35,280 自分の元帥府へ 転属させたいそうだ 212 00:14:35,280 --> 00:14:37,750 どうも うさんくさい 取り合わせだな 213 00:14:37,750 --> 00:14:39,680 拒絶することもできんだろう 214 00:14:39,680 --> 00:14:44,520 我らのみ 陛下のご寛容の恩恵に 浴すわけにはいかんからな 215 00:14:44,520 --> 00:14:48,860 それが狙いとすれば食えぬ男だが しかし いくらなんでも 216 00:14:48,860 --> 00:14:52,730 三長官職と引き換えに してまでとは考えまいが 217 00:14:52,730 --> 00:14:54,670 それもそうだ 218 00:14:54,670 --> 00:14:57,570 三長官の地位など いつでも手に入る 219 00:14:57,570 --> 00:15:01,270 しばらく養老院代わりに 貸しておいてやるさ 220 00:15:01,270 --> 00:15:03,210 大体 三長官の地位など 221 00:15:03,210 --> 00:15:08,410 俺にとっては単なる通過点に 過ぎないのだからな 222 00:15:08,410 --> 00:15:13,220 どうした キルヒアイス 何か言いたいことがありそうだな 223 00:15:13,220 --> 00:15:16,120 お分かりでしょうに お人の悪い 224 00:15:16,120 --> 00:15:20,930 怒るな オーベルシュタインを 参謀にするという件だろう 225 00:15:20,930 --> 00:15:23,830 オーベルシュタインは 危険な男です 226 00:15:23,830 --> 00:15:28,030 分かっている 頭は 切れるだろうが癖があり過ぎる 227 00:15:28,030 --> 00:15:31,440 ゼークトごときの 手に負える男ではなかったのだ 228 00:15:31,440 --> 00:15:35,010 ラインハルト様のお手には 負えるのですか? 229 00:15:35,010 --> 00:15:36,940 そうだな 230 00:15:36,940 --> 00:15:41,650 私は あの男に友情や忠誠心を 期待してはいない 231 00:15:41,650 --> 00:15:45,050 あの男は私を利用しようと しているだけだ 232 00:15:45,050 --> 00:15:49,750 自分自身の目的を果たすためにな 233 00:15:49,750 --> 00:15:53,620 だから私もオーベルシュタインの 頭脳を利用する 234 00:15:53,620 --> 00:15:55,990 オーベルシュタイン一人を 御し得ないで 235 00:15:55,990 --> 00:16:01,300 宇宙の覇権を望むなど 不可能だと思わないか? 236 00:16:01,300 --> 00:16:03,370 飲むか?いいワインが手に入った 237 00:16:03,370 --> 00:16:08,070 いえ 今日はまだ 仕事が残っておりますので 238 00:16:08,070 --> 00:16:10,070 そうか 239 00:16:26,460 --> 00:16:28,460 「我々の目的のために」 240 00:16:28,460 --> 00:16:32,730 「オーベルシュタインを 利用するだけだ」 241 00:16:32,730 --> 00:16:35,530 「我々の目的」か 242 00:16:39,370 --> 00:16:43,040 急ぎましょう ラインハルト様 門限に間に合わなくなります 243 00:16:43,040 --> 00:16:47,510 久しぶりに姉上に会えて 思わず長居をしてしまった 244 00:16:47,510 --> 00:16:50,380 お元気そうで何よりでした 245 00:16:50,380 --> 00:16:52,880 あんな所にいて元気なものか 246 00:16:54,890 --> 00:16:56,890 キルヒアイス 近道だ 247 00:17:00,520 --> 00:17:02,460 ラインハルト様 しっ 248 00:17:02,460 --> 00:17:07,870 いいではないか 逆らうでない 言う事を聞けば悪いようにはせぬ 249 00:17:07,870 --> 00:17:09,800 お許しを 金ならやるぞ 250 00:17:09,800 --> 00:17:11,770 それとも我が家で 暮らせるようにしてやろうか 251 00:17:11,770 --> 00:17:15,610 私には将来を誓った者があります それがどうした 252 00:17:15,610 --> 00:17:19,480 貴族のわしと比べものになるか 誰か! 253 00:17:19,480 --> 00:17:22,310 誰が来ても わしに逆らえる者などおらんわ 254 00:17:22,310 --> 00:17:25,310 お前もおとなしく 言う事を聞かんと どうなるか… 255 00:17:38,900 --> 00:17:41,600 ラインハルト様 ムチャが過ぎます 256 00:17:46,140 --> 00:17:49,570 あんなやつら 257 00:17:49,570 --> 00:17:51,880 あいつらは 人を何だと思ってるんだ 258 00:17:51,880 --> 00:17:56,710 支配するのが当たり前だという 顔をしてやがる 259 00:17:56,710 --> 00:17:59,580 人から奪うことも 人を踏みつけることも 260 00:17:59,580 --> 00:18:02,450 自分たちには許された 特権だとでもいうのか 261 00:18:02,450 --> 00:18:06,320 あいつら 腐りきっている この帝国は腐りきっている 262 00:18:06,320 --> 00:18:08,320 ラインハルト様 263 00:18:14,100 --> 00:18:16,430 俺が あのルドルフを 許せなく思うのは 264 00:18:16,430 --> 00:18:19,970 皇帝になって何をしたかだ 265 00:18:19,970 --> 00:18:22,770 自分に こびへつらう者を 貴族に据えた 266 00:18:22,770 --> 00:18:26,140 その結果が あの体たらくだ 267 00:18:26,140 --> 00:18:28,910 こう考えたことないか? キルヒアイス 268 00:18:28,910 --> 00:18:30,850 ゴールデンバウム王朝は 269 00:18:30,850 --> 00:18:32,880 人類の発生とともに 存在したわけじゃない 270 00:18:32,880 --> 00:18:36,650 あのルドルフが創ってから たかが500年だ 271 00:18:36,650 --> 00:18:38,660 ええ 272 00:18:38,660 --> 00:18:41,390 その前は皇帝などおらず ゴールデンバウム家も 273 00:18:41,390 --> 00:18:44,700 ただの一市民に 過ぎなかったってことだ 274 00:18:44,700 --> 00:18:47,970 元々ルドルフは成り上がりの 野心家に過ぎなかった 275 00:18:47,970 --> 00:18:52,140 それが時流に乗って神聖不可侵の 皇帝などに なりおおせたんだ 276 00:18:52,140 --> 00:18:54,070 ラインハルト様 277 00:18:54,070 --> 00:18:56,470 キルヒアイス はい 278 00:18:56,470 --> 00:19:00,570 あのルドルフに可能だったことが 俺に不可能だと思うか? 279 00:19:02,780 --> 00:19:05,620 大丈夫 誰もいない 280 00:19:05,620 --> 00:19:08,990 ラインハルト様 そのようなことを口にされては 281 00:19:08,990 --> 00:19:12,290 大丈夫だ キルヒアイス お前だけだ 282 00:19:14,530 --> 00:19:17,830 どうだ 不可能だと思うか? 283 00:19:17,830 --> 00:19:21,530 やるかもしれない この人なら 284 00:19:21,530 --> 00:19:23,470 一緒に来い キルヒアイス 285 00:19:23,470 --> 00:19:25,770 2人で宇宙を手に入れるんだ 286 00:19:32,580 --> 00:19:35,980 宇宙を手にお入れください ラインハルト様 287 00:19:35,980 --> 00:19:37,980 そして… 288 00:19:50,430 --> 00:19:53,130 あの夜と変わらないな 星は 289 00:19:58,170 --> 00:20:00,100 閣下 この度の処置 290 00:20:00,100 --> 00:20:02,740 後悔なさっておられるのでは ないでしょうな 291 00:20:02,740 --> 00:20:04,680 そんなことはない 292 00:20:04,680 --> 00:20:10,050 これからの私の戦いは 戦場でのものだけではない 293 00:20:10,050 --> 00:20:13,880 政治闘争 宮廷闘争 294 00:20:13,880 --> 00:20:18,620 奇麗事では済まぬ だまし合いや 殺し合いも必要になろう 295 00:20:18,620 --> 00:20:22,990 よいか オーベルシュタイン そのためにこそ卿を買ったのだ 296 00:20:22,990 --> 00:20:27,830 帝国軍三長官の椅子と 引き換えにな 297 00:20:27,830 --> 00:20:29,830 私の役に立て 298 00:20:35,110 --> 00:20:39,210 そこまでお分かりなら 何も申し上げることはありません 299 00:20:49,220 --> 00:20:52,190 おそれながら陛下 何か? 300 00:20:52,190 --> 00:20:55,990 ご不興を被るのを覚悟の上で 申し上げますが 301 00:20:55,990 --> 00:20:58,960 ローエングラム伯のことか? 302 00:20:58,960 --> 00:21:01,200 余がアンネローゼの弟に 303 00:21:01,200 --> 00:21:05,900 地位と権力を与え過ぎると 言うのであろう 304 00:21:05,900 --> 00:21:09,410 陛下にはご承知で いらっしゃいましたか 305 00:21:09,410 --> 00:21:11,340 恐れを知らぬ者ゆえ 306 00:21:11,340 --> 00:21:14,550 重臣として 権力をふるうにとどまらず 307 00:21:14,550 --> 00:21:19,850 図に乗って さん奪を 企むやもしれぬとでも思うか? 308 00:21:19,850 --> 00:21:23,720 口の端にのぼせるのも はばかり多きことながら 309 00:21:23,720 --> 00:21:27,490 よいではないか は? 310 00:21:27,490 --> 00:21:29,430 人類の創世とともに 311 00:21:29,430 --> 00:21:33,200 ゴールデンバウム王朝が あったわけではない 312 00:21:33,200 --> 00:21:38,040 不死の人間がおらぬと同様 不滅の国家もあるまい 313 00:21:38,040 --> 00:21:42,640 余の代で銀河帝国が 絶えて悪い道理がなかろう 314 00:21:47,710 --> 00:21:49,680 どうせ滅びるなら 315 00:21:49,680 --> 00:21:54,880 せいぜい華麗に滅びるがよいのだ 316 00:21:58,190 --> 00:22:00,120 銀河帝国皇帝は 317 00:22:00,120 --> 00:22:04,460 初代ルドルフ大帝以来 36代を数える 318 00:22:04,460 --> 00:22:07,430 その500年に なんなんとする歴史に 319 00:22:07,430 --> 00:22:10,070 終止符が打たれる時が 近づいているのを 320 00:22:10,070 --> 00:22:13,370 予感している者は まだ少ない 321 00:23:48,870 --> 00:23:54,240 銀河帝国の歴史は血で血を洗う 政治抗争の歴史であった 322 00:23:54,240 --> 00:23:59,210 今 ラインハルトとキルヒアイスは その一つの争いに巻き込まれる 323 00:23:59,210 --> 00:24:03,880 次回「銀河英雄伝説」 第9話 「クロプシュトック事件」 324 00:24:03,880 --> 00:24:06,980 銀河の歴史が また1ページ