1 00:00:06,150 --> 00:00:08,590 帝都オーディンでは ノイエ・サンスーシより 2 00:00:08,590 --> 00:00:11,360 高い建物の建設は 認められていない 3 00:00:11,360 --> 00:00:16,060 それは国政を司る この帝国宰相府とて例外ではない 4 00:00:16,060 --> 00:00:20,030 帝国では 第31代皇帝オトフリート3世が 5 00:00:20,030 --> 00:00:22,670 皇太子時代に 帝国宰相を務めて以来 6 00:00:22,670 --> 00:00:24,610 正式には宰相を置かず 7 00:00:24,610 --> 00:00:28,340 国務尚書が宰相代理として その任に当たってきた 8 00:00:28,340 --> 00:00:32,580 臣下が皇帝の先例にならうことを はばかったのである 9 00:00:32,580 --> 00:00:35,020 先年 リヒテンラーデ公クラウスが 10 00:00:35,020 --> 00:00:38,050 およそ1世紀ぶりに 宰相の地位に就いたものの 11 00:00:38,050 --> 00:00:40,860 リップシュタット戦役終了時の 混乱によって 12 00:00:40,860 --> 00:00:43,620 その地位を追われている 13 00:00:43,620 --> 00:00:48,130 現在の宰相府の主は 帝国軍最高司令長官を兼任し 14 00:00:48,130 --> 00:00:52,100 臣下としては歴史上最大の権力を 持つに至っている 15 00:00:52,100 --> 00:00:55,870 ありがとう しかも歴代の宰相や宰相代理が 16 00:00:55,870 --> 00:01:00,310 皇帝に任命されたのと異なり 皇帝に任命させたのだと言われる 17 00:01:00,310 --> 00:01:03,110 それがローエングラム公 ラインハルトである 18 00:01:03,110 --> 00:01:05,810 お邪魔だったでしょうか 宰相閣下 19 00:01:05,810 --> 00:01:09,380 いや 構わない 用件を伺おう フロイライン 20 00:01:09,380 --> 00:01:13,320 憲兵総監 ケスラー大将より 面会願いが届いております 21 00:01:13,320 --> 00:01:15,690 それも至急にと ほう? 22 00:01:15,690 --> 00:01:18,990 ケスラーほどの男が それほど急いでいるか 23 00:01:18,990 --> 00:01:22,860 会おう 連れてきてくれ はい 24 00:01:22,860 --> 00:01:24,800 荒れそうだな 25 00:01:24,800 --> 00:01:28,900 雷雨になるだろうと 気象部から報告が来ております 26 00:01:33,070 --> 00:01:35,910 旧リップシュタット連合軍の 残党2人が 27 00:01:35,910 --> 00:01:39,410 先日 帝都に潜入したとの情報が 入りましたので 28 00:01:39,410 --> 00:01:41,650 ご報告に参上した次第です 29 00:01:41,650 --> 00:01:45,450 なぜ それが分かったのだ 実は密告がございまして 30 00:01:45,450 --> 00:01:49,950 密告?まあよい で? 31 00:01:51,960 --> 00:01:55,400 ランズベルク伯アルフレッドです 年齢26歳 32 00:01:55,400 --> 00:01:58,300 昨年のリップシュタット盟約に 参加した貴族の一人で 33 00:01:58,300 --> 00:02:00,630 敗戦後はフェザーンに 亡命しておりました 34 00:02:00,630 --> 00:02:04,270 覚えている 何度か宮廷などで 顔を合わせたことがある 35 00:02:04,270 --> 00:02:08,080 それほど私に敵意や憎悪を 抱いている風ではなかったが 36 00:02:08,080 --> 00:02:10,410 うまくもない詩や小説に熱中する 37 00:02:10,410 --> 00:02:12,810 苦労知らずという 感じだったからな 38 00:02:12,810 --> 00:02:16,420 単純に門閥主義を絶対と 信じ込んだのだろうが 39 00:02:16,420 --> 00:02:19,250 リップシュタット連合軍の 参謀の一員であった 40 00:02:19,250 --> 00:02:22,990 レオポルド・シューマッハ大佐です 年齢は32歳 41 00:02:22,990 --> 00:02:27,190 この男は知らんが 平民の出で30そこそこで大佐とは 42 00:02:27,190 --> 00:02:29,130 よほどの武勲に恵まれたのか 43 00:02:29,130 --> 00:02:32,930 後方勤務が多かったようですので 異例の出世と言うべきですが 44 00:02:32,930 --> 00:02:35,840 それだけの能力を 持った男のようです 45 00:02:35,840 --> 00:02:38,270 そうか 惜しいな 46 00:02:38,270 --> 00:02:40,770 この2名が安全な亡命地を捨てて 47 00:02:40,770 --> 00:02:43,140 なぜ このオーディンに 立ち戻ったのか 48 00:02:43,140 --> 00:02:45,210 その目的は まだ つかめてはおりませんが 49 00:02:45,210 --> 00:02:49,020 不逞なたくらみを企てているのは まず間違いないかと 50 00:02:49,020 --> 00:02:52,190 彼らは旅券と入国査証を 持っていたはずだな 51 00:02:52,190 --> 00:02:55,720 それも偽名の物を やはり偽物だったのか 52 00:02:55,720 --> 00:02:57,660 いえ 入国審査に際しては 53 00:02:57,660 --> 00:02:59,730 何ら不審な点は ございませんでした 54 00:02:59,730 --> 00:03:03,100 密告がなければ その正体は 判明しなかったでしょう 55 00:03:03,100 --> 00:03:06,300 実は こうして参上しましたのは 旅券と査証が 56 00:03:06,300 --> 00:03:08,940 フェザーン政府発行の 本物であった以上 57 00:03:08,940 --> 00:03:11,840 この件にフェザーンが 何らかの形で関与しているのは 58 00:03:11,840 --> 00:03:14,140 明白であると思われますので 59 00:03:14,140 --> 00:03:18,010 閣下の政治的ご判断を 仰ぐべきだと考えたからです 60 00:03:18,010 --> 00:03:22,850 彼らの所在は? ひそかに監視をさせております 61 00:03:22,850 --> 00:03:26,120 分かった そのまま 気づかれぬように監視を続けろ 62 00:03:26,120 --> 00:03:29,720 後のことは追って指示する はっ それでは 63 00:03:34,830 --> 00:03:37,870 帝国の歴史家どもは ルドルフ大帝の怒号を 64 00:03:37,870 --> 00:03:41,440 雷に例えているが ご存じだろうか? 65 00:03:41,440 --> 00:03:43,370 ええ 存じております 66 00:03:43,370 --> 00:03:46,710 なかなか巧みな比喩だ 67 00:03:46,710 --> 00:03:50,680 雷というやつは 要するにエネルギーの浪費だ 68 00:03:50,680 --> 00:03:53,180 巨大な熱と光と音を持っているが 69 00:03:53,180 --> 00:03:57,620 ただ荒れ狂うだけで 何ひとつ他を益するものはない 70 00:03:57,620 --> 00:04:01,490 まさにルドルフにふさわしい 71 00:04:01,490 --> 00:04:05,690 だが俺は違う 俺は そうはならない 72 00:04:05,690 --> 00:04:07,630 フロイライン・マリーンドルフ 73 00:04:07,630 --> 00:04:10,830 あなたは どうお考えかな 意見を聞かせてほしい 74 00:04:10,830 --> 00:04:14,400 ランズベルク伯が帝都へ 戻ってきた理由についてですの? 75 00:04:14,400 --> 00:04:17,000 そうだ おとなしく フェザーンに居座って 76 00:04:17,000 --> 00:04:19,770 下手な詩でも作っていれば 平和に過ごせるものを 77 00:04:19,770 --> 00:04:22,480 なぜ危険を冒してまで 戻ってきたか 78 00:04:22,480 --> 00:04:24,410 あなたはどう考える? 79 00:04:24,410 --> 00:04:26,880 ランズベルク伯は 私の知る限りでは 80 00:04:26,880 --> 00:04:29,720 かなりのロマンチストでしたわ 81 00:04:29,720 --> 00:04:31,750 あなたの観察に異存はないが 82 00:04:31,750 --> 00:04:34,360 あのヘボ詩人が 故郷へ帰ること自体に 83 00:04:34,360 --> 00:04:36,960 ロマンを見出したとも思えないな 84 00:04:36,960 --> 00:04:39,930 老人になってからのことなら 納得もできるが 85 00:04:39,930 --> 00:04:42,760 昨年の内乱から まだ1年も経っていない 86 00:04:42,760 --> 00:04:44,730 おっしゃるとおりです 87 00:04:44,730 --> 00:04:48,370 ランズベルク伯が 戻ってきた理由は もっと深刻で 88 00:04:48,370 --> 00:04:50,800 彼にとって危険を冒す価値の あるものでしょう 89 00:04:50,800 --> 00:04:53,340 それは何かな? テロです 90 00:04:53,340 --> 00:04:56,210 歴史が証明するように 行動的ロマンチストを 91 00:04:56,210 --> 00:04:59,780 最も高揚させるのは 強者に対するテロリズムです 92 00:04:59,780 --> 00:05:02,620 テロというと 私を暗殺するつもりかな? 93 00:05:02,620 --> 00:05:04,550 いいえ 恐らく違うと思います 94 00:05:04,550 --> 00:05:06,490 ほう?なぜ そう言い切れる 95 00:05:06,490 --> 00:05:08,490 ケスラー大将がおっしゃるように 96 00:05:08,490 --> 00:05:12,130 今回の件にはフェザーンが 絡んでいると思われます 97 00:05:12,130 --> 00:05:15,160 今 万が一閣下が暗殺の手に お倒れになれば 98 00:05:15,160 --> 00:05:17,630 せっかくの統一権力が瓦解して 99 00:05:17,630 --> 00:05:20,400 社会と経済の混乱をきたすことは 明白です 100 00:05:20,400 --> 00:05:22,340 少なくとも現時点において 101 00:05:22,340 --> 00:05:24,910 フェザーンが それを望むとは思えません 102 00:05:24,910 --> 00:05:27,140 もしフェザーンが テロを使嗾するとすれば 103 00:05:27,140 --> 00:05:30,610 暗殺ではなく 要人の誘拐ではないかと 104 00:05:30,610 --> 00:05:33,250 だとすると その対象は誰かな? 105 00:05:33,250 --> 00:05:35,180 3人の方が考えられます 106 00:05:35,180 --> 00:05:38,090 1人は むろん私だな あとの2人は? 107 00:05:38,090 --> 00:05:41,420 1人は閣下の姉君 グリューネワルト伯爵夫人です 108 00:05:41,420 --> 00:05:44,290 もし姉上に危害を 加えるようなことがあったら 109 00:05:44,290 --> 00:05:47,090 ヘボ詩人め 絶対に許さん 110 00:05:47,090 --> 00:05:50,700 人間に感じられる痛みという 痛みを味わわせてくれる 111 00:05:50,700 --> 00:05:53,500 これ以上 考えられないほど 残酷に殺してやるぞ 112 00:05:53,500 --> 00:05:56,070 ローエングラム公 私の申し上げたことは 113 00:05:56,070 --> 00:05:58,740 配慮が足りませんでした お許しください 114 00:05:58,740 --> 00:06:02,040 姉君が誘拐されることは 今回の場合 まずあり得ません 115 00:06:02,040 --> 00:06:05,810 なぜ そう言い切れる 女性を誘拐して人質とすることは 116 00:06:05,810 --> 00:06:08,250 ランズベルク伯の主義に 反するからです 117 00:06:08,250 --> 00:06:11,920 先ほども申し上げましたけれど 彼はロマンチストです 118 00:06:11,920 --> 00:06:14,560 か弱い女性をさらったと 後ろ指を指されるより 119 00:06:14,560 --> 00:06:17,860 実行の困難さに勝る 他の道を選ぶことでしょう 120 00:06:17,860 --> 00:06:22,130 なるほど ランズベルク伯は あのヘボ詩人はそうかもしれない 121 00:06:22,130 --> 00:06:24,830 だがフェザーンは最も 悪い意味においてリアリストだ 122 00:06:24,830 --> 00:06:28,640 労少なくして功多い方法を 実行者に強制する可能性は 123 00:06:28,640 --> 00:06:30,600 あるではないか 閣下 それならば 124 00:06:30,600 --> 00:06:34,410 わざわざランズベルク伯という 人選はしないでしょう 125 00:06:34,410 --> 00:06:37,810 結局 計画者と実行者の双方が 満足する要件を満たす 126 00:06:37,810 --> 00:06:41,520 第3の方こそ 今回の誘拐の対象だと考えます 127 00:06:41,520 --> 00:06:46,150 それは誰のことかな 現在 至尊の冠を頂いておられます 128 00:06:46,150 --> 00:06:49,590 すると あなたは ヘボ詩人が皇帝を誘拐すると? 129 00:06:49,590 --> 00:06:52,390 彼にとって これは誘拐ではありません 130 00:06:52,390 --> 00:06:56,600 幼少の主君を敵の手から救出する 忠臣の行為です 131 00:06:56,600 --> 00:07:00,400 何の抵抗もなく それどころか 喜々として実行するでしょう 132 00:07:00,400 --> 00:07:05,010 ヘボ詩人にとっては それでいいだろう だが 133 00:07:05,010 --> 00:07:07,910 結局 またしても フェザーンの黒狐が 134 00:07:07,910 --> 00:07:12,450 やつは決して自分では踊らない 幕の影で笛を吹くだけだ 135 00:07:12,450 --> 00:07:15,120 踊らされるほうこそ いい面の皮だな 136 00:07:15,120 --> 00:07:17,050 フロイライン・マリーンドルフ 137 00:07:17,050 --> 00:07:19,650 ヘボ詩人たちの潜入を 密告してきたのは 138 00:07:19,650 --> 00:07:23,590 フェザーンの工作員ではないかと 私は思うのだが どうだろう 139 00:07:23,590 --> 00:07:26,290 閣下のお考えが 正しいと考えます 140 00:07:34,170 --> 00:07:37,940 うん やはり帝都の黒ビールの 芳醇なこと 141 00:07:37,940 --> 00:07:40,570 フェザーンの物では こうはいかないからな 142 00:07:40,570 --> 00:07:42,510 失礼ながら伯爵閣下 143 00:07:42,510 --> 00:07:44,810 そのビールを 製造しております工場は 144 00:07:44,810 --> 00:07:47,350 我がフェザーンの資本で 運営されております 145 00:07:47,350 --> 00:07:50,050 それに このホテルも フェザーンの経営でして 146 00:07:50,050 --> 00:07:54,860 まあ それだけに秘密も守れるし 安全でもあるというわけですが 147 00:07:54,860 --> 00:07:57,420 いや 余計なことを 言いましたかな 148 00:07:57,420 --> 00:08:00,790 それでは上司からの指示は お伝えしました 149 00:08:00,790 --> 00:08:03,390 決行の日などは追って連絡します 150 00:08:06,530 --> 00:08:11,270 書記官殿 ボルテック弁務官殿には ご協力感謝するとお伝えください 151 00:08:11,270 --> 00:08:13,270 承知しました 152 00:08:19,150 --> 00:08:21,920 うん?大佐 食事をしないのか 153 00:08:21,920 --> 00:08:26,390 ちょっと用を思い出しました すぐ戻ります 154 00:08:26,390 --> 00:08:29,390 やれやれ 落ち着かん男だな 155 00:08:33,160 --> 00:08:37,160 大佐 何を? 156 00:08:37,160 --> 00:08:39,300 話してもらおうか 157 00:08:39,300 --> 00:08:41,870 ボルテック弁務官は 他にも何か言っていただろう 158 00:08:41,870 --> 00:08:44,770 報酬のことか それなら我々ではなく 159 00:08:44,770 --> 00:08:49,310 フェザーンにいるレムシャイド伯が 貴官には提督の称号を授けると 160 00:08:49,310 --> 00:08:52,210 そんなことではない ならば何を 161 00:08:52,210 --> 00:08:55,980 このオーディンに戻って実感した 社会が変わったのだ 162 00:08:55,980 --> 00:09:00,820 それも綱紀が粛正され いい方向への改革がなされている 163 00:09:00,820 --> 00:09:03,260 仮に今回の計画が成功して 164 00:09:03,260 --> 00:09:06,660 将来的にローエングラム公の 打倒を目指すのだとしたら 165 00:09:06,660 --> 00:09:09,160 それは歴史の逆行だ 166 00:09:09,160 --> 00:09:11,230 旧王朝への忠誠心に燃える 167 00:09:11,230 --> 00:09:14,030 ランズベルク伯や レムシャイド伯はともかく 168 00:09:14,030 --> 00:09:17,640 現実主義者のフェザーンが 真にたくらんでいるのは何だ 169 00:09:17,640 --> 00:09:22,110 それはローエングラム公の改革が 我々の権益を損ねるから… 170 00:09:22,110 --> 00:09:25,680 それだけか?まさか我々を そそのかしておいて 171 00:09:25,680 --> 00:09:28,420 その情報をローエングラム公に 流して恩を売る 172 00:09:28,420 --> 00:09:32,290 そんなことを考えているのでは あるまいな どうなんだ? 173 00:09:32,290 --> 00:09:35,190 そんなことはない この計画は成功させる 174 00:09:35,190 --> 00:09:40,030 我々が それを目指しているのに うそ偽りはない 175 00:09:40,030 --> 00:09:43,500 大佐 貴官こそ 裏切るつもりではなかろうな 176 00:09:43,500 --> 00:09:46,500 そうだ と言いたいところだが この計画には 177 00:09:46,500 --> 00:09:49,370 フェザーンにいる部下たちの 安全と生活がかかっている 178 00:09:49,370 --> 00:09:51,610 それに やる以上は成功させる 179 00:09:51,610 --> 00:09:54,210 それは武人としての私の 最後の意地だ 180 00:09:54,210 --> 00:09:58,550 ならば結構 我々の目的と利害は一致している 181 00:09:58,550 --> 00:10:01,780 貴官らを信頼して 実行を任せているのだ 182 00:10:01,780 --> 00:10:04,990 こちらの支援も 信頼してもらいたいものだな 183 00:10:04,990 --> 00:10:08,760 その言葉 高等弁務官の口から 直接聞きたい 184 00:10:08,760 --> 00:10:11,690 何?むちゃだ 直接など 185 00:10:11,690 --> 00:10:15,260 私が来ているだけでも 危ない橋を渡っているのに 186 00:10:15,260 --> 00:10:18,970 方法は こちらから連絡する 嫌とは言わせん いいな 187 00:10:18,970 --> 00:10:21,840 分かった とにかく上司に伝える 188 00:10:21,840 --> 00:10:24,840 お互いのためにも いい返事を期待している 189 00:10:27,040 --> 00:10:28,980 それから あまり余計なことを言って 190 00:10:28,980 --> 00:10:32,480 伯爵の気分を壊すのは 控えてもらいたいものだ 191 00:10:40,590 --> 00:10:45,060 「我が友 ジークフリード・ キルヒアイス ここに眠る」 192 00:10:45,060 --> 00:10:47,060 我が友… 193 00:11:11,650 --> 00:11:15,120 まだ上りが随分あります 車でも入れますが 194 00:11:15,120 --> 00:11:18,020 いいわ 手頃な運動に なるでしょうから 195 00:11:42,220 --> 00:11:44,580 グリューネワルト伯爵夫人で いらっしゃいますね 196 00:11:44,580 --> 00:11:46,520 あなたは? 197 00:11:46,520 --> 00:11:49,420 ヒルデガルド・フォン・ マリーンドルフと申します 198 00:11:49,420 --> 00:11:53,230 ローエングラム公爵閣下の 秘書官を務めております 199 00:11:53,230 --> 00:11:57,100 お時間をいただければ幸いです 200 00:11:57,100 --> 00:11:59,600 コンラート はい 201 00:11:59,600 --> 00:12:02,000 お呼びですか アンネローゼ様 202 00:12:02,000 --> 00:12:05,940 お客様がいらしたので お相手をしなくてはならないの 203 00:12:05,940 --> 00:12:10,580 お供の方を食堂へお連れして 夕食を差し上げてちょうだい 204 00:12:10,580 --> 00:12:13,980 はい アンネローゼ様 こちらに 205 00:12:16,880 --> 00:12:19,820 あの子は確かモーデル子爵家の… 206 00:12:19,820 --> 00:12:23,090 ええ モーデル家の一門です 207 00:12:23,090 --> 00:12:28,360 ある人に依頼されて 私がお預かりしています 208 00:12:28,360 --> 00:12:30,360 こちらへ 209 00:12:33,000 --> 00:12:37,200 私に護衛をつけると ラインハルトは言うのですか 210 00:12:37,200 --> 00:12:39,440 はい ローエングラム公は 211 00:12:39,440 --> 00:12:43,310 伯爵夫人がテロの対象と なることを心配されておいでです 212 00:12:43,310 --> 00:12:48,480 できれば戻って自分と一緒に 暮らしてほしいとお望みですけど 213 00:12:48,480 --> 00:12:52,090 恐らくは承知してくださるまいと 214 00:12:52,090 --> 00:12:56,360 ですから せめて山荘の周囲に 警備の兵士を配置することを 215 00:12:56,360 --> 00:12:59,660 許してほしいと そう申しておられます 216 00:13:02,800 --> 00:13:07,130 できるなら私自身で 姉上の元をお訪ねしたいのだが 217 00:13:07,130 --> 00:13:09,800 姉上は お会いくださらぬだろう 218 00:13:09,800 --> 00:13:13,010 だから あなたに頼むのだ 219 00:13:13,010 --> 00:13:17,840 この人がいなかったら 現在の歴史は なかったのだわ 220 00:13:17,840 --> 00:13:23,250 私には護衛をしてもらう必要も 資格もありません フロイライン 221 00:13:23,250 --> 00:13:26,820 伯爵夫人は そのどちらも お持ちでいらっしゃいます 222 00:13:26,820 --> 00:13:30,690 少なくともローエングラム公は そう考えておいでですわ 223 00:13:30,690 --> 00:13:34,030 ご生活の静けさを 妨げぬようにいたしますから 224 00:13:34,030 --> 00:13:37,900 せめて山荘の護衛は 認めていただけませんか? 225 00:13:37,900 --> 00:13:40,700 古いことをお話ししましょう 226 00:13:40,700 --> 00:13:45,170 私とラインハルトの父が わずかな資産を使い果たして 227 00:13:45,170 --> 00:13:48,810 とうとう屋敷も手放し 下町の小さな家に移ったのは 228 00:13:48,810 --> 00:13:50,740 12年前のことです 229 00:13:50,740 --> 00:13:53,310 何もかも なくしたように見えましたけど 230 00:13:53,310 --> 00:13:55,780 新しく得たものもありました 231 00:13:55,780 --> 00:14:00,320 ラインハルトが生まれて初めて 持った友人は 燃えるような赤毛と 232 00:14:00,320 --> 00:14:03,890 感じのいい笑顔を持った 少年でした 233 00:14:03,890 --> 00:14:08,460 その少年に私は言ったのです 234 00:14:08,460 --> 00:14:12,930 「ジーク 弟と 仲良くしてやってね」と 235 00:14:12,930 --> 00:14:16,340 赤毛の少年は 約束を守ってくれました 236 00:14:16,340 --> 00:14:20,510 いえ それどころか 私の望んでいた以上のこと 237 00:14:20,510 --> 00:14:25,350 他の誰にもできないことを やってくれたのです 238 00:14:25,350 --> 00:14:30,220 私がジークフリード・ キルヒアイスの人生と命と 239 00:14:30,220 --> 00:14:35,020 そして それ以外の全てまでも 奪ってしまったのです 240 00:14:35,020 --> 00:14:39,760 彼は亡くなり 私は生き永らえています 241 00:14:39,760 --> 00:14:43,230 私は罪の深い女です 242 00:14:43,230 --> 00:14:45,470 グリューネワルト伯爵夫人 243 00:14:45,470 --> 00:14:49,400 このような申し上げ方を することをお許しください 244 00:14:49,400 --> 00:14:52,940 でも あえて申し上げます 245 00:14:52,940 --> 00:14:55,840 あなたが旧大貴族派のテロに 害されたら 246 00:14:55,840 --> 00:15:01,310 ヴァルハラにいらっしゃるキルヒアイス提督は お喜びになるでしょうか 247 00:15:01,310 --> 00:15:04,280 それに亡くなられた方の ことばかりでなく 248 00:15:04,280 --> 00:15:07,750 生きておられる方のことも どうかお考えください 249 00:15:07,750 --> 00:15:11,160 伯爵夫人 あなたが お見捨てになったら 250 00:15:11,160 --> 00:15:15,730 ローエングラム公は救われません キルヒアイス提督は 251 00:15:15,730 --> 00:15:18,330 亡くなられるには 若すぎる年齢でした 252 00:15:18,330 --> 00:15:21,230 ですが同じように ローエングラム公も 253 00:15:21,230 --> 00:15:25,110 精神的に死ぬには若すぎる 年齢だとは お考えになりませんか 254 00:15:25,110 --> 00:15:28,380 私が弟を見捨てたと おっしゃるのですか 255 00:15:28,380 --> 00:15:32,210 ローエングラム公は 姉君に対して責任を果たしたい 256 00:15:32,210 --> 00:15:34,210 そう考えておいでです 257 00:15:34,210 --> 00:15:36,550 その願いを 受け入れていただいたら 258 00:15:36,550 --> 00:15:39,550 自分は まだ姉君に対して 必要な存在なのだと 259 00:15:39,550 --> 00:15:42,890 お考えになれるでしょう そして それは 260 00:15:42,890 --> 00:15:45,260 ローエングラム公個人だけでなく 261 00:15:45,260 --> 00:15:49,130 もっと広い範囲の人々にとっても 大切なことなのです 262 00:15:49,130 --> 00:15:52,070 もっと広い範囲の人々と おっしゃると 263 00:15:52,070 --> 00:15:54,800 あなたご自身も 含まれるのですか? 264 00:15:54,800 --> 00:15:58,740 フロイライン ええ それは否定しません 265 00:15:58,740 --> 00:16:03,110 でも重要なのは 更に広範囲の人々のことです 266 00:16:03,110 --> 00:16:05,780 銀河帝国の何十億という民衆は 267 00:16:05,780 --> 00:16:10,420 虚無に陥った支配者を 望みはしないでしょう 268 00:16:10,420 --> 00:16:12,420 ご生活を かき乱さないということは 269 00:16:12,420 --> 00:16:15,390 重ねて お約束させていただきます 270 00:16:15,390 --> 00:16:17,760 どうかローエングラム公 いえ 271 00:16:17,760 --> 00:16:21,290 ラインハルト様の願いを かなえてあげてください 272 00:16:21,290 --> 00:16:26,090 あの方が志をお立てになったのも 姉君のためにこそなのですから 273 00:16:29,170 --> 00:16:33,940 お礼を申し上げなくては いけませんわね フロイライン 274 00:16:33,940 --> 00:16:37,280 弟のことを そんなに思いやってくださって 275 00:16:37,280 --> 00:16:39,210 ありがとう 276 00:16:39,210 --> 00:16:43,950 フロイライン・マリーンドルフ あなたのご裁量にお任せします 277 00:16:43,950 --> 00:16:46,450 この山荘を出るつもりは ありませんが 278 00:16:46,450 --> 00:16:50,960 それ以外のことは どうぞあなたの よろしいようになさってください 279 00:16:50,960 --> 00:16:53,860 感謝します グリューネワルト伯爵夫人 280 00:16:53,860 --> 00:16:57,130 アンネローゼと呼んでくださいね これから 281 00:16:57,130 --> 00:17:02,500 はい では私のことも ヒルダとお呼びください 282 00:17:02,500 --> 00:17:05,510 最初に 確認しておきたいことがある 283 00:17:05,510 --> 00:17:08,310 はい 閣下 何事でございましょう 284 00:17:08,310 --> 00:17:13,280 卿は自治領主の全権代理か それとも単なる使い走りか 285 00:17:13,280 --> 00:17:15,820 はあ? どうなのだ 286 00:17:15,820 --> 00:17:18,750 形としては後者でございます 閣下 287 00:17:18,750 --> 00:17:22,590 形か フェザーン人が 実よりも形に重きを置くとは 288 00:17:22,590 --> 00:17:24,820 寡聞にして知らぬな 289 00:17:24,820 --> 00:17:27,360 お褒めいただいたと思って よろしいので? 290 00:17:27,360 --> 00:17:31,330 卿の解釈に干渉する気はない はあ 291 00:17:31,330 --> 00:17:35,100 フェザーンは何を望んでいる おそれながら閣下 292 00:17:35,100 --> 00:17:37,700 おっしゃる意味が よく分かりませんが 293 00:17:37,700 --> 00:17:39,710 ほう 分からぬか 294 00:17:39,710 --> 00:17:42,440 はい 何のことやら 不敏なる身には 295 00:17:42,440 --> 00:17:44,380 それは困った 296 00:17:44,380 --> 00:17:47,680 一流の戯曲が一流の劇として 完成をみるには 297 00:17:47,680 --> 00:17:50,320 一流の俳優が必要だそうだが 298 00:17:50,320 --> 00:17:54,190 卿の演技は いささか 見え透いていて興をそぐな 299 00:17:54,190 --> 00:17:56,690 これは手厳しいおっしゃりようで 300 00:17:56,690 --> 00:17:59,460 言い直したほうがよさそうだな 301 00:17:59,460 --> 00:18:02,200 皇帝を誘拐して 何の利益があるのかと 302 00:18:02,200 --> 00:18:06,200 そう聞いているのだ それにランズベルク伯では 303 00:18:06,200 --> 00:18:09,300 いささか荷が勝ちすぎるとも 思うが どうかな 304 00:18:09,300 --> 00:18:13,740 驚きましたな そこまで お見通しでいらっしゃいましたか 305 00:18:13,740 --> 00:18:15,680 すると密告したのが 306 00:18:15,680 --> 00:18:18,210 私どもフェザーン自治政府の 者であることも 307 00:18:18,210 --> 00:18:20,610 それが閣下への サインであったことも 308 00:18:20,610 --> 00:18:23,180 当然ご承知でいらっしゃいますな 309 00:18:23,180 --> 00:18:27,790 それでは私どもの思惑の全てを ご高覧に入れましょう 310 00:18:27,790 --> 00:18:29,720 私どもフェザーン政府は 311 00:18:29,720 --> 00:18:32,730 閣下が全宇宙を 統一支配なさるにつき 312 00:18:32,730 --> 00:18:37,430 その ご入り用に協力させて いただきたいと考えております 313 00:18:37,430 --> 00:18:40,770 それはルビンスキーの意思か? はい 314 00:18:40,770 --> 00:18:43,670 それにしても その協力の第一歩が 315 00:18:43,670 --> 00:18:48,070 門閥貴族の残党どもに皇帝を 誘拐させることだというのは 316 00:18:48,070 --> 00:18:52,350 いささか説明を 要するのではないか 317 00:18:52,350 --> 00:18:55,180 私どもの考えるところは こうでございます 318 00:18:55,180 --> 00:18:57,120 ランズベルク伯アルフレッドは 319 00:18:57,120 --> 00:19:01,920 幼帝エルウィン・ヨーゼフ2世陛下を 逆臣の手から救出… 320 00:19:01,920 --> 00:19:04,760 いえ これはもちろん 彼の主観ですが 321 00:19:04,760 --> 00:19:07,960 フェザーンを経由して 自由惑星同盟へ逃亡し 322 00:19:07,960 --> 00:19:10,860 そこで亡命政府を 樹立することになりましょう 323 00:19:10,860 --> 00:19:13,800 無論 何ら実態のあるものでは ございませんが 324 00:19:13,800 --> 00:19:18,070 このような事態を閣下は お認めにはなられますまい 325 00:19:18,070 --> 00:19:20,070 当然だ ですから そこで閣下は 326 00:19:20,070 --> 00:19:22,480 自由惑星同盟を討伐なさる 327 00:19:22,480 --> 00:19:25,850 立派な大義名分を 手に入れることになります 328 00:19:25,850 --> 00:19:29,380 大義名分? はい 閣下を支持する民衆たちも 329 00:19:29,380 --> 00:19:32,290 とりあえず内政が 安定していることで満足し 330 00:19:32,290 --> 00:19:36,460 戦いを望まない風潮が 生まれつつあるのではないかと 331 00:19:36,460 --> 00:19:39,260 拝察します 失礼ながら特に 332 00:19:39,260 --> 00:19:42,830 先の要塞戦の結果から 厭戦気分にとらわれる者も 333 00:19:42,830 --> 00:19:47,000 出るでしょう しかし戦う相手が 旧貴族派の残党と 334 00:19:47,000 --> 00:19:51,370 それに加担する者だとなれば 閣下と共に同盟を倒すべく 335 00:19:51,370 --> 00:19:55,140 挙げて力を注ぐことになる いかがでしょう 336 00:19:55,140 --> 00:19:58,510 更に同盟の内部では 皇帝の亡命という事態に 337 00:19:58,510 --> 00:20:01,010 国論が分裂することは必至となり 338 00:20:01,010 --> 00:20:04,520 その点も閣下にとっては 有利に働きます 339 00:20:04,520 --> 00:20:06,450 そうではありませんか? 340 00:20:06,450 --> 00:20:09,360 それで私は どうすればいいのだ 341 00:20:09,360 --> 00:20:12,930 フェザーンの厚意に対して 頭を下げて礼を言えばよいのか? 342 00:20:12,930 --> 00:20:14,960 そう皮肉をおっしゃいますな 343 00:20:14,960 --> 00:20:17,260 では何をしてほしいか はっきり言え 344 00:20:17,260 --> 00:20:19,200 腹の探り合いも時にはよいが 345 00:20:19,200 --> 00:20:21,800 毎回 そうでは いささか胃にもたれる 346 00:20:21,800 --> 00:20:24,100 では単刀直入に申し上げます 347 00:20:24,100 --> 00:20:27,140 ローエングラム公は 政治上 軍事上の覇権と 348 00:20:27,140 --> 00:20:30,710 世俗的な権威の全てを お手になさいませ 349 00:20:30,710 --> 00:20:34,480 私どもフェザーンは 閣下の支配なさる全宇宙における 350 00:20:34,480 --> 00:20:39,120 経済的権益 特に 恒星間の流通と輸送の全てを 351 00:20:39,120 --> 00:20:42,660 独占させていただきます いかがなものでしょうか 352 00:20:42,660 --> 00:20:45,560 悪くない話だが 抜け落ちた点がある 353 00:20:45,560 --> 00:20:47,490 フェザーンの政治的地位は? 354 00:20:47,490 --> 00:20:50,900 閣下の宗主権のもとに 自治を認めていただきます 355 00:20:50,900 --> 00:20:54,370 つまり 主変われど これまでどおりというわけで 356 00:20:54,370 --> 00:20:57,270 それは認めてもよい だが いずれにしても 357 00:20:57,270 --> 00:21:00,140 同盟が皇帝の亡命を 受け入れぬ限り 358 00:21:00,140 --> 00:21:03,010 どれほど優れた戯曲でも 筋の進めようがないが 359 00:21:03,010 --> 00:21:04,940 その辺りはどうか 360 00:21:04,940 --> 00:21:08,820 その点は我がフェザーンの工作を ご信頼くださいますよう 361 00:21:08,820 --> 00:21:11,520 手は打ってあります 必要な限り 362 00:21:11,520 --> 00:21:15,020 同盟が皇帝の受け入れを 拒否すれば 363 00:21:15,020 --> 00:21:18,320 最も間の抜けた立場に 立たされるのは私だ 364 00:21:18,320 --> 00:21:23,030 使い道のないジョーカーを 押し付けられるようなものだ 365 00:21:23,030 --> 00:21:24,960 自ら火を放っておいて 366 00:21:24,960 --> 00:21:28,330 延焼だけは防いでやるとでも 言うのか 笑止な 367 00:21:28,330 --> 00:21:30,270 そのようなことは… 368 00:21:30,270 --> 00:21:34,970 まあよい だがな弁務官 私と盟約を結びたいというのなら 369 00:21:34,970 --> 00:21:37,880 一つ提供してもらわねば ならぬものがある 370 00:21:37,880 --> 00:21:40,750 何でございましょう 言わずと知れたこと 371 00:21:40,750 --> 00:21:43,650 フェザーン回廊の自由航行権だ 372 00:21:43,650 --> 00:21:47,420 どうした 何を驚く なぜ返答せぬ 373 00:21:47,420 --> 00:21:49,360 ええ 即答いたしかねます 374 00:21:49,360 --> 00:21:51,860 私が覇権を確立するのに 協力すると 375 00:21:51,860 --> 00:21:56,760 そう卿は言ったではないか しかもルビンスキーの意思だと 376 00:21:56,760 --> 00:21:59,730 であれば帝国軍が フェザーン回廊を使用するのに 377 00:21:59,730 --> 00:22:03,570 何の不都合があるか 喜んで私の要求に 378 00:22:03,570 --> 00:22:06,140 応じるべきであろう それは… 379 00:22:06,140 --> 00:22:08,740 いくら侵攻の大義名分が できたところで 380 00:22:08,740 --> 00:22:10,740 それを生かす道が 閉ざされていては 381 00:22:10,740 --> 00:22:13,580 無益というものだ ですが… 382 00:22:13,580 --> 00:22:17,450 汗を拭け弁務官 それとも卿らが真に望むのは 383 00:22:17,450 --> 00:22:21,620 帝国がイゼルローン回廊に 無数のしかばねを並べることか? 384 00:22:21,620 --> 00:22:25,020 あり得ることだな 両勢力共倒れの後に 385 00:22:25,020 --> 00:22:28,060 フェザーンひとり 漁夫の利を占めるか 386 00:22:28,060 --> 00:22:30,930 考えすぎでございます 閣下 387 00:22:30,930 --> 00:22:33,070 まあ よかろう 388 00:22:33,070 --> 00:22:35,870 フェザーンにはフェザーンの 利益と主張があるのだろう 389 00:22:35,870 --> 00:22:39,110 だが それは帝国や同盟とて 同じこと 390 00:22:39,110 --> 00:22:41,870 3つの勢力のうち 2つが手を結ぶとして 391 00:22:41,870 --> 00:22:44,340 その一方が必ず フェザーンだなどと 392 00:22:44,340 --> 00:22:46,740 思わぬほうがよいのではないか 393 00:22:55,990 --> 00:22:59,760 どうぞ 失礼します 394 00:22:59,760 --> 00:23:02,660 ありがとう いえ 395 00:23:02,660 --> 00:23:06,630 ねえ これはアンネローゼ様が お作りになったのかしら? 396 00:23:06,630 --> 00:23:10,400 そうです ベッドカバーも テーブルクロスも 397 00:23:10,400 --> 00:23:12,970 みんな アンネローゼ様の お手作りです 398 00:23:12,970 --> 00:23:14,910 そう 399 00:23:14,910 --> 00:23:17,810 興味がおありなんですか? ううん 400 00:23:17,810 --> 00:23:21,010 私は こういった女らしいことは 全然ダメなの 401 00:23:21,010 --> 00:23:23,450 コンプレックスを感じるだけね 402 00:23:23,450 --> 00:23:27,020 1つお聞きしていいですか? いいわよ どうぞ 403 00:23:27,020 --> 00:23:30,390 どうしてアンネローゼ様をそっとして おいてあげないんですか 404 00:23:30,390 --> 00:23:34,260 あの方は静かに暮らしたいと 考えておいでなのに 405 00:23:34,260 --> 00:23:37,000 僕の他にも何人か お仕えしているし 406 00:23:37,000 --> 00:23:39,970 あの方を十分 守ってさしあげられますよ 407 00:23:39,970 --> 00:23:41,970 あなたにも約束するわ 408 00:23:41,970 --> 00:23:45,300 アンネローゼ様の生活を 乱さないと 409 00:23:45,300 --> 00:23:48,710 護衛の兵士は この山荘には 入らないようにするし 410 00:23:48,710 --> 00:23:51,710 あなたの仕事の領分も 決して侵さないわ 411 00:23:51,710 --> 00:23:53,980 だから あなたの他にも 412 00:23:53,980 --> 00:23:56,750 アンネローゼ様をお守り したい人がいるということを 413 00:23:56,750 --> 00:23:58,750 認めてあげてね 414 00:24:23,840 --> 00:24:27,710 陰謀を巡らすボルテック 実行犯とならざるを得ないシューマッハ 415 00:24:27,710 --> 00:24:29,980 その陰謀を逆用するラインハルト 416 00:24:29,980 --> 00:24:34,850 さまざまな思惑の交錯する中 皇帝誘拐計画が実行に移された 417 00:24:34,850 --> 00:24:39,390 次回 銀河英雄伝説 第37話 「幼帝誘拐」 418 00:24:39,390 --> 00:24:42,490 銀河の歴史が また1ページ