1 00:00:02,100 --> 00:00:05,010 <ガンダルヴァ恒星系 第2惑星 ウルヴァシーを> 2 00:00:05,010 --> 00:00:08,610 <恒久的に基地化するため また 2000万の将兵を養うため> 3 00:00:08,610 --> 00:00:13,120 <帝国軍は 本国から多量の物資の 輸送を必要としていた> 4 00:00:13,120 --> 00:00:17,620 <その護衛に当たっていたのは ゾンバルト少将であった> 5 00:00:17,620 --> 00:00:22,490 同盟の戦力は いまだ 完全に崩壊したわけではない 6 00:00:22,490 --> 00:00:25,490 補給というと とかく 軽視しがちだが 7 00:00:25,490 --> 00:00:29,130 補給船を絶つことこそ 敵を撤退に追い込む 8 00:00:29,130 --> 00:00:31,630 最も有効な手段であることを 忘れぬよう 9 00:00:31,630 --> 00:00:35,140 また 常に本隊との連絡を絶やさず 10 00:00:35,140 --> 00:00:38,040 危険を感じたら 直ちに救援を求めるように 11 00:00:38,040 --> 00:00:41,640 承知しております 万が一にも 失敗いたしましたら 12 00:00:41,640 --> 00:00:44,150 この不肖な命を閣下に差し出し 13 00:00:44,150 --> 00:00:46,650 もって 全軍の綱紀を正す 材料としていただきます 14 00:00:46,650 --> 00:00:48,580 どうぞ ご安心を 15 00:00:48,580 --> 00:00:52,150 閣下!ここは 小官が行ってまいりましょうか 16 00:00:52,150 --> 00:00:54,660 ゾンバルト 公言したからには責任を取れ 17 00:00:54,660 --> 00:00:56,590 よいな! はっ 18 00:00:56,590 --> 00:00:58,530 …と 買って出ては みたものの 19 00:00:58,530 --> 00:01:01,100 実に 退屈極まる ≪前方に艦影! 20 00:01:01,100 --> 00:01:04,000 ≪数 およそ1万7000! 何! 21 00:01:04,000 --> 00:01:05,970 トゥルナイゼン はっ! 22 00:01:05,970 --> 00:01:10,110 貴下の艦隊を率いて 補給船団の出迎えに出よ 23 00:01:10,110 --> 00:01:13,010 御意 ですが 何か敵襲の報でも入りましたか 24 00:01:13,010 --> 00:01:15,980 先刻来 定時連絡が途絶えがちでな 25 00:01:15,980 --> 00:01:17,980 了解いたしました! 26 00:01:17,980 --> 00:01:20,120 <ラインハルトの危惧は 当たっていた> 27 00:01:20,120 --> 00:01:23,020 <トゥルナイゼン中将の艦隊が 駆けつけた時> 28 00:01:23,020 --> 00:01:24,990 <同盟軍の姿は 既に なく> 29 00:01:24,990 --> 00:01:29,120 <輸送船団の残骸と 30隻にまで 撃ち減らされた護衛艦が> 30 00:01:29,120 --> 00:01:32,120 <むなしく さまようだけであった> 31 00:01:34,000 --> 00:01:37,000 補給路を狙うのは 敵として 当然の戦法である 32 00:01:37,000 --> 00:01:39,130 わざわざ その点を注意したにも関わらず 33 00:01:39,130 --> 00:01:43,640 また 公言にも関わらず 油断から貴重な物資を損なうとは 34 00:01:43,640 --> 00:01:46,540 弁解の余地なし!自らを裁け 35 00:01:46,540 --> 00:01:48,510 はっ… 36 00:01:48,510 --> 00:01:52,650 これまで 確たる方針を 立てずにいた私にも 責任はあるが 37 00:01:52,650 --> 00:01:56,150 一時的な侵攻と攻略を 事とするなら ともかく 38 00:01:56,150 --> 00:02:00,990 征服を永久のものとするためには 慎重を期さねばならない 39 00:02:00,990 --> 00:02:03,960 だが 今回のことで おのずから 方針は決した 40 00:02:03,960 --> 00:02:08,100 敵の組織的な武力は これを徹底的に排除すべきである 41 00:02:08,100 --> 00:02:11,600 すなわち ヤン艦隊を捕捉 撃滅する 42 00:02:11,600 --> 00:02:13,540 シュタインメッツ提督 43 00:02:13,540 --> 00:02:15,470 はっ 44 00:02:15,470 --> 00:02:17,470 ヤン艦隊は 首都星 ハイネセンに戻らず 45 00:02:17,470 --> 00:02:19,470 いずこかへ姿を消した 46 00:02:19,470 --> 00:02:22,110 卿は 貴下の艦隊を率いて 行方を追え 47 00:02:22,110 --> 00:02:25,980 その所在が明らかになれば 全軍を挙げて これを討つ! 48 00:02:25,980 --> 00:02:28,620 はっ!直ちに 49 00:02:28,620 --> 00:02:33,490 敵が動いた フィッシャー中将 全艦隊を例の宙域に向けてくれ 50 00:02:33,490 --> 00:02:35,490 そこで 凸形陣を取る 51 00:02:35,490 --> 00:02:37,630 アッテンボローは 布陣が完成したら 52 00:02:37,630 --> 00:02:41,500 敵が我々を見つけるように しむけてくれ 方法は任せる 53 00:02:41,500 --> 00:02:45,130 まっ 補給船団を 覆滅させたこと自体は大成功だが 54 00:02:45,130 --> 00:02:48,040 この成功は より苦しい戦いへの 第一歩だからね 55 00:02:48,040 --> 00:02:51,640 勝てば勝つほど より やっかいな敵が出てくるわけだ 56 00:02:51,640 --> 00:02:54,540 考えると バカバカしくなってくるな 全く 57 00:02:54,540 --> 00:02:58,150 んっ?ところで ユリアン どうして お前が ここにいるんだ 58 00:02:58,150 --> 00:03:02,580 えっ?そ… それは… それは つまり その… 59 00:03:02,580 --> 00:03:06,460 それは つまり ミンツ中尉は フェザーンで入手した情報を 60 00:03:06,460 --> 00:03:11,590 ヤン提督の戦術決定の資料として 提供する義務があるからですわ 61 00:03:11,590 --> 00:03:14,500 あっ そういうことです 62 00:03:14,500 --> 00:03:16,470 あれは… 何だ 63 00:03:16,470 --> 00:03:19,470 「何だ」と おっしゃっても あれは ルイ・マシュンゴ少尉ですわ 64 00:03:19,470 --> 00:03:21,600 そいつは分かっている 65 00:03:21,600 --> 00:03:24,110 なぜ あいつまで この艦に乗り込んでいるんだ 66 00:03:24,110 --> 00:03:27,980 無論 ユリアンがいるからでしょ 立派な護衛役ですわ 67 00:03:27,980 --> 00:03:29,980 みんな 勝手に乗り込んできて 68 00:03:29,980 --> 00:03:33,110 軍の規律というものを 何だと思ってるんだ 69 00:03:33,110 --> 00:03:35,620 不正規兵 イレギュラーズばかりじゃないか 70 00:03:35,620 --> 00:03:39,120 全くだ いつの間にか 大所帯になってしまったからな 71 00:03:39,120 --> 00:03:41,060 統制が大変だろう 72 00:03:41,060 --> 00:03:43,990 そういう要塞事務官が どうして ここにいるのかね 73 00:03:43,990 --> 00:03:46,630 そこは それ 大変だろうと思えばこそ 74 00:03:46,630 --> 00:03:50,130 ほうっては おけないだろ 後見人としては 75 00:03:50,130 --> 00:03:55,000 敵艦隊 発見!位置 ライガール トルプラ両星系の中間宙域 76 00:03:55,000 --> 00:03:57,640 通常航路から 随分 離れているな 77 00:03:57,640 --> 00:03:59,570 フェザーン航路局の データによりますと 78 00:03:59,570 --> 00:04:02,480 ブラックホールの存在が 確認されております 79 00:04:02,480 --> 00:04:04,450 シュヴァルツシルト半径は 9キロほどですが 80 00:04:04,450 --> 00:04:08,080 危険宙域の半径は 最大3200光秒 81 00:04:08,080 --> 00:04:10,590 9億6000万キロに及ぶと 推定されます! 82 00:04:10,590 --> 00:04:14,090 10億キロ以内には 接近しないほうが懸命か 83 00:04:14,090 --> 00:04:16,990 その10億キロの距離に 敵艦隊が遊よくし 84 00:04:16,990 --> 00:04:20,600 我が軍の接近に伴い 凸形陣を編制しつつあります! 85 00:04:20,600 --> 00:04:24,100 ヤツらは ブラックホールを後背にして 布陣しているというのだな 86 00:04:24,100 --> 00:04:26,030 どういうつもりだ 87 00:04:26,030 --> 00:04:28,600 後背に危険宙域を控えることで 88 00:04:28,600 --> 00:04:32,110 我々が背後に回り込むのを 防ぐつもりでは ないでしょうか 89 00:04:32,110 --> 00:04:34,040 それに 追い詰められた上での 90 00:04:34,040 --> 00:04:36,980 心理的効果を 狙ったものかもしれません 91 00:04:36,980 --> 00:04:38,980 いわゆる 背水の陣ということでしょう 92 00:04:38,980 --> 00:04:43,120 ならば こちらは 凹形陣を取って半包囲態勢を敷く 93 00:04:43,120 --> 00:04:46,620 敵は 後ろへは逃げられないのだからな 94 00:04:48,990 --> 00:04:51,630 レンネンカンプ提督 はっ 95 00:04:51,630 --> 00:04:54,130 直ちに シュタインメッツ艦隊の増援に向かえ 96 00:04:54,130 --> 00:04:56,630 はっ! 全艦 微速前進! 97 00:04:56,630 --> 00:05:01,070 両翼を伸ばし 半包囲態勢を完全なものにせよ! 98 00:05:01,070 --> 00:05:05,570 よし 全艦 急速前進 敵陣の中央を突破する 99 00:05:18,090 --> 00:05:21,590 敵艦隊に中央を突破されました! 何! 100 00:05:21,590 --> 00:05:24,490 敵艦隊 後方で左右に展開! 101 00:05:24,490 --> 00:05:29,100 全艦 180度回頭! 後方に回り込んだ敵に備えろ! 102 00:05:29,100 --> 00:05:31,030 逆に こちらが ブラックホールに押し込まれるぞ 103 00:05:31,030 --> 00:05:32,970 閣下… 104 00:05:32,970 --> 00:05:34,970 敵の陣形は 防御のためではなかった 105 00:05:34,970 --> 00:05:37,610 我々は なまじ 敵の陣形に合わせて 106 00:05:37,610 --> 00:05:41,480 半包囲しようとしたばかりに かえって 中央部を薄くして 107 00:05:41,480 --> 00:05:44,110 敵の中央突破を しやすくしてしまったのだ! 108 00:05:44,110 --> 00:05:46,620 では 敵は初めから そのつもりで… 109 00:05:46,620 --> 00:05:50,620 我々は乗せられたのだ! 110 00:05:53,120 --> 00:05:56,020 これほどまでに 見事に成功した中央突破 111 00:05:56,020 --> 00:05:58,990 背面展開戦法は 見たことがありません 112 00:05:58,990 --> 00:06:01,930 シュタインメッツも 一流の将帥だ 113 00:06:01,930 --> 00:06:07,070 完璧な計算で取った陣形だろうが 逆に その計算に足を取られたのだ 114 00:06:07,070 --> 00:06:10,570 ひるむな! 態勢が入れかわったのなら 115 00:06:10,570 --> 00:06:12,510 もう一度 入れかえるまでだ! 116 00:06:12,510 --> 00:06:17,450 全艦隊 密集隊形を取って 敵陣の中央突破を図る!急げ! 117 00:06:17,450 --> 00:06:22,450 今だ!全艦 敵陣形の先端部に ピンポイント攻撃をかけろ 118 00:06:28,590 --> 00:06:31,490 いかん!分散しろ! 119 00:06:31,490 --> 00:06:33,460 後背に敵です! 120 00:06:33,460 --> 00:06:35,460 挟撃される恐れがあります! 何! 121 00:06:35,460 --> 00:06:39,600 後背というと どの程度の距離だ? 時間的距離で出してくれ 122 00:06:39,600 --> 00:06:42,100 推定接触時間 およそ3時間後! 123 00:06:42,100 --> 00:06:45,970 では 2時間で敵を破り 1時間で逃げだすとしようか 124 00:06:45,970 --> 00:06:49,980 そんなわけで 攻撃を強化 敵をブラックホールに追い落とす 125 00:06:49,980 --> 00:06:52,610 ワルキューレを出せ! 艦載機の推力では 126 00:06:52,610 --> 00:06:54,550 既に重力圏を離脱できません! 127 00:06:54,550 --> 00:06:57,120 重力計を見ろ! 加速ベクトル 浮上! 128 00:06:57,120 --> 00:06:59,050 全エンジン全開! 駄目です! 129 00:06:59,050 --> 00:07:04,050 重力制御ができない! 助けてくれ!引きずり込まれる! 130 00:07:09,560 --> 00:07:11,560 閣下… 131 00:07:21,080 --> 00:07:23,980 全艦 4時方向に転進せよ 閣下… 132 00:07:23,980 --> 00:07:26,950 シュヴァルツシルト半径 ギリギリの線に突進し 133 00:07:26,950 --> 00:07:28,950 双曲線軌道に乗せて 134 00:07:28,950 --> 00:07:32,090 艦の推力に勝る加速を得て 脱出するのだ 135 00:07:32,090 --> 00:07:35,590 ブラックホールを利用したスイングバイですか そうだ 136 00:07:35,590 --> 00:07:39,460 しかし それでは敵の攻撃に対して 無防備になります 137 00:07:39,460 --> 00:07:42,100 やむをえん このままでは 敵の集中砲火と 138 00:07:42,100 --> 00:07:45,000 ブラックホールに挟まれて 全滅させられる 139 00:07:45,000 --> 00:07:46,970 それよりは… 確かに 140 00:07:46,970 --> 00:07:50,470 全艦 右翼回頭 最大戦速! 141 00:07:55,610 --> 00:07:58,110 ほう 思い切った手を打つな 142 00:07:58,110 --> 00:08:01,550 後方の艦隊 70万キロまで接近! 143 00:08:01,550 --> 00:08:04,450 旗艦 確認! 戦艦 ガルガ・ファルムル! 144 00:08:04,450 --> 00:08:06,420 レンネンカンプ大将の旗艦です 145 00:08:06,420 --> 00:08:09,060 あ~ ミスター レンネンか 146 00:08:09,060 --> 00:08:10,990 前方の敵は 既に壊走状態にあります 147 00:08:10,990 --> 00:08:14,930 予定どおり このまま直ちに 戦場を離脱しますか? 148 00:08:14,930 --> 00:08:17,570 う~ん… 149 00:08:17,570 --> 00:08:21,440 敵が射程距離に入る直前に 主砲を3連斉射 150 00:08:21,440 --> 00:08:24,440 その後で ライガール星系方面へ 逃走すること 151 00:08:24,440 --> 00:08:27,080 ただし ゆっくりと しかも整然と 152 00:08:27,080 --> 00:08:29,080 はっ? 153 00:08:31,580 --> 00:08:33,520 敵艦隊 背走していきます! 154 00:08:33,520 --> 00:08:36,520 逃がすな 最大戦速! 155 00:08:38,450 --> 00:08:44,090 んっ?いや 待て 全艦 いったん 後退 距離を保て! 156 00:08:44,090 --> 00:08:48,590 よし 今だ 全艦隊 反転して攻撃 157 00:08:51,600 --> 00:08:55,100 下がれ! 全艦 後退して陣形を立て直せ! 158 00:08:55,100 --> 00:08:59,610 <3月2日 13時 半ば かい走状態の レンネンカンプ艦隊が> 159 00:08:59,610 --> 00:09:02,510 <ようやく 秩序を回復した時 ヤン艦隊は> 160 00:09:02,510 --> 00:09:05,050 <今度こそ 本格的に 逃げ去ってしまっていた> 161 00:09:05,050 --> 00:09:09,550 なぜ 敵は攻勢を中断して 後退しようとしたのでしょう 162 00:09:09,550 --> 00:09:13,050 あのまま押し続けていれば 立場は逆だったでしょうに 163 00:09:13,050 --> 00:09:15,960 レンネンは 先日 イゼルローン要塞の攻防で 164 00:09:15,960 --> 00:09:19,560 ワナに誘い込まれて 痛い目に遭っているからね 165 00:09:19,560 --> 00:09:22,060 こちらが殊更 わざとらしく隙を見せれば 166 00:09:22,060 --> 00:09:24,570 ワナだと思って 後退したくなるさ 167 00:09:24,570 --> 00:09:28,070 心理学の問題ですね まあね 168 00:09:28,070 --> 00:09:31,570 それにしても これでまた私を憎む 未亡人や孤児が 169 00:09:31,570 --> 00:09:33,510 何十万人か できたわけだ 170 00:09:33,510 --> 00:09:37,450 全てを背負い込むのは 私一人の肩には ちと重いな 171 00:09:37,450 --> 00:09:40,080 地獄へ1回落ちただけで 済むものやら 172 00:09:40,080 --> 00:09:43,950 提督が地獄へ いらっしゃるなら 僕も お供します 173 00:09:43,950 --> 00:09:45,950 少なくとも 寂しくは ありませんよ 174 00:09:45,950 --> 00:09:48,590 バカなことを言うんじゃない 175 00:09:48,590 --> 00:09:52,090 お前には 天国へ行ってもらって 釣り糸で私を地獄から 176 00:09:52,090 --> 00:09:54,030 釣り上げてもらう つもりなんだから 177 00:09:54,030 --> 00:09:56,600 せいぜい 善行を積んでおいてほしいな 178 00:09:56,600 --> 00:09:58,530 なるべく そうします 179 00:09:58,530 --> 00:10:00,470 ヤン艦隊に所属していたら 180 00:10:00,470 --> 00:10:03,100 命が1ダースあっても 足りゃあしない 181 00:10:03,100 --> 00:10:06,610 艦隊戦のダブルヘッダーなんて 聞いたこともないぜ 182 00:10:06,610 --> 00:10:09,110 お前さんの場合 その命の1つごとに 183 00:10:09,110 --> 00:10:11,610 1ダースの女が必要なんだろ 184 00:10:11,610 --> 00:10:13,550 そいつは少し違うな 185 00:10:13,550 --> 00:10:16,480 1ダースの女のほうが 俺を必要としているんだ 186 00:10:16,480 --> 00:10:19,120 だから そう簡単には死ねないさ 187 00:10:19,120 --> 00:10:21,060 なに お前さんがいなくなれば 188 00:10:21,060 --> 00:10:24,990 彼女らは 別の男に別の美点を 見つけるだけのことさ 189 00:10:24,990 --> 00:10:26,990 なっ… 190 00:10:31,130 --> 00:10:34,040 卿らには よい勉強になっただろう 卿らのレベルでは 191 00:10:34,040 --> 00:10:36,640 はかることのできない相手が いるのだ 192 00:10:36,640 --> 00:10:39,140 私が卿らに 現在の地位を なぜ与えたか 193 00:10:39,140 --> 00:10:42,040 それを よく考えて 一から出直せ 194 00:10:42,040 --> 00:10:44,040 はっ 195 00:10:46,010 --> 00:10:51,650 ((では レンネンカンプ提督を更迭して イゼルローン要塞司令官に移し)) 196 00:10:51,650 --> 00:10:53,590 ((代わりに ルッツ提督を お呼び寄せになると)) 197 00:10:53,590 --> 00:10:55,520 ((おっしゃるのですか?)) ((そうだ)) 198 00:10:55,520 --> 00:11:00,660 ((私は それには反対でございます 理由は 3つございます)) 199 00:11:00,660 --> 00:11:03,100 ((1つは レンネンカンプ提督のみを更迭して)) 200 00:11:03,100 --> 00:11:05,600 ((シュタインメッツ提督を 留任させれば)) 201 00:11:05,600 --> 00:11:08,500 ((更迭されたほうに 不公平感が残りましょう)) 202 00:11:08,500 --> 00:11:12,110 ((2つは 既に ゾンバルト少将を粛正して)) 203 00:11:12,110 --> 00:11:15,980 ((一罰百戒を成したのに ここでさらに厳罰を下しては)) 204 00:11:15,980 --> 00:11:18,980 ((人臣を 萎縮させることになります)) 205 00:11:18,980 --> 00:11:22,620 ((もう1つは イゼルローン要塞の司令官職が)) 206 00:11:22,620 --> 00:11:24,550 ((左遷される者の 落ち着き先として)) 207 00:11:24,550 --> 00:11:27,120 ((軽視される結果に なりかねません)) 208 00:11:27,120 --> 00:11:30,630 ((フロイラインの意見は 正論だ だが 公平を期して)) 209 00:11:30,630 --> 00:11:33,530 ((2人とも前線から外せば 戦力が低下しすぎる)) 210 00:11:33,530 --> 00:11:36,500 ((つまり けん責で済ませよう ということか)) 211 00:11:36,500 --> 00:11:40,000 ((ご明察 恐れ入ります)) 212 00:11:42,640 --> 00:11:47,140 ヤン・ウェンリーほどの男が まさか 戦術上の勝利を蓄積させて 213 00:11:47,140 --> 00:11:51,010 戦略レベルでの不利を覆そうと しているとも思えないがな 214 00:11:51,010 --> 00:11:53,650 どういうつもりでいるのか 215 00:11:53,650 --> 00:11:56,550 何だ? 何か思い当たることでもあるのか 216 00:11:56,550 --> 00:12:00,150 んっ?うん… 言ってみろよ 俺にだけ 217 00:12:00,150 --> 00:12:02,590 ローエングラム候が 言われたことがある 218 00:12:02,590 --> 00:12:06,090 同盟軍が戦略上の不利を 一気に逆転するには 219 00:12:06,090 --> 00:12:10,600 戦場において 自分を… つまり ローエングラム候を倒すことだと 220 00:12:10,600 --> 00:12:13,500 ほう… すると ヤン・ウェンリーは 221 00:12:13,500 --> 00:12:17,110 戦術レベルでの勝利に 固執しているかに見えるが 222 00:12:17,110 --> 00:12:20,980 これは全て ローエングラム候を 自分の前に引き出して 223 00:12:20,980 --> 00:12:24,610 正面決戦を強いるための 下準備というわけか 224 00:12:24,610 --> 00:12:26,550 そう考えれば 筋が通る 225 00:12:26,550 --> 00:12:28,480 確かにな 226 00:12:28,480 --> 00:12:30,490 ローエングラム候が お倒れになれば 227 00:12:30,490 --> 00:12:35,120 我々は 指導者を失い 忠誠の対象を失う 228 00:12:35,120 --> 00:12:38,630 これ以上 誰のために戦うのか ということになる 229 00:12:38,630 --> 00:12:40,560 敵としては 願ってもないことだ 230 00:12:40,560 --> 00:12:45,130 誰をもって 後継者と成すか それも定まってはいないからな 231 00:12:45,130 --> 00:12:47,070 誰が後継者となっても 232 00:12:47,070 --> 00:12:52,010 ローエングラム候ほどの 絶対の支持は得られんだろう 233 00:12:52,010 --> 00:12:54,140 もう おしまいか 234 00:12:54,140 --> 00:12:57,050 できれば あと1本 欲しいところだが 235 00:12:57,050 --> 00:13:00,650 残念ながら 輸送部隊が全滅して以来 236 00:13:00,650 --> 00:13:04,520 補給関係者の機嫌と気前が 甚だ悪くなった 237 00:13:04,520 --> 00:13:08,090 高級士官ばかりが いい目を見るわけには いかんしな 238 00:13:08,090 --> 00:13:11,960 ワインやビールなら まだしも 肉やパンの配給が滞ると 239 00:13:11,960 --> 00:13:14,600 兵士たちの士気に影響するぞ 240 00:13:14,600 --> 00:13:18,100 古来 飢えた軍隊が 勝利を得た例はないからな 241 00:13:18,100 --> 00:13:21,000 民衆が革命につながるような 暴動を起こす時に 242 00:13:21,000 --> 00:13:24,610 一番多いきっかけは 食料の不足だそうだ 243 00:13:24,610 --> 00:13:28,110 特に 我々は 敵地深く侵攻しているだけに 244 00:13:28,110 --> 00:13:31,610 兵士たちが一度 不安を覚えると 深刻だぞ 245 00:13:31,610 --> 00:13:34,520 やはり 飢える前に戦わざるをえないか 246 00:13:34,520 --> 00:13:36,480 フェザーンで得た 情報によりますと 247 00:13:36,480 --> 00:13:40,620 同盟軍は 国内に84か所の 補給基地を設けております 248 00:13:40,620 --> 00:13:43,120 我が軍が 補給部隊を攻撃されたからには 249 00:13:43,120 --> 00:13:46,030 目には目を 彼らの補給基地を襲って 250 00:13:46,030 --> 00:13:49,030 物資を強奪してきたいと存じます 251 00:13:51,000 --> 00:13:53,630 よろしいのですか?閣下 252 00:13:53,630 --> 00:13:57,140 うむ いずれにしても 物資は 多いほうが よいし 253 00:13:57,140 --> 00:14:00,040 兵士たちの士気を 高めてやる機会も必要だ 254 00:14:00,040 --> 00:14:02,580 前方より 敵艦隊! 輸送船団のようです! 255 00:14:02,580 --> 00:14:05,080 先頭に輸送コンテナ群を確認! 256 00:14:05,080 --> 00:14:07,580 輸送船が先頭にいる? 257 00:14:07,580 --> 00:14:10,080 それでは ヤツら 前方からの攻撃に 258 00:14:10,080 --> 00:14:12,020 対処できないではないか 259 00:14:12,020 --> 00:14:15,960 この星域は 我が軍の 侵攻ルートからは外れております 260 00:14:15,960 --> 00:14:19,090 まさか 我々がいるとは思わず 油断しているのでしょう 261 00:14:19,090 --> 00:14:21,600 遭遇戦なればこその 無秩序ぶりか 262 00:14:21,600 --> 00:14:25,100 よし それに乗じて コンテナを奪取する 263 00:14:25,100 --> 00:14:28,600 半球形陣に展開しつつ 前進! 264 00:14:36,610 --> 00:14:40,110 ウチの艦隊は 逃げる演技ばかり うまくなって 265 00:14:40,110 --> 00:14:43,620 深追いは するな! 目的は 物資の収集だ 266 00:14:43,620 --> 00:14:45,550 敵が放棄したコンテナの回収を 急げ 267 00:14:45,550 --> 00:14:48,120 積荷の確認をしますか? そうだな 268 00:14:48,120 --> 00:14:50,060 敵艦隊 戻ってきます! 269 00:14:50,060 --> 00:14:53,630 未練がましいことだ コンテナを守りつつ 後退 270 00:14:53,630 --> 00:14:58,130 艦長 本船を最後尾につけろ 逆撃態勢を取る 271 00:14:58,130 --> 00:15:00,070 敵艦隊 まだ後退します! 272 00:15:00,070 --> 00:15:04,070 よし このまま戦線を離脱する 273 00:15:06,570 --> 00:15:09,480 何?コンテナの中に 戦闘員が潜んでいただと? 274 00:15:09,480 --> 00:15:12,450 チッ 我々の物資欲しさを 見透かしての小細工か 275 00:15:12,450 --> 00:15:14,450 物資の奪取は 断念する 276 00:15:14,450 --> 00:15:17,950 コンテナごと ふていな害虫を始末せよ! 277 00:15:20,590 --> 00:15:24,090 全艦 急速前進 残った敵艦隊に砲撃を加える 278 00:15:24,090 --> 00:15:26,030 ヘリウム爆発です! 279 00:15:26,030 --> 00:15:27,960 コンテナの中身は 液体ヘリウムだったもよう! 280 00:15:27,960 --> 00:15:30,600 敵艦隊 来ます! 281 00:15:30,600 --> 00:15:33,500 全艦 最大速度で離脱! 282 00:15:33,500 --> 00:15:35,470 してやられたわ 283 00:15:35,470 --> 00:15:37,470 ≪やった! ≪やった やった! 284 00:15:37,470 --> 00:15:40,110 深追いは しなくていい 285 00:15:40,110 --> 00:15:42,610 人間 何か取り柄があるものだ 286 00:15:42,610 --> 00:15:45,110 ローエングラム候の 怒りと きょうじも 287 00:15:45,110 --> 00:15:47,620 そろそろ 限界点に達しただろう 288 00:15:47,620 --> 00:15:50,120 物資も不足しているはずだ 289 00:15:50,120 --> 00:15:53,990 近日中に全軍を挙げて 大攻勢に出てくるだろう 290 00:15:53,990 --> 00:15:58,630 恐らく これまでにない 苛烈な意志と壮大な戦略を持って 291 00:15:58,630 --> 00:16:00,630 あっ… 292 00:16:02,500 --> 00:16:05,430 もう よい! 293 00:16:05,430 --> 00:16:08,440 ワーレンほどの用兵巧者まで してやられるとはな 294 00:16:08,440 --> 00:16:12,070 用兵巧者だからこそ してやられたのだ 295 00:16:12,070 --> 00:16:14,580 その点は シュタインメッツも レンネンカンプも同様だ 296 00:16:14,580 --> 00:16:18,450 面目ない だが 重要なことが1つ 分かった 297 00:16:18,450 --> 00:16:21,080 戦闘後のヤツらの動きを 監視させたのだが 298 00:16:21,080 --> 00:16:23,580 やはり ヤツらは特定の根拠地を持たず 299 00:16:23,580 --> 00:16:25,520 一戦ごとに補給地を変えて 300 00:16:25,520 --> 00:16:28,090 移動しつつ戦っていることが 確認されたのだ 301 00:16:28,090 --> 00:16:30,020 参ったな 302 00:16:30,020 --> 00:16:32,960 同盟領 それ自体がヤツらの 基地になっているというわけか 303 00:16:32,960 --> 00:16:35,600 正規軍による ゲリラ戦か 304 00:16:35,600 --> 00:16:37,530 イゼルローン要塞さえ 放棄してのけた 305 00:16:37,530 --> 00:16:42,100 ヤン・ウェンリーのことだ 根拠地には固執しないのだろうが 306 00:16:42,100 --> 00:16:45,610 ここまで徹底すると 空恐ろしいほどだ 307 00:16:45,610 --> 00:16:50,110 一個艦隊… わずか 一個艦隊で 我が軍を翻弄している! 308 00:16:50,110 --> 00:16:53,610 ヤツが好きな時に 好きな場所に 出現できるとしてもだ! 309 00:16:53,610 --> 00:16:56,120 いっそ 84か所の補給基地を 310 00:16:56,120 --> 00:16:58,620 ことごとく 占拠ないし 破壊すれば よい 311 00:16:58,620 --> 00:17:04,060 机上の空論だ 全軍を挙げて動けば このガンダルヴァ星系が空になる 312 00:17:04,060 --> 00:17:06,960 それは 兵力分散の愚を犯すだけのことだ 313 00:17:06,960 --> 00:17:09,560 現に 今まで ヤンにしてやられたのは 314 00:17:09,560 --> 00:17:12,070 全て 各個撃破によってではないか 315 00:17:12,070 --> 00:17:14,000 では 手をこまねいて 316 00:17:14,000 --> 00:17:15,940 ヤツらのしゅん動を 見過ごすとおっしゃるのか 317 00:17:15,940 --> 00:17:19,940 そうは言わぬ 我々には 時間の余裕がないのも確かだ 318 00:17:19,940 --> 00:17:22,580 だから ヤン・ウェンリーを誘い出す 319 00:17:22,580 --> 00:17:25,080 ワナにかけて誘い出し 包囲 せん滅する 320 00:17:25,080 --> 00:17:27,980 これしかないだろう 問題は どのようなエサで 321 00:17:27,980 --> 00:17:30,950 ヤツを釣り上げるかだ 322 00:17:30,950 --> 00:17:33,590 ヤン艦隊の行動には 必ず パターンがあるはずだ! 323 00:17:33,590 --> 00:17:35,520 そのパターンさえ 解析すれば 324 00:17:35,520 --> 00:17:39,090 ヤンが次に どの補給地に現れるか 割り出せるはずだ! 325 00:17:39,090 --> 00:17:41,030 バカか?貴様は 326 00:17:41,030 --> 00:17:43,960 その調子で行動パターンが 読み取れるまで待っていたら 327 00:17:43,960 --> 00:17:46,600 何年かかるか 知れたものではない 328 00:17:46,600 --> 00:17:50,100 ヤン・ウェンリーが 盛りのついた 猫のように動き回ろうと 329 00:17:50,100 --> 00:17:54,610 そんなものは ほうっておいて 敵の首都を直撃すればいいのだ! 330 00:17:54,610 --> 00:17:57,510 そして 我々の大部分は 本国へ引き揚げる 331 00:17:57,510 --> 00:18:00,480 すると 無傷のヤン艦隊が いずこからか現れて 332 00:18:00,480 --> 00:18:04,050 首都を奪回し 同盟を再建するだろう 333 00:18:04,050 --> 00:18:06,950 それを倒すために また遠征しなくてはならん 334 00:18:06,950 --> 00:18:08,920 ヤン艦隊さえ たたけば 335 00:18:08,920 --> 00:18:11,930 同盟軍を 有名無実化することができる 336 00:18:11,930 --> 00:18:17,060 だが 逆に彼を倒さぬ限り 我々に最終的な勝利はない 337 00:18:17,060 --> 00:18:19,570 卿らは ヤン・ウェンリーを恐れること 338 00:18:19,570 --> 00:18:22,070 子羊が オオカミを恐れるごとしだな 339 00:18:22,070 --> 00:18:24,000 後世の冷笑を どうするつもりだ 340 00:18:24,000 --> 00:18:25,940 俺が恐れるのは ヤン・ウェンリー 一個人ではなく 341 00:18:25,940 --> 00:18:27,940 本国と前線の距離だ 342 00:18:27,940 --> 00:18:30,580 それを 理解できぬというのであれば 343 00:18:30,580 --> 00:18:33,480 卿と語ることは何もない! 344 00:18:33,480 --> 00:18:35,450 お呼びと伺いましたが 345 00:18:35,450 --> 00:18:40,590 全提督を招集せよ 作戦を定めた 1か月を いでずして 346 00:18:40,590 --> 00:18:44,090 ヤン・ウェンリーの艦隊は 宇宙から消滅するだろう 347 00:18:44,090 --> 00:18:46,990 楽しみにしていることだ 348 00:18:46,990 --> 00:18:48,960 卿らに問う!宇宙の深えんを越え 349 00:18:48,960 --> 00:18:53,100 1万数千光年の征旅を 成してきたのは 何のためか! 350 00:18:53,100 --> 00:18:56,000 1人 ヤン・ウェンリーに 名を成さしめるためか 351 00:18:56,000 --> 00:18:57,970 武人としての 卿らの きょうじは 352 00:18:57,970 --> 00:19:00,910 羽を生やして いずこかへ 逃げ仰せでもしたのか! 353 00:19:00,910 --> 00:19:05,550 閣下の常勝の令名を損ない 罪の大なるを肝に銘じております 354 00:19:05,550 --> 00:19:08,450 ですが いえ だからこそ あえて申し上げます 355 00:19:08,450 --> 00:19:10,420 新たなる勝利によって 356 00:19:10,420 --> 00:19:13,050 敗北を償うことを お許しいただきたいと 357 00:19:13,050 --> 00:19:14,990 期待しよう 358 00:19:14,990 --> 00:19:17,930 だが そろそろ 私自身が出て らちを明けたいのでな 359 00:19:17,930 --> 00:19:19,930 ロイエンタール! はっ! 360 00:19:19,930 --> 00:19:23,060 卿は艦隊を率いて リオヴェルデ星域に赴き 361 00:19:23,060 --> 00:19:25,570 そこの補給基地を 攻略するとともに 362 00:19:25,570 --> 00:19:27,500 周辺航路を制圧せよ! 363 00:19:27,500 --> 00:19:30,440 分かるな これは擬態だ 364 00:19:30,440 --> 00:19:34,580 他の者にも それぞれ艦隊を率いて 私の元から離れてもらう 365 00:19:34,580 --> 00:19:36,510 私が孤立したと見れば 366 00:19:36,510 --> 00:19:38,450 ヤン・ウェンリーも 姿を見せるだろう 367 00:19:38,450 --> 00:19:40,450 網を張って そこを討つのだ! 368 00:19:40,450 --> 00:19:43,580 すると 閣下は ご自身が おとりとなり 369 00:19:43,580 --> 00:19:46,490 直属の艦隊のみで ヤン・ウェンリーの攻勢に 370 00:19:46,490 --> 00:19:48,460 対処なされる おつもりですか? 371 00:19:48,460 --> 00:19:52,590 それは あまりに危険すぎます どうか 小官だけでも 前衛として 372 00:19:52,590 --> 00:19:54,530 おそばに残ることを お許しください 373 00:19:54,530 --> 00:19:56,460 無用な心配だ 374 00:19:56,460 --> 00:19:58,470 私が同数の兵力では 375 00:19:58,470 --> 00:20:00,470 ヤン・ウェンリーに 勝てぬとでも思うか?ミュラー 376 00:20:00,470 --> 00:20:02,600 いえ そのような… 377 00:20:02,600 --> 00:20:04,540 その点を心配しては おりませんが 378 00:20:04,540 --> 00:20:09,110 名将とはいえ ヤン・ウェンリーは 一介の艦隊司令官にすぎません 379 00:20:09,110 --> 00:20:12,980 閣下 御自ら 互角の立場で 勝負をなさるには及びますまい 380 00:20:12,980 --> 00:20:15,620 どうか ご自重を願えます 381 00:20:15,620 --> 00:20:19,490 情報によれば ヤン・ウェンリーは このほど 元帥に昇格したそうだ 382 00:20:19,490 --> 00:20:22,120 私も帝国元帥であるからには 383 00:20:22,120 --> 00:20:24,630 彼と同格であるといっても 大過あるまい 384 00:20:24,630 --> 00:20:29,500 閣下と同格の者など 宇宙のどこにも おりません! 385 00:20:29,500 --> 00:20:33,130 分かりました 閣下が お決めになられたからには 386 00:20:33,130 --> 00:20:35,640 小官らの口を挟むことでは ありません 387 00:20:35,640 --> 00:20:39,140 ただ いかに ヤン・ウェンリーの 鋭鋒に対処されるか 388 00:20:39,140 --> 00:20:41,080 ご深慮の いったんを お教えいただければ 389 00:20:41,080 --> 00:20:43,640 小官らも 安心できるのですが 390 00:20:43,640 --> 00:20:45,580 その点は考えている 391 00:20:45,580 --> 00:20:48,150 ひとつ 卿らの不安を 払ってやるとしようか 392 00:20:48,150 --> 00:20:51,050 エミール 例の物を出してくれ 393 00:20:51,050 --> 00:20:53,050 はい 394 00:21:08,470 --> 00:21:12,110 見るがいい 薄い紙でも 数十枚を重ねれば 395 00:21:12,110 --> 00:21:14,040 ワインを全て 吸い取ってしまう 396 00:21:14,040 --> 00:21:18,610 ヤン・ウェンリーに対するに 私は この戦法をもってするつもりだ 397 00:21:18,610 --> 00:21:22,480 彼の兵力は私の防御陣の全てを 突破することは かなわぬ 398 00:21:22,480 --> 00:21:27,620 そして 彼の進撃が止まった時 卿らは反転した艦隊をもって 399 00:21:27,620 --> 00:21:32,130 彼を包囲し その兵力をせん滅し 私の前に 彼を連れてくるのだ! 400 00:21:32,130 --> 00:21:37,000 生死は問わぬ!彼の姿を 自由惑星同盟の為政者どもに示し 401 00:21:37,000 --> 00:21:39,000 彼らに城下の盟を誓わせよう! 402 00:21:39,000 --> 00:21:41,140 はっ! 403 00:21:41,140 --> 00:21:44,640 ヤン艦隊などに目もくれず 惑星ハイネセンを落とし 404 00:21:44,640 --> 00:21:47,140 同盟政府を降伏させるのです 405 00:21:47,140 --> 00:21:49,080 そして 彼らから ヤン・ウェンリーに 406 00:21:49,080 --> 00:21:51,650 無益な抵抗をやめるように 命令させれば 407 00:21:51,650 --> 00:21:55,150 戦わずして 征服の目的を達せられましょうに 408 00:21:55,150 --> 00:21:58,650 そして 私は ついに ヤンに勝つことなく終わるわけか 409 00:21:58,650 --> 00:22:01,090 いや 駄目だ フロイライン 410 00:22:01,090 --> 00:22:03,990 私は 誰に対しても 負けるわけにはいかない 411 00:22:03,990 --> 00:22:07,960 私に対する人望も信仰も 私が不敗であることに由来する 412 00:22:07,960 --> 00:22:11,100 私は聖者の徳によって 兵士や民衆の支持を 413 00:22:11,100 --> 00:22:14,600 受けているわけでは ないのだからな 414 00:22:14,600 --> 00:22:17,500 では お望みのままに 私も お供いたしますから 415 00:22:17,500 --> 00:22:19,470 いや フロイライン 416 00:22:19,470 --> 00:22:22,480 今回は ここに残って 吉報を待っていてもらおう 417 00:22:22,480 --> 00:22:26,610 今度の戦いは 先日の比ではない 観戦の余裕は なかろう 418 00:22:26,610 --> 00:22:28,550 ですが 閣下… 419 00:22:28,550 --> 00:22:31,120 あなたに 万が一のことでもあれば 420 00:22:31,120 --> 00:22:35,620 マリーンドルフ伯に 申し訳のしようがない 421 00:22:38,990 --> 00:22:45,630 《全軍が反転して ヤン・ウェンリーを包囲 せん滅するか》 422 00:22:45,630 --> 00:22:47,570 《見事な戦略ではある》 423 00:22:47,570 --> 00:22:52,570 《だが 反転してこなかった時は どうなるのだ》 424 00:22:56,140 --> 00:22:59,050 逃げ回ってばかりで 堂々と戦わないなど 425 00:22:59,050 --> 00:23:00,980 ヤン・ウェンリーというヤツは ひきょうです 426 00:23:00,980 --> 00:23:03,580 エミールよ それは違う 427 00:23:03,580 --> 00:23:06,490 「名将」というものは 引くべき時期と逃げる方法とを 428 00:23:06,490 --> 00:23:09,460 わきまえた者にのみ 与えられる呼称だ 429 00:23:09,460 --> 00:23:12,090 進むことと 戦うことしか知らぬ猛獣は 430 00:23:12,090 --> 00:23:14,600 猟師の引き立て役にしかなれぬ 431 00:23:14,600 --> 00:23:16,530 でも 侯爵閣下は 今まで一度も 432 00:23:16,530 --> 00:23:19,100 お逃げになったことが ないでは ありませんか 433 00:23:19,100 --> 00:23:22,600 必要があれば逃げる 必要がなかっただけだ 434 00:23:22,600 --> 00:23:27,110 エミール 私に学ぼうと思うな 私の模倣は誰にもできぬ 435 00:23:27,110 --> 00:23:29,040 かえって 有害になる 436 00:23:29,040 --> 00:23:30,980 だが ヤン・ウェンリーのような男に学べば 437 00:23:30,980 --> 00:23:33,980 少なくとも 愚将には ならずに済むだろう 438 00:23:33,980 --> 00:23:39,120 いや お前は医者になるのだったな らちもないことを言ってしまった 439 00:23:39,120 --> 00:23:42,020 私には 他の生き方はできないのだ 440 00:23:42,020 --> 00:23:44,990 いや もしかしたら できたのかもしれないが 441 00:23:44,990 --> 00:23:48,130 子供の頃に この道を歩むように定まったのだ 442 00:23:48,130 --> 00:23:52,000 私は 奪われたものを 取り戻すために歩み始めた 443 00:23:52,000 --> 00:23:55,000 ただ… もう 寝なさい 444 00:23:55,000 --> 00:23:59,000 子供には 夢を見る時間が必要だ 445 00:24:05,080 --> 00:24:07,580 《お前が望んだことだ》 446 00:24:07,580 --> 00:24:10,080 《望みどおりに してやったからには》 447 00:24:10,080 --> 00:24:14,590 《私の前に出てくるだろうな ミラクル ヤン》 448 00:24:14,590 --> 00:24:16,520 <最大の味方を失って 1年半> 449 00:24:16,520 --> 00:24:20,090 <今 最大の敵を迎える前の 高揚感に満たされて> 450 00:24:20,090 --> 00:24:24,590 <一瞬 ラインハルトは 幸福だった> 451 00:24:26,970 --> 00:24:29,100 <自らを おとりとして ヤンを> 452 00:24:29,100 --> 00:24:31,040 <巨大な包囲網に誘い込む ラインハルト> 453 00:24:31,040 --> 00:24:33,970 <それを承知で 短期決戦に 起死回生を懸ける ヤン> 454 00:24:33,970 --> 00:24:36,980 <ついに 直接対決の戦端が開かれた> 455 00:24:36,980 --> 00:24:40,610 <次回『銀河英雄伝説』 第51話「バーミリオンの死闘(前編)」> 456 00:24:40,610 --> 00:24:42,610 <銀河の歴史が また1ページ>