1 00:00:01,400 --> 00:00:03,340 宇宙暦799年 2 00:00:03,340 --> 00:00:07,340 帝国暦490年5月5日 22時40分 3 00:00:07,340 --> 00:00:10,780 ヤン艦隊の砲列が ラインハルト・ フォン・ローエングラムの旗艦 4 00:00:10,780 --> 00:00:14,650 ブリュンヒルトを まさに その射程内に捕えようとしていた 5 00:00:14,650 --> 00:00:17,550 閣下 首都星ハイネセンより 緊急通信です 6 00:00:17,550 --> 00:00:19,960 うん? 7 00:00:19,960 --> 00:00:21,890 無条件降伏だと? 8 00:00:21,890 --> 00:00:23,890 どういうつもりだ ハイネセンのやつらは! 9 00:00:23,890 --> 00:00:26,730 我々は まさに勝ちつつある いや 勝っている! 10 00:00:26,730 --> 00:00:30,300 帝国軍の喉に手をかけて 絞めあげてる最中なのに 11 00:00:30,300 --> 00:00:32,900 なんだって 今 戦闘を停止せねばならんのだ! 12 00:00:34,900 --> 00:00:38,210 どういうことか? 同盟軍は 前進を止めました 13 00:00:38,210 --> 00:00:42,080 それだけではなく 停戦を申し出ております 14 00:00:42,080 --> 00:00:45,310 司令官!お話しがあります 15 00:00:45,310 --> 00:00:47,550 君の言いたいことは 分かってるつもりだ 16 00:00:47,550 --> 00:00:51,250 だから 何も言わないでくれ 分かっておいでなら 17 00:00:51,250 --> 00:00:54,460 今一度 確認しておきましょう さあ! 18 00:00:54,460 --> 00:00:57,390 政府の命令など無視して 全面攻撃を命令なさい! 19 00:00:57,390 --> 00:01:00,660 そうすれば あなたは3つのものを 手に入れることができる 20 00:01:00,660 --> 00:01:05,000 ローエングラム公の命と 宇宙と 未来の歴史とをね 21 00:01:05,000 --> 00:01:08,370 決心なさい! あなたは このまま前進するだけで 22 00:01:08,370 --> 00:01:11,070 歴史の本道を歩くことになるんだ 23 00:01:15,640 --> 00:01:18,080 うん その手もあるね 24 00:01:18,080 --> 00:01:21,380 だけど 私のサイズに 合った服じゃなさそうだ 25 00:01:21,380 --> 00:01:23,650 全軍に 後退するように伝達してくれ 26 00:01:23,650 --> 00:01:26,150 グリーンヒル少佐 はい 閣下 27 00:01:29,290 --> 00:01:31,290 はあ… 28 00:01:33,600 --> 00:01:37,000 バカげている なぜ 急に こんなことになるのだ 29 00:01:37,000 --> 00:01:39,400 あと1歩で やつらは勝てたではないか! 30 00:01:39,400 --> 00:01:41,840 目前の勝利を 放棄すべき正当な理由が 31 00:01:41,840 --> 00:01:45,710 何か あったと言うのか! その理由は 3日前の 32 00:01:45,710 --> 00:01:49,110 エリューセラ星域での出来事に 端を発していた 33 00:01:52,550 --> 00:01:55,150 接近中の未確認航行物体に告ぐ 34 00:01:55,150 --> 00:01:57,720 こちらは帝国軍 ミッターマイヤー艦隊である 35 00:01:57,720 --> 00:02:00,660 ただちに停船せよ しからざれば攻撃する 36 00:02:00,660 --> 00:02:03,760 我は味方なり 司令官との面会を請う 37 00:02:05,890 --> 00:02:09,630 フロイライン・マリーンドルフ どうして ここへ? 38 00:02:09,630 --> 00:02:12,870 うん… すると今から バーミリオン星系に向かっても 39 00:02:12,870 --> 00:02:15,700 間に合わないと そう おっしゃるのですな? 40 00:02:15,700 --> 00:02:18,610 ええ 疾風ウォルフの 快足をもってしても 41 00:02:18,610 --> 00:02:22,480 ローエングラム公を お救い するのに間に合わないでしょう 42 00:02:22,480 --> 00:02:25,080 では どうせよと おっしゃるのです? 43 00:02:25,080 --> 00:02:28,450 フロイラインには 代案が おありと推測しますが 44 00:02:28,450 --> 00:02:30,450 ここからバーミリオン星系まで 45 00:02:30,450 --> 00:02:33,820 1隻の船ならともかく 艦隊が移動するとなると 46 00:02:33,820 --> 00:02:37,230 ゆうに4日はかかるでしょう 今日が5月2日ですから 47 00:02:37,230 --> 00:02:39,790 到着するのは5月6日になります 48 00:02:39,790 --> 00:02:44,100 私は ここに来る前にバーミリオン の戦況を確かめてまいりましたが 49 00:02:44,100 --> 00:02:47,000 同盟軍の攻勢は 尋常なものではありませんでした 50 00:02:47,000 --> 00:02:48,970 おそらく このまま推移すれば 51 00:02:48,970 --> 00:02:51,440 5月6日になって 戦場に到着しても 52 00:02:51,440 --> 00:02:53,940 すでに勝敗は決しているでしょう 53 00:02:53,940 --> 00:02:55,910 ところが ここから同盟首都 54 00:02:55,910 --> 00:02:58,510 惑星ハイネセンまでは 2日の距離にあります 55 00:02:58,510 --> 00:03:00,950 しかも同盟軍は バーミリオンでの戦いに 56 00:03:00,950 --> 00:03:02,880 すべての戦力を投入し 57 00:03:02,880 --> 00:03:06,690 おそらく首都星といえども 無防備な状態にあるでしょう 58 00:03:06,690 --> 00:03:09,460 これを突いて一挙に 同盟政府を降伏させ 59 00:03:09,460 --> 00:03:14,060 彼らから 前線のヤン提督に 戦闘停止を命令させるのです 60 00:03:14,060 --> 00:03:16,870 なるほど 戦場において救援するだけが 61 00:03:16,870 --> 00:03:19,130 援軍の在り方ではない というわけですか 62 00:03:19,130 --> 00:03:23,410 実は 私はローエングラム公に この提案を推して拒否されました 63 00:03:23,410 --> 00:03:26,110 戦って 勝つことにこそ意味があると 64 00:03:26,110 --> 00:03:28,740 それは 正しい価値観だと思いますが 65 00:03:28,740 --> 00:03:30,980 負ければ すべてが 無に帰してしまいます 66 00:03:30,980 --> 00:03:33,580 負けるとお考えですか ローエングラム公が 67 00:03:33,580 --> 00:03:36,420 はい 今回 このまま事態が進めば 68 00:03:36,420 --> 00:03:39,020 ローエングラム公は 生涯 最初で最後の 69 00:03:39,020 --> 00:03:41,520 ご経験を なさることになるでしょう 70 00:03:41,520 --> 00:03:43,490 その点については分かりました 71 00:03:43,490 --> 00:03:46,360 ですが フロイライン 今ひとつ問題があります 72 00:03:46,360 --> 00:03:50,230 つまり ヤン・ウェンリーが 政府の 停戦命令に従うかどうかです 73 00:03:50,230 --> 00:03:53,130 彼にしてみれば 勝利を目前にしているのに 74 00:03:53,130 --> 00:03:56,100 なにゆえ それを捨てて 停戦しなければならないのか 75 00:03:56,100 --> 00:03:58,610 しかも 一方で政府が 崩壊してしまえば 76 00:03:58,610 --> 00:04:02,480 彼自身が政治権力をも やすやすと 手に入れることができるのに 77 00:04:02,480 --> 00:04:06,450 そうではありませんか? それは私も考えました 78 00:04:06,450 --> 00:04:08,950 ですけど やはり ヤン・ウェンリーへの停戦命令は 79 00:04:08,950 --> 00:04:11,020 有効であろうと判断します 80 00:04:11,020 --> 00:04:13,320 彼が もし権力を握ろうとするなら 81 00:04:13,320 --> 00:04:15,860 これまでに 幾度も機会がありました 82 00:04:15,860 --> 00:04:18,260 でも 彼は その機会の すべてを見逃し 83 00:04:18,260 --> 00:04:22,600 辺境守備の 一軍人に甘んじてきたのです 84 00:04:22,600 --> 00:04:24,530 おそらくヤン・ウェンリーは 権力よりも 85 00:04:24,530 --> 00:04:27,440 貴重なものがあることを 理念ではなく皮膚で感じている 86 00:04:27,440 --> 00:04:29,440 人物なのではないかと思います 87 00:04:29,440 --> 00:04:32,370 それは 称賛すべき気質とは 思いますけれど 88 00:04:32,370 --> 00:04:35,680 卑劣を承知で この際は利用するしかありません 89 00:04:35,680 --> 00:04:39,250 ですが あるいは彼は 急に権力への欲望に目覚めて 90 00:04:39,250 --> 00:04:41,880 政府の命令を 無視するかもしれませんぞ 91 00:04:41,880 --> 00:04:44,520 なにしろ 今回の機会は 過去に例がないほど 92 00:04:44,520 --> 00:04:46,760 大きくて魅力的なものですからな 93 00:04:46,760 --> 00:04:49,190 ええ ありえないとは申せません 94 00:04:49,190 --> 00:04:52,030 ですが それでは 私の提案は無益なもので 95 00:04:52,030 --> 00:04:55,260 採用するに値しないと お考えでしょうか? 96 00:04:55,260 --> 00:04:57,970 いや 分かりました フロイライン・マリーンドルフ 97 00:04:57,970 --> 00:04:59,900 あなたの策に従いましょう 98 00:04:59,900 --> 00:05:03,340 どうも 他に手がなさそうだ ありがとうございます 99 00:05:03,340 --> 00:05:06,070 ご決断に心から感謝いたしますわ 100 00:05:06,070 --> 00:05:08,510 ですが 小官1人でというわけには まいりません 101 00:05:08,510 --> 00:05:10,450 理由は お分かりかと思いますが 102 00:05:10,450 --> 00:05:13,320 ええ ローエングラム公を お救いしに向かわず 103 00:05:13,320 --> 00:05:15,720 単独で ハイネセンを攻めたとなれば 104 00:05:15,720 --> 00:05:19,050 政治的野心を疑われることにも なりかねませんから 105 00:05:19,050 --> 00:05:20,990 で… どなたを同行者として 106 00:05:20,990 --> 00:05:23,690 功績を 分かち合われるおつもりですの? 107 00:05:23,690 --> 00:05:26,360 となりの星系にいて 連絡も取りやすく 108 00:05:26,360 --> 00:05:29,200 力量も信頼に値する男 109 00:05:29,200 --> 00:05:32,400 オスカー・フォン・ ロイエンタールです 110 00:05:32,400 --> 00:05:34,340 フロイラインには 異存がおありですか? 111 00:05:34,340 --> 00:05:38,640 いえ 当然のご人選と思います 112 00:05:38,640 --> 00:05:41,380 というわけだ 113 00:05:41,380 --> 00:05:43,780 ロイエンタール提督は どう お考えでしょう 114 00:05:43,780 --> 00:05:45,710 もしかして 帝国軍同士が 115 00:05:45,710 --> 00:05:49,650 相討つことになるのでは ありませんか? 116 00:05:49,650 --> 00:05:53,390 卿は 意外に文学的想像力が豊かだな 117 00:05:53,390 --> 00:05:55,790 ロイエンタールは俺の友人だし 118 00:05:55,790 --> 00:05:57,730 俺は物分かりの悪いやつと 119 00:05:57,730 --> 00:06:01,260 10年も友人づきあいができるほど 温和な人間ではない 120 00:06:01,260 --> 00:06:04,600 卿が想像の翼を羽ばたかせるのは 自由だが 121 00:06:04,600 --> 00:06:08,000 無用な誤解を招くがごとき言動は 慎めよ 122 00:06:08,000 --> 00:06:11,270 はっ すみません 出過ぎたことを申しました 123 00:06:11,270 --> 00:06:13,780 我が隊に第一級臨戦態勢を敷け 124 00:06:13,780 --> 00:06:16,640 なぜでありますか? 常に敵の奇襲に備えるのは 125 00:06:16,640 --> 00:06:18,610 武人として当然のことではないか 126 00:06:18,610 --> 00:06:20,950 ここは敵国のただ中であって 127 00:06:20,950 --> 00:06:24,290 故郷の小学校の裏庭ではない! 教師の目を盗んで 128 00:06:24,290 --> 00:06:26,890 昼寝を楽しんでいるような わけにはいかんのだ! 129 00:06:26,890 --> 00:06:29,420 はっ あ… 失礼しました ただちに! 130 00:06:29,420 --> 00:06:33,820 我ながら どうも度が 過ぎているとは思わんでもないが 131 00:06:37,970 --> 00:06:40,470 隣接する ミッターマイヤー艦隊のうち 132 00:06:40,470 --> 00:06:42,500 バイエルライン少将の部隊が 133 00:06:42,500 --> 00:06:45,310 妙に 厳重な警戒体制を敷いています 134 00:06:45,310 --> 00:06:49,910 何か敵の伏兵の情報でも あったのでしょうか 135 00:06:49,910 --> 00:06:53,310 ミッターマイヤー提督より入電! 映像を出せ 136 00:06:56,120 --> 00:06:58,420 なるほど もし 俺がこの提案を 137 00:06:58,420 --> 00:07:01,320 拒否するだけでなく 妨害する動きをするなら 138 00:07:01,320 --> 00:07:03,690 一戦も辞さぬということか 139 00:07:03,690 --> 00:07:06,490 ミッターマイヤーの 指図ではなさそうだな 140 00:07:06,490 --> 00:07:11,770 バイエルラインの青二才が 勝手にやってることか… 141 00:07:11,770 --> 00:07:15,100 私は愚行の極みを しているのではないかしら 142 00:07:15,100 --> 00:07:18,010 尋常ならざる 野心と才能の持ち主に 143 00:07:18,010 --> 00:07:20,310 わざわざ 絶好の機会が存在することを 144 00:07:20,310 --> 00:07:22,940 教えてしまったのではないかしら 145 00:07:22,940 --> 00:07:24,910 今から 戦場まで主君を救いに行っても 146 00:07:24,910 --> 00:07:27,780 間に合わないとなれば 野心のない者さえ 147 00:07:27,780 --> 00:07:30,690 不敵な意思を 芽生えさせるであろうに 148 00:07:30,690 --> 00:07:35,490 もし 反転しなかったら どうなるかか… 149 00:07:35,490 --> 00:07:38,360 帝国軍の双璧といわれる 2人のうち 150 00:07:38,360 --> 00:07:40,760 私が この提案を持ちかける相手に 151 00:07:40,760 --> 00:07:43,200 あえて ロイエンタール提督ではなく 152 00:07:43,200 --> 00:07:45,670 ミッターマイヤー提督を 選んだのは 153 00:07:45,670 --> 00:07:50,640 潜在的に この危険を 感じていたからではなかったの? 154 00:07:50,640 --> 00:07:53,070 分かった 卿が言うなら 私も 155 00:07:53,070 --> 00:07:55,740 フロイライン・マリーンドルフの 提案に従おう 156 00:07:55,740 --> 00:07:59,180 ただちに全部隊に ハイネセンへの侵攻を指示するが 157 00:07:59,180 --> 00:08:02,220 細部の検討をするため そちらに出向かせてもらおう 158 00:08:02,220 --> 00:08:05,950 無論 艦隊を 合流させてからのことだがな 159 00:08:05,950 --> 00:08:08,590 ミッターマイヤーのほうを 呼び寄せでもしたら 160 00:08:08,590 --> 00:08:10,530 人質にでもするつもりかと 161 00:08:10,530 --> 00:08:12,460 血の気の多い バイエルラインあたりが 162 00:08:12,460 --> 00:08:15,760 過激な反応を するかもしれんからな 163 00:08:15,760 --> 00:08:19,060 無理をする必要はない 今はな 164 00:08:21,570 --> 00:08:23,540 ミッターマイヤーと ロイエンタール 165 00:08:23,540 --> 00:08:26,110 帝国軍の双璧とうたわれる両名が 166 00:08:26,110 --> 00:08:29,010 合計3万隻にもおよぶ 艦隊を率いて 167 00:08:29,010 --> 00:08:32,310 自由惑星同盟の 首都星ハイネセンに襲来したのは 168 00:08:32,310 --> 00:08:34,850 5月5日のことである 169 00:08:34,850 --> 00:08:37,550 私は銀河帝国軍 上級大使の 170 00:08:37,550 --> 00:08:39,590 ウォルフガング・ ミッターマイヤーである 171 00:08:39,590 --> 00:08:42,520 首都の上空は すでに我が軍の制圧下にある 172 00:08:42,520 --> 00:08:46,960 私は自由惑星同盟政府に対して 全面講和を要求する 173 00:08:46,960 --> 00:08:50,730 ただちに全ての軍事活動を停止し 武装を解除せよ 174 00:08:50,730 --> 00:08:52,670 しからざれば 首都星ハイネセンに対して 175 00:08:52,670 --> 00:08:54,970 無差別攻撃を加えるであろう 176 00:08:54,970 --> 00:08:58,640 返答まで3時間の猶予を与えるが 177 00:08:58,640 --> 00:09:01,340 その前に 余興をひとつ見せてやろう 178 00:09:07,350 --> 00:09:09,350 ウワーッ! 179 00:09:12,090 --> 00:09:14,090 おい… 180 00:09:16,390 --> 00:09:19,130 これでいいでしょう 権力者という者は 181 00:09:19,130 --> 00:09:23,030 一般市民の家が炎上したところで 眉ひとつ動かしませんが 182 00:09:23,030 --> 00:09:27,640 政府関係の建物が破壊されると 血の気を失うものですから 183 00:09:27,640 --> 00:09:30,140 市民にはできるだけ 害を及ぼしたくないと 184 00:09:30,140 --> 00:09:33,940 お考えですのね まあ 私も平民の出ですから 185 00:09:35,940 --> 00:09:38,980 提督 今 ひとつ 通達していただけません? 186 00:09:38,980 --> 00:09:42,420 降伏すれば 最高責任者の罪は問わないと 187 00:09:42,420 --> 00:09:45,890 彼らの決断に ひとつの方向を 示すと思うのですけれど 188 00:09:45,890 --> 00:09:49,320 それも筋からいえば 情けない話ですな 189 00:09:49,320 --> 00:09:51,630 ですが おっしゃるとおり 効果があるでしょう 190 00:09:51,630 --> 00:09:53,630 そう 伝えましょう 191 00:09:56,600 --> 00:10:00,130 結論を言おう 帝国軍の要求を受け入れる 192 00:10:00,130 --> 00:10:03,810 無差別攻撃を明言されては そうするしかあるまい 193 00:10:03,810 --> 00:10:05,870 議長! 私は正式に 194 00:10:05,870 --> 00:10:09,340 リコールでも されたのかね? そうではないはずだ 195 00:10:09,340 --> 00:10:13,210 とすれば 戦争終結の決定を下す 責任と資格が 196 00:10:13,210 --> 00:10:15,280 私の手中にあるということだ 197 00:10:15,280 --> 00:10:19,990 その責任を その資格において 果たすだけのことだよ 198 00:10:19,990 --> 00:10:21,920 どうか やめてください 199 00:10:21,920 --> 00:10:24,160 共和政治の制度を悪用して 200 00:10:24,160 --> 00:10:28,060 その精神と歴史を おとしめる権利はあなたにはない 201 00:10:28,060 --> 00:10:30,530 あなた1人で アーレ・ハイネセン以来 202 00:10:30,530 --> 00:10:32,900 2世紀半におよぶ 民主国家の成果を 203 00:10:32,900 --> 00:10:36,400 台無しにしてしまう つもりなんですか? 204 00:10:36,400 --> 00:10:39,770 ずいぶんと偉そうなことを 言うものだね アイランズ君 205 00:10:39,770 --> 00:10:42,980 君は忘れたかもしれないが 私は よく覚えているよ 206 00:10:42,980 --> 00:10:45,210 どうにかして 閣僚になりたいと 207 00:10:45,210 --> 00:10:50,050 私の所へ 高価な銀の壺を持参した 夜のことをね 208 00:10:50,050 --> 00:10:52,290 それに君が どういう企業から どれだけ 209 00:10:52,290 --> 00:10:54,590 献金や リベートを受け取っているか 210 00:10:54,590 --> 00:10:58,060 選挙資金を分配されたとき そのうちの何割をため込んで 211 00:10:58,060 --> 00:10:59,990 別荘を買うのに回したか 212 00:10:59,990 --> 00:11:03,630 公費を使った旅行に 奥さん以外の 女性を連れていったことが 213 00:11:03,630 --> 00:11:05,570 何度あるか? 214 00:11:05,570 --> 00:11:08,370 私は みんな知っているんだ 215 00:11:08,370 --> 00:11:11,270 おっしゃるとおり 私は三流の政治業者です 216 00:11:11,270 --> 00:11:13,240 現在の地位に つくことができたのも 217 00:11:13,240 --> 00:11:16,110 あなたのおかげです あなたには恩義がある 218 00:11:16,110 --> 00:11:19,450 だからこそ あなたが亡国の為政者として 219 00:11:19,450 --> 00:11:22,720 歴史に悪名を残すのを 見逃すわけにはいかないんです! 220 00:11:22,720 --> 00:11:24,750 どうか考え直してください 221 00:11:24,750 --> 00:11:28,160 降伏を拒否すれば 我々はここで 死ぬかもしれませんが 222 00:11:28,160 --> 00:11:32,030 その間に ヤン提督が ローエングラム公をうち滅ぼし 223 00:11:32,030 --> 00:11:35,800 同盟は救われるんです ローエングラム公が死ねば 224 00:11:35,800 --> 00:11:37,730 帝国軍が本国へ帰り 225 00:11:37,730 --> 00:11:40,370 彼らが 次の覇権をめぐって争う間に 226 00:11:40,370 --> 00:11:43,970 ヤン提督が国防体制を 立て直してくれるでしょう 227 00:11:43,970 --> 00:11:46,910 私たちの次の政治指導者が 彼と協力して… 228 00:11:46,910 --> 00:11:50,340 フンッ ヤン・ウェンリーか 考えてもみたまえ 229 00:11:50,340 --> 00:11:53,780 ヤン・ウェンリーの愚か者が かつて この惑星を守っていた 230 00:11:53,780 --> 00:11:56,280 「アルテミスの首飾り」を 破壊しなければ 231 00:11:56,280 --> 00:12:00,020 我々は侵略者から 自分自身を 守ることができたのだぞ 232 00:12:00,020 --> 00:12:02,060 こうなったのも ヤン・ウェンリーのせいだ 233 00:12:02,060 --> 00:12:06,190 何が 名将だ!先の見えない とんだ愚か者ではないか! 234 00:12:06,190 --> 00:12:09,800 「アルテミスの首飾り」 「イゼルローン要塞」 235 00:12:09,800 --> 00:12:12,300 あなたがたは まだ気づかないのですかな? 236 00:12:12,300 --> 00:12:14,240 ハードウエアが いかに強大でも 237 00:12:14,240 --> 00:12:17,510 それを使う人間が 肝心なのだということに 238 00:12:17,510 --> 00:12:21,210 こうなる危険性を ヤンはずっと 指摘しておったではないですか 239 00:12:21,210 --> 00:12:25,080 それに取りあわず こうした事態に 至らしめたのは誰です? 240 00:12:25,080 --> 00:12:27,450 しかも そうした最悪の状況の中で 241 00:12:27,450 --> 00:12:31,220 起死回生を図ろうとしている ヤンの妨害にしかならない 242 00:12:31,220 --> 00:12:33,150 あえて行おうというのですか? 243 00:12:33,150 --> 00:12:36,960 自分たち自身の 身の安全と引き換えに 244 00:12:36,960 --> 00:12:40,830 要するに 同盟は命数を使い果たしたのです 245 00:12:40,830 --> 00:12:42,860 政治家は権力をもてあそび 246 00:12:42,860 --> 00:12:45,170 軍人は アムリッツァに見られるように 247 00:12:45,170 --> 00:12:47,500 投機的な冒険にのめり込んで 248 00:12:47,500 --> 00:12:50,840 いや 市民すら政治を 一部の政治業者に委ね 249 00:12:50,840 --> 00:12:55,080 それに参加しようとしなかった! 民主主義を口で唱えながら 250 00:12:55,080 --> 00:12:57,980 それを 維持する努力を怠ったのです 251 00:12:57,980 --> 00:13:01,680 専制政治が倒れるのは 君主と重臣の罪だが 252 00:13:01,680 --> 00:13:06,020 民主政治が崩壊するのは すべての市民の責任ですからな 253 00:13:06,020 --> 00:13:08,360 演説は それで終わりかね? 254 00:13:08,360 --> 00:13:11,360 そう 演説すべきときは すでに終わった 255 00:13:11,360 --> 00:13:14,500 もはや行動のときだ 256 00:13:14,500 --> 00:13:16,460 よろしいかな? トリューニヒト議長 257 00:13:16,460 --> 00:13:19,300 わしは力ずくでも あなたを止めてみせますぞ 258 00:13:19,300 --> 00:13:21,800 司令! それではクーデターと同じだ! 259 00:13:21,800 --> 00:13:23,840 おい… なんだ? 260 00:13:23,840 --> 00:13:25,840 な… なっ 261 00:13:28,310 --> 00:13:32,110 地球教徒 なっ… 262 00:13:32,110 --> 00:13:34,510 彼らを監禁してくれたまえ 263 00:13:38,020 --> 00:13:40,960 一体 首都はどうなってるんだ! 帝国軍に攻められて 264 00:13:40,960 --> 00:13:44,760 降伏したのさ 全面降伏 城下の盟ってやつだ 265 00:13:44,760 --> 00:13:47,160 両手をあげて助けてくれ! ていうわけさ 266 00:13:47,160 --> 00:13:49,100 じゃ… 同盟はどうなるんだ? 267 00:13:49,100 --> 00:13:52,000 どうなる? 帝国の一部になるだけさ 268 00:13:52,000 --> 00:13:54,700 形だけの自治くらいは 認めてもらえるかもしれんが 269 00:13:54,700 --> 00:13:58,170 それこそ形だけ しかも そう長いことじゃなかろうよ 270 00:13:58,170 --> 00:14:00,110 その先は? 知るか! 271 00:14:00,110 --> 00:14:02,940 ローエングラム公に聞け! 金髪の小僧に! 272 00:14:02,940 --> 00:14:05,980 やつが これから俺たちの ご主人様になるんだからな! 273 00:14:05,980 --> 00:14:08,550 俺たちは正義だったはずだ! あん? 274 00:14:08,550 --> 00:14:11,120 なんだって 暗黒の専制勢力に対して 275 00:14:11,120 --> 00:14:13,090 正義が 膝をつかねばならないんだ! 276 00:14:13,090 --> 00:14:15,590 世の中 間違っている! 277 00:14:15,590 --> 00:14:17,660 これは 政府の利敵行為だ 278 00:14:17,660 --> 00:14:20,430 そうだ!政府は我々を裏切った! 279 00:14:20,430 --> 00:14:23,100 政府こそが 国民と信頼と期待を裏切ったんだ 280 00:14:23,100 --> 00:14:25,430 やつらは売国奴だ! あんなやつらの命令に 281 00:14:25,430 --> 00:14:27,370 従う必要はない! そうだ! 282 00:14:27,370 --> 00:14:30,040 そのとおりだ まったくだ! だが… 283 00:14:30,040 --> 00:14:32,540 ハイネセンには 俺の家族がいるんだ 284 00:14:32,540 --> 00:14:35,880 もし降伏を拒否して 無差別攻撃を受けていたら 285 00:14:35,880 --> 00:14:39,450 政府が降伏を 承知してくれたからこそ 家族は… 286 00:14:39,450 --> 00:14:42,780 貴様… 何を言っとるかー! 287 00:14:42,780 --> 00:14:46,290 ヤン提督にお願いしよう 真の正義を貫いてくれと 288 00:14:46,290 --> 00:14:49,190 理不尽な停戦命令に 従わないでほしいと! 289 00:14:49,190 --> 00:14:51,130 そうだ!そうしよう そうだ! 290 00:14:51,130 --> 00:14:53,430 ヤン提督に よし ヤン提督だ! 291 00:14:53,430 --> 00:14:56,030 ミラクル・ヤンに頼もう! ようし! 292 00:15:00,840 --> 00:15:02,770 シェーンコップ中将 293 00:15:02,770 --> 00:15:05,270 よう わざわざ 会いに来てくれたからには 294 00:15:05,270 --> 00:15:08,510 期待していいのかな? お前さんも俺と同意見で 295 00:15:08,510 --> 00:15:12,910 ヤン提督は 停戦命令なんぞ 無視すべきだと思っているっと 296 00:15:15,280 --> 00:15:18,890 お気持ちは よく分かります でも もし そんなことをしたら 297 00:15:18,890 --> 00:15:21,590 悪い前例が残ります 軍司令官が 298 00:15:21,590 --> 00:15:23,620 自分自身の判断を よりどころにして 299 00:15:23,620 --> 00:15:26,430 政府の命令を 無視することが許されるなら 300 00:15:26,430 --> 00:15:30,930 民主政治は最も重要なことを… 国民の代表が軍事力を 301 00:15:30,930 --> 00:15:34,140 コントロールするという機能を 果たせなくなります 302 00:15:34,140 --> 00:15:37,440 ヤン提督に そんな前例が 作れると思いますか? 303 00:15:37,440 --> 00:15:39,510 それでは聞くがな もし政府が 304 00:15:39,510 --> 00:15:42,610 無抵抗の 民衆を虐殺するように命令したら 305 00:15:42,610 --> 00:15:45,580 軍人は それに 従わねばならんと思うのかね? 306 00:15:45,580 --> 00:15:47,820 そんなことは無論許されません 307 00:15:47,820 --> 00:15:50,380 そんな非人道的な 軍人という以前に 308 00:15:50,380 --> 00:15:52,390 人間としての 尊厳を問われるようなときには 309 00:15:52,390 --> 00:15:55,190 まず 人間で あらねばならないと思います 310 00:15:55,190 --> 00:15:57,490 そのときは 政府の命令であっても 311 00:15:57,490 --> 00:15:59,430 背かなくてはならないでしょう 312 00:15:59,430 --> 00:16:02,300 でも だからこそ それ以外の場合には 313 00:16:02,300 --> 00:16:05,270 民主国家の軍人として 行動しなくてはならないときには 314 00:16:05,270 --> 00:16:08,100 政府の命令には 従うべきだと思います 315 00:16:08,100 --> 00:16:11,370 でなければ 例え人道のために立ったとしても 316 00:16:11,370 --> 00:16:14,610 恣意によるものだと そしられるでしょう 317 00:16:14,610 --> 00:16:17,310 坊や… いや ユリアン・ミンツ中尉 318 00:16:17,310 --> 00:16:19,250 お前さんの言うことは まったく正しい 319 00:16:19,250 --> 00:16:22,150 だが その程度の理屈は 俺にも分かっているんだ 320 00:16:22,150 --> 00:16:24,920 分かっていて なお 言わずにはいられないのさ 321 00:16:24,920 --> 00:16:26,990 ええ… よく分かります 322 00:16:26,990 --> 00:16:29,890 ヤン提督には 何より まず政治的野心がない 323 00:16:29,890 --> 00:16:32,060 政治の才能もないかもしれない 324 00:16:32,060 --> 00:16:34,960 だがヨブ・トリューニヒトのように 国家を私物化し 325 00:16:34,960 --> 00:16:37,530 政治権力をアクセサリーにし 326 00:16:37,530 --> 00:16:40,100 自分に期待した市民を 裏切るようなマネは 327 00:16:40,100 --> 00:16:42,040 ヤン提督には できんだろう 328 00:16:42,040 --> 00:16:44,640 ええ… ヤン提督の能力は 329 00:16:44,640 --> 00:16:46,910 歴史上の 大政治家たちに比較すれば 330 00:16:46,910 --> 00:16:48,840 取るに 足らないものかもしれないが 331 00:16:48,840 --> 00:16:53,680 この際 比較の対象は ヨブ・トリューニヒト1人でいいんだ 332 00:16:53,680 --> 00:16:56,220 そう思います 僕も そう思います 333 00:16:56,220 --> 00:16:58,150 でもトリューニヒト議長は 334 00:16:58,150 --> 00:17:00,790 市民多数の意思で 元首に選ばれたんです 335 00:17:00,790 --> 00:17:04,260 それが錯覚だったとしても その錯覚を 是正するのは 336 00:17:04,260 --> 00:17:06,630 市民自身ではなくては いけないんです 337 00:17:06,630 --> 00:17:10,500 例え どんなに時間がかかっても 職業軍人が武力によって 338 00:17:10,500 --> 00:17:14,100 市民の誤りを正そうとしては いけないんです そうなったら 339 00:17:14,100 --> 00:17:17,040 2年前の旧国軍事会議の クーデターと同じです 340 00:17:17,040 --> 00:17:20,880 軍隊が国民を指導し 支配することになってしまいます 341 00:17:20,880 --> 00:17:23,110 銀河帝国は和平の代償として 342 00:17:23,110 --> 00:17:26,050 ヤン提督の命を 要求するかもしれない 343 00:17:26,050 --> 00:17:28,920 政府が それに応じて ヤン提督に死を命じたら 344 00:17:28,920 --> 00:17:32,790 そのときはどうする? 唯々諾々として それに従うのかね 345 00:17:32,790 --> 00:17:35,160 そんなことはさせません 絶対に! 346 00:17:35,160 --> 00:17:37,890 だが 政府の命令には 従わねばならんのだろう? 347 00:17:37,890 --> 00:17:41,200 それは提督の問題です これは僕の問題です 348 00:17:41,200 --> 00:17:43,660 僕はローエングラム公に屈服した 政府の命令になど 349 00:17:43,660 --> 00:17:46,530 従う気ありません 僕が従うのは 350 00:17:46,530 --> 00:17:49,040 ヤン・ウェンリー提督 ただ お一人の命令です 351 00:17:49,040 --> 00:17:51,270 提督が停戦を受け入れられたから 352 00:17:51,270 --> 00:17:53,210 僕も 受け入れねばならないんです 353 00:17:53,210 --> 00:17:55,210 ユリアン 失礼な言いぐさだが 354 00:17:55,210 --> 00:17:58,650 お前さん 大人になったな 俺も お前さんに見習って 355 00:17:58,650 --> 00:18:00,650 受け入れるべきは 受け入れるとしよう 356 00:18:00,650 --> 00:18:03,280 だが どうしても 譲れないところもある 357 00:18:03,280 --> 00:18:06,780 それもまた お前さんの言うとおりだがな 358 00:18:08,990 --> 00:18:13,690 そうか… ローエングラム公は ご無事か? 359 00:18:13,690 --> 00:18:15,760 フロイライン・マリーンドルフ 360 00:18:15,760 --> 00:18:19,030 あなたの知謀は 一個艦隊の武力に勝る 361 00:18:19,030 --> 00:18:21,370 どうか 今後も ローエングラム公のために 362 00:18:21,370 --> 00:18:23,900 よき知謀を 発揮していただきたいものです 363 00:18:23,900 --> 00:18:28,210 恐れ入ります 両提督の ご協力があってこそですわ 364 00:18:28,210 --> 00:18:30,780 お二方とも ローエングラム公の両翼として 365 00:18:30,780 --> 00:18:33,310 公を助けてさしあげてください 366 00:18:33,310 --> 00:18:35,820 正直に申して ここまで うまくいくとは 367 00:18:35,820 --> 00:18:38,550 思いませんでしたな お見事です 368 00:18:38,550 --> 00:18:41,520 同盟政府のやつらも 存外ふがいない 369 00:18:41,520 --> 00:18:46,030 まったく 同盟の権力者どもが 自己の命をものともせず 370 00:18:46,030 --> 00:18:47,960 要求を拒否したらどうしようかと 371 00:18:47,960 --> 00:18:50,230 私も内心思っておりました 372 00:18:50,230 --> 00:18:54,900 こんなことを言うのも妙ですが 情けない連中ですな 373 00:18:54,900 --> 00:18:57,640 1億人が 1世紀かけて築き上げたものを 374 00:18:57,640 --> 00:19:00,910 たった1人が 1日で壊して しまうことができるのですわ 375 00:19:00,910 --> 00:19:04,680 国が滅びるときとは こういうものですかな… 376 00:19:04,680 --> 00:19:06,910 「ゴールデンバウム朝銀河帝国」 「フェザーン」 377 00:19:06,910 --> 00:19:08,850 そして「自由惑星同盟」 378 00:19:08,850 --> 00:19:12,820 我々は 宇宙を分割支配した 3大勢力が滅びるところを 379 00:19:12,820 --> 00:19:16,390 目の当たりにしたわけです 誰かの いいぐさではないですが 380 00:19:16,390 --> 00:19:20,090 後世の歴史家が さぞ うらやましがることでしょうな 381 00:19:23,230 --> 00:19:26,100 停戦は致し方ありますまい 政府の決定ですから 382 00:19:26,100 --> 00:19:29,440 ですが もし あなたがた自由惑星同盟軍が 383 00:19:29,440 --> 00:19:31,370 自己保身のために メルカッツ提督を 384 00:19:31,370 --> 00:19:33,410 スケープゴートにしようと 考えているなら 385 00:19:33,410 --> 00:19:36,610 小官は そのようなエゴイズムを 感受する気はありませんぞ! 386 00:19:36,610 --> 00:19:38,980 シュナイダー! いや メルカッツ提督 387 00:19:38,980 --> 00:19:43,280 中佐の言うことはもっともです ああ… 388 00:19:43,280 --> 00:19:47,150 メルカッツ提督には 艦を降りていただきます 389 00:19:47,150 --> 00:19:49,220 私には未来を 予知することはできません 390 00:19:49,220 --> 00:19:52,290 ですが シュナイダー中佐が言ったように 391 00:19:52,290 --> 00:19:55,200 同盟政府が あなたを帝国軍に差し出して 392 00:19:55,200 --> 00:19:57,630 媚を売ることは 十分に考えられます 393 00:19:57,630 --> 00:19:59,570 私は同盟の人間で 394 00:19:59,570 --> 00:20:02,240 政府の愚行に つきあわねばなりません 395 00:20:02,240 --> 00:20:04,170 しかし あなたに そんな義務はない 396 00:20:04,170 --> 00:20:06,670 沈みかけた船から 退去していただかねば 397 00:20:06,670 --> 00:20:09,340 私が困ります 398 00:20:09,340 --> 00:20:14,520 戦艦を何隻か お連れください 無論 燃料や食料も人員もです 399 00:20:14,520 --> 00:20:16,750 ひとたび敗者の位置に立てば 400 00:20:16,750 --> 00:20:19,720 同盟軍が以前と同水準の武力を 保有することは 401 00:20:19,720 --> 00:20:21,720 論外となるでしょう 402 00:20:21,720 --> 00:20:24,590 いずれ 帝国軍の手で破壊されるものなら 403 00:20:24,590 --> 00:20:26,860 隠しておいても よろしいと思います 404 00:20:26,860 --> 00:20:29,730 戦闘で破壊されたか 自爆したか 405 00:20:29,730 --> 00:20:34,000 そう報告しておけば 確認することは困難ですからね 406 00:20:34,000 --> 00:20:36,570 ありがたいお話です ヤン提督 407 00:20:36,570 --> 00:20:39,470 ですが あなたが残って 責任を お取りになるのに 408 00:20:39,470 --> 00:20:44,210 私だけが逃亡して 身の安全を 図れるとお思いですか? 409 00:20:44,210 --> 00:20:48,380 そう おっしゃると思っていました ですが メルカッツ提督 410 00:20:48,380 --> 00:20:51,820 私は あなたに楽をしていただこう とは思っていないのです 411 00:20:51,820 --> 00:20:54,620 実は もっと ふらちなことを考えていまして 412 00:20:54,620 --> 00:20:59,260 後日のために 同盟軍の一部を それも 最も濃いエッセンスを 413 00:20:59,260 --> 00:21:02,730 保存していただこうと 思っているのですよ 414 00:21:02,730 --> 00:21:06,400 つまり 大昔の ロビンフッドの伝説で言えば 415 00:21:06,400 --> 00:21:10,300 「動くシャーウッドの森」を 率いていただきたいのです 416 00:21:12,210 --> 00:21:14,880 その話 乗った! 417 00:21:14,880 --> 00:21:18,450 自由惑星同盟の自由とは 自主独立ということだ 418 00:21:18,450 --> 00:21:22,350 帝国の属領に成り下がった同盟に 俺は なんの未練もない 419 00:21:22,350 --> 00:21:25,920 自尊心のない女に 魅力がないのと同じでね 420 00:21:25,920 --> 00:21:28,720 メルカッツ提督に ついていかせてもらおう 421 00:21:28,720 --> 00:21:32,730 シェーンコップ閣下の ご許可をいただければ私も 422 00:21:32,730 --> 00:21:34,900 私も亡命者の子です 423 00:21:34,900 --> 00:21:37,230 いまさら帝国の下風には立てない 424 00:21:37,230 --> 00:21:40,000 メルカッツ提督の お供をさせていただきます 425 00:21:40,000 --> 00:21:43,640 ですが 私としては いつか必ず ヤン提督に 426 00:21:43,640 --> 00:21:45,570 私どもの 総指揮をとっていただきたい 427 00:21:45,570 --> 00:21:47,510 あなたが いらっしゃるかぎり 428 00:21:47,510 --> 00:21:50,880 ローゼンリッター連隊は あなたに忠誠を誓うものです 429 00:21:50,880 --> 00:21:53,180 軍閥化の第一歩だな 430 00:21:53,180 --> 00:21:56,080 国家や政府ではなく 個人に忠誠を誓うとはな 431 00:21:56,080 --> 00:21:58,950 困ったものだ 432 00:21:58,950 --> 00:22:01,990 そう言われるキャゼルヌ中将は どうなさるのです? 433 00:22:01,990 --> 00:22:05,490 私は残る というより残らざるをえん 434 00:22:05,490 --> 00:22:09,100 将官が大量に消えては 帝国軍の疑惑を招くだろう 435 00:22:09,100 --> 00:22:12,400 ヤン司令官とともに 処置を待つさ 436 00:22:12,400 --> 00:22:14,800 我々も そうせざるをえんでしょうな 437 00:22:14,800 --> 00:22:19,100 肝心のメルカッツ提督の ご意向はいかがですかな? 438 00:22:23,310 --> 00:22:27,110 私は亡命してきたとき あなたに すべてを委ねた 439 00:22:27,110 --> 00:22:29,050 そうせよと言われるのなら 440 00:22:29,050 --> 00:22:31,950 喜んで あなたの ご希望に従いましょう 441 00:22:31,950 --> 00:22:34,860 ありがとうございます ご苦労をおかけする 442 00:22:34,860 --> 00:22:38,090 さあて! そうと決まったら 早速 準備だ 443 00:22:38,090 --> 00:22:40,990 グズグズしてると 帝国軍の 他の艦隊が駆けつけてきて 444 00:22:40,990 --> 00:22:43,990 姿をくらますどころでは なくなるからな 445 00:22:55,080 --> 00:22:58,750 ごめん フレデリカ 446 00:22:58,750 --> 00:23:03,450 他人がこんなことをしたら バカに違いないと私も思うだろう 447 00:23:03,450 --> 00:23:07,320 だけど 私は結局 こんな生き方しかできないんだ 448 00:23:07,320 --> 00:23:09,690 かえって私の好きな連中に 449 00:23:09,690 --> 00:23:12,590 迷惑をかけると 分かっているのにな 450 00:23:12,590 --> 00:23:14,530 私には分かりません 451 00:23:14,530 --> 00:23:17,770 あなたの なせることが 正しいのかどうか 452 00:23:17,770 --> 00:23:20,500 でも 私に分かっていることがあります 453 00:23:20,500 --> 00:23:22,570 それは あなたのなさることが 454 00:23:22,570 --> 00:23:25,810 私は どうしようもなく 好きだということです 455 00:23:25,810 --> 00:23:27,810 あっ… 456 00:23:35,450 --> 00:23:39,150 私は勝利を譲られた… というわけか 457 00:23:41,260 --> 00:23:43,920 情けない話だな 458 00:23:43,920 --> 00:23:46,290 私は 本来 自分のものではない勝利を 459 00:23:46,290 --> 00:23:50,200 譲ってもらったのか… まるで乞食のように 460 00:23:50,200 --> 00:23:53,770 フンッ フッフッフ… 461 00:23:53,770 --> 00:23:55,700 宇宙暦799年 462 00:23:55,700 --> 00:23:59,570 帝国暦490年5月5日 22時40分 463 00:23:59,570 --> 00:24:01,510 足かけ12日間に渡った 464 00:24:01,510 --> 00:24:03,940 バーミリオン聖域会戦が終結した 465 00:24:03,940 --> 00:24:07,610 帝国軍の艦艇損傷率87.2% 466 00:24:07,610 --> 00:24:10,120 将兵の死傷率72% 467 00:24:10,120 --> 00:24:13,150 同盟軍の損傷率81.6% 468 00:24:13,150 --> 00:24:15,790 死傷率73.7% 469 00:24:15,790 --> 00:24:19,660 両軍合わせて 250万人の命が失われた 470 00:24:19,660 --> 00:24:21,660 まさに死闘であった 471 00:24:26,330 --> 00:24:28,800 停戦によって 初めて対面する両雄 472 00:24:28,800 --> 00:24:30,800 ヤンを自らの陣営に招く ラインハルト 473 00:24:30,800 --> 00:24:32,810 同盟を征服したラインハルトは 474 00:24:32,810 --> 00:24:35,310 帝国に帰り ついに皇帝に即位する 475 00:24:35,310 --> 00:24:37,240 次回 銀河英雄伝説 476 00:24:37,240 --> 00:24:39,810 第54話 「皇帝ばんざい!」 477 00:24:39,810 --> 00:24:41,750 ひとつの時代が終わり 478 00:24:41,750 --> 00:24:45,250 銀河は 新たな伝説の幕開きを迎える