1 00:01:38,100 --> 00:01:42,910 僕らが向かっている地球 それは人類の発祥の地だ 2 00:01:42,910 --> 00:01:45,650 だが今は歴史の中に埋もれ 3 00:01:45,650 --> 00:01:49,520 忘れられた辺境の一惑星に 過ぎない 4 00:01:49,520 --> 00:01:51,450 なぜ そうなったのか 5 00:01:51,450 --> 00:01:54,650 学校の歴史の授業で 触れられた以上のことを 6 00:01:54,650 --> 00:01:56,890 僕も よく知らない 7 00:01:56,890 --> 00:02:03,160 この旅の時間を利用して 改めて振り返ってみようと思う 8 00:02:03,160 --> 00:02:05,100 かつて人類は 地球という 9 00:02:05,100 --> 00:02:08,400 ただ1つの惑星の表面で 生活していた 10 00:02:08,400 --> 00:02:10,670 西暦2039年 11 00:02:10,670 --> 00:02:14,570 当時 地球を二分する勢力であった ノーザン・コンドミニアムと 12 00:02:14,570 --> 00:02:17,040 ユナイテッド・ステーツ・オブ・ ユーラブリカは 13 00:02:17,040 --> 00:02:19,340 全面戦争に突入した 14 00:02:34,260 --> 00:02:37,160 熱核兵器を使用した 十三日戦争によって 15 00:02:37,160 --> 00:02:39,870 世界の主な大都市群は壊滅し 16 00:02:39,870 --> 00:02:43,670 以後 90年にわたる 抗争と戦乱の時代が続いた 17 00:02:45,670 --> 00:02:49,580 人類の総人口も10億にまで減少し 18 00:02:49,580 --> 00:02:53,780 生き残った人々は 統一政体の樹立を願っていました 19 00:02:53,780 --> 00:02:57,750 それは単に安定した社会秩序の 確立を望むというより 20 00:02:57,750 --> 00:03:02,490 これ以上の戦争をなくすためには 従来の主権国家という考え方を 21 00:03:02,490 --> 00:03:07,330 捨て去ろうとしたと 言えるのではないでしょうか 22 00:03:07,330 --> 00:03:09,700 西暦2129年 23 00:03:09,700 --> 00:03:14,330 そうした もくろみのもとに 地球統一政府が誕生する 24 00:03:14,330 --> 00:03:17,540 統一政府の首都は オーストラリア大陸の東北部 25 00:03:17,540 --> 00:03:22,380 太平洋に面したブリスベンに 定められ 再建は急速に進んだ 26 00:03:22,380 --> 00:03:25,340 人々は熱狂的に 大小の事業に取り組み 27 00:03:25,340 --> 00:03:29,020 都市を建設し 荒野を緑化した 28 00:03:29,020 --> 00:03:31,980 更に宇宙という フロンティアに歩みを進め 29 00:03:31,980 --> 00:03:36,320 西暦2166年には 木星の衛星 イオに 30 00:03:36,320 --> 00:03:38,920 開発基地を建設するに至った 31 00:03:40,960 --> 00:03:45,230 この当時 統一政府内において 最も活力的な部局は 32 00:03:45,230 --> 00:03:48,100 宇宙省だったと言えるでしょう 33 00:03:48,100 --> 00:03:50,900 その巨大な機構の本部は 月面に置かれ 34 00:03:50,900 --> 00:03:52,840 2200年代の半ばには 35 00:03:52,840 --> 00:03:56,280 その人口は首都ブリスベンを しのぐに至り 36 00:03:56,280 --> 00:04:00,650 「ブリスベンは地球の首都だが ルナシティーは太陽系の首都だ」 37 00:04:00,650 --> 00:04:03,350 とまで言われたのです 38 00:04:03,350 --> 00:04:07,050 それから しばらくの間 人類の実質的な生存圏は 39 00:04:07,050 --> 00:04:10,020 太陽系内部にとどまった 40 00:04:10,020 --> 00:04:15,760 2253年には最初の恒星間探査船が アルファ・ケンタウリに発進したが 41 00:04:15,760 --> 00:04:20,330 20年後になっても帰還せず 人々を落胆させた 42 00:04:20,330 --> 00:04:24,740 もっとも当時の人類の総人口は まだ40億人であったから 43 00:04:24,740 --> 00:04:30,310 太陽系内部だけでも 十分な 居住空間が確保されていたが 44 00:04:30,310 --> 00:04:33,610 西暦2360年 45 00:04:33,610 --> 00:04:37,480 アントネル・ヤノーシュ博士を 長とする 宇宙省技術陣は 46 00:04:37,480 --> 00:04:42,320 ついに人類の夢であった 超光速航行を実現させた 47 00:04:42,320 --> 00:04:45,120 ワープ航法は最初 その距離も短く 48 00:04:45,120 --> 00:04:50,400 人体 特に女性の出産能力に 著しい悪影響が見られたが 49 00:04:50,400 --> 00:04:54,700 2391年には 完全な実用化にこぎつけた 50 00:04:56,670 --> 00:04:59,040 2402年 51 00:04:59,040 --> 00:05:02,840 カノープス星系に 居住可能の惑星が発見され 52 00:05:02,840 --> 00:05:05,640 恒星間移住時代を迎える 53 00:05:05,640 --> 00:05:08,310 だが それは単一の権力体制に 54 00:05:08,310 --> 00:05:12,180 亀裂が生じる第一歩でも あったのです 55 00:05:12,180 --> 00:05:16,890 2404年に 第一次恒星移民団が進発した時 56 00:05:16,890 --> 00:05:20,730 ブリスベンでは 統一政府の首脳たちが額を集め 57 00:05:20,730 --> 00:05:25,030 あまりにも遠い入植地に どの程度の自治権を認めるか 58 00:05:25,030 --> 00:05:28,930 延々と討議を続けていたのでした 59 00:05:28,930 --> 00:05:31,440 (ノックの音) どうぞ 60 00:05:31,440 --> 00:05:35,110 おっ なんだ なんだ 1人で隠れて何を見てるんだ 61 00:05:35,110 --> 00:05:37,040 ポルノか? まさか 62 00:05:37,040 --> 00:05:40,480 ちょっと地球について 予習していたんですよ 63 00:05:40,480 --> 00:05:43,150 なんだ 不健全な奴だな 64 00:05:43,150 --> 00:05:46,050 一緒に ご覧になります? 65 00:05:46,050 --> 00:05:49,060 まあ他にやることもないしな 66 00:05:49,060 --> 00:05:51,290 色っぽいシーンある? 67 00:05:51,290 --> 00:05:53,630 ありません 68 00:05:53,630 --> 00:05:57,060 最初は宇宙省航路局 航行安全部として 69 00:05:57,060 --> 00:06:01,600 ささやかに発足した一機構が 宇宙省保安局に昇格し 70 00:06:01,600 --> 00:06:04,640 省次官を長官とする 宇宙警備隊になり 71 00:06:04,640 --> 00:06:10,310 ついに西暦2484年 宇宙軍の成立を見る 72 00:06:10,310 --> 00:06:12,910 これは統一政府の成立以前に 73 00:06:12,910 --> 00:06:16,550 天空の高みから弱小諸国を 強迫し 威圧した 74 00:06:16,550 --> 00:06:18,520 ノーザン・コンドミニアム 宇宙軍とは 75 00:06:18,520 --> 00:06:21,050 まったく異なる性格のもので 76 00:06:21,050 --> 00:06:23,290 市民の航行の安全を確保し 77 00:06:23,290 --> 00:06:26,760 犯罪と事故から 人権及び経済機構を守るための 78 00:06:26,760 --> 00:06:29,960 治安システムであると 説明されました 79 00:06:29,960 --> 00:06:33,670 歴史的に見て あらゆる軍隊が 平和防衛を唱えつつ 80 00:06:33,670 --> 00:06:37,100 侵略と外征に 狂奔したものであるという事実を 81 00:06:37,100 --> 00:06:40,970 この時代の人々もまた 忘れ去ってしまっていたのです 82 00:06:40,970 --> 00:06:45,280 「軍隊とは一国内における 最強の暴力組織である」 83 00:06:45,280 --> 00:06:47,850 という命題は 歴史を知る者にとって 84 00:06:47,850 --> 00:06:49,780 いわば常識でしょう 85 00:06:49,780 --> 00:06:53,220 しかも 全人類の統一国家においては 86 00:06:53,220 --> 00:06:58,460 外敵は存在し得ないのですから 最小限の武力で事足りるはずです 87 00:06:58,460 --> 00:07:02,330 であるにもかかわらず この宇宙軍は際限なく肥大化し 88 00:07:02,330 --> 00:07:06,430 その組織内部は 著しい退廃を続けたのです 89 00:07:08,530 --> 00:07:12,870 高級軍人とは 武装した貴族の 別名であるのか! 90 00:07:12,870 --> 00:07:16,340 1つの例として 第4方面総監部に所属する 91 00:07:16,340 --> 00:07:20,310 宇宙空母デキシーランドの艦長 アーノルド・F・バーチ大佐の 92 00:07:20,310 --> 00:07:24,150 優雅な生活ぶりを 拝見するとしよう 93 00:07:24,150 --> 00:07:28,420 彼の部屋は執務室 居間 寝室 バスルームから成り 94 00:07:28,420 --> 00:07:31,320 総面積 240平米 95 00:07:31,320 --> 00:07:34,690 ちなみに彼の部屋の下は 兵士たちの居室であって 96 00:07:34,690 --> 00:07:37,560 同じ面積に 90名が詰め込まれている 97 00:07:37,560 --> 00:07:41,430 労働力の面から言えば 艦長に副官がつくのは当然として 98 00:07:41,430 --> 00:07:44,940 女性秘書1名 従卒6名 専用コック2名 99 00:07:44,940 --> 00:07:48,370 専用看護婦1名が彼に仕えている 100 00:07:48,370 --> 00:07:52,240 むろん彼らの給料は 国民の 租税の中から支払われるのだが 101 00:07:52,240 --> 00:07:56,620 より悲しみを誘うのは 専用看護婦を必要とする病人が 102 00:07:56,620 --> 00:07:58,980 一艦の指揮を 押しつけられているという 103 00:07:58,980 --> 00:08:00,950 非人道的事実である 104 00:08:00,950 --> 00:08:03,360 つまらん皮肉を言うな! そうだ そうだ 105 00:08:03,360 --> 00:08:06,590 この告発は かえって非難の的となった 106 00:08:06,590 --> 00:08:08,530 既に議会も言論界も 107 00:08:08,530 --> 00:08:11,830 軍部の代弁者が 多数派を占めていたのである 108 00:08:11,830 --> 00:08:14,470 また この頃になると恒星間航行も 109 00:08:14,470 --> 00:08:18,740 技術と距離の壁を前にして ひとつの限界が見えてきていた 110 00:08:18,740 --> 00:08:21,670 2480年 人類の生存圏は 111 00:08:21,670 --> 00:08:25,950 地球を中心とする半径60光年の 球状に広がっていたが 112 00:08:25,950 --> 00:08:29,350 2530年には半径84光年 113 00:08:29,350 --> 00:08:32,250 2580年には91光年 114 00:08:32,250 --> 00:08:38,160 2630年には94光年と 停滞の状況は明らかだった 115 00:08:38,160 --> 00:08:40,890 そんな中にもかかわらず 軍隊だけが 116 00:08:40,890 --> 00:08:44,360 肥大化を続けていたのだった 117 00:08:44,360 --> 00:08:47,270 同時に経済的な不公平も 募っていた 118 00:08:47,270 --> 00:08:51,240 資源の枯渇した地球は 既に第一次産業を放棄し 119 00:08:51,240 --> 00:08:54,640 資本と金融のみによって 植民星の産業を支配し 120 00:08:54,640 --> 00:08:57,840 利益と資源を 独占的に吸い上げていた 121 00:08:57,840 --> 00:09:02,050 政治的には植民星には それぞれの 自治権が認められていたが 122 00:09:02,050 --> 00:09:04,350 それは形だけのものに過ぎず 123 00:09:04,350 --> 00:09:07,320 また あくまでも地球の 一部分としての権利であって 124 00:09:07,320 --> 00:09:10,560 地球と対等の関係ではなかった 125 00:09:10,560 --> 00:09:14,090 汎人類評議会という機構も 設けられてはいたが 126 00:09:14,090 --> 00:09:17,000 代議員の7割は地球からの選出で 127 00:09:17,000 --> 00:09:20,370 議決は7割の賛同を 必要としていたので 128 00:09:20,370 --> 00:09:23,800 実質的には 地球以外の植民星からの動議が 129 00:09:23,800 --> 00:09:27,170 可決されることは皆無だった 130 00:09:27,170 --> 00:09:29,110 地球資本の圧力によって 131 00:09:29,110 --> 00:09:31,880 単一作物の栽培を 強制された揚げ句 132 00:09:31,880 --> 00:09:35,780 その作物を買いたたかれ 飢餓に瀕した植民星もあるのだ! 133 00:09:35,780 --> 00:09:39,620 かくのごとき富の地球への偏在を 是正すべきではないのか! 134 00:09:39,620 --> 00:09:42,520 そうだ! 是正しろ! 135 00:09:42,520 --> 00:09:45,720 植民星の人民が貧困なのは 136 00:09:45,720 --> 00:09:48,630 彼ら自身の無能さに原因がある 137 00:09:48,630 --> 00:09:52,130 我々 地球市民に 罪があるなどというのは 138 00:09:52,130 --> 00:09:57,940 自立心と向上心を欠く 奴隷的精神の表れでしかない! 139 00:09:57,940 --> 00:10:00,810 当時 地球には 資源が欠けていました 140 00:10:00,810 --> 00:10:04,680 そして地球人には 想像力が欠けていました 141 00:10:04,680 --> 00:10:08,550 想像力の欠如するところ 地球の住人たちは傲然と 142 00:10:08,550 --> 00:10:11,920 強者の論理を貫いたのです 143 00:10:11,920 --> 00:10:15,450 強者の強者たるゆえんは 武力と富であった 144 00:10:15,450 --> 00:10:19,160 資本主義の名の下に 地球は植民星の富を収奪し 145 00:10:19,160 --> 00:10:22,190 それによって軍事力を強化した 146 00:10:22,190 --> 00:10:25,460 いわば植民星の人々は 自分たちを監視し 147 00:10:25,460 --> 00:10:29,740 弾圧する兵士たちを 養わされたのである 148 00:10:29,740 --> 00:10:32,640 忍耐の極みに達した植民星側では 149 00:10:32,640 --> 00:10:37,910 西暦2682年に至り 結束して 地球側に要求を突きつけた 150 00:10:37,910 --> 00:10:40,780 第1に肥大化した軍備の縮小 151 00:10:40,780 --> 00:10:45,680 第2に汎人類評議会の議席数を 人口に応じた配分に変えること 152 00:10:45,680 --> 00:10:48,920 第3に地球資本による 植民星に対する 153 00:10:48,920 --> 00:10:51,620 内政干渉をやめること 154 00:10:51,620 --> 00:10:53,660 これに対して地球は まず 155 00:10:53,660 --> 00:10:58,060 汎人類評議会の分担金の拠出を 停止することで応じたが 156 00:10:58,060 --> 00:11:03,240 植民星の不満を抑えるべく 対策を講じる必要に迫られた 157 00:11:03,240 --> 00:11:07,410 当時 反地球派の急先鋒は シリウス星系でした 158 00:11:07,410 --> 00:11:10,040 地球はこれを 逆に利用することを考え 159 00:11:10,040 --> 00:11:13,480 意図的に 怪情報を流し始めたのです 160 00:11:13,480 --> 00:11:17,150 いわく「シリウスが事あるごとに 地球を非難するのは」 161 00:11:17,150 --> 00:11:20,050 「平等を目指してなどではなく 地球に代わって」 162 00:11:20,050 --> 00:11:23,320 「人類社会の支配者たらんとする 野心のためである」 163 00:11:23,320 --> 00:11:26,890 「シリウスこそ 地球と各植民星の共通の敵であり」 164 00:11:26,890 --> 00:11:29,230 「人類を脅かす存在なのである」 165 00:11:29,230 --> 00:11:31,930 「シリウスは着々と国力を蓄え」 166 00:11:31,930 --> 00:11:34,900 「軍備を増強し スパイ網を完成させつつある」 167 00:11:34,900 --> 00:11:37,740 「シリウスに注意せよ」 168 00:11:37,740 --> 00:11:40,510 俗に言う「シリウス脅威論」です 169 00:11:40,510 --> 00:11:43,410 最初 地球は 悪意に満ちた喜びをもって 170 00:11:43,410 --> 00:11:47,350 シリウスの虚像が拡大していくのを 見守っていました しかし 171 00:11:47,350 --> 00:11:50,650 地球がシリウスの脅威を 誇大に宣伝していくうちに 172 00:11:50,650 --> 00:11:53,050 計算外の効果が表れてきました 173 00:11:53,050 --> 00:11:56,590 シリウス自身が 地球を凌駕せんとする実力と 174 00:11:56,590 --> 00:11:59,490 意志の存在を 信じ始めてしまったのです 175 00:11:59,490 --> 00:12:04,890 つまり うわさに乗せられる形で その気になってしまったのです 176 00:12:06,970 --> 00:12:10,240 シリウスを仮想敵に仕立てる 地球の政略は 177 00:12:10,240 --> 00:12:12,270 失笑すべき結果を生んだ 178 00:12:12,270 --> 00:12:15,410 いくつかの植民星が 地球に対する反感のあまり 179 00:12:15,410 --> 00:12:19,010 シリウスのほうに 身を寄せ始めたのである 180 00:12:19,010 --> 00:12:22,950 「地球の専横に反対するには シリウスに頼るほかない」 181 00:12:22,950 --> 00:12:28,290 そう思わせたのは 他ならぬ地球自身だったのです 182 00:12:28,290 --> 00:12:32,460 かくして反地球陣営の 盟主の座についたシリウスに対し 183 00:12:32,460 --> 00:12:35,430 地球は武力による懲罰を 加えることを決し 184 00:12:35,430 --> 00:12:39,630 同時に反地球勢力を 一掃することを考えた 185 00:12:39,630 --> 00:12:42,840 西暦2689年 186 00:12:42,840 --> 00:12:47,970 地球はシリウスが各植民星の 警備隊を集めて合同訓練を行い 187 00:12:47,970 --> 00:12:53,310 重火器の供与を約束したことを 口実に先制攻撃を仕掛けた 188 00:12:53,310 --> 00:12:57,280 植民星連合軍は 宇宙に 飛び立つこともかなわずに敗北し 189 00:12:57,280 --> 00:13:00,390 シリウスの主星 第6惑星ロンドリーナは 190 00:13:00,390 --> 00:13:02,920 地球軍に制圧された 191 00:13:02,920 --> 00:13:07,760 勝利を収めはしたものの 地球軍の綱紀の低下は著しかった 192 00:13:07,760 --> 00:13:11,060 現地司令部によって 膨大な数字の操作が行われ 193 00:13:11,060 --> 00:13:13,970 押収した物資の量は 過少に報告され 194 00:13:13,970 --> 00:13:18,700 実数との差は高級士官たちの懐に しまいこまれた 195 00:13:18,700 --> 00:13:22,110 一方 敵軍の戦死者数は 過大に報告され 196 00:13:22,110 --> 00:13:26,110 実数60万人のところが 150万人に水増しされたが 197 00:13:26,110 --> 00:13:28,250 それを もっともらしく見せるため 198 00:13:28,250 --> 00:13:31,480 非戦闘員の大量虐殺が 行われたうえ 199 00:13:31,480 --> 00:13:33,420 1人の死体を切断して 200 00:13:33,420 --> 00:13:38,390 何人分もの死体に見せかける などという蛮行が平然と行われた 201 00:13:38,390 --> 00:13:41,290 更には味方の戦死者を 過少に報告し 202 00:13:41,290 --> 00:13:46,430 死者に対して送られてきた給料を 着服した士官まで実在する 203 00:13:46,430 --> 00:13:48,730 これらの事実を告発したのは 204 00:13:48,730 --> 00:13:52,470 現地に潜入して取材した 一報道記者であったが 205 00:13:52,470 --> 00:13:54,410 告発を受けた軍法会議は 206 00:13:54,410 --> 00:13:57,110 被告である地球軍士官の 証言のみを採用し 207 00:13:57,110 --> 00:13:59,040 訴えを却下したばかりか 208 00:13:59,040 --> 00:14:01,750 告発した記者の 売名行為と決めつけて 209 00:14:01,750 --> 00:14:04,280 誣告罪で逆告訴した 210 00:14:04,280 --> 00:14:06,690 この事件に味をしめた地球軍は 211 00:14:06,690 --> 00:14:09,590 もはや軍人というより 盗賊集団と化して 212 00:14:09,590 --> 00:14:13,460 次なる戦場を探し求めたのです 213 00:14:13,460 --> 00:14:16,360 その戦場に選ばれたのが 惑星ロンドリーナの 214 00:14:16,360 --> 00:14:19,870 経済の中心であった ラグランシティーであった 215 00:14:19,870 --> 00:14:24,500 前回の戦闘で敗れた 植民星連合軍の敗残兵の一部が 216 00:14:24,500 --> 00:14:28,410 武器を持ったままラグランシティーに 逃げ込んだのは事実であった 217 00:14:28,410 --> 00:14:32,140 しかし地球軍が重視したのは このラグランシティーが 218 00:14:32,140 --> 00:14:34,780 惑星ロンドリーナの 豊富な天然資源を 219 00:14:34,780 --> 00:14:39,280 生産し 集散する 中心であったことである 220 00:14:39,280 --> 00:14:41,890 地球軍は機械化野戦師団15個 221 00:14:41,890 --> 00:14:45,620 空中攻撃師団4個 都市型戦闘師団6個をもって 222 00:14:45,620 --> 00:14:50,760 ラグランシティーを完全包囲し 突入の態勢を整えた 223 00:14:50,760 --> 00:14:53,470 時のラグラン市長 ジョセフ・マサーリックが 224 00:14:53,470 --> 00:14:56,370 病身をおして 攻撃回避のために奔走し 225 00:14:56,370 --> 00:15:01,110 地球軍内部にあっても 総司令部作戦局次長クレランボー中将ら 226 00:15:01,110 --> 00:15:05,810 一部良識派の努力もあって 突入は2度にわたって延期された 227 00:15:05,810 --> 00:15:09,450 しかし大兵力の包囲下に 置かれた市内において 228 00:15:09,450 --> 00:15:12,880 敗残兵を引き渡すことによって 攻撃回避が図れると 229 00:15:12,880 --> 00:15:16,190 短絡した一部勢力が 自警団を組織して 230 00:15:16,190 --> 00:15:20,190 敗残兵狩りを始め 各所で銃撃戦が発生した 231 00:15:20,190 --> 00:15:23,930 これを奇貨とした地球軍は 攻撃を開始する 232 00:15:23,930 --> 00:15:28,570 この時 兵士に下された命令は 過激を極めた 233 00:15:28,570 --> 00:15:31,970 「武器を所有し 抵抗する者は 射殺せよ」 234 00:15:31,970 --> 00:15:34,540 「なお 武器を所有すると 疑われる者」 235 00:15:34,540 --> 00:15:36,940 「抵抗の可能性ありと みなされる者」 236 00:15:36,940 --> 00:15:40,150 「逃亡や隠匿のおそれがありと 判断される者も」 237 00:15:40,150 --> 00:15:42,950 「これに準じて処置すべし」 238 00:15:42,950 --> 00:15:46,820 これは事実上の無差別殺人を 扇動したものであった 239 00:15:46,820 --> 00:15:48,750 市内に突入した地球軍は 240 00:15:48,750 --> 00:15:51,690 公認された殺りくと破壊を ほしいままにし 241 00:15:51,690 --> 00:15:54,590 黙認された暴行と略奪に熱中した 242 00:15:54,590 --> 00:15:57,890 後の世に言う ブラッディ・ナイトの始まりである 243 00:16:00,200 --> 00:16:04,070 市立美術館に収蔵されていた 絵画や宝石細工は強奪され 244 00:16:04,070 --> 00:16:07,070 貴重な古書の類いは 価値を理解しない兵士たちに 245 00:16:07,070 --> 00:16:10,340 火中に放り込まれた 246 00:16:10,340 --> 00:16:13,910 市内北地区には ダイヤモンド原石の研磨工場 247 00:16:13,910 --> 00:16:17,320 ゴールドやプラチナの 加工場などが集中しており 248 00:16:17,320 --> 00:16:20,320 空から殺到した 第2空中攻撃師団と 249 00:16:20,320 --> 00:16:23,790 陸から侵入した 第5都市型戦闘師団とで 250 00:16:23,790 --> 00:16:28,760 獲物の奪い合いになり 醜悪な同士討ちが発生した 251 00:16:28,760 --> 00:16:32,500 双方で1500人の死者が出たが その死体の中には 252 00:16:32,500 --> 00:16:36,070 腹部を切り裂かれた痕跡の あるものが多数見られた 253 00:16:36,070 --> 00:16:38,340 これは飲み込んだダイヤ原石を 254 00:16:38,340 --> 00:16:41,810 胃を裂かれて強奪されたものと 推定された 255 00:16:41,810 --> 00:16:45,710 これと同種の被害は民間人の間に その100倍も生じたが 256 00:16:45,710 --> 00:16:50,050 中には軍用ナイフでアゴを裂かれて 金歯を抜き取られた老人や 257 00:16:50,050 --> 00:16:51,980 耳ごとピアスを奪われたり 258 00:16:51,980 --> 00:16:56,180 指ごと指輪を切り取られた 女性などが続出した 259 00:16:59,730 --> 00:17:01,660 このブラッディ・ナイトの10時間で 260 00:17:01,660 --> 00:17:06,230 地球軍によって殺害された ラグラン市民は90万人を超え 261 00:17:06,230 --> 00:17:09,070 破壊と略奪によって 与えられた損害は 262 00:17:09,070 --> 00:17:11,640 150億クレジットにも及んだ 263 00:17:11,640 --> 00:17:16,070 だが地球軍は当初 この事実を否定した 264 00:17:16,070 --> 00:17:18,440 ラグラン市において虐殺や略奪が 265 00:17:18,440 --> 00:17:21,450 行われたという事実は 一切 存在しない 266 00:17:21,450 --> 00:17:26,180 地球軍の名誉を傷つけようとする 反逆者による ねつ造である 267 00:17:26,180 --> 00:17:29,090 その3日後 軍部の発表は一転する 268 00:17:29,090 --> 00:17:31,490 虐殺と略奪は確かにあった 269 00:17:31,490 --> 00:17:34,960 ただし至って小規模で 死者は2万人程度である 270 00:17:34,960 --> 00:17:37,260 しかも その加害者は 地球軍ではなく 271 00:17:37,260 --> 00:17:40,100 同市に潜伏した 反地球派ゲリラであり 272 00:17:40,100 --> 00:17:42,830 事件後 自らの犯罪を 地球軍になすりつけ 273 00:17:42,830 --> 00:17:46,440 反地球運動に利用しようと したものである すなわち 274 00:17:46,440 --> 00:17:51,040 同市には依然 ゲリラが 潜伏していると思われる 275 00:17:51,040 --> 00:17:55,480 わずか3日で 公式見解が 180度変わった理由については 276 00:17:55,480 --> 00:17:58,020 ついに述べられなかった 277 00:17:58,020 --> 00:18:03,260 地球軍は任務の完璧を期すとして 敗残兵の再掃討作戦を行い 278 00:18:03,260 --> 00:18:05,990 更に35万人の犠牲者を出した 279 00:18:05,990 --> 00:18:08,290 だが この蛮行の中から 280 00:18:08,290 --> 00:18:12,700 植民諸惑星にとっての 希望が生まれる 281 00:18:12,700 --> 00:18:16,300 当時 25歳の放送記者であった カーレ・パルムグレンは 282 00:18:16,300 --> 00:18:20,010 軍隊の検問に遭って 所持品検査を拒否したことから 283 00:18:20,010 --> 00:18:23,410 銃で乱打され 重傷を負った 284 00:18:25,410 --> 00:18:28,910 液体ロケット燃料をかけて 焼かれる死体の山の中で 285 00:18:28,910 --> 00:18:30,850 意識を取り戻したパルムグレンは 286 00:18:30,850 --> 00:18:34,550 その煙に紛れて逃亡に成功した 287 00:18:34,550 --> 00:18:38,490 金属ラジウム鉱山の会計係で 労働組合の書記を務めていた 288 00:18:38,490 --> 00:18:41,830 23歳のウィンスロー・ ケネス・タウンゼントは 289 00:18:41,830 --> 00:18:45,260 アパートの窓から 軍隊の行進を 見下ろしていたところを 290 00:18:45,260 --> 00:18:47,270 酔った兵士によって狙撃され 291 00:18:47,270 --> 00:18:50,100 彼のそばにいた母親を殺された 292 00:18:50,100 --> 00:18:52,540 訴えを無視されたうえに かえって 293 00:18:52,540 --> 00:18:55,440 母親殺しの罪を着せられた タウンゼントは 294 00:18:55,440 --> 00:18:58,940 鉱山に逃げ込んで姿を消した 295 00:18:58,940 --> 00:19:01,810 医科大学の付属施設で 薬草学を学んでいた 296 00:19:01,810 --> 00:19:03,880 20歳のジョリオ・フランクールは 297 00:19:03,880 --> 00:19:07,590 恋人を暴行した地球軍兵士を 殴り倒したために 298 00:19:07,590 --> 00:19:10,090 逃亡者たることを余儀なくされた 299 00:19:10,090 --> 00:19:15,760 脱出に成功したのち 恋人が自殺したことを彼は知った 300 00:19:15,760 --> 00:19:18,260 政治にも革命にも関心を持たず 301 00:19:18,260 --> 00:19:22,670 音楽学校で作曲を勉強していた 19歳のチャオ・ユイルンは 302 00:19:22,670 --> 00:19:27,540 地球軍の無差別射撃で 親代わりに 育ててくれた兄夫婦を殺され 303 00:19:27,540 --> 00:19:31,010 3歳の おいを抱いて脱出した 304 00:19:31,010 --> 00:19:33,710 この4人が 最初に一堂に会したのは 305 00:19:33,710 --> 00:19:37,020 翌 西暦2691年2月 306 00:19:37,020 --> 00:19:40,220 中立地帯であった プロキシマ系第5惑星 307 00:19:40,220 --> 00:19:42,920 プロセルピナであったと 伝えられる 308 00:19:42,920 --> 00:19:47,830 4人の役割分担は まさに 適材適所の模範と言えましょう 309 00:19:47,830 --> 00:19:53,530 パルムグレンは理念と言論によって 反地球統一戦線の象徴となり 310 00:19:53,530 --> 00:19:59,800 タウンゼントは行政処理能力によって その経済基盤を整えたのです 311 00:19:59,800 --> 00:20:03,410 またフランクールは 反地球戦線の実戦部隊である 312 00:20:03,410 --> 00:20:06,140 ブラック・フラッグ・フォースの 総司令官として 313 00:20:06,140 --> 00:20:10,980 烏合の衆でしかなかった革命派を 精強な軍隊に再編成したのです 314 00:20:10,980 --> 00:20:14,920 チャオは 情報 謀略 破壊工作を担当し 315 00:20:14,920 --> 00:20:18,590 彼ら4人が反地球戦線で 主導権を握るために 316 00:20:18,590 --> 00:20:21,130 旧主導部を追放したのを手始めに 317 00:20:21,130 --> 00:20:25,000 当時 地球艦隊を指揮していた 3提督を共倒れさせるなど 318 00:20:25,000 --> 00:20:28,930 辛らつな策略に その手腕を振るったのです 319 00:20:28,930 --> 00:20:31,100 西暦2703年 320 00:20:31,100 --> 00:20:34,110 こうして弱体化した地球軍を フランクールの指揮する 321 00:20:34,110 --> 00:20:36,910 ブラック・フラッグ・フォースが 撃破した 322 00:20:36,910 --> 00:20:41,210 第二次ヴェガ星域会戦においては 2万隻の地球軍が 323 00:20:41,210 --> 00:20:43,150 わずか6000隻の ブラック・フラッグ・フォースに 324 00:20:43,150 --> 00:20:46,890 敗れるなどして翌2704年には 325 00:20:46,890 --> 00:20:50,320 地球は太陽系すら 維持できなくなっていた 326 00:20:50,320 --> 00:20:52,790 アステロイドベルトを 最後の防衛線として 327 00:20:52,790 --> 00:20:54,830 抵抗を続ける地球に対し 328 00:20:54,830 --> 00:20:58,960 反地球戦線は 2ヵ月にわたって 補給を完全に断ち 329 00:20:58,960 --> 00:21:02,530 餓死寸前になったところに 全面攻撃をかけた 330 00:21:02,530 --> 00:21:05,800 それはラグランシティーの惨劇を 規模を100倍にして 331 00:21:05,800 --> 00:21:07,870 繰り返したものだったと 言えるでしょう 332 00:21:07,870 --> 00:21:11,710 ただし前回の 被害者と加害者の立場は 333 00:21:11,710 --> 00:21:14,510 逆転していましたが 334 00:21:14,510 --> 00:21:19,250 この時の攻撃は地球の地形まで だいぶ変えてしまったほどで 335 00:21:19,250 --> 00:21:23,190 総人口も10億人くらいまで 減ってしまったらしい 336 00:21:23,190 --> 00:21:25,190 詳しいんですね 337 00:21:25,190 --> 00:21:27,860 なに コーネフ船長の受け売りさ 338 00:21:27,860 --> 00:21:30,100 奴は地球教徒の巡礼団を運んで 339 00:21:30,100 --> 00:21:32,830 何度も地球に 行ってるらしいからな 340 00:21:32,830 --> 00:21:36,170 だが ここに確立されたかに見えた シリウスの時代は 341 00:21:36,170 --> 00:21:42,510 一瞬のことでしかなかった シリウス戦役終結2年後の西暦2706年 342 00:21:42,510 --> 00:21:45,280 革命と解放の象徴であった パルムグレンが 343 00:21:45,280 --> 00:21:48,280 42歳の若さで病死したのだ 344 00:21:48,280 --> 00:21:52,580 私が今 死んだら 新体制は接着剤を失う 345 00:21:52,580 --> 00:21:56,380 あと5年でいい 死に神に待ってもらえたら… 346 00:21:58,390 --> 00:22:01,260 パルムグレンの死後 3ヵ月と経たずして 347 00:22:01,260 --> 00:22:03,700 彼の懸念は現実のものとなった 348 00:22:03,700 --> 00:22:07,200 首相となったタウンゼントと 国防相フランクールの間に 349 00:22:07,200 --> 00:22:09,670 亀裂が生じたのだ 350 00:22:09,670 --> 00:22:13,540 当初は旧体制下の財閥を 新体制の経済システムに 351 00:22:13,540 --> 00:22:16,470 組み込むかどうかの 意見の相違であったものが 352 00:22:16,470 --> 00:22:18,810 やがて感情的対立となり 353 00:22:18,810 --> 00:22:23,650 次第に修復不可能なものへと 変わっていった 354 00:22:23,650 --> 00:22:27,250 フランクールはクーデターによる 政権奪取を計画したが 355 00:22:27,250 --> 00:22:29,850 その情報は 直前にタウンゼント側に漏れ 356 00:22:29,850 --> 00:22:32,750 まさに秒単位の差で失敗した 357 00:22:35,130 --> 00:22:37,200 チャオ・ユイルンは ラグラン市に帰って 358 00:22:37,200 --> 00:22:39,330 音楽学校を開いていた 359 00:22:39,330 --> 00:22:42,930 本人は既に こうした権力闘争に 興味を失っていたが 360 00:22:42,930 --> 00:22:45,500 謀略面における彼の過去の実績は 361 00:22:45,500 --> 00:22:49,170 タウンゼントを恐れさせるに 十分だった 362 00:22:49,170 --> 00:22:51,610 タウンゼントは 危険の芽を摘む意味で 363 00:22:51,610 --> 00:22:55,380 チャオの謀殺を図る 364 00:22:55,380 --> 00:22:58,380 こうしてタウンゼントは 自己の正義を実現させる 365 00:22:58,380 --> 00:23:00,890 独裁権力を手中にした 366 00:23:00,890 --> 00:23:03,790 しかし翌2707年 367 00:23:05,720 --> 00:23:08,530 地上車に撃ち込まれた 中性子爆弾によって 368 00:23:08,530 --> 00:23:12,030 永遠に その権力の座から 追われるのである 369 00:23:12,030 --> 00:23:15,830 新秩序はタウンゼント個人に よって支えられていた 370 00:23:15,830 --> 00:23:17,840 彼の死後 ブラック・フラッグ・フォースが 371 00:23:17,840 --> 00:23:20,310 いくつかに分裂して 抗争を繰り返し 372 00:23:20,310 --> 00:23:24,540 再び1世紀近い混乱の時代を 迎えるのである 373 00:23:24,540 --> 00:23:30,010 建設途上で崩壊した 脱地球的な 宇宙秩序が再構築されるのは 374 00:23:30,010 --> 00:23:33,720 およそ1世紀後 西暦2801年 375 00:23:33,720 --> 00:23:37,260 銀河連邦の成立を 待たねばならない 376 00:23:37,260 --> 00:23:40,690 結局 こうした人類社会の 混乱の中で 377 00:23:40,690 --> 00:23:45,430 地球は忘れ去られた存在になって いってしまったというわけですね 378 00:23:45,430 --> 00:23:48,430 周りは忘れても 地球に住んでいる奴らは 379 00:23:48,430 --> 00:23:51,870 かつての栄光を 忘れちゃいないのかもしれん 380 00:23:51,870 --> 00:23:54,740 旧帝国の貴族どもも そうだが 381 00:23:54,740 --> 00:23:57,710 一度得た特権や何かは 取り戻すのが当然の権利だと 382 00:23:57,710 --> 00:23:59,940 思うもんらしいからな 383 00:23:59,940 --> 00:24:06,180 そこに800年余りの歳月が加わって どんな怨念が育っていることやら 384 00:24:06,180 --> 00:24:09,750 脅かさないでくださいよ 385 00:24:09,750 --> 00:24:12,690 さてと そろそろメシの時間だ ワードルームへ上がろうぜ 386 00:24:12,690 --> 00:24:15,630 ええ 387 00:24:15,630 --> 00:24:18,460 その時は冗談で済んでいた 388 00:24:18,460 --> 00:24:21,200 だが実際に地球に行ってみて 389 00:24:21,200 --> 00:24:24,100 それが真実を突いていたことを 390 00:24:24,100 --> 00:24:29,000 僕たちは苦い思いと共に 知らされるのだった 391 00:26:42,840 --> 00:26:45,580 カイザー・ラインハルトは 最初の臨御の栄を 392 00:26:45,580 --> 00:26:48,910 キュンメル男爵に与え その屋敷へと出向く 393 00:26:48,910 --> 00:26:51,820 だが そこにはラインハルトを 亡きものにしようという 394 00:26:51,820 --> 00:26:54,720 地球教の陰謀が待ち構えていた 395 00:26:54,720 --> 00:26:59,890 次回 「銀河英雄伝説」 第57話 「キュンメル事件」 396 00:26:59,890 --> 00:27:02,490 銀河の歴史が また1ページ