1 00:01:31,750 --> 00:01:34,420 7月10日の御前会議の後 2 00:01:34,420 --> 00:01:37,320 オーベルシュタインを謁見した カイザー ラインハルトは 3 00:01:37,320 --> 00:01:40,360 その進言に いささか驚かされた 4 00:01:40,360 --> 00:01:42,930 今すぐとは申しませんが 陛下 5 00:01:42,930 --> 00:01:46,830 ご結婚について 真剣にお考えください 6 00:01:46,830 --> 00:01:49,670 マリーンドルフ伯と 同じことを言う 7 00:01:49,670 --> 00:01:52,870 余に配偶者がおらぬことは それほど奇異か? 8 00:01:52,870 --> 00:01:55,380 卿は たしか余より 15ほども年長だが 9 00:01:55,380 --> 00:01:57,310 いまだ家庭を持たぬではないか 10 00:01:57,310 --> 00:02:01,050 オーベルシュタイン家が断絶したところで 世人は嘆きますまい 11 00:02:01,050 --> 00:02:03,950 ですが ローエングラム王家は さにあらず 12 00:02:03,950 --> 00:02:06,990 王朝が公正と安定を もたらすかぎりにおいては 13 00:02:06,990 --> 00:02:10,320 人民は その存続する保証を 血統に求め 14 00:02:10,320 --> 00:02:13,860 陛下のご成婚と世継ぎの誕生を 祝福いたしましょう 15 00:02:13,860 --> 00:02:18,130 ですが皇妃の父兄 すなわち外戚が いたずらに栄誉を誇り 16 00:02:18,130 --> 00:02:22,800 権力が振るうがごときは 国家に多大なる害をもたらします 17 00:02:22,800 --> 00:02:25,210 古代においては 皇妃をめとるに際し 18 00:02:25,210 --> 00:02:28,140 その一族をことごとく殺して 将来の禍根を断った 19 00:02:28,140 --> 00:02:32,310 帝王の例もありますれば ご留意いただけますよう 20 00:02:32,310 --> 00:02:36,150 卿は誰か特定の人物が 皇妃の宝冠をいただくことに 21 00:02:36,150 --> 00:02:38,180 反対しているように思えるな 22 00:02:38,180 --> 00:02:40,490 皇妃の候補すら 定まっておらんのに 23 00:02:40,490 --> 00:02:43,890 時期の上でも また臣下の分から 言っても 不適当だとは思わぬか 24 00:02:43,890 --> 00:02:46,730 差し出たまねと 承知はしております 25 00:02:46,730 --> 00:02:49,660 皇妃が政治上 皇帝に次ぐ ナンバー2となっては 26 00:02:49,660 --> 00:02:51,660 甚だ まずいか? 27 00:02:51,660 --> 00:02:55,760 卿ならば そう思うだろうな ご明察 恐れ入ります 28 00:02:58,340 --> 00:03:02,080 マリーンドルフ親子は いまだ謹慎しているのだな 29 00:03:02,080 --> 00:03:05,040 大逆犯の係累であれば 致し方ございません 30 00:03:05,040 --> 00:03:08,250 ゴールデンバウム王朝においては 一族ことごとく死刑が 31 00:03:08,250 --> 00:03:10,180 慣行でございました 32 00:03:10,180 --> 00:03:13,150 つまり地球教は 余の命を狙ったにとどまらず 33 00:03:13,150 --> 00:03:15,760 余の信頼する国務尚書と 主席秘書官を 34 00:03:15,760 --> 00:03:18,690 余から奪おうとしているわけだな 35 00:03:18,690 --> 00:03:21,360 これ以上 謹慎の必要を認めぬ 36 00:03:21,360 --> 00:03:24,260 マリーンドルフ親子に 明日より 出仕するよう伝えよ 37 00:03:24,260 --> 00:03:26,870 御意 いまひとつ 親子に対して 38 00:03:26,870 --> 00:03:29,570 このくだらぬ事件の責任を 問うことを禁ずる 39 00:03:29,570 --> 00:03:33,270 その禁を あえて犯す者は 余の命令に従順ならざる者として 40 00:03:33,270 --> 00:03:36,470 相応の処断を被るものと覚悟せよ 41 00:03:48,760 --> 00:03:52,630 同盟に駐在する レンネンカンプ弁務官の施策について 42 00:03:52,630 --> 00:03:55,530 フンメル補佐官からの報告が 届いております 43 00:03:55,530 --> 00:03:57,460 うん それで? 44 00:03:57,460 --> 00:04:01,770 弁務官はヤン・ウェンリー元帥への 監視強化を指示しました 45 00:04:01,770 --> 00:04:03,770 同盟内部の反政府派の動向と 46 00:04:03,770 --> 00:04:06,140 強い関わりがあると 見なしているようです 47 00:04:06,140 --> 00:04:08,070 詳細は こちらに 48 00:04:08,070 --> 00:04:11,410 烏合の衆が結束のために 英雄を必要とするのは 49 00:04:11,410 --> 00:04:15,320 無理からぬことだ 放置しておいてよろしいのですか 50 00:04:15,320 --> 00:04:18,120 レンネンカンプ弁務官は 憶測に基づいて 51 00:04:18,120 --> 00:04:20,490 ヤン元帥に造反の意思ありと 決めてかかっているように 52 00:04:20,490 --> 00:04:23,060 思われます これでは現在 53 00:04:23,060 --> 00:04:25,020 ヤン元帥に そのような意思がなくても 54 00:04:25,020 --> 00:04:27,890 かえって 次第にその気にさせて しまうのではありますまいか 55 00:04:27,890 --> 00:04:30,560 今のところ どう 手を出しようもあるまい 56 00:04:30,560 --> 00:04:34,100 レンネンカンプは 職権を 犯されるのを特に嫌う男だ 57 00:04:34,100 --> 00:04:36,040 ですが 閣下 58 00:04:36,040 --> 00:04:39,940 同盟の国民的英雄たる ヤン元帥を やたらに処断すれば 59 00:04:39,940 --> 00:04:43,580 同盟市民の帝国に対する反感が 激発するかもしれません 60 00:04:43,580 --> 00:04:47,450 大きくなった火は 消しにくくなる道理ですが 61 00:04:47,450 --> 00:04:50,750 失言でした お忘れいただければ幸いです 62 00:04:54,650 --> 00:04:59,190 軍務尚書はヤン元帥の存在を 利用するつもりかもしれんな 63 00:04:59,190 --> 00:05:03,460 ヤンの周りに反帝国の勢力を 集中させて まとめて処断するか 64 00:05:03,460 --> 00:05:06,900 あるいは 同盟内部の分裂抗争を招かせるか 65 00:05:06,900 --> 00:05:09,870 しかし 果たして 思うように事が進むかな 66 00:05:09,870 --> 00:05:12,340 「窮そ 猫をかむ」というではないか 67 00:05:12,340 --> 00:05:14,270 もっとも この場合 真っ先に かみつかれるのは 68 00:05:14,270 --> 00:05:16,310 レンネンカンプだが 69 00:05:16,310 --> 00:05:18,810 いずれにしても これは見ものだ 70 00:05:18,810 --> 00:05:21,050 軍務尚書の思惑が通るかどうか 71 00:05:21,050 --> 00:05:23,780 それによって 現在の平和が一時代を築くか 72 00:05:23,780 --> 00:05:26,720 動乱の間の ささやかな休息時間にすぎないか 73 00:05:26,720 --> 00:05:29,490 歴史の分かれ道ができそうだな 74 00:05:29,490 --> 00:05:34,260 ハインリッヒを 哀れもうとは思わないわ 75 00:05:34,260 --> 00:05:38,700 彼は あの数分間 主演俳優として 舞台に立っていたのよ 76 00:05:38,700 --> 00:05:41,600 わざわざ 森の中の 石畳の中庭を選んで 77 00:05:41,600 --> 00:05:44,040 そこで 生命力の全てを注ぐ名演技を 78 00:05:44,040 --> 00:05:46,270 やってのけたのだという気がする 79 00:05:46,270 --> 00:05:48,210 演技? ええ 80 00:05:48,210 --> 00:05:50,480 ハインリッヒが 本気で陛下を暗殺しようと 81 00:05:50,480 --> 00:05:52,480 していたとは思えないの 82 00:05:52,480 --> 00:05:55,680 彼を そうしむけた 地球教の思惑はともかく 83 00:05:55,680 --> 00:05:59,250 彼は人生の最後に ただ あの数分間を得るために 84 00:05:59,250 --> 00:06:02,460 刺客などという 不名誉な役を引き受けたのよ 85 00:06:02,460 --> 00:06:05,460 ああ そうかもしれんが 86 00:06:09,800 --> 00:06:12,130 お嬢様 ノイエ・サンスーシから 87 00:06:12,130 --> 00:06:14,100 直接 テレビ電話が 入っております 88 00:06:14,100 --> 00:06:16,570 おかけになってこられた方は シュトライトと名乗られ 89 00:06:16,570 --> 00:06:18,970 吉報であると伝えてくれと おっしゃいました 90 00:06:18,970 --> 00:06:22,910 どうか 至急 電話室に お越しくださいますよう 91 00:06:22,910 --> 00:06:27,080 陛下が 私たちを永久追放するなど あり得ないのは分かっていたわ 92 00:06:27,080 --> 00:06:29,980 ただ快く思わない相手も 多いでしょうね 93 00:06:29,980 --> 00:06:32,420 でも 負けるものですか 94 00:06:32,420 --> 00:06:35,920 お嬢様 何か? えっ ちょっとね 独り言 95 00:06:42,200 --> 00:06:45,130 フロイライン・マリーンドルフと お父君の謹慎が解かれたぞ 96 00:06:45,130 --> 00:06:47,300 それは ようございましたわ 97 00:06:47,300 --> 00:06:51,270 そもそも あのオーベルシュタインが とやかく言う筋合いがどこにある 98 00:06:51,270 --> 00:06:55,780 一族全てが罪に連座するなど 前王朝の時代で終わったのだ 99 00:06:55,780 --> 00:06:58,780 それに俺は かねてから フロイライン・マリーンドルフこそ 100 00:06:58,780 --> 00:07:01,580 陛下の皇妃にふさわしいと 考えていたんだ 101 00:07:01,580 --> 00:07:03,880 もし お二人の間に お子が産まれたら 102 00:07:03,880 --> 00:07:06,190 さぞ聡明な王子となるだろう 103 00:07:06,190 --> 00:07:09,120 楽しみなことだと思わないか? そうでしょうけど 104 00:07:09,120 --> 00:07:11,960 結局は お二人のお気持ちですわ 105 00:07:11,960 --> 00:07:14,830 私だって あなたが 将来有望な士官だから 106 00:07:14,830 --> 00:07:20,300 結婚したわけじゃありません あなただからですよ 107 00:07:20,300 --> 00:07:22,940 それが分かっていれば 俺は もう少しカッコよく 108 00:07:22,940 --> 00:07:24,900 結婚を申し込めただろうな 109 00:07:24,900 --> 00:07:27,610 あの時ほど怖かったことはない 110 00:07:27,610 --> 00:07:31,180 あら? 111 00:07:31,180 --> 00:07:35,350 あなた ロイエンタール提督が お見えですわ 112 00:07:35,350 --> 00:07:39,220 よう 珍しいな 113 00:07:39,220 --> 00:07:41,150 たまにはな 114 00:07:41,150 --> 00:07:43,460 ヨブ・トリューニヒトという男は 115 00:07:43,460 --> 00:07:46,060 希代の商人として 名を残すだろうよ 116 00:07:46,060 --> 00:07:48,090 商人? ああ 117 00:07:48,090 --> 00:07:50,600 奴は せんだって 自由惑星同盟と 118 00:07:50,600 --> 00:07:52,870 民主主義を帝国に売り渡した 119 00:07:52,870 --> 00:07:54,800 そして今度は地球教だ 120 00:07:54,800 --> 00:07:58,300 奴が市場に商品を出すつど 歴史が動く 121 00:07:58,300 --> 00:08:00,740 なかなかどうして フェザーン人と張り合えるほどの 122 00:08:00,740 --> 00:08:03,110 商売人だと思わざるを得ん 123 00:08:03,110 --> 00:08:06,980 そうだな 売る点にかけては 奴は優秀な商人だ 124 00:08:06,980 --> 00:08:08,950 だが買う方はダメだな 125 00:08:08,950 --> 00:08:11,450 奴が買うのは軽蔑と警戒だ 126 00:08:11,450 --> 00:08:13,450 誰が奴を尊敬する? 127 00:08:13,450 --> 00:08:17,390 結局 奴は自分自身の人格を 切り売りしているにすぎないのさ 128 00:08:17,390 --> 00:08:20,130 卿の言うことは正論だがな ミッターマイヤー 129 00:08:20,130 --> 00:08:24,730 奴は生きるに際して 他人の尊敬や 愛情など必要とせぬよう 130 00:08:24,730 --> 00:08:29,700 そして そういうやからほど 根の張りようは深く 茎は太い 131 00:08:29,700 --> 00:08:31,870 宿り木とは そういうものだろう 132 00:08:31,870 --> 00:08:33,810 なるほど 宿り木か 133 00:08:33,810 --> 00:08:37,210 奴が宿り木だとすれば 次は新帝国を宿り主にして 134 00:08:37,210 --> 00:08:39,210 その養分を 吸い取ろうとするかもしれん 135 00:08:39,210 --> 00:08:42,750 実際 この前 地球教のことを 知らせてきたのも 136 00:08:42,750 --> 00:08:47,090 その功で信任を得て 何か官職に ありつこうという魂胆だろう 137 00:08:47,090 --> 00:08:49,460 だとすれば すでにそのツルが 138 00:08:49,460 --> 00:08:52,230 新帝国の幹に 絡みつき始めているのかもしれん 139 00:08:52,230 --> 00:08:54,190 たしかに 奴は 単なる卑劣感といって 140 00:08:54,190 --> 00:08:56,630 済まされぬものがある 141 00:08:56,630 --> 00:08:59,100 悪い意味で 凡人でないことは確かだ 142 00:08:59,100 --> 00:09:01,100 監視するに しくはないな うん 143 00:09:01,100 --> 00:09:03,940 あなた バイエルライン提督が お見えです 144 00:09:03,940 --> 00:09:07,810 閣下 近くに用がありましたもので お邪魔させていただきました 145 00:09:07,810 --> 00:09:12,650 それといささか奇妙な噂を 耳にしましたので… 146 00:09:12,650 --> 00:09:15,210 これは… どんな噂だ? 147 00:09:15,210 --> 00:09:18,990 それが単なる噂でして 証拠があるわけでもないし 148 00:09:18,990 --> 00:09:21,650 真偽のほどは 定かではないのです 149 00:09:21,650 --> 00:09:23,920 いいから言ってみろ はい 150 00:09:23,920 --> 00:09:27,490 同盟軍の捕虜から 流れてきた話だということですが 151 00:09:27,490 --> 00:09:29,500 うん? メルカッツ提督が 152 00:09:29,500 --> 00:09:31,730 生きているという噂があるんです 153 00:09:31,730 --> 00:09:33,970 えっ? 154 00:09:33,970 --> 00:09:37,240 あのメルカッツか?ウィリバルト・ ヨアヒム・フォン・メルカッツが 155 00:09:37,240 --> 00:09:39,170 生きていると 卿は そう言うのか? 156 00:09:39,170 --> 00:09:42,070 噂です メルカッツはバーミリオン会戦で 157 00:09:42,070 --> 00:09:44,980 戦没したはずだ どこの誰が無責任にも 158 00:09:44,980 --> 00:09:47,410 故人の墓を暴くような 噂を流すのか! 159 00:09:47,410 --> 00:09:50,450 ですから 小官は 噂をお伝えしているだけで 160 00:09:50,450 --> 00:09:52,590 あり得ることだな 161 00:09:52,590 --> 00:09:55,490 たしかに遺体を 確認したわけではないから 162 00:09:55,490 --> 00:09:58,260 われわれの目をくらまして どこかで生きているとしても 163 00:09:58,260 --> 00:10:00,190 不思議はない だが だとしたら 164 00:10:00,190 --> 00:10:02,260 それをヤン・ウェンリーが 知らぬはずがない 165 00:10:02,260 --> 00:10:07,070 そうなると… 反逆の意思なしとは言えんな 166 00:10:07,070 --> 00:10:10,500 しかし 単なる噂だ そうだな 単なる噂だ 167 00:10:10,500 --> 00:10:14,910 そんなもので軽挙妄動して 罪人をでっちあげるような愚行は 168 00:10:14,910 --> 00:10:17,780 内国安全保障局に任せておこう 169 00:10:17,780 --> 00:10:21,650 では 私はこれで うん 170 00:10:21,650 --> 00:10:25,420 ところで またまた 女を替えたそうだな 171 00:10:25,420 --> 00:10:29,420 単なる噂だ… っと 言いたいところだが事実だ 172 00:10:29,420 --> 00:10:31,890 どうせまた 女から 言い寄られたのだろう? 173 00:10:31,890 --> 00:10:34,390 外れた 力ずくだ 174 00:10:36,660 --> 00:10:38,630 権力と暴力でモノにした 175 00:10:38,630 --> 00:10:40,670 俺も いよいよ あくどくなった 176 00:10:40,670 --> 00:10:43,440 悔い改めないと オーベルシュタインかラングあたりを 177 00:10:43,440 --> 00:10:46,310 喜ばせることになるかもしれんな 178 00:10:46,310 --> 00:10:49,640 そういう言い方はよせ 卿らしくもない 179 00:10:49,640 --> 00:10:51,640 うん 180 00:10:54,150 --> 00:10:56,620 で 真実のところはどうなんだ? 181 00:10:56,620 --> 00:11:00,220 実は その女に殺されかけた 何? 182 00:11:00,220 --> 00:11:03,790 帰宅して門をくぐるところへ ナイフを突き出された 183 00:11:03,790 --> 00:11:05,730 根気よく何時間も 待っていたらしい 184 00:11:05,730 --> 00:11:11,500 普通なら美人に待たれるのは 歓迎なのだがな 185 00:11:11,500 --> 00:11:13,430 その娘は名乗った 186 00:11:13,430 --> 00:11:16,340 自分は エルフリーデ・フォン・ コールラウシュという者だと 187 00:11:16,340 --> 00:11:18,840 そして付け加えた 自分の母親は 188 00:11:18,840 --> 00:11:21,810 亡きリヒテンラーデ侯爵の姪だったと 189 00:11:21,810 --> 00:11:24,210 リヒテンラーデ候の一族か 190 00:11:24,210 --> 00:11:28,210 それを聞いて俺も得心した 憎まれるのも道理だ 191 00:11:28,210 --> 00:11:31,880 俺が その娘にとって 大おじのかたきということになる 192 00:11:31,880 --> 00:11:35,420 かたきという点では 俺も卿と 異なるところはないはずだが? 193 00:11:35,420 --> 00:11:39,790 いや 異なる あの時 卿は 宰相府に急行して国璽を奪った 194 00:11:39,790 --> 00:11:44,630 俺は何をした?リヒテンラーデ候の私邸を 襲って あの老人を拘束した 195 00:11:44,630 --> 00:11:48,470 より直接的に俺の方が かたきといえるだろうな 196 00:11:48,470 --> 00:11:52,470 ついでにいえば あの老人と 一族の処刑を指揮したのも俺だ 197 00:11:52,470 --> 00:11:56,240 いよいよ これは 恨まれて当然というところだな 198 00:11:56,240 --> 00:11:59,110 そこまで その娘は 事情を知っていたのか? 199 00:11:59,110 --> 00:12:02,080 その時は知らなかった だが 今は知っている 200 00:12:02,080 --> 00:12:05,280 まさか… そうだ 俺が教えた 201 00:12:07,420 --> 00:12:09,490 無益なことではないか 202 00:12:09,490 --> 00:12:13,090 なぜ そんなことまで言って 誰よりも卿自身をおとしめる? 203 00:12:13,090 --> 00:12:15,830 俺も そう思う 無益だと分かるところまでは 204 00:12:15,830 --> 00:12:20,130 俺も まともだ だがその後が どうも ゆがんでいる 205 00:12:22,370 --> 00:12:25,370 ゆがんでいる… 分かっているんだ 206 00:12:42,690 --> 00:12:44,960 感心に逃げなかったようだな 207 00:12:44,960 --> 00:12:48,930 悪いことは何もしてないわ なぜ逃げる必要があるの? 208 00:12:48,930 --> 00:12:53,000 お前は帝国軍統帥本部総長を 殺そうとした罪人だ 209 00:12:53,000 --> 00:12:55,900 その場で 逆に殺されても当然のところだ 210 00:12:55,900 --> 00:12:58,400 それを鎖につなぎもせずに いてやるとは 211 00:12:58,400 --> 00:13:01,070 俺も寛大な男だと つくづく思う 212 00:13:01,070 --> 00:13:04,940 私は お前たちのような 殺人の常習犯じゃないわ 213 00:13:04,940 --> 00:13:06,940 ほう 214 00:13:12,650 --> 00:13:15,520 ああ 美しい手だ 215 00:13:15,520 --> 00:13:19,190 俺の母親の手も それは美しかったそうだ 216 00:13:19,190 --> 00:13:22,090 最高級の象牙を 彫り上げたようにな 217 00:13:22,090 --> 00:13:25,770 他人のためには一度として 動かしたことのない手だった 218 00:13:25,770 --> 00:13:28,270 初めて わが子を抱き上げたのは 219 00:13:28,270 --> 00:13:30,570 片目をナイフで 突き刺そうとした時で 220 00:13:30,570 --> 00:13:33,270 むろん それが最後だった 221 00:13:33,270 --> 00:13:37,510 残念だわ お前の母親が失敗したことがね 222 00:13:37,510 --> 00:13:41,410 母親は わが子が大逆の罪を 犯すことを予知していたのよ 223 00:13:41,410 --> 00:13:46,120 だから社会のために私情を捨てて 害を除こうとしたんだわ 224 00:13:46,120 --> 00:13:48,490 立派な母親に 不似合いな息子だこと 225 00:13:48,490 --> 00:13:53,390 もう少し推こうすれば 墓碑銘に使えるな 226 00:13:53,390 --> 00:13:55,390 俺には理解できんな 227 00:13:55,390 --> 00:13:59,670 親の代まで持っていた特権を 失ったのが それほど悔しいか? 228 00:13:59,670 --> 00:14:03,540 お前の父親や祖父は 自分の労働の成果でもないのに 229 00:14:03,540 --> 00:14:06,440 毎日遊んで 暮らしていたわけだろう 230 00:14:06,440 --> 00:14:08,940 そんな生活のどこに正義がある? 231 00:14:08,940 --> 00:14:11,710 貴族とは制度化された 盗賊のことだと 232 00:14:11,710 --> 00:14:14,950 まだ気付かないのか? 暴力で奪うのは悪だが 233 00:14:14,950 --> 00:14:18,820 権力で奪うのは そうではないとでも思うのか? 234 00:14:18,820 --> 00:14:23,390 もう少しマシな女かと思ったがな 興味が失せた 235 00:14:23,390 --> 00:14:27,160 さっさと出ていって お前にふさわしい男を探せ 236 00:14:27,160 --> 00:14:30,630 権力と法律が甘い生活を 保障してくれた時代を 237 00:14:30,630 --> 00:14:32,570 懐かしむだけの能なしをな 238 00:14:32,570 --> 00:14:35,470 だが その前に ひと言言っておく 239 00:14:35,470 --> 00:14:38,040 この世で もっとも卑劣で 醜悪なことはな 240 00:14:38,040 --> 00:14:39,970 実力も才能もないくせに 241 00:14:39,970 --> 00:14:42,810 相続によって 政治権力を手にすることだ 242 00:14:42,810 --> 00:14:46,380 それに比べれば さん奪は 一万倍もマシな行為だ 243 00:14:46,380 --> 00:14:49,650 少なくとも 権力を手に 入れるための努力はしているし 244 00:14:49,650 --> 00:14:51,580 本来 それが 自分のものでないことも 245 00:14:51,580 --> 00:14:55,490 知っているのだからな よく分かったわ 246 00:14:55,490 --> 00:14:59,060 お前は骨の髄からの 反逆者だということがよ 247 00:14:59,060 --> 00:15:01,460 自分にそれほど 実力や才能があると思うなら 248 00:15:01,460 --> 00:15:05,100 何だってやってみるといい そのうち 思い上がったあげくに 249 00:15:05,100 --> 00:15:09,340 今の主君にだって 背きたくなるでしょうよ 250 00:15:09,340 --> 00:15:11,940 カイザーは 俺より9歳も若いのに 251 00:15:11,940 --> 00:15:14,870 みずからの力で 全宇宙を手に入れた 252 00:15:14,870 --> 00:15:19,180 俺は ゴールデンバウムの皇室や 大貴族どもに反感は抱きながら 253 00:15:19,180 --> 00:15:21,910 王朝それ自体を 覆そうというまでの気概を 254 00:15:21,910 --> 00:15:24,520 持つことはできなかった 255 00:15:24,520 --> 00:15:27,820 あの方に俺が及ばぬゆえんだ 256 00:15:41,400 --> 00:15:44,970 地球征討を命じられた アウグスト・ザムエル・ワーレンは 257 00:15:44,970 --> 00:15:49,240 準備の時間を惜しんで 航路の途中で部隊編成を行うべく 258 00:15:49,240 --> 00:15:51,940 高速艦艇のみを出撃させた 259 00:15:54,080 --> 00:15:56,520 ワーレンは4年前に妻を亡くし 260 00:15:56,520 --> 00:16:00,520 残された息子を 両親のもとへ預けての出征である 261 00:16:06,190 --> 00:16:09,090 どうだ 卿の新しい旗艦の 乗り心地は? 262 00:16:09,090 --> 00:16:11,530 極上です 263 00:16:11,530 --> 00:16:13,530 ローエングラム王朝が開かれて後 264 00:16:13,530 --> 00:16:16,870 最初に完成した戦艦は パーツィバルであったが 265 00:16:16,870 --> 00:16:19,610 これをカイザーから 下賜される栄誉に預かったのは 266 00:16:19,610 --> 00:16:21,540 ナイトハルト・ミュラーである 267 00:16:21,540 --> 00:16:24,840 彼はバーミリオン会戦で ラインハルトの危機を救い 268 00:16:24,840 --> 00:16:28,580 みずからは旗艦を破壊され 4たびに渡って乗艦を替えながら 269 00:16:28,580 --> 00:16:30,580 不退転の勇戦ぶりを示し 270 00:16:30,580 --> 00:16:35,350 以来 「鉄壁ミュラー」の異名を 敵味方に知らしめることとなった 271 00:16:35,350 --> 00:16:38,760 ラインハルトは これに対し ミュラーを三元帥に次ぐ 272 00:16:38,760 --> 00:16:41,130 上級大将の首席とするとともに 273 00:16:41,130 --> 00:16:44,030 今回の栄誉をもって 報いたのである 274 00:16:44,030 --> 00:16:48,630 新旗艦の初陣に 卿も今回の任務を 賜りたかったのではないか? 275 00:16:48,630 --> 00:16:51,300 そうですね もう出陣する機会そのものが 276 00:16:51,300 --> 00:16:53,710 ないかもしれませんから そうだな 277 00:16:53,710 --> 00:16:56,310 そうであれば それに越したことはないが 278 00:16:56,310 --> 00:16:58,540 何か? いや まあ それだけに 279 00:16:58,540 --> 00:17:01,380 先のバーミリオン会戦で ヤン・ウェンリーに 280 00:17:01,380 --> 00:17:03,320 苦杯をなめさせられた ワーレンに 281 00:17:03,320 --> 00:17:07,090 名誉回復の機会として 今回の任務をくだされたのだろう 282 00:17:07,090 --> 00:17:09,990 その意味では同盟領に 駐在しているシュタインメッツや 283 00:17:09,990 --> 00:17:13,090 レンネンカンプも同様だがな なるほど 284 00:17:15,330 --> 00:17:17,260 次は 何であったかな? 285 00:17:17,260 --> 00:17:19,530 学芸尚書 ゼーフェルト博士から 286 00:17:19,530 --> 00:17:22,430 ゴールデンバウム王朝全史 編さんの途中報告を 287 00:17:22,430 --> 00:17:24,970 お受けになることに なっております 288 00:17:24,970 --> 00:17:27,410 うん ワーレン艦隊が 289 00:17:27,410 --> 00:17:30,840 地球征討のために出撃した 7月13日 290 00:17:30,840 --> 00:17:34,610 ユリアン・ミンツは その地球のナムツォ湖畔にいた 291 00:17:34,610 --> 00:17:37,280 ここの標高は およそ4000メートル 292 00:17:37,280 --> 00:17:40,020 標高8000メートルの カンチェンジュンガ山にある 293 00:17:40,020 --> 00:17:42,390 地球教本部に向かう巡礼者は 294 00:17:42,390 --> 00:17:47,030 まず ここで高度に体を ならすことが必要とされていた 295 00:17:47,030 --> 00:17:51,860 たしかに 前に会ってるような 印象があるんだがな 296 00:17:51,860 --> 00:17:55,700 頭痛はしないか? 大丈夫です 297 00:17:55,700 --> 00:18:00,010 僕は中佐より若い分 順応力が高いはずですから 298 00:18:00,010 --> 00:18:02,610 減らず口がたたけるようなら 大丈夫だろう 299 00:18:02,610 --> 00:18:05,510 準備ができましたよ オーケー 今行く 300 00:18:05,510 --> 00:18:07,510 行こうぜ ええ 301 00:18:16,560 --> 00:18:21,130 地球教の本部は ここから南に 350キロほど行ったところだが 302 00:18:21,130 --> 00:18:23,060 道路は整備されていないし 303 00:18:23,060 --> 00:18:25,730 高地での運動は 無理をしない方がいいからな 304 00:18:25,730 --> 00:18:27,770 途中 1泊して 到着は明日になる 305 00:18:27,770 --> 00:18:30,570 そのための荷物にしても 多すぎませんか? 306 00:18:30,570 --> 00:18:33,210 後ろの荷物は ほとんど喜捨物さ 307 00:18:33,210 --> 00:18:35,840 喜捨物? 教団へのワイロだよ 308 00:18:35,840 --> 00:18:38,310 主教だろうが何だろうが タダで物をもらって 309 00:18:38,310 --> 00:18:43,550 喜ばない奴はいないからな あると ないとでは待遇が違う 310 00:18:43,550 --> 00:18:47,120 あれが もともと 地球の最高峰があったあたりだ 311 00:18:47,120 --> 00:18:49,390 ヒマラヤ山脈ですね ああ 312 00:18:49,390 --> 00:18:52,990 地球の最盛期には エネルギー供給の中心であり 313 00:18:52,990 --> 00:18:55,790 政府首脳部の地下シェルターが 作られていた場所だ 314 00:18:55,790 --> 00:18:58,830 もっとも そのために西暦2704年の 315 00:18:58,830 --> 00:19:01,700 ブラック・フラッグ・フォースの 攻撃目標になってな 316 00:19:01,700 --> 00:19:04,500 頂上部が1000メートルぐらい 吹き飛ばされてしまった 317 00:19:04,500 --> 00:19:09,270 それでもいまだに 8000メートル級の山がいくつもある 318 00:19:09,270 --> 00:19:13,150 地球の人口はブラック・フラッグ・フォースの 影響で減ってしまったんですか? 319 00:19:13,150 --> 00:19:15,110 もちろん それもあるが 320 00:19:15,110 --> 00:19:17,750 それでも 10億人ぐらいは 残っていたんだ 321 00:19:17,750 --> 00:19:19,750 だが あっという間に 減ってしまったらしい 322 00:19:19,750 --> 00:19:22,720 ほとんどが地球を見捨てて 出ていってしまったんだろうが 323 00:19:22,720 --> 00:19:26,290 残った者の間で 生存を懸けて争いが起き 324 00:19:26,290 --> 00:19:28,690 さらには 信仰をめぐっての弾圧があり 325 00:19:28,690 --> 00:19:32,100 結局 わずか1000万人程度が 残っただけのようだ 326 00:19:32,100 --> 00:19:34,030 地球の現在の衰退は 327 00:19:34,030 --> 00:19:36,870 そうした無意味は争いが 原因なんでしょうか? 328 00:19:36,870 --> 00:19:39,770 さあな 西暦が終わって800年 329 00:19:39,770 --> 00:19:42,270 しかも孤立し 閉鎖された社会だ 330 00:19:42,270 --> 00:19:44,910 衰退しない方が 不思議じゃないか? 331 00:19:44,910 --> 00:19:48,110 むしろ不思議なのは 衰退しきったはずの地球が 332 00:19:48,110 --> 00:19:51,980 異常な方法ながら 勢力を再び 浸透させつつあるということです 333 00:19:51,980 --> 00:19:54,290 そこに何らかの秘密があると? 334 00:19:54,290 --> 00:19:56,220 ええ 地球教の本拠に 335 00:19:56,220 --> 00:19:58,160 資料室のようなものが あればいいんですけど 336 00:19:58,160 --> 00:20:01,190 あるとしても 侵入できるとはかぎらんぞ 337 00:20:01,190 --> 00:20:03,960 できなくとも 侵入しようとすれば 338 00:20:03,960 --> 00:20:06,330 何らかのリアクションが 生まれるでしょう 339 00:20:06,330 --> 00:20:10,070 そこに何かのきっかけが つかめるかもしれません 340 00:20:10,070 --> 00:20:12,340 これが地下シェルターの跡だ 341 00:20:12,340 --> 00:20:14,710 かつて地球政府軍の幹部たちは 342 00:20:14,710 --> 00:20:17,610 ここにこもって 植民惑星との戦いを指揮した 343 00:20:17,610 --> 00:20:21,480 といえば聞こえはいいが この中で安全を確保して 344 00:20:21,480 --> 00:20:23,980 地上の惨劇を モニターで眺めていたんだ 345 00:20:23,980 --> 00:20:26,890 食料だけでなく 酒にも女にも不自由せずにな 346 00:20:26,890 --> 00:20:29,720 それじゃあ 彼らは生き残ったんですか? 347 00:20:29,720 --> 00:20:33,260 いや それに気付いた ブラック・フラッグ・フォースは 348 00:20:33,260 --> 00:20:35,790 地下のかんがい用水路を破壊して 349 00:20:35,790 --> 00:20:39,030 この中に何億トンという 水を流し込んだのさ 350 00:20:39,030 --> 00:20:41,670 立てこもった 24000名ほどのうち 351 00:20:41,670 --> 00:20:44,370 生き残ったのは 100人といなかったとさ 352 00:20:53,980 --> 00:20:56,380 どうもありがとう いただきます 353 00:20:56,380 --> 00:21:00,250 どちらからですか? ブルートフェニッヒからだよ 354 00:21:00,250 --> 00:21:03,160 はあ 若い人 あんたはどこから? 355 00:21:03,160 --> 00:21:08,130 フェザーンです そりゃあ また遠くから感心なこと 356 00:21:08,130 --> 00:21:12,130 お若いのに立派だね どうも 357 00:21:25,010 --> 00:21:27,010 これをお持ちなさい 358 00:21:31,320 --> 00:21:33,650 こっちは財務関係の資料か 359 00:21:33,650 --> 00:21:35,620 どこまで信用できるかは疑問だ 360 00:21:35,620 --> 00:21:37,620 これは本部の案内図です 361 00:21:37,620 --> 00:21:39,760 大礼拝堂 大主教集会場 362 00:21:39,760 --> 00:21:43,260 ざんげ室 巡礼者宿泊所 食堂 363 00:21:43,260 --> 00:21:46,160 資料室というのは 見当たらないですね 364 00:21:46,160 --> 00:21:50,570 一般向けの資料に教団の全てが 記載されてるはずもないさ 365 00:21:50,570 --> 00:21:52,570 おい 尼さんの宿舎ってのはないか? 366 00:21:52,570 --> 00:21:54,810 さあ ないようですね 367 00:21:54,810 --> 00:21:57,610 すると男女は 雑居しているのかな? 368 00:21:57,610 --> 00:22:01,310 そういう見解ができるって うらやましいです 369 00:22:01,310 --> 00:22:03,310 そうか? 370 00:22:06,150 --> 00:22:08,890 これは… 宿泊する部屋番号だろう 371 00:22:08,890 --> 00:22:12,760 バラバラか 私たちは一緒ですが… 372 00:22:12,760 --> 00:22:16,030 意図的にかな? おお 総大主教げい下! 373 00:22:16,030 --> 00:22:18,230 大主教げい下 374 00:22:39,080 --> 00:22:41,820 総大主教げい下の ご尊顔を拝すなど 375 00:22:41,820 --> 00:22:44,560 一生に一度あるかどうかですぞ 376 00:22:44,560 --> 00:22:46,990 なんと望外のこと! 377 00:22:46,990 --> 00:22:49,700 できれば一生 拝したくなかったな 378 00:22:49,700 --> 00:22:52,900 あの枯れ木みたいなジイさんが 総大主教だって 379 00:22:52,900 --> 00:22:56,500 火葬にしたら よく燃えるんじゃないか? 380 00:22:56,500 --> 00:22:59,070 では 惑星オーディンの支部は 壊滅か? 381 00:22:59,070 --> 00:23:02,810 残念ながら さようで ド・ヴィリエ大主教げい下 382 00:23:02,810 --> 00:23:05,680 キュンメル男爵は死に ゴドウィン大主教以下 383 00:23:05,680 --> 00:23:08,550 支部員ことごとく 殉教したもようです 384 00:23:08,550 --> 00:23:10,950 フン キュンメル男爵か 385 00:23:10,950 --> 00:23:13,850 何のために生き 何のために死んだのやら 386 00:23:13,850 --> 00:23:17,220 失敗したのは キュンメル男爵の罪としても 387 00:23:17,220 --> 00:23:20,030 いささか性急に 事を運びすぎたのでは 388 00:23:20,030 --> 00:23:22,030 ありますまいか? 389 00:23:25,560 --> 00:23:28,130 失敗を悔いたところで始まらぬ 390 00:23:28,130 --> 00:23:30,140 帝国軍の侵攻が 迫っているとなれば 391 00:23:30,140 --> 00:23:34,870 まず その害を除き 皇帝暗殺の件は またその次だ 392 00:23:34,870 --> 00:23:37,280 まことに 我らの聖地を 393 00:23:37,280 --> 00:23:40,250 異教徒の邪悪な手から 守らねばなりません 394 00:23:40,250 --> 00:23:42,250 心配には及ばぬ 395 00:23:42,250 --> 00:23:45,780 総大主教げい下は すでに手をお打ちだ 396 00:23:45,780 --> 00:23:48,420 皇帝の身辺にさえ 近づき得る我らだ 397 00:23:48,420 --> 00:23:52,290 一提督の身辺に 近づき得ぬはずがないではないか 398 00:23:52,290 --> 00:23:54,290 ははあ 399 00:24:00,000 --> 00:24:03,770 愚かな狂信者どもが 400 00:24:03,770 --> 00:24:06,970 人は 生まれた場所や 時代に関係なく 401 00:24:06,970 --> 00:24:09,470 常にその野望に身を焦がす 402 00:24:09,470 --> 00:24:13,780 中央の権力とは無縁になった 辺境の惑星に生を受けた者は 403 00:24:13,780 --> 00:24:17,050 その野心を どこに向ければよいのか 404 00:24:17,050 --> 00:24:21,650 ド・ヴィリエは その対象を地球教に 求めるしか手段がなかった 405 00:24:24,650 --> 00:24:29,630 宇宙暦 799年 新帝国暦 1年 7月14日 406 00:24:29,630 --> 00:24:34,130 ワーレン艦隊は 着実に地球に向かいつつある 407 00:26:38,650 --> 00:26:43,830 帝国では国家機密とされてきた ゴールデンバウム王朝の権力闘争の歴史が 408 00:26:43,830 --> 00:26:46,730 白日の下に さらされようとしていた 409 00:26:46,730 --> 00:26:50,370 一方 同盟では 退役したヤン夫妻の生活に 410 00:26:50,370 --> 00:26:53,240 暗いかげりが さしかかろうとしていた 411 00:26:53,240 --> 00:26:59,070 次回 銀河英雄伝説 第59話 「過去と現在と未来と」 412 00:26:59,070 --> 00:27:01,870 銀河の歴史が また1ページ