1 00:01:30,500 --> 00:01:32,500 同盟市民に告ぐ 2 00:01:32,500 --> 00:01:36,740 卿らの政府が 卿らの支持に値するものかどうか 3 00:01:36,740 --> 00:01:39,040 再考すべき時が来た 4 00:01:39,040 --> 00:01:44,750 宇宙暦799年 新帝国暦1年11月10日 5 00:01:44,750 --> 00:01:47,290 シュワルツ・ランツェンレイターの 出撃と前後して 6 00:01:47,290 --> 00:01:51,660 カイザー・ラインハルトの演説が 全宇宙に向けて発せられた 7 00:01:51,660 --> 00:01:56,330 その内容は同盟市民を 驚愕させるに十分であった 8 00:01:56,330 --> 00:02:00,970 帝国高等弁務官 ヘルムート・レンネンカンプ上級大将の自殺 9 00:02:00,970 --> 00:02:04,940 同盟軍退役元帥 ヤン・ウェンリーの首都脱出 10 00:02:04,940 --> 00:02:07,670 それらの結果を 生じせしめる原因となった 11 00:02:07,670 --> 00:02:11,010 弁務官府からの干渉と 同盟政府の策謀 12 00:02:11,010 --> 00:02:13,910 人々が欲して得られなかった 情報の全てが 13 00:02:13,910 --> 00:02:16,820 この時 与えられたのである 14 00:02:16,820 --> 00:02:21,450 余は自らの不明と 帝国政府の不見識を認める 15 00:02:21,450 --> 00:02:24,060 これらは非難に値するものであり 16 00:02:24,060 --> 00:02:27,660 有為の人材を失い 世の平穏を破ったことに 17 00:02:27,660 --> 00:02:31,460 断腸の念を禁じえない だが同時に 18 00:02:31,460 --> 00:02:37,270 余は同盟政府の無能と不実を 看過することはできぬ 19 00:02:37,270 --> 00:02:39,670 故レンネンカンプ高等弁務官が 20 00:02:39,670 --> 00:02:43,480 ヤン元帥の逮捕を要求したことは 不当であった 21 00:02:43,480 --> 00:02:47,480 ならばこそ同盟政府は その不当なることを余に訴え 22 00:02:47,480 --> 00:02:52,180 同盟にとって最大の功労者たる ヤン元帥の正当な権利を 23 00:02:52,180 --> 00:02:55,090 擁護すべきであったのに 強者にこびて 24 00:02:55,090 --> 00:02:58,490 自らの法をすら犯したのだ 25 00:02:58,490 --> 00:03:01,160 しかも その策動が失敗すると 26 00:03:01,160 --> 00:03:06,970 報復を免れるために 高等弁務官の身柄を売り渡すと 27 00:03:06,970 --> 00:03:10,840 一時の利益のために 国家の功労者を売る 28 00:03:10,840 --> 00:03:14,470 直後には 翻って 余の代理人をも売る 29 00:03:14,470 --> 00:03:18,370 共和政体の矜持と その存在意義は どこへ行ったか 30 00:03:21,250 --> 00:03:24,150 もはや現時点においての 不正義とは 31 00:03:24,150 --> 00:03:27,490 このような政体を 認めることにこそにある 32 00:03:27,490 --> 00:03:30,960 バーラトの和約の精神は 既に汚された 33 00:03:30,960 --> 00:03:34,460 これを正すには 実力をもってするしかない 34 00:03:45,870 --> 00:03:47,870 おい 35 00:04:07,860 --> 00:04:11,800 ヤン元帥に事態の責任が 全くないわけではないが 36 00:04:11,800 --> 00:04:16,870 彼は被害者であり 自己の権利を守っただけである 37 00:04:16,870 --> 00:04:19,770 ヤン元帥が余の元へ出頭するなら 38 00:04:19,770 --> 00:04:23,870 余は彼と彼の一党を 厚く遇するであろう 39 00:04:28,010 --> 00:04:30,010 ん? 40 00:04:34,650 --> 00:04:37,150 契約金はくれないのかな 41 00:04:45,960 --> 00:04:50,670 これで同盟政府に復帰する道は 完全に断たれた 42 00:04:50,670 --> 00:04:52,740 これまで物資を食い潰しながら 43 00:04:52,740 --> 00:04:55,410 エル・ファシルからの呼びかけに 応じずにきたのも 44 00:04:55,410 --> 00:04:57,910 ムダになってしまったわけだ 45 00:04:57,910 --> 00:05:02,310 しかし独自に 第三勢力を築くといってもな… 46 00:05:04,380 --> 00:05:07,290 イゼルローンに帰るか 47 00:05:07,290 --> 00:05:12,120 そしてエル・ファシルを押さえて 回廊への出入り口を確保する 48 00:05:12,120 --> 00:05:14,520 アッテンボロ―の案に 乗ってみようか 49 00:05:16,560 --> 00:05:19,530 カイザー・ラインハルトは 恐らくルッツ提督に 50 00:05:19,530 --> 00:05:23,340 イゼルローン要塞から 出撃するよう命令するだろう 51 00:05:23,340 --> 00:05:27,740 大規模な包囲挟撃戦は 彼が最も好むところだろうからな 52 00:05:27,740 --> 00:05:29,740 そこに乗じる機会が生まれる 53 00:05:31,610 --> 00:05:35,250 同盟領への再侵攻を 宣言するまでのカイザー・ラインハルトには 54 00:05:35,250 --> 00:05:38,480 明らかなバイオリズムの低下が 見られた 55 00:05:38,480 --> 00:05:42,350 だが その間にも統治者としての 種々の問題の解決に当たり 56 00:05:42,350 --> 00:05:44,290 それを滞らせてはいない 57 00:05:44,290 --> 00:05:46,890 それはラインハルトを 補佐する主席秘書官 58 00:05:46,890 --> 00:05:50,890 ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフの 力によるところも大きかった 59 00:05:53,630 --> 00:05:58,000 フロイライン この前の 舌禍事件の処置はどうなったか? 60 00:05:58,000 --> 00:06:01,940 はい 軽率な発言をした者には 譴責処分を加え 61 00:06:01,940 --> 00:06:07,280 この件を密告した者は更に重く 降等処分といたしました 62 00:06:07,280 --> 00:06:11,080 フロイラインは物事の道理を よくわきまえている 63 00:06:11,080 --> 00:06:13,890 密告などを余が喜ぶと 思っているやからには 64 00:06:13,890 --> 00:06:16,220 よい教訓となったであろう 65 00:06:16,220 --> 00:06:21,130 これからも何かとフロイラインに 託すことになりそうだな 66 00:06:21,130 --> 00:06:23,130 恐れ入ります 67 00:06:23,130 --> 00:06:27,700 お言葉に甘えまして お願いいたします 68 00:06:27,700 --> 00:06:31,440 昨今 急速に宮廷と政府に 広がりつつある 69 00:06:31,440 --> 00:06:34,210 好ましからざる風潮について 陛下から 70 00:06:34,210 --> 00:06:37,840 ご注意いただきたく思うのですが 風潮? 71 00:06:37,840 --> 00:06:41,710 陛下に対する尊敬の念を 表わすことは当然としても 72 00:06:41,710 --> 00:06:44,620 それを道具にするような 傾向がございます 73 00:06:44,620 --> 00:06:47,420 具体的には どういうことなのだ? 74 00:06:47,420 --> 00:06:52,390 例えば同僚たちであいさつを 交わしたり 乾杯したりする時 75 00:06:52,390 --> 00:06:55,560 「ジーク・カイザー」と 唱えない者が非難され 76 00:06:55,560 --> 00:06:59,460 上司がそれを考課表に 付けるというようなことです 77 00:07:01,370 --> 00:07:04,270 くだらぬことだな おっしゃるとおりです 78 00:07:04,270 --> 00:07:06,940 ゆえに陛下から その旨を臣下一同に 79 00:07:06,940 --> 00:07:09,440 申し渡して いただきとうございます 80 00:07:09,440 --> 00:07:14,050 他人を非難し 陥れることで 自己の栄達を図ろうとする風潮に 81 00:07:14,050 --> 00:07:18,650 先制の一撃を 加えていただきたいのですけれど 82 00:07:18,650 --> 00:07:21,420 そのようなことまで 気にかけるのでは 83 00:07:21,420 --> 00:07:23,890 フロイラインも苦労が絶えぬな 84 00:07:23,890 --> 00:07:26,730 だが悪い芽は早く摘むべきだろう 85 00:07:26,730 --> 00:07:30,030 分かった 今日のうちに布告を出そう 86 00:07:30,030 --> 00:07:33,430 お聞き入れくださって 感謝いたします 87 00:07:35,770 --> 00:07:38,670 キルヒアイス提督が 生きていらしたら 88 00:07:38,670 --> 00:07:42,410 私がこんなに出しゃばる必要も ないのだけれど… 89 00:07:42,410 --> 00:07:44,710 ところで 90 00:07:44,710 --> 00:07:48,380 フロイライン・マリーンドルフには 今回の出兵に関して 91 00:07:48,380 --> 00:07:51,080 何か妙手があるではないか? 92 00:07:51,080 --> 00:07:53,520 もし陛下が ご希望になるのでしたら 93 00:07:53,520 --> 00:07:55,590 2週間以上 要することなく 94 00:07:55,590 --> 00:07:58,490 これ以上の戦火を 交えることもなく 95 00:07:58,490 --> 00:08:02,230 同盟元首の身柄を ここへ差し出させますが 96 00:08:02,230 --> 00:08:05,660 何を用いて 枝から果実をもぎ取るのだ? 97 00:08:05,660 --> 00:08:09,900 一片の通信文をもって 98 00:08:09,900 --> 00:08:12,800 分かった 共食いをさせるのであろう 99 00:08:12,800 --> 00:08:15,710 フロイライン・マリーンドルフ 違うか? 100 00:08:15,710 --> 00:08:17,980 御意 どちらかといえば 101 00:08:17,980 --> 00:08:22,750 それはオーベルシュタイン元帥の 領分に属する発案だな 102 00:08:22,750 --> 00:08:26,150 知者は時に 同じ橋を渡るものらしい 103 00:08:26,150 --> 00:08:29,090 それで その策の長所は? 104 00:08:29,090 --> 00:08:31,990 同盟市とハイネセンに 戦火を及ぼさず 105 00:08:31,990 --> 00:08:34,860 非戦闘員を巻き込まずに済むこと 106 00:08:34,860 --> 00:08:37,830 同盟崩壊の責任を 彼ら自身に帰せしめ 107 00:08:37,830 --> 00:08:40,970 市民の恨みの方向を そらせうること 108 00:08:40,970 --> 00:08:42,900 欠点は? 少なくとも 109 00:08:42,900 --> 00:08:47,740 短期的にヤン・ウェンリー元帥の一党に 力を与えることになりましょう 110 00:08:47,740 --> 00:08:50,110 彼しか頼る者がいないのですから 111 00:08:50,110 --> 00:08:53,480 陛下の敵はことごとく 彼の周囲に集まるはずです 112 00:08:53,480 --> 00:08:55,780 それに… それに? 113 00:08:55,780 --> 00:09:00,590 この策が成功した後で 陛下の後味が お悪くなりましょう 114 00:09:00,590 --> 00:09:05,590 正面から同盟軍を撃砕することを お望みなのでしょうから 115 00:09:09,290 --> 00:09:14,690 フロイライン・マリーンドルフは人の心を映す 銀の鏡を持っているようだな 116 00:09:17,170 --> 00:09:20,310 ですけれど 私たちが策を弄さずとも 117 00:09:20,310 --> 00:09:23,940 崩壊に直面して 人心の動揺するところ 118 00:09:23,940 --> 00:09:28,810 必ず こちらの求めもしない商品を 売りつけに来る者がいるでしょう 119 00:09:28,810 --> 00:09:31,210 あり得ることだな 120 00:09:35,990 --> 00:09:38,590 ご用でしょうか 小休止だ 121 00:09:38,590 --> 00:09:41,630 コーヒーを頼む エミール フロイラインの分もな 122 00:09:41,630 --> 00:09:43,630 はい 123 00:09:46,460 --> 00:09:48,600 とても いい子ですわね 124 00:09:48,600 --> 00:09:52,000 あれがいるもので 余は身辺に不自由せずに済む 125 00:09:52,000 --> 00:09:53,970 いい医者になるだろう 126 00:09:53,970 --> 00:09:59,370 たとえ技術が完璧でなくとも 患者が喜んで命を託すような 127 00:10:03,310 --> 00:10:06,110 余には弟がいないから… 128 00:10:12,960 --> 00:10:17,160 ご自身が常にアンネローゼ様の 弟の立場にいらしたから 129 00:10:17,160 --> 00:10:20,630 それを変えてみることに 楽しみを覚えていらっしゃるのね 130 00:10:20,630 --> 00:10:23,530 あっ 立場… 131 00:10:23,530 --> 00:10:27,140 私の立場は何なのかしら 132 00:10:27,140 --> 00:10:32,580 若い偉大な征服者の忠実な秘書官 133 00:10:32,580 --> 00:10:34,580 それだけ 134 00:10:44,620 --> 00:10:48,330 長官! おう スーン・スール少佐か 135 00:10:48,330 --> 00:10:52,100 元気そうじゃのう はっ はい! 136 00:10:52,100 --> 00:10:56,900 わしは ほれ 足が言うことを聞かんでな 137 00:10:59,670 --> 00:11:02,370 どうぞ 小官におつかまりください 138 00:11:02,370 --> 00:11:05,270 どうぞ どうぞ 139 00:11:15,490 --> 00:11:18,290 さあ 長官 ああ いやいや 140 00:11:18,290 --> 00:11:23,530 わしは退役した身だ こっちでいい 141 00:11:23,530 --> 00:11:27,130 ですが 閣下 軍服を着用して ここへいらしたということは 142 00:11:27,130 --> 00:11:31,000 現役に復帰して 帝国と 戦っていただけるのでしょう? 143 00:11:31,000 --> 00:11:34,370 また 我々を 指揮してくださるのでしょう? 144 00:11:34,370 --> 00:11:38,610 うーん わしはヤン提督と違って 145 00:11:38,610 --> 00:11:43,180 50年以上も同盟政府から 給料をもらってきた 146 00:11:43,180 --> 00:11:47,480 今更 知らぬ顔を 決め込むわけにもいかんのでな 147 00:11:49,520 --> 00:11:52,220 閣下 私もお供します 148 00:11:54,260 --> 00:11:59,100 貴官は何歳だ? は?27歳ですが 149 00:11:59,100 --> 00:12:01,030 うーん 残念だな 150 00:12:01,030 --> 00:12:05,900 30歳以下の未成年は 今回 同行することはできんよ 151 00:12:05,900 --> 00:12:08,570 これは大人だけの宴会なのでな 152 00:12:08,570 --> 00:12:11,810 そんな!閣下… 153 00:12:11,810 --> 00:12:16,610 いいかね スール少佐 貴官には重要な任務を与える 154 00:12:16,610 --> 00:12:19,520 おろそかに考えてはいかんよ 155 00:12:19,520 --> 00:12:23,190 ヤン・ウェンリー提督の元へ赴け 156 00:12:23,190 --> 00:12:25,120 そして伝えてくれ 157 00:12:25,120 --> 00:12:28,990 わしの敵を討とうなどと 考えてはいかん 158 00:12:28,990 --> 00:12:32,860 貴官には貴官にしか 成しえぬ課題があるはずだとな 159 00:12:32,860 --> 00:12:34,830 閣下! 160 00:12:34,830 --> 00:12:39,300 いや こんな伝言を託しても ムダになるかもしれんがな 161 00:12:39,300 --> 00:12:42,540 わしとしては 50も年下のヒヨッコに 162 00:12:42,540 --> 00:12:44,610 二度も負けるとは思えんし 163 00:12:44,610 --> 00:12:49,210 あくまでも万が一 不覚を取った場合のことだ 164 00:12:53,650 --> 00:12:57,050 おかえりなさい 閣下 うん 165 00:13:05,800 --> 00:13:09,370 30歳以下の者は連れていかないと おっしゃったそうですが 166 00:13:09,370 --> 00:13:11,840 私は38歳です 167 00:13:11,840 --> 00:13:14,840 同行させていただく資格が あると思いますが 168 00:13:14,840 --> 00:13:16,840 いや… 169 00:13:19,540 --> 00:13:23,410 はあ 貴官も困った人だ 170 00:13:23,410 --> 00:13:28,250 ヤン提督には いくらでも人材が必要だろうに 171 00:13:28,250 --> 00:13:32,690 あまり先輩面が多いと 若い者は持て余しますよ 172 00:13:32,690 --> 00:13:36,390 ヤン提督にはキャゼルヌ一人で 十分でしょう 173 00:13:38,630 --> 00:13:44,900 カイザー・ラインハルトは 貴官やわしを 戦争犯罪人として処断しなかった 174 00:13:44,900 --> 00:13:48,870 個人的には恩義すらあるが あえて それに背こう 175 00:13:48,870 --> 00:13:52,610 こんなだらしない国に 若い者が こだわる必要もないが 176 00:13:52,610 --> 00:13:55,710 わしは もう十分に生きた 177 00:13:58,820 --> 00:14:02,550 ああ そうだ スール少佐 178 00:14:02,550 --> 00:14:06,120 わしの家の地下室に 黄色い木箱があってな 179 00:14:06,120 --> 00:14:09,030 ブランデーの逸品が 2本入っておる 180 00:14:09,030 --> 00:14:14,430 1本をヤン提督への土産に 持っていってくれんか 181 00:14:14,430 --> 00:14:17,140 翌11日 カイザー・ラインハルトは 182 00:14:17,140 --> 00:14:21,340 第2次ラグナロック作戦の 陣容を発表した 183 00:14:21,340 --> 00:14:25,140 既に先発した ビッテンフェルト上級大将の第一陣 184 00:14:25,140 --> 00:14:29,350 シュワルツ・ランツェンレイターに続くのは 宇宙艦隊指令長官にして 185 00:14:29,350 --> 00:14:33,950 「疾風」の異名を持つ ミッターマイヤー元帥の艦隊 186 00:14:33,950 --> 00:14:37,220 その後ろに 旧レンネンカンプ艦隊を二分した 187 00:14:37,220 --> 00:14:40,960 クナップシュタイン グリルパルツァー両大将の艦隊 188 00:14:40,960 --> 00:14:44,900 更にグローテヴォール大将 ヴァーゲンザイル大将 189 00:14:44,900 --> 00:14:49,270 クーリヒ中将 マイフォーハー中将らの 艦隊が続き 190 00:14:49,270 --> 00:14:55,070 中段をアイゼナッハ上級大将が 固める それらの艦隊と 191 00:14:55,070 --> 00:14:59,280 後方のラインハルト直営の 艦隊とをつなぐ重要な位置は 192 00:14:59,280 --> 00:15:01,680 ファーレンハイト上級大将が 占める 193 00:15:01,680 --> 00:15:05,280 総司令官たるカイザー・ラインハルトを 補佐する主席幕僚は 194 00:15:05,280 --> 00:15:08,050 統帥本部総長 ロイエンタール元帥 195 00:15:08,050 --> 00:15:12,420 その下で艦隊運用を担当するのは ベルゲングリューン大将 196 00:15:12,420 --> 00:15:15,030 カイザーの高級副官 シュトライト中将 197 00:15:15,030 --> 00:15:19,560 次席副官 リュッケ少佐 親衛隊長 キスリング准将らの他 198 00:15:19,560 --> 00:15:22,930 主席秘書官として ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフも 199 00:15:22,930 --> 00:15:25,840 総旗艦ブリュンヒルトに同乗する 200 00:15:25,840 --> 00:15:29,170 最後尾を守るのは バーミリオン会戦での勇戦で 201 00:15:29,170 --> 00:15:32,480 「鉄壁」の異名を取った ミュラー上級大将 202 00:15:32,480 --> 00:15:37,320 そしてヤンの予測どおり イゼルローン要塞を守るルッツ上級大将にも 203 00:15:37,320 --> 00:15:40,320 戦線参加が 命ぜられることになっている 204 00:15:42,190 --> 00:15:46,890 一方 軍務尚書 オーベルシュタイン元帥は フェザーン残留が命ぜられ 205 00:15:46,890 --> 00:15:50,330 民政を委ねられた 工部尚書 シルヴァーベルヒと共に 206 00:15:50,330 --> 00:15:52,830 留守を預かることに決せられた 207 00:15:57,970 --> 00:16:02,270 閣下は再度の出兵には 反対なさると思っておりましたが 208 00:16:02,270 --> 00:16:04,310 いや あれでよいのだ 209 00:16:04,310 --> 00:16:07,550 しかし 準備不足での性急な再出兵は 210 00:16:07,550 --> 00:16:10,080 ある意味では 危険ではありませんか 211 00:16:10,080 --> 00:16:13,320 準備不足は 敵とても同じ条件だ 212 00:16:13,320 --> 00:16:17,120 重要なことは 常に状況を作る立場に身を置き 213 00:16:17,120 --> 00:16:19,760 敵に主導権を与えないことだ 214 00:16:19,760 --> 00:16:22,990 それにカイザーの本領は 果断即行にある 215 00:16:22,990 --> 00:16:24,930 座して変化を待つのは 216 00:16:24,930 --> 00:16:27,700 考えてみれば カイザーにふさわしくない 217 00:16:27,700 --> 00:16:30,270 おっしゃるとおりですな 218 00:16:30,270 --> 00:16:34,870 その頃 自由惑星同盟の全土は 混乱の極にあった 219 00:16:36,910 --> 00:16:41,180 全土が焦土と化そうとも 徹底抗戦するべきだと叫ぶ者 220 00:16:41,180 --> 00:16:44,080 無条件降伏を主張する者 221 00:16:44,080 --> 00:16:47,080 都市部を避けて 山間部に避難する者 222 00:16:47,080 --> 00:16:49,080 ただ嘆くだけの者 223 00:16:51,320 --> 00:16:53,790 果ては パニックを起こした一般市民が 224 00:16:53,790 --> 00:16:57,560 脱出の道を求めて 宇宙港に詰めかけ 暴動となって 225 00:16:57,560 --> 00:17:02,660 治安警察と市民が衝突し 数千人の死者を出していた 226 00:17:06,570 --> 00:17:10,440 ビュコック元帥はヤン・ウェンリーと 戦うことは拒否したが 227 00:17:10,440 --> 00:17:14,410 相手がカイザー・ラインハルトであれば 戦うというのか 228 00:17:14,410 --> 00:17:17,210 別に不思議なことでは ないでしょう 229 00:17:17,210 --> 00:17:20,120 どうか お考えいただきたいものです 230 00:17:20,120 --> 00:17:23,850 長年にわたってビュコック元帥は あなたと親交がありました 231 00:17:23,850 --> 00:17:27,090 なのに なぜ あなたと会おうとしないのか 232 00:17:27,090 --> 00:17:29,160 元首の座に就く前のあなたを 233 00:17:29,160 --> 00:17:33,900 あまりに ご存じだからだと お思いになりませんか 234 00:17:33,900 --> 00:17:37,100 私が人が変わったと言いたいのか 235 00:17:37,100 --> 00:17:39,970 ビュコック元帥が 変わったのではありません 236 00:17:39,970 --> 00:17:42,340 それは お認めくださるでしょう 237 00:17:42,340 --> 00:17:46,210 いや 私は… 238 00:17:46,210 --> 00:17:48,780 これというのもヤン・ウェンリーが… は? 239 00:17:48,780 --> 00:17:51,580 高等弁務官を殺したのも… 240 00:17:53,580 --> 00:17:57,860 軍を私物化し 軍閥化は… 241 00:17:57,860 --> 00:18:00,560 民主政治の敵は… 242 00:18:06,560 --> 00:18:10,230 敵艦隊発見 敵艦隊発見 243 00:18:10,230 --> 00:18:12,570 こんな所で敵だと? 244 00:18:12,570 --> 00:18:15,040 10隻ほどの小集団が 接近してきます 245 00:18:15,040 --> 00:18:17,940 10隻?話にならん 246 00:18:17,940 --> 00:18:22,350 強大な敵と戦ってこそ 武人の矜持というものだ 247 00:18:22,350 --> 00:18:24,280 相手にせず このまま進め 248 00:18:24,280 --> 00:18:26,220 向こうから 攻撃してくるというのなら 249 00:18:26,220 --> 00:18:28,220 一撃で粉砕してやるがな 250 00:18:28,220 --> 00:18:31,590 敵艦より入電 「我に交戦の意思なし」 251 00:18:31,590 --> 00:18:34,930 「交渉に応じられよ」 交渉? 252 00:18:34,930 --> 00:18:39,260 先方は同盟政府の特使 ウイリアム・オーデッツと名乗っております 253 00:18:39,260 --> 00:18:42,170 撤兵の交渉を求めると 言ってきております 254 00:18:42,170 --> 00:18:44,870 撤兵の交渉だと? 255 00:18:47,000 --> 00:18:51,010 こう回答しろ 「本職には交渉の権限がない」 256 00:18:51,010 --> 00:18:53,780 「後続のミッターマイヤー元帥に 面談することだ」 257 00:18:53,780 --> 00:18:57,380 「航行の安全は保障する」とな 258 00:18:57,380 --> 00:18:59,680 案内に1隻つけてやれ 259 00:19:04,620 --> 00:19:07,530 どういたしましょう 特使 やむを得ん 260 00:19:07,530 --> 00:19:10,830 いや イノシシ武者の ビッテンフェルトより 261 00:19:10,830 --> 00:19:13,860 ミッターマイヤー元帥のほうが 話が分かるに違いない 262 00:19:13,860 --> 00:19:16,000 言うとおりにしよう 263 00:19:16,000 --> 00:19:19,270 政府特使の一行は 帝国駆逐艦の先導で 264 00:19:19,270 --> 00:19:21,210 そのまま航行を続け 265 00:19:21,210 --> 00:19:26,710 3日後 ミッターマイヤーの直接指揮する 艦隊に接触することができた 266 00:19:30,050 --> 00:19:34,290 ビッテンフェルトめ 厄介な客を俺に押しつけておいて 267 00:19:34,290 --> 00:19:37,290 その間に前進し 差を広げるつもりだな 268 00:19:37,290 --> 00:19:40,190 では我々も無視いたしますか 269 00:19:40,190 --> 00:19:45,000 宇宙艦隊指令長官という立場上 そうもゆくまい 270 00:19:45,000 --> 00:19:48,230 とにかく会おう 271 00:19:48,230 --> 00:19:50,170 バーラトの和約において 272 00:19:50,170 --> 00:19:54,770 自由惑星同盟の主権と領域は 保全を約束されたはずである 273 00:19:54,770 --> 00:19:59,610 にもかかわらず今 銀河帝国は 和約の条文と精神に背き 274 00:19:59,610 --> 00:20:05,020 ひたすら無法な暴力をもって 我が領土を蹂躙しようとしている 275 00:20:05,020 --> 00:20:09,450 現在における反感と 未来における 批判等を望まれぬなら 276 00:20:09,450 --> 00:20:12,820 即座に軍を引き 外交折衝によってこそ 277 00:20:12,820 --> 00:20:15,720 自説を主張なさるべきであろう 278 00:20:18,730 --> 00:20:21,670 従って私の… 何を言うか! 279 00:20:21,670 --> 00:20:27,340 和約に背き カイザーの全権代理たる レンネンカンプ弁務官を害したのは誰か 280 00:20:27,340 --> 00:20:29,810 卿ら同盟政府ではないか 281 00:20:29,810 --> 00:20:34,080 卿らに和約を順守する意思なく また能力なしと見て 282 00:20:34,080 --> 00:20:37,950 マイン・カイザーは 親征の軍を起こしたもうたのだ 283 00:20:37,950 --> 00:20:41,550 卿らに良識があるなら 陛下の御前にひざまずき 284 00:20:41,550 --> 00:20:44,460 無用の流血を 回避するべきではないか 285 00:20:44,460 --> 00:20:47,260 レンネンカンプ弁務官は 自殺されたのであり 286 00:20:47,260 --> 00:20:52,100 その窮状に彼を追い詰めたのは ヤン・ウェンリー一党です 287 00:20:52,100 --> 00:20:55,970 では そのヤン・ウェンリー一党を なぜ放置しておく? 288 00:20:55,970 --> 00:21:01,770 貴官ら帝国軍が我が同盟政府に 時間を与えてくださらぬからです 289 00:21:01,770 --> 00:21:06,580 時間か 時間があれば ヤン・ウェンリー一党はより力をつけ 290 00:21:06,580 --> 00:21:10,350 卿ら同盟政府は やせ細るだけのことであろうよ 291 00:21:10,350 --> 00:21:13,780 たとえヤンに10倍する兵力を 有していたとて 292 00:21:13,780 --> 00:21:17,520 卿らがヤンに勝てるとは思えぬな 293 00:21:17,520 --> 00:21:20,260 あるいは貴官の おっしゃるとおりかもしれません 294 00:21:20,260 --> 00:21:25,230 何しろ ヤンに100倍する兵力を お持ちのカイザー・ラインハルト陛下さえ 295 00:21:25,230 --> 00:21:28,030 ヤンに対して 御手をこまねいておられる 296 00:21:28,030 --> 00:21:31,600 私ども非才の身にては 到底 彼に敵することは 297 00:21:31,600 --> 00:21:34,100 かないませんでしょうな 298 00:21:37,110 --> 00:21:41,310 貴様は陛下を侮辱するか! 299 00:21:41,310 --> 00:21:44,650 やめぬか!卿らは武人であろう 300 00:21:44,650 --> 00:21:48,590 単身 しかも素手で 敵中に乗り込んできた人間を殺し 301 00:21:48,590 --> 00:21:51,590 誰に向かって功を誇るつもりか 302 00:21:58,530 --> 00:22:00,460 1つ卿に問うが 303 00:22:00,460 --> 00:22:03,930 もし ここにいる提督たちの1人が 同盟首都に赴き 304 00:22:03,930 --> 00:22:06,340 卿らの元首を侮辱したとする 305 00:22:06,340 --> 00:22:09,640 死をもって その罪を あがなわせようと望む者が 306 00:22:09,640 --> 00:22:12,940 今の同盟軍の幹部にいるだろうか 307 00:22:16,480 --> 00:22:19,920 おりますまい 残念ながら 308 00:22:19,920 --> 00:22:21,890 では ヤン・ウェンリーの部下はどうだ? 309 00:22:21,890 --> 00:22:25,720 命を懸けて上官を救出したが 310 00:22:25,720 --> 00:22:30,060 マイン・カイザーは大なりといえども 同盟政府を恐れず 311 00:22:30,060 --> 00:22:33,600 小なりといえども ヤン・ウェンリー一党を恐れたもう 312 00:22:33,600 --> 00:22:37,200 そのゆえんを卿自身が 明らかにしたわけだが 313 00:22:37,200 --> 00:22:41,810 特使にはご苦労だったが もはや 語り合うべきこともないようだ 314 00:22:41,810 --> 00:22:43,870 もし この上 主張したいことがあるなら 315 00:22:43,870 --> 00:22:46,310 直接 陛下に申し上げるがよい 316 00:22:46,310 --> 00:22:48,780 それはよいが元帥閣下には 317 00:22:48,780 --> 00:22:53,620 私がカイザーに撤兵をお願いするまで 軍事行動を控えていただきたい 318 00:22:53,620 --> 00:22:58,060 そうはいかぬ 卿が陛下に お会いされるのは卿の自由だが 319 00:22:58,060 --> 00:23:02,660 それによって我が軍の行動は 何ら掣肘されるものではない 320 00:23:02,660 --> 00:23:06,530 新たな勅命が下らぬかぎり 我らは同盟領に侵攻し 321 00:23:06,530 --> 00:23:09,970 抵抗を排除せよとの勅命に 従うのみ 322 00:23:09,970 --> 00:23:13,170 もし卿が我らの侵攻を とどめたいとお考えなら 323 00:23:13,170 --> 00:23:16,210 一刻も早く マイン・カイザーの元へ赴かれよ 324 00:23:16,210 --> 00:23:20,010 この場にあって 雄弁を駆使しても無意味であろう 325 00:23:31,690 --> 00:23:37,090 フェザーンへ向かう カイザーに直訴するしかない 326 00:23:42,870 --> 00:23:45,800 あの竜頭蛇尾のおしゃべりは どうした? 327 00:23:45,800 --> 00:23:49,640 カイザーに直訴するために フェザーン方面に去りましたが 328 00:23:49,640 --> 00:23:53,140 そうか よろしいのですか 329 00:23:53,140 --> 00:23:57,980 この俺をすら説得し得ない者が カイザーを説得できる道理もなかろう 330 00:23:57,980 --> 00:24:02,780 それにカイザーへの直訴は 妨げてはならんことになっている 331 00:24:05,720 --> 00:24:09,730 一応 注意をするように 連絡だけはしておくか 332 00:24:09,730 --> 00:24:14,260 この時 ミッターマイヤーが感じた 漠然とした不安は 333 00:24:14,260 --> 00:24:18,140 後日 思いもかけぬ形で 現実のものとなる 334 00:24:18,140 --> 00:24:23,110 宇宙暦799年 新帝国暦1年11月 335 00:24:23,110 --> 00:24:27,780 帝国軍は重厚な布陣と 怒濤のようなエネルギーをもって 336 00:24:27,780 --> 00:24:31,180 同盟全土を のみ尽くそうと 動き出した 337 00:26:38,410 --> 00:26:41,040 民主共和制の最後の砦として 338 00:26:41,040 --> 00:26:43,550 イゼルローン攻略の 足がかりとして 339 00:26:43,550 --> 00:26:46,050 ヤンは ついにその地に戻ってきた 340 00:26:46,050 --> 00:26:49,820 旅を終えたユリアンが ハイネセンを後にしたムライたちが 341 00:26:49,820 --> 00:26:52,060 そして各地からの義勇兵が 342 00:26:52,060 --> 00:26:54,520 目指す その目的地は1つ 343 00:26:54,520 --> 00:26:59,500 次回「銀河英雄伝説」 第68話「エル・ファシルへ」 344 00:26:59,500 --> 00:27:02,500 銀河の歴史が また1ページ