1 00:01:33,800 --> 00:01:38,140 革命的専制者 あるいは 専制的革命家とも言うべき 2 00:01:38,140 --> 00:01:40,640 ラインハルト・フォン・ ローエングラムは 3 00:01:40,640 --> 00:01:45,250 ゴールデンバウム王朝の悪しき 慣例や伝統を ほとんど破壊したが 4 00:01:45,250 --> 00:01:49,020 ただ一つ変えることが できなかった伝統がある 5 00:01:49,020 --> 00:01:53,650 それは刺客の標的としての カイザーという伝統である 6 00:01:53,650 --> 00:01:56,490 後世の歴史家が そう記述する事件は 7 00:01:56,490 --> 00:02:00,330 その年の8月29日に生じた 8 00:02:00,330 --> 00:02:02,400 その日 カイザー・ラインハルトは 9 00:02:02,400 --> 00:02:07,100 新設された戦没者墓地の 完工式に出席した 10 00:02:07,100 --> 00:02:11,100 この頃のラインハルトは しばしばの発熱にもかかわらず 11 00:02:11,100 --> 00:02:15,910 ひとたび病床を離れれば 生気が 衰えた印象は みじんも感じさせず 12 00:02:15,910 --> 00:02:20,580 あいかわらず政務に 精力的に取り組んでいた 13 00:02:20,580 --> 00:02:22,520 ジーク・ライヒ 14 00:02:22,520 --> 00:02:26,950 お元気になれたようで よかった 15 00:02:26,950 --> 00:02:31,250 ジーク・カイザー ジーク・ライヒ 16 00:02:35,530 --> 00:02:39,730 ジーク・カイザー ジーク・ライヒ 17 00:03:02,390 --> 00:03:04,490 金髪の小僧 18 00:03:07,560 --> 00:03:14,070 不逞な奴め 貴様も地球教とやらの狂信者か 19 00:03:14,070 --> 00:03:17,670 地球教徒などではない 20 00:03:17,670 --> 00:03:19,970 ヴェスターラントを忘れたか 21 00:03:19,970 --> 00:03:23,570 たった3年前の惨劇を もう忘れたのか! 22 00:03:27,310 --> 00:03:30,220 ヴェスターラント… 23 00:03:30,220 --> 00:03:32,750 何がカイザーだ 名君だ 24 00:03:32,750 --> 00:03:37,560 貴様の権力は流血と欺瞞のうえに 成り立っているのではないか 25 00:03:37,560 --> 00:03:40,130 俺の妻と子はヴェスターラントで 26 00:03:40,130 --> 00:03:42,100 ブラウンシュヴァイク公と 貴様のために 27 00:03:42,100 --> 00:03:44,900 生きたまま焼き殺されたのだぞ 28 00:03:54,270 --> 00:03:56,210 さあ俺を殺せ 29 00:03:56,210 --> 00:03:59,410 ヴェスターラントで ブラウンシュヴァイク公と共謀して 30 00:03:59,410 --> 00:04:03,780 無辜の住民200万人を 殺したように俺を殺せ 31 00:04:03,780 --> 00:04:07,490 貴様に何ら害を加えたわけでも ない子供や赤ん坊を 32 00:04:07,490 --> 00:04:12,790 熱核兵器の劫火で 生きながら 焼き尽くしたように俺を焼け! 33 00:04:23,600 --> 00:04:27,270 生きてる奴らは 貴様の華麗さに目がくらんで 34 00:04:27,270 --> 00:04:30,710 ヴェスターラントのことなど 忘れてしまっているだろう 35 00:04:30,710 --> 00:04:32,680 だが死者は忘れんぞ 36 00:04:32,680 --> 00:04:37,850 自分たちが なぜ焼き殺されたか 永遠に覚えているぞ! 37 00:04:37,850 --> 00:04:41,250 カイザーを お恨みするにはあたらぬ 38 00:04:43,320 --> 00:04:46,930 ヴェスターラントに対する 熱核攻撃を黙認するよう 39 00:04:46,930 --> 00:04:49,730 陛下に進言したのは私だ 40 00:04:49,730 --> 00:04:54,000 卿はカイザーではなく 私を狙うべきだったのだ 41 00:04:54,000 --> 00:04:57,940 妨害する者も少なく 事は成就したであろうに 42 00:04:57,940 --> 00:05:01,170 貴様が! 43 00:05:01,170 --> 00:05:03,140 ヴェスターラント虐殺の件で 44 00:05:03,140 --> 00:05:08,750 ブラウンシュヴァイク公の人望は 完全に失墜した 45 00:05:08,750 --> 00:05:14,120 人心は彼から離れ 門閥貴族連合は内部から瓦解し 46 00:05:14,120 --> 00:05:19,930 ゆえに内乱の終結は 少なくとも3ヵ月早まった 47 00:05:19,930 --> 00:05:24,760 もし内乱が3ヵ月長引けば 新たに加わる死者の数は 48 00:05:24,760 --> 00:05:28,030 1000万を 下ることはなかっただろう 49 00:05:28,030 --> 00:05:32,210 あの時点で ブラウンシュヴァイク公に代表される 50 00:05:32,210 --> 00:05:35,940 貴族連合軍の本性を 暴き得たからこそ 51 00:05:35,940 --> 00:05:39,950 1000万の死者を 出さずに済んだのだ 52 00:05:39,950 --> 00:05:42,380 だからといって非戦闘員を 53 00:05:42,380 --> 00:05:45,290 大量虐殺していいという法が あるか 54 00:05:45,290 --> 00:05:47,890 貴様ら権力者は いつもそうだ 55 00:05:47,890 --> 00:05:51,560 多数を救うために やむなく少数を犠牲にしたと 56 00:05:51,560 --> 00:05:53,960 そう自分たちを正当化するんだ 57 00:05:53,960 --> 00:05:57,630 だが その犠牲になった少数の中に 貴様ら自身や 58 00:05:57,630 --> 00:06:03,200 貴様らの親兄弟が入ってたことが 一度だってあるか! 59 00:06:03,200 --> 00:06:07,410 人殺しのラインハルト 虐殺者ラインハルト 60 00:06:07,410 --> 00:06:10,380 貴様の玉座は 血の海に浮かんでいるのだ 61 00:06:10,380 --> 00:06:14,510 ブラウンシュヴァイク公は 敗北と死によって罪をあがなった 62 00:06:14,510 --> 00:06:19,350 貴様は生きているが いつかは 罪をあがなわなくてはならんのだ 63 00:06:19,350 --> 00:06:23,020 俺より手の長い者は 宇宙には いくらでもいるぞ 64 00:06:23,020 --> 00:06:29,500 俺に殺されていた方がよかったと 遠からぬ将来に思い知るぞ 65 00:06:29,500 --> 00:06:34,270 憲兵司令部に連れていけ 私自身が後刻 尋問する 66 00:06:34,270 --> 00:06:37,900 早く連れていくのだ 67 00:06:37,900 --> 00:06:42,110 人殺しの金髪の小僧! 68 00:06:42,110 --> 00:06:47,110 いつか貴様も報いを受けるぞ 覚えているがいい 69 00:06:59,190 --> 00:07:02,800 は… ケスラー あの男の行為は 70 00:07:02,800 --> 00:07:05,500 法によっては どう裁かれることになるのだ 71 00:07:05,500 --> 00:07:10,040 皇帝弑逆は未遂であっても 死刑ということになっております 72 00:07:10,040 --> 00:07:13,840 それはゴールデンバウム王朝の 法であろう? 73 00:07:13,840 --> 00:07:17,540 御意 ですが ローエングラム王朝の法が 74 00:07:17,540 --> 00:07:20,510 これに関しては いまだ 定められておりませねば 75 00:07:20,510 --> 00:07:23,610 旧法に従うよりございませぬ が… 76 00:07:27,050 --> 00:07:29,460 ああ… 77 00:07:29,460 --> 00:07:31,790 陛下 78 00:07:31,790 --> 00:07:35,360 彼の名誉を救ってやりたいと お考えであれば 79 00:07:35,360 --> 00:07:38,570 むしろ彼を 処刑なさるべきでしょう 80 00:07:38,570 --> 00:07:42,000 ただちに銃殺をお命じください 81 00:07:42,000 --> 00:07:44,600 ダメだ 処刑は許可せぬ 82 00:07:44,600 --> 00:07:47,610 助命など 彼の方で拒否するでしょう 83 00:07:47,610 --> 00:07:52,210 そうなれば帝国の権威は 二重に損なわれますぞ 84 00:07:54,680 --> 00:07:57,950 陛下 この一件に関しましては 85 00:07:57,950 --> 00:08:01,450 私も軍務尚書と 意見を等しくいたします 86 00:08:01,450 --> 00:08:05,060 処刑とは申しません 名誉ある自殺の機会を 87 00:08:05,060 --> 00:08:07,560 お与えになるがよろしいかと 存じますが 88 00:08:07,560 --> 00:08:10,200 いや ならぬ 89 00:08:10,200 --> 00:08:13,100 もうヴェスターラントで 一人も殺してはならぬ 90 00:08:13,100 --> 00:08:16,070 よいか 彼を殺してはならんぞ 91 00:08:16,070 --> 00:08:18,770 処置は追って定めるゆえ… 92 00:08:25,410 --> 00:08:28,010 なんということだ 93 00:08:28,010 --> 00:08:31,510 あのカイザーが 肩を落としておられる 94 00:08:53,140 --> 00:08:56,610 大貴族たちは やっては ならぬことをやりましたが 95 00:08:56,610 --> 00:09:01,410 ラインハルト様は なさるべき ことを なさらなかったのです 96 00:09:01,410 --> 00:09:05,310 なぜ ご自分をおとしめるような ことを なさるのですか 97 00:09:37,220 --> 00:09:41,520 ラインハルト様 宇宙を手にお入れください 98 00:09:50,760 --> 00:09:52,760 はっ… 99 00:10:01,410 --> 00:10:05,210 フロイライン・マリーンドルフか 100 00:10:10,120 --> 00:10:15,460 あの男が言ったとおりだ 余は人殺しで しかも卑怯者だ 101 00:10:15,460 --> 00:10:17,520 陛下 102 00:10:17,520 --> 00:10:22,900 止めようとすれば止められたのに 余はそうしなかった 103 00:10:22,900 --> 00:10:25,800 愚劣なブラウンシュヴァイク公は 104 00:10:25,800 --> 00:10:29,440 自ら進んで悪を犯したのだ 105 00:10:29,440 --> 00:10:34,940 そして余は彼の悪に乗じて 自分が利益を独占した 106 00:10:36,910 --> 00:10:42,180 分かっているのだ 余が卑劣漢だということを 107 00:10:42,180 --> 00:10:45,180 余は皇帝の地位はともかく 108 00:10:45,180 --> 00:10:48,780 兵士たちの歓呼には 値しない人間なのだ 109 00:11:20,250 --> 00:11:24,920 陛下は罪を犯されたとしても その報いを 110 00:11:24,920 --> 00:11:28,760 既に受けておいでだと 私は思います 111 00:11:28,760 --> 00:11:31,660 そして陛下は それを基調に 112 00:11:31,660 --> 00:11:35,230 政治と社会を 大きく改革なさいました 113 00:11:35,230 --> 00:11:37,540 罪があり 報いがあって 114 00:11:37,540 --> 00:11:40,910 最後に成果が残ったのだと 思います 115 00:11:40,910 --> 00:11:44,580 どうか ご自分を 卑下なさいませんよう 116 00:11:44,580 --> 00:11:49,580 改革によって救われた民衆は 確かに存在するのですから 117 00:12:05,730 --> 00:12:07,730 フロイライン 118 00:12:09,970 --> 00:12:12,510 はい 陛下 119 00:12:12,510 --> 00:12:16,180 帰らないでいてほしい 120 00:12:16,180 --> 00:12:18,180 ここにいてくれ 121 00:12:22,950 --> 00:12:27,550 今夜は一人でいることに 耐えられそうにないのだ 122 00:12:27,550 --> 00:12:30,950 頼む 余を独りにしないでくれ 123 00:12:33,990 --> 00:12:37,590 はい 陛下 仰せに従います 124 00:13:45,030 --> 00:13:47,030 あっ 125 00:13:50,170 --> 00:13:54,440 ヒルダお嬢様 一体 昨夜は どうなさいましたので 126 00:13:54,440 --> 00:13:57,540 ただいま ハンス 早いのね 127 00:14:00,810 --> 00:14:02,810 ん? 128 00:14:19,330 --> 00:14:22,630 おはようございます ああ おはよう 129 00:14:35,050 --> 00:14:38,850 昨夜は陛下と 一緒だったのだね?ヒルダ 130 00:14:42,790 --> 00:14:44,790 お父様 私… 131 00:14:44,790 --> 00:14:49,930 ああ 分かっている 多分 分かっていると思う 132 00:14:49,930 --> 00:14:51,900 だから言わなくてもいい 133 00:14:51,900 --> 00:14:55,500 ただ確認して おきたかっただけだから 134 00:14:55,500 --> 00:14:58,000 ごめんなさい お父様 135 00:15:03,110 --> 00:15:05,550 伯爵様 136 00:15:05,550 --> 00:15:09,020 旦那様 今 玄関に客がありまして 137 00:15:09,020 --> 00:15:13,020 扉を開けてみましたら こ… 皇帝陛下が 138 00:15:13,020 --> 00:15:15,320 皇帝陛下が立っておいででした 139 00:15:15,320 --> 00:15:18,920 ぜひ伯爵様とお嬢様に お会いしたいと 140 00:15:24,560 --> 00:15:27,200 ヒルダ 141 00:15:27,200 --> 00:15:30,440 お父様 私 立てない 142 00:15:30,440 --> 00:15:34,670 陛下はお前に お話があるのだと思うがね 143 00:15:34,670 --> 00:15:37,870 ごめんなさい お願い お父様 144 00:15:40,310 --> 00:15:42,310 うん 145 00:15:46,890 --> 00:15:50,190 あ… ああ 146 00:15:58,230 --> 00:16:00,500 陛下 147 00:16:00,500 --> 00:16:03,040 ああ マリーンドルフ伯か 148 00:16:03,040 --> 00:16:06,070 これはわざわざのお運び 恐縮でございますが 149 00:16:06,070 --> 00:16:08,940 どのようなご用で ございましょうか 150 00:16:08,940 --> 00:16:13,680 いや こちらこそ朝早くから お騒がせして申し訳ない 151 00:16:13,680 --> 00:16:18,050 これをフロイライン・マリーンドルフに 差し上げたいと思って 152 00:16:18,050 --> 00:16:22,250 これはお心遣い恐縮でございます 153 00:16:28,290 --> 00:16:31,230 ミッターマイヤー元帥に 聞いたことがある 154 00:16:31,230 --> 00:16:36,470 彼は夫人に求婚する時に 見事な花束を持っていったと 155 00:16:36,470 --> 00:16:39,710 は?さようで 156 00:16:39,710 --> 00:16:44,980 それで余もそうしたいと思って… いや そうせねばならぬと思って 157 00:16:44,980 --> 00:16:49,650 とりあえず花を選ばせて 持ってきたのだ 158 00:16:49,650 --> 00:16:52,550 フロイラインは 花が好きだろうか? 159 00:16:52,550 --> 00:16:55,350 嫌いではあるまいと思います 160 00:17:00,590 --> 00:17:07,170 マリーンドルフ伯 お宅のご令嬢を 余の妃として迎えたいのだ 161 00:17:07,170 --> 00:17:10,970 結婚の許可をいただけるだろうか 162 00:17:10,970 --> 00:17:13,870 あ… 163 00:17:13,870 --> 00:17:17,580 もしフロイライン・ マリーンドルフに その… 164 00:17:17,580 --> 00:17:20,480 あのようなことをして 責任を取らなかったとしたら 165 00:17:20,480 --> 00:17:23,420 余はゴールデンバウム王朝の 淫蕩な皇帝どもと 166 00:17:23,420 --> 00:17:26,790 同類になってしまう 余は 余は… 167 00:17:26,790 --> 00:17:29,320 奴らと同類になる気はないのだ 168 00:17:29,320 --> 00:17:31,990 ああ… 169 00:17:31,990 --> 00:17:35,730 陛下 責任をお感じになる必要は ございません 170 00:17:35,730 --> 00:17:41,000 娘は自分の意思によって 陛下の お相手を務めたはずでございます 171 00:17:41,000 --> 00:17:44,870 一夜のことを武器として 陛下のご一生を縛るようなことは 172 00:17:44,870 --> 00:17:47,840 あの子はいたしません だが… 173 00:17:47,840 --> 00:17:51,980 どうぞ今日のところは お引き取り願わしゅう存じます 174 00:17:51,980 --> 00:17:55,480 あれも まだ気持ちが 整理されておりませんようで 175 00:17:55,480 --> 00:17:59,090 あるいは陛下に対し奉り 礼を失する言動が 176 00:17:59,090 --> 00:18:02,290 あるやもしれませぬ いずれ落ち着きましたら 177 00:18:02,290 --> 00:18:05,190 過分な地位を既に 頂いていることでもございますし 178 00:18:05,190 --> 00:18:10,430 必ず大本営に伺わせます 恐縮ではございますが どうぞ 179 00:18:10,430 --> 00:18:15,670 この場は私めにお任せいただいて お帰りくださいますように 180 00:18:15,670 --> 00:18:17,940 あ… 分かった 181 00:18:17,940 --> 00:18:22,780 卿に… 伯爵にお任せする 朝からお騒がせしたうえに 182 00:18:22,780 --> 00:18:26,780 即答できかねるような 申し込みをしてすまなかった 183 00:18:26,780 --> 00:18:31,680 出直すことにしよう 非礼の数々 ご容赦願いたい 184 00:18:34,520 --> 00:18:37,720 フロイライン・マリーンドルフに よろしく 185 00:18:48,070 --> 00:18:50,840 ああ… 旦那様 186 00:18:50,840 --> 00:18:52,840 いや 187 00:18:59,150 --> 00:19:03,020 多分 お前の想像どおりだよ ヒルダ 188 00:19:03,020 --> 00:19:06,920 陛下は お前を妃に迎えたいと おっしゃった 189 00:19:06,920 --> 00:19:10,760 私は… そんなこと大それたことだわ 190 00:19:10,760 --> 00:19:14,390 陛下と結婚するなんて あり得ないことよ 191 00:19:14,390 --> 00:19:18,030 といってもね ヒルダ 結局のところ誰かが 192 00:19:18,030 --> 00:19:21,900 皇妃の座につくことには なるのだよ 193 00:19:21,900 --> 00:19:25,170 あ… 194 00:19:25,170 --> 00:19:28,870 西暦の17世紀に え? 195 00:19:28,870 --> 00:19:32,750 北方の流星王と呼ばれる 小国の王がいたそうだよ 196 00:19:32,750 --> 00:19:37,580 15歳で即位し しばしば隣国の大軍を破り 197 00:19:37,580 --> 00:19:41,250 軍事的天才として知られた 198 00:19:41,250 --> 00:19:44,460 30代で死ぬまで 異性であれ同性であれ 199 00:19:44,460 --> 00:19:48,330 ついに肉欲とは 縁がなかったそうだ 200 00:19:48,330 --> 00:19:51,300 異常な才能というものは 一方で どこか 201 00:19:51,300 --> 00:19:54,230 それに応じた欠落を 要求するものらしい 202 00:19:54,230 --> 00:19:57,900 ラインハルト陛下を見ていると そう思うな 203 00:19:57,900 --> 00:20:03,710 まあ 君主としては逆の方向に 異常でないだけ よいのだがね 204 00:20:03,710 --> 00:20:07,510 陛下は 私を愛しては いらっしゃらないわ 205 00:20:07,510 --> 00:20:10,420 その程度のことは 私にも分かります 206 00:20:10,420 --> 00:20:13,320 カイザーが求婚なさったのは あくまでも 207 00:20:13,320 --> 00:20:17,860 義務感と責任感の ためなのよ お父様 208 00:20:17,860 --> 00:20:21,730 そうかもしれないな 209 00:20:21,730 --> 00:20:25,160 だが お前の方はどうなのかね ヒルダ 210 00:20:25,160 --> 00:20:28,070 私? そういった子供っぽい 211 00:20:28,070 --> 00:20:30,700 義務感や責任感も含めて 212 00:20:30,700 --> 00:20:34,100 お前はカイザーを 愛していないのかね? 213 00:20:38,940 --> 00:20:41,580 分からないわ 私 214 00:20:41,580 --> 00:20:43,920 尊敬はしています でも 215 00:20:43,920 --> 00:20:47,650 男として 女として 愛しているかどうか 216 00:20:47,650 --> 00:20:50,560 私 自信がありません 217 00:20:50,560 --> 00:20:52,890 ああ やれやれ 218 00:20:52,890 --> 00:20:55,730 何も陛下に限ったことでは ないようだね 219 00:20:55,730 --> 00:21:00,230 私の自慢の娘も時には 考えることより感じることの方を 220 00:21:00,230 --> 00:21:03,700 重んじてくれれば いいと思うのだがな 221 00:21:03,700 --> 00:21:06,600 いつもではなく時にはだがね 222 00:21:08,540 --> 00:21:11,880 まあ 慌てて結論を 出すこともあるまい 223 00:21:11,880 --> 00:21:16,680 しばらく出仕を控えて 時間をかけて考えなさい 224 00:21:34,230 --> 00:21:38,000 しかし あの2人 うまくやれたのだろうか 225 00:21:38,000 --> 00:21:40,000 フフッ 226 00:21:42,340 --> 00:21:46,710 ヒルダ お前は私には過ぎた娘だよ 227 00:21:46,710 --> 00:21:49,210 ただ言っても詮ないことだが 228 00:21:49,210 --> 00:21:52,750 もっと平凡で近くを見つめる 野心の少ない男性と 229 00:21:52,750 --> 00:21:57,360 恋をしてくれたら 私も 分に相応した ささやかな一生を 230 00:21:57,360 --> 00:21:59,290 送れたかもしれないな 231 00:21:59,290 --> 00:22:01,960 旦那様 232 00:22:01,960 --> 00:22:04,860 そろそろ ご出仕の お時間でございますが 233 00:22:04,860 --> 00:22:09,030 うん 支度を頼む 234 00:22:09,030 --> 00:22:14,930 私が国務尚書として出仕するのも そう長いことではあるまいな 235 00:22:23,450 --> 00:22:27,320 キルヒアイスは 結婚することもなく世を去った 236 00:22:27,320 --> 00:22:32,190 俺の命を救うために 自分の命をなげうって 237 00:22:32,190 --> 00:22:35,430 それなのに 俺はキルヒアイスを犠牲にして 238 00:22:35,430 --> 00:22:40,000 自分一人生き残り 今度は結婚までしようとしている 239 00:22:40,000 --> 00:22:41,970 許されることだろうか 240 00:22:41,970 --> 00:22:45,700 生者が許しても 死者が許すだろうか 241 00:22:45,700 --> 00:22:48,610 だがフロイライン・ マリーンドルフに対しての 242 00:22:48,610 --> 00:22:52,510 責任を取らねば俺は… (呼び出し音) 243 00:22:52,510 --> 00:22:56,350 陛下 憲兵総監閣下 お見えであります 244 00:22:56,350 --> 00:22:58,350 通せ 245 00:23:07,390 --> 00:23:13,800 陛下 昨日の弑逆未遂犯が 牢内で自殺いたしました 246 00:23:13,800 --> 00:23:17,270 強いたのではあるまいな? いえ 247 00:23:17,270 --> 00:23:20,640 否定したケスラーの言葉に 偽りはなかった 248 00:23:20,640 --> 00:23:24,210 ただ自殺を阻止する 努力もしなかった 249 00:23:24,210 --> 00:23:26,250 仮に犯人を釈放しても 250 00:23:26,250 --> 00:23:29,050 彼には自殺以外の選択肢は ないことを 251 00:23:29,050 --> 00:23:32,080 ケスラーは知っていたからである 252 00:23:32,080 --> 00:23:34,290 そのことを ラインハルトも察したが 253 00:23:34,290 --> 00:23:36,920 ケスラーを とがめることはできなかった 254 00:23:36,920 --> 00:23:41,860 罪は決断を欠いたラインハルト自身に あったからである 255 00:23:41,860 --> 00:23:45,730 内密に葬ってやれ 丁重にな 256 00:23:45,730 --> 00:23:47,830 はっ 257 00:23:54,840 --> 00:23:57,810 はあ… 258 00:23:57,810 --> 00:24:02,010 こんな時にフロイライン・ マリーンドルフがいてくれたら 259 00:24:04,650 --> 00:24:08,720 確かにカイザー・ラインハルトが ヒルダに求めていたものは 260 00:24:08,720 --> 00:24:11,590 助言者としての役割であった 261 00:24:11,590 --> 00:24:16,460 それは他人が考える以上に ラインハルト自身が己の未熟さを 262 00:24:16,460 --> 00:24:20,730 自覚していたからこそ かもしれない 263 00:24:20,730 --> 00:24:25,170 宇宙歴800年 新帝国歴2年9月1日 264 00:24:25,170 --> 00:24:28,070 カイザー・ラインハルトは 大本営を 265 00:24:28,070 --> 00:24:31,270 旧フェザーン政府の 迎賓館に移した 266 00:26:08,340 --> 00:26:13,180 惑星ハイネセンにおいて 戦没者追悼集会が暴動に発展し 267 00:26:13,180 --> 00:26:16,420 多数の犠牲を出す事件が発生する 268 00:26:16,420 --> 00:26:20,290 それを皮切りに 次々に勃発する暴動や反乱 269 00:26:20,290 --> 00:26:25,690 それらを陰で演出するのは誰か そして その目的は? 270 00:26:25,690 --> 00:26:30,500 次回「銀河英雄伝説」 第90話「鳴動」 271 00:26:30,500 --> 00:26:33,300 銀河の歴史が また1ページ